虎口階段、厩舎付近
九郎:これも、平田の者だ弔って、やらねば
エマ:九郎様…
九郎:エマ殿、平田から逃れてきた者、他には?
エマ:もう、ほとんど、残っておりません
九郎:そう、ですか…
…済まぬ
竜胤を狙うものは、絶えぬ…
平田の者たちを… 私が、巻き込んでしまった
大手門前
弦一郎:一度は退けたが
内府の軍は、あまりに強大だ
九郎:それ故、我が血を…
竜胤の力を、利用するというのですか?
いかに力を得るとて
痛みも、恐れも忘れ、戦い続けるなど…
私は… 人の生き方を、歪めたくはないのです…
弦一郎:この屍の山を見ろ
もはや尋常の術では、葦名は守れぬのだ
九郎:私は… 弦一郎殿ほど、強くはなれません
何を為すべきか… 未だ分からぬのです…
弦一郎:…あれから、随分と経つ
待ったとて、無駄なことだ
葦名本城入り口
葉笛の音
エマ:九郎様…
九郎:…刻限ですね、エマ殿
分かっています
弦一郎殿がお待ちなのでしょう
天守の上階に、戻ります
………
………狼よ
あの時、吹いてくれた葦の葉笛じゃ
此度はそなたが…
音を頼りに、きっと参れ
月見櫓
九郎:狼よ、お主は言ったな「為すべきことを、為せ」と
それが未だ、見出せぬ
分からぬのだ
竜胤は、なにゆえ私に授けられた…
天守上階 葦名流伝場付近
九郎:エマ殿、あれは一体…何なのです…
エマ:変若水…
そう呼ばれています
九郎:あれが、葦名の秘策だというのですか…
エマ:はい
飲んだものは、生半には死なぬ…
いえ、死ねぬようになります
そして、変若水もまた…
九郎:その源は竜胤にある、というのだな
エマ:はい
九郎:エマ殿、私には…
竜胤が貴いものだとは、とても思えぬ
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