蟲憑きが「付き」の字ではなく「憑き」の字が使われるのは、蟲が神霊的なものであるからである(憑依 Wikipedia)
そして小さな神々が「神々」と複数形で呼ばれているように、蟲にも種類がいくつか存在する
「貴い餌」や「源の宮の湖底にいる蟲」、「死なず、に憑くムカデやコオロギ」、「赤目に憑く蟲」等々、そのどれもが小さな神々の零落した姿なのである
そのあり方は様々であり、憑いた蟲によって得られる効験は異なるのである(不死をもたらす蟲や、強靱な肉体を得られる蟲など)
また蟲は源の水の濃い場所では、単体で姿を現す。貴い餌や湖底にいる蟲、変若水の澱である
以下は「変若の御子」で書いた考察とほぼ同じである
蟲
神食み葦名のひと際古い土地に生える草木には、
名も無き小さな神々が寄っていたという
これは、そうした草木を練り上げ作られる
神々を食み、ありがたく戴く秘薬である
だが、神なる竜が根付いたのちは、
そうした小さな神々は、姿を潜めてしまった…
神食みの説明である。一読すると草木を練り上げた秘薬のように受け取れるが、アイテム名にもなっているとおり、その効力を発揮しているのは、小さな神々である
つまるところ、神々を練り上げて食べられるようにしたから「神食み」と呼ばれているのである
さて、桜竜が根付いた後に、そうした神々は姿を潜めてしまったという。「消滅」ではなく「潜めて」である。つまり神々は今もどこかに隠れているのである
どこへ姿を潜めたかというと、水の中である
神ふぶき
紙を抄くというが、
源の水で行うそれは、神を掬うことでもある
神主から濃縮した源の水(「酒」)を飲まされた水生村の人間の言動を想起すればわかりやすいと思われる
籠かぶりの正助
「喉が渇いて、たぁくさん、お酒を飲んだからなあ」
「ただなあ… お酒を飲むと、喉が渇いちまう 酒樽は、すぐ空になる」
「仕方なく、みな、池や川の水を啜るんだ けどなあ、飲めば飲むほど、喉が渇く…」
桜竜の影響を受けた水は、ひと際古い土地に染み渡っていった
戦いの残滓・桜竜
この葦名には、ひと際古い土地がある
古い土や岩が、そこに染み渡った水が、
神なる竜を根付かせたのだ
仙郷の神域からは膨大な水が噴出しているのが確認できる
その水が古い土地に染み渡ってゆき、その水を草木が吸い上げ、さらにそこに寄りつく小さな神々にも影響を与えていった
影響を受けた神々は激しい渇きにさいなまれ、池や川の水を啜りに水の中へと飛び込んでいった
しかしその水もまた桜竜の影響を受けた水であり、源流に近いひと際古い土地であるがために、その影響は大きかった
ナメクジ化した貴人たちのように、神々は溶けていったのである。神々の溶けた源の水は濃縮されると、そこに神々の結晶ともいうべきものを析出させる
それこそが蟲である
もとより、「草木に寄る小さな神々」とは蟲をイメージさせるものであり、それは一度は溶けたが、濃縮されると蟲へと戻るのである
この蟲は古来より「葦名の不倒」をもたらしたものである
丸薬
この地に古くより伝わる秘薬
いにしえの戦でも使われた記録があり
葦名の不倒を世に知らしめたという
小さな神々を練り上げた神食みと同様、丸薬もまた神々つまり蟲を練ったものであろう
これら「小さな神々」が桜竜の影響を受けて、人に寄生する(憑く)ようになったものが「蟲」である。そして小さな「神々」と複数形で呼ばれたように、蟲にも様々な種類が存在すると考えられる
すごく読み応えがあって、楽しませていただいています。
返信削除素晴らしい考察ですね!
感想ありがとうございます
削除いつかまとまったものを書きたいなと思いつつ、気になることが多すぎて細部の考察ばかりがやたらと増えてしまいました
そもそも何故蟲が憑くと不死になるのか、疑問に思ってGoogle先生に聞いたところ、このページに行き着きました。
返信削除分かりやすく、納得のいく考察でした。
草木に宿る神々を蟲に例えてしまうとは、なんともまあ、フロムらしいですね。
申し訳ない、なにぶん古い考察ですので間違いがあります
削除普通の蟲が変若水の澱を飲んだ場合、稀に人に憑く蟲が生まれることがコミカライズ版で明かされています
ですので、SEKIROの設定的には蟲=神々というのは完全に誤りです