2019年4月6日土曜日

Sekiro 考察7 変若の御子 追記:幻廊

それがあるとき、シナ大陸の山中で、不老不死の高僧たちに出会って、この教義の内容を聞かされたというのだ。(『ラヴクラフト全集2』「クトゥルフの呼び声」創元推理文庫)
人類誕生以前のこの地球は、星から渡ってきた《あるもの》が支配していて、彼らは各地に壮麗豪華な大都市を建設した。それがいまなお――不死の中国人僧の言葉によれば――太平洋上の島々に、巨石文化の遺跡として残存している。(『ラヴクラフト全集2』「クトゥルフの呼び声」創元推理文庫)


情報のほとんどない変若の御子に関する考察

変若の御子の住処

奥の院のモチーフはそのまま高野山の奥の院である。奥の院と呼ばれる聖域は各地にあるが、高野山の奥の院は特殊であり、今も空海がそこで生きている、と信じられている(Wikipedia 空海 「入定に関する諸説」の項を参照のこと)
たとえば、真言密教の場合、弘法大師入定の地・高野山では、奥の院における大師の入定(大師は死んだのではなく、あらゆる人びとを救済するために永遠の瞑想に入っている)に中心を置き、大師とともに生きることを強調する(『密教とマンダラ』著・頼富本宏 講談社学術文庫)
ちなみに、弘法大師の場合だけは、入寂とか入滅という語は用いず、現在もなお高野山の奥ノ院におられると考えているので、真言宗ではご入定という語を用いる(『空海入門』著者・加藤精一 角川ソフィア文庫)

不死的な存在の住まう奥の院、という意味で変若の御子の住む奥の院のモチーフは高野山の奥の院であろう

「死なずの求道者に作られた偽りの竜胤」(変若の御子)
「竜胤や竜胤に連なる我らは… きっと、帰るべきなのです」(変若の御子)
「生半には、死にませぬ」(永旅経・竜の帰郷の章を渡した時)

変若の御子は竜胤に連なる者であり、不死か不死に近い存在で、生半には死なない


変若の御子(モチーフ)

変若の御子の手から米を出すモチーフは、オオゲツヒメ(Wikipedia)、あるいはウケモチノカミ(Wikipedia)であろうと思われる

個人的にはツクヨミ変若水との関係から、ウケモチノカミであろうと思う(どちらもハイヌウェレ型の神話である Wikipedia)

ウケモチノカミは生きているときは口から米飯を出し、その死体の腹からは稲が生まれたという。変若の御子がくれるお米は炊かれていないので、ウケモチノカミの例をとるのならば、変若の御子のお腹から発生していることになる。

しかしながら「変若の御子の手のひらより、零れ落ちたお米」(お米)とあるので、無理に曲解する必要はないように思える

さて、ツクヨミという神は変若水信仰と深い関わりがあり(変若水 Wikipedia)、『日本書紀』ではウケモチノカミを斬り殺したとされている(ツクヨミ Wikipedia)
また変若水型の伝説にはが絡む例が多い

ツクヨミを軸にして考えると変若水、さらにウケモチノカミがきれいに繋がるのである

これをSekiroに当てはめると、変若水(変若水)蛇(白蛇)ウケモチノカミ(変若の御子)となり、ツクヨミが欠けていることが分かる

ただし、ツクヨミは変若水の管理者でもあり、それを考慮に入れるのならば、Sekiro世界の変若水、つまり源の水の管理者ツクヨミ的な地位にあると思われる

それが誰かというと、仙郷の神域で眠る巫女である


桜竜の持つ七支刀を月光剣ととらえる意見がある(個人的にはどうともいえない)が、だとしたら月光剣を持つ神を祀る者として、ツクヨミほど相応しい者はいないであろう(ツクヨミも神であるが、ここでは変若水を管理する者=源の水を管理する者、という類比である)



変若の御子

まず、ゲーム内の情報をまとめてみる

変若の御子

「竜胤の呪いを、受けているのですね」

「私は… 変若の御子たちの一人」
「死なずの求道者に作られた偽りの竜胤
まともに育ったのは、私だけ」
「他のみなは… ここに、眠っています」

「仙峯上人は、蟲憑き… 何故、そのようなことが…」

「竜胤や竜胤に連なる我らは… きっと、帰るべきなのです」

「仙峯上人ならば、あるいは」
「この仙峯寺の開祖です 齢は、果たして如何ほどか」

「私は… あの人たちを… まだ、どうしようもなく、憎んでいるのです…」(永旅経・蟲賜りの章を渡した時)

「私は… 変若の御子の、唯一人の生き残り
生半には、死にませぬ」(永旅経・竜の帰郷の章を渡した時)

緑衣の蟲憑き

「オオォ… 許しておくれ、変若の御子たちよ…」
「残ったのは… あの子だけ…」
「寂しかろ… 独り籠って、寂しかろ…」

貴い御方… あの子のことじゃな」
「もう、ここにはおらぬ」
儂のせいじゃ… あの子は、奥の院に籠ってしもうた」
「会うことは、叶わぬぞ…」

「あの子は、知りたがっておった… 己の定めの由縁を」
「もし、会えたならば、これを渡してやってくれ…」
「せめてもの、償いじゃ…」

 永旅経・蟲賜りの章
  永い悟りの旅路へいざなう経典。その一節
  あの子に渡して欲しいと、託されたもの

   我、蟲を賜り、幾星霜
   
   死なずとは、永き悟りの旅路なり
   死なぬ訳もまた、悟らねばなるまい

   神なる竜は、西の故郷より来られたという
   我に、蟲を授けられたは、なにゆえか


柿婆

(近くでミブ風船を3回使用)
「お前さんのような者が 変若の御子さまの、お側にいてくれたら良いのにのう…」
「坊主どもめが… 儂を追い出しおって…」
「う… ううう… 御子さま…」
(変若の御子に蛇柿を食べさせた後)
御子さまがた… どうかどうか、遠路ご無事で…」


これらから分かることは
・変若の御子とは偽りの竜胤
死なずの求道者たちが作った

・変若の御子は複数人いる
・生き残ったのは一人だけ
竜胤に連なる者
・生半には死なな

・緑衣の蟲憑きたちを憎み、奥の院に籠ってしまった
・己の定めの由縁を知りたがっていた
・緑衣の蟲憑きとはかつてそれなりに交流があった

・柿婆は変若の御子の世話をしていた
・坊主どもが柿婆を追い出した
揺り籠となった変若の御子が帰郷の旅に出ることを知っている

死なず、とは蟲憑きがそう呼ばれる
 
 戦いの残滓・宮の破戒僧
  破戒僧は、蟲憑きであり、
  また源の宮の門守である
  宮を永く守るには、死なずが都合良いだろう

であるのならば、死なずの求道者たちとは蟲憑きである

「みな、僧であることを捨て 死なずの探求に魅入られてしまいました」(仙峯寺到着時の変若の御子)

仙峯寺の開祖、仙峯上人もまた蟲憑きである
永旅経・蟲賜りの章を渡した時の反応から、死なずの求道者とは仙峯上人を含めた仙峯寺の蟲憑きの僧たちのことであろう

彼らがどのようにして変若の御子を作ったのか、具体的な方法は一切明かされていない

しかしながら、変若という名前がつけられていることや、変若の御子に竜胤の揺り籠の役割が期待されていることから、死なずの探求とは別種の研究であると推測される

 永旅経・竜の帰郷の章
  竜胤の揺り籠が、二つの蛇柿を食すのを

  揺り籠の命果てず、御子を宿さば
  西への帰郷は叶うだろう

さらに変若水ーツクヨミーウケモチノカミというモチーフの構造を考慮に入れると、変若水を用いた方法だったのではないかと推測される


奥の院の掛け軸

話は少し変わるが、奥の院の掛け軸は、すべて女性を描いたものである
彼女たちが各種楽器や金剛杵、利剣を手にしているのは確認できた



この女性の掛け軸は何なのだろう?

変若の御子は次のように語る
「他のみなは… ここに、眠っています」

ここ、とは奥の院のことである。つまり奥の院とは死んだ者たちが眠る霊廟でもあるのだ

さらに次のようにも語る
「まともに育ったのは、私だけ

ほとんどの者は、まともに育つこともなく幼児の段階で死亡している

幼き死者を慰撫するための母親像である、とも考えたのだが『永旅経・竜の帰郷の章』にこうある

 永旅経・竜の帰郷の章
  
  我、死なず。竜の帰郷をただ願う
  みな死なず、永く待とうぞ

  竜胤の御子が、つめたい竜の涙を飲み干し
  竜胤の揺り籠が、二つの蛇柿を食すのを

  揺り籠の命果てず、御子を宿さば
  西への帰郷は叶うだろう

仙峯上人たちの目的は、竜胤の揺り籠を作り竜を帰郷させることである
で、あるのならば変若の御子は、そもそもが竜胤の御子を宿すために作られた存在である

ということは、変若の御子は女性に限られる、のではないだろうか

つまり、掛け軸に描かれた女性たちは、夭逝した変若の御子たちの成長した姿、なのである(似たような風習が日本のどこかにあった気がするが名前を思い出せない)

掛け軸は墓標代わりであり、そこに描かれた女性たちは、死んだ変若の御子たちである

ゆえに、変若の御子は、
「他のみなは… ここに、眠っています」
と、言うのである

※御子を宿すの意味にもよるが、神を宿す臓器として心包の名が出されているので、でも揺り籠になれる気もする。そうすると掛け軸の女性は母となろうか。
※相手は神なので生物の常識は通用しないのかもしれない


揺り籠

上記のように、変若の御子は「竜胤の揺り籠」になるべく作り出されたと思われる

柿婆が蛇柿のありかを教えてくれるのは、「揺り籠」になることが変若の御子にとって良いことであるという認識があったからであろう。さらに柿婆は揺り籠となった御子が長い帰郷の旅に出ることを知っていた


御子さまがた… どうかどうか、遠路ご無事で…」(変若の御子に蛇柿を食べさせた後)


さて、変若の御子が揺り籠になるためには二つの蛇柿が必要とされる。ひとつは「生の蛇柿」であり、もうひとつは「乾き蛇柿」である(『永旅経・竜の帰郷の章』)

蛇柿は心包であり、心包とは、神たる御魂を宿す臓であるとされる(「生の蛇柿」「乾き蛇柿」)

なぜ二種類あるかというと、神道では神の魂には二つの側面があるとされるからだ

「荒魂」「和魂」である(荒魂 Wikipedia)

この性質の違う二つの魂を宿すために、二種類の心包が必要なのだ
(一つの神魂の二つの側面であるが、神によっては別々に祀られる例もある)

具体的なメカニズムであるが、中国医学における心包の理解で問題ないと思われる
中国医学的には心包は心臓を包む袋や膜とされ、「神(しん)」を宿すという(心包 Wikipedia)

変若の御子が心包を食すことで、変若の御子の心包神性を帯び、神を宿せるようになる
もっとわかりやすく「心」と言い換えても良いかもしれない

竜の帰郷ENDで、九郎が喜んでいる、と変若の御子が口にすることから心が繋がっているのだと思われる


変若の御子の作り方

変若水

まず変若水とは源の水が濃くなったものである

 香花の手記
  源の水濃く溜まった場所…
  つまり変若水が溜まる場所ならば、

この変若水の中でも、特に濃いものを、変若水の澱という
変若水の中でも、特に濃いものを、そう呼びます」(弦一郎戦後のエマ)

葦名の赤目は、これら変若水で生まれるという
 
 赤備えの火消し粉 
  変若水で生まれる、葦名の赤目

死人帰りと呼ばれた弦一郎の目は赤く、それは変若水の澱の影響である
「死人帰りか」(弦一郎撃破後の隻狼)
「弦一郎殿、まさか、変若の澱を飲まれているとは…」(弦一郎戦後のエマ)

変若水の澱を飲んだ者は、死んでいるはずの斬撃に耐えるほど強靱な肉体に変貌する
「当然に死んでいるはずの斬撃に耐えるほど 強靱名肉体に、変貌する」(弦一郎戦後のエマ)

変若水の澱は元々はエマの師匠である道玄が調べていたもの
「あれは、元々は我が師、道玄が調べていたもの」(弦一郎戦後のエマ)

それを道順が持ちだした
「私の兄弟子たちの誰かが、持ちだしていたようですね …大方、道順あたりか」(弦一郎戦後のエマ)

道順は捨て牢において変若水を使った実験を行い、最終的には被験体と共に赤目と化してしまう。その体内にあったものが赤成り玉であるが、これは「成りたいものに、成れなかった者の名残」(赤成り玉)である

 赤成り玉
  食らえば赤目と成る、赤く丸い塊
  
  赤目になれば、敵の攻撃に怯みづらくなる
  ただし、回生の力は使えなくなる

  赤成り玉は、
  成りたいものに、成れなかった者の名残
  触れば仄かにあたたかく、脈を打っている

と、このように人体の専門家である薬師でさえ変若水を使って十全の成果をあげることができなかった

十全の成果、とは弦一郎の求めるもの、つまり「竜胤」あるいは「偽の竜胤」である(赤目はただの副産物である)

一方、仙峯寺の死なずの求道者たちは、死なずの探求の末に「偽りの竜胤」を作り出すことに成功している
 
同じ変若水を使って、一方は「赤目」を、一方は「偽りの竜胤」を作ったのである

この差異がいったいどこから来るのか?


両者の根本的な違いは、「蟲の知識」の有無である


蟲憑きであり、死なずを探求し、蟲に関する知識のあった「死なずの求道者たち」は、自らを実験台に獲得した知識変若水に対して用いたのである

といって、変若水に蟲を足したのではない。逆に変若水から蟲を引いたのだ


もともと変若水、ひいては源の水には「蟲」が混じっている

 神食み
  葦名のひと際古い土地に生える草木には、
  名も無き小さな神々が寄っていたという
  これは、そうした草木を練り上げ作られる
  神々を食み、ありがたく戴く秘薬である

  だが、神なる竜が根付いたのちは、
  そうした小さな神々は、姿を潜めてしまった

神食みの説明である。一読すると草木を練り上げた秘薬のように受け取れるが、アイテム名にもなっているとおり、その効力を発揮しているのは、小さな神々である
つまるところ、神々を練り上げて食べられるようにしたから「神食み」と呼ばれているのである

さて、桜竜が根付いた後に、そうした神々は姿を潜めてしまったという。「消滅」ではなく「潜めて」である。つまり神々は今もどこかに隠れているのである

どこへ姿を潜めたかというと、水の中である

神主から濃縮した源の水(「酒」)を飲まされた水生村の人間の言動を想起すればわかりやすいと思われる

 籠かぶりの正助
 「喉が渇いて、たぁくさん、お酒を飲んだからなあ」
 「ただなあ… お酒を飲むと、喉が渇いちまう 酒樽は、すぐ空になる」
 「仕方なく、みな、池や川の水を啜るんだ けどなあ、飲めば飲むほど、喉が渇く…」

桜竜の影響を受けたは、ひと際古い土地に染み渡っていった

 戦いの残滓・桜竜
  この葦名には、ひと際古い土地がある
  古い土や岩が、そこに染み渡った水が、
  神なる竜を根付かせたのだ

仙郷の神域からは膨大な水が噴出しているのが確認できる


そのが古い土地に染み渡ってゆき、その水を草木が吸い上げ、さらにそこに寄りつく小さな神々にも影響を与えていった

影響を受けた神々は激しい渇きにさいなまれ、池や川の水を啜りに水の中へと飛び込んでいった

しかしその水もまた桜竜の影響を受けた水であり、源流に近いひと際古い土地であるがために、その影響は大きかった

ナメクジ化した貴人たちのように、神々は溶けていったのである。神々の溶けた源の水濃縮されると、そこに神々の結晶ともいうべきものを析出させる

それこそがである

もとより、「草木に寄る小さな神々」とはをイメージしたものであり、それは一度は溶けたが、濃縮されると蟲へと戻るのである

これらのは古来より「葦名の不倒」をもたらしたものである

 丸薬
  この地に古くより伝わる秘薬
  いにしえの戦でも使われた記録があり
  葦名の不倒を世に知らしめたという

小さな神々を練り上げた神食みと同様、丸薬もまた神々つまり蟲を練ったものであろう

これが桜竜の影響を受けて、人に寄生(ある種の怨霊降し、憑依)するようになり、効力を増大させたものが「蟲」である。それらは、もとは小さな神々であるように、には様々な種類が存在すると考えられる

「貴い餌」もまた神々なれの果てである


変若の御子

仙峯上人は変若水のなかから「蟲」だけを除去し、純度を増した変若水を、変若の御子候補に投与したのである

純度の高い変若水は、「京の水」と同様の効果を引き起こしたであろう。それに耐えられたのは、唯一人の生き残りである変若の御子だけであった

変若の御子は、仲間の御子たち「溶けて」(神主談)ゆくのを間近で見続けたのではないだろうか。ゆえに、死なずの求道者たちを今も「どうしようもなく憎んでいる」のである

一方で道順の使った変若の澱には、蟲が含まれていた。ゆえに蟲に感染し、赤目となったのである。赤目と成ったものは凶暴性を増し、自我を失う

ある種の寄生虫は宿主の行動を制御することが知られている。それに抗えるのは、強い意志を持った者か修行を積んだ僧侶ぐらいのものであろう。ほとんどの人間は獅子猿のように理性を失い、蟲に操られるがままの赤目となるのである

 二の念珠
  葦名には、赤鬼と呼ばれる大男がいる
  赤目となり、暴れ狂うは何ゆえか
  長く捨て牢に囚われていたというが…

(蛇足だが、この赤鬼はロバートだと思われる)

源の水だからといって必ず蟲に憑かれるわけではない

確実な感染には源の水を濃くした変若水が必要であり、さらなる効果を期待するには変若水の澱を飲む必要がある

変若水の澱とはつまり、濃縮された変若水に発生する寄生虫の卵であろう

感染の度合いは、源の水→変若水→変若水の澱の順に増えていくと思われる

またそれは不死をもたらす仙峯寺の蟲とは異なる蟲である。もとが神々であるゆえに、蟲にも種類がいくつかあり、仙峯寺のそれは「不死をもたらす蟲、ムカデ」であり、道順のそれは「人を赤目にする蟲、赤成り玉」なのである(赤成り玉は蟲の群体であろう)

 赤成り玉
  触れば仄かにあたたかく、脈を打っている


仙峯上人は「死なずの探求」により、不死をもたらす蟲のみを変若水から抽出する方法を発見し、それを神なる竜からの「賜り物」と誤解し、その果てに変若の御子を作り出したのである

さて、そうして作り出された変若の御子は柿が好きで、太郎柿をあげたときなどは「紅き宝玉」とまで褒め称える

赤いものへの嗜好は、赤い蛇柿を食する抵抗感を薄れさせるものであろうか
だとしたら、柿婆がそうなるように変若の御子たちに柿を与えていたのであろう


獅子猿が蟲憑きとなったのは、変若水が濃く溜まる獅子猿の水場の影響か、あるいは仙峯上人が実験台として使ったか(獅子猿の水場には巨大な仏像があり、仙峯寺の影響がうかがえる)

落ち谷とは、元は変若谷という字を書いたのかもしれない


幻廊

以前の考察で、変若の御子たちは水子(誕生することなく死んだ子)であり、ゆえに姿が見えず三途の川と同じような生死の狭間にある幻廊にいる、と述べた

 戦いの残滓・屏風の猿たち

  幻廊は、生死の狭間にある
  変若の御子たちの亡魂も、たゆたっており
  屏風の猿たちに宿り、動かした

  変若の御子が、友と呼ぶのもそれ故だ

確かに、赤白の風車を入手する場所はまるで「水子供養」の場そのものである


 赤白の風車
  くるくる回る、赤白い風車たち
  みなは、ここにいる

みな… みなは、変若の御子さまたち…」(小太郎)
  

これらの論拠から、変若の御子の作り方も考察したのだが、それは妊娠中の女性の羊水を変若水と入れ替えるというものであった。生まれる以前から「桜竜の水」(変若水)に満たされていれば、「竜の眷属」つまり「竜胤」として誕生する、と求道者たちは考えたのであろう、とそのときには述べた

正直、自分でも趣味が悪いなぁと感じ、今回の考察では別の方法を提示してみたものである

しかしながら、死んだ変若の御子を水子とすることで、幻廊の存在や姿が見えないことなどが説明できること、さらに宮崎氏がオマージュすることの多い『ベルセルク』においてキャスカが似たような状況(妊娠初期に魔を注入された)を経て異形の赤子を産んだこと、その赤子が特別な力を持っていたことなどから、葬るには惜しいかな、と思っている次第である

ただ、事実上記の方法がとられたとして、それがDLC(出るかわからないが)明かされるかというと、倫理的にいって無理だと思われる(ゲーム業界の規制は詳しくないが、漫画などよりも厳しい印象がある)

参考までに過去の考察を最後に載せてみる

変若の御子をまとめてみよう
・変若の御子は複数人いる
・一人を残して全員死んでしまった
・姿は見えない幻廊に亡魂となって存在している
・幻廊は生と死の狭間にある(「戦いの残滓・屏風の猿たち」)


端的に言って「変若の御子」とは「変若水の子ども」であり、さらにそれを略すと「水子」である。妊娠中に流産や中絶によって死んだ子どもたちのことである

姿が見えないのは生まれる前に死んでしまったために「生きた姿を得ていない」からであり、成仏せずに「幻廊」にとどまるのも、そこが「賽の河原」的な場所であるからである

さて変若の御子の具体的な作り方だが、おそらく妊娠中の女性の胎内の羊水を、変若水に入れ替えたのであろう

生まれる以前から「桜竜の水」に満たされていれば、「竜の眷属」つまり「竜胤」として誕生する、と考えたのであろう

人工的な竜胤の作り方とは以上のようなものであったと考える。ほとんどが死産だったと思われる


蛇足

また、話が横道に逸れてしまった

2 件のコメント:

  1. 奥の院の掛け軸に一人だけ焔のような輪を背負っている人物がいました。おそらく変若の御子(存命)かと思われます。

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    1. 掛け軸の頭光(光背)に関しては「考察35 月」でも触れてますが、
      火炎光背の人物を、ただ一人生存している変若の御子とするのは面白いと思います

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