その本地(簡単にいうと本性)は勝軍地蔵である
勝軍地蔵(しょうぐんじぞう)とは、要するに武装した地蔵菩薩のことである(勝軍地蔵 Wikipedia)
幡(軍旗)や剣などを持ち、甲冑姿であることは共通するが、踏割蓮華に立つ立像と、神馬にまたがる騎馬像とが存在する。(Wikipedia)
勝軍地蔵菩薩が仮の姿をとってこの世に現われた(権現)したのが、愛宕権現である(垂迹神はイザナミなのだが複雑になるのでここでは省く)
戦国時代には愛宕権現=勝軍地蔵(地蔵菩薩)と考えられ、軍神として武士から信仰を集めたとされる
天狗信仰や塞神信仰、さらにミシャグジ(地蔵菩薩 道祖神との関係 Wikipedia)とも繋がるとされる
愛宕修験では天狗信仰が盛んだったため、愛宕太郎坊天狗も祀った。(愛宕権現 天狗信仰 Wikipedia)
sekiroにおいては、軍神としての性格や修験道を含む天狗との関わり、さらに坂上田村麻呂とも関連することから、葦名城の掛け軸に採用されたと思われる
[一] 仏語。一説に、坂上田村麻呂が東征のとき、戦勝を祈って作ったことからおこったという地蔵菩薩。鎧、兜をつけ、右手に錫杖を、左手に如意宝珠をもち、軍馬にまたがっている。これを拝むと、戦いに勝ち、宿業・飢饉などをまぬがれるという。
※元亨釈書(1322)九「鎮曰、我法中有二勝軍地蔵、勝敵毗舎門一」
※仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)一「愛宕山あり、これは勝軍地蔵(セウグンヂゾウ)と申て、武家こと更に崇め奉る」
[二] 京都市左京区北白川の瓜生山にある地蔵菩薩。坂上田村麻呂が蝦夷征討のときに戦勝を祈願したと伝えられる。(精選版 日本国語大辞典)
ただし一般的な愛宕権現の絵とは異なり、Sekiroの愛宕権現は左手に錫杖を持っている
なぜ錫杖を持っているのか
錫杖は修験者が持つ道具として有名だが、地蔵菩薩の三昧耶形でもある。三昧耶形(さんまやぎょう)とは、それぞれの仏を表わす象徴物のことである
例えば倶利伽羅剣のみが描かれた仏画があったとする。その絵を三昧耶形から判断すると、それが不動明王を表わした絵であることがわかる、という具合である
つまり愛宕権現は勝軍地蔵(地蔵菩薩)であるのだから、地蔵菩薩の三昧耶形である錫杖を持っていてもおかしくはないのである(上記の精選版 日本国語大辞典でも持つとされている)
また愛宕権現は火防せの神でもあり、そのお札には武者侍りとそっくりな武者の絵が描かれている
参考画像 |
※火防という字面から、火防女(ひもりめ)と連想するが、関係あるかは分からない
さて地蔵菩薩といえば、まず仙峯寺にある地蔵群が思い浮かぶ。以前の考察で水子供養の風景ではないかと指摘したのだが、勝軍地蔵としての属性を考えるのならば、天狗信仰とも関わりがあるのかもしれない(小太郎イベントと関わることから)
また、隠し仏殿や荒れ寺の死なず半兵衛がいる付近に置かれた仏像であるが、これもまた地蔵菩薩坐像である
元ネタはおそらく運慶作と伝えられる地蔵菩薩坐像であろう
蛇足ながら菩薩谷に彫られた巨大な菩薩は白衣観音菩薩(Wikipedia)である
そのご利益は、子宝や安産といった子供に関するものであり、白衣観音が赤子を抱いているのも、そうした理由からであろう
Twitter:@Souls_Seed
ウィキペディア情報になりますが、坂上田村麻呂を主人公とする田村という名の修羅能があるそうです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E6%9D%91_(%E8%83%BD) この修羅能には巴というものもあるそうで女武者である巴御前が主人公だそうです。
返信削除巴という字にはとぐろを巻いた蛇の意や、水が渦巻く模様が火災除けに良いとされて瓦に用いられ、また、一つの巴の紋様は弓の鞆の形を図案化して作られたとあります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9E%86 蛇足になりますが、巴蛇(はだ)とは象をも飲み込むほどの大蛇(別名うわばみ)だそうです。
因みに上記の鞆のURLにある誉田別尊こと応神天皇が実在したとされる四世紀は百済から七支刀が渡ったとされる四世紀と符号します。七支刀を献上された倭王の記述は今のところ無いみたいですが応神天皇の母である神功皇后とする説がありますね。
見つけた情報を書き並べただけで纏っていない所はすみません。失礼しました。
とても参考になる情報ありがとうございます
削除修羅能については、確か過去の考察で触れた気がします
巴紋と蛇の関係については知りませんでした。源の宮と蛇と淤加美を繋ぐ重要な概念になりそうですね。宮の建築を指揮したのが蛇と関連の深い淤加美とすると時系列の隙間が埋まっていきそうです
神功皇后は朝鮮半島に出兵してますから、あるいは竜胤そのものもそこから運んできたのかもしれません。妊娠したまま渡海し、帰国した後に出産しているので、ある意味で「揺り籠」的な存在ではあります
仏像に関しては私もWikipediaだよりというか、検索するのも引用するのも楽でいいんですよね。ただ情報が100%正確かというとそうではないので、なるべく別ソースで確認するようにはしています