余裕が出てきたのでDLCを遊んでみた
現状
- 全てのボスを遺灰なし、NPC召喚なしでクリア
- アイテムはまだ集めきっていない
フィールド
DLCの舞台である影の地は、本編のレガシーダンジョンにあるような高低差のある入り組んだエリア構造と、オープンなフィールドの自由度を足して二で割ったようなフィールドとなっている
プレイ中はダークソウル1のロードランの規模を拡大したような印象を強く受けた
足して二で割ったことによるポジティブな面としては、まずフィールド探索の魅力が増したことが挙げられる
レガシーダンジョンや過去作にあったような、「ここがこう繋がっているのか」、という感覚は本編ではあまり得られなかったもので、フィールドのアスレチック的な密度が増したことで、オープンなフィールドの探索の楽しさが増していた
またフィールドの密度が増したことがレガシーダンジョンとの統一感を増すことにも繋がっている
本編ではレガシーダンジョンとオープンなフィールドのメリハリ感が強く企図されていた一方、一つの世界としての統一感がやや希薄な印象があった
かたや影の地は、オープンなフィールドとレガシーダンジョンの融合が進んでおり、フィールドからレガシーダンジョンや小規模ダンジョンへの遷移が心理的にスムーズに行われやすい
※例えばロードランで深い森を進んでいくと湖に行き当たるような、環境的必然性がDLCにはある
グラフィックについては本編と同様に素晴らしいの一言で、そのファンタジックで壮大な絵作りは、個人的にはファンタジー映画の大作(たとえばロード・オブ・ザ・リング)に勝っている部分さえあると考える
ネガティブな面としては、フィールドの探索が難しくなった一方で探索によるリターンが本編と変わらず少なすぎる点が挙げられる
探索の最も大きなリターンとして想定されているのが、ダンジョンやフィールドボス、また各種アイテムになると考えられる
だがフィールドボスは焼炉ゴーレムを筆頭に楽しさよりも面倒くささが先立つし、隅々までくまなく探したとしても、さほど重要なアイテムが置かれているわけではない
ダンジョンにしてももっと距離が近ければいいのに、と感じながらトレントを走らせることが多かった(初見、攻略情報なしでもこう感じた)
また複雑そうに見えて実は一本道であるエリアもあり(ギザ山)、そうしたエリアをトレントで延々と走らされると、かなり退屈である
その最たるものは奈落の森だろう。ここではトレントに乗れず、ただひたすら広漠としたエリアを走り続けることになる(アイテムもほとんど置かれていない)
奈落の森はステルスホラー的なエリアだが、開けすぎているがゆえに恐怖感は薄れ、ぽつんぽつんといる触れ得ざる翁の存在も、その倒し方がわからない頃は恐ろしいというより理不尽にしか感じられない
筆者が思うに青海岸やカロの隠し墓地、ラウフの古遺跡、ギザ山、奈落の森にはそれぞれテーマがあり、各エリアの演出(操作感も含めて)はそれを受けてのものだろうと思われる
例えばギザ山は暴竜ベールを頂点として特撮怪獣映画的なスペクタクル演出を企図したエリアであろう
その点でベールとの戦闘を含めて好きなエリアであるのだが、そうしたテーマをオープンなフィールドに落とし込む段階で、プレイヤーがトレントをただ走らせるだけになってしまったのがやや残念である
奈落の森に関しては、森を狭くしてもいいからミドラーの館をレガシーダンジョン並にしてほしかった。狂気の賢者の隠棲する館(劫罰されてるが)にしては、こぢんまりしすぎている
また各地に配置されているフィールドボス「焼炉のゴーレム」は、最初の個体以外は倒す意味を見出せなかった
近場に大焼炉壺を投擲できるような投石器でも用意されていたらギミックボスとして受け入れることもできたかもしれない
フィールドの総評としては、本編のフィールドの欠点(空虚気味)を修正しようとしている点は評価できるし、それは実際にそれなりの程度は成功している
ただし次作でもオープンなフィールドを採用して欲しいかと問われるならば、答えはノーである
とはいえ影の地で提示されたように、レガシーダンジョンとオープンなフィールドの境界を希薄化していく方向ならば歓迎したい(その行き着く先は超巨大規模のロードランになるような気もするが)
敵・戦闘
DLCは影の地の加護の多寡により難易度がかなり変わる。積極的に集めていけば本編より難しいということはない
また弾く硬雫はゲーム性を大幅に変化させるほどの効果があり、最初の焼炉のゴーレムがドロップすることからも、影の地ではこれを使え、と暗に言われている気がする
これらの新要素により、影の地の戦闘では慣れないうちは回避するよりガード(ガードカウンター)したほうが有利に戦える場合が多い印象を受けた
手強い敵としては呪剣士や神獣(神鳥)の戦士、責問官、巨大な大口インプ、鍛冶ゴーレムなどが挙げられる(血鬼は怯みやすいので弱い)
神獣(神鳥)の戦士については、ほぼ全数を遠距離から輝石のクリスで処理したので真っ当な倒し方はわからない
呪剣士は無視できるものも多く、戦闘になっても巨人狩りや泥濘の大鉈の戦技でごり押したので、あまりよく覚えていない
スピラを連唱してくる責問官はちょっと厄介だったがマップギミック的なものなので駆け抜けてやり過ごした
巨大な大口インプは結晶投げ矢で混乱するので強敵というほどでもない
鍛冶ゴーレムは背中に埋め込まれた結晶が弱点なのだが、うまく殴れなかったのでアステールの薄羽の戦技で雑に倒し(戦技が上手いこと背中にヒットする)、二体の時には結晶ダガーで相討ちさせてから倒した
総評としては、DLCらしく嫌な戦いを強いてくる敵が多く、戦ってて楽しいという印象の敵は少なかったように思う
ただしこれは、ほぼ全ての敵を遠距離から輝石のクリスの戦技で処理していった筆者の側に問題があると思われる
ボス戦
全体的に中途半端な距離を取ると苦戦しやすかった。特にロミナやミドラーはこの傾向が顕著で、近づくとあっさり倒すことができた(逆に言えば中途半端な距離で戦おうとすると手強い)
回避重視なら羽の結晶雫で軽ロリ、ガード重視なら弾く硬雫やガードカウンター強化のタリスマン等で大体のボスは倒すことができた
各ボス評
神獣獅子舞
実は戦う必要の無いボスなのだが、ほとんどの人は最初に戦うことになると思われる。そのため影の地の加護が少ない状況で戦うことになり、実際よりも苦戦することが多いように思う
動きが素早く、壁際に追い込まれるとカメラのデーモンも現われて瞬殺される。ごちゃごちゃやっている内に倒せてしまったので動きはあまり覚えていない
BGMが素晴らしい
双月の騎士、レラーナ
グレソ巨人狩りでゴリゴリしてたら死んでいた。第二段階に入るのが遅く、その際のモーションものろのろしているので、攻撃を好き放題に叩き込める。苦戦した記憶がない(中ボスかと思った)
レラーナの双月をジャンプして避けるということさえ気づく前に終わった
影樹の化身
戦技「火の槍」(クウィラインの大剣に付けたが火の騎士大剣でもよさそう)が特効。ブーストすれば火の槍二回で1ターン終わる。計3ターン戦うことになるが、モチベーションを保つのが大変
演出ということは分かるが、二回も復活されると流石にダレる。二回復活する設定的な理由もよくわからない
頭部が弱点で突進や回転薙ぎ払いなど、戦闘プログラムはドラゴン系の流用なのかなとも思う
※DS3のミディールで完成したドラゴン戦がなぜこうも劣化しているのか
串刺し公、メスメル
DLCで最も戦ってて楽しかったボス。攻撃が激しくディレイもあるが避けやすく、体幹も崩しやすく、堅すぎない
最初は投げを回避することがなかなかできず、そのたびに死んでいた(影の地の加護が少なくほぼ一撃死だった)
慣れてくると独特のリズムがあり楽しくなってくる。マレニアから理不尽さを無くしたような印象
宿将ガイウス
回避スタイル(羽の結晶雫で軽ロリ)だったので冒頭の突進は回避しやすく理不尽さは感じなかった(バージョンアップで避けやすくなったらしいが)
グレソ巨人狩りでゴリゴリしたので相手の動きをあまり覚えていない
蕾の聖女、ロミナ
中距離・回避スタイルを選択したため、DLCのボスの中ではかなり苦戦。ムカデとサソリの尻尾、ロミナの鎌になかなか対応できず
スタイルを変更し、大盾を持って接近したらわりとあっさり倒せた
暴竜ベール
演出を含めボス戦としてはDLCで最も素晴らしい。それはそれとして竜系なのでアステールの薄羽の戦技で雑に倒す
DS3のミディールのように頭の前に陣取って竜狩りの大刀で戦ったら楽しいだろうなと思いつつ果たせていない
泥濘の騎士
DLCのダンジョン攻略用に用意していた冒涜の聖剣の戦技で雑に倒す。
指の母、メーテール
大型なのでアステールの薄羽で雑に処理。
狂い火の王、ミドラー
奈落の森への降り方が分からずラダーン撃破後に倒した(初回は攻略情報を見なかった)
言われるほど弱くない。というか画面がピカピカ光って攻撃が見えにくいのがつらい。結局大盾と大槍をもって接近して氷槍を撃ちながら倒した
ミケラとラダーン
盾なしグレソ、ガードカウンター主体で倒す。前半はとにかくとして、後半は強いとか強くないとか、戦ってて楽しいとか楽しくないとか以前に、視界を妨害されて見えない
こういう方向で難易度を上げてくるのかと意外に思ったし、残念なような気もする
次作もこの方向性を残すのなら、モンハンのようにキャラクターの行動阻害がメインになってくるのかなと思う(竜が足踏みするたびに地面が揺れてキャラクターが数秒止まるとか、発光によりキャラクターがめまいを起こして操作不能とか)
ボス総評
デモンズソウルからダークソウル3までのボス戦はボスと対話をしている感があった
エルデンリングではなぜかその感じが失われ、互いに強攻撃をぶっ放す戦闘に変化していた。ボスもプレイヤーも相手のことを見ず、とにかく強い戦技や攻撃を押し付け合うという戦いになったのである
このことにずっと違和感を覚えていたが、それで勝てるなら良いやとも思っていた
DLCでは、過去作にあったような対話感が少し戻ってきているように思う
相手の攻撃を見極めて最適な対処法を選択し、それを相手に返す。その繰り返しが独特のリズムを生みだし、奇妙な対話感に繋がる(メスメルに顕著)
DLCでガードやガードカウンターが強化されたのも、対話感を重視しようという現われなのではないかと思う
コミュニケーションを拒否して強攻撃をぶっ放すだけでは相手に勝てない。だからこそ相手に向き直る必要が出てくる
※正確にはワンパンも可能だが一般プレイヤー層レベルの話
上でDLCのボスを雑に倒したと何度か書いたが、本編でボスを雑に倒した時とは本質的に異なる感覚があった
ミケラダーンにしても後半戦はミケラの金髪のせいでラダーンの攻撃が見えなくなる。だがよく注意して見れば金色の光はほとんどこけおどしであり、その奥に攻撃の主体たるラダーンの剣が見えてくる
そうなったとき初めてプレイヤーは相手に対して適した反応を返すことができるようになるのであろう(筆者はまだ後半戦の動きを覚えていない)
影の地はマリカが神になった地であり、彼女の故郷でもある。同様にゲームとしてもエルデンリングの故郷すなわち過去作に立ち返ったのかもしれない
総評
ゲームとしての総評になるが、DLCは本編に比べてよりコンパクトにシンプルになったように思う
結果的にそれはDLCをエルデンリング以前のよりコンパクトでありシンプルでもあった過去の作品に近づかせた
影の地はロードランを彷彿させ、ボス戦にはエルデンリング以前の対話感が戻ってきたのである
このことを進化と捉えるか退化と捉えるかの判断は分かれるところであろう
ただし作品自体の評価として、より多くの人が高評価を下すのはDLCではなく本編の方であろう
なぜならばDLCのそれはとにかく強戦技をぶっ放せば勝てるものではなく、ある程度相手の攻撃を見極めなければならないからである
戦闘の高度化は一長一短である
ボスを倒すことが可能か不可能かという評価軸ではなく、プレイヤーがそれを楽しいか楽しくないかという評価軸で見るのならば、ボスの攻撃に適切に対処できるまで死に続けるというのは、それなりのストレスであるからである
DLCのラスボスは倒そうと思えばおそらくほとんどの人が倒せる。倒せないから低評価、倒せたから高評価という低次元の話ではない
それを楽しいと思う人と楽しくないと思う人がいて、本編とDLCを比べた場合、楽しいと思う人が多いのは本編の方であろうということである
筆者にしてもラダーン後半戦のような戦いが続くのであれば、どこまで「楽しい」と思っていられるか自信がない
ラダーン
ラダーンをDLCのラスボスとして採用したこと自体、筆者は全面的に賛同できるものではない
というのもラダーンはすでに本編で戦っているからである。ミケラダーン戦を嫌な方向に極論して一言で表わすとすれば、「使い回しと再戦」である
一度戦って勝った敵とDLCの最後に再び戦えというのは気持ちが盛り上がらないし、実際に戦っていてもラダーンのパチモンと戦っているようにしか感じられなかった
DLCのラスボスにラダーンを選択した時点で、評価マイナスからのスタートになる。このことは開発者も分かっていると思うのだが、ラダーンを選択した判断がよくわからない
たとえ100点のボスだったとしても、スタート地点がマイナス50点であるのなら、50点にしかならないのである
いわんや評価マイナスを吹き飛ばすほどのボスであったのなら、筆者の感想も変わっていたかもしれない
だがボスとしてのミケラダーンがマイナス評価を覆せたとは思えない
より率直な言い方をすれば、ダークソウル1以降のDLCのラスボスでがっかりしたのはこれが初めてである
BGM
DLCの要素は賛否わかれるものが多いが、筆者的に唯一手放しで賞賛できるものがボス戦のBGMである
特に神獣獅子舞と暴竜ベール戦におけるBGMは神がかっていると感じている
実のところ本編のBGMはラダゴン戦(PVで散々使われた)以外、ほとんど耳に残らなかった
DLCの神獣獅子舞と暴竜ベールはテーマがはっきり(前者がアジア的、後者は特撮怪獣的)しているためか、ケレンミ溢れる印象的な音楽に仕上がっていると思う
思うに今のフロムソフトウェアは神話的な荘厳かつ神秘的なBGMよりも、エンタメ映画的な路線の方に力を入れているのかもしれない
過去の考察で、DLCには次作への伏線が仕込まれていると述べたことがある。その考察が正しいのであれば、本DLCにおいて伏線に値するのはまずは音楽ではないかと思う
加えて奈落の森のステルスホラーやクトゥルフ感を鑑みれば、次作は中国もしくはアジアが舞台の、ホラー系クトゥルフ怪獣モノという妄想となる
良かった点
- ロードラン的なフィールド(高低差、統一感)
- 対話感のあるボス戦
- BGM
悪かった点
- フィールド探索の低リターン(本編から続く)
- ボス戦の難易度の上げ方(見えない)
- ラスボスの選択(使い回しと再戦)
特に意味は無いがミケラダーン戦の動画。後半はよく分からないまま勝った
北村氏の音楽に魅了されSKIRO、ダークソウル3,2をプレイしてきたが、エルデンリング本編への違和感はボス戦における対話感というのもあったのかと改めて考えさせらた。DLCも彼女の楽曲がいくつがあるようだがまだ遊べていないし彼女がいなくなったフロムゲーを遊ぶ興味がかなり削がれてしまった。
返信削除ラスボスがラダーンは本当に拍子抜けでしたね。ラダーンである意味が薄いというか。後エンディングの追加は欲しかったですね。また今回のDLCの世界観は本編に対する補足的な位置づけに感じ、そういう意味では過去作のDLCのほうが燃える展開が多かったと思います。
返信削除ELDEN RINGは世界観を壮大にしようとし過ぎてまとまりがなくなっているとプレイして感じました。
返信削除自分としてはSEKIROぐらいのスケールが丁度良かったので次回作にはそれぐらいの規模の話を期待したいです。
今回はカットコンテンツをほとんど残してないと聞いて
返信削除つまんねえって思ったわ