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2019年10月19日土曜日

Sekiro 考察の整理

※更新部分は青字になっている

考察が増えてきて過去の記事を把握するのが困難になってきたのと、これまでの考察を整理しようという意図のもと、各テーマごとに考察をまとめた

なおテーマごとに考察をまとめているので、重複する考察もあるかと思う

整理整頓するだけだと何なので、まずSEKIRO自体の構造から簡潔に説明したいと思う



モチーフ

SEKIROのモチーフとして最も大きなくくりは「日本」である

SEKIROをプレイして日本が舞台であることを否定する人はいないであろう(厳密にいえば「日の本」という日本とは別の世界と言うことも出来るが、モチーフとしては日本である)

さて、この日本というモチーフをさらに細断していくと、「戦国時代」と「平安時代」という小さなモチーフが得られる

戦国時代というのは、公式サイトの「STORY」において、「時は戦国。」と説明されることから公式情報であるといえる

次の「平安期モチーフ」に関して言えば、源の宮の建築様式や文化様式などを観察することで、初歩的な日本史の知識があればなんとなく分かるかと思う

(ダイレクトに平安期と断定できずとも、戦国時代よりも古い時代の様式であることはうなずけるかと思う)

つまりSEKIROには最も大きなモチーフとして日本があり、その中に小モチーフとして戦国時代と平安時代が並存しているのである

これを図にしたのが以下である
SEKIROの構造
SEKIRO内では日本という大きな舞台のうちに、二つの時代(平安、戦国)があり、それは垂直方向に並存している(言葉的に矛盾しているが、空間的に垂直、時間的に並存という意味である)


二つの時代

ふつう、一つの作品の中に二つの時代を登場させようとすると、それぞれ「過去」と「現在」というふうに二つの時間軸を設定することが多い(タイムスリップものや、歴史物など)

しかしながら、SEKIROではこの二つの時代が並存している(あるいは近い時期まで並存していた)。この共時的な世界観は、世界を差異の体系としてとらえる神話的思考、あるいは音韻論的な影響がうかがえるものである

つまりSEKIROの構造の背景に存在するのは、世界を無数の差異が織りなす体系として見る構造主義的な思想である

この思想が「世界設定をシステムに落とし込む」フロムソフトウェアの手法と極めて相性がいいことは、SEKIROを含めるフロム作品をプレイすればわかることであろう

※設定とはつまり「差異」である。世界が差異から成り立っているのだとしたら、設定はたんなる差異の一つとして世界に簡単に組み込まれる

※たとえば「人間性」という差異は、「人間性の有無」→人/亡者として世界に組み込まれる

さて、ではこの二つの時代がどのように機能しているのか、というのを書いたのが「雑文 世界構造」である

簡単にまとめると、神の世界としての源の宮人の世界としての葦名があり、この二つは過去作における神の世界(アノール・ロンドなど)と、人の世界(ロードランなど)という「差異」に等しいのである(差異の消失が世界の終末であることを確か宮崎社長がどこかで口にしていた)


他にも「考察31 ストーリー」では、過去作のダークソウルやブラッドボーンSEKIRO世界構造を比べている

※神と人の世界とを、山と里という構図に見立てると民俗学的に言う祖霊崇拝の構図と重なる。また、その中間的拠点として修験道なり山岳信仰なりがあると考えると、その位置には仙峯寺が置かれると思われる


源の宮

神の世界である源の宮に貫かれているのは、平安文化とその精神文化である

例えばそれは、源の宮の各所で確認される平安期の建築様式や文化神道や陰陽道の痕跡、五行思想などである

これらに触れたのが
「考察19 白木の翁」
「考察44 陰陽五行思想」
「考察45 霊符」
「考察47 神紋・寺紋・家紋」である

源の宮に見られる四季について考察したのが「補足2」である
また道教の観点から考察したのが「考察54 道教」となる


葦名

一方、人の世界である葦名に貫かれているのは、戦国文化や仏教文化である

これらを解説したのが、
「考察34 仙峯寺」
「考察37 仏師」
「考察38 愛宕権現」
「考察40 竜 vs 蟲」
「考察46 注連縄」
「考察47 神紋・寺紋・家紋」
「考察48 エマの秘密」である

次いで、ゲーム内に見られる「有死之榮 無生之辱」について解説したのが「補足3」である
また落ち谷衆の外見からその正体を考察したのが「補足4」となる


竜胤の御子

以上のような神の世界と人の世界とを繋げるのが、「竜胤の御子」である

この竜胤の御子について、神道や民俗学から解説したものが「考察42 竜の故郷」である



人物

次にSEKIROに登場するキャラクターについて簡単にまとめてみたい


隻狼

主人公である隻狼(狼)に関する考察は初期にモチーフを探ったぐらいで、確定的なものはまだ書いていない

モチーフの一つは「藤原秀郷」ではないかと考察したのが、「考察4 隻狼」である


九郎

竜胤の御子である九郎の考察は、竜胤の御子に関する考察ならびに葦名一心の考察で触れている

「考察17 竜胤の御子」
「考察42 竜の故郷」
「考察51 人返り」
「考察53 〈竜殺し〉葦名一心」


九郎の出生の謎や竜胤の御子とはそもそも何であるのか。各考察でブレがある。どれも私の中では確定的なものではない

ただし、葦名一心や丈とのからみを考慮すると、考察53のストーリーに行き着くのかなと思う

また『竹取物語』との関係を考察したのが「考察35 月」である

一方、家紋から九郎の素性を考察したのが「補足1」である

エマ

エマのゲーム内ストーリーにおける考察や、そのモチーフ、背後にある仏教的思想などについて考察したのが以下である

「考察33 エマ」
「考察38 愛宕権現」
「考察48 エマの秘密」


エマは役割は理解できるが、その本性は不明、という火防女のような立場のキャラクターである。その背後にある設定などについて考察したのが「エマの秘密」である

葦名を仏教的世界と見るのならば、エマという不可思議霊妙な女性にもまた仏教的背景があるのだろう、というのが考察の発端だった気がする


仏師

隻狼の予型(原型)的なキャラクターの仏師。それだけでなく、修羅や怨嗟として、隻狼の行く末をも暗示するキャラクターである

仏師の怨嗟の炎ならびに、炎から繋がる不死斬り等の関連性を考察したのが以下である

「考察37 仏師」

仙峯寺にある左腕のない不動明王像。その握っていたはずの剣がどこに行ったのか。何だったのか。というのが考察の発端である


葦名一心

様々なことに関わりつつ、しかし核心部は秘されてきた葦名一心の考察は確か一つしか書いてない

「考察53 〈竜殺し〉葦名一心」

このほか、黒の不死斬りとの関係を見いだそうとした「考察37 仏師」、オープニングに登場する一心が握っている刀を考察した「考察36 OPに登場する刀」などがある


葦名弦一郎

葦名を守ろうとした希代の名将。SEKIROの真の主人公であり、アートワークスの初期原稿を見れば、その凄さが分かる完全無欠の英雄

というのは半分冗談で、「母に先立たれた」ことから来るマザコン的な人格と、母を象徴する葦名への執着という、やや辛辣な考察をしたのが「考察52 葦名弦一郎」である


丈と巴

この二人に関しては、何から何までわけが分からないので、何度も考察しなおした記憶がある

「考察24 巴の手記」は、テキストの欠落を推測で補ったものであるが、そのことにより、二人の置かれていた状況が思ったよりも複雑であることがわかった

丈単体としては、そのモチーフから考察した「考察5 丈」がある

生贄としての丈の役割を論じた「考察13 不死斬り」

常桜の枝が折られたことから、丈の左腕もそうだったのかもしれない的な考察をした「考察16 左腕」

竜胤の御子としての丈を考察した「考察17 竜胤の御子」

丈の咳の謎を考察した「考察30 丈の咳」

「考察41 丈と巴」は、枝を折るというモチーフから、その神話的意味、梟の役割などをフレイザーの『金枝篇』をもとに語ったものである


謀(はかりごと)よ」の一言ですべて済ますことのできる梟。しかしながら、その行動原理や、目的はやはり謎が多い

平田屋敷襲撃における梟の目的や、その野望などについて状況から考察したのが、「考察15 梟」である

その平田屋敷の仕組みについて考察したのが「考察43 平田屋敷」である

常桜の枝を折った理由を考察した「考察41 丈と巴」

葦名一心の腹心としてなぜ常桜の枝を折らねばならなかったかについて触れたのが「考察53 〈竜殺し〉葦名一心」である


お蝶

上記の「考察15 梟」でやや違和感のあったお蝶を単独で考察したのが「考察57 まぼろしお蝶」である

穴山又兵衛

パッチ枠と思われる穴山又兵衛に関する考察が「考察49 穴山又兵衛」である

SEKIROにおいて、パッチが果たした役割、その正体とは何だったのか。


巫女

謎の最たる者である巫女

唐突に登場し何者であるかも分からない巫女について考察したのが「考察2 巫女」である

竜胤が揺り籠に入らなければ移動できないのであれば、故郷から放たれた時にも揺り籠が必要だったのではないかという疑問からの考察である

仙郷の歴史を語ると共に、そこにいた巫女の役割などを考察したのが「考察9 仙郷」である

左眼付近に見える白いアザのようなものを検証したのが「考察32 巫女の左眼」である

巫女を神道、民俗学的な意味合いと捉えたのが「考察42 竜の故郷」



正確には人物ではないがSEKIROの物語に深く関わり、しかし意味不明な存在の考察

最終的にはコミカライズにておおむねの正体は明かされた「蟲の起源」

神食みの「小さき神々」から生まれるのではないかと考察したのが「考察8 蟲憑き」「考察10 蟲」である

「考察40 竜 vs 蟲」は、桜竜と蟲との人間界における闘争を神道と仏教の代理戦争とみたものである


桜竜

様々な領域に関連してるので、それぞれの考察に吸収されてしまうのか、単体としての考察は少ない

桜竜黒幕説を説いたのが「考察18 桜竜」である

傷ついた右目を検証したのが「考察21 桜竜の右眼」
右目の傷はなにげに一心と同じなのだなぁと(一心の傷は左でした)

一心とのキャラクター上の類似から、一心と桜竜とを「中空」を埋める存在として考察したのが「考察53 〈竜殺し〉葦名一心」である

竜の故郷を探ったものに、「考察42 竜の故郷」、
道教の観点から竜の故郷を考えたものに「考察54 道教」がある


白木の翁

役割や象徴的な意味から、「能楽」との関連を考察したのが「考察19 白木の翁」である



場所

SEKIROには奇妙な土地やエリアが存在する


仙峯寺

仙峯寺について仏教的知識から考察したのが「考察34 仙峯寺」である

穴山又兵衛内府との関連を探ったのが「考察49 穴山又兵衛」である


水生村

得体の知れぬ水生村については、「考察3 水生村のナメクジ魚」「考察11 水生村(クトゥルフ篇)」や、「考察39 水生村」「考察40 竜 vs 蟲」で考察している


仙郷

源の宮については、不死斬りと竜胤の御子という存在から推測される「開門の儀」を考察した「考察17 竜胤の御子」

仙郷の歴史を古代から考察したのが「考察9 仙郷」

仙郷の範囲を考察した「考察25 仙郷の範囲」

「考察44 陰陽五行思想」
「考察45 霊符」
「考察46 注連縄」
「考察47 神紋・寺紋・家紋」

では、神道や陰陽道の痕跡を辿っている

これらを含めた道教の観点から考察したものが「考察54 道教」である


平田屋敷

「拝む」ことでワープすることができるという奇妙な時空の考察をしたのが「考察43 平田屋敷」である
ほぼ同じ内容だが動画用に平田屋敷を考察したのが「補足4」となる


エンディング

四種のエンディングについて包括的にまとめたのに「考察51 人返り」「考察23 エンディング」がある


その他

映画『君の名は』とSEKIROを大真面目に繋げたものが「考察50 君の名はSEKIRO」である

竹取物語』との構造的一致を考察したのが「考察35 月」

能楽との関わりを考察したのが「考察27 能」や「考察19 白木の翁」である

「考察6 「花と石」と「血と涙」」は、常桜の花と桜竜の涙を「花と石」ととらえ、日本神話から考察したものである。「花と石の構図」は後の「考察51 人返り」などでも触れている


「考察20 まつろわぬ葦名衆」は、葦名衆のモチーフとしての「まつろわぬ民」を考察したものである



蛇足

整理してみると主人公である隻狼の考察が少ないことに気づく。モチーフは探ったものの、SEKIRO内における隻狼の考察をするのを忘れていたようだ
何か思いついたら隻狼の生い立ち含めて書いてみようと思う

3 件のコメント:

  1. モチーフになった平安時代と戦国時代の二つの成り立ちなどが分かりやすく、神と人の世界という別け方は、山岳信仰にも見えて面白いと思いました。
    あと細かい事ですが、一心が負傷しているのは左目だと思います。
    コミカライズの敵将・田村討ち取りのシーンですぐに確認出来ます。

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    1. ご指摘ありがとうございます。確認せずに書いてしまいました。ちょっと記憶が薄れてきているのかもしれません。以後気をつけます

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  2. いつも大変面白い考察ありがとうございます。SEKIROに魅せられてしまい、初めてゲームの世界観などに深く関心を抱いた際に、このページを見つけました。
    とても浅い質問で申し訳ないのですが、破壊僧でもあったようにたまにモブの敵で幻影の姿で見られることがあるのですが、あれはどのような意味を含んでいるんでしょうか。
    いったいなぜ幻影の敵と戦っているのか、その理由がわからないままプレイしていたため、なにか考えがありましたらぜひお伺いしたいです。

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