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2019年10月17日木曜日

Bloodborne 手記2 旧市街

旧市街の存在をプレイヤーが初めて知るのは、ヤーナム市街の屋敷にある「手記」や「火炎瓶」、「白い丸薬」であろう

手記
獣狩りの夜、聖堂街への大橋は封鎖された
医療教会は俺たちを見捨てるつもりだ
あの月の夜、旧市街を焼き棄てたように
火炎瓶
投げつけると激しく炎上する火炎瓶
古くから工房にある狩道具の1つ 
かつての旧市街の悲劇でそうであったように 
病の浄化の偏見もあり、獣狩りに炎はつきものである
だからだろうか、ある種の獣は病的に炎を恐れるという
白い丸薬
毒を治療する小さな丸薬
かつて旧市街を蝕んだ奇怪な病、灰血病の治療薬 
もっとも、その効果はごく一時的なものにすぎず
灰血病は、後の悲劇、獣の病蔓延の引き金になってしまった

これらのテキストからは以下の情報が読み取れる

・あの月の夜に、医療教会は旧市街を焼き棄てた
・獣狩りに炎はつきものであり、ある種の獣は病的に炎を恐れる
・かつて灰血病が広まり、それはやがて獣の病蔓延の引き金となった

まず「月の夜」であるが、これは「獣狩りの夜」を意味すると考えられる

というのも、「あの」と特定の夜のことを指していること、また旧市街の手記に焼き棄てる直前に赤い月が接近していたことが記されているからである


赤い月とはもちろん、獣狩りの夜に見える月のことである



ただし最終的に街は焼き棄てられたものの、それ以前から炎による街の浄化は行われていた


獣の病のひどい蔓延と街を焼く浄化の時代とあることから、ある一定の期間、浄化作戦が行われていたことがわかる

さて、赤い月が接近しているからには「儀式」が行われている可能性が高い


儀式が行われているからこそ、「獣の病」が蔓延しているのであろう


とはいえ、旧市街の際に儀式が行われていたという情報はなさそうである

しかし、儀式は上位者の赤子と共にあり、そうした特別な赤子は上位者を呼び寄せ、それが赤い月の接近の原因となる


つまり、上位者の赤子が存在するだけで、赤い月は接近してくるのである(必ずしもメンシスの儀式が必要なわけではない)

実際、旧市街の焼き棄て事件の時に、儀式が行われていたかどうかは不明である。しかしおそらく上位者の赤子はいたのだろうと思われる

確かに言えるのは「灰血病が獣の病蔓延の引き金となった」ということだけである

引き金原因は別のものとして考えるべきだと思われる


灰血病

では灰血病とは何か

困ったことに「灰血病」の名は白い丸薬のテキストの他は登場しない

それもそのはずGigagineのインタビューでは、血の色を調整していた時の流れで「灰血病」という名前が生まれたと言われている。世界観から抽出したものではなく、製作上の偶然により生まれたものなのである

灰血病は英語版では「Ashen Blood」と訳される。Ashenとは「灰のような」や「灰色」、「青白い」といった意味があり、上記のインタビューを裏付ける命名である

しかしながら設定好きな宮崎氏が、名前だけを生んで世界観に組み込まなかったとは考えにくい

また灰血病の名前はつけられていないが、「獣の病を蔓延させることになった奇病」と類似した現象は他にも確認できる

それがローランの奇病である


病めるローランの各所には、僅かに、ある種の医療の痕跡があるという。それは獣の病に対するものか、あるいは呼び水だったのか

この呼び水という言葉は「引き金」とほぼ同じ意味である

しかもこの病気の後、ローランは獣の病蔓延により滅びている


正確には「ある種の治療が呼び水となり、その後に獣の病により滅びている」となる

しかし治療が必要だったと言うことは、それに対応する病気も存在していたということであり、この構図は、灰血病に対する白い丸薬という旧市街の構図と完全に重なるものである

つまりローランの悲劇旧市街の辿った経過とほぼ同一なのである

またローランの聖杯ダンジョンには、旧市街にいる「灰血の獣患者」が出現する
そして、ローラン系のボスはそのすべてが「獣系」である


以上のことから、灰血病の発生→その治療→獣の病蔓延という共通の流れが見えてくる


あの月の夜

では、この「灰血病の発生→その治療→獣の病蔓延」という旧市街、ローランに共通の流れは偶然だったのか?

少し話は変わるが、海外ではブラッドボーンの世界観を基にしたアメコミ風コミックスが販売されている。そのうちの一冊『Bloodborne: The Healing Thirst』では、灰血病(Ashen Blood)の発生の謎が描かれている

もちろんこのコミックスを公式なものと見なすことには慎重にならなければならない

だが、フロムソフトウェアが完全にノータッチであるとは思えないし、その内容にうなずける部分もある

さて、『Bloodborne: The Healing Thirst』において、灰血病発生の契機となったのは、医療教会である

医療教会の聖職者たちが旧市街の水道に「怪しげな粉末」を投入し、それが灰血病を引き起こしたのだという

このコミックスに描かれた灰血病発生への医療教会の関与は、荒唐無稽なものなのか?

そうともいえない。というのも、それに至る医療教会の行動原理は「教会の白装束」に確認できるからだ

「彼らにとって医療とは、治療の業ではなく、探求の手段なのだ 病に触れることでしか、開けない知見があるものだ」

ここに記されているのは、医療教会の最終的な目的が治療ではなく知見を開くことであるという価値観だ。そして知見を探求するためには、病に触れる必要があるということである

これが灰血病を引き起こした医療教会の動機である

剣の狩人証」によれば、医療教会の聖職者は狩人でもある

そして神の墓(聖杯ダンジョン)を暴き聖体を拝領することは、その血を狩人の糧とすることである(「トゥメルの聖杯」)

彼らは日常的にヤーナムの地下にある遺跡を探索していたのである
そのうちのひとつに、「ローランの聖杯」があったと考えてもおかしくはない

上述したようにローランの聖杯は、旧市街と同じような経過を辿って滅亡した文明である

狩人たちはそこで「獣の病蔓延の呼び水」となった「治療の痕跡」を見つけ、そして灰血病そのものも発見したのである

コミックスに描かれた「謎の粉末」がそれであろう


旧市街

当然ながら、医療教会はローランで発見された「痕跡」を保存するだけでは飽き足らなかった

彼らの目的は探求であり、知見を得ることである

そして、知見を得るためには「病に触れる」必要があったのだ

こうした医療教会の行動原理から導きだされるのが、医療教会による灰血病の散布、ならびに自作自演の治療とその失敗、その結果としての獣の病蔓延と、最終的な旧市街焼尽である

治療の失敗と書いたが、医療教会側にとっては治療の失敗も織り込み済みだったと思われる。というのも治療はあくまで探求のための手段にすぎず、知見を得ることが真の目的だからである

病めるローランの聖杯には次のように記されている
「病めるこの地は、あるいはヤーナムの行く末なのだろうか」

まさしく、ローランの悲劇は旧市街(英語名: Old Yharnam)において繰り返されたのである


蛇足

ローランの聖杯は、悪夢の辺境のアメンドーズがドロップする

悪夢の辺境エリアは教室棟とつながっていることから、「ローラン」を探索したのは、医療教会ではなくそれ以前のビルゲンワース時代の狩人であった可能性もある

ローランの聖杯のドキュメンタリータッチあふれるテキストから推測するに、ローランの探索はかなり進んでいたのではないかと思われる

ローランが獣の病と関係が深いこと、血の発見と同時に獣も見いだされた(カレル文字「獣」)ことなどから、ローランが探索されたのは狩人の初期の頃だったのではないだろうか


※予定では動画の撮影が終わるまで過去キャラクターを動かすつもりはなかったのだが、メモ画像を回収するためにやむを得ずロードすることに。
※動画の撮影時はほとんどマップを忘れていて探索が楽しかったのだが…



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