2020年8月6日木曜日

Bloodborne 考察39 ゴースの遺子

上位者

トロフィーから判断するに、ゴースの遺子は上位者である

トロフィー ゴースの遺子
上位者「ゴースの遺子」を倒した証

また母であるゴースも上位者である

ゴースの寄生虫
海岸に打ち棄てられた上位者ゴースの遺体
その中に大量に巣食う、ごく小さな寄生虫
人に宿るものではない

つまりゴースとゴースの遺子は母子揃って上位者ということになる


赤子

これは、「すべての上位者は赤子を失い、そして求めている」という3本目のへその緒のテキストと矛盾するように思える

しかしながら作中でもメルゴー、(月の魔物)、アリアンナの赤子、ヨセフカの赤子、と最大で4体ほど上位者の赤子は生まれている

※4体の赤子の父親はおそらくはオドンであることから、ゴースの遺子の父親もオドンである可能性は高い

ではゴースの遺子はゴースとオドンの赤子なのであろうか
そう単純なことではないようだ

なぜならば漁村の囁き声は以下のようなことを囁いているからである

母は殺された。赤子は奪われた
ウロコは痛み、ゴースの嘆き(漁村の囁き声)

狩人が海岸に到着したときのムービーでゴースの遺子は母であるゴースから生まれてくる
つまり赤子はゴースの胎内にずっと存在していたのであり、「赤子は奪われた」という囁きと平仄が合わないのである

赤子は奪われている(おそらくビルゲンワースに)
しかし当の赤子はゴースの胎内に宿っている

この矛盾を解消するためには、奪われた赤子とゴースの胎内にいた赤子別人だ、と考えるほかない

つまりゴースの赤子と、ゴースの遺子とは別の存在なのである

これは「HUNTED NIGHTMARE」と表示されるのがゴースの遺子を倒したタイミングではなく、「黒い影」を斬った直後であることからも推測することができる

黒い影が海上に漂う場面で、「ゴースの赤子が、海に還る」とナレーションが入ることから、この黒い影こそが「ゴースの赤子」である

ただしゴースの遺子を倒さない限り黒い影は出現しないことから、両者には何らかのつながりがあるように考えられる

黒い影はゴースのへそのあたりから立ち上っている


ゴースの遺子が倒されるまで黒い影がどこにいたかというと、ゴースの遺子と融合していたのであろう。心身二元論的にいうのならば、ゴースの遺子は肉体であり、黒い影はその心(魂)だったのである



ゴースの遺子

では一体、ゴースの遺子とは何者なのか

この狩人の悪夢という悪夢には初期狩人の多くが登場している。そしてこの悪夢はシモンによればそもそも狩人の罪に芽生えたものであるという

この悪夢は、狩人の業に芽生えているのさ(やつしのシモン)

…この村こそ秘密。の跡…
…そして狩人の悪夢は、それを苗床とした(やつしのシモン)

これほどまでに狩人と関係が深いのに、最も重要な狩人だけがこの悪夢に登場していない

最初の狩人、ゲールマンである

狩人の夢でゲールマンを倒すと、彼は肉体を残さずに消滅する。また姿を消したまま「液体状」の遺志として工房に存在していることもある



一方、肉体をもった者が悪夢で死ぬとその死体は残るのである



つまり死体を残さずに消滅するということは、すでに肉体を失っている事を意味しているのである

またゲールマンは夢を見ているのか寝言を漏らすことがある

…もう長い間、夢を見ている…
もはや狩りなどできぬ身なれど、それが私の役目なのだ…
友だちと、約束したのだよ…
約束をね…
クー、クー…

ん…、うう…
…ああ、ローレンス…ひどく遅いじゃないか…
…私はもう、とっくに、老いた役立たずだよ…

これは眠っていた人形が眠りから覚めた後、どこかにいたような、と呟くことと同じ現象であろう

ハッ
ああ、お帰りなさい。狩人様
すみません、私は、どこかに…(人形)

二人は夢の中で「何者かになった夢を」見ているのである。しかしそれもまた「夢」であり、ヤーナムの世界では夢は一つの悪夢的現実として存在しているのである

人形はマリアとなり、ゲールマンはゴースの遺子になった夢を見、そしてそれは悪夢に囚われている状況なのである

マリアを倒した直後に人形が打ち明けるように悪夢に囚われている夢の対象は夢見る者にとって「重い枷」である

狩人様。おかしなことを聞いて宜しいでしょうか
…私は、どこか変わりましたか?
先ほど感じられたのです。私のどこかで、どこか中で、重い枷が外れるのを
不思議ですね。元より、私のどこにも、枷などありませんでしたのに

同様にゲールマンゴースの遺子(の肉体)として悪夢に囚われていたのである。しかしその悲劇の根源はゲールマンがゴースの赤子を奪ったことに起因するのである

追記

書き忘れていたのだが、ゴースの遺子を倒した後、人形から以下のようなセリフが聞ける

ああ、狩人様。ゲールマン様の寝息が聞こえます
苦しそうないつもと違い、今宵は、とても穏やかなのです
…あの方に、僅かでも救いがあったのでしょうか…(人形)
このセリフは、ゴースの遺子撃破後ならば黒い影を攻撃する前でも聞くことができる。つまりゲールマンと繋がりがあるのは黒い影ではなく、ゴースの遺子のほうである

このことからも、ゴースの遺子がゲールマン(その肉体)であり、黒い影こそがゴースの赤子であると裏付けられる



3本目のへその緒仮説

ゲールマンが遺子であり上位者になったとした場合、上位者になる方法としてはまず3本目のへその緒による瞳の獲得が挙げられる

上位者の赤子は3本目のへその緒を持っており、使用すると内に瞳を得るという

3本目のへその緒
使用により啓蒙を得るが、同時に、内に瞳を得るともいう
だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった

ゴースの赤子も当然ながら所持していたであろう

※内に瞳を得るということが何を意味するのかについては深く立ち入らない。また狩人が上位者の赤子になるために3本使う必要があったことについても立ち入らない

※しかし瞳を授かり上位者になったロマという実例があることを考量すると、瞳を得ることで上位者に変異する、ことはあり得ると考えられる(なぜミコラーシュは上位者にならなかったか、についてもここでは触れない)


再誕者仮説

次に再誕者メソッドによる上位者の顕現という方法が考えられる。これは再誕者をいかに解釈するかにもよるので3本目のへその緒を使用する方法よりはゲーム設定から離れている

再誕者はメンシス学派により造られた疑似生物のようなものである。一方でメンシス学派の首領であるミコラーシュは夢を現実にすることを目指していた

儀式はもうすぐ終わる
夢が現実に、我らに瞳をもたらすのだ!(ミコラーシュ未使用セリフ)

では再誕者は何のために造られたのかと考えると、夢が現実になった際に上位者の肉体になる依り代である

メンシスの悪夢のボスメルゴーの乳母であり、メルゴー自身には姿がない。これは父であるオドンの属性を受け継いだと思われる

姿のないメルゴー現実に顕現させるためにはその肉体となるべく依り代が必要である。そのために再誕者は造られたのである

同じようにオドンを父とすると思われるゴースの赤子は姿がない(あるいは黒い影のような姿である)

よって現実世界において神威を発揮させるためには、現実世界における器(依り代)が必要だったのである

その依り代となったのがゲールマンの肉体であり、ゴースの赤子の心と融合したゲールマンはゴースの遺子になったのである

ただしこれは上述したように本作の設定からかなり離れた案である


上位者ゴースの遺子

さて、これまでやや強引にゴースの遺子=ゲールマン説を推してきたがこれには理由がある

狩人の夢のゲールマンはしばしば寝ており寝言を呟く
その寝言の最後に発せられるゲールマンのうめき声が、ゴースの遺子の泣き声と酷似しているのである



狩人の悪夢と名づけられながら、最初の狩人が登場していないこと、また同じ老人の姿をしていること、さらに同じ音声を発すること等々を併せて考えると、ゴースの遺子=ゲールマンというのはある程度の蓋然性はあるのではないか、というのが私の考えである

※未使用データに幼児型のゴースの遺子のモデルデータが存在する。これは単に没になったのかそれとも、やはりゴースの遺子は赤子から成長していったのかもしれない

※ただし、狩人の夢のゲールマンが「私はもう、とっくに、老いた役立たずだよ」と呟くことから、夢の中でも老化することが示唆されている。ならば赤子と融合し当初は幼児型をしていた遺子も長い時間を経て老人になった、とも考えられる

※しかし漁村の司祭が「老いた赤子」と言うことから、幼児型は単純に没になった可能性も高い



蛇足

正直なところゴースの遺子と黒い影の関係はゲーム内の設定からだけでは解き明かしがたい。ゆえにこの考察も未だ途上である

ただ事実としてゴースの遺子黒い影のゴースの赤子という二者は存在する

2020年8月5日水曜日

Bloodborne 考察38 ブラドーとローレンス

ブラドー

ブラドー装束のテキストによれば、彼が被っているのは獣となった友の皮である

ブラドーの徴
恐ろしい聖職者の獣、その1匹の頭皮
医療教会の刺客、狩人ブラドーが友を狩った徴

以来ブラドーは友の頭皮を被り、自ら地下牢に籠り
そして教会は、彼に1つの鐘を与えた
秘密を守る、音の鳴らぬ死の鐘を

獣皮の装束
恐ろしい聖職者の獣、その獣皮を羽織る血塗れの装束
獣皮を取り去れば、それは異邦の服にすぎない

ブラドーは、血も乾かぬうちに、友の頭皮、獣皮を被った
装束の血の大半は、そのときのものだ

この「」については諸説あるが、頭部の角の類似性から判断するに「ローレンス」である

角度が異なっていたり隠れている部分もあるので違うようにも見えるが、注意してみればほぼ同じ形である


現実におけるローレンスの獣化した姿は、狩人が狩人の悪夢で遭遇する「初代教区長、ローレンス」と同形であったであろう



大聖堂に安置された「ローレンスの頭蓋」は炎の獣となったローレンスの頭蓋から頭皮を剥ぎ取った後の姿なのである

この頭蓋には頭皮がない


ローレンスの頭蓋

大聖堂にローレンスの頭蓋が安置されている理由は、その内部に「神秘の智慧」が宿っていたからである

神秘の智慧(上位者の叡智)は頭蓋から飛び出してくる


ローレンスが「獣の抱擁」を落とすことからも判るように、またその知見が「」となったように、医療教会はローレンスを被検体に「獣を制御する実験」を行っていた

「獣の抱擁」
獣の病を制御する、そのために繰り返された実験の末
優しげな「抱擁」は見出された

試み自体は失敗し、今や「抱擁」は厳重な禁字の1つであるが
その知見は確かに、医療教会のになっている

宮崎:それは、カットシーンにも登場するローレンスの記憶を垣間見ることを目的としています。彼の頭蓋骨はヒーリングチャーチ自体の始まりとして機能しましたが、それはねじれた獣の形をとっています。そこから想像できることがたくさんあります。(インタビュー)

宮崎氏はローレンスの頭蓋を「ねじれた獣の形」と表現しているが、これは獣の形そのものを「ねじれた」といっているわけではない。ローレンスの頭蓋は獣としてもねじれて歪み不完全な形なのである

ローレンスの頭蓋がねじれた獣の形をしているのは、ブラドーに皮を剥ぎ取られたからである
※また、ローレンスは完全に獣化する前に狩られたのかもしれない

医療教会は人を「苗床化」する実験も行っていた

「苗床」
実験棟の患者、アデラインにもたらされたカレル
人ならぬ声、湿った音の囁きの表音であり
星の介添えたるあり方を啓示する

カレル文字「拝領」によれば、「拝領」は医療教会の象徴であり、血の医療とは「拝領」の探求に他ならないとされる

「拝領」
それは医療教会、あるいはその医療者たちの象徴である
血の医療とは、すなわち「拝領」の探求に他ならないのだ

拝領とはつまり「聖血」を得ることである

密かなる聖血
血の渇きだけが我らを満たし、また我らを鎮める。聖血を得よ
だが、人々は注意せよ
君たちは弱く、また幼い
冒涜の獣は蜜を囁き、深みから誘うだろう
(エミーリアの説教)

ここで聖血には人を満たし、鎮める効果があるとされる一方、冒涜の獣の危険性も指摘されている

聖血には医療教会の求めた「精霊」と忌避した「」という二つの相反する属性が宿っているのである

結果的にローレンスは冒涜の獣の蜜にあらがうことができず、炎の獣となったのである

しかしその頭蓋内には上位者の叡智をもたらす「精霊」が宿っていた。ゆえに医療教会はその頭部のみを聖遺物として祀ったのである

事実、その頭部からあふれた「叡智」は医療教会の基礎となって現在の医療教会に至る最初の繁栄をもたらしたのである



獣皮

炎の獣となったローレンスを狩ったのはブラドーである

彼がなにゆえ友であるローレンスを狩らねばならなかったかというと、やはりローレンスが「友」であったからであろう

友を狩った後に自らを罰するかのように地下牢に籠ったことから、ブラドーが友を親愛なる者と位置づけていたことがわかる

ブラドーの徴
以来ブラドーは友の頭皮を被り自ら地下牢に籠り
そして教会は、彼に1つの鐘を与えた
秘密を守る、音の鳴らぬ死の鐘を

ゲルマン戦士が熊の毛皮を被ることでベルセルクになるように、スカンジナビアには戦士が狼の毛皮を被ることで人狼になるという伝承がある

またブラッドボーンにも大きな影響を与えていると思われるジョージ・R・R・マーティンの『皮剥ぎ人』には、人狼になるために人狼の皮を剥ぎとって被ろうとする人物が登場する(人狼の皮には魔法がかけられている)

皮を被ることで人狼になる、という設定の元ネタは北欧神話にあり、そこではシグムンドとシンフィヨトリが魔法がかけられた高貴な人の脱いだ狼の皮を被ることで、狼のようになる、ということが描かれている(ここでも皮に魔法がかけられている)

※人狼伝説はヘロドトス『歴史』に言及されたネウロイ族まで遡れる(wikipedia)

古来より獣皮は人を獣にするという観念が存在するのである

つまりブラドーは獣化したローレンスの毛皮を剥ぎとることで獣化したローレンスを人間に戻そうとすると同時に、その毛皮を被り獣になろうとしたのである

獣化という呪いを身代わりに引き受けようとしたのである。彼ならば呪いに対処できると信じていたからである。なぜならば彼の信念によれば「悪い血」は「瀉血」することで体外に放出することができるからである

瀉血の槌
それはまた、悪い血を外に出す唯一の方法だ
地下牢に籠ったブラドーは、そう信じ続けていた

だがローレンスは獣化したまま死に、その頭蓋は切り離されて祭壇に祀られたのである


地下牢

獣化した友を狩り、その頭皮と獣皮を被ったブラドーは自ら地下牢に籠ったという

ブラドーの徴
恐ろしい聖職者の獣、その1匹の頭皮
医療教会の刺客、狩人ブラドーが友を狩った徴

以来ブラドーは友の頭皮を被り、自ら地下牢に籠り
そして教会は、彼に1つの鐘を与えた
秘密を守る、音の鳴らぬ死の鐘を

彼が自らの意志で地下牢に籠ったのは、ローレンスの血に塗れたことで彼自身が獣の病に感染したからである

獣皮の装束
ブラドーは、血も乾かぬうちに、友の頭皮、獣皮を被った
装束のの大半は、そのときのものだ

自分が獣化した場合の被害を最小限にするために、自らを地下牢に閉じ込めたのである

そしてまた彼の信念が正しかったのか、ブラドーはその「瀉血」の効果により獣にはならず地下牢最深部に籠り続けているのである



秘密

血の医療の成就、すなわち「獣の病」の根絶医療教会の悲願である

だが「獣の病」の原因は医療教会自身なのである。諸悪の根源である自らの本性を隠すために医療教会は秘密を守らねばならない

なぜならばそれが知られてしまえば、血の医療の大義名分は失われるからである。それは医療教会の存在理由を揺るがす事態である

獣の病とは呪いであり、呪いとは上位者の怒りに触れた証である

冒涜の聖杯
呪いとは、上位者の怒りに触れた証であり、呪詛であり
この儀式を成就するためには、特別な素材が必要である

呪いに挑むのなら、「ローランの落とし子」を探したまえ

ローランの落とし子
獣の病に塗れたローランに生まれた、落とし子たちの遺体
それは冒涜の象徴であり、呪いを呼ぶ

上位者ゴースを殺害し、赤子を奪ったことで上位者の呪いはヤーナム(人類)に降り注いだ

母は殺された。赤子は奪われた(漁村の囁き声)

ヤーナムの呪い、か…(身を窶した男)

呪いの原因となった漁村の惨劇を引き起こしたのはビルゲンワースであり、そこに所属していたローレンスであり、最初の狩人ゲールマンであり、マリアである

このうち主導的な地位にいたのは後に医療教会を設立するローレンスである

そのローレンスはブラドーの友である。ブラドーは友であった男の罪を隠すために秘密を守り続けなければならないのである

ここに医療教会とブラドーの目的が一致したのである

すなわち、教会が彼に1つの鐘を与えたのは慈悲の心からではないし、ブラドーがそれに従ったのは教会に対する忠誠心からではない

医療教会は自らの穢れた素性を隠すために、友の罪を暴かれたくないブラドーを利用したのである。ブラドーは友の罪を暴かせないために教会の刺客となり秘密に近づく者に死を与えていたのである



ブラドーに関しては、が何者であるかということと、その友に対するブラドーの感情といったものが大きな意味を持ってくるように思われる

暗殺という汚れ仕事を担い、人間に対する絶望を口にするブラドーという人格のなかで、「友」という言葉だけがどこか浮いている
まるで「友」そのものが「秘密」であるかのように、それは明かされず秘匿されている

不敵な、あるいは傲岸とも言えるブラドーの態度には教会への慎ましい忠誠心などは見受けられない。ただ彼の言動から感じられるのは秘密を守ろうとする強い意志である

その秘密は友であったローレンスの犯した罪である

彼が友を狩ったのはその呪いを引き受けようとしたからであり、自ら地下牢に入ったのは自らを罰すると共に獣血に汚染されたおのれ隔離するためである

そして彼が教会の刺客になったのは友の罪を暴かせないためである

2020年7月30日木曜日

Bloodbrone 考察37 人形の機能

過去の考察において人形が月の魔物を世話するべく造られた「乳母人形」であることを考察した(「人形と月の魔物」参照)

またその際に月の魔物は「オドン」によって傷つけられ続けていることも触れ、オドンを「水銀」としたが、本源的にはこの水銀は「神秘」のことである

月の魔物は「獣性」と「神秘」統合しようとして失敗したがゆえに、その肉体を「神秘」に侵蝕されているのである(あるいは逆に神秘体である上位者が獣性によって蝕まれている)

と、ここまでは上述した「人形と月の魔物」またはその他の考察で述べてきたことである


人形の機能

さて人形には血の遺子を力に変換するという特質すべき能力が備わっている

狩人は人形の力によってレベルアップすることができるのである

ソウルズシリーズでもおなじみのシステムであり、またレベルアップすることでプレイヤーが徐々に強くなっていくのは、一般的なゲームでもありふれたシステムである

だがこの機能は単なるシステムの1つではない

乳母人形としての任を果たすべく創造者によって人形に備え付けられた最も基本的な機能なのである

すなわち、血の遺志を力に変化するという人形の機能は、元は狩人のためではなく月の魔物のために用意された機能なのである

長い夜の終わり、ゲールマンは狩人に介錯を迫る
このとき狩人には旅の中で蓄積された膨大な量の血の遺志が宿っている

ゲールマンの目的は狩人が集めてきた血の遺志である

その血の遺志は人形を介することによって、瀕死の状態にある月の魔物に注がれるのである

しかし、そうまでしても月の魔物は助からない。ゲールマンが待ち望んでいるように、月の魔物を救済するのは、ローレンスによる血の医療の成就である


…お別れだ。ローレンス
血の医療、成就を待っているよ(ゲールマン未使用セリフ)


また介錯を断った際には月の魔物は狩人を抱きかかえようとする動作を見せる。これは狩人に宿った血の遺志を吸い取ろうとしているのである



そうやって得た血の遺志は狩人と同じように人形によって月の魔物の生命力へと転換されるのである

だがそうまでしても彼女は助からない。なぜならば彼女は獣と神秘の不完全な統合体であり、内部では獣と神秘とが互いに相反しているからである

※狩人が血の医療を受けた後のムービーのように獣と炎(神秘)は対立する属性である

以上のように人形のレベルアップ機能はゲーム上に用意された単なるシステムの1つではなく、ゲームの設定上、不可欠なものなのである

そしてこの人形の機能は狩人の業を応用したものである

この場所は、元々狩人の隠れ家だった
によって、狩人の武器と、肉体を変質させる。狩人の業の工房だよ(ゲールマン)

 蛇足

「人形と月の魔物」に追記してもよかったのだが、トピックとしてわかりやすいので独立させた

2020年7月27日月曜日

Bloodborne 考察36 養殖人貝

漁村に住む謎の軟体生物「養殖人貝」について考察する
※漁村概論は後日


漁村の生物

漁村には数種の生物が棲息している。それが以下である

漁村の住人
・漁村の住人(各種武器、怨念タイプ)
・漁村の司祭(長い杖を持った個体)
・瘤あたま(井戸にいる巨人)

魚犬
魚犬
軟体生物
軟体生物


養殖人貝



このうち漁村の住人と魚犬はともに「魚類」の特徴を持つ
軟体生物養殖人貝は「軟体生物」の特徴が強い


魚化

漁村の住人と魚犬は生物が「魚化」した個体である
元は人間と犬だったものが何らかの影響により「魚類」の特徴を持つに至ったものである

共通するのは背中の大きな背びれである



この両者は「苗床」に共通する「軟体化」は引き起こされておらず、全身が硬い貝(フジツボ)や皮膚で覆われている。このことから住人と魚犬は内に精霊を宿す「苗床」ではなく、人が獣に変化する獣化に近い性質のものであると考えられる

さて、本作において人を変異させるものといえば「」である

「右回りの変態」
血の発見は、彼らに進化の夢をもたらした
病的な、あるいは倒錯を伴う変態は、その初歩として知られる

人が血によって獣化する病気が「獣の病」である。その根源には獣血があり、獣血の主がいる(獣血の主が虫であるかについてはこの考察には関係ない)

血によって引き起こされた獣の病により人が獣化したように、血によって人が魚化するのが漁村の風土病である

ではなぜ住人は魚化したのか

感染を引き起こした血の主が「魚類の特徴」を有していたからである

つまるところ、上位者ゴースである

ゴースの背びれ

ゴースは住人や魚犬と同じように大きな背びれがある。またアートワークスの遺子には後ろ足に水かきが確認できる

本編において「獣の病」がヤーナムに蔓延したように、DLCでは「魚の病」が漁村に蔓延したのである

その原因はどちらも上位者の血であろう

ゴースの遺体を斬ると「血」が出る



軟体生物

漁村のいたるところに見られる「軟体生物
灯火の燃料としても使われている。「炎は神秘に通じる」

軟体生物といえば医療教会における「精霊」である

精霊の抜け殻
上位者の先触れとして知られる軟体生物の抜け殻
軟体生物は多種存在し、医療教会は総じてこれを精霊と呼ぶ

またナメクジに似た形状からエーブリエタースとの関わりも疑われる

真珠ナメクジ
地下遺跡の各所に巣食う、奇妙な小生物たち
特にナメクジは、見捨てられた上位者痕跡である

以上のテキストから、漁村の軟体生物は精霊でありエーブリエタースの痕跡であると結論づけることも可能である

しかしながら、この軟体生物をよく見るといわゆる「ナメクジ」とは形がかなり異なっていることがわかる

ナメクジの触手というより、頭足類(イカやタコ)の触手の生え方に似ている

形状的にはカレル文字「苗床」とゴースの寄生虫を装備したときに見られる軟体生物と似通っているが、細部は異なっている



上位者の赤子となった狩人とも似ているが、胴体の膨らみなど違いがある

またこの軟体生物は卵を産む
黒い球体のようなものが卵である

過去の考察で「瞳」とは精霊の卵であり、卵が孵化することが啓蒙であると述べた
その「瞳」大量に産み付けられているのである

これは「瞳=精霊の卵」であるとするならば、かなりおかしな事態である
ビルゲンワースや医療教会が求める「瞳」いたるところにあり、しかし一顧だにされず捨て置かれているのである

なぜ漁村に侵攻したビルゲンワースはこの卵をかき集めなかったのか?
なぜわざわざ床に落ちている「瞳」を無視して、住人の頭の中からそれを見つけ出そうとしたのか?

頭の中で孵化し、脳に寄生することが「瞳」を得る唯一の方法であるとも考えられる。寄生虫が宿主を操り、都合のよい行動をとらせることは現実世界においても確認されている

※例えばロイコクロリディウム(グロ注意)
この寄生虫に感染したカタツムリは、おそらく視界が遮られることが影響して[2]、明るいところを好むようになる。(Wikipedia)

※例えばカマキリに寄生するハリガネムシ
成虫になったハリガネムシは宿主の脳にある種のタンパク質を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませ、宿主の尻から脱出する(Wikipedia)

※宿主の行動に影響を与えるという意味で狂犬病もその範疇に入るかもしれない(Wikipedia)

しかしながら、住人の頭の中から「瞳」を得たとして、その後はおそらく被検体の頭の中に瞳を移植するという行程に移ると思われるが、わざわざ頭の中から取り出さなくとも漁村の床に放置してある「卵」でも同じことができるのである

このように漁村の軟体生物を精霊と断定すると、大きな矛盾が生まれてしまうのである

こうした矛盾を生じさせないためには、この軟体生物は精霊ではない、とするのが適切であろう

この軟体生物は精霊でもなく、ゆえにエーブリエタースとも関係がない
ではこの軟体生物はゲームの設定的にどのような意図にもって漁村に導入されたのであろうか

結論を先取りすれば、この軟体生物は養殖人貝を位置づけるための装置なのである



養殖人貝

漁村の住人が「魚化」したのだとしたら、養殖人貝は「苗床化」している

苗床ということは内に精霊を住まわせているはずである
そして形態的な特徴の一致から、その精霊はゴースに巣食う「ゴースの寄生虫」の可能性が高い

※ここで精霊=寄生虫としているのは過去の考察からの応用である

しかしゴースの寄生虫は人に宿らないと言明されている

ゴースの寄生虫
海岸に打ち棄てられた上位者ゴースの遺体
その中に大量に巣食う、ごく小さな寄生虫
人に宿るものではない

ゆえに養殖人貝は人にゴースの寄生虫を寄生させた「苗床」ではない

養殖人貝が人の姿をわずかに残しているがために、人が養殖人貝に変異したと考えがちであるが、そうではない

養殖人貝は軟体生物にゴースの寄生虫を寄生させたものなのである

すなわち、あの軟体生物がゴースの寄生虫に寄生されることにより、養殖人貝の姿をなしたのである
そして軟体生物が人の特徴を持つに至ったのは、ゴースが人の特徴を有しているからである

ゴースは人のを持っている
また養殖人貝の尻尾ゴースの尾とよく似ている




養殖人貝の尻尾はやや膨らんでいるという特徴的な違いがあるが、これは養殖人貝の元が胴体の膨らんだ軟体生物だったからである

すなわち、ロマとロマの子らや、エーブリエタースと星の子らのように、養殖人貝とはゴースの子らなのである。そしてロマの子らや星の子らが実際に上位者の赤子ではないように、養殖人貝もまたゴースの実の子ではない

生物が精霊の苗床になることで、精霊の属する上位者に似た姿を持つに至ったものたちなのである

ロマの子らや星の子らは、おそらく元は赤子であったろう
それと同じように養殖人貝の元は、漁村に棲息するあの軟体生物なのである


Snail Women

養殖人貝の英名はSnail Womenである。直訳するとナメクジ女といった意味だろうか。ここからあの軟体生物がナメクジであることがわかる

しかし、ナメクジといってもエーブリエタースの痕跡である精霊としてのナメクジではなく、生物としてのナメクジである

生物としてのナメクジであるがゆえにビルゲンワースは価値を見いださず、その卵は捨て置かれたのである(エーブリエタースの痕跡としての真珠ナメクジは儀式素材として用いられる)


非眷属

これまでの考察で苗床=眷属としてきたが、苗床であるはずの養殖人貝眷属ではない
このことから、上記の仮説を修正する必要がある

眷属とは、トロフィーにあるように「輝ける星の眷属」である

トロフィー:イズの大聖杯
輝ける星の眷属たちの故郷 その封印たる「イズの大聖杯」を手にした証

眷属とは生物が苗床になることにより変異するものであるが、眷属になれるのは輝ける星に関連する苗床のみである

一方で養殖人貝に棲まうゴースの寄生虫は「輝ける星」とは無関係である

確かにゴースの寄生虫は星輪の幹たる「苗床」の精霊を刺激する。しかしながらゴースの寄生虫自体が星と関係するとはテキストのどこにも書かれていない

眷属とは輝ける星に属する「苗床」にのみ与えられた称号である
少なくともゴースは「輝ける星」ではなく、その先触れを宿した苗床も「眷属」ではない


漁村の軟体生物が養殖人貝に変異したことに違いはないが、もう1つ変異の方法が存在する
漁村の住人たちと同じく、ゴースの血によって変異したという仮説である

しかしながら、漁村の司祭が「共に呪詛を哭いておくれ」と頼む「すべての血のなきものたち」とは、ゴースの血を受けた者ではなく、ゴースの寄生虫により苗床となった者たちのことである

これは漁村の司祭が「苗床」を装着した狩人を仲間と認識し「呪詛溜り」をくれることからも明らかであろう

すなわち、ゴースにひれ伏し、従属していると思われる養殖人貝たちもまた「苗床」であると考えるのが自然と思われる


蛇足

漁村全体を考察しようとするとラヴクラフトの『インスマウスの影』やその他に登場するインスマウスを引き合いに出さなければならない。しかしクトゥルフホラーを持ち出すことで逆に断定しきれない部分も出てくると思われたので、今回は本編以外の知識はなるべく除外した

2020年7月18日土曜日

Bloodborne 考察35 星見時計

時計塔にある星見時計の外縁にはカレル文字が描かれている

このカレル文字は星見時計の回転により下端に位置するときにだけ光を放つ

これらのカレル文字を合成したのが下の画像である

実際は下端に位置するときにだけ光る



謎のカレル

全部で14のカレルが描かれているが、そのうちでまったく正体不明なのは右側にある3本のヒモが絡み合う図柄のものである

※他の図柄も完全にカレル文字に一致するわけではなく、細部のデザインが異なっているもがある。「淀み」や「オドン」などである

3本のヒモが絡み合っているようにも見えることから、3本目のへその緒に関連したカレル文字であるかもしれないし、また未使用アイテムにある「輝く線虫」に関連するものかもしれない


カレル文字単体では確たる結論は出せない、というのが正直なところである



回転

※この項はややこしいので飛ばして次の項にいっても構わない

この外縁は時計回りに回るが、時計塔の裏側から見て時計回りなので表側から見ると「反時計回り」に回っていることになる

このことから出来事を時系列を逆順にたどっているのではないか、という説がある

しかしながら、表側に面した時計盤はきちんと時計回りに回っており、裏側が時計回りに回ることで表側から見れば時が正常に進む機構となっていることが分かる

ただし時計=時を司る=回転は時系列をあらわす、という連想は自然なことと思える

重要なのはここが悪夢の世界であると言うことである。悪夢の世界が「逆さま」であることは狩人の悪夢の構造などから推測可能である

であるのならば、時もまた「逆さま」であり、つまるところ時計回りに回ることは、悪夢の世界では時間を遡ることなのである

ややこしいのだが、この時計盤は「反時計回り」が正しい回転の向きなのである。よって時系列を読み解くには反時計回りに読んでいくことが正しいのである

星見時計が時計回りに回ることで狩人の秘密に通じる扉が開く。このことはつまり過去に遡ることを意味している。要するに時計盤が時計回りに回ることは、時間を巻き戻すことなのである

そして始点(「深海」)に戻った時計盤が時間を進めるには反時計回りに回ることが必要になってくる

それはつまり、「深海」のあとに「湖」が来るような順序である

時系列順に番号を振ったのが以下の画像である。0からスタートし0に戻ってくる反時計回りが悪夢における正しい時間の進み方である(それはヤーナムがたどった歴史である)



※秘密を暴露するために時計は時計回りに回ったが、それは時系列を示すものではなくリセットするためのものである



時系列

始点に戻ったのち、反時計回りに回ることでヤーナムの歴史が時系列順に示される




反時計回りに見ていくと、まずは始点である「深海」がある。このカレルには七本の枝(上位者を示す)が上昇する図が描かれている

上位者は大量の水(悪夢)と現実との境にある「湖」から現実へと侵入し、湖の水に淀み」ができる

淀みから「オドンの蠢き」(図柄に瞳が見える。「瞳」とはすなわち卵である)が生じ、「姿なきオドン」として宇宙に上昇していく

さらに「導き」や「瞳」、「月」といった上位者に関係するカレルが誕生し、やがてそれは「拝領」として人類に降り注ぐ

聖血には聖なる部分と穢れた部分があり、穢れた部分からは血族が生まれ、それに対抗すべく処刑隊(「輝き」)が誕生、不明なカレルを経て、処刑隊は「狩人」となる

その後に獣の病が蔓延し、「獣の抱擁」の失敗を経て、すべては「深海」へ還っていく

時計を反時計回りに読み解くならこうなる。淀みからオドンが発生することや、狩人より処刑隊が先発することなど異論はあろうが、それなりに筋は通っているように思える



境界線

画像が見づらくなるので最初の画像には記していないが、時計の外縁には2個所、境界線と思われる線が走っている

姿なきオドンから拝領までのギザギザの線と、深海に見える弧を描くような線である



このうち上の線(オレンジの線)空と宇宙との境界を示すと考えられる
※宇宙といっても現実の宇宙ではなく悪夢の空の彼方にある宇宙である

は言うまでもなく宇宙にあるものである。または星の娘エーブリエタースに関連するカレルである。導きも「月光の聖剣」と関連する

姿なきオドンはその図柄から惑星(あるいは)から何かが垂れている(あるいは上昇している)ようにも見えるし、拝領は何らかの隕石や彗星から血が垂れているようにも見える

姿なきオドン拝領の途中で線が外縁に接しているのは、そこが地上と宇宙との接点(それは現実と悪夢の接点)だからであろう(その接点において人は拝領を得、オドンの子を身ごもる)

下の弧を描く青い線は「水平線」である
これはその下に深海があることからも分かるかと思う

では、宇宙と深海の配置は実際に天と地という世界構造を意味しているのであろうか

そうではない。なぜならばカレル文字が光るのは文字盤の下端に接している時だけだからである(この画像はあくまでも合成画像であり、実際にこのように表示されているわけではない)

しかもその時カレル文字は「逆さま」である

時計の回転により宇宙と深海とが入れ替わる、つまり天と地が逆転することを示しているが、しかし宇宙も深海も「同じ場所においてのみ光る」のである

これは逆さま世界の悪夢においては、深海も宇宙も下端、つまり悪夢の世界における上端(空)にあることを示しているのである



拝領

各カレルにはそれぞれ固有の幅がある
最も広いのは「拝領」であり、次に深海、そして姿なきオドンの順である



各幅の意味については正直なところ分からない

ただしこれらの幅が時計盤の時刻を示すエリアによって表わされていることから、活動している時間を示しているのではないかと思える節がある

最も活動期間が長いのは拝領である。拝領の涙滴型からは宇宙空間を飛来してきた彗星を想起させるものがある(左右にある点は星である)

まず外縁宇宙から上位者が地球に飛来したのである。それは宇宙から地球への「拝領」を象徴する出来事であった

地球に降り立った上位者は悪夢(深海)に棲まい、やがて湖を通じて現実へと侵入していったのである。そしてついに古い上位者オドンとなって再び宇宙へと上昇したのである

オドンからは導きや瞳、月に関連する上位者たちが生まれたがその時すでにオドンは宇宙(悪夢)へと去った後である(オドンは個にして全の存在である。エーブリエタースの親の個体は宇宙へ去ったが、別の個体はいまも淀みから誕生してくる)

星の娘エーブリエタース見捨てられた格好になり、またアメンドーズは憐れなる落とし子として存在することになったのである。また月の獣は神秘と獣性の相克により傷ついている

その後、人類の短い歴史のなかで処刑隊やハンター、医療教会などが誕生し今に至っているのである



右回り、左回り

時計盤の「拝領」を境にして左に神秘右に獣性のカレルが集まっているようにも見える



「月」メンシスの脳あるいはアメンドーズである
メンシスの脳が月のカレルを落とすことや、アメンドーズ像がそびえるヤハグル教会の狩人がドロップすること、また宗教的な時空アメンドーズの姿がよく見られることが理由である

「月」
悪夢の上位者とは、いわば感応する精神であり
故に呼ぶ者の声に応えることも多い

時計をに回ることで人は獣に近づいていく(獣化する)、つまり「右回りの変態」を行うわけで、その効果は「血」と関係の深い「HP」を高める効果があることも一致している

「右回りの変態」うねる十字は「変態」の意味が与えられ
右回りのそれは、HPを高める効果がある

また左回りの変態はスタミナであるが、神秘的な変態とは「苗床化」である

「左回りの変態」
うねる十字は「変態」の意味が与えられ
左回りのそれは、スタミナを高める効果がある

持久力のマーク緑色の水滴のような形をしている


なぜこのマークが選ばれたのか長らく不明であったが、苗床がある種の植物であることを考えるのならば納得がいく

獣化が体力を上昇させるのならば、苗床化は持久力を上昇させるのである。なぜならば植物の中には動物と比べて非常に長い寿命を持つ種があるからである

植物における長寿体力の過剰から達成されるものではなく、気の遠くなるような持久力の成せる技である

体力のマークが血と心臓をあらわす赤いハートであるならば、持久力のマークは水と葉緑素をあらわす緑色の滴なのである

不死へのアプローチ2種類ある。に象徴される体力を極限まで高めることで達成される不死と、苗床に象徴される持久力を極限まで高めることで達成される不死である

その2つのアプローチ(進化)が、右回りの変態と左回りの変態として発見されたのである

「右回りの変態」「左回りの変態」
血の発見は、彼らに進化の夢をもたらした
病的な、あるいは倒錯を伴う変態は、その初歩として知られる

※持久力のマークは「拝領」にも似ている


時計の針

時計の針は最初の状態では「導き」「獣の抱擁」を指し示している



「導き」はルドウイーク、「獣の抱擁」はローレンスを撃破することで入手出来るカレル文字である

このことは現時点において狩人の悪夢がルドウイークとローレンスの時間であることを示している。それはつまりボスとして存在していることのヒントであろう

また、想定されたルートではルドウイーク→ローレンス→マリアという順にボスを倒していくことになる。ルドウイークとローレンスの討伐、そしてマリアの星見盤を合わせることで星見時計が動き始めることを意味しているのかもしれない

またルドウイークとローレンスはともに神秘と獣性を兼ね備えたボスである。そんな2人の対称性を明示しているのかもしれない





蛇足

時計盤がブラッドボーンの歴史を表わしたものではないか、という説は根強いものである

恐らくこの時計盤には1つの意味ではなく、いくつもの意味が重ねられており多様な読み方が可能である

不明なカレルや導き、また淀みに関しては考察が足りていない。過去の考察と矛盾する点についても取捨選択やすりあわせを行いながら修正していく必要があるだろう

2020年7月12日日曜日

Bloodborne 考察34 時計塔のマリアとローレンス

Lady Maria of the Astral Clocktower

時計塔のマリアの英名は「Lady Maria of the Astral Clocktower」である

日本名と異なるのは「Lady」と「Astral」の部分である

Ladyは淑女や貴婦人と訳され、Our Lady は聖母マリアのことである

アストラル (Astral) とは、「星の」「星のような」「星からの」「星の世界の」などを意味する英語。漢字で「星幽(せいゆう)」と表記される事もある。(Wikipedia)

以上を踏まえてLady Maria of the Astral Clocktowerを直訳するのならば「星見時計塔の貴婦人マリア」になる

日本語にすると語感が悪く長くなるので「時計塔のマリア」と短縮したものであろう



マリア

マリアの素性についてはかなりの部分判明している(このゲームにしては)

彼女はゲールマンに師事した最初の狩人であり、その衣装からカインハースト出身と考えられ、また不死の女王アンナリーゼの傍系にあたるという

マリアの狩装束
ゲールマンに師事した最初の狩人たち
その1人、女狩人マリアの狩装束
カインハーストの意匠が見てとれる
不死の女王、その傍系にあたる彼女は
だがゲールマンを慕った。好奇の狂熱も知らぬままに

女王の傍系でありながら彼女は血刃を厭い漁村事件の後に井戸に「落葉」を捨てて時計塔に住みついたとされる

落葉
時計塔の女狩人、マリアの狩武器
カインハーストン「千景」と同邦となる仕込み刀であるが
血の力ではなく、高い技量をこそ要求する名刀である
マリアもまた、「落葉」のそうした性質を好み
女王の傍系でありながら、血刃を厭ったという
だが彼女は、ある時、愛する「落葉」を捨てた
暗い井戸に、ただ心弱きが故に


時計塔の鍵
大聖堂の最上部、時計塔の鍵
巨大な星見時計の裏側にあたるその部屋は
患者たちがマリアと呼ぶ女の、いつからか住処であるという


時計塔に住みついた後のマリアは患者と交流し、彼らを癒そうといていたようである

露台の鍵
実験棟1階、露台の扉の鍵
時計塔のマリアが、患者アデラインに渡したもの
せめて外気と花の香が、彼女の癒しとなるように
だが彼女は、それを理解できなかった

けれどもマリアは実験棟で行われている非道な実験を止めようとはしなかったようである



実験棟

実験棟で行われていた実験の目的は「人を上位者にすること」である

トロフィー:失敗作たち
上位者のなりそこない「失敗作たち」を倒した証

そのための手段として用いられたのが、頭の中を水で満たすことである


脳液
医療教会初期、上位者は海と紐づけられていた
故に頭の患者は、自らを水で満たし、海の声を聞く
そして脳液とは、頭の中で瞳になろうとする
その最初の蠢きであるという

頭の中を水で満たすことで、頭の中に瞳が生まれるとされたのである

だがボス「失敗作たち」やトロフィーにあるように、その試みは失敗に終わったようである

医療教会中期以降は頭の中に瞳を求めることをせず、例えば聖歌隊のように別の手段を求めたのである

聖歌装束
見捨てられた上位者と共に空を見上げ、星からの徴を探す
それこそが、超越的思索に至る道筋なのだ

頭の中に瞳を得るという思想は、ビルゲンワースから引き継がれたものであったが、やがて医療教会はその思想からは決別し、独自の道を歩んでいくことになる

目隠し帽子
帽子の目隠しは、彼らが学長ウィレームの直系である証である
たとえ、いまや道を違えたとしても



時計塔のマリア

さて、こうした非人道的な実験をなぜマリアは看過していたのであろう

心弱き故に「落葉」を井戸に捨て、また患者に対して一定の慈しみすら見せていた彼女が実験棟の実験に賛同していたとは思えない

では彼女はなぜ実験棟のある大聖堂の最上部にいたのであろうか

時計塔の鍵にはこうある

時計塔の鍵
巨大な星見時計の裏側にあたるその部屋は
患者たちがマリアと呼ぶ女の、いつからか住処であるという

患者たちがマリアと呼ぶ女、ということは医療者や医療教会側ではなく患者がマリアと呼びはじめたということである。つまりマリアは医療教会に属する者ではない

また「いつからか」とあるように、マリアは実験棟の最初から時計塔に住んでいたのではない

彼女は誰も知らぬ間にそこに住みつき、まったく自由に実験棟を巡回し、患者たちと交流していたのである

その患者たちとは頭の中を水で満たした患者たちである

頭の中を水で満たし、そこに瞳が生まれると、次に起きるのは瞳の孵化である(瞳が精霊の卵であることは過去に考察している)

精霊は患者に神秘の知恵をもたらし、患者は星輪の幹である「苗床」に変異する

苗床とは星の介添えたるあり方であり、人ならぬ知覚を獲得した眷属である

彼らは人には見えぬものに見え、人には聞こえぬものを聞いていた

脳液(コマドリ)
かつて兄は医療者を志し、妹はそのため進んで患者となった
結果夢のような神秘に見え、兄妹は幸いであった

そしてまた、時計塔に通じる扉は螺旋階段を作動させない限り到達不可能である

にもかかわらず何人もの患者がマリアの存在を証言し、そのうちの1人は時計塔に通じる扉を仰ぎ見ているのである。その全員が頭を水で満たした頭の患者たちであった

つまるところマリアは頭の患者にしか見えない幽霊のような存在だったのである

マリアは実験棟の実験に協力していたわけではなく、彼女自身の現在のあり方ゆえに、止めることができなかったのである

彼女のあり方とは神秘的な不可視の存在ということである

彼女にできたのは、自分を知覚することのできる患者たちの痛みを癒すことだけであった



アストラル

アストラルには「星の」という意味があることは上述した

は本作において重要な概念である。例えば時計塔の直前エリアは「星輪樹の庭」といい、星輪樹は時計塔の方を向いて咲いている

また、聖歌隊は星からの徴(Astral signs)を探し、眷属は「輝ける星の眷属」と言われている

またこのアストラルという英語は神智学(一種のオカルト)において「アストラル体」という概念として用いられている

アストラル体(アストラルたい、英: Astral body)とは、神智学の体系では、精神活動における感情を主に司る、身体の精妙なる部分である。主に情緒体、または感情体、感覚体、星辰体などとも。(Wikipedia)

アストラル体の語源宇宙に遍満するエネルギー「アストラル・ライト」である

まとめると、人間には精神や感情を司る宇宙的エネルギーを由来とする霊的な身体があり、それをアストラル体という


遺志

以上のようにアストラル体とは人の感情を司るエネルギーであり、かつ宇宙的エネルギーでもある

これと類似した概念が本作には登場する

血の遺志」である

血の遺志とはダークソウルシリーズにおける「ソウル」である
両者ともにレベルアップアイテム購入に消費され、また敵を倒すと入手することができる

ソウルとはいわば世界に満ちるエネルギーであり、万物の根源でもあった

血の遺志もまたそのような役割を果たしていることは両シリーズをプレイ済みならば言うまでもなく理解していることと思われる

だが、血の遺志にはソウルにはない制限がある

いや、その前にまず「血の」が余計である。なぜならばこの世界には「血のなき者」も存在するからである

正確には「遺志」こそがソウルと同等の価値を持つのである

そしてソウルにはない制限とは「遺志が力を持つのは悪夢の中だけ」、ということである

遺志は悪夢限定のソウルなのである

悪夢において遺志は、狩人の主体(夢における意識と肉体)を成り立たせるものである



獣性

時計塔のマリアも遺志の力によって創造されたものである

ボスエリアに入った時点で時計塔のマリアはすでに死んでいる。このことは時計塔のマリアに近付くと「死体に触れる」と表示されることからも明らかである

しかしこれは現実の肉体ではない

マリアを倒すと消滅するが、これは現実の肉体がすでに失われているからである(逆にブラドーやシモンは死体が残る)

椅子に座ったマリアの死体は、肉体を持っていた現実のマリアの死体ではなく、彼女の残した遺志から創造されたものである(上述したように遺志は悪夢の世界における創造の力である)

マリアの現実における死はおそらく時計塔のマリアと同じようなものであったであろう

椅子に座って刃物で喉を突いたか頸動脈を切ったのである
そしてそのは左手を伝い床に滴っている

さて、死血に宿るものといえば「遺志」である

時計塔のマリアはこの遺志から創造されたのである。そしておそらくそれはマリアの獣性的な側面を含んだ遺志であった

狩人の悪夢には血に酔った狩人が囚われるという。血に酔うとは獣血に酔うこと、つまり獣性に支配されることを意味している

逆に言えば獣性に支配されていない遺志は狩人の悪夢に囚われない。また血の医療を受けた者には神秘と獣性がともに宿っている

神秘と獣性の相克は血の医療を受けた後のムービーに示されている

狩人マリアの遺志のうち獣性的な側面のみが狩人の悪夢に囚われて形を成し、「時計塔のマリア」になったのである



人形

一方、狩人マリアの遺志のうち神秘的な側面人形に受け継がれている

人形と時計塔のマリアは、狩人マリアの遺志の神秘的側面と獣性的側面がわかれ、それぞれが人の姿をとったものである

時計塔のマリアを倒すと人形が「重い枷が外れたような」と口にするのは、元をたどれば2人は狩人マリアの遺志から生み出された双子のようなものだからである

神秘的側面を体現する人形にとって相反する獣性を体現する時計塔のマリアの存在は、重い枷のように感じられていたのであろう



血族

時計塔のマリアには他にもいくつか不可解な点がある

たとえば彼女は血族であるにもかかわらず、彼女の血を放つ攻撃には「劇毒属性」がない

これは「千景」ではなく「落葉」を使っているから、とも考えられるが、マリアはその落葉にない血刃攻撃を放ち、しかもその血に劇毒がないのである

※同じように血を放つ攻撃をする女王、ヤーナムの血には劇毒属性がついている

そのうえ時計塔のマリアは血(獣性)と炎(神秘)という相反する属性を同時に操るのである
※獣性と神秘の相克については過去の考察参照のこと

オープニングムービーにあるように、血の獣は炎によって焼かれるのである。多くの獣ボスが炎を弱点としていることなどからも、この2つの属性は本来は相反するものである

血に劇毒が含まれず、炎と血を同時に扱えるのは、時計塔のマリアが狩人マリアの遺志の獣性的な側面が生み出したある種の悪夢(アストラル体)だからである

悪夢が肉体とは異なる次元にあるように、時計塔のマリアは現実の血肉から自由な存在である

よってその血の攻撃には「劇毒」は含まれないのである
※劇毒の正体は獣血の主(虫)である

また過去に考察したがマリアはオドンの子を出産している。神秘の存在であるオドンの子を産んだことでその力が宿り、それはとして現われるとも考えられる

※女王、ヤーナムの拘束攻撃と同じメカニズムと思われる
※あるいは遺志的な存在であるがゆえに、神秘と獣性両方の特徴を持ったものだろうか

ある意味で時計塔のマリアは獣性と神秘をかりそめに統合した存在である、と言えるのである



ローレンス

ローレンスについても同様のことが言える

ローレンスは作中では


  1. 大聖堂の獣化した頭蓋
  2. 悪夢の大聖堂の炎の獣
  3. 手術祭壇の人の頭蓋


として登場する

このうち、ヤーナム大聖堂にある獣化した頭蓋現実のローレンスのものである

彼は現実では獣化した後に首を落とされ、しかしその首には精霊が宿っていたために祀られたのである

ローレンスは現実においては、頭蓋(神秘)と獣血の主(獣性)として分断されているのである

これは医療教会の方針が彼をそうさせたものである

「頭の中の瞳実験」が示すように医療教会は神秘を求めようとしてきた一方で、「獣の抱擁」にあるように獣性を制御する実験も行っていたのである

「獣の抱擁」
獣の病を制御する、そのために繰り返された実験の末
優しげな「抱擁」は見出された

神秘の実験と獣性の実験、この二つを自ら受けたのがローレンスである

結果として頭部には神秘が宿り(それはつまり精霊が頭の中に満ち)、大聖堂に聖遺物として飾られ、また肉体は獣血の主となって打ち棄てられたのである

医療教会が目指した血の医療の完成とは、聖血に含まれる神秘と獣性を統合し、獣の病を克服することである

その理想が狩人の悪夢に具象化されたものが炎の獣である

炎の獣は初代教区長ローレンスという名前である
このボスのenemy IDは「kyoukuchouOmega」である

聖書に「私はアルファであり、オメガである」(『ヨハネ黙示録』)とあるように、最初と最後をあらわすと同時に、「全て」「永遠」「究極」といった意味も持つ

初代Omegaの名前が使われているのは、その姿が医療教会の理想とした究極の姿だからである


3.の人の頭蓋は、終に守られなかった過去の誓い、とされている

ローレンスの頭蓋
それは、終に守られなかった過去の誓いであり
故にローレンスはこれを求めるだろう
追憶が、戻るはずもないのだけれど

過去の誓いがなぜ人の頭蓋になるのか?

答えは人の頭蓋そのものにある

つまるところ獣の病を癒すという誓いは獣を人に戻すことに繋がり、現実では獣化したローレンスの頭蓋が人の頭蓋になることは、血の医療の成就を意味するからである

人の頭蓋が意味するのは、獣の病の克服である

しかし、それは悪夢の中にしか存在しない
終に果たされなかった約束なのである


マナス

アストラル体と似たような概念としてマナスがある

神智学の定義によるマナス(英: Manas)とは、人間の心、知性、自我を司っている不可視の身体である。英語のMindと相応している。 (Wikipedia)

宮崎英高氏はインタビュー「心の目」について触れている

開発の開始時に、私たちはこのフォーラムを持っていて、日常的に思い浮かんだことを何でも書いて、チームの他のメンバーがそれを閲覧できるようにしました。私は、心の目の意味や人々に対するその制限、あるいは血や獣の変容についての議論、そしてそのような他の本当に意味のないものについて書きます。

※心の眼は英語では mind's eye の字が使われている

あるいは心の目とは、マナスの目を意味しているのかもしれない


蛇足

アストラル体に踏みこまずとも説明は可能だったかもしれないが、「アストラル」という用語にはそういった怪しげな概念がついてまわることに触れておきたかったのである

ちなみにアストラル体の元となった「アストラル・ライト」を提唱した隠秘学者エリファス・レヴィや神智学のヘレナ・P・ブラヴァツキー、また人智学のルドルフ・シュタイナーといった者たちが活躍したのはヴィクトリア朝の時代である(やや時期が外れる者もいる)

特にルドルフ・シュタイナーは神秘思想と医学を積極的に結びつけた業績があり、その方向性は医療教会と重なる部分もある


2020年7月8日水曜日

Bloodborne 考察33 眷属

眷属

本作に登場する眷属は以下である

一般エネミー

脳喰らい
星界からの使者(小)
蛍花
星の子ら
瞳の苗床
ロマの子ら
学徒

ボス

星界からの使者(大)
白痴の蜘蛛、ロマ
星の娘、エーブリエタース
失敗作たち

※厳密には星界からの使者(小)ならびに学徒にはバリエーションがある


眷属という言葉

眷属という言葉は意外なほど作中に出てこない

眷属の死血
上位者に連なる、人ならぬ眷属たちの死血
英文:Coldblood of inhuman kin of the cosmos, brethren of the Great Ones.

トロフィー:イズの大聖杯 輝ける星の眷属たちの故郷 その封印たる「イズの大聖杯」を手にした証
英文:Acquire the Great CHalice of isz that seals the home of the cosmic kin.

手記
眷属
英文:Kin of the cosmos

ゲームシステムの一環であるトロフィーと手記をのぞけば眷属の死血のみである(調査不足の可能性あり)


苗床

さて、結論から言うとこれら眷属たちに共通する属性は「苗床」であることである
それは人であるなしに、精霊の住む苗床である

「苗床」
この契約にある者は、空仰ぐ星輪の幹となり
「苗床」として内に精霊を住まわせる

実験棟ではある種の実験が行われていた。それはアデラインイベントを通じてプレイヤーに提示されるが、簡単にいうと上位者になるための実験である

脳液
医療教会初期、上位者は海と紐づけられていた
故に頭の患者は、自らを水で満たし、海の声を聞く

目的は上位者になるものである。そのための方法として頭の患者は自らを水で満たしたという。その結果として患者の頭の中には瞳が発生した

脳液
そして脳液とは、頭の中で瞳になろうとする
その最初の蠢きであるという

この瞳と啓蒙との関係性は過去の考察で述べた

瞳は精霊の卵であり人に啓蒙をもたらすものである
また脳液を啜り続けたアデラインは最後にカレル文字「苗床」をドロップして反応がなくなる

これらの事実から鑑みるに、アデラインの頭の中には「瞳」が産まれそれは精霊として孵化し、最終的に彼女は精霊を住まわせる「苗床」になったと考えられる



失敗作たち

上位者になろうとする試みはある一定の成果はあげたのであろう。だがそれはついに成功に至らず失敗に終わった

それを名で示したのが失敗作たちである
実験は失敗した。ゆえに上位者と海とが紐づけられていたのは「医療教会初期」だけなのである

失敗作たちはそうした実験の延長線上におり、アデラインに起きたことから推論するに、彼らは「苗床」になったと考えるのが自然である

そして彼らは眷属である。まるで唐突に、しかも当然のように眷属なのである

眷属とは輝ける星の眷属たちとされ、「」と深い関係にあることがわかる

一方、カレル文字「苗床」も「星の介添えたるあり方を啓示」し、「苗床」になったものは「空仰ぐ星輪の幹」になるとされる

「苗床」
星の介添えたるあり方を啓示する

なぜ両者はともに「」との関わりを示すのか?

眷属と苗床は表現の仕方は異なれど、同じ内容を語っているからである

それはつまり両者はともに「上位者の眷属」であるということである
人であれ上位者であれ、苗床としてのあり方をしているのであれば、その者は「眷属」なのである



子ら

星の子らロマの子らは正確にはエーブリエタースやロマの子ではない(すべての上位者は赤子を失っている)

では何なのかというと、星の子らはエーブリエタースと同じ精霊を内に宿した苗床であり、ロマの子らはロマと同じ精霊を宿した苗床なのである

星の子らは孤児院の子どもたちを苗床にし、ロマの子らは恐らくビルゲンワースの学徒を苗床にした者たちである

使者については考察途上である。元狩人であろうとは思うが彼らの正体の究明に関しては今後の課題である



Kin

さて、では苗床とはそもそもなんなのか

精霊を住まわせることは「苗床」により明らかである。しかしながらなぜ精霊を住まわせることができるのか、という疑問が生じる

眷属は英文では血縁、親族、親類を意味する「Kin」という単語が使われる

ここに答えそのものが記されている

Kinつまり「菌」である

菌といっても幅が広いが、「真菌」あるいは「粘菌類」である

精霊はキノコや粘菌となったを喰らいながら増えていくのである
このことは狩人が「苗床」を装備したときの外見からもうかがえる

内に精霊を宿すキノコ人間


軟体生物や宇宙生物という見方もできるが、これはキノコ人間である
※内に精霊を宿す苗床でもあるので、その攻撃には触手や精霊そのものの姿が見える

精霊は一個の菌類的世界(宇宙)となった(苗床)に棲みつき、そこに生える菌類を食べているのである



粘菌

真菌あるいは粘菌のどちらがより「苗床」に近いかというと、個人的には「粘菌」だと思われる

というのも、漫画版『風の谷のナウシカ』において粘菌は非常に重要な役割を果たし、それは最後には腐海の苗床になるのであるが、その様や説明が「苗床」関連の用語と共通するものが多いからである

本作における粘菌(ねんきん)とは、ヒソクサリが土鬼軍による兵器転用を目的とした実験の過程で突然変異したものをいう。従来の瘴気マスクが効かず、蟲さえも死に至らしめる猛毒の瘴気をまき散らしながら巨大なアメーバ状の体(変形体)で周囲の物を飲み込み、さらには大海嘯の直接的な引き金となったことで土鬼の国土に壊滅的被害をもたらした。最終的には飲み込んだ王蟲の群に付着していた腐海植物の苗床としてその大部分が吸収され、腐海生態系の一部として取り込まれる形で安定化した。
腐海にはもともと微小な粘菌が生息しており、ナウシカもこれを研究していた。ナウシカはその経験から大海嘯の真の意味を理解するに至った。 (Wikipedia)

※蟲は上位者や精霊、腐海は悪夢や苗床にたとえられようか。変異体の粘菌は相違はあるがオドンになるか

クトゥルフ的には「ユゴスよりの菌類」という植物や菌類に近い異形生物が当てはまるだろうか。優れた医術と科学技術を持ち、人間の脳を取り出して生かし続けることもできるという。このあたり医療教会やエーブリエタース関連と繋がるかもしれない



悪夢

過去の考察悪夢とは上位の苗床であるということを述べた
上記の苗床=菌類説をとるのならば、悪夢とは上位次元に生える巨大な「キノコ」のようなものである

それはカバラにおけるセフィロトの樹のクトゥルフ的パロディと言えるであろう

セフィロトの樹をキノコにしたものが悪夢である

そんな逆さまに生えた巨大なキノコ(宇宙)に棲んでいる生物が「上位者」なのである

しかし彼らは生物であるがゆえにオドンという毒(水銀毒)からは逃れることができなかったのである。水銀中毒に陥った結果、すべての上位者は赤子を失ったのである



養殖人貝

かぎりなく眷属のような姿をしている「養殖人貝」は眷属ではない
これは眷属=菌類説から説明することができる

「人貝」とあるように「養殖人貝」は「」である

実は貝類も軟体生物の一種であり、その生態はむしろ本作の精霊に近いものである
つまり養殖人貝は精霊の一種であり、養殖とつくのは、人造の精霊だからである

養殖人貝は苗床(菌=眷属)ではなく、ある種の精霊なのである

また養殖人貝とよく似た姿をしている漁村民精霊と人間との混血種である

漁村民のenemy IDは「DeepOnes」というが、これはクトゥルフ神話における「深きもの」のことである。インスマウスの影に描かれた深きものは、ダゴンとヒュドラを始祖とする半漁人的な生物であり、クトゥルフを崇拝している

この深きものと人間の混血種こそが港町インスマウスに住むインスマウス人たちである(インスマウス面と呼ばれる特徴をもつ)

つまり、彼らは苗床ではなく精霊と人との混血によって誕生した亜人である
ゆえに漁村民は眷属ではないが、精霊的な形質を受け継いでいるのである