ストーリーとキャラ 70/100
序盤(1~5章)のどん底から少しずつ盛り返し、中盤(6~8章)で面白くなってきたかと思えば、終盤(9~12章)でふたたび盛り下がっていく
大雑把に言えばアビスに関わるストーリーの質がいまいちで、とくに9章プレイ時は頭の中に終始「?」が浮かんでいた。10章~12章に関してはまず用意されたシーンがあって、それに合わせてストーリーを構築したような無理やり感が否めない
逆に灰色たてがみとして動くストーリーは面白い。カルフェイド城戦やペイルーン奪還戦はストーリーやキャラクターの動悸や目的がはっきり分かりやすいことと大規模戦の爽快感が合わさってシンプルに楽しかった
ただしボスキャラに何度も逃げられる展開は頂けない。またか、と思ってしまう。カットシーンの殺陣のクオリティが映画並に高いだけに、ストーリーのぎこちなさが余計に勿体なく感じる
全体的に灰色たてがみの再興・復讐譚にアビスの設定を押し込もうとしてまとめきれずに空中分解しているような、まとめるのを最初から諦めているような、そんな印象を受けた
ただ中盤があることで筆者のストーリー評価は以前のレビューよりも上がった。これだったら灰色たてがみの再興・復讐譚とクリフの成り上がりをメインに据えて、アビスの関与はもっと薄くしても良かったのではないか
キャラに関してはクリフもウンカもデミアンも存在感が薄いが、そんななかでもヤンがほんの少しだけ気を吐いたか
ヤンのクエストは「馬に乗って着いていく」ばかりで少し苦痛なのだが、戦場におけるヤンの表現は光るものがある。もっと嫌味なキャラでああいう感じに登場するとギャップが生まれてキャラに深みが出るように思う
ウンカとデミアンに関してはプレイアブルだというのにほぼ空気。この2人は7章と8章で強制で操作させられるが感情移入してないキャラを動かせと言われてもテンションは上がらないし、唐突感が否めない
クリアした上での率直な感想だが、この程度のキャラクター性ならばクリフじゃなくキャラメイクさせて欲しかった。むしろオリキャラの方が感情移入できたし没入感も増したのではないだろうか
あまり評判のよろしくない12章のドラゴン戦。個人的にはそんなに悪くなかった
飛空艇を先につぶして、バルカン砲→カノン砲、ミサイルという順に倒すと楽オープンワールド 90/100
サンドボックス系オープンワールドとしては出色の出来。採掘、伐採、農業、畜産、漁業などはもちろんのこと、水面を氷で凍りつかせたり、イバラを燃やせたり、光反射で肉を焼けたり、死体を水の中に投げ込んだり、やろうと思えば大抵のことは出来てしまう
やや動作の繋ぎが不自然(砥石に座る際の足踏み)なところが気になるものの、類似作品に比べれば格段に違和感は少ない
世界の造り込みは尋常でないレベルで、他のゲームだったら世界に一ヶ所だけのような大都市が複数あるし、それぞれ特色があって個性的(それを100%活かせているかというと疑問だが)。これ以上の規模のものは今後五年は出てこないような気がする(GTA6に期待)
都市の外に目を向ければ固有の生態系が構築されている森林や雪山、砂漠などが確かな実在感を宿して広がっている。動物の種類が多いのも嬉しい
個人的にはメインストリートやサブクエストを放置して、広大で深遠なフィールドを漂っている時がこのゲームの最も面白い時間であるように思う
この上質の世界シミュレーター上に構築された世界観については魅力に乏しいところがある。どこかで見たような種族に敵対関係、設定が散見され、それらもほとんどが表面的なものに留まっている。せっかくハイクオリティな世界があるのにちょっともったいないなと思う次第である
また根本的にMMOをソロ用にしたゲームの域を出ておらずMMOが楽しめない人だと厳しいかもしれない。それはつまり膨大な時間を消費しながら75%くらいの楽しさを延々と味わうのを楽しめる人向けという意味である
MMOの流れを汲んでかサブクエは多くがお使いクエスト(研究所クエの研究中断は許さない)なのも残念
とはいえサンドボックス系オープンワールドとしては傑作である。ストーリーやゲームデザイン、操作性、世界観に甘いところがあるものの、それらを支えているサンドボックスの土台は揺るぎない
BlackSpace Engineの性能は驚異的で、リッチなグラフィックに比して動作は非常に軽い。筆者の環境(WQHD、ウルトラ設定、RR、DLSS)ではVRAM消費が8GBを上回ることはなかった
ただしケレンミの少ないフォトリアルなグラフィックは個人的にはそれほど好みではない。とはいえ紅の砂漠はある意味でBlackSpace Engineのデモンストレーションの面もあるのだろうから、クセの少ないグラフィックであるのもやむなしか
※ヨーテイやデススト2ではスクリーンショットを撮りまくった筆者だが、本作では風景の写真を1枚も撮っていない(猫を抱いたクリフの写真は撮った)。意識していたわけではないのだが、なぜかそういうことになった
操作性 75/100
操作性が改善されたことでゲームプレイはかなり快適になった。独特の操作性はそれでもとっつきづらいし、クリア後も操作を間違えてもたもたしてしまうこと多々だが、発売直後よりはスムーズに動けるようになっている
滑空と空中機動のスタミナ消費が下げられたことで掌波ジャンプ→滑空→空中機動という動きも楽になり、機動性の面では一般的なオープンワールドのようにすいすいと動けるようになったのも○
もし仮に発売直後から今のような操作性であったのなら、操作性が酷すぎてゲームを返品した、という例は激減していたかもしれない
筆者としては現時点の操作性ならばなんとか許容範囲であり、優れてはいないが慣れも含めてぎりぎり平均点くらいはあるように思う
ただし、これは筆者の個人的な現象なのだが中盤あたりから何故かセーブとロードを間違えるミスが頻発して困った。こまめにセーブしていたしオートセーブもあるので最大でも1時間ほどのやり直しで済んだものの、どうして操作に慣れてきたタイミングで間違えるのか今でも分からない
それから地図はタッチパッドボタン一発で起動できた方がいい。オプションボタン+に機能を集約しすぎているような気がする。デュアルセンスのオプションボタンはやや硬めで頻繁に押すのに親指が痛くなる(そのうえオプションボタン押し続けなくてはならない)
ズーム(タッチパッド)とメニュー(オプション)を逆にして、押し続けではなくタッチパッド1回でメニューを開けるようにしてほしかった
また状況によってボタンを押したのに認識してくれないことがある。例えば掌波ジャンプ後の滑空(□)は稀にまったく受けつけなくなり、□を連打しても翼を広げてくれなかったりする
戦闘中、状況によって攻撃ボタンを押しても出ない場合や違う技がでることがある。これは落ち着いて操作をニュートラルに戻してからボタンを押せば発生しないのだが、攻撃系の反応が全般的に悪い気がする
戦闘 80/100
「集中」はすべてのボスをギミックボス化するようなポテンシャル(集中→パリィ or 回避するQTEのようになる)を秘めているし、「風の帳」はミサイルを射出してくるロボット系のボスを確実にギミック化するが、それをプレイヤーに気づかせるための動線が欠けているように思う(伝播とかも気づきにくい)
バレル男爵23号は風の帳でスタンさせたあとに頭部に突き(R1+△)を入れて深く刺す(R2)と、バリアを破壊できてインスタンスキルできるギミックだと考えられる(1ゲージ目はよくわからず)
ただしストーリーで戦うことになる飛雷戦車はスタン時間が短すぎて頭部バリアを破壊することが難しかった
飛雷戦車と狂雷戦車に関しては距離を取ると近づいてこないので、風の帳でミサイルを延々と撃ち返して倒した。空中突きを試してなかったのでもしかしたら、それでいけるかもしれない
ギミックに気づかないまま戦ったりすると、どうしても「クソボス」という印象を持ってしまう。ただし一旦それに気づけば、このゲームはソウルライクではなくアクションアドベンチャーであることを思い出させてくれる
雑魚戦に関しては追撃ギアと属性ギアを積み重ねることによりだいたい瞬殺できるようになる
ロボット系は強いように見えて掌波で攻撃すると動きが止まるし、大型ロボも剛掌波でわりと簡単に倒せる。また大型ロボは背中のタンクも弱点
大型ロボ接敵から撃破までの流れ
ついでに機械兵
つまるところ、アクションの腕前ではなく知識があれば楽に戦える系のゲームである。紅の砂漠のジャンルがアクションアドベンチャーなのもこのためであろう
戦技に関しては多種多様なものがあるような印象だが、実際は大まかに剣技系と弓系、格闘系しかない。剣技系は武器種ごとにモーションは違うが動かし方はほぼ同じ。弓は技自体が数えられるほどで無限爆発矢が強いかなくらい。また格闘系は使っていないので言及できない
![]() |
| 無限矢。矢を消費しない |
剣技系はR2押しっぱなしの前進斬り、R1+R2の回転斬り、L1+R1→R2の疾風斬りの3技に集約される。この3技を擦り続けることになり、ボス戦もギミック戦以外はこれで済む
ギミック戦以外のボス戦は料理を食べながらの正面からのドツキ合いで解決する(多少はパリィや回避もするが)
料理を食べながらの正面からのドツキ合いの例。闇王ベロス。HPと精神が回復する料理をドカ食いしながら前進斬り→回転斬りのコンボのみ。
以上のように戦闘の幅は広い(モーション、武器種)ようにみえて、深みはそれほどない。ジャンプや格闘、弓や掌波を組み合わせてオリジナルのコンボを追究してもいいのだろうが必然性は乏しい
簡単にコンボが出せて爽快感があり、集団戦やボス戦にも応用が利く。繰り返すが本作はオープンワールドであり、またアクションアドベンチャーなのでこのくらいがちょうど良いのかもしれない
ただしカットシーンやリトライ後に装備が片手剣と盾に戻ってしまうのは明確に不満が残る。十字キー左のサークルメニューから元の武器種を変更する他、武器交換攻撃(L1+L2)という対策もあるものの、面倒なことにはかわりない
またアビスアーティファクトが全キャラで共通なのはいかがなものか(体力と気力、精神は共有されるが)。別キャラを使いたいと思っても時間のかかるスキル初期化→スキル振りがあるので面倒
パズル 75/100
一般的なクイズなりパズルでは出題者側が最初にルールを提示し、その後にクイズを出題してプレイヤーがそれに答える、という流れになる
ところが紅の砂漠の場合は、想定される問題をプレイヤーが推測するところからはじめなくてはならない。プレイヤーは「あってるのか分からない」まま総当たり的に試行錯誤し、運が良ければやがて正解にたどりつく(無理ならYoutube行き)
つまりパルズの基本的なルールである「ルールの提示→問題の提示→解答→正誤」の流れが曖昧なので正解しても希薄な達成感しか得られない。何をしていいのか分からない場合さえある。難易度が高いとか低いとかそれ以前の問題である
ゆえにプレイヤーは正解に至ってもなんとなく釈然としない気持ちを抱えることになる
こうしたルールが提示されない問題はパズルだけではなく、クエストや戦闘、ボス戦や採集、製作といった幅広いシステムに共通している
手探りで理解していく楽しさは否定しない。ただ紅の砂漠の場合はあまりにも説明不足な点が多くプレイヤーの理解度が足りないというより単純に理不尽なだけ、という印象が残ってしまう
あるいはSNS上で情報交換されることを想定してあえて基本的なルールを提示しない方針をとっているということも考えられる
ただしパズルの中には環境からルールを推測しやすいものもあるし、地図上でアビスを選択するとヒントのようなものも提示される(アビスの情報が表示される範囲はすごく狭い)
こうしたことから紅の砂漠のパズルは基本的なルールやヒントを提示しない方針の元に作られているのではなく、単にヒントの出し方が下手なだけのようである
しかし中にはルールが明確でよく考えればすぐに答えにたどり着けるものもある。そうした例の一つが「夢の木」で、ここは初見で一発クリアすることができた
このパズルは一本動かない石柱があることで「石の高さを合わせればいいのだな」ということが直感的に分かるし、高さを一単位ごとに動かしていけば解ける(一単位の半分だけ上げてとかいう「影の森丘の遺跡」は許さない)
ただし夢の木のマップヒントは「沸き上がる溶岩が眠るアビス。鋭い剣先だけが怒りを鎮める鍵となるだろう」という代物で、やはりヒントの出し方が下手である
総評 78/100
発売直後から物議を醸した本作であるが操作性については速やかに改善された。それでもぎこちない部分は残っているし賞賛されることはないだろうが許容範囲には収まったように思う
だがもう一つの大きな不評点であるストーリーとキャラクターに関しては、改善はなかなか難しいのではないか、という話もある
しかしながらこの点に関してはストーリーは1回クリアすれば終わりであること(嬉しいことにもう進める必要がない)、またクリフのキャラクター性が限りなく希薄であることからクリフをオリキャラであると思いこむことも可能である
この2点さえクリアしてしまえば、あとはサンドボックス系の傑作オープンワールドがプレイヤーを楽しませてくれるはずである
なんならストーリーは8章くらいから進めなくても良い(システムがそのあたりでだいたい開放される)し、キャラクターに関してはキャラクター性がさらに空虚なウンカとデミアンを使うという手もある(摂理の力がないので非常に使いづらいが)
メインストーリーをクリアした筆者のアドバイスとしては、必ずしもストーリーをクリアする必要はない。むしろやらなくていい。ストーリーを適当なところで止めてオープンワールドを探索したほうが絶対に楽しめる
※クリアを優先した先行レビュワーが虚無ったであろうことはクリアした今なら分かる。決してクリアを急いではいけない
4章、5章、あるいは8章くらいで止めて気が済むまで探索するのをオススメする。ドラゴンに乗りたければ11章まで進めなくてはならないが、もう少し早い段階で登場させるべきだったと思う
本作はクリフという名有りのキャラクターが主人公であったためか、いくつかのレビューサイトはストーリー評価を重視しすぎるきらいがあったように思う(ウィッチャー3やサイバーパンクを期待したのかもしれない)
しかしながら本作はサンドボックス系のオープンワールドであり、サンドボックス系のオープンワールドとしては傑作である。ゆえにあまり出来のよろしくないストーリーのことなど忘れて、オープンワールドの世界に浸ればいいのである
そのような姿勢で遊ぶのであれば楽しめる作品である
※これで3度目のレビューだが結局78点に戻ってきてしまった。評価項目と点数は即興で決めていったのだが、最後に点数の合計を評価項目数で割ったら78という数字が出て自分でもぞっとしてしまった



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