2020年7月18日土曜日

Bloodborne 考察35 星見時計

時計塔にある星見時計の外縁にはカレル文字が描かれている

このカレル文字は星見時計の回転により下端に位置するときにだけ光を放つ

これらのカレル文字を合成したのが下の画像である

実際は下端に位置するときにだけ光る



謎のカレル

全部で14のカレルが描かれているが、そのうちでまったく正体不明なのは右側にある3本のヒモが絡み合う図柄のものである

※他の図柄も完全にカレル文字に一致するわけではなく、細部のデザインが異なっているもがある。「淀み」や「オドン」などである

3本のヒモが絡み合っているようにも見えることから、3本目のへその緒に関連したカレル文字であるかもしれないし、また未使用アイテムにある「輝く線虫」に関連するものかもしれない


カレル文字単体では確たる結論は出せない、というのが正直なところである



回転

※この項はややこしいので飛ばして次の項にいっても構わない

この外縁は時計回りに回るが、時計塔の裏側から見て時計回りなので表側から見ると「反時計回り」に回っていることになる

このことから出来事を時系列を逆順にたどっているのではないか、という説がある

しかしながら、表側に面した時計盤はきちんと時計回りに回っており、裏側が時計回りに回ることで表側から見れば時が正常に進む機構となっていることが分かる

ただし時計=時を司る=回転は時系列をあらわす、という連想は自然なことと思える

重要なのはここが悪夢の世界であると言うことである。悪夢の世界が「逆さま」であることは狩人の悪夢の構造などから推測可能である

であるのならば、時もまた「逆さま」であり、つまるところ時計回りに回ることは、悪夢の世界では時間を遡ることなのである

ややこしいのだが、この時計盤は「反時計回り」が正しい回転の向きなのである。よって時系列を読み解くには反時計回りに読んでいくことが正しいのである

星見時計が時計回りに回ることで狩人の秘密に通じる扉が開く。このことはつまり過去に遡ることを意味している。要するに時計盤が時計回りに回ることは、時間を巻き戻すことなのである

そして始点(「深海」)に戻った時計盤が時間を進めるには反時計回りに回ることが必要になってくる

それはつまり、「深海」のあとに「湖」が来るような順序である

時系列順に番号を振ったのが以下の画像である。0からスタートし0に戻ってくる反時計回りが悪夢における正しい時間の進み方である(それはヤーナムがたどった歴史である)



※秘密を暴露するために時計は時計回りに回ったが、それは時系列を示すものではなくリセットするためのものである



時系列

始点に戻ったのち、反時計回りに回ることでヤーナムの歴史が時系列順に示される




反時計回りに見ていくと、まずは始点である「深海」がある。このカレルには七本の枝(上位者を示す)が上昇する図が描かれている

上位者は大量の水(悪夢)と現実との境にある「湖」から現実へと侵入し、湖の水に淀み」ができる

淀みから「オドンの蠢き」(図柄に瞳が見える。「瞳」とはすなわち卵である)が生じ、「姿なきオドン」として宇宙に上昇していく

さらに「導き」や「瞳」、「月」といった上位者に関係するカレルが誕生し、やがてそれは「拝領」として人類に降り注ぐ

聖血には聖なる部分と穢れた部分があり、穢れた部分からは血族が生まれ、それに対抗すべく処刑隊(「輝き」)が誕生、不明なカレルを経て、処刑隊は「狩人」となる

その後に獣の病が蔓延し、「獣の抱擁」の失敗を経て、すべては「深海」へ還っていく

時計を反時計回りに読み解くならこうなる。淀みからオドンが発生することや、狩人より処刑隊が先発することなど異論はあろうが、それなりに筋は通っているように思える



境界線

画像が見づらくなるので最初の画像には記していないが、時計の外縁には2個所、境界線と思われる線が走っている

姿なきオドンから拝領までのギザギザの線と、深海に見える弧を描くような線である



このうち上の線(オレンジの線)空と宇宙との境界を示すと考えられる
※宇宙といっても現実の宇宙ではなく悪夢の空の彼方にある宇宙である

は言うまでもなく宇宙にあるものである。または星の娘エーブリエタースに関連するカレルである。導きも「月光の聖剣」と関連する

姿なきオドンはその図柄から惑星(あるいは)から何かが垂れている(あるいは上昇している)ようにも見えるし、拝領は何らかの隕石や彗星から血が垂れているようにも見える

姿なきオドン拝領の途中で線が外縁に接しているのは、そこが地上と宇宙との接点(それは現実と悪夢の接点)だからであろう(その接点において人は拝領を得、オドンの子を身ごもる)

下の弧を描く青い線は「水平線」である
これはその下に深海があることからも分かるかと思う

では、宇宙と深海の配置は実際に天と地という世界構造を意味しているのであろうか

そうではない。なぜならばカレル文字が光るのは文字盤の下端に接している時だけだからである(この画像はあくまでも合成画像であり、実際にこのように表示されているわけではない)

しかもその時カレル文字は「逆さま」である

時計の回転により宇宙と深海とが入れ替わる、つまり天と地が逆転することを示しているが、しかし宇宙も深海も「同じ場所においてのみ光る」のである

これは逆さま世界の悪夢においては、深海も宇宙も下端、つまり悪夢の世界における上端(空)にあることを示しているのである



拝領

各カレルにはそれぞれ固有の幅がある
最も広いのは「拝領」であり、次に深海、そして姿なきオドンの順である



各幅の意味については正直なところ分からない

ただしこれらの幅が時計盤の時刻を示すエリアによって表わされていることから、活動している時間を示しているのではないかと思える節がある

最も活動期間が長いのは拝領である。拝領の涙滴型からは宇宙空間を飛来してきた彗星を想起させるものがある(左右にある点は星である)

まず外縁宇宙から上位者が地球に飛来したのである。それは宇宙から地球への「拝領」を象徴する出来事であった

地球に降り立った上位者は悪夢(深海)に棲まい、やがて湖を通じて現実へと侵入していったのである。そしてついに古い上位者オドンとなって再び宇宙へと上昇したのである

オドンからは導きや瞳、月に関連する上位者たちが生まれたがその時すでにオドンは宇宙(悪夢)へと去った後である(オドンは個にして全の存在である。エーブリエタースの親の個体は宇宙へ去ったが、別の個体はいまも淀みから誕生してくる)

星の娘エーブリエタース見捨てられた格好になり、またアメンドーズは憐れなる落とし子として存在することになったのである。また月の獣は神秘と獣性の相克により傷ついている

その後、人類の短い歴史のなかで処刑隊やハンター、医療教会などが誕生し今に至っているのである



右回り、左回り

時計盤の「拝領」を境にして左に神秘右に獣性のカレルが集まっているようにも見える



「月」メンシスの脳あるいはアメンドーズである
メンシスの脳が月のカレルを落とすことや、アメンドーズ像がそびえるヤハグル教会の狩人がドロップすること、また宗教的な時空アメンドーズの姿がよく見られることが理由である

「月」
悪夢の上位者とは、いわば感応する精神であり
故に呼ぶ者の声に応えることも多い

時計をに回ることで人は獣に近づいていく(獣化する)、つまり「右回りの変態」を行うわけで、その効果は「血」と関係の深い「HP」を高める効果があることも一致している

「右回りの変態」うねる十字は「変態」の意味が与えられ
右回りのそれは、HPを高める効果がある

また左回りの変態はスタミナであるが、神秘的な変態とは「苗床化」である

「左回りの変態」
うねる十字は「変態」の意味が与えられ
左回りのそれは、スタミナを高める効果がある

持久力のマーク緑色の水滴のような形をしている


なぜこのマークが選ばれたのか長らく不明であったが、苗床がある種の植物であることを考えるのならば納得がいく

獣化が体力を上昇させるのならば、苗床化は持久力を上昇させるのである。なぜならば植物の中には動物と比べて非常に長い寿命を持つ種があるからである

植物における長寿体力の過剰から達成されるものではなく、気の遠くなるような持久力の成せる技である

体力のマークが血と心臓をあらわす赤いハートであるならば、持久力のマークは水と葉緑素をあらわす緑色の滴なのである

不死へのアプローチ2種類ある。に象徴される体力を極限まで高めることで達成される不死と、苗床に象徴される持久力を極限まで高めることで達成される不死である

その2つのアプローチ(進化)が、右回りの変態と左回りの変態として発見されたのである

「右回りの変態」「左回りの変態」
血の発見は、彼らに進化の夢をもたらした
病的な、あるいは倒錯を伴う変態は、その初歩として知られる

※持久力のマークは「拝領」にも似ている


時計の針

時計の針は最初の状態では「導き」「獣の抱擁」を指し示している



「導き」はルドウイーク、「獣の抱擁」はローレンスを撃破することで入手出来るカレル文字である

このことは現時点において狩人の悪夢がルドウイークとローレンスの時間であることを示している。それはつまりボスとして存在していることのヒントであろう

また、想定されたルートではルドウイーク→ローレンス→マリアという順にボスを倒していくことになる。ルドウイークとローレンスの討伐、そしてマリアの星見盤を合わせることで星見時計が動き始めることを意味しているのかもしれない

またルドウイークとローレンスはともに神秘と獣性を兼ね備えたボスである。そんな2人の対称性を明示しているのかもしれない





蛇足

時計盤がブラッドボーンの歴史を表わしたものではないか、という説は根強いものである

恐らくこの時計盤には1つの意味ではなく、いくつもの意味が重ねられており多様な読み方が可能である

不明なカレルや導き、また淀みに関しては考察が足りていない。過去の考察と矛盾する点についても取捨選択やすりあわせを行いながら修正していく必要があるだろう

7 件のコメント:

  1. 最近Bloodborneを遊び始めたのですが、エンディングを迎えても何が何やら全くわからないままでした。ストーリーや設定を知りたくて考察サイトを転々とするなかここに辿り着き、シードさんのBloodborneの考察に全て目を通しなんて素晴らしいゲームなんだと思い知らされました。ありがとうございます。
    周回プレイは動画で学び直しながら楽しみたいと思います。

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    1. 考察を読んでいただいてありがとうございます
      私としてもいまだにストーリーについてはよくわかっていません
      いろいろと考えてはみるものの途上の感は否めないところです
      しかし素晴らしいゲームであることは自信を持っていえます

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  2. 素晴らしい考察。まさしく、星見盤であったということだな。

    DLCなだけあって答え合わせ的な部分もあるのだろう。そう考えると信憑性もある。

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    1. ありがとうございます
      DLCはストーリーと同様に今まで隠されていた秘密が明らかになっていく感じがしますね
      いくつかの秘密をつなぎ合わせると何かが見えてくるのかもしれません

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  3. 意見をお聞きしたいと前々から思っていたので、誠に恐縮ですが、ここに書かせていただきます。

    私が初見でクリアした際に、ビルゲンワース・メンシス・医療協会がそれぞれ行っていたことを、主人公が統合したことによって上位者へと至ったのだと、直感的に感じました。

    まだあまり考察なども読んでいなかった頃のことなので、実に幼い考えであったと思うのですが、間違いでもなかったのではないかと思っています。ビルゲンワースの「瞳」、メンシスの「上位者とのコンタクト」と「祈り」と「獣性の抑え込み」、教会の「血の拝領」これらすべてがかみ合ったからこその幼年期の始まりであると思うのです。いかがでしょうか。

    また、オドン=血の遺志=遍く神秘そのもの と解釈していました。遺志が神秘を引き起こし、変態さえ起こすというのは、夢の中ではしばしばおこることだと思います。この解釈についてはいかがでしょうか。

    突然失礼いたしました。もしよろしければ意見などいただけますと嬉しいです。

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    1. 初見でそこまでの洞察を得られるとは素晴らしい「瞳」をお持ちだと思います

      「幼年期のはじまり」に到達するためのプロセスとして重要な分岐点となるのは「3本目のへその緒」の使用です(逆にいえば「3本目のへその緒」を使用しなければ絶対に「幼年期のはじまり」には到達できません)

      各陣営の最終的な目標は「上位者になること」だと思います(具体的な方法は各自で異なりますが)

      彼らの試行錯誤の課程において偶発的に3本目のへその緒が得られ、“結果的に”狩人がそれら「3本の3本目」を入手したと考えるのならば、各陣営を統合したことで狩人が上位者になった、という考察は妥当はものだと思われます

      しかしながら彼らの思想や行いが3本目のへその緒をもたらした、というよりも3本目のへその緒はほとんどすべてが偶然的にもたらされたもののように思えます(特にアリアンナ)

      ラヴクラフトの宇宙観は、「人間一般のならわし、主張、感情が、宏大な宇宙全体においては、何の意味も有効性ももたないという根本的な前提」といったものです

      またコズミックホラーの説明としてよく言われるのが「無機質で広漠な宇宙において人類の価値観や希望には何の価値もなく、ただ意志疎通も理解も拒まれる絶対的他者の恐怖に晒されているのだという不安と孤独感をホラー小説に取り込んだもの」(wikipedia)です

      宮崎英高氏はインタビューにおいてクトゥルフホラーの影響を口にされていますので、これらクトゥルフ的な様式も踏襲していると思われます

      オドン=血の遺志=神秘については、血の遺志は悪夢における第五元素(万能エネルギー)であると考えます。まず遺志があり、その遺志から上位者や悪夢が芽生える、といったようなイメージです
      オドンは上位者オドンと呼ばれていることから、あくまでも上位者の範疇なのだと思います

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  4. いつも楽しく拝見しております。
    別の事を考えてヤーナムを散策していて気になった事があったのでコメントさせて下さい。

    最初に気になったのはゲーム内の時刻でした。ゲーム開始した直後に時計の鐘の音がしたような気がして、今何時なんだろうと思い散策をはじめました。

    当然最初に聖堂上層部にあるマリアがいる、星見時計を見に行ったところ、星見時計の後方(嘆きの祭壇のある施設)にある時計は9:35でした。入り口あたりからなのでよく見えず、星輪草の庭から確認しようとしたところ、何故かカメラがロックされて上が見えないため近くから確認することは出来ませんでした。

    その時についでに星見時計を確認したのですが、二つの針が指し示しす位置はDLC世界と同じ位置でした。
    そこで気になって旧市街の星見時計(デュラのいる施設)を見に行った所、指し示す位置は同じ位置でした。
    確認したのがロマ後(赤月)だったため、周回してエミーリア後(月の出)に見に行ったのですが、やはり指し示す位置は同じでした。

    ということは可能性として、
    ①月の出と赤月は同じ時刻である
    ②月の出と赤月は時刻は異なるが星見時計は同じ位置を指すものである

    ①だと仮定すると、確かにロマが隠匿しているだけで赤月だけど月の出に見えているだけということで納得できなくもないです。ただ、オリアンナや偽フカが一瞬で産気づいて出産するのはちょっと厳しそうなので数時間は経っていそうなのは気になります。

    ②だとすると、実際の時刻を示す時計塔が別にある以上、この星見時計は時刻以外のものを指し示しているのかなとおもいます。星見であることと、12であること、から推測するとやはり針の一つは月を表していると推論するのが素直かと思います。となるともう一つの針は我々でいうところの日に当たる部分のでは?という推論からの推論に至りました。その場合12日あるいは24日を1月とすると流石にズレが大きすぎたので、発想を逆にして1周360度を30日で割って1日を星見時計の12度ごとに1日が割り当てられているのでは?と推論しました。輝き〜抱擁あたりが1カレルあたりは大体12度〜15度程度に当たりるので、まあまあ採用できなくもないかなというところです。つまり”9の月 狩の日”や”10の月 抱擁の日”という、ヤーナムごよみというべきものを星見時計は指しているのかと思います。
    その場合、”拝領の日”などが長すぎるので、カトリックなどが採用する教会暦のように数日をまとめる”節”と呼ぶのがしっくりします。


    仮定②を採用した場合の時計の役割をまとめますと
    1: ヤーナムにおける時刻は嘆きの祭壇施設上の時計で示される(我々と同じ24時間制?)
    2: 星見時計は月日を表す
    3: 片方の針が”月”を示し、もう片方が”節を”示す
    4: ヤーナムの人々はこれに従って生活する
    という「星見時計=ヤーナムごよみ節」になるかと思うのですがこの仮説いかがでしょうか?星見時計が示しているものが何かを考える場合に引用すべき資料などありましたらお教え下さい。

    蛇足:
    ヤーナム暦で考えると、この日は満月かつ獣の抱擁の日であり、獣の抱擁が指し示すようにエミーリアはおぞましい獣の姿となりました。抱擁の日=満月=獣狩りの日がいつか?を知る事が重要であったことは、輝きの節〜抱擁の節が細かくなるべく正確になるよう刻まれていることからも見てとれます。
    またその15日後の”導きの節”=新月の闇にルドウイークが導きの小人を見出し、3日後の”月の節”が三日月=レベルのアイコンとなるのもこの節が気に入っている点であります。

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