本考察は前回の「デミゴッドの誕生」を整理・修正し、敷衍的考察である「神の血」を追記したものである
デミゴッドの誕生
デミゴッドたちは皆マリカの子であるという
デミゴッドたちは、皆が女王マリカの直接の子(指読みのエンヤ)
彼らの具体的な生誕については不明な点が多い
そのため本作の軸となる設定であるにも関わらず、霊廟に眠るデミゴッドなど、そもそも何なのかすら分からないものも存在している
しかしながらデミゴッドの誕生法を示唆するのではないかと思われるセリフをメリナは口にする
…貴方のお針子、ボックさん
時々、泣いているの
お母様が恋しいみたい
美しいと、言って欲しいって
…母とは、母から産まれるとは
皆、そういうものなのだろうか…(メリナ)
このセリフは特殊な状況下にあるメリナにだけ当てはまるものと解釈することもできる
メリナはマリカに近しい存在であると考えられ、特異な誕生をしている可能性が高いからである
例えばメリナのプログラム上のコードネームは「MaricaOfDaughter(娘のマリカ)」である
これをマリカの娘と解釈するか、それとも字義通りに娘のマリカと解釈するかについては、また議論の分かれるところであろう
いずれにせよ、メリナがマリカと極めて近しい関係にあるということは間違いではなさそうである
しかしながらメリナ自身は黄金樹の麓で産まれたことを何のてらいもなく語っており、そこに自分だけが特別であったというニュアンスは含まれていない
私は、黄金樹の麓で産まれた
そこで母から使命を授かり
けれど、すべて無くしてしまった
…それを、確かめなくてはならない
焼け爛れ、霊の身体となってまで、私が生き続けている理由を
メリナを現在のような特殊な状況に追い込んだのは、産まれ→使命を授かり→焼け爛れ→すべてを無くしてしまった、という過程を経てのことである
つまり産まれて使命を授かったところまでは彼女にとってイレギュラーな出来事はなかったのである
このような状況にあるメリナが奇妙な感慨を抱いたのが、ボックに代表される亜人たちの生誕法である
…母とは、母から産まれるとは
皆、そういうものなのだろうか…(メリナ)
メリナにとっては母から産まれる亜人たちの方が例外的であることを述べたセリフと解釈することも可能であろう
つまり狭間の地では母から産まれる亜人たちの生態の方が普通ではないのである
逆に言えばデミゴッドや黄金樹の民(以下黄金の民)は母から産まれるのではなく、別の方法で誕生することを示唆したものと解釈することもできるのである
地下墓地
では具体的に黄金の民はどのようにして誕生するのであろうか。それに関しては地下墓の扉にその光景が描かれている
扉には黄金樹の根元に埋められた死者が、枝先から再び誕生する情景が描かれている
メリナの前言を考慮するのならば黄金の民の誕生を象徴的に描いたものと解釈することもできる
つまり黄金の民は母から産まれるのではなく、黄金樹から直接的に誕生するのである
このような奇妙な生と死のサイクルをもつ黄金の民は、母から産まれる亜人に喰われると、亜人の生と死のサイクルに混じってしまうために、黄金樹へと還ることができなくなると考えられる
…ああ、助けてくれ。俺は貴族なんだ
あいつらに、混ざりものどもに喰われたら、俺も永遠に…
ああ、それだけは嫌だ、穢さないでくれ!(モーン城の幻影)
黄金樹の雫
ただし黄金の民は扉絵のように枝先が変形して産まれるのではなく、いくつかの根拠から黄金樹の雫として滴ることで誕生すると考えられる
恵みの祝福
かつて黄金樹は、恵みの雫を滴らせた
これはその残滓であろう
恵みの雫は時間が経つと琥珀になるが、琥珀には生命の原始的な力が宿っている
緋琥珀のメダリオン
琥珀とは、黄金樹の古い雫であり
最初のエルデの王、ゴッドフレイの時代に
特別な宝石として扱われた
それは生命の原始的な力を宿している
死王子の杖にはこの琥珀が死王子自身の一部であると明記されている
死王子の杖
汚れた琥珀が埋め込まれた杖
それは、死王子の一部であるといい
死の魔術を強化する
つまり死王子と琥珀は本性を同じくする存在であり、その起源を辿ると黄金樹の雫に行き着くのである
「硬化」は時を経てかたまったという意味 |
滴り落ちた黄金樹の雫が黄金の民となり、また何らかの要因により誕生しなかった部分はやがて琥珀になる
そして特にマリカの強い関与を受けた黄金の雫が変化するのがデミゴッドたちと考えられる
※強い関与の具体的な方法については後述する
霊廟に眠る多くのデミゴッドたちも、滴り落ちた無数の黄金樹の雫から誕生したと考えられる
これらにより黄金樹の麓で産まれたというメリナの言葉を黄金の民の文脈で解釈できるようになる
すなわちメリナもまた母からではなく、滴り落ちた黄金樹の雫から誕生した存在なのである
そして黄金樹の麓とは黄金樹の枝先から滴り落ちた雫が着地する場所なのである
琥珀のタマゴ
黄金樹から滴り落ちた恵みの雫のうち、マリカの強い関与を受けたものはデミゴッドに変化する
しかしながら稀にデミゴッドとして誕生せずそのまま琥珀として硬化してしまうものがあった
それが産まれなき者の大ルーンである琥珀のタマゴである
産まれなき者の大ルーン
満月の女王、レナラの抱く琥珀のタマゴ
産まれなかったデミゴッドの大ルーン
「産まれ直し」を完全なものにする
レナラの、産まれ直した子供たちは
皆脆弱であり、また短命である
それは完全ではなかったのだ
琥珀のタマゴは産まれ直しを可能にする大ルーンだが、そのためには雫の幼生というアイテムが必要になる
雫の幼生
銀の雫と呼ばれる、変態生物の核
生物と物質の中間にあるもの
満月の女王レナラの抱く、琥珀のタマゴ
その秘めたる「産まれ直し」の素材となる
雫の幼生は銀の雫と呼ばれる変態生物の核である。一方琥珀のタマゴは黄金樹の雫がデミゴッドに変化せず硬化したものである
琥珀のタマゴと核を融合させることで再誕が可能となるということは、逆に言えばデミゴッドが産まれなかった理由は核がなかったから、となる
つまり雫の幼生には宿るべき雫(銀の雫)が足りず、逆に生命の力を宿す琥珀のタマゴには宿すべき核が存在しないのである
そこで雫の幼生という核を琥珀のタマゴに移植することで生命を再誕させる技術が生みだされた
それが産まれ直しである(現実に例えると人工授精的な手法であろう)
そしてこのときに誕生する生命は、まったく新しい生命ではなく褪せ人(プレイヤー)の模倣となる
なぜなら銀の雫は生命を模倣して再誕することができるからである
銀雫の殻
銀の雫と呼ばれる、不定形生物の硬化した殻
永遠の都と、その近辺で見つかる
銀の雫は生命を模倣する
模倣はやがて再誕となり
いつか、王になるのだという
産まれ直しは、ステータスリセットというゲームシステムを、物語の設定に落とし込んだものと言える
補足:不完全な産まれ直し
レナラの産まれ直した子どもたちは不完全であり、それは脆弱性と短命を特徴とする
産まれなき者の大ルーン
レナラの、産まれ直した子供たちは
皆脆弱であり、また短命である
それは完全ではなかったのだ
脆弱と短命とは生命の力が衰えた状態である。生命の力とは黄金樹を象徴する力である
産まれ直しが不完全だった者たちは、この黄金樹の力と拮抗する月の力(霊の力)が強すぎたために、生が弱まり、不完全な産まれ直しとなったものと考えられる
マレニア
さて、ここから少し話が変わるが、過去の考察でも述べてきたように、マレニアには花として咲く植物的な性質がある
朱きエオニア
マレニアの腐敗の女神たる技
大輪の花を開き、朱い腐敗を爆発させる
朱い花が咲く度に、マレニアは腐敗する
それはもう二度咲いた
三度目に、きっと彼女は女神となる
同じように花として咲くのがマレニアの血縁とも近親とも、分け身とも言われるミリセントである
…貴方様も、見てみたくはありませんかな
最上の蕾であるあの娘が、最上の花と咲く様を
…どうか、ミリセントを殺してくだされ。貴方様の手で(ゴーリー)
実は、私はマレニアの血縁のようなのだ
私が彼女の子なのか、妹なのか、あるいは分け身なのか、それは分からない
けれど確かに、彼女との間に、近親の繋がりを感じるのだ(ミリセント)
またゴーリー言わせれば、ミリセントの母はマレニアである
…ほう、そうですか。あの娘が、そんなことを…
如何にもミリセントらしい、幼い言葉ですな
しかし、よいではありませんか
なんであれ母に、マレニア様に近づくのはよいことです
それが彼女たちの、運命なのですから(ゴーリー)
そのミリセントは赤子の頃にエオニアの沼でゴーリーによって拾い上げられたという
…ミリセントは、私が拾い上げたのですよ
まだほんの幼い赤子の頃、エオニアの沼でね
あれは、私の愛しい娘の、一人なのです(賢者ゴーリー)
そのエオニアの沼はマレニアが朱い大花として咲いた場所であり、そのときゴーリーはマレニアの腐敗の律に魅せられたという
…マレニア様とラダーンが戦い、エオニアに朱い大花が咲き誇った日から、私は魅せられているのですよ
マレニア様と、その艶めかしい腐敗の律に。爛熟輪廻の理にね…(賢者ゴーリー)
まとめるとエオニアの沼でマレニアが咲き、その後に同じエオニアの沼で赤子のミリセントたちが拾い上げられたという流れになる
デミゴッドたちは黄金樹の雫から誕生したことは先述した。このデミゴッドにはマレニアも含まれている
ではミリセントたちも黄金の雫から誕生したのであろうか?
まずエオニアの沼で咲いたとき、マレニアは黄金律ではなく腐敗の律を掲げる存在であった
…マレニア様とラダーンが戦い、エオニアに朱い大花が咲き誇った日から、私は魅せられているのですよ
マレニア様と、その艶めかしい腐敗の律に。爛熟輪廻の理にね…(賢者ゴーリー)
この時のマレニアは黄金律ではなく腐敗の律の理の影響下にあったことになり、黄金樹の雫から子を生みだすことはできなかったと考えられる
さて、過去の考察でマレニアの朱い大花は花というよりも菌類の子実体に近いものであると述べた
朱い大花となったマレニアは、黄金樹が雫を滴らせるのと同じように胞子を飛ばしたのであろう
その結果、黄金樹の雫からデミゴッドたちが産まれたのと同じように、マレニアの放った胞子から彼女の分け身が発生したのである
ではなぜそれはただの朱い腐敗ではなくマレニアの血縁という特別な存在になったのであろうか?
端的にいえば、血縁という言葉どおりマレニアの血が宿った胞子のみが彼女の分け身となったと考えられる
ミケラの聖樹
つまるところ神人(神)の血が植物に宿ることで神の子どもたちが産まれるのである
聖血の木の芽
鮮血を含んだ、育つことのなかった若芽
かつて、幼き聖血を与えられ育てられた若芽が
その原種であるという
ミケラが聖血を若芽に与えていたのは、若芽に神の血を吸わせることで聖樹に育つからである
聖樹紋の大盾
無垢金の聖樹が描かれた、金属の大盾
ミケラの聖樹に仕えた騎士たちの得物
聖属性のダメージカット率が高い
しかし、聖樹は醜く育ち
美しい聖樹は見果てぬ幻想となった
聖樹とは無垢なる黄金の理を体現する新しい黄金樹たりえる存在である
ラダゴンの光輪
しかし、幼きミケラは原理主義を捨てた
それが、マレニアの宿痾に無力だったから
無垢なる黄金、そのはじまりである
ミケラの聖樹は結果的に醜く育ってしまったが、その完成形は黄金樹である。つまりミケラは黄金樹を模倣しようとして聖血を聖樹に注いでいたのである
これは完成形である黄金樹を育てたマリカの先例に則ったものであろう。つまりマリカもまた黄金樹に聖血を注ぐことで聖樹を育てたのである(マリカのそれは黄金樹となった)
神の血と植物の混淆による生殖。この構図が黄金樹やそれに連なる神の子供たちの誕生の秘密である
黄金樹は神の血を吸い上げることで聖樹へと成長する。そして吸い上げた神の血を黄金の雫と混ぜることで黄金の民を生みだすことができるのである
そして特に神の血の濃い者が強いデミゴッドとなり、薄い者は弱いデミゴッドや黄金樹の民となるのである
あるいは一般的な黄金樹の民には神の血は一滴も入っていないとも考えられる
一般的な黄金樹の民は純粋な黄金樹の雫から誕生し、デミゴッドたちは黄金樹の雫+神の血から誕生するのである
故にケネス・ハイトは、神の血の混じったゴドリックではなく、自らを正統であると自称したのかもしれない(ケネスは神の血を含まない純粋な黄金の雫から誕生したと考えられる)
神の血
ここから先は本考察の結論をもとに本作全体を考察し直すとどうなるか、という思考実験である
※全体像を描くために考察が不十分な箇所が多くあり、下書きやプロットに近いものである
黄金樹の雫の項で、マリカの強い関与を受けた雫がデミゴッドとして誕生すると述べた
強い関与とはマリカの血を与えられることである。そして与えられた血が濃ければ濃いほど強いデミゴッドになる
ただ接ぎ木のゴドリックだけが、遠い子孫にあたり…
故に神の血は薄く、最も弱かったのだから(指読みのエンヤ)
マリカはおのれの血を黄金樹に吸わせ、神の血を宿した黄金の雫を滴らせることで無数のデミゴッドを誕生させたのである
※霊廟のデミゴッドたちを考えると、マリカがおのれの胎からすべてのデミゴッドを産んだとは考えにくい
原初の黄金がより生命に近く赤味を帯びていたのは、神の生命を宿す赤い血が混じっていたからである
オルドビスの大剣
原初の黄金は、より生命に近く
故に赤味を帯びていたという
この剣は、その古い聖性を宿している
運命の死が赤い色をしているのは、神の血が生命を象徴すると共に神やそれに連なるデミゴッドたちの死をも象徴するからである
運命の死とはマリカの体内に流れていた血であり、その封印は彼女の肉体から血をすべて消失させることを意味していた
※マリカはエルデンリングの宿主である。彼女がエルデンリングと一体化していると考えると、その肉体の欠片(肉や体液、血)はエルデンリングの欠片(ルーン)に等しい
現在のマリカの肉体が枯れ木のようになっているのは、すべての血液が失われてしまったからである
※これまでマリカの肉体は石化しているものと考えていたが、マリカを含む黄金樹の民が植物的な性質をもつことを鑑みるのならば、枯れているという方が相応しいように思える。(化石かした樹木と考えられなくもないが)
しかし運命の死を封印後、黄金樹は雫を滴らせなくなり新たなデミゴッドは誕生しなくなってしまった
黄金樹の回復
かつて、黄金樹は豊穣であった
そして、それは束の間であった
すべての生命と同じように
そこでマリカは一計を案じる。巨人戦争で流された火の巨人たちの血を取り入れることでラダゴンという半身を得たのである
巨人の赤髪
巨人たちは、皆一様に赤髪であり
ラダゴンは、自らの赤髪に絶望したという
それは巨人の呪いだったろうか
※この現象には狭間の地における血液の特殊性(後述する)が影響している
巨人の血は呪いとなりラダゴンの赤髪として発現してしまうが、ラダゴンは停滞した現状を打破すべく行動を開始する
ただしマリカの時と同じようにおのれの血を黄金樹に注ぐことはできない。なぜならば巨人の血はそのままでは黄金樹を燃やしてしまうからである
そこでラダゴンはレナラと結ぶことで、黄金樹に拠らぬ神の生殖能力を復活させようとしたのである
第一次リエーニエ戦役
赤髪のラダゴン、英雄となる
第二次リエーニエ戦役
黄金と月に勝者はなく
だが贖いと、結びが生まれた
巨人の血を宿し黄金樹に連なるラダゴン、黒い月に連なるレナラの血を混ぜることで、新たなデミゴッドを誕生させようとしたのである
ノクステラの月
それは、彼らが失くした黒い月を模している
ノクステラの月は、無数の星を従えていた
※レナラの出自は古い星見である。星見はその源流に無数の星を従える黒い月があると考えられる
※黄金樹の神と黒い月の神の末裔の交合により、新たな神の一族を誕生させようとしたのである
結果的にそれは成功する。新たなデミゴッドが誕生し、うち一人は神人として選ばれた
神人とは黄金律に代わる律を掲げるデミゴッドのことであり、停滞した黄金律を打破する存在でもある
しかし神人たるラニは新たな神になることを拒絶する。そこでマリカは月の力(魔術)を得たラダゴンを王配とし自ら神を産むことを望む
そしてマリカは、巨人の火に抗することのできる魔術を修めたラダゴンの血を黄金樹に与えたのである
※巨人の火(火の力)、魔術(月の力)、祈祷(黄金樹の力)はこの世界においてそれぞれ同じレベルの力を持ち拮抗する。すなわち元をたどれば神の力である
しかし巨人の火を完全に制御することができず、ラダゴンの血に混じった巨人の火によって黄金樹は燃えてしまう
最初の炎上があったことは黄金樹が褪せ人によって燃やされる以前からローデイルに積もっている灰によって示唆されている
古竜戦役の痕跡と解釈することもできる |
しかしそれでも黄金樹は雫を滴らせ、そこからミケラとマレニアという双子の神人が誕生する
けれども、このとき実はもう一人マリカの娘が産まれていたのである
…探しているの
かつて、黄金樹で母から授かったはずの、私の使命を
焼け爛れ、霊の身体となってまで、生き続けている理由を(メリナ)
※三つ子でないのは、黄金樹の雫から誕生するというデミゴッドたちの性質によると思われる。つまりミケラとマレニアは同じ雫から誕生し、メリナは同時に滴り落ちた別の雫から誕生した
炎と共に産まれたメリナは、種火の使命を母であるマリカから与えられたが、同時に炎によって焼け爛れ、肉体を失ってしまう(巨人の火の力が発現した)
使命の刃
使命に旅立つ者に与えられた短剣
この一振りには、その古い持ち主たる
種火の少女の力が残っている
炎と共に歩む者
いつか、運命の死に見えん
そして巨人の火を恐れたラダゴンにより彼女は禁域の一室に幽閉されてしまったのである
※メリナが身体を焼かれた時期については暫定的なものであり、未確定である。霊体が成長するのであれば赤子の頃も考えられるし、成長しないのであれば一定の成長後に自分の血に焼かれたと考えられる
神の血
本作の物語の中心を貫くのは「神の血」である。しかしそれは用心深く、細心の注意を払って作中から秘匿されている
その数少ない痕跡が、聖血の木の芽にある幼き聖血を与えられ育てられた若芽の話である(他にモーグ関連がある)
聖血の木の芽
鮮血を含んだ、育つことのなかった若芽
かつて、幼き聖血を与えられ育てられた若芽が
その原種であるという
なぜ幼き聖血(神人の血)を与えなくてはならなかったのかを考えたとき、黄金樹と神の血の関係性に気づいた
つまり黄金樹は神の血を吸い上げることで聖樹として育ち、また吸い上げた神の血を黄金の雫として滴らせるのである。そして神の血の濃い雫からはデミゴッドが誕生するのである
ミケラが目指した聖樹とはこのような生と死のサイクルを構築するものであり、故におのれの血を聖樹に吸わせるために自ら聖樹に宿ろうとしたのである
本作で示される黄金樹と生命の循環は、黄金樹を中心とした神の血の循環と言い換えられるものである
そして特別なのは神の血だけではなく、巨人の血や星見の血などもこの世界においては特別な効果を発揮する触媒である(どれも元をたどれば神とその血に行き着く)
本作における血液は、比喩的な意味で生命を表わすのではなく、生命そのものなのである
蛸たま
乳白色に膨らんだ、陸ダコの卵巣
陸ダコは繁殖のために人を喰う
卵巣の赤い血は、人血である
そして血液としての生命を取り込むことで、血の主の生命とその形質(力)を得ることができるのである
過去の考察でエルデンリングとは生命の環という結論を述べた。しかしそれはエルデンリングの側面の一つを指摘することしかできていなかった
正しくはエルデンリングとは血液の循環によって生じる生命の環のことである
本作における生命は抽象的な概念ではなく、血液という物質に還元されるものである
補足
ミケラとマレニアの生が脆弱だった理由
腐敗の女神の追憶
ミケラとマレニアは、唯一人の神の子供である
故に二人は神人であるが、その生は脆弱であり
一方は永遠に幼く、一方は腐敗を宿した
ラダゴンの血に宿る巨人の火の力や魔術の力よって、黄金樹の雫に宿る黄金樹の力が弱められた結果、生の脆弱な神人として産まれた(魔術:巨人の火:黄金樹の力の三すくみの結果)
褪せ人の戦うラダゴンが巨人の炎を使わない理由
マリカと同じようにラダゴンはその血をすべて黄金樹に注いでしまったから(残ったのは祈祷と魔術を統合した黄金律原理主義としてのラダゴンである)
英雄ラダゴン(巨人の血、祈祷、魔術)から巨人の血を引くと、黄金律原理主義ラダゴン(祈祷、魔術)が残る
蛇足
本考察の多くは未完成かつ暫定的なものである
狭間の地は神や外なる神々の争いの場であり、神々がそれぞれの勢力を拡大すべく干渉したのが血液であったように思う(オドンを彷彿とさせる)
腐敗の神(腐敗した血液=朱い腐敗)や巨人の火(火の神である悪神の血は炎)、真実の母(傷を望み血を授ける)、黄金樹(黄金樹の雫=黄金の血)
神や外なる神は血に干渉、もしくは血を送り込むものたちとも考えられる
そしてそれぞれの神に起源をもつ血液が混淆し、混ざり合い、拮抗した結果がいまの狭間の地の状況をもたらしたのかもしれない
黄金樹や月、腐敗や真実の母というふわっとした神々やその力の根源には、血液という物質があるのである
一見して明るく華やかなエルデンリングという物語は実は神々の血によって紡がれた陰惨な物語なのかもしれない
いつも考察記興味深く拝見させていただいています
返信削除神の血と黄金樹による誕生方法はすごい説得力があると思いますが、ゴッドフレイへの言及がないのが少し引っかかりました。
黄金の一族と呼ばれるデミゴット(私はゴッド~系のデミゴッドが黄金の一族だとと認識しています)はゴッドフレイの子孫と書かれています(ゴドリックの大ルーン)
ということは何らかの方法でゴッドフレイも初期デミゴッド誕生に関わっていると思われます。
マリカの伴侶として血の繋がりのない形式だけの父とすることも可能ではあるとおもいますが。(キリスト教における処女懐妊を彷彿させる)