朱い腐敗に関しては過去の考察「朱い腐敗の概要と考察」で、それが菌類に近い性質を持つことやエオニアの花が花弁ではなく子実体(きのこ)であることなどを考察した
しかし朱い腐敗が朱い色をしている理由や、その最も濃度の高い場所がエオニアの沼や腐れ湖のように水と関連する理由については考察が及んでいなかった
今回はそれらと共にマレニアの大ルーンの能力についても考察してみたい
菌類としての朱い腐敗
過去の考察でも述べた「朱い腐敗は菌類の性質を持つ」という点については、変更点はない
それは子実体であるエオニアの花の開花と共に胞子を放出し、付近一帯を朱い腐敗によって汚染していく菌類の一種である
その最汚染地域はエオニアの沼と腐れ湖である。このうち朱い腐敗状態になった際のHPの減り方から腐れ湖の方がより濃度が濃いと考えられる
問題はなぜこの2カ所が沼と湖というふうに水に関連し、またその水が朱いのか、である
この点については、最近の考察で重要視してきた「神の血」が関連するものと考えられる
神の血はデミゴッドの誕生に深い関わりをもつ物質である。そして黄金樹を介した神の血の循環が狭間の地の生命サイクルであった
過去の考察の際に少しだけ言及したが、こうした黄金樹の血の循環から外れたのが、新しい律を掲げる神人の一人マレニアであった
神人たるマレニアは黄金樹とはまた別の血液の循環、腐敗の律を生みだしうる存在だったのである
神人とは、通常のデミゴッドとは異なる存在
エルデンリング、即ち女王マリカの時代が終わったとき
神となり、新しい律を掲げるべく、尊く生まれ落ちているのです(ゴーリー)
そして彼女はラダーンと戦った際にその律の一端を垣間見せ、エオニアの大花として咲き誇ったのである
…マレニア様とラダーンが戦い、エオニアに朱い大花が咲き誇った日から、私は魅せられているのですよ
マレニア様と、その艶めかしい腐敗の律に。爛熟輪廻の理にね…(ゴーリー)
このときマレニアは爛熟輪廻の理、すなわち腐敗の律を体現する神として、黄金樹の循環に代わる新たな循環を生みだした
それが子実体と胞子という菌類の生命サイクルである
黄金樹の生命サイクルは樹木の生態を模したものである
それは若芽として種から芽生え、神の血を吸収しながら樹木として成長し、やがて黄金樹の雫という恩恵を滴らせ、その滴った黄金樹の雫から神の子らが誕生する
一方の腐敗の律の生命サイクルは菌類の生態を模したものである
それは胞子から芽生え、神の血を吸収しながら子実体として成長し、やがてエオニアの花の開花により胞子が放出され、その胞子から神の子らが誕生するのである
つまり律とはこうした生命サイクルのことであり、生命サイクルの様態が異なれば、その律は異なる名前で呼ばれるのである
エオニアの戦い
エオニアの戦いについて言及しているテキストには不可解な点がある
それはエオニアの“沼”の戦いではなく、どれもがエオニアの戦いとしていることである
貴腐の騎士、フィンレイ
フィンレイは、エオニアの戦いの生き残りであり
眠れるマレニアを聖樹に持ち帰った英雄である
彼女は、たった一人、あらゆる敵を退けながら
遙かな道を歩んだのだ
エオニアの戦い
ラダーン、マレニアと相討ち
朱い腐敗の花が咲き誇る(剣の碑)
…マレニア様とラダーンが戦い、エオニアに朱い大花が咲き誇った日から、私は魅せられているのですよ(ゴーリー)
一方で朱い腐敗が出現して以後と思わしきテキストには、エオニアは「エオニアの沼」と記されている
腐敗壺
それは、エオニアの沼から生じており
恐ろしい疫病のように生命を蝕む
エオニアの蝶
朱い枯葉の羽を持つ蝶
エオニアの沼で見られる
蟲のグレイブ
硬質の貝殻の類を磨き上げたグレイブ
エオニアの沼から湧いた、蟲たちの得物
物理以外のカット率が僅かずつ高まる
つまりエオニアの“沼”は、エオニアの戦いの後に出現した“沼”であり、ラダーンとマレニアが剣を交えたその時代にはエオニアには沼はなかったと考えられる
朱い腐敗や蟲たちが生じ、エオニアの蝶が見られるというエオニアの沼は、マレニアが咲いたことで出現したのである
※公式トレーラーにはマレニアとラダーンの決戦が描かれたものがある。そこはやはり沼ではなくむしろ渇いた大地である。またその最終決着場面においてマレニアは血を流している
朱い腐敗
上述したように黄金律とは黄金樹による神の血の循環によって発生するところの生命サイクルである
であれば、腐敗の律とはエオニアの花(菌類)による神の血の循環によって発生するところの生命サイクルである
エオニアの花となったマレニアは、神の血を循環させることで新たな律、新たな生命のサイクルを構築しようとしていたのである
だがその律はマレニアの覚醒が不完全だったために、不完全な状態で断ち切られてしまい、そのうえマレニアの玉体はフィンレイによって故国へと運ばれてしまった
貴腐の騎士、フィンレイ
フィンレイは、エオニアの戦いの生き残りであり
眠れるマレニアを聖樹に持ち帰った英雄である
彼女は、たった一人、あらゆる敵を退けながら
遙かな道を歩んだのだ
※眠れるマレニア、とあるようにマレニアの不完全覚醒にはミケラ(=トリーナ)の関与があったとも考えられる
結果、エオニアには循環するはずであった神の血だけが残されてしまったのである(考えられる時系列を下に提示してみたが暫定的なものである)
1.マレニアがエオニアの花として咲く
2.周囲に朱い腐敗の胞子がばらまかれる
3.胞子にはマレニアの血が混ざっている
4.周囲が神の血によって染められる
5.神の血を介して朱い腐敗が生物を汚染していく
6.その過程で生物の体液と神の血が混ざり合う
7.6の混合液が増えていき、あたりを沼に沈める
8.エオニアの沼の誕生
神の血による沼地、それがエオニアの沼である
しかもその神の血は腐敗という菌類によって汚染されていた
腐敗によって汚染された神の血、すなわち朱い腐敗である。それが朱いのは、朱い血を媒介とする菌類だからである
ケイリッドの大地を汚染している朱い腐敗は、本来の生息地である神の血から離れたところに根付いた菌であり毒性は低い
その本来の群生地は朱い水の貯まるエオニアの沼であり、その朱い水は神の血を起源とするものである
そして神の血には神の子らを誕生させる力が宿っている
ミリセント姉妹がエオニアの沼で赤子の状態で拾われたのは、エオニアの沼という神の血から誕生したからである
ただしマレニアの神としての覚醒が不完全だったために、彼女らはデミゴッドではなく、マレニアの分け身(血縁)として誕生したものである(まだマレニアは神となっていない)
朱い腐敗とは血液に感染する菌類の一種であり、その起源は外なる腐敗の神にある
腐敗の神の神性は腐れ湖に封印されているが、その汚染された膨大な量の血液は地下に溜まり腐れ湖となったのである
地図断片:腐れ湖
エインセル河の下流に広がる腐れ湖は
外なる神の一体、その神性の
封印の地であったという
※封印されたのは神性のみである。その肉体や血液が封印されたとは記されていない
朱い腐敗が朱いのはその正体が血に感染する菌類だからである。そして朱い腐敗に感染した生物は肉体を菌類に侵食されていく
マレニアの大ルーン
マレニアの大ルーンによると、恩恵には2つの効果がある
緋雫の聖杯瓶の回復量が少なくなることと、攻撃をヒットさせることでダメージの一部を回復することができるという効果である
マレニアの大ルーン
破片の君主、マレニアの大ルーン
それは半ば腐敗しており、恩恵により
緋雫の聖杯瓶の回復量が少なくなる
しかし恩恵はまた、マレニアの抗う意志を宿し
ダメージを受けた直後であれば
攻撃により、ダメージの一部を回復できる
マレニアは、女王マリカとラダゴンの子である
その大ルーンは、最も神聖なはずであった
既述したように腐敗とは神の血(血液)に感染する菌類である
そして緋雫の聖杯瓶が緋色をしているのは、それが神の血に由来するものだからである
緋雫の聖杯瓶
かつて恵みの雫を受領したという
黄金の聖杯を模した瓶
緋色の雫を満たし、使用によりHPを回復する
また、祝福で休むことで補充される
神の血を吸い上げて成長した黄金樹の緋色の雫には生命の根源たる神の血が混ざっているのである(青雫には混ざっていない)
さて、腐敗は緋雫の聖杯瓶の回復量を少なくしてしまうという
これは回復効果が現われる前に緋雫に腐敗が感染してしまい、その生命の力を横取り(消失)されてしまうからである
青雫の聖杯瓶に腐敗の恩恵が現われないのは、青雫には神の血が混ざっていないからである
恩恵にはもう1つ、攻撃をヒットさせるとHPを回復するという効果がある
こちらはマレニアの抗う意志が生じさせる現象とされている
マレニアの大ルーン
しかし恩恵はまた、マレニアの抗う意志を宿し
ダメージを受けた直後であれば
攻撃により、ダメージの一部を回復できる
こちらの効果の機序は不明である。返り血による生命吸収能力とも考えたのだが、そうすると霊体を攻撃しても回復することが説明できない(ゲーム的な都合としてもよいが…)
※ちなみにブラッドボーンのリゲインは「返り血により回復」と誤解されることが多いが、正しくは被弾直後に反撃することで心を奮起させる=HPを回復というメカニズムらしい
抗う意志を炎のメタファーと考えるのならば、ラダーン軍が朱い腐敗を火で食い止めめていることと共通するものがあるのかもしれない
赤獅子の火炎壺
ラダーン軍の生き残りは
今も、火で朱い腐敗を食い止めている
その場合、意志の炎が血中の朱い腐敗の菌を除菌→血液が清浄化されることによりHPを回復というメカニズムとなるか
あるいはマレニアの髪が赤いことから、ラダゴンを経由して火の巨人の能力が発現しているのかもしれない
火の巨人の血(ラダゴン経由)=火=腐敗を食い止める抗う意志=意志の炎=腐敗を食い止める=血液の清浄化=HP回復
巨人の赤髪
火の巨人の、燃えるような赤髪を
編み込み束ねた太鞭
巨人たちは、皆一様に赤髪であり
ラダゴンは、自らの赤髪に絶望したという
それは巨人の呪いだったろうか
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