狭間の地を振り返る
「狭間の地を振り返る」は、既知の情報や仮説を援用しながら、ゲームの流れに沿って狭間の地の物語を振り返るシリーズである
簡単にいうと、新キャラを作るついでに情報を整理していこうという試みである
初回はキャラメイク時の「素性」をとりあげる
放浪騎士
故国を追放された放浪の騎士
金属鎧を纏った堅牢な素性
装備
ロングソード、ハルバード、ヒーターシールド、放浪騎士の兜、放浪騎士の鎧、放浪騎士の手甲、放浪騎士の足甲
故国が狭間の地を指すのか、それとも狭間の地の外の国を指すのか不明瞭である
ただし褪せ人は、かつて祝福を失い狭間の地を追放された者たちの子孫(インタビューより)なので、ここでいう「故国」とは、狭間の地の外にある褪せ人自身の故郷としたほうが適切であろう
放浪騎士の鎧の意匠は騎士の鎧とよく似たものである
剣士
遊牧の民の双刀剣士
特に技量に優れた素性
装備
シミター、鉄鋲の木盾、青布の頭巾、青布の胴衣、剣士の手甲、剣士の足甲
ロア(伝承)的に重要そうなのは剣士である
総合すると剣士は、青い装束を纏った流水の剣の使い手ということになる
青布の胴衣
遊牧の民の剣士の胴衣
布地の青は、清涼な流水の象徴であり
その剣もまた流れる水がごとくである
停滞はやがて淀みとなり、腐りゆく
常に流れ行き、留まることなかれ
これらの特徴は、かつて盲目の剣士に流水の剣を授け、古き神、腐敗を封じた青衣の踊り子とほぼ一致する
青い踊り子
青衣の踊り子を象った布人形
とても古い、伝承の遺物
青衣の踊り子は、妖精であったという
妖精は、盲目の剣士に流水の剣を授け
古き神、腐敗を封じたと伝わっている
また、ここに出てくる盲目の剣士は義手剣士の伝承に登場する宿痾に侵された少女のことと考えられる
義手剣士の伝承
英雄の伝承が刻まれたタリスマン
技量を高める
生まれながら宿痾に侵された少女は
師と、彼の流水の剣と出会い
無双の翼を得たという
生まれながらの宿痾に侵された少女とは、マレニアのことであろう
有翼剣の徽章
翼はマレニアと、その不敗の戦の象徴である
生来の宿痾により癒しを知らぬ彼女の剣は
美しく、ただ熾烈であり続けた
マレー家のローブ
マレー家の男子は、皆病と共に生まれる
だからこそ、マレーマレーは惹かれたのだろう
生まれながらに、腐敗の宿痾に侵されながら
美しくも熾烈な女神に
宿痾に侵された少女が無双の翼を得たように、生来の宿痾に侵されたマレニアもまた翼を不敗の象徴としている
マレニア戦のムービーでも確認できるが、マレニアの両眼は腐敗に覆われて盲目となっている
また青衣の踊り子が「妖精」とされるのは、デミゴッドであるマレニアと人の体格差から生じる現象であろう
以上のように剣士はマレニアと縁の深い素性と言える
勇者
戦斧を振るう屈強な勇者
蛮地の王の末裔とされる
装備
バトルアクス、ラージレザーシールド、勇者の頭環、勇者の肩鎧、勇者の手甲、勇者の脚絆
勇者はホーラ・ルーと関係の深い素性である
勇者は蛮地の王の末裔とされるが、蛮地の王とはホーラ・ルーのことである
勇者の頭環
蛮地にて勇者にのみ許される頭環
多くの敵を屠った証
そして勇者は、余分なものは纏わない
彼らの王、ホーラ・ルーのように
そしてホーラ・ルーとは最初の王ゴッドフレイの戦士としての名である
ゴッドフレイの肖像
ゴッドフレイは、猛き戦士であった
けれど、王となるを誓ったとき
沸々と滾り続ける戦意を抑えるため
宰相の獣、セローシュを背負ったのだ
行儀のよい振りは、もうやめだ
今より、俺はホーラ・ルー
戦士よ!(ゴッドフレイ)
名前の変遷は、猛き戦士ホーラ・ルー→最初の王ゴッドフレイ→蛮地の王ホーラ・ルーということになろうか
盗賊
致命の一撃を狙う危険な盗賊
弓による遠距離攻撃も可能
装備
大型ナイフ、バックラー、ショートボウ、盗賊のマスク、盗賊の胴着、盗賊の腕巻き、盗賊のブーツ
出血武器を持ち神秘が高いことから、血の君主モーグと関連づけたくなるのが盗賊である
ミケラを連れ去った(盗んだ)モーグと、盗むことを生業とする盗賊はその本性において同じ穴の狢なのかもしれない
ただし盗賊の装備品のフレーバーテキストには、血の君主との繋がりを示すものはいっさいない
星見
星に運命を見出そうとする者
輝石の魔術を継承している
装備
星見の杖、ショートソード、聖句の木盾、星見のフード、星見のローブ、星見の手袋、星見のズボン、輝石のつぶて、輝石のアーク
星見は輝石の魔術師の末裔であるという
星見のローブ
彼らは、星に運命を見出そうとした
輝石の魔術師の末裔であるという
だが今や、運命は夜空にはない
また星見は魔術師の前身とされ、そのはじまりは巨人山嶺にあるという
夜と炎の剣
魔術師の前身たる星見のはじまりは
空に近い、遥か高い山嶺にあり
火の巨人が、その隣人であったという
ここで星見、輝石の魔術師、魔術師の関係性を整理したい
まず最古の輝石の魔術を「古い星見」が見出していることから、最初期の輝石の魔術師は古い星見であったと考えられる
創星雨
かつて古い星見が見出した、最古の源流魔術
「伝説の魔術」のひとつ
それは、輝石の魔術のはじまりとされる
星見の垣間見た源流は、現実となり
この地に、星の琥珀が降り注いだのだ
よって輝石の魔術師とは巨人山嶺にいた古い星見のことであり、素性として選択できる星見はその末裔である
星見は古い星見の末裔であり、それら星見の総体を前身とするのが魔術師である
※ここでいう魔術師は星見を前身とする魔術師のことである。レアルカリアやカーリアなどが該当すると思われる。星見は職業ではなく種族とみたほうがわかりやすいのかもしれない
星見は満月の女王、レナラと関係の深い素性でもある
星見少女の伝承とレナラの満月のテキストからは、星見の少女であったレナラが満月と出会い女王になったことがうかがえる
星見少女の伝承
女王の伝承が刻まれたタリスマン
知力を高める
星見の少女は、夜空を見上げ歩いた
ずっとずっと、星を追って旅をした
そして満月と出会い、女王となった
レナラの満月
カーリア女王の象徴となる魔術
女王レナラが、その幼き日に出会い
後に学院を魅了した、美しい月である
つまり星見は霊クラゲのクララ(星見の廃墟でイベントがある)や少女の頃のレナラと類縁の素性であるといえる
霊クラゲの遺灰
ふわふわと辺りを照らす霊体
遠い故郷を探す、泣き虫な少女のクラゲであり
けなげに毒液を吐いてくれる
名をクララというらしい
またカーリア王家に星見の儀式が残っていたことから、カーリア王家に仕えていた者とも考えられる(ゴッドフレイの追放時期にもよるが)
遠眼鏡
カーリア王家の星見の道具
その一部が取り外され、持ち出されたもの
黄金樹の時代、カーリアの星見は廃れていった
夜空にあった運命は、黄金の律に縛られたのだ
預言者
不吉な予言により迫害された者
回復の祈祷を使用できる
装備
ショートスピア、指の聖印、壊れかけの木盾、預言者の目隠し、預言者のローブ、預言者のズボン、回復、火付け
預言者とは信仰の内に滅びの火を見た者のことである
火付け
不吉な預言に由来する祈祷
滅びの火は、黄金樹の禁忌であり
預言者は信仰の内にそれを垣間見る
そして、故郷を追われる
その預言は不吉なものであり、故に預言者は迫害され、故郷を追放される
預言者の目隠し
不吉な予言により
迫害され、故郷を追われた者の目隠し
未来が見えるというのなら
道に迷うことなどあるまい
目など塞いで歩くがよい
預言者の見た滅びの火とは、巨人の火のことである
火よ、迸れ
巨人の火とは、黄金樹を焼く滅びの火である
それ故に、巨人戦争の後に封じられ
監視者たちが生まれたのだ
つまり預言者とは黄金樹への信仰を持ちつつその滅びを垣間見てしまった悲劇の信仰者なのである
この点で棄教者とは決定的に異なっている
ゲーム的に分かりやすく言えば、黄金樹信仰と巨人の火信仰のハイブリッドタイプである
関連は薄いが黄金樹と巨人のハイブリットという構成は、巨人の赤髪をもち黄金律原理主義を唱えるラダゴンと類似している
侍
隔絶した異国たる葦の地の侍
刀と長弓を用いる戦闘者
装備
打刀、ロングボウ、赤茨の木盾、葦の地の兜、葦の地の鎧(軽装)、葦の地の手甲、葦の地の足甲
葦の地に関しては、SEKIROの葦名であるとか日本神話の「葦原の中つ国」など諸説あるが、キャラメイク「外見」では、葦の地は隔絶した異国と言及されている
葦の地顔
隔絶した異国、葦の民の外見
その地は、とても血生臭い
葦の地の兜によれば、葦の地は悲惨な内戦がずっと続いているとされ、イメージ的にはSEKIROの葦名に近いものがある(特にSEKIROの修羅END)
葦の地の兜
文化的な断絶が長く続いたその地では
悲惨な内戦が、ずっと続いているという
故に皆、血生臭い狂気を孕むのだと
また葦の地の大剣客「翁」は修羅となったともされ、SEKIROにおける修羅との関連性もうかがえる
翁面
心を研ぎ澄ますほどに、下らぬものが見えてくる
それらすべてを捨て去った先に、「翁」は生きた
一振りの刀と一人の己。ただそれだけを極めん
そして「翁」は、修羅となった
葦の地に関連しそうなNPCは「翁」の他、エレオノーラ、イナバ衆、ユラなどがいる(ただしエレオノーラとユラは葦の地の武器を使っているだけかもしれない)
エレオノーラの双薙刀
葦の地で鍛えられた双薙刀
純紫の血指、エレオノーラの得物
白備えの鎧
鉄片を繋ぎ合わせ作られた、白備えの胴鎧
大剣客「翁」の高弟たるイナバ衆の装束
長牙(ながきば)
恐ろしく長い刃を持つ刀
血の指の狩人、ユラの得物
その威容は鍛えられた槍のごとく
突き貫く攻撃で真価を発揮する
厳密にはユラの長牙は葦の地で鍛えられたとは明記されていない。鉄の編み笠が葦の地の編み笠に似せて作られたもの=そのものではないことから、長牙も葦の地の武器に似せて作ったものかもしれない
鉄の編み笠
シャブリリと名乗った男の鉄笠
葦の地の編み笠に似せて、作られたもの
その男は、かつてユラと呼ばれていた
一人の女を、心の深窓に住まわせていた
ただしユラは「ざざ虫」なる狭間の地にいない虫の名を口にすることから、葦の地出身であるかエレオノーラ追跡の最中に葦の地に立ち寄った可能性もある
…ああ、儂はずっと、エレオノーラを追っていてな(ユラ)
…ざざ虫めが、苛みよるわ…(ユラ)
ユラ(YURA)は由良という日本語名であるとも解せることから、 葦の地を訪れたエレオノーラがユラと遭遇し因縁が生まれたのかもしれない
翁に関しては、「一振りの刀と一人の己。ただそれだけを極めん」と言っているのに、「脇差し」と二刀流なところがやや不可解である
脇差
右手に刀、左手に脇差という二刀流でも知られる
それは「翁」と呼ばれる、一人の修羅の剣である
囚人
厳刑を宣告された鉄仮面の囚人
元は上流であったようで
輝石の魔術を学んでいる
装備
エストック、輝石の杖、裂け目の盾、虜囚の鉄仮面、虜囚服、虜囚ズボン、魔術の輝剣
初期魔術が魔術の輝剣であることから、囚人はカーリア王家に縁のあるものと考えられる
魔術の輝剣
カーリア王家の古い魔術
王家の魔術騎士たちが用いる剣陣の魔術
その原型であるという
カーリア王家に連なる者がどのような重罪を侵したのかは不明だが、罪を侵した者が鉄の仮面を被せられる事例は「ならず者の鉄仮面」にもある
虜囚の鉄仮面
重罪を侵した囚人が、被せられる鉄の仮面
分厚く、重く、狭苦しい
それは被る者を苛む悪意の塊であり
ゆっくりと、心に何かを醸成する
憎悪を。あるいは、それによく似た強い意志を
ならず者の鉄仮面
罪を侵した囚人が、被せられる鉄の仮面
ならず者こと、ビック・ボギーの装備
それは彼にとって
己の危うさを誇張する、脅しの道具であり
虚勢の殻でもあったのだろう
※関係ないが罪を侵すの「侵す」は「犯す」の漢字を使うのが通例と思う。侵すであることに何らかの意味があるのかもしれない
やや異質なのが「裂け目の盾」である
裂け目の盾
禍々しい裂け目の描かれた
金属製の小円盾
それは、古い「睨み返し」のまじないであり
正気耐性を高める効果がある
裂け目は物の割れた箇所を表わす語だが、それを目(眼球)と解釈することで「睨み返し」のまじないとして効果を発揮するものであろう(あるいは本物の目なのかもしれない)
正気耐性を上昇させ発狂を抑制することから、睨み返しているのは狂い火あるいはその主の狂える三本指であると考えられる
種子から発芽する植物のようにも見えなくもない。あるいは大きなひとつから分かたれる何かを形にしたものか
密使
隠密行動に優れた教会の密使
剣技と祈祷を両輪とする素性
装備
ブロードソード、青紋のヒーターシールド、指の聖印、密使のフード、密使の鎧、密使の手袋、密使のブーツ、性急な回復、暗部の歩法
教会とは二本指の教えを伝える教会である。それは狭間の外に存在し、密使たちはそこから送り出される
密使のフード
闇に溶け込む黒のフード
教会の密使の装備
狭間の外、二本指の教えを伝える教会は
密使たちを祝福の導きに送り出す
決して二本指を裏切らぬ僕として
そして、その敵を密かに狩る刃として
二本指の教えは狭間の地を追放された褪せ人が外の世界に伝えたものであろう
やがて二本指の教えは信仰となり教会組織を築いたようである
狭間の地に帰還した密使たちは導きを失い、その祝福なき暗闇で使命を求めた
暗闇
かつて円卓の暗部として
二本指に仕えた者たちの祈祷
暗部とは、導きを見失った褪せ人であった
祝福なき暗闇で、彼らは使命を求めたのだ
そして彼らは導きを外れた褪せ人を始末する暗部となっていった
暗部の歩法
かつて円卓の暗部として
二本指に仕えた者たちの祈祷
導きを外れた、褪せ人たちの始末屋
それが暗部の任であった
彼ら暗部を率いたのが密使の長クレプスであった
クレプスの黒鍵
長い台座を持つ、黒色のクロスボウ
狙撃用であり、射程距離が長い
円卓の暗部として二本指に仕えた
密使の長、クレプスの得物であった
クレプスの黒鍵で用いられたのは黒鍵の杭である(専用というわけでもなく、またセット効果もない)
黒鍵の杭
「クレプスの黒鍵」で用いられるボルト
繊細な工芸品のごとき、暗殺の道具
複雑に捻じれた矢先は、深く刺さり
塗り込められた朱い腐敗を、体内に送り込む
クレプスの黒鍵を使うNPCに「暮れなずむライリー」がいる。密使装束を纏っているので密使(暗部)と推測されるが、密使の長クレプスとの関係は不明である
暮れなずむライリーは右手に蠍の針も装備しており、密使と朱い腐敗とは何らかの関係があったとも考えられる
蠍の針
大蠍の針を刃となした短剣
朱い腐敗の毒が滴っている
封じられた、外なる神の遺物を用いた
異教の祭具であるという
またライリーは火山館の暗殺対象であり、その侵入地点は腐敗の女神を崇拝するマレーマレーがかつて治めていた日陰城の手前である
火山館は導きを外れた勢力であることから、敵対する密使を始末する必要があったものと考えられる
火山館は、祝福を冒涜し、同胞を狩る背律者の巣(ベルナール)
素寒貧
何故かは知らぬが裸の者
ただ棍棒だけを持つ
装備
クラブ
褪夫(ASEO)
瀬田貞二訳の『指輪物語』ではアラゴルンの二つ名Striderは「馳夫(はせお)」と訳されている
つまり「褪夫」という名は本邦のファンタジー小説翻訳の王道をいったものである
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