騎士団総長ヨルシカの兄はグウィンドリンである
暗月は、本来私の兄、陰の太陽グウィンドリンの騎士団でした
ですが兄は病に倒れ、私が騎士団を引き継ぎました(騎士団総長ヨルシカ)
ヨルシカの聖鈴
先の騎士団長たる彼女の兄が
ヨルシカの名と共に贈った聖鈴
またグウィンを父、グウィネヴィアを姉と呼ぶ
これからも、我らの父グウィンと、我らの姉グウィネヴィアの陰となり
神の敵を狩る剣として、騎士の務めを果たしてください(騎士団総長ヨルシカ)
末子
しかし、末子であるはずのグウィンドリンに妹がいるというのは矛盾する話である
「末子」という用語に関しては様々な解釈があり、跡取りでない子どもをそう呼ぶ、とすることもできる
しかしながら、グウィンドリンのソウルの英訳には「lastborn」とあり、グウィン王の最後の子というニュアンスで語られている
Soul of Gwyndolin
Use the soul of Gwyn’s lastborn to acquire a huge amount of souls, or to create a unique weapon.
これは暗月の光の剣でも同じである
Darkmoon Blade
Miracle granted to those bound by covenant to Gwyndolin, Lord Gwyn’s lastborn.
前置きがながくなったが、今回はこの末子の矛盾について考察してみたい
ヨルシカ
ヨルシカには尻尾がある
蛇の尻尾というには鋭利であり、また先端が分かれ、そして根元に向かって急激に太くなっていることを鑑みると、それは竜の尻尾として良いかと思う
同じ竜の尻尾という特徴を持っていたのがDS1に登場した半竜、プリシラである
プリシラは不義の子とされ、またその白い竜の特徴から、白竜シースとグウィンの王妃との間に生まれたのではないか、と考察したことがある
そしてこの時に想定された王妃の正体はベルカであった
さて、ヨルシカは会話の中で奇妙なことを尋ねてくる
…ひとつ、お聞きしてよろしいでしょうか?
ここは虜囚の塔。孤立して高く、下へ続く仕掛けも、ずっと動かぬままであったはずです
でしたら、貴方はどうやって、ここに参られたのですか?
もしかして、貴方は空を飛べるのですか?(騎士団総長ヨルシカ)
選択肢「空を飛べる」と答える
まあ!やはりそうなのですね
でしたら貴方は竜、あるいはカラスなのでしょうか?
ああ、どちらにしても、懐かしくて、そして不思議な方ですね(騎士団総長ヨルシカ)
ヨルシカは空を飛ぶものの例として、竜とカラスを挙げ、またそれらのどちらにしても、懐かしいと表現する
つまり彼女は過去に、竜とカラスが空を飛んでいるところを間近に見たことがあり、またそれゆえに懐かしいと表現するのである
彼女が育てられたと想定されるアノール・ロンドやイルシールにおいて、神々の敵である竜は異質な存在である
しかし一体だけ神の都に竜が住んでいたことがある
白竜シースである
※絵画世界のドラゴンゾンビではないことは後述する
一方のカラスはDS1の時代から魔女ベルカとの密接な関わりを仄めかされてきた
ベルカの鴉人はベルカの信徒であり、ベルカの教戒師の被る仮面には嘴のような突起がついている
ベルカの仮面。このクチバシ形状はDS3のユリア装備にも受け継がれる |
つまりヨルシカのいう竜とカラスはそれぞれ、白竜シースと女神ベルカに属する生物なのである
そして白竜シースと女神ベルカは、過去の考察においてプリシラの両親と想定した組み合わせである
ヨルシカはそのプリシラと同じ特徴を有している
であるのならば、ヨルシカもまた白竜シースと女神ベルカのあいだに生まれた子と考えられるのである
彼女が竜とカラスをどこで見たのか。先ほど竜は白竜シースと述べたが、実際に彼女が見た竜はエレーミアス絵画世界のドラゴンゾンビだったかもしれない
プリシラと同じ出生であるとするのならば、彼女もまた不義の子であり、エレーミアス絵画世界に追放されていてもおかしくはないからである
とはいえ、プリシラが絵画世界に追放されたのは不義の子であったことが主原因ではなく、彼女が神々の恐れる生命狩りの力を持っていたからである
生命狩りの鎌
エレーミアス絵画世界に閉じ込められた
純白の半竜プリシラのソウルから生まれた鎌
神々さえ恐怖した生命狩りの力を持つが
半竜ならざる者がその力を振るえば
その力は使用者にもはね返ってしまう
一方のヨルシカは生命狩りの力をもたない。彼女を殺害したときにドロップするのは、兄にもらった「ヨルシカの聖鈴」である(所持していない場合「暗月の剣」も)
ヨルシカの聖鈴
先の騎士団長たる彼女の兄が
ヨルシカの名と共に贈った聖鈴
鈴の音は、きっと孤独を慰めただろう
恐るべき力を持たない彼女は絵画世界に追放されず、存在を黙認されたまま、アノール・ロンドあるいはイルシールで育てられたと考えられる
そうであるのならば、ヨルシカが見た竜とは白竜シースしかいない
また忌み者である鴉人はアノール・ロンドに住むことはできない。よって彼女の見たカラスは鴉人ではない
またDS1には不死の英雄を送迎する「大カラス」が存在するが、あくまでも不死院から火継ぎの祭祀場を往復するものである。神の娘であるヨルシカが不死院や火継ぎの祭祀場を訪問したとも考えにくい
よって彼女の見たカラスとは母である女神ベルカの使役する大カラスか、あるいはベルカ自身が変異した姿であったろう
幼い頃の彼女は白竜シースとカラスが飛ぶところをアノール・ロンド(イルシール)の一室から眺めていたのかもしれない
それは空を飛翔する者たちの戯れであり、同時に神の王を裏切る不義の戯れでもあったのである
家系図
さて、話を最初に戻そう
なぜグウィン王の末子と明言されているグウィンドリンに妹がいるのであろうか
この矛盾に対する答えは、次のようになる
確かにグウィンドリンはグウィン王の最後の子、すなわち末子である。けれどもヨルシカはグウィンの実子ではなく、しかし母が同じなのでグウィンドリンにとっては異父妹にあたる
過去に提示した家系図とは相違がある。これは考察が進んだためである |
つまり、グウィン王の最後の子はあくまでもグウィンドリンなのである
ところが、グウィンドリンには父の違う異父妹がいる。それがヨルシカなのであり、彼にとって彼女は妹には違いないのである。そして彼女にとっても彼は兄なのである
こうすることで、グウィンドリンがグウィン王の末子であり、その妹をヨルシカとする関係性が矛盾なく繋がる
一方で、白竜シースとベルカの不貞によって生まれたプリシラとヨルシカは両親に認知されるはずもない
とはいえ、その母は王妃であるから王家に連なるものであり、いうなれば庶子(私生児)である
庶子とは本来、夫が本妻以外の女性に産ませた子のことをいう。王が外に生ませた子は庶子(私生児)として殺されるか棄てられるが、王家の危機には継嗣として存在が重要視されることもある
※王と私生児については、『氷と炎の歌』にもよく出てくる
それはともかく、グウィン王家では表向きは王と王妃の関係は破綻しておらず、不都合な存在である不義の子は絵画世界に送られるか、危険性がないと判断されれば、王都で密やかに育てられた
先述したが、プリシラが絵画世界に追放されたのは、不義の子であると同時に、神々が恐怖した生命狩りの力を持つからである
ヨルシカはそうした力は持たず、その存在を隠蔽されながら育てられたのである
そして彼女は半分は確かに王妃の血を引く王家の者であるがために、王家の体面を保つためにグウィン王の義子として扱われたのである
とはいえ、全知全能たるテキスト執筆者は、グウィン王の末子はグウィンドリンただ一人ということを知っている
それゆえテキストにはグウィン王の末子グウィンドリンと記されたのである
※ヨルシカは恐らくはイルシールのヨルシカ教会に住んでいたと考えられる。ただしヨルシカ教会が与えられたのは、生まれてすぐのことなのか、あるいはグウィンドリンが王家の主神となってからなのかは不明である
プリシラ
動画にいただいた「たなさん」のコメントを元に考察し直したのが以下である
たなさんによれば、グウィンドリンはプリシラとグウィンのあいだに生まれた子どもではないか、とのことである
半竜と神の子であるので、竜の要素が弱まり蛇の要素をもつグウィンドリンが生まれた、とするのがその論旨である
非常にシンプルかつ強力な説だと思う
グウィンドリンの白い要素(青白い肌や白髪)の説明にもなっているし、グウィンドリンを喰らったエルドリッチのソウルから「生命狩りの鎌」が錬成できることも説明できる
母子であるのなら、そのソウルの性質が受け継がれていてもおかしくはないからである
グウィンドリンがプリシラを隠した理由も、彼女が母だったから、と考えることもできる
また、ヨルシカもプリシラとグウィンの子ではないか、とも述べられていた
ただしこちらは、グウィンドリンが「末子」と明記されていること、ヨルシカは蛇というより竜の要素の方が強いことなどから個人的にはうなずけないが、しかし「末子」の解釈次第なところもある
あくまでもグウィンドリンをグウィン王の最後の子とするのならば、グウィンドリンとヨルシカは父が異なっていなければならない
ということで、色々と試行錯誤して出した結論が以下である
スペースの関係でグウィンとグウィンドリンは二カ所に存在するが、どちらも同一人物である |
グウィンドリンはプリシラとグウィンの子であり、ヨルシカはプリシラとグウィンドリンの子である
倫理的にかなり危険なことになっているが、神々の世界なので人の価値観で判断することはできない
グウィンドリンはヨルシカの父であり兄である。後にヨルシカを父の養子として王家に参入したため、公式には「妹」になったと考えられる
グウィンドリンがヨルシカの父である根拠についてであるが、グウィンドリンがヨルシカの名付け親であることが挙げられる
ヨルシカの聖鈴
先の騎士団長たる彼女の兄が
ヨルシカの名と共に贈った聖鈴
神々とて恐らく誕生時に名前はつけられる。その名前をつけるのは普通は親であろう。そしてヨルシカの名付け親はグウィンドリンなのである(上述したように神々は人の価値観では計れないところはあるが…)
ヨルシカの語源
ヨルシカの英名は Yorshka である
このうち Yor はトールキンの人工言語、クウェンヤ語で「血」や「血液」を意味する
余談だが、Yor という語はシンダール語では Yar であり、こちらはブラッドボーンのヤーナム(Yharnam)やヤハグル(Yahar’gul)として利用されている
ヤーナムやヤハグル、また今作のイルシールからも分かるように、言葉を合成させたり綴りを変化させたりしている
さて、ヨルシカの Yor は「血」であるが、後半部の shka はそのままではシンダール語にもクウェンヤ語にも存在しない単語である
ただし、Shka を Sik の変形と考えるのならば、Sik は短刀やナイフを意味する Sicill の語源である
つまりヨルシカ(Yorshka)という名は、「血の短刀」と解釈することができるのである
暗月の光の剣には「復讐の意味は剣だけが知ればよい」という謎の一節がある
暗月の光の剣
暗い月の奇跡は、即ち復讐の物語である
だが騎士団総長ヨルシカはその意味を知らず
ただ兄の面影に、彼の物語を語るだろう
復讐の意味は剣だけが知ればよい
ヨルシカの名が「血の短刀」を意味するのならば、ヨルシカ自身は復讐の意味を知らず、しかしその名は「復讐」の意味を知っている、と解釈することができる
つまり、騎士団総長を継いだヨルシカは自分の名前が復讐を示唆する「血の短刀」であることは知らないが、しかし暗月騎士団の復讐の物語は、騎士団総長の名に密かに引き継がれているのである
それを裏づけるように、ヨルシカという名前を彼女に与えたのはグウィンドリンである
ヨルシカの聖鈴
先の騎士団長たる彼女の兄が
ヨルシカの名と共に贈った聖鈴
一ヶ所ヨルシカでなくヨセフカが混じってるが罠か?(1つ目の家系図の下辺り)
返信削除ありがとうございます。修正しました
削除やっぱり王家とドロドロは切っては切れない関係なのか...
返信削除>復讐の意味は剣だけが知ればよい
これに関しては影の役割が修羅の道だと知っていたグウィンドリンが意図せずヨルシカに継がせてしまったことに関しての真心を示した文だと解釈してました。剣=執行者的な
神々の王家なので計り知れないところがあります
削除なるほどグウィンドリンはヨルシカを薄暗い暗月から
遠ざけておきたかったのですね
最後の家系図を見ていると、ロスリック王家の血の営みがアノロン旧王家と似ているなと感じますね
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