旧王家
サリヴァーンが法王を僭称する以前、イルシールは“旧王家”によって統治されていた
暗月は、本来私の兄、陰の太陽グウィンドリンの騎士団でした
ですが兄は病に倒れ、私が騎士団を引き継ぎました
そしてサリヴァーンが法王を僭称し、私も虜囚の身となったのです(騎士団総長ヨルシカ)
法王サリヴァーンのソウル
イルシールの法王サリヴァーンは
旧王家の主神を廃聖堂に幽閉し
ついには神喰らいに供したという
廃聖堂で「神喰らいエルドリッチ」に喰われているのがグウィンドリンであることから、旧王家の主神とはグウィンドリンであることが分かる
ただし、この情報だけでは、「旧王家とはグウィンドリンを主神として祀っていた人間の領主一族」、という可能性も捨てきれない
そこで重要になってくるのが、銀騎士の存在である
銀騎士の兜[DS1]
グウィン王が火継ぎに旅立ったとき
彼の騎士たちは二つに別れた
銀騎士は、棄てられた王都に残り
幻の女神に仕えた者たちである
銀騎士は、棄てられた王都に残り幻の女神に仕えた者たちである。この幻の女神とは、グウィンドリンの作り出した幻のグウィネヴィアである
暗月剣の誓約指輪[DS1]
自らの醜くひ弱な姿を知るグウィンドリンは
姉グウィネヴィアの幻を作り
棄てられたアノール・ロンドを守っている
本物のグウィネヴィアはアノール・ロンドを去り、後に火の神フランの妻となっている
太陽の王女の指輪[DS1]
太陽の光の王女グウィネヴィアは
多くの神と共にアノール・ロンドを去り
後に火の神フランの妻となった
つまり銀騎士は幻のグウィネヴィアに仕えているものであり、根本的にはその幻を作り出したグウィンドリンに仕える騎士たちと言える
その銀騎士が仕えていたのが「旧王家」である
銀騎士の兜[DS3]
旧王家に仕えた銀の騎士たちの兜
彼らは旧王家の亡き後も
小さな館と、そして廃聖堂を守り続けたという
よって旧王家とは、グウィンに端を発する神の一族のことであり、サリヴァーンの台頭した時代、旧王家の主神はグウィンドリンであった
サリヴァーン
旧王家の主神たるグウィンドリンは不意に病に倒れる
その機に乗じたサリヴァーンはグウィンドリンを廃聖堂に幽閉し、神喰らいに供し、そして自らは法王を僭称する
暗月は、本来私の兄、陰の太陽グウィンドリンの騎士団でした
ですが兄は病に倒れ、私が騎士団を引き継ぎました
そしてサリヴァーンが法王を僭称し、私も虜囚の身となったのです(騎士団総長ヨルシカ)
法王サリヴァーンのソウル
イルシールの法王サリヴァーンは
旧王家の主神を廃聖堂に幽閉し
ついには神喰らいに供したという
主神の病に端を発する、流れるような謀略により、サリヴァーンは法王の座に着き、そしてイルシールの統治者となったのである
ここまでくると、主神の「病」すらもその謀の一部だったのかもしれない、という考えが頭をもたげる
そもそも神であるグウィンドリンを冒した病とは何なのであろうか
神の王たるグウィンはかつて古竜にさえ打ち勝ったほどの存在である。そして彼の力を受け継いだ者のひとり、王女グウィネヴィアの奇跡は治癒の力をもつ
太陽の光の恵み
太陽の光の王女が与えたという特別な奇跡
周囲を大きく含め、HPをゆっくりと大きく回復する
母であり妻であったグウィネヴィアの奇跡は
その恩恵をひろく戦士たちに分け与えた
太陽の力とは強い生命力そのものであり、それを受け継ぐグウィンドリンが病に倒れたことは、よく考えてみれば不思議である
しかし神にも弱点がある
神々の王グウィンがかつて最も恐れたのが「闇」である
王グウィンは、闇を恐れた
火の終わりを恐れ、闇の者たる人を恐れ
人の間から生まれるであろう、闇の王を恐れ
世界の理を恐れた(闇撫でのカアス)
また、エリザベスによれば、闇を持たない神は
闇に抗うことはできないといいます
騎士アルトリウスが、これを留めに向かいましたが
英雄とて、所詮は闇を持たぬ身
いずれは深淵に飲まれ、闇に食われてしまうでしょう
(霊廟の守人エリザベス)
※闇は人のみが受け継ぐダークソウル由来である。つまり人以外の生命に闇はない。そして闇を持たぬものは、闇に食われてしまう
加えて、ゲームの設定的にも神族は闇属性に弱い
つまり、「闇」は神の唯一の弱点なのであり、旧王家の主神グウィンドリンを病に陥らせたのも、闇だったのである
※グウィンドリンは神でありながら蛇の特徴ももつ。その相反する属性が病を引き起こしたとも考えられるが、同じ特徴をもつヨルシカが病んでいないことから、グウィンドリンの病は彼に起きた特有の事象により発症したと考えられる
エルドリッチ
しかしながら、グウィンドリンの住むイルシールは結界によって守られており、容易に侵入することはできない
だが、その結界を通過する術を心得ていた者がいる。サリヴァーンである
小さな人形
若い騎士見習いを象った、小さな銀の人形
古い幻の都、冷たい谷のイルシールでは
法王サリヴァーンが惜しむ者にこれを与えるという
いつか帰るとき、結界を超える鍵として
耳をすませば、微かな声が聞こえてくる
君がどこに行こうとも、イルシールは月の元にある
君がどこにあろうとも、それは帰る故郷なのだと
そして都合の良いことに、闇に連なる「深み」を帯びた聖者、エルドリッチが冷たい谷に来訪したのである
※深みの聖者エルドリッチの来訪もまた、サリヴァーンの謀のひとつだったのかもしれない
絵画世界出身であり、結界を超える術を知っていた法王は、深みの聖者エルドリッチを神の都であるイルシールに招き入れることができた
冷たい武器
若き魔術師サリヴァーンが
絵画を去る前に残した魔術のひとつ
右手の武器に冷気を纏わせる
絵画で生まれ育った彼にとって
その冷たい地は、捨てるべき故郷であった
まだ何も、失ってさえいなかったのだ
深みは神であるグウィンドリンを侵食していき、ついに主神は病に倒れる
深みが正確にグウィンドリンを標的にしたことから、深みによる侵食は何者かの意志によるものと考えられる。当然サリヴァーンの意志である
病に倒れたグウィンドリンを廃聖堂で神喰らいに供したサリヴァーンは、続いて法王を僭称し、イルシールの統治者となったのである
サリヴァーンの真意は後述するが、ここで先に明かしてしまうと、彼の当面の目標は火継ぎを停止させることであり、最終的な目標は神喰らいを成就させることである
外征騎士
法王となったサリヴァーンは神々の末裔を冷遇し、後に彼らを外征の命のもとイルシールから追放する
踊り子のソウル
法王サリヴァーンは旧王家の末裔に
二振りの剣を与え踊り子たるを命じ
後に外征騎士として彼女を追放したという
その時の光景はイルシールを訪れた時に幻影として見ることができる
外征騎士の幻影 |
見ることのできる外征騎士の幻影は4体。しかしゲーム内には5体の外征騎士が登場する
なぜ1体のみが省かれたのか
外征騎士のいる場所をリストにしたのが以下である
- 不死街の塔の下。生贄の道の扉の前
- ロスリック城、飛竜の下
- 大書庫、奥の部屋
- 高壁の大聖堂(踊り子)
- 高壁の崖(ボルド)
このうち、女性と男性の外征騎士の幻影は、踊り子とボルドを表わしていると考えられる
冷たい谷のボルドのソウル
ボルドは冷たい谷の外征騎士の一人であり
常に儚い踊り子の側にあったという
ボルドは踊り子の側にあるので、彼が高壁の崖にいるのは踊り子の意志の反映であろう。そして踊り子がいるのは高壁の大聖堂である
幻影が4体であることに意味があるとするのならば、踊り子がそこにいる理由は他の2体の幻影と同じでなくてはならない。5体から4体だけが選ばれた理由が必要だからである
そう考えると、踊り子とボルドを抜いた3体の外征騎士のうち、1体だけが仲間はずれであることが分かる
結論から述べれば、不死街の塔の下にいる個体が仲間はずれである
つまりイルシールで見られる幻影は、ロスリック城(1体)、大書庫(1体)、高壁(2体)にいる外征騎士たちのものである
なぜならば、彼らのいるロスリック城、大書庫、高壁には、ロスリック王を支える三柱がいるからである(不死街の個体の近くには三柱はいない)
騎士の指輪
古くよりロスリックでは
騎士は王を支える三柱のひとつとされ
故に竜の友たるを許されたという
賢者の指輪
古くよりロスリックでは
賢者は王を支える三柱のひとつとされ
故に大書庫の領主たるを許されたという
祭儀長の指輪
古くよりロスリックでは
祭儀長は王を支える三柱のひとつとされ
それは常に女であり、王子の乳母でもあったという
ロスリック城の外征騎士がいるのは、飛竜の背後の建物であり、その直上には騎士の指輪をもった遺体がある
また大書庫の外征騎士の近くには、大書庫の賢者たちの導師である結晶の古老がいる
そして、大聖堂にはいわずもがな、祭儀長エンマがいる
すなわち外征騎士たちは、ロスリックの三柱を見張る任務を課せられているのである
三柱の悲願はロスリック王家の血の営みを成就させること、つまり王の火継ぎである
王の薪(王子ロスリック)
資格者を求めたロスリックの血の営みは
やがて人を外れ、おぞましい所業と堕した
正に火継ぎとは呪いの道であろう
サリヴァーンが外征騎士に命じたのは、王の火継ぎを実行しようとする三柱を監視し、場合によっては彼らの行動を妨害することである
このややこしい任務を一言で述べるのならば、外征騎士の任務は、ロスリック王国を存続させながら、火継ぎの芽を摘むことである
というのも、ロスリックの血が絶えてしまうと、次の火継ぎの王がどこかに出現しかねないからである
火継ぎを停止させておき、神喰らいを成就させたいサリヴァーンにとって、火継ぎの王としてロスリック王子を生存させつつ、しかし決して火継ぎが起こらない現在の状況は目論見通りのものなのである
外征騎士は5体登場するが、彼らがロスリックを攻撃している様子は全く見られない(灰の人がロスリック城に入ろうとする際には、踊り子が妨害しようとさえする)
これは彼らの任務が、三柱の監視と王子を殺そうとする者の侵入を拒むことにあるからである
現在のロスリック城が置かれた奇妙な停滞状態は、サリヴァーンの意志と三柱の悲願が衝突して生まれたものなのかもしれない
罪の火
さて、サリヴァーンの当面の目的は火継ぎの停止であり、また最終的には神喰らいの成就を目標としている
その彼の野望は、若き日に罪の都と消えぬ火を見出したときに灯ったものである
罪の大剣
法王サリヴァーンの持つ右手の剣
罪の火を称する儀式の剣
遥か昔、イルシールのはずれ
その地下に罪の都と消えぬ火を見出したとき
若き魔術師サリヴァーンの心にも
消えぬ野心が灯ったのだろう
戦技は「罪の火」
罪の火を一時的に呼び出す技
踏み込みからの強攻撃で刀身は火に包まれる
消えぬ火とは、「罪の火」であり、罪の都の空より生じ、人々だけを焼いたという火である
罪の炎
巨人ヨームが薪の王となった後
罪の都は炎により滅びた
それは空より生じ、人々だけを焼いたという
人々だけを焼いた、とあることから、それは人にしかない何かを燃やしているのである
DSシリーズにおいて、人のみにあると明言されているのは人間性であり、その根源たるところのダークソウルである
すなわち空より生じ、人々だけを焼いた火とは、ダークソウルを燃やす火である
この現象にぴたりと当てはまるのが、空に浮かぶダークリングである
ダークリングの炎はダークソウルのソウル部分を燃やして生じるものである
すなわち罪の火は、人がダークソウルを宿す限り、つまり人が人である限り燃え続ける「消えない火」なのである
その火は罪の都を滅ぼしたように、人々に苦しみをもたらす火でもある。人々はダークソウルを持つ限り、苦しみから逃れることができないのである
サリヴァーンはその消えない火を見出したとき、消えない野心を抱いたとされる
罪の大剣
遥か昔、イルシールのはずれ
その地下に罪の都と消えぬ火を見出したとき
若き魔術師サリヴァーンの心にも
消えぬ野心が灯ったのだろう
彼の野心は、罪の火をさらに燃え盛らせようというものではない。そうではなく、彼はその逆に消えぬ火を消そうという野心を灯したのである
ダークソウルを燃え立たせている原因を消滅させない限り、人はその炎によって苦しみ続けることになるからである
ダークソウルに火をつけるもの、それは火の者である「神」であり、また神々の施した火の封である
古竜の瞳
古竜に祈り、それに近づこうとする超越者たちの業
生とは弱さであり、火の者である神々も例外ではない
超越者の目標は、生命とは別のあり様なのだ
輪の騎士の鎧
輪の騎士たちの、歪んだ黒い鎧
古い人の防具は、深淵によって鍛えられ
僅かにだが生を帯びる
そしてそれ故に、持ち主たちと同様に
神々に火の封を施されたという
苦しみの原因である神を消滅させない限り、人は苦しみから逃れることはできないのである
それ故にサリヴァーンは、神喰らいに主神を供し、またその末裔を己の都から追放したのである
神がいなくなれば、ダークソウルは燃えることなく、人は苦しみから逃れることができるからである
それは火のない闇の時代であり、静謐で穏やかな世界なのである
失望の囁き[DS2]
闇のもたらすものは暗い
だがそれは静謐で穏やかな何かでもある
法王
サリヴァーンは瀆聖しようと法王を僭称したのではない
恐らく彼は、心の底から人を苦しみから救い出したかったのであろう。もしくは神による枷をよしとせず、神からの解放を目指したのであろう
それ故に、彼は「法王」を名乗ったのである(英語版ではPontiffとなり、これはキリスト教の法王を指す)
仏教において法王とは、如来や釈迦を指し示す言葉である。すなわち、衆生を苦しみから救う救世主のことである
仏教において、人の苦しみの根源には煩悩があるとされる
人は煩悩を消滅させることで苦しみのない世界、涅槃(ニルヴァーナ)の境地に至ることができるとされる
煩悩に相当する本作のダークソウルは、はじめての火によってもたらされたものである
であるのならば、その火を消すことができれば、あらゆる差異は消失し、ダークソウルも消滅するのである
エルドリッチが見た深海の時代とは、火や火のもたらす熱の存在しない世界である
それは闇の世界であるが、しかし苦しみもない静謐にして神聖な世界なのである
エルドリッチのソウル
彼は陰った火の先に、深海の時代を見た
故に、それが遙か長い苦行と知ってなお
神を喰らいはじめたのだ
ロンドールの火の簒奪思想と異なるのは、ロンドールがあくまでも火を自分のものとして利用しようとするのに対し、サリヴァーンは火を完全に消滅させようとしているところである
サリヴァーンの思想をエンディングに当てはめるのならば、火継ぎの終わりENDに相当する
神々は闇を持たないから闇に弱い…闇から生まれたのに?(DS1OPより)…この矛盾に隠れたカラクリがあるのか、それとも単純に初代OPの通り、闇より誕生したのは王のソウルを見出した特殊個体(ニト、イザリス、グウィン、小人)だけなのか。
返信削除でもグウィンには上の世代のロイド叔父上が存在するのでグウィン自身は闇生まれの第一世代ではない…?だからグウィンは闇耐性ゼロ故に闇を恐れた…?
あと火の神フランもよくわからない存在ですね。火から始まったこの世界の文明の中で、「火の神」をしてるのに名前は一回しか出てこないし権能も功績も不明、名前も物騒な響き(Flann。血の赤)ですし。
闇を退けるのは光なので、王のソウル(太陽や炎)によって
削除闇を棄てたことで彼らは王になれたのかもしれませんね
ニトは闇を持っていそうですが…
ロイドの語源は「灰色」なので、おそらく灰の時代の存在と思われます
不死を狩りの象徴ともされるので、生命的なものに影響されない古竜かなぁと思います
火の神フランについてはグウィネヴィアから推測できるかもしれません
最強の消防士、サリヴァーン参上!
返信削除初めまして!いつも興味深い考察記事を楽しませて頂いております。今回の記事も目から鱗が落ちる思いで読みふけってしまう中で外征騎士と三柱の関係性についてふと思い至ったのですが、不死街の塔にいる弓巨人が黒い手の狩人にあたるとすればどうでしょう?もとより四騎士とロスリックの関係は指輪の配置やアルトリウスの鎧の販売から想像できますし、鷹の指輪をもってキアランやアルトリウスと同じように関係を匂わせてくれていると考えることもできると思います。弓の巨人が黒い手の狩人として活動していると仮定すると、これまで謎だった弓巨人の素性が読み解けるかもしれない…と、個人的な思いつきながらもワクワクしてしまった思いのままにコメントを残させていただきました。これからも考察記事楽しみに応援してます!
返信削除漏れがございましたので失礼ながら追記させていただきたく…狩人の指輪の配置と弓巨人の所在についても、いずれも見晴らしのよい塔の上なのでふたつの繋がりを説明する材料になり得るかもしれないと思いました。
削除たいへん興味深い考察ありがとうございます
削除不死街の塔の巨人を黒い手の狩人とすると、その下にいる外征騎士の謎も解けますね
また不死街はカムイが姥断ちを打って王の狩人になった場所でもあり、黒い手との関係も仄めかされています
やはり外征騎士はロスリックの重要人物たちを監視する役目を果たしていたのかもしれませんね
そっかカムイのテキストも絡んでくるんですね!そうなると「巨人」と「鍛冶」のキーワードが鷹の指輪の存在で結ばれちゃって余計な勘繰りがアノール・ロンドまで飛び火しちゃいますね…!さらにワクワクしちゃう返信をありがとうございました!
削除