カーサスの地下墓
ボス「深淵の監視者」を倒した後に奥に進むと、墓石が移動して地下墓への階段が現れる
やや奇妙に思える構造であるが、しかし地下墓の最奥にいるのが覇王ウォルニールであり、彼が深淵に落ちた者であることから、この構造が意図的であることがわかる
すなわち、深淵の監視者たちは深淵に飲み込まれつつある地下墓を封じていたのである
カーサス
砂の国カーサスには曲刀を振るう剣士たちや、独特の呪術を操る呪術師たちがいた
カーサスの剣士たちはククリを投げ、その曲刀は緋刃や炎によって強化され、また攻撃が連続するほど攻撃力が増していったという
ククリ
カーサスの剣士たちが用いた独特の武器だが
いまや盗賊や盗人の類が好んで使用している
カーサスの緋刃
カーサスの剣士が用いたことで知られるもの
カーサスの刃は緋に染まる
血のような草液と、夥しい返り血によって
カーサスの弧炎
砂の国、カーサスの呪術
右手の武器を炎強化する
カーサスの烽火
砂の国、カーサスの呪術
そのもっとも秘するもの
攻撃が連続するほど、攻撃力が高まる
彼らは勝利を重んじ、騎士道精神に反するような呪術の助けさえも厭わなかったとされる
酸の噴射
カーサスの剣士たちは勝利を重んじ
こうした呪術の助けも厭わなかった
死して晒す屍に、一体何の名誉があろうか
カーサスの剣士たちを補助したのが、カーサスの呪術師たちである。彼らは他と交流を持たず、その呪術は独特の発展を遂げたとされる
カーサスの呪術書
カーサスの呪術師は他と交流を持たず
その呪術は独特の発展を遂げたという
かような剣士と呪術師を抱えるカーサスは侵略国家であり、その侵略は火の如くと例えられていた
カーサスの烽火
カーサスの侵略は火の如くであり
古来、烽火は戦いの合図であった
覇王ウォルニール
そんなカーサスを率いていたのが覇王ウォルニールである
覇王ウォルニールは多くの国を侵略し、諸王に与えられた王冠を全て破壊したという
そして王冠は1つとなり、ウォルニールは覇王となった
ウォルニールの王冠
それはかつて諸王に等しく与えられ
ウォルニールはその全てを征し破壊したという
そして王冠は1つとなり、彼は覇王となった
夥しい死を築いて覇王となったウォルニールは、やがて最後の死者たるを願ったという
覇王ウォルニールのソウル
夥しい死を築いたカーサスの覇王は
やがて最後の死者たるを願ったという
彼は深淵に接近し、そして黒い呪術のはじまりとなった黒蛇を見出すが、深淵に落ちてしまう
黒蛇
覇王ウォルニールが深淵に見出した呪術
墓守たちの黒い呪術のはじまりとなったもの
黒火球
覇王ウォルニールが深淵に落ちて後
墓守となった呪術師たちが見出した呪術
深淵に落ちたウォルニールは、だが真の闇を恐れ、生まれて初めて神に縋ったという
自らが殺し奪った聖職者たちの遺品、三つの腕輪と、一振りの剣に縋り、かろうじて彼は現世と深淵の境に留まることが出来たのである
ウォルニールの聖剣
深淵に落ちたウォルニールは
だが真の闇を恐れ、生まれて初めて神に縋った
それは、かつて殺し奪った聖職者たちの遺品
三つの腕輪と、一振りの聖剣であったという
覇王が深淵に落ちた後、呪術師たちは彼の墓守となり、深淵は覇王ウォルニールを弔う巨大な墓地となった
やがてカーサスは深淵の兆しを嗅ぎつけた深淵の監視者たちにより滅ぼされ、地下に封じられ、地下墓地となった
…ファランの不死隊は、不死人の旅団
狼の血に誓い、深淵を監視し、その兆しがあれば一国ですら葬り去る(脱走者ホークウッド)
余談だがウォルニールの語源については正確なところはわからない
ただしWOLは古英語で「黒死病(ペスト)」を意味し、Nirはヘブライ語で「大隊」を意味する
合わせると「黒死病の大隊」となる
中世の伝統では黒死病は「骸骨」として表現されるが、覇王ウォルニールは巨大な骸骨である
最後の死者
さて、最後の死者たるを願った、という一文に対する解釈はいくつか考えられる
素直に解釈するのであれば、この世の誰よりも長く生きること、すなわち古今多くの支配者が望んだ不死や永世のことであろう
しかし彼は永遠の命を望んだのではなく、あくまでも「最後の死者」たるを望んでいる
つまり、地上の全ての生命が尽きれば「最後の死者たる」という彼の目的は達成されたことになるが、そのために彼が不死であったり長生きする必要はない
最後の死者たるを願った、という文からは、彼は全ての生命を殺そうとしたという解釈もできるのである
ちなみにDS1の墓王ニトは「最初の死者」である
はじめての火により差異がもたらされ、そのとき世界に「死」が生まれ、同時に死によって完結する現象、すなわち「生命」も生まれたのである
だが、いつかはじめての火がおこり
火と共に差異がもたらされた
熱と冷たさと
生と死と
そして、光と闇と(DS1オープニング)
それ以前は、灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあったとされる
古い時代
世界はまだ分かたれず、霧に覆われ
灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった
古竜の在り方は生命とは別のあり様である
古竜の瞳
古竜に祈り、それに近づこうとする超越者たちの業
生とは弱さであり、火の者である神々も例外ではない
超越者の目標は、生命とは別のあり様なのだ
さて、最後の死者たるを望んだウォルニールは深淵に落ちたという。望みを叶えるために彼がとったのは「深淵」に近付くという愚挙であった
もし仮に彼が永世や長生を望んでいたのであれば、深淵に接近するという行為はやや不可解である
しかし上述したように彼が望んだのは「最後の死者たる」ことである。最後の死者ということは、それ以後は死者は生まれないことを意味する
上述したが、この世界に「死」があるのは、はじめての火によって差異がもたらされたからである
であるのならば、はじまりの火がなくなれば、「死」はなくなる
そしてここからが重要なのだが、「最後の死者」になることができるのは、はじまりの火が消える瞬間、もっとも近くにいる者である
なぜならば消えゆく火と共に差異は消失していき、同時に世界から「死」が失われていくからである
火から遠くにいる者は「死者」になれず、呪われた不死となるが、火のもっとも近くにいる者は、火が消えるその直前まで「死ぬこと」ができるからである
つまり覇王ウォルニールが真に望んだのは、永遠の生命でも生命を滅ぼすことでもなく、はじまりの火を自分だけのものとすることである
カアス
はじまりの火を自らのものとする、という思想はカアスやカアスの遺志をついだロンドールの黒教会のそれである
それは王になることを意味する
我カアスが、貴公に、正しい使命を伝えよう
理に反して火を継ぎ、今や消えかけの王グウィンを殺し
そして、四人目の王となり、闇の時代をもたらすのだ
(闇撫でのカアス)
貴公、我らの王よ
簒奪者におなりください
…火の時代とは、古い神から続く時代であり、火継ぎとはその継承です
だが、既に神は無く、火の力は、委譲されるべきでしょう
…あるべき人の姿、すなわち我ら亡者の王に(ロンドールのユリア)
これによりウォルニールが「最後の死者」になるために深淵に接近した理由が判明する
すなわち覇王はカアスに唆(そそのか)されて闇に手を出したのである
カアスは古くより人を唆し、その都を闇に沈めてきた。古くはウーラシール、そして小ロンドもそうである
その結果、二つの国は深淵に沈み、四人の公王たちは闇に堕ちている
※マヌスを古ウーラシール王国の王だったとするのならば、古ウーラシール王国も小ロンドと同じような経緯で闇に沈んだと考えられる
※ウーラシールの宵闇の時代にはすでにウーラシールは滅びている。よってそれと区別するためにマヌスの統治したウーラシールを古ウーラシール王国とした
カアスに唆されたことで深淵に国が沈み、そして王は深淵に落ちるという構図が、カーサスにおいても繰り返されたのである
覇王ウォルニールはカアスに唆され深淵に手を出し、そして深淵に落ちた
しかしウォルニールが闇堕ちの先人たちと異なるのは、闇に落ちた後に真の闇を恐れたことである
ウォルニールは神に縋り、完全には闇に染まらず、今も現世と深淵の狭間にしがみついているのである
四人の公王には「闇に“堕”ちた」という漢字が使われ、ウォルニールには「深淵に”落”ちた」という漢字が使われるのは、この差である
すなわち、四人の公王は心から闇に染まり、闇の住人になったのに対し、ウォルニールは闇を恐れ、いまも人の心をわずかながらに有しているのである
いうなれば、四人の公王は存在そのものが闇に堕ちた状態であり、ウォルニールは物理的に深淵に落ちた状態なのである
ウォルニールは完全に深淵に染まることを恐れ、崖にしがみつき、現世に這い上がろうともがいているのである(そこを灰の人がたたき落とすのだが)
カーサスの語源
やや話は変わるがカーサスという名前はいくつか語源的な解釈ができる
カーサス(Carthus)を語源事典などで検索すると、カルトジオ会(Carthusian)という修道会がヒットする
このCarthusianの語源はガリア語のkaturixで、Katusは「戦闘」、rixは「王」を意味する
この語がKaturix→Caturix(ラテン語)となり、中世ラテン語Carthusianusを経てCarthusianに変化するのである
カーサスの国風を考えればそれなりに筋の通った解釈にも思える
しかし、作中の設定を用いた解釈もある
上述したように、覇王ウォルニールは闇撫でのカアスに唆されて深淵に落ちている
過去の闇に沈んだ国のように、カーサスという国にもカアスの闇の手が及んでいたのである
あるいは建国当初からカアスは関与していたのかもしれない
というのも、カアス(Kaathe)という名前をラテン語風にするとKaathusになり、カーサスと読めるからである
なぜラテン語風になるかについては、アーサー→アルトリウスとされたのと同じ理由からであろう
つまるところ、ラテン語風にすると、古風で神的な響きが生まれるのである。もちろん古風な名前を持つと言うだけではなく、この世界において古い存在であることも名前から仄めかしているのであろう
ロンドール
さて、ウォルニールが深淵に見出した黒蛇という呪術がある
この黒蛇をアリアンデル絵画世界にいるフリーデが使用してくるが、フリーデはロンドールの黒教会の指導者の一人であり、カアスの娘である
黒のドレス
ロンドールの黒教会、三人の指導者たちの装束
喪装にも似た漆黒のドレス
彼女たちは世界蛇の娘であり
黒教会の創始者としても知られている
すなわち亡者の救い手として
…ああ、貴公、我らの王よ
そのソウルは、私の姉のものです
灰となり、ロンドールを棄てた憐れな女…エルフリーデ…(ロンドールのユリア)
カアス、貴方の遺志を…(ロンドールのユリア)
つまりロンドロールのフリーデはカーサスのウォルニールの呪術を継承していることになる
ロンドールの黒教会はその名のとおりロンドールに創られた組織であり、カーサスとの直接的な関係はどこにも見いだせない
しかしカーサスをカアスによって創られ、そして深淵に沈んだ国、とするのならば、両者はカアスという共通項によって繋がるのである
騎士狩りゾリグ
やたらと自己主張の強いゾリグについてのおまけ
ゾリグは英語版ではTsorigと綴る。この語源についてはやはり不明である
ゾリグを素直にZorigと綴るのであれば、Zorigはモンゴル語で「勇気」とか「大胆」といった意味がある
それはともかく、騎士狩りの指輪にある「古い都」は、DS2のエス・ロイエスである
騎士狩りの指輪
ゾリグは、かつて古い都で守護戦士と死闘を演じ
彼らの指ごと、凍りついた指輪を奪ったという
根拠としては、騎士狩りの指輪と白の戦士の指輪の効果が類似したものであり、またデザインが同一だからである
またゾリグは煙の特大剣を装備しているが、これはDS2の煙の騎士レイムの得物である
煙の特大剣
黒い岩板のような異形の剣
特大剣の中でも最重量のもの
古い反逆者の武器であったというが
その重さから誰も振るう者なく
やがて歴史から忘れ去られた
煙の特大剣[DS2]
煙の騎士のソウルから生み出された特大剣
板とも言えるような独特の容姿を持つ
追放された剣士レイムは
黒霧を払う力がありながらも
それと共にあることを選んだ
その剣に棲んだ闇の子と共に
また黒鉄の大盾はDS1の黒鉄のタルカスのものである
黒鉄の大盾
黒鉄で作られた大盾
騎士狩りゾリグの恐怖と共に知られるもの
黒鉄は防御効果が高く、特に炎を寄せつけない
黒鉄の大盾[DS1]
大力で知られる騎士のタルカスの大盾
特殊な黒鉄で作られ
バーニス騎士のタワーシールドよりさらに重いが
特に炎属性の攻撃にも強く
また、シールドバッシュの効果も高い
ゾリグは闇霊、白霊、生身で登場するが、白霊はデーモンの老王戦に協力してくれ、生身は灰の人と共に黒騎士とも敵対している
また闇霊はウォルニールに続く吊り橋の手前のショトカ付近に現れる
これらを総合すると、デーモンや黒騎士、灰の人とも敵対しながら、侵入者をウォルニールに近づけさせないという彼のキャラクターが明らかになる
しかし彼はカーサスの剣士でも、ウォルニールの墓守でもない
よって彼の目的はウォルニールを守ることではなく、その先にあると考えられる
ウォルニールを倒した先にあるのは冷たい谷のイルシールである
そのイルシールには法王サリヴァーンがおり、外征騎士を諸外国に派兵している
ゾリグが訪れたと考えられるのは、本作のデーモン遺跡、カーサスの地下墓地、DS2のエス・ロイエス、黒霧の塔、そしてDS1のタルカスの故郷バーニス、あるいはタルカスの最後の地ロードランである
これほど多くの国を訪れるには、それなりの理由があるはずである
つまるところゾリグは法王サリヴァーンの外征騎士として各国を侵略していたのである
そして侵略した先で殺害した騎士の所持品を奪い、自らの装備品として用いたのである
ゾリグの目的は、デーモン遺跡ではないでしょうか。生身の彼のいる場所がその根拠です。熔岩内の遺体に因縁がありそうです。
返信削除元混沌の従者だったのかもしれません。(騎士狩りはそのため)(現五本指…?)
混沌の娘に関連して、老王に恨みがあるのではないでしょうか。(娘の遺体は隠され蔑ろにされている)
コメントありがとうございます
削除デーモン遺跡はまだ詳しく解析していないのですが
何かしらゾリグを惹きつけるものがあるのでしょうね
騎士と魔女の物語はアルバとジャーリーの前例もありますね
ゾリグと混沌の娘の関係性を探ってみるのも面白いかもしれません