※心中お察し弦一郎まで時間がないのでやや下書き気味であるが公開する。追記・修正を加える予定である
眷属の上位者
- 白痴の蜘蛛、ロマ
- 星の娘、エーブリエタース
- 星界からの使者(大)
- アリアンナの赤子
眷属とは上位者に連なる、人ならぬ者たちのことをいう
眷属の死血
上位者に連なる、人ならぬ眷属たちの死血
そしてこれらの眷属が連なるという上位者とは(現時点で判明しているものに限れば)、「輝ける星」である
トロフィー「イズの大聖杯」
輝ける星の眷属たちの故郷 その封印たる「イズの大聖杯」を手にした証
※聖杯ダンジョン「イズの碑」にロマ、エーブリエタース、星界からの使者が登場することから、この三者は同じ「輝ける星の眷属」であると考えられる
さて、眷属たちの故郷と言われているのは「イズ」である
聖歌隊によれば「イズの地は宇宙に触れている」という
イズの汎聖杯
「聖歌隊」によれば、イズの地は宇宙に触れている
故に上位者たちは、かつて超越的思索を得たのだと
その宇宙にある(いる)のが上位者「輝ける星」である
「宇宙は空にある。聖歌隊」(工房の手記)
聖歌装束
見捨てられた上位者と共に空を見上げ、星からの徴を探す
それこそが、超越的思索に至る道筋なのだ
では一体、輝ける星の眷属になるというのは何を意味するのか?
端的に言ってしまえば、眷属とは「輝ける星」の精霊に寄生された苗床のことである
「苗床」
この契約にある者は、空仰ぐ星輪の幹となり
「苗床」として内に精霊を住まわせる
上位者であれ人であれ、輝ける星の精霊に寄生された者は「眷属」と呼ばれるのである
つまり「眷属の上位者」とは眷属でもあり上位者でもあるが、眷属であることと上位者であることは本質的には関係がないのである(苗床になれば虫とて眷属である)
※確かに眷属は上位者の精霊によって変異するものであるが、眷属になったからといってそれが上位者になる理由はならない
眷属は上位者に連なるが、といって眷属=上位者というわけではない
だからこそ上位者ではない眷属も存在するし、眷属ではない上位者も存在するのである
アリアンナの赤子
娼婦アリアンナとオドンの赤子が「星の子ら」であることから、オドンが「輝ける星」なのではないか、という解釈もできるがこれは正確ではない
星の子ら |
なぜならば、上述したように眷属であることと上位者であることは異なるレベルの存在理由により判断されるのであって、眷属の上位者の赤子だからといって、父親である上位者が眷属であるとは言い切れないからである
※本編において、親子関係にある眷属は存在していない。眷属とは血によって受け継がれるものではなく、たんに精霊に寄生されたか否かによって決まるからである
忘れてならないのは、娼婦アリアンナが聖堂街の住人であることである
そしてまた彼女は血の嗜みの習慣のあったカインハーストの末裔でもある
さて、現代ヤーナムを特徴づけているのは、血の医療である
特殊な製法により調合された血による医療行為であり、現在その血の根源にいるのは大聖堂の最深部にいる「エーブリエタース」である(過去の聖血はメルゴーのもの)
つまり、現代ヤーナムには眷属の血が広まっているのである。とはいえ血の医療を受けた全員が苗床になるわけではない。精霊の祝福を望み、拝領を与えられなければ人は苗床になることはできないのである
聖血を得よ
祝福を望み、よく祈るのなら
拝領は与えられん(エミーリア説教)
夜空の瞳
精霊に祝福された軟らかな瞳
さて、聖堂街の住人でありカインハーストの末裔である娼婦アリアンナが血の医療を受けたり血を嗜んでいたことは想像に難くない
また彼女は狩人に対して自らの血を飲めとさえいう。これは彼女が血の嗜みに対して、それが自然な行為であると認識していることを示している
そんな彼女が血を飲んでいないとは考えにくい。わざわざ彼女をカインハーストの末裔としたのも、その特殊な血と血の嗜みという設定が必要だったからである
要するに、娼婦アリアンナは「眷属の血」を摂取していたことで、眷属の精霊に感染していたのである(Bloodborne「血液感染」というタイトルにも合う)
※精霊に感染することと「苗床」になることは=ではない
そしてそれは娼婦であるがゆえの業、すなわち彼女の妊娠していた胎児にも影響を与えたのである
アリアンナは赤い月の以前から妊娠していたのだ。その自覚があるからこそ、彼女は産まれた赤子を見て「ああ、私の赤ちゃん… 私の素敵な赤ちゃん…」(アリアンナ未使用セリフ)と呟くのである
妊娠の自覚がなかったのならば、突然産まれてきた赤子に対してこうは反応しない
そしてこれこそが、赤子が表示されないヨセフカとの差異の理由である。ヨセフカはもともと妊娠しておらず、赤い月の夜、直接的に姿なきオドンの赤子を妊娠したのである
ゆえにその赤子は表示されず(姿なき)、ただ3本目のへその緒をドロップするのである
ひるがえってアリアンナの場合、彼女の胎児は眷属の血によって汚染され、輝ける星の精霊に寄生されていたのである
いわば胎児の段階で「輝ける星の眷属」だったのである
そこに干渉したのがオドンである
オドン、すなわち神秘の上位者の影響を受けた胎児は「青ざめた血(瞳)」を得て、眷属の上位者として誕生したのである(アリアンナの血は赤、オドンは青)
ロマと星の娘、エーブリエタース
ロマは上位者であり眷属である
ロマはゴースあるいはゴスムによって「瞳」を授けられ上位者となったとされる
過去の考察で瞳とは「青ざめた血」のことである、と述べたことがある
この青ざめた血としての瞳は、3本目のへその緒を3本使う、あるいは父と母から受け継がれるものである。ここで父は神秘の青を、母は血の赤を象徴する
上位者の死血は青ざめた血であり、「瞳」である |
ロマは眷属であることから苗床化していたと考えられる。つまり輝ける星の精霊に寄生されていたわけだが、それはゴースから受け継いだものではない
また、同じゴースから瞳を得て生まれてきたゴースの遺子は上位者ではあるが、眷属ではない。ゴースから受け継いだ精霊によりロマが眷属化していたのだとしたら、ゴースの遺子も眷属のはずである
よって、ロマは輝ける星の精霊に寄生されて眷属になったものの、それは彼女が上位者になったこととは関係がない(ロマの誕生については後述する)
一方のエーブリエタースも上位者であり眷属である
エーブリエタースは「星の娘」と呼ばれ、また見捨てられた上位者とも言われる
彼女がいるのは大聖堂の最深部にある嘆きの祭壇である
その祭壇にはロマに似た甲虫の殻(から)が祀られており、彼女は祭壇の前で甲虫に祈るようにひざまずいている
聖歌隊によれば、聖歌隊と彼女は共に空を見上げ、星からの徴を探しているという
聖歌装束
見捨てられた上位者と共に空を見上げ、星からの徴を探す
それこそが、超越的思索に至る道筋なのだ
なぜエーブリエタースが空を見上げているかというと、そこに彼女を見捨てた者がいる(いた)からである
ここで少し整理してみよう
- ロマはゴース(あるいはゴスム)から瞳を授かって上位者になった
- ロマは眷属であり、輝ける星の精霊に寄生されている
- 星の娘、エーブリエタースは見捨てられた上位者と呼ばれる
- その星の娘がいるのは嘆きの祭壇である
- その嘆きの祭壇に祀られているのは、ロマによく似た甲虫型生物の殻である
- 聖歌隊とエーブリエタースは、空を見上げ、星からの徴を探すとされる
- 見捨てられたエーブリエタースは甲虫の前でひざまずいている
空を見上げ、と言われているが、実際にエーブリエタースが見上げているのは嘆きの祭壇の甲虫である。であるのならば、それが聖歌隊のいう「空」ということになる
その空は宇宙のある空であり、その宇宙には「星」がある
星、つまり輝ける星である
これらを総合すると、「輝ける星」とは嘆きの祭壇に祀られている「ロマに似た甲虫」、あるいはその内部にいるであろう何らかの精神体である
つまるところ嘆きの祭壇の甲虫は上位者「輝ける星」である。上位者であるがゆえに抜け殻になってなお「時間を操る」能力すら有しているのである
生きているヒモ
しかし、それはやはり上位者であり、遺物を残す
※クトゥルフ神話におけるイスの偉大な種族との関わりは過去の考察参照のこと。イスの偉大な種族は時間の秘密を解き明かした唯一の種族と言われる精神生命体であり、甲虫に宿ることもある
ロマの姿は父親の姿を継承したものである。なぜならばロマこそ、ビルゲンワースによって奪われた、輝ける星とゴースの赤子だからである
ミコラーシュはゴースあるいはゴスムがロマに瞳を与えて上位者にした主旨の言葉を述べている。しかしこれは、人が瞳を与えられて上位者になったことを意味するのではない
上位者であるからには「瞳」を授けられたに違いない、というミコラーシュの固定観念から出た言葉である
つまり、ゴースから誕生したロマは上位者であった。ゆえにゴースあるいはゴスム(コスモス、宇宙、輝ける星)から「瞳」を授けられたに違いない、という仮定をもとに発せられたセリフなのである
※ビルゲンワースの関係者にロマという人物は存在しない。一方でゴースの赤子の行方は「奪われた」と言われる以外に一切触れられない
※加えて赤子が奪われたことを嘆く漁村民が呪っているのはビルゲンワースである
※また狩人の悪夢や漁村は「秘密」と表現される。一方でウィレームは晩年に「秘密」を湖に隠したというが、これはロマのことである
…なあ、あんた、時計塔のマリアを殺したまえ
その先にこそ、秘密が隠されている…(やつしシモン)
月見台の鍵
晩年、学長ウィレームはこの場所を愛し、安楽椅子に揺れた
そして彼は、湖に秘密を隠したという
一方の星の娘は、輝ける星とイズ人とのあいだに産まれた娘であり、その誕生過程は娼婦アリアンナと類似したものであろう
すなわち、海水を媒介に輝ける星の精霊に感染したイズ人がいて、彼女自身もしくは彼女が妊娠していた胎児がその影響を受けて「苗床化」したのである
そしてその苗床の胎児にオドンなり「輝ける星」なりが干渉して生まれたのがエーブリエタースである。ゆえに彼女は苗床の性質である軟体生物的形状をしているのである
まとめると、ロマは純粋な上位者であるゴースと輝ける星とのあいだにできた上位者の赤子である(それは出産前にビルゲンワースに奪われた)
※ゴースは元人間ではない。なぜならばゴースの寄生虫は人に宿るものではない、とされるからである。それが宿ったことで人ならぬ者に変異したという仮説は論理的に矛盾する
またエーブリエタースは苗床の胎児にオドン(あるいは「輝ける星」自身)が働きかけて上位者となったものである
ロマとエーブリエタースは姉妹であるが、生まれ方が異なるのである
※星の娘を、輝ける星の子を産む巫女(娘)と解釈することも考えたのだが、星の娘の英名は「Daughter of the Cosmos」である。これが「Maiden of the Cosmos」ならば血の聖女とも関連付けられたのだが…
ゴースの寄生虫が苗床の精霊(輝ける星の精霊)を刺激するのは、上位存在であるゴースと輝ける星の性的興奮を反映してのことである。簡単にいうと繁殖相手を見つけた興奮が先触れの次元でも発露しているのである
星の娘、エーブリエタース
ロマや輝ける星との関係は既述したので、ここでは補足的な考察を述べる
イズの地は宇宙に触れているという
イズの汎聖杯
「聖歌隊」によれば、イズの地は宇宙に触れている
故に上位者たちは、かつて超越的思索を得たのだと
ここで言われる宇宙とは「輝ける星」のいる領域のことである
また、イズ聖杯やエーブリエタースの造形を鑑みるとイズの地は「海」と関係の深い土地である。加えて海のゴースと輝ける星とのあいだに上位者の赤子が生まれていることから、海と宇宙に棲む上位者は生物学的な近縁性がある
※ここでも母なる海と父なる天という神話的な象徴が使われている
イズは海辺もしくは海中にあり、輝ける星の精霊は海水(血と成分が似ている)を通じてイズ人に感染していったのである
精霊に寄生された生物は苗床となる
精霊の主が輝ける星であるのならば、その苗床は眷属となる
イズの時代、エーブリエタースは娼婦アリアンナの赤子と同じような過程をたどって誕生したと考えられる
すなわち、海水の影響で胎児が苗床化し、その胎児がオドン(あるいは「輝ける星」)の干渉により上位者化したのである
イズの時代にはまだ「輝ける星」は嘆きの祭壇に見られる甲虫の内に宿っていた
しかしいつの頃か、輝ける星は眷属たちを見捨てて空の彼方へと去ってしまったようである
残されたのはかつて「輝ける星」が宿っていた甲虫の殻のみである
見捨てられた上位者は空(から)となった殻(から)を見上げ、そこに父の徴が現われるのを嘆きながら待ち続けているのである
宇宙は空(から=殻)にある
※クトゥルフ神話におけるイスの偉大な種族は時間の秘密を解き明かした唯一の種族とされる。ゆえに女王の肉片の時間を巻き戻すことができたのかもしれない
※「宇宙は空にある」の英文は The sky and the cosmos are one.(空と宇宙は一体) であり、「空=殻」と解釈可能なのは日本語版のみである。物語の解釈に日本語版を参考にするという流れは reddit にも存在するが、それを是とするのか否とするのかは、解釈者次第である
星界からの使者(大)
空の彼方に去って行ったのが輝ける星ならば、空の彼方にある星界からやって来たのが星界からの使者(小大)である(宇宙は空にある)
上述したように「空」とは「空(から)となった輝ける星の殻(から)」である
星界からの使者は眷属であり、輝ける星の精霊に寄生された苗床である
その輝ける星の精霊がどこから来たかというと、「輝ける星の抜け殻」の内部からである
上位者である輝ける星は去ったが、その殻の内部にはいまだ先触れが残っていたのである
これは真珠ナメクジがエーブリエタースの痕跡として残されるのと同じ現象である
真珠ナメクジ
地下遺跡の各所に巣食う、奇妙な小生物たち
特にナメクジは、見捨てられた上位者の痕跡である
空となった殻から発見された精霊により眷属に変異したために、その苗床は「星界からの使者」と呼ばれるのである(宇宙、つまり星界は空(殻)にある)
エーブリエタースと共に空を見上げる(つまり嘆きの祭壇の空の殻を見上げる)聖歌隊にとって、輝ける星の抜け殻から採取される精霊は星の徴であり、超越的思索への道である
偽ヨセフカはこの精霊を用いてNPCの何人かを星界からの使者に変異させたのである
この精霊とは具体的には「彼方への呼びかけ」であろう。彼方への呼びかけはハダカカメガイの一種クリオネに酷似しており、クリオネとは言うまでもなく海の生物であるが、「彼方への呼びかけ」は同時に星の小爆発を伴うともされる
つまり、海と星界の双方の性質をもつのである。これは宇宙の上位者でありながら、海水を媒介に苗床を増殖させる輝ける星と共通する性質である
※この精霊が「輝ける星の精霊」そのものなのか、または宇宙に関連する他の精霊なのかは不明である
かつて医療教会が、彼方への呼びかけを媒介に高次元暗黒に接触し、遙か彼方の星界への交信を試みたのも、「彼方への呼びかけ」が星界にいる上位者の先触れであるからである
次に星界からの使者(大)が上位者化した原因であるが、これもやはりアリアンナの赤子と同じ経緯により誕生したものと考えられる
すなわち、妊娠中の胎児が輝ける星の精霊により寄生され苗床となった後に、オドンの影響により上位者化したのである
星界からの使者(大)の例では、母親は血の聖女である。血の聖女の血とオドンの神秘とが混ざり合い、それは「青ざめた血」を構成したのである。眷属となっていた胎児は両親の血と神秘とを受け継いだことで上位者となったのである
一方、上でも書いたが星界からの使者(小)はたんに星界の精霊に寄生されただけの「苗床」である
いつも考察楽しく拝見させて頂いてます!
返信削除ロマが漁村から奪った物だとすると、聖杯ダンジョンのロマ≠ビルゲンワースのロマということでしょうか? ロマもエーブリエタース同様ダンジョンから引っ張ってきたと考えた方が自然な気がします
ご指摘ありがとうございます
削除ミコラーシュによれば、ロマは「ゴースあるいはゴスム」に瞳を授けられて上位者になったとされます
ゴースあるいはゴスムが他者に瞳を授けられる場所が漁村しかないこと、また聖杯ダンジョンのロマは最初から上位者であることなどから、聖杯ダンジョンとビルゲンワースのロマは別物と考えています
イズにゴースが登場していれば、両地のロマを同一と考えられるのですが…
質問があります。
返信削除ロマは純粋な上位者であるゴースと輝ける星とのあいだにできた上位者の赤子である
とありますが、同じ神秘の側に在る上位者同士で赤子を成すことが出来るのでしょうか?