混沌の娘たち
オープニングでイザリスの魔女と混沌の娘たち、と謳われていることから混沌の娘たちは当初から混沌の娘だったと受け取りがちである
しかし、混沌の娘たちはそれ以前には「炎の魔女」であった。このことはイザリスの杖に記されている
イザリスの杖
イザリスの魔女が混沌に飲まれる前
まだ娘たちが炎の魔女だった頃の杖
つまり元々はイザリスの魔女と炎の魔女たちだったのである
オープニングで「混沌の娘たち」と呼ばれているのは、語り手が後世の老女だからであろう。老女の時代には炎の魔女たちは混沌に飲まれ混沌の娘たちになっていたからである
また炎の魔女たちの全員もしくはその一部はイザリスの魔女の娘である
クラーグの魔剣
混沌のデーモンと化したイザリスの魔女の娘
クラーグのソウルから生まれた曲剣
デーモンの炎司祭
全員、と言い切れないのはデーモンの炎司祭がイザリスの魔女の娘と明言されていないからである
デーモンの杖
デーモンの炎司祭は、最初のデーモンであり
イザリスの魔女が混沌に飲まれる前の
呪術でない、炎の魔術の最後の使い手だった
これによるとデーモンの炎司祭は最初のデーモンである。そして全てのデーモンの苗床となったのが「混沌の炎(の獣)」である
王のソウル(混沌の苗床)
魔女はソウルから「最初の火」を作ろうとし
歪んだ混沌の炎の獣を生み出した
すべてのデーモンの苗床となったその力は
王の器を占めるに足るものだ
このとき生まれた混沌の炎に最初に飲まれたのがイザリスの魔女とその娘たちである
混沌の嵐
イザリスの魔女とその娘たちを飲み込んだ
混沌の炎の業
周囲に幾つもの混沌の炎の柱を吹き上げる
「最初の火」を作ろうとした魔女の野心は
異形の生命の苗床、混沌の炎を生み出した
時系列的にまとめると以下のようになる
- イザリスの魔女がソウルから「最初の火」を作ろうとする
- 混沌の炎がイザリスの魔女とその娘たちを飲み込む
- 混沌の炎の苗床が生まれる
- 最初のデーモン、デーモンの炎司祭が生まれる
混沌の炎は、母も、妹たちも飲み込み
異形の生命の苗床にしてしまった(イザリスのクラーナ)
最初のデーモンである炎司祭は「呪術でない、炎の魔術の最後の使い手」であったという
※またデーモンの炎司祭は炎系の攻撃を放ってくるが、これは「魔術属性」である
混沌の炎に最初に飲み込まれたのは、それを作ろうとしたイザリスの魔女とその娘たちであろう
そしてそこから生まれた最初のデーモンが炎司祭であるというのならば、彼女は炎の魔女であったと考えるのが自然だろう
炎司祭がデーモンの杖を使うのも、彼女がもとは杖によって炎の魔術を行使する炎の魔女だったからであろう
イザリスの杖
イザリスの魔女が混沌に飲まれる前
まだ娘たちが炎の魔女だった頃の杖
呪術はまだ生まれておらず
彼女たちの杖も魔術の触媒であったが
その炎の魔術は完全に失われてしまった
しかしながら「呪術でない、炎の魔術の最後の使い手」という表現からはそれが魔女(女性)であるとは断定できない
とはいえ、記録によれば「呪術でない、炎の魔術」を操ったのは炎の魔女のみである
そして炎の魔術は、イザリスの魔女とその娘たちが混沌の飲まれた後に、完全に失われてしまっている
このように状況証拠的にはデーモンの炎司祭は限りなく魔女の娘たちの一人であると思われる。しかし確実な証拠はない
よって炎の魔女たちは全員もしくはその一部が魔女の娘たちであった、とする他ないのである
しかしいちいち「全員もしくはその一部」とするのも面倒なので、これ以降は炎の魔女たち=魔女の娘たち=混沌の娘たちとする
魔女の娘たち
確認できるかぎり、魔女の娘たちのなかで最年長なのがクラーナである
…私は、母も、妹たちも、すべて棄てて逃げ出したんだ(イザリスのクラーナ)
姉に触れないところを見ると(すべてに含まれているのかもしれないが)、クラーナが長姉のようである
長姉クラーナの妹がクラーグであり、その下に混沌の娘が位置する
…姉さん?(英語版「Quelaag?」)(混沌の娘)
また廃都イザリスで襲ってくるNPC「魔女の娘グラナ」はイザリスの杖をドロップすることもあり、イザリスの魔女の娘の一人であると考えられる
魔女の娘グラナ
グラナの存在はクラーナのセリフと矛盾するところがある
混沌の炎は、母も、妹たちも飲み込み
異形の生命の苗床にしてしまった
だが、私だけは逃げ出して、こんなところにいる(イザリスのクラーナ)
姉妹のうちで逃げ延びたのはクラーナだけなのである。だとしたら襲ってくる魔女の娘グラナとは何者なのだろうか
まずグラナは黒金糸シリーズを身に纏っているが、それはオープニングで混沌の娘たちが着ている装束である
またグラナは「なぎ払う混沌の炎」を使ってくるが、この呪術は年長の姉たちの業であったとされる
なぎ払う混沌の炎
なぎ払う炎は、娘たちの中でも
年長の姉たちの業であったようだ
クラーナの「私だけは逃げ出して」を真とするのならば、グラナは混沌の炎から逃げ出さずイザリスに残ったもののデーモン化せず苗床を守っている魔女の娘、ということになる
そして装備や使用呪術などから、クラーナと同程度には年長である(厳密にはクラーナよりわずかに下)
7人の混沌の娘たち
姉妹を年齢順に並べると以下のようになる
長女:クラーナ
次女:グラナ
三女:クラーグ
四女:混沌の娘
ただしこれは混沌の娘として明らかになっている者のみを並べたものであるので、長女以下の敬称は仮のものである
この他、混沌の娘たちに入るかもしれないのが上述したデーモンの炎司祭である。これは彼女が「呪術でない、炎の魔術の最後の使い手」だからである
※上述したように、「呪術でない、炎の魔術の使い手」として確認できるのは炎の魔女たちだけである。そして彼女たちはイザリスの魔女の娘たちであったと考えられる
とすると、他の炎司祭タイプのデーモンも炎の魔女であった可能性が出てくる
不死院のデーモンと、はぐれデーモンである
既述のクラーナ、グラナ、クラーグ、混沌の娘の4名に3体のデーモンを足すと計7名(体)となる
これはオープニングに描かれた混沌の娘たちの数と一致する
混沌の炎
魔女の娘たちはイザリスと共に混沌の炎に飲まれデーモンと化していったという
混沌の嵐
イザリスの魔女とその娘たちを飲み込んだ
混沌の炎の業
周囲に幾つもの混沌の炎の柱を吹き上げる
「最初の火」を作ろうとした魔女の野心は
異形の生命の苗床、混沌の炎を生み出した
クラーグの魔剣
混沌のデーモンと化したイザリスの魔女の娘
混沌の炎とは何なのか、どのように作られ、なぜ混沌の娘たちはデーモンと化していったのか
結論から述べれば混沌の炎は、王のソウル(炎、熱)と人間性(闇)を混淆させたことで生じたものである
王のソウル(混沌の苗床)
デーモンの母たる、混沌の苗床のソウル
火の時代の最初に見出された王のソウル
魔女はソウルから「最初の火」を作ろうとし
歪んだ混沌の炎の獣を生み出した
すべてのデーモンの苗床となったその力は
王の器を占めるに足るものだ
炎の武器と混沌の武器はどちらも炎属性を宿すが、混沌武器のみ「人間性」の量によって攻撃力が増す、という特徴がある
攻撃力が増す=混沌の炎の力が強まるということである
なぜ人間性によって混沌の力が増すかというと、人間性には特殊な炎を盛んにするという性質があるからである(普通の炎は盛んにしない)
注ぎ火の秘儀
注ぎ火にて、さらに大きく篝火を育て
より多くのエストを得るための秘儀
しかし人は、不死となりはじめて
人間性の「使い途」を得るものなのか
類似点からいって、火防女のいる篝火(最初の火の炉を除く)は、混沌の炎に近しいものなのかもしれない
本来的に炎はイザリスの魔女とその娘たちの管掌であり、イザリスの魔女と最初の火の構図が、そのまま火防女と篝火の関係性に受け継がれたと考えられる
混沌の苗床
イザリスの魔女は「最初の火」という究極的な炎を作り出そうとして、炎を強める人間性を王のソウルに注ぎ入れたのである
イザリスの魔女のもつ王のソウルは「熱や炎」の性質を宿す
そこへ人間性(闇)が注がれたことで炎は闇に汚染されて、ついに混沌の炎が誕生したのである
人間性とは前回「貪食ドラゴンと人間性」でも記したように、人間のもつ煩悩(感情や業)である
それは生への執着を捨てきれず生きようともがく醜悪な意志である
純粋な炎は邪悪な意志に汚染され、それは混沌の炎と化した
その結果、誕生したのが混沌の炎の獣である。それは生への渇望という煩悩そのものの形、すなわち苗床の形を成したのである
人間性には、ある種の生命のように蠢く性質がある
火防女の魂(アナスタシア)
火防女の魂は人間性の憑代であり
それは彼女たちの体においても変わらない
あらゆる皮膚の下に無数の人間性が蠢き
その姿は、大抵おぞましいものとなる
そしてそれは虫のように聖女を内側から噛み苛むものである
暗く、何も見えず、闇が私を噛むのです
ずっと、ずっと、虫たちが、私を噛み苛むのです(カリムのイリーナ)
混沌の炎に飲まれた魔女たちは苗床に蠢く人の煩悩(闇)に汚染され、寄生されたことで混沌のデーモンと化したのである
クラーグのソウル
混沌のデーモンと化した
イザリスの魔女クラーグのソウル
彼女らが虫の性質をもつのは、彼女を汚染しているのが人間性だからである
おそらく彼女たちの形態を決定づけるのは、寄生した闇(煩悩)の種類によると考えられる
獣欲に汚染されたものは、牛頭や山羊頭のデーモンとなる
また貪欲に汚染されたものは、不死院のデーモンや炎司祭のように肉体が肥大化し、醜い姿となる
そして生への執着という煩悩に汚染されたものは、クラーグや混沌の娘のように、虫の形態が現れるのである
人のもつ人間性、すなわち煩悩(三毒)はあらゆる存在を汚染し、堕落させる性質をもつのである(貪食ドラゴンのような朽ちぬ古竜の子孫でさえ)
混沌という病に罹患した者は、感染した人間性の闇(煩悩)により、それに見合った形質を有するようになるのである
闇
神々がどれほど完璧な世界を創ろうとも、人の醜悪な煩悩はそれらに感染し浸食し、すべてを腐らせていく
グウィンが闇を恐れたのはこのためである
朽ちぬと謳われる不滅の古竜でさえ煩悩には抗えず、醜い姿に堕するのである
人の煩悩、それは人の本性である人間性であると同時に、世界を滅ぼす闇でもあるのである
ゆえにグウィンは闇を封じようとした
末娘フィリアノールを贈り、理想の世界という夢を闇の小人たちに見させたのである
煩悩を満足させる理想郷の夢を見させて、闇(煩悩)が世界に漏れ出てくることを防ごうとしたのである
またそれでも漏れ出てくる闇をミディールに喰らわせた
王女の眠りとミディールの闇喰いは、同じひとつの目的を目指している
それは人の闇を封じることである
そして闇を封じるという古い約束を果たすために、ミディールは戻ってきたのである
闇を喰らうその竜は、それ故に闇に侵され、最後にこの街に戻ってきました
古い約束に従い、王女の眠りを守るために(フィリアノールの騎士、シラ)
なぜならば、王女の眠りが破られれば闇が溢れ出すからである
だが人の煩悩、その欲望に果てはない
人がいるかぎり、その内に煩悩があるかぎり、それは無尽蔵に増殖し世界のあらゆるものに浸食しやがて世界を闇に沈めるのである
増大する闇に抗する唯一の方法、それがソウルによって再び火を盛んに燃え立たせること、すなわち火継ぎなのである
イザリスの混沌とその娘の考察面白かったです。
返信削除ただ少し思った事があります。
はぐれデーモンや、デーモン司祭等の太った体に羽のついたデーモンはDS1以後のDS3のデーモン遺跡で石化している同じような個体が多数存在する事から混沌の苗床から生まれた存在だと思いました。
クラーナ等の4人の娘たち以外3人は苗床の核を守る二つの要になった者と爛れ続ける者が守る金糸を着た遺体ではないかと考えます。そして爛れ続ける者が守る娘は肉体とソウルに分かれ、金糸を着た遺体と橙色の指輪と娘のソウルが混ざり百足のデーモンになったと妄想します。