2020年9月20日日曜日

Bloodborne 考察まとめ2 聖血(第三版)

本題から離れた部分が多く冗長になっていたうえ、重大な事実誤認もあったので全面的に書き直した

※ローレンスの頭蓋について追記


聖体

聖血がどこからやって来たのかはアルフレートが述べている


狩人なら知っているでしょう。ヤーナムの地下深くに広がる神の墓地

かつてビルゲンワースに学んだ何名かが、その墓地からある聖体を持ちかえり

そして医療教会と、血の救いが生まれたのです(血族狩りアルフレート)


つまり聖体から「拝領」された血を崇拝対象としたのが医療教会である(聖体拝領である)


さて、聖体は墓地から持ちかえられたものという


神の墓地、すなわちトゥメル系ダンジョンには「女王殺し」と呼ばれる古狩人が登場する

※この当時まだイズの奥部には到達しておらず、またローラン遺跡には神にふさわしいボスはいない

事実彼は女王を殺したのであろう。そして彼はプレイヤーが女王ヤーナムを倒したときと同じものを手に入れたのである


ヤーナムの石である


これがビルゲンワースに持ちかえられた聖体であり、聖血の源なのである


ヤーナムの石

トゥメルの女王、ヤーナムの残した聖遺物


女王の滅びた今、そのおぞましい意識は眠っている

だが、それはただ眠っているだけにすぎない…

※ローレンスの頭蓋については後述する


ヤーナムの石

テキストからは眠っている意識がヤーナムのものなのか、あるいは産み落とされた何者のものなのか判然としない


女王の滅びた今」とあることから後者のように思えるが、英語版では「彼女の恐ろしい意識」とあることから女王自身の意識のようにも読み取れる


Yharnam Stone

The Queen lies dead, but her horrific consciousness is only asleep, and stirs in unsetting motions.


また没イベントの一つに、このヤーナムの石がゴースの遺子として扱われるものがある(詳細は→Bloodborne 没データ「ヤーナムの石」)。加えてグラフィック的には子宮内の胎児のようにも見える




事実はどちらか? 


どちらでもありどちらでもない


ヤーナムの石受肉しそこねたメルゴーの器であり、今そこに宿っているのは女王ヤーナムの意識なのである


メルゴーはおよそ尋常な生まれ方はしなかった。ゲーム上で彼は泣き声としてしか存在せず、その肉体はいっさい表示されない


なぜならばメルゴーは生まれる前に「奪われた(死産した)」からである


残されたヤーナムの胎児は宿るべく意識を持たず、女王ヤーナムは生まれることのない胎児を身籠もり続けていたのである


そして女王は女王殺しに殺され、その胎児はヤーナムの女王の意識を宿したまま奪われたのである(女王ヤーナムは自らの子を二度奪われている)


女王の意識はビルゲンワースが悪夢に取りこまれる過程で石から離れ意識体としてさまようことになる。狩人が出会う女王ヤーナムは彼女の意識(遺志)である



ヤーナムの胎児

さて、胎児の体内に流れていたのは父であるオドンの神秘と、胎盤を通じて供給されるヤーナムの血である


神秘の青血の赤が混ざり合い、その血液は「青ざめた血」となる


同時に胎児は「上位者の赤子」として上位者でもある(肉体のみであるが)


つまりヤーナムの石とはこの世に顕現した上位者の聖体なのである


その聖体から流される血こそが「聖血」なのである


まとめると聖血とはこの世に顕現した「上位者の血」であり、そしてそれは「青ざめた血」なのである


拝領とは死産した胎児から血を抽出することに他ならない。本作において拝領が具体的な形で描かれたなかったのは、倫理的にアウトだからかもしれない


古い血

聖血は英語版では古い血と呼ばれる


聖血を得よ

Seek the old blood.


偽ヨセフカに身を窶(やつ)した男を送ると、「ついさっき、治験者を受け入れたわ。今度は、古い血を試すつもり」というセリフが聞ける



また、その直後に「どうあれ、有意義な治験になる。あなたのおかげよ」と続ける


タイミング的には治験者を受け入れた直後であり、これから有意義な治験が行なわれる、と告げているのである


つまりこの時点で偽ヨセフカは治験者に対してまだ「血の医療」を施していない


だが、狩人が裏手からヨセフカ診療所に侵入すると、すでに血の医療を施されてしまったのか、変わり果てた姿の身を窶した男と遭遇する


モーションは身を窶した男と同じである


つまり身を窶した男は「古い血」によって星界からの使者に変異したことになる


この変異が起きるのは「古い血」すなわち「聖血」に上位者由来の青い神秘が混じっているからである


それはメルゴーの聖体から拝領された「青ざめた血」であり、その根源的な神秘の力により、身を窶した男は獣性の力を押さえ込まれ、神秘の身体を得たのである



星界からの使者

身を窶した男が変異したのは星界からの使者である


つまり身を窶した男はメルゴーの血(古い血、聖血)によって星界からの使者に変異したことになる


星界からの使者はエーブリエタースの関与によって変異したものと考える向きもあるが、しかし、エーブリエタースの関与によって人が変異するのは「星の子ら」である


オドンとアリアンナの赤子が「星の子ら」であり、またエーブリエタースが「星の娘」と呼ばれていることからも分かるように、この両者にはつながりがある


一方で星界からの使者は形状的にタイプが異なる。とはいえ名前は「」と「星界」と似通っていてまったく無関係とも考えにくい


つまり【星の娘、星の子ら】と【星界からの使者】は異なる系統であるが、しかしそれほどの違いはなく、いわば近縁種と呼べる関係性にある


この微妙な近縁性は両者の親が共にオドンであることから発生している


つまり星界からの使者はエーブリエタースの系統ではなく、オドンから生まれたメルゴーの系統である

すなわち、古い血によって身を窶した男が「星界からの使者」になるのは当然のことであり、これによりそれ以前に偽ヨセフカが使用したも明らかになる


※上位者になるかならないか、についてはまた別の要因がある



ローレンスの頭蓋

古い血に対比される新しい血とは、つまるところ「ローレンスの頭蓋」の血である


アルフレートは聖体について大聖堂に祀られているとも証言している


血の救い、その源となる聖体は、大聖堂に祀られていると聞いています(血族狩りアルフレート)


現時点において大聖堂に祀られているのはローレンスの頭蓋である


アルフレートの証言を両方とも真実とするのならば、聖体とは神の墓から持ち帰られたローレンスの頭蓋、となる


しかしながら、医療教会や血の救いを生んだ聖体をローレンスの頭蓋とすることは、時系列的な矛盾を生じさせる


生きているローレンスが、自らの頭蓋を用いて医療教会を生んだことになるからである



ローレンスの聖体に対するこの二つの証言真実とするのならば、論理的にありえるのは聖体が2つある、ということである


つまり、医療教会や血の救いを生んだ聖体と、現時点で大聖堂に祀られている聖体は別物なのである。これを説明したのが以下の図である


ビルゲンワースの時代に神の墓から持ち帰られた聖体は、医療教会と血の救いを生んだのである。だがその後、その聖体は遺失されたか破壊されたかして失われてしまった


そして第1の聖体が失われた後に聖体として祀られたのが、ローレンスの頭蓋だったのである


※ローレンスの頭蓋は医療教会の礎となったとインタビューで語られていることから、第1の聖体が失われたのは医療教会設立の直後、あるいはその直前であろう


ローレンスの頭蓋の根源をたどるとヤーナムの石に行きつく。すなわちローレンスの頭蓋にはメルゴー由来の神秘が満ちているのである


メルゴーの古い血が患者を「星界からの使者」にしたのならば、ローレンスの頭蓋から抽出された神秘が患者を「星界からの使者」にするのも不思議ではない


なぜならば、その両者に宿る神秘は同じメルゴーの神秘だからである


頭蓋からあふれる神秘により、ローレンスの頭蓋の頭蓋は第2の聖体として祀られたのである。そしてそれは初期医療教会の礎になったのである



苗床

祝福(精霊に寄生されること)を望み拝領を得た者は星界からの使者となり、逆に獣の誘惑に屈した者は獣化する


この変異の違いを言葉にしたものが、エミーリアの説教である


聖血を得よ

祝福を望み、よく祈るのなら

拝領は与えられん

拝領は与えられん

密かなる聖血が

血の渇きだけが我らを満たし、また我らを鎮める。聖血を得よ

だが、人々は注意せよ

君たちは弱く、また幼い

冒涜の獣は蜜を囁き、深みから誘うだろう

だから、人々は注意せよ

君たちは弱く、また幼い

恐れをなくせば、誰一人君を嘆くことはない


蛇足

最初に書いたものがあまりに冗長であり、事実誤認もあったので書き直した

血の聖女やカインハーストについては別にまとめるかもしれない

2020年9月17日木曜日

Bloodborne 考察40 上位者の獣

 未使用データには「Great One Beast」というボスが存在する


直訳すれば上位者の獣となるが、名前やその姿からも分かるように「獣タイプ」の上位者である

Bloodboner Wiki より転載「Great One Beast
Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License

獣タイプの上位者は珍しく、他には月の魔物に獣の特徴が一部認められるくらいである


本考察ではブラッドボーンにおける「Great One Beast」の位置とその意味について考察してみたい


獣の病

獣の病が上位者の呪いであり、その原因がであることは過去の考察で何度か述べている


しかしその虫のさらなる根源、つまり虫を送り込んだ者については単に上位者としてのみ扱ってきた


※これは何も出し渋っていたわけではなく、漠然とした方向性はあったものの明確な答えを見いだせていなかったからである


結論としては虫の根源は「Great One Beast」である


というのも、オドンやエーブリエタースに代表される「神秘系上位者」が人を苗床にし、Great One Beastという「獣系上位者」が人を獣化させると考えると、構図がすっきりするからである


しかもこの構図は本作の各所に見られる「神秘と獣性の対立」の構図と完全に一致するのである


神秘vs獣性

神秘と獣性啓蒙と獣性の関係としてシステムに落とし込まれているが、この対立構造はそれだけにとどまらず、本作の世界全体に浸透している


つまりオドンに代表される神秘系上位者と、上位者の獣という獣系上位者対立構造が世界設定にうかがえるのである


これはクトゥルフ神話旧神と邪神対比することが可能である


一般的に旧神宇宙や星(星の戦士など)と関連付けられ、宇宙各地で邪神を封印してきたとされる。かつて地球を支配していた邪神たちも旧神によって封印され、今は旧支配者と呼ばれている


これを本作に適用すると、オドンに代表される神秘系の上位者たちは旧神勢力であり、彼らに封印された上位者の獣は旧支配者となる


作中に登場する概念に旧支配者を探すと「旧主」が当てはまる。これを裏打ちするかのように、旧主の番犬は「」の姿をしている

Bloodboner Wiki より転載「旧主の番犬
Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License


すなわち旧主とは「Great One Beast」であり獣タイプの上位者なのである


旧主の眠り(封印)を守る番犬が獣の姿をしているのは、血を持つが故に影響を受けて獣化したからであろうか(後述するが旧主の番犬は旧主の従僕ではなく、旧主の牢獄を見張る獄卒である)


一方、業火に焼かれた番人血のない灰であるがゆえに獣化することなく人の姿を保持している(罪人がその番にあたったことからも分かるように、番人は名誉ある任務ではない


番人と番犬は封じられた旧主を見張っているのである(それはある種のとして)


だが、封じられている旧主はただ漫然と眠っているわけではない(眠り=封印については後述する)


旧主の遺志は封印を突き抜けて、さらに悪夢を介して(このあたり大祭司クトゥルフと同じメカニズム)、現実世界へともたらされたのである


※海底都市ルルイエに幽閉され眠っている大祭司クトゥルフは、普段は海の水(大量の水!)に遮られて人に干渉することができないが、まれに夢を介して人間に干渉するという


遺志は呪いとなり、それはとなって世界にもたらされ、生物の血液に寄生し、やがて宿主を獣化させていったのである

※上位者の獣から受け継いだ「血」そのものに獣性が宿っていた、という考え方もできる。その場合、は獣の病を発症させるスイッチのようなものかもしれない


青ざめた血の考察において上位者の祝福が聖霊上位者の呪いが虫という図を出したが、より適切になるよう修正を加えた図が以下である

右下の「獣血」は「血質」としても良いかもしれない

聖霊を送り込む上位者と、を送り込む上位者とは別個体なのである


そしてそれはクトゥルフ神話における旧神と邪神の関係と同じ、封印する者と封印された者という構造を保持しているのである


業火

旧主の番人たちはその姿と魂を業火に焼かれ、灰として永き生を得たという


これまでこの業火を旧主の属性としてきたが、実はそうではない。この炎は上位者の獣を封印するための炎の檻なのである


大量の水封印(断絶)の比喩であるように、業火もまた封印(断絶)の比喩なのである(水と炎の同一性については次の項)


そこに幽閉されているのは、神秘を宿敵とする獣性の上位者、「Great One Beast」である


業火によって断絶(封印)され、眠っている上位者の獣は自身が創造した悪夢の中に棲んでいる


しかし何らかのタイミングで悪夢と現実世界とが接近したとき、上位者の獣は捕らわれた自分の代わりに呪いを送るのである。すなわちである


※かつて上位者の怒りに触れて滅びたとされるローラン。その上位者とは「Great One Beast」のことであろう


火と水

大量の水眠りを守る断絶とされる


「湖」

大量の水は、眠りを守る断絶であり、故に神秘の前触れである

求める者よ、その先を目指したまえ


一方で旧主の眠り(封印)を守る番人は業火に焼かれたという


火と水という正反対の概念が登場し、双方ともに眠りを守っていることになる


この2つ別々の封印(眠り)のことを指しているか、あるいはどちらかが正しくどちらかは間違っていると解釈しそうになる


だがここにいう「火と水」とは神話学的に言えば「同一のエネルギー」なのである


基本的に相反する組み合わせの火と水の背後にあるエネルギーはひとつであり、同じものなのである。(『千の顔をもつ英雄』ジョーセフ・キャンベル)


同一のエネルギー、すなわち神秘である


獣性や血の根源である上位者の獣神秘の檻に幽閉され、眠りながら復活の時を待っているのである


そしてまれに条件が揃うと呪いを世界に送り込み、それは生物の血に潜むとなって、その生物を淀ませるのである



中空構造

SEKIROの考察で世界設定の中央にある部分が意図的に消去されている、ということを述べたことがある

この構造はおそらく宮崎氏の関わったゲームに特徴的な構造であろう

ブラッドボーンにおいてもその構造を見いだすことができる

ブラッドボーンの世界設定の中央に位置し、世界そのものを支える重要な役割を持ちながら、しかしその存在が意図的に消去されている概念がある

それが「Great One Beast」なのであろう

※ブラッドボーンにおいては、神秘の上位者と獣の上位者という二つ柱かもしれない


蛇足

動画補足のための考察なので「考察まとめ」には入れなかった。そのうち世界構造の考察まとめをするときに触れる予定である

Demon's Souls Gameplay Trailerの感想とか【訂正】

訂正:時限独占の情報については表記ミスの可能性が大きい

Playstation 5 Showcase のまとめとか

とりあえず最初にPS5の値段と発売日とか

発売日は11月12日 ¥の値段は税別

Demon's Souls Gameplay Trailer

では本題「Demon's Souls - Official 4K 60FPS Gameplay Trailer」によれば、デモンズソウルはいわゆる時限独占で、後日PCでも発売される予定時限独占については表記ミスの可能性大)


Not available on other consoles for a limited time. Also available on PC.

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DeepL翻訳「他のコンソールでは期間限定で販売されていません。PCでもご利用いただけます。

Playstation BlogによればPS5本体に合わせて発売


感想

暗い場所から明るい場所に出たときなどの光の表現が素晴らしく、プレイ中のどの場面を撮っても「絵になる

またコマ送りしながらSSを撮っていたのだが、敵のモーションがより細かくなっている

一部、主人公の歩きモーションがやや内股気味なのと敵の攻撃が軽いのが気になったが、後者についてはボスの攻撃などでよろめく姿も確認できることから、Trailer用にあえて敵を弱くしたものとも考えられる(一撃で倒せるくらいに?)

死亡したときの「YOU DIED」のフォントは議論を呼びそうな感じがする

※プレイヤーのに関しては生身とソウル体で表現を変えているのかなと思いました(こなみ)

続いて気になった箇所の画像など

逆さまの聖者像。ヤーナムの旧市街でも見かけたような…








刺してねじるバクスタ



敵を浮かせてからのたたきつけ致命



暗部から光の中へ

表現力が増している

拡散の尖兵 お腹から飛び出た軟体部位が気になる…


YOU DIED

タカアシ鎧蜘蛛


炎の直撃を受けると全身から血が吹き出す

賛否のあったつらぬきの騎士。空は曇ってます

飛竜

ガーゴイルガーゴイル

賛否のあった炎に潜むもの

嵐の祭祀場


ガーゴイルの石の表現がわかりやすく


Elden Ringみたいに砕けます


愚か者の偶像ではなく、4-2に登場する死神です




2020年9月1日火曜日

Bloodborne 考察まとめ3 脳の瞳

脳の瞳については過去の考察から大幅に変更が入っている

瞳はウィレームにとっては探求の象徴である

「瞳」
「瞳」はまた、学長ウィレームが追い求めた探求の象徴である
彼は人の思索のあり方に絶望し、高次元思考者たるを目指した
自らの頭、脳の中に、思考の瞳を欲したのだ


ミコラーシュにとっては、獣の愚かさを克させるものであった

ああ、ゴース、あるいはゴスム
我らの祈りが聞こえぬか
白痴のロマにそうしたように
我らに瞳を授けたまえ

我らの脳に瞳を与え、獣の愚かさを克させたまえ(ミコラーシュ)


初期医療教会(実験棟)にとって瞳は、上位者の声を聞くための触媒である

脳液(屋根裏)
医療教会初期、上位者は海と紐づけられていた
故に頭の患者は、自らを水で満たし、海の声を聞く

そして脳液とは、頭の中でになろうとする
その最初の蠢きであるという


脳液がほしいの。暗く蕩けた脳液が
だってもう、ずっとずっと、湿った音が聞こえないのよ…(アデライン)


※また後述するがやや変則的ながら聖歌隊も脳に瞳を得ようとしている

つまりアプローチの仕方には差異はあれど、各陣営は脳に瞳を得るために活動しているのである



3本目のへその緒

獲得の方法としてプレイヤーに提示されているのが3本目のへその緒の使用である

3本目のへその緒
使用により啓蒙を得るが、同時に、内に瞳を得るともいう
だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった

ウィレームもかつて3本目のへその緒による瞳の獲得をもくろんでいた

3本目のへその緒(偽ヨセフカ)
かつて学長ウィレームは「思考の瞳」のため、これを求めた
脳の内に瞳を抱き、偉大なる上位者の思考を得るために
あるいは、人として上位者に伍するために

しかし、である「かつて」とあるように学長ウィレームが3本目のへその緒を求めたのは過去のことである。実際、ウィレームを倒した時に得られるのはカレル文字「瞳」であり、それは血に依らずに神秘の力を得ることができるものである

秘文字の工房道具
カレル文字を脳裏に焼き、その神秘の力を得ることができる
血に依らぬそれは、学長ウィレームの理想に近いものだ

血に依らぬ、と強調されているように、この「瞳」の獲得の仕方は、3本目のへその緒による瞳獲得とは方法や志向が異なるのである

宮崎英高氏はインタビューで各陣営の背景哲学についてこう述べている

それがウィレームであろうと聖歌隊であろうとメンシス学派であろうと、それらのそれぞれはそれらを駆り立てる特定の背景哲学を持っています。(インタビュ-より)

つまりウィレームは血に依る瞳獲得ではなくカレル文字による瞳の獲得を目指したのである。それは3本目のへその緒と決別するという意味である(ゆえに「かつて」なのである)

またウィレームの直系である聖歌隊も3本目のへその緒を求めていない

目隠し帽子
帽子の目隠しは、彼らが学長ウィレームの直系である証である
たとえ、いまや道を違えたとしても

直系であり、しかし道を違えた彼らは星からの徴を求めたのである

聖歌装束
見捨てられた上位者と共に空を見上げ星からの徴を探す
それこそが、超越的思索に至る道筋なのだ

加えて、実はミコラーシュも3本目のへその緒による瞳の獲得を目指していない
というのも、ミコラーシュは入手した3本目のへその緒をメルゴーと邂逅するために使用してしまったからである

3本目のへその緒(メルゴー)
故にこれはメルゴーとの邂逅をもたらし
それがメンシスに、出来損ないの脳みそを与えたのだ

上で引用したように、ミコラーシュはゴースあるいはゴスムから瞳を授けられることを目指している

さらにいえばゲールマン含む狩人陣営も3本目のへその緒による瞳獲得をめざしていない。というのも3本目のへその緒が古工房に捨て置かれているからである

現時点において3本目のへその緒による瞳の獲得をめざす勢力ならびに人物は存在しなかったのである

※ただしプレイヤー狩人は入手した3本目のへその緒を使ったことで上位者の赤子へと変異することから、結果的に3本目のへその緒による瞳の獲得をめざした、と言えるかもしれない

以上が宮崎英高氏のいう各陣営がそれぞれの背景哲学を持つという意味であろう

すなわち「瞳」という1つの概念に対して各陣営がそれぞれのとらえ方哲学を持ち、それぞれのやり方「瞳」を獲得しようと探求を続けていたのである

それゆえにプレイヤーがどれか1つの哲学「瞳」を得る唯一の方法であると早合点してしまうと、誤謬に陥るか、複数の矛盾する情報のなかで延々と堂々巡りを繰り返すことになるのである

ちなみにDLCの実験棟も「」に対する独自の哲学を持っている。彼らはカレル文字でも血に依るのでもなく、「海」がその中心教義である

脳液(屋根裏)
医療教会初期、上位者は海と紐づけられていた
故に頭の患者は、自らを水で満たし、海の声を聞く




それぞれの瞳

各陣営がそれぞれの瞳を目指し探求に励んだ結果、各陣営はそれぞれの「瞳」を獲得している

ウィレームが獲得したのはカレル文字「瞳」である。確かにその「瞳」裏に焼き付けられ、ウィレームに神秘の力をもたらしたのである(しかし上位者にはなれなかった)

実験棟(初期医療教会)も彼らの「瞳」に到達した者たちである。彼らは精霊の卵という「瞳」を獲得した。それは「苗床」となり医療教会の神秘方面の知見となったのである

また聖歌隊星からの徴という「」により、星界からの使者(大)と邂逅し、メンシス学派瞳を宿したメンシスの脳を得たのである

このように各陣営それぞれの哲学に見合った「瞳」をそれぞれ得ているのだが、各陣営とも彼らが求める真の「瞳」を獲得できていない

ウィレームは遂に上位者に伍することはできずミコラーシュは獣を克することはできず聖歌隊は超越的思索に至れず実験棟の試み失敗作を誕生させたのみであった

真の瞳とは、つまるところプレイヤー狩人が「幼年期のはじまりEND」で到達した、人の進化の次の段階にあたる上位者の赤子のことである

トロフィー「幼年期のはじまり」
自ら上位者たる赤子となった証。人の進化は、次の幼年期に入ったのだ

そしてそれは「青ざめた血」を求めることで達成される(これについては「考察まとめ1 青ざめた血」)

それゆえ血に依らぬ手法を理想としたウィレームには到達できなかったのである。またその他の陣営に関しても出来損ないの脳の瞳を得ることはできたが、彼らの最終目的である真の瞳は得られなかったのである


脳の瞳

各陣営の獲得した「瞳」は言うなれば、出来損ないの「脳の瞳」である

ウィレームはカレル文字「」を裏に焼き付け、メンシス学派を宿した巨大なみそを手に入れ、初期医療教会(実験棟)は、に宿った精霊の卵()を手に入れたのである

やや複雑なのが聖歌隊である。実際に星界からの使者(大)という上位者を確保しており、一見すると「瞳」を手に入れたようにも思える

だが、星界からの使者(大)は「赤子」でないという点で真の瞳ではない

とはいえ、聖歌隊の気づき、「宇宙は空にある」は一読すると脳とは関係ないように思える

だが、このエーブリエタースと共に見上げる空である

聖歌装束
見捨てられた上位者と共に空を見上げ、星からの徴を探す
それこそが、超越的思索に至る道筋なのだ

つまりエーブリエタースは空を見上げていることになるが、嘆きの祭壇にいるエーブリエタースのは上ではなく、まるで視界を閉ざすかのように地面に向かって伏せられている

この意識的な視界の喪失は、仮面で目を覆ったウィレーム目隠し帽子を被った聖歌隊共通の思想様式である

つまり、彼らが見ているのは物理的な空ではない

彼らにとって視覚は空を見上げるうえで障害にしかならないのである。それゆえに彼らは眼を覆って視覚を失くし、物理的ではない形而上学的な領域見上げているのである

それはつまり「精神」という空である

その精神が宿るのが「」である

彼らはウィレーム直系の思索哲学を持ち、しかし道を違えて超越的思索を探求している

思索とは思考であり、脳は思考の座である

聖歌隊は精神の空に宇宙があることに気づき、精神の最も深い部分から到来する「星からの徴」を追い求めたのである

そしてそれはウィレームの血に依らぬ手法とは道を違えた手法、つまり「血」に依る思索によって成されたものである

すなわちエーブリエタースの血を拝領することで彼らは神秘の力を体内に取りこみ、それにより精神を介して神秘的実体である「宇宙」へアクセスしたのである

その内の幾人かは星からの徴を獲得して星界からの使者となり、さらに一人は星界からの使者(大)となったのである(星からの徴は超越的思索に至る道筋であって、そのものではない)

偽ヨセフカの治療に使われたのはエーブリエタースの血である。その血を輸血された人間は精神を介して宇宙とつながり星からの徴を得て星界からの使者に変異するのである

そうした精神の宿る場所は脳であり、その精神を介して宇宙とつながるのであれば、それはつまり脳と宇宙をつなげることに他ならず、その宇宙にある星から到来した脳に宿ることになる。それは脳に宿った星からの徴、つまるところ脳の瞳である

以上の関係性を図にしたのが以下である





蛇足

本作では1つの言葉や概念に複数の意味を重ね合わせるという手法が用いられている

この手法にとらわれると、プレイヤーは1つの意味に固執するあまりに誤謬の罠に陥るか、互いに矛盾する複数の事実のなかで自家撞着の袋小路をさまよい続けることになる

解決法は単純で、1つの概念に複数の意味が重ねられていることに気づけば良いだけである

「瞳」はその典型で、各陣営によって「瞳」へのアプローチが異なるのだから「瞳」として得られた成果も異なるのは当然のことなのである(しかしほとんどの成果は出来損ないである)

この「瞳」は最終的に狩人の変異した「上位者の赤子」とも重なるが、その「上位者の赤子」についても複数の意味が重ねられた複合概念(多重概念)である

上位者の赤子の多重性については後日考察する予定だが、端的に言って上位者の赤子とは単に上位者の遺伝子を受け継ぐ子と言う意味もあれば、もっと特別な意味を有した存在でもある

2020年8月27日木曜日

Bloodborne 考察まとめ2 聖血 追記:二つの聖血

青ざめた血

前回は「青ざめた血」について考察した

簡単にまとめると、青ざめた血とは儀式を暴いた際に現われる青ざめた血の空の色であり、月の魔物の別名であり、上位者の赤子を産むことの出来る者たちのであり、幼年期のはじまりENDにおいて狩人が到達する「青ざめた血」の流れる上位者のことでもある

その際に「青ざめた血」の理想的モデルとして医療教会に崇拝されたのが「聖血」であるとし、その聖血を女王ヤーナムの血と仮定したのだが、なぜ聖血が女王ヤーナムの血でなくてはならないのかは省略した

これは「まとめ」が冗長になることと、「青ざめた血」が狩人の物語に直接関与するものであるのに対し、「聖血」が物語のバックグラウンドに置かれているから、等々の理由があった(簡単に言うと長くなる)

そこで今回は書き残していた「聖血」そのものについて考察してみたい


古い血

聖血という語が示す概念は1つだけではない。この語にはいくつかの意味が重ねられている。また事実その血は「相反するものの結合」した複合物質である

そのうち古い血は聖血が示すものの1つである。というのも、エミーリアの説教において語られる「聖血」は英語版では「old blood」と訳されているからである


聖血を得よ
Seek the old blood.(教区長エミーリア)

つまり偽ヨセフカの「今度は、古い血を試すつもり」というセリフは「今度は、聖血を試すつもり」の意である

であるのならば、偽ヨセフカの治療によって「星界からの使者」になった患者は、「聖血(古い血)」以外の血(あるいは治療)によって変化したことになる

なぜならば、「今度は、古い血を試すつもり」のセリフが聞けるのは、何らかの治療により患者を星界からの使者にしたのことだからである

偽ヨセフカはまず「聖血」ではない他の治療を患者にほどこし、そのために患者は星界からの使者となったが、それに飽き足らず「今度は」聖血を使おうとしているのである

※偽ヨセフカの最初の治療については最下部「二つの聖血(追記)」で考察している


上位者の血

さて、古い血というと「古い上位者の死血」が連想される。しかし英語版のテキストには「Blood Echoes of an Old Great One.」とあり、上位者の「古い血」ではなく、「古い上位者」の血のことである

上位者として古いのであって、その血が古いとは書かれていないのである

骨炭装備にある「最古の番人」については、「その姿と魂を業火に焼かれ灰として永き生を得た」とあり、彼女たちに「」はない

また単に上位者の血古い血と呼んだのだとすると、まずロマ星界からの使者(大)エーブリエタース月の魔物ゴースは古くはなく、「古い」と形容する理由がない

またメルゴーメルゴーの乳母はメンシス学派がはじめて邂逅を果たしたのであり、医療教会の聖血彼らの血とすることは時系列的に不可能である。そのうえメルゴーには姿がなく血を持っていない」可能性すら示唆されている

※後述するがメルゴーに関しては生い立ちが複雑なので、ここではあくまでも狩人が遭遇した「泣き声の上位者」としてのメルゴーを指す

残るはアメンドーズであるが、確かに大聖堂にはアメンドーズの像が立ち並び、医療教会との関係の深さがうかがえる

またカレル文字「月」に「呼ぶ者の声に応えることも多い」とされ、それを裏付けるようにアメンドーズは教会に張り付いている姿がよく見られる

また椅子に座ったメンシス学派のミイラの近くにもアメンドーズが見られ、彼らはミイラの声に応えるかのように狩人の進行を妨害してくる(ヤハグル等において)

と様々な点において聖血がアメンドーズの血であってもおかしくはない

だが一方で、確かにアメンドーズの像は大聖堂に建ち並んでいるのだが、主祭壇に祀られているわけではないこと、またヤーナム大聖堂において聖血を注いでいるのが「女性像」であることなどから、聖血をもたらす者ではない可能性が高い

アーモンドの木(アメンドーズ)とエーブリエータス的な特徴をもつ女神像

アメンドーズの考察において、女性像の背後にあるのがアーモンドの木であり、アメンドーズを象徴しているという仮説を提唱した。そこからもわかるように、アメンドーズは決して主役ではない

医療教会において主神となるのはやはり聖血を注ぐ女神像の方であろう

この女神像に関しては、エーブリエタースの特徴も見られる(触手やローブ)。しかしながら聖歌隊によってはじめて見(まみ)えたエーブリエタースが医療教会の初期からの主神であるとは考えられず、したがってローレンスに聖血をもたらした者ではない可能性が高い(この点については、二つの聖血(追記)で述べている)

またエーブリエタースと見(まみ)えた後に女神像が作られたとするのも不可能である。なぜならばDLC狩人の悪夢において、この女神像は手術祭壇の下に隠されているが、手術祭壇があるのはルドウイークの後である

DLCは進むにつれて時間を遡(さかのぼ)っていく趣向が取り入れられている。つまりは医療教会最初の狩人ルドウイークの前にはすでにあの女神像があったと考えられるからである

加えて聖歌隊の誕生大聖堂の建設後かなり経ってからである

孤児院の鍵
大聖堂の膝元にあった孤児院は、かつて学習と実験の舞台となり
幼い孤児たちは、やがて医療教会の密かな頭脳となった

教会を二分する上位会派、「聖歌隊」の誕生である

他にエーブリエタースの先触れによりその一部が召喚され聖血をもたらした、ということも考えられるのだが、そもそも聖血による血の救い地下遺跡から持ち帰られた聖体が端緒である

かつてビルゲンワースに学んだ何名かが、その墓地からある聖体を持ちかえり
そして医療教会と、血の救いが生まれたのです(血族狩りアルフレート)
何らかの触媒によって召喚されたのではなく、聖体は聖体として物理的に持ちかえられているのである

まとめると、墓地から持ち帰られた聖体が医療教会とその血の救いにつながったのだから、聖体が持ち帰られたのは聖歌隊の誕生前のことである(聖歌隊の本体である医療教会創設より以前である)

つまり「遂に」聖歌隊が見えることのできた「エーブリエタース」を聖体とすることはこれもまた不可能なのである

イズの大聖杯
医療教会上位会派「聖歌隊」の礎となった、イズの大聖杯は
ビルゲンワース以来、はじめて地上に持ち出された大聖杯であり
遂に彼らを、エーブリエタースに見えさせたのだ


以上をまとめると、聖血(古い血)は上位者の血そのものではない

※個人的には女神像はエーブリエタースの像とするのが最も蓋然性が高いと思えるのだが、細部を詰めていくとどうしても矛盾が生じてしまう。この矛盾については最下部で「二つの聖血(追記)」として考察している


聖血

さてこれでようやく聖血について考えることができる。それは上位者の血でも古い番人の血でもない

それは墓地から持ち帰られた聖体によって生まれ、血の医療として神秘の力を持つと同時に、獣化の危険性も宿した血である

聖血を得よ
だが、人々は注意せよ
君たちは弱く、また幼い
冒涜の獣は蜜を囁き、深みから誘うだろう(教区長エミーリア)

聖血は血の医療の根源であり、ゆえにヤーナムを訪れた狩人にも輸血されたのである
※後述するが厳密には聖血そのものではなく、教会によって精製された聖血と成分が近しい血である

まさにヤーナムの血の医療、この特別な血液だけが
ずっと君を苦しめた、その病を癒やすのだから(血の医療者未使用セリフ)

よろしい。これで誓約は完了だ
それでは、輸血をはじめようか…なあに、なにも心配することはない
何があっても…悪い夢のようなものさね…(血の医療者)

狩人が見る「血の獣が炎によって撃退される光景」は、神秘が血を撃退したことを意味しているのである。、すなわち獣性、転じて獣を狩る者は、獣の蜜を跳ね返すことの出来る神秘の者でなくてはならないのである

血の獣が炎によって撃退されるシーン

これはまさしく試練である。血の試練を受けることで獣性に呑みこまれるか、あるいは獣性に打ち勝つ者であるかを判定されるのである

そして獣性に打ち勝ち、試練に合格した者のみが「狩人」となれるのである

ならば聖血には神秘とともに獣性も含まれていなければならない。なぜならば獣の病は人類全般の病気ではなく、ヤーナムの風土病であり、よそ者の主人公狩人が試練を受けるには、神秘だけでなく獣性も取りこむ必要があるからである

神秘と獣性の両方の属性を含んだ血、すなわちそれは「青ざめた血」のことである(前回の考察参照のこと)

そして青ざめた血を持つ者であり、かつ墓地におり、また聖体をもたらすことのできる存在が一人だけいる

トゥメルの女王、ヤーナムである


聖体

トゥメル系ダンジョンには「女王殺し」と呼ばれる古狩人が登場する
事実彼は女王を殺したのであろう。そして彼はプレイヤーが女王ヤーナムを倒したときと同じものを手に入れたのである

ヤーナムの石である

これがビルゲンワースに持ちかえられた聖体であり、古い血や聖血の源なのである

ヤーナムの石
トゥメルの女王、ヤーナムの残した聖遺物

女王の滅びた今、そのおぞましい意識は眠っている
だが、それはただ眠っているだけにすぎない…

テキストからは眠っている意識ヤーナムのものなのか、あるいは産み落とされた何者のものなのか判然としない

女王の滅びた今」とあることから後者のように思えるが、英語版では「彼女の恐ろしい意識」とあることから女王自身の意識のようにも読み取れる

Yharnam Stone
The Queen lies dead, but her horrific consciousness is only asleep, and stirs in unsetting motions.

また没イベントの一つに、このヤーナムの石がゴースの遺子として扱われるものがある(詳細は→Bloodborne 没データ「ヤーナムの石」)。加えてグラフィック的には子宮内の胎児のようにも見える



事実はどちらか? 

どちらでもありどちらでもない

ヤーナムの石は受肉しそこねたメルゴーの器であり、今そこに宿っているのは女王ヤーナムの意識なのである

メルゴーはおよそ尋常な生まれ方はしなかった。ゲーム上で彼は泣き声としてしか存在せず、その肉体はいっさい表示されない

なぜならばメルゴーは器(ヤーナムの石)に宿る前に「奪われた」からである(おそらく乳母によって)

残されたヤーナムの石は宿るべく意識を持たず、女王ヤーナムは生まれることのない胎児を身籠もり続けていたのである

やがて女王は女王殺しに殺され、その胎児(ヤーナムの石)はヤーナムの女王の意識を宿したまま奪われたのである

女王の意識はビルゲンワースが悪夢に取りこまれる過程で石から離れ、意識体としてさまようことになる。狩人が出会う女王ヤーナムは彼女の意識(遺志)である

さて、胎児に流れていたのは胎盤を通じて供給されるヤーナムの血である

それは「青ざめた血」であり、「地下遺跡を築いた古い種族」の王の血でもあった

トゥメルの汎聖杯
なおトゥメルとは、地下遺跡を築いた古い種族の名であり
神秘の知恵を持った人ならぬ人々であったと言われている

その神秘の知恵を持った古い種族であり、またその血には「劇毒」が含まれており、その劇毒の根源は「獣血の主」である

つまるところ女王ヤーナムの血は、神秘と獣性を統合した「青ざめた血」なのである


3本目のへその緒

ヤーナムの石が聖体であることで、メンシス学派がメルゴーの3本目のへその緒を入手した経緯が判明する

ヤーナムの石はメルゴーの器として使われるはずであった。しかしメルゴーは宿らず姿無きまま乳母に奪われたのである

残ったのは胎児(物理)である

しかしそれは上位者の赤子の器である
そして上位者の赤子ばかりが持つとされるモノがある

3本目のへその緒である

ミコラーシュヤーナムの石から3本目のへその緒を取り出し、奪ったのである


前回の「青ざめた血」や今回の「聖血」の成り行きをまとめた図が↓である

暫定的な図である


処刑隊医療教会のカテゴリーに入っているのは、アデーラやルドウイークイベントにおいて、「処刑隊」の装束が「教会装束」と認識されるからである。またアイテム倉庫に入った際のカテゴリー分けも「教会装束」に分類される

※また処刑隊装束は後の教会装束の基礎となった、とあることから処刑隊から直接に聖歌隊やメンシス学派につなげるべきかとも考えたのだが、枝分かれの位置によってそのあたりは表現した

聖歌隊とエーブリエタースについてはやや省略した部分がある。そのうちまとめようと思う



血の組成

その血に特別な効果を有する者たちがいる

娼婦アリアンナと血の聖女アデーラならびに血の聖女アデラインである

アリアンナの血
聖堂街の娼婦アリアンナの「施しの血」
彼女の血は甘く、HP回復に加え
一定時間スタミナの回復速度を高める

古い医療教会の人間であれば、あるいは気づくだろうか
それは、かつて教会の禁忌とされた血に近しいものだ

アデーラの血
医療教会の尼僧アデーラの「施しの血」
HP回復に加え、一定時間、さらにHPを回復し続ける

教会の尼僧たちは、優れた血を宿すべく選ばれ
調整された「血の聖女」である
その施しは、医療教会と拝領の価値の象徴なのだ

アデラインの血
実験棟の患者、アデラインの「施しの血」
HP回復に加え、一定時間、さらにHPを回復し続ける

アデラインは元々「血の聖女」であり
優れた血を宿すべく、教会の調整が施されている
それは1つの、有意なケースであったのだろう

またヤーナムでは輸血液にもHPを回復する力がある

ヨセフカの輸血液
ヨセフカの診療所、その女医に渡された輸血液
精製されたそれは感覚効果が高く、より大きなHPを回復する

精製の時間と手間からは、一般的なものではない
恐らくは、女医の自製によるものだろう

輸血液
血の医療で使用される特別な血液。HPを回復する

ヤーナム独特の血の医療を受けたものは
以後、同様の輸血により生きる力、その感覚を得る

故にヤーナムの民の多くは、血の常習者である

このうちで例外的な効果を有するのは「娼婦アリアンナの血」である
その血がHPを回復することは同じだが、スタミナの回復速度を高める、という効果だけは他の血には見られない特別なものである

血の聖女の血ならびに輸血液は医療教会の教義に則った「拝領」の系譜にある。一方で娼婦アリアンナの血はその医療教会が禁忌とした血に近しいものである

両者の差異は、スタミナの回復速度を高める効果があるか否か、という点に単純化できる

スタミナつまり持久力に関してはそのマークが緑色の水滴型であることから、「苗床化」による身体能力の増強、とかつて考察したことがある(「考察35 星見時計」




しかし娼婦アリアンナは苗床化しているというよりも、その対極に位置する血族である

なぜ虫を宿すアリアンナの血が「苗床化」すなわち神秘の持つスタミナへの関与効果を持つのかについては、彼女の出自に理由がある

しかしまずは「血の聖女」から順を追って説明していこう


血の聖女

端的にいえば、血の聖女の調整された血には「虫」がいない。より厳密に言えば、血の聖女の血では「虫」が孵ることができない

なぜならば、その血は聖血と近しい組成になるように調整された血であり、それはつまり「青ざめた血」に近づけた血だからである

神秘を血に混ぜることで「青ざめた血」に近づけていく。それが教会が施したという調整である

しかしながら、その人工的な「青ざめた血」は薄く、本物の「青ざめた血」にはなりえなかった。というのも教会が使った神秘とは、苗床から得られる「白い血」だったからである(これが灰血病の病原でもある)

しかし神秘の血は対立する「虫」が孵化するのを抑える効果はあった。それゆえに血を濃くすることができ、それはつまり高い獣性を秘めることが可能となったのである

獣性人を獣にすると同時に、人の肉体を頑強にし人ならざる力をもたらす

カレル文字「獣の抱擁」によれば、医療教会はその力に目をつけ制御する方法を探っていた

「獣の抱擁」
獣の病を制御する、そのために繰り返された実験の末
優しげな「抱擁」は見出された

試み自体は失敗し、今や「抱擁」は厳重な禁字の1つであるが
その知見は確かに、医療教会の礎になっている

「苗床」によって得られた「白い血」と、「獣の抱擁」によって得られた知見により、高い獣性を秘めながらも獣化を抑制することのできる血をもつ者たちが生まれたのである

それが血の聖女たちである

ゆえにその血は「獣性」に由来するHP回復(それはつまり生命力増強効果をもち、しかし急激な獣化は起こらない(虫の抑制)、という性質を持つのである

※狩人が血に酔う、というのは血に含まれる獣性に酔うことである


娼婦アリアンナの血

一方で娼婦アリアンナの血は「穢れ」ている。それはつまり虫によって穢れているのである。しかし女王ヤーナムがそうであったように、トゥメル人は虫の本来の宿主である。それゆえにトゥメルの血をひくカインハースト民も虫に対するある種の親和性があったのである(共生できる)

要するにカインハーストの血族天然の血の聖女なのである

人工天然血の聖女の差は効果にはっきりとあらわれ、それがスタミナの回復速度を高める、というものであることは上述した

人工の血の聖女は「白い血」と「赤い血」により調整されている
一方で天然の血の聖女は生まれながらに「青い血」と「赤い血」の混合血液を持っている

つまり「青ざめた血」である

しかしカインハーストの青ざめた血代を経ることで限りなく薄まっている。しかし薄まっているからといって、その血に効力がないわけではない

それがつまり「獣性(赤い血)」による生命力増強と、「神秘(青い血)」によるスタミナの回復速度上昇である

スタミナのマークが緑色の水滴型をしているのは先に述べた。これは苗床に流れる葉緑素の色であり、肉体が苗床化することで耐久性が増強することから、持久力が増強するのである

一見、緑色の水滴青い血とはなんの関係もなさそうに見える。だが、緑色の血を緑色たらしめるものは、結局のところ神秘である

神秘による変異はすなわち「左回りの変態」であり、スタミナを高める効果がある

「左回りの変態」
左回りのそれは、スタミナを高める効果がある

反対に「右回りの変態」HPを高める効果がある、つまり獣性による変異である

「右回りの変態」
右回りのそれは、HPを高める効果がある

まとめると、血の聖女の血がHP回復の持続効果を持つのは、白い血により獣性を押さえ込むことで高い獣性を秘めることができているからである

逆にアリアンナの血HP回復スタミナの回復速度上昇効果を持つのは、彼女の体に薄められた「青ざめた血」が流れており、その獣性によりHPが、神秘によりスタミナの回復速度が上昇するからである


白い血

ヤーナム人の血には「神秘」が含まれていなかった。それゆえに「神秘」を取り込もうと人工的な神秘「白い血」を聖女に接種させることで、その血を「青ざめた血」に近づけさせようとしたのである

しかし苗床の副産物に過ぎない白い血は、わずかながら神秘を含むほか、「虫」を抑制する効果しかなかったのである

そのうえ灰血病という獣の病の「引き金」にすらなったのである。なぜならば枷(かせ)が強ければ強いほど、それが外れたときに恐ろしい獣になるからである

変身したいという衝動を固定している束縛が強ければ強いほど、その束縛が最終的に壊れたときの反動は大きくなります。(インタビューより)

ヤーナムの風土病「獣の病」を根絶しようと、白い血は医療教会によって旧市街に流されたのである(詳細は海外のブラッドボーンコミック参照のこと)

それは一定の効果はあった。だが、そのわずかな抑制効果を持っていた白い血の反動で人々は変異しやすくなり、ついには獣化していったのである

だからこそ直接的な原因ではなく「引き金」と呼ばれるのである

白い丸薬
かつて旧市街を蝕んだ奇怪な病、灰血病の治療薬

もっとも、その効果はごく一時的なものにすぎず
灰血病は、後の悲劇、獣の病蔓延の引き金になってしまった

※白い血から精製される白い丸薬が解毒効果を持つのは、毒を発揮する虫、つまり獣性を神秘が抑え込むからである(神秘と獣性は対立的)



獣血

一方で、カインハースト民には先祖から受け継いだ薄まった「青ざめた血」が流れている。そこへ女王ヤーナムから「穢れ」がもたらされたのである

穢れとはヤーナムの血に含まれていたであり、代を経ることで弱まっていたとは違う、太古の強力な獣性を秘める獣血の主であった

本来は神秘と獣性の双方を統合しなければ完全な「青ざめた血」にならず、つまり特別な赤子を抱くことはできない。だが、血族の長アンナリーゼが求めたのは獣血を濃縮することであった

彼女が結局のところ血の赤子を抱けなかったのは、彼女の方法に問題があったからである。もしくは彼女は特別な赤子など欲しくなく、獣血を濃縮した果てに得られる「血の結晶」すなわち血の赤子のみを求めたのであろう(それが虫の遺志ならば)


聖血

以上が聖血にまつわる大まかな考察である

簡潔にまとめるのならば、聖血には神秘と獣性という2つの属性が含まれている医療教会はその2つを制御しようとして失敗。しかし副産物として苗床技術と血の聖女が誕生したのである

聖血神秘を含む血液であるがゆえに、風土病である獣の病を抑制する効果が確かにあった。しかし抑制はそれが外れたときに大きな力となって跳ね返ってくる。つまり白い血による治療がかえって獣の病を蔓延させてしまったのである

一方カインハーストにもたらされた「穢れ」虫と共に生きる一族を誕生(復興?)させた。彼らはトゥメルの血を引く者たちであったがゆえに「虫」を受け入れる体質を持っていたのである

その一族(血族)の長は「穢れ」を濃縮させることで「血の赤子」、すなわち「虫の赤子」を産もうとしている。だが、それは作中では達成されない

なぜならば特別な赤子を産めるのは、かつての女王ヤーナムがそうであったように、神秘と獣性を統合した血をもつ者のみだからである

だが、ヤーナムが産むはずであったメルゴーは器には宿らず、形なきまま奪われた。そして彼女は女王殺しに殺されるまでその赤子を宿し続け、殺されてからその意識はその器、ヤーナムの石に宿ったのである

奪われた赤子のプロットはヤーナム→ゴースと繰り返されている

ビルゲンワースに持ち帰られた聖体「ヤーナムの石」から「古い血」が採取され、それは「血の発見」となり進化の夢をもたらした

聖血に含まれれる神秘は「左回りの変態」として、また獣性は「右回りの変態」として人を変異させ、その進化の果てに「苗床」と「獣」が生まれたのである

神秘には獣性を抑える効果があり、また獣性にも神秘を抑える効果があった(啓蒙と獣性の関係)

その性質を見込んだローレンス血の医療によりヤーナムの風土病である獣の病を根絶しようとしたのである。神秘による獣性の抑制、また獣性を制御することを目指した実験は失敗に終わり、しかし苗床血の聖女という副産物をもたらしたのである

苗床から得られた低濃度の神秘「白い血」は医療教会によって旧市街の下水に流されたが(このあたり海外のブラッドボーンコミックを参照)、それは当初は純粋に獣の病を根絶するための医療行為だった(神秘により獣性を抑制しようとした)

だが、抑制(束縛)は解かれたときに強い反動となって人を襲う

低濃度の神秘「白い血」により血の白色化左回りの変態という人の変異が引き起こされ、その束縛が外れるやいなや、今度は右回りの変態、つまり獣化が引き起こされたのである

医療教会は強まった獣性をさらに強い薬、白い丸薬により抑えようとしたが、結局それは更なる獣性の暴走を招いたのであった

白い丸薬獣の病蔓延の引き金となり、人々は獣化し、旧市街は燃やされたのである

さて、ビルゲンワースにもたらされたヤーナムの石には上位者の赤子が持つとされる3本目のへその緒があった。それを手に入れたのがミコラーシュである。彼と彼のメンシス学派は3本目のへその緒によりメルゴーと邂逅、夢を現実にするために儀式を開き、赤い月を呼び寄せたのである


風土病「獣の病」について
聖血によってはじめて「獣の病」がもたらされたのではなく、ヤーナムには風土病としてもともと「獣の病」が存在していた。それはカインハーストの谷間に寄生虫が棲んでいることからも分かる

しかし聖血によってもたらされた「」は、いわゆる「獣血の主」であり、古代の根源的な力を秘めた「」である


二つの聖血(追記)

上の方で聖血をエーブリエタースの血とすると矛盾が生じると述べたが、この矛盾に関して新たな考察が得られたので追記する

これまで聖血=古い血としてきた。これは間違いではない。しかし聖血には古い血以外の新しい血も存在すると考えるのならば、聖血=エーブリエタースの血としても問題はない

おそらく偽ヨセフカは聖血と表される二種類の血を分別して「古い血」と呼んだものである。つまり、聖血には古い方と新しい方の二種類の血が存在しているのである

このうち偽ヨセフカが最初に使用し、患者を星界からの使者に変異させた血は「新しい血」である

新しい血にはエーブリエタースからの拝領、つまり彼女の神秘の血が含まれており、それを精製し血の医療に用いたのは「聖歌隊」であろう

古い血初期医療教会が主に用い、それはエミーリアの説教として伝えられている

一方で、古い血に飽き足らず聖歌隊は新たな聖血を精製したのである。それが新しい聖血である

この両者は成分的にはほぼ同じである。つまるところ「青ざめた血」であるが、エーブリエタースの血の方が鮮度が高く、また最近になって精製されたために「新しい血」と言われているのである。そして、それまで使われていた女王ヤーナム由来の聖血は「古い血」と呼ばれるようになったのである


蛇足

前回の青ざめた血と今回の聖血は1つの考察として挙げる予定であった。しかしあまりにも長すぎるのと、長すぎると修正するのが面倒くさくなるので分けて提示することにした

内容的には聖血→青ざめた血のほうが良かったかもしれない

聖歌隊とエーブリエタースや、ミコラーシュとメンシス学派など省略した部分も多い

また血の医療に使われる血と聖血との違いについて考察不足の印象がある
恐らく古い血(聖血)は、ウィレームやローレンス、また医療教会上層部にわずかに残っているのみであろう(ヨセフカも所持していた)

血の医療に使われる血は、本考察でも述べたように「青ざめた血」を目的として精製された模造品である。それは白い血と赤い血の混合物から精製されたものであり、量産品である

輸血液は濃い血液の赤というよりも、やや透明度が高い赤い液体である
これをさらに精製したのが「ヨセフカの輸血液」であり、その色は透明である

赤が象徴する獣性を抑制する力が強いほど、その液体には強い獣性が宿るのかもしれない

前回の「青ざめた血」と今回の「聖血」については動画にまとめる予定である