2017年4月17日月曜日

ダークソウルの世界における「輪の都」とその歴史

ダークソウル1の頃から構想されていたという「小人」とその舞台としての「輪の都」とは、いったいどういったモノなのだろうか

分かる人にしかわからない例えで申し訳ないが、簡単に言ってしまうと
「輪の都とは漫画版ナウシカの墓所」
である

ナウシカの墓所とは、旧人類が再び世界に復活するときのために作られた「旧人類の技術力と種の保存場所」である

内部には科学者の末裔が住み着き、旧文明の高い技術力を保有しており、ドルク国は墓所を聖地として、そのうえに首都を築いたのだという
ドルク国の王は彼らからの技術供与を受けて繁栄し、先代の王は人を救う方法を求めて墓所へと至り、ヒドラという不老不死の怪物を連れて帰ったという

要するに技術、科学力が保存されている文明の卵的な聖地だ

さて、輪の都にも様々な国の者たちが訪れた形跡がある

「それは、深淵歩きの英雄譚でも知られる
深淵に飲まれた古い魔術の国の足跡である」(白木の弓)

「古く王命により、輪の都を訪れた騎士団の兜」(虚ろの兜)

「はるか昔、ある使節団が輪の都を訪れたとき」(古めかしい平服)

彼らは何を求めて輪の国へとやってきたのか
おそらくは「輪の都」にだけ伝えられる技術、魔術、知識だろう

というのも、輪の都の外部では無数の王国が勃興と衰退を繰り返し、そのたびに文明が衰退していたが、流刑地である「輪の都」は滅びを経験することなく存続していたゆえに、神代の知識が保存されていたからだ

ある者は魔術を超える深淵を求め、ある者は呪いを解く法を輪の都に求めた
ある者はそれを持ち帰り、ある者は代わりのナニカを持ち帰った

ダークソウルのストーリーの背後には必ず「輪の都」があったのである


輪の都の歴史
その輪の都の歴史を再構成したいと思う。いうまでもなく妄想だ

1.小人たちが神グウィンから「輪の都」とフィリアノールを贈られる
2.小人の王たちから狂王が出てフィリアノールを殺害
3.シラが狂王を封じる
4.小人の王たちがフィリアノールのソウルを使い、かりそめの都を創る
5.世話するもののいなくなったミディールが解き放たれ、闇を求めて都を去る
6.様々な国から様々な使節団が訪れる(DS1~3)
7.ゲールが隠されていた本物の輪の都に侵攻
8.フィリアノールが眠る
9.ミディールが約束を果たすために戻ってくる
10.灰の英雄が訪れる
11.ミディールが殺され、フィリアノールの眠りが壊される
12.ゲールが小人の王たちを喰らい始める


狂王がフィリアノールを殺害したという考察
前提としてフィリアノールはシラの主人である
「私はシラ。教会の主、王女フィリアノールに仕える者です」

にもかかわらず、彼女は不死の狂王を封じている
彼女だけにそれが可能だったのもあれど、もうひとつには、狂王の存在が主たるフィリアノールを害する可能性があったからだろう

狂王はどんな形態であれフィリアノールを害そうとする
ゆえにフィリアノールに使えるシラはそれを防がなければならなかった
単に狂った王がいるというだけであれば、シラはそれを放置したはずである
どうにかして封じなければならない理由があったのだ
「主の危機」以外にこれほど苛烈な手段をとることはないだろう

眠りが壊れた後で、シラがそれまでこもっていた部屋から出て主人公に襲い掛かってくるのは、フィリアノールが消滅し、狂王が主を襲う心配がなくなったからだろう

そして彼女は言う
「だからこそ、私は許しません
お前たちの裏切り、冒涜、そして卑しい渇望を!」
裏切りとは、狂王がフィリアノールを殺害したこと
冒涜とは、小人の王たちがフィリアノールのソウルを錬成したこと
卑しい渇望とは、フィリアノールの眠りを壊してまでダークソウルを求めたこと

シラの行動原理はすべて主人であるフィリアノールが絡んでいるのである
シラの不可解な言動は、フィリアノールを中心に考えることで、理解できるものとなる





2017年4月16日日曜日

王廟について

輪の都の入り口にある篝火の名は「王廟の見張り」である
この塔のような建物が王廟だと思われる

フィリアノール教会前から見ると↓のように断崖絶壁の孤立した地形となっていて、歩いて到達することは不可能となっている

右側にちらりと見えている建物の全体像が↓である。ここは「王廟の見張り」の篝火から進み、巨人の法官の裏側に進んだ場所で、中段、左側のあたりに説教師がいるところである
この王廟が物議を呼んだのは意味ありげに登場するにも関わらず、到達できなかったからである。行く方法があるのではないか? とか、隠しマップか、などと言われていたが真相はもっと単純なものだと思われる

考察スレにも書かせてもらったがようするにここは
そのままでは王廟に行けない→卵に触れる→王廟が崩壊する→小人の王たちと会えるっていうギミックかと
吹き溜まりのDS3→DS1へマップがつながっているという演出に続き、わかりにくい演出である

↓は殻に触れた後の世界である。王廟が崩れているのが確認できる。

おそらく王たちは崩壊によって住むことのできなくなった王廟を棄て、砂漠に玉座を移動したのだろう。そこをゲールに襲われたのだ

DS3のDLCは一見なにか意味ありげなように見えて、実は開発者側の意図が伝わっていないだけ、ということが多いように思われる

しかし、それでいいのだろうとも思う
本来この記事はもっと早く公開しようと思っていたのだが、あまりに「まともな考察」だったので踏ん切りがつかなかったものだ
普段、妄想に近い考察を書きなぐっているが、時にはまともな考察もするんだぞと

2017年4月15日土曜日

【個別考察】吹き溜まり

時系列

本編の未来だが、ゲールと戦う時空よりも前

本編→→吹き溜まり→→→→ゲール戦の場所

マップ構造

ファミ通の宮崎氏インタビューによると
ロスリックの残骸(DS3)→土の塔(DS2)→初代祭祀場(DS1)と時代を遡る構造になっている


NPC

蓋かぶりの老婆

遺灰のテキストやセリフからローリアンの乳母であったと思われる
鉄塊の坊や(ラップ)とは知り合い

「鉄塊の坊やが最後かと思ったけど、どうして分からないものさね」
このセリフからゲールのことは知らないのではないか? という推測が一部にはあるが、ラップが最後と言っているだけで、ゲールを知らないと断言しているわけではない

ラップ

記憶をなくしたラップとして登場

ゲール

白霊としてデーモンの王子戦に加勢してくれる
プレーヤーを導くようにメッセージと赤い布を残していく


考察

蓋かぶりの老婆をエンマと解することも可能だが、そうすると本編で死んだエンマはいったい何だったのか、という疑問が生まれる。異なる世界線だとかパラレルワールドだとか考え始めると収拾がつかなくなるので、まずは別人だと考えることにする

さて、乳母とは一般に子供の世話を終えたらお役御免である
デーモンの王子と戦えるほど成長したローリアンの乳母も役目を解かれているはずである。一方ロスリックはいまだ病弱の身であり、独り立ちしていない。ゆえにエンマが近くで見守っていたのだろう。

役目を解かれたローリアンの乳母はどうしただろう? おそらく王権の中心からは遠ざけられたはずだ。辺境へと送り込まれたか、あるいはそこが故郷だったのか。とにかくロスリック城からは遠ざけられた。(※祭儀長の指輪のテキストの内容から間違い)

蓋かぶりの老婆が「巡礼」の姿をしているのは、遠い辺境の地からロスリックを目指して巡礼の旅に出たからだろう。
しかし彼女が到着したときロスリックはとうに滅び去り、吹き溜まりに打ち捨てられていた。彼女はロスリックの残骸から、滅び去ろうとしている世界を見下ろすことにした。

その彼女の横をゲールやラップが通ってゆき、ラップとは言葉を交わすまでになった。そうして最後に到来したのが灰の英雄であった

老婆は最後にこう言う
「あんた、死ぬんじゃないよ
あたしの景色が、悲しくなるのはご免だからね」

驚いたことに、フィリアノールの眠りを壊したタイミングで彼女は死に、遺灰を残し天使になってしまう
吹き溜まりに登場する天使とは異なり、彼女には本体がなく、倒しても篝火にかがれば復活してしまう


老婆の正体

「フィリアノールの眠り」によって存在形態を変えるということは、フィリアノールの眠りと老婆には何らかの関係があると考えられる

私は以前の記事「【個別考察】輪の都」においてフィリアノールのソウルを利用して「かりそめの輪の都」が作られたと考察したことがある
「かりそめの輪の都」は、「本物の輪の都」を世界から隔絶するための緩衝帯として存在し、人類は「かりそめの輪の都」を本物の輪の都だと思い込まされてきた

だが、本物の輪の都が滅びを迎えたとき、フィリアノールは「かりそめの輪の都」を救うために、「眠り」についた
その眠りが壊れることで時間の流れが元に戻り、滅びへの道へ戻るのである

そのあたりは考察が複雑になりすぎて、完全に白紙に戻して考察しなおそうとも思っているが、とにかく「フィリアノールの眠り」が壊されることで、老婆が死ぬことは確かである

だとしたら老婆の正体はいったいなんだったのだろう。
結論を述べると「蓋かぶりの老婆はかりそめの輪の都の人間であり、フィリアノールの眠りが壊された時、停滞していた時間が再び動き出したことで天使と化すのである」

ロスリックは輪の都の人間を王子たちの乳母としていた
十分に成長したローリアンの乳母は故郷(輪の都)へ帰された
ロスリックが火継ぎを拒否したことを知った乳母は、ロスリックへの巡礼の旅に出る
だが、すべては遅すぎた。乳母が到着したときロスリックは滅び去り、そこにあったのはロスリックの残骸だけであった。
老婆はそこで「神様」のように人の営みを見下ろし続けていた
やがてフィリアノールの眠りが壊されたため彼女の時間が流れ出し天使となった

老婆に「輪の都」について尋ねたとき、彼女はこう答える
それは確かに、この吹き溜まりの先、一番深い、その先さね」
それは確かに
老婆はその存在があることを確かに知っていたのである

なぜなら彼女こそ輪の国の人間であり、そこからやってきたからだ

補足
輪の国にいる人々は「虫」の姿をしている者が多い
説教者だったり、あるいは亡者であったり、聖職者であったり、彼らは「虫」的な特徴を持っている
そして、吹き溜まりに登場する「天使」の本編における名前は「巡礼の蝶」である
老婆が「巡礼の蝶」となったのは、彼女が輪の都の人間であるからだ

2017年4月14日金曜日

電撃PlayStation Vol.636 完結記念インタビューについて

宮崎氏のインタビューに関するいくつかの覚書

DLCについて

・DLC1は絵画世界の終わりの話
・DLC2は次の世界を描くための話
・DLC全体が「古い絵画が終わり、新しい絵画を描こうとする話」
・本編「火継ぎの終わり」で描かれた「世界の終わりとその次の話」という「流れ」との類似

ここで注意したいのは、本編火継ぎの終わりEDとDLCのEDは、その「流れ」が類似しているのであって、「ED自体」が類似しているのではないということだ

あくまで「世界の終わり→新しい世界」という「流れ」、「構造」が類似しているのである。けっして両者のED後に描かれる「新しい世界」が類似しているわけではない

名前について

・火の陰りきった世界では意味が失われてゆく
・名前は意味の象徴である
・画家の最後のセリフにも意図がある

言語学者ソシュールの差異の話を想起させるような内容である
うろ覚えながら簡単に説明すると、意味とは「ア」と「イ」という音を区切ることで初めて生まれるものであり、そうした差異の集合体が「言語」である、というものだ
その区切り方は恣意的なもので、「言葉」とは意味そのものではなく、意味を象徴するものである

要するに、「差異」が世界を創造するダークソウルの世界において、「差異」の仕方を変えればまた別の世界を創造することができるということだ
火であったり、絵を描くことであったり、恣意的なやり方で世界を創造することができるのである

だから画家はプレーヤーに名前を聞いたのだ
プレーヤーの名前ごとに、名前の数だけ新しい世界が創造される、そういう意味を込めて

人間について

・性格的に、高らかに人間愛を謳いあげることはしない

だから隠した、ひっそりとその最も暗い世界の果てに
と、曲解することも可能だが、あまりこだわろうとも思わない

篝火について

・「困難に挑むための僅かな希望であり、困難に挑み克服した僅かな証」

宮崎氏にしては珍しく「クサい(誉め言葉)」言葉である


絶望の闇の中に瞬く希望の光
暗い魂の内に宿る、導きの灯
その熱い血潮こそが、新たなる世界を創造する
DLCはそういう話

2017年4月12日水曜日

【個別考察】輪の都(THE RINGED CITY)

個別の考察に入りたいと思う
まずは「輪の都」

よく挙げられる考察例
1.幻影だよ
2.時間を止めてたんだよ
3.夢の中だよ

1は脈絡のないステージ構成からだろう(DS3→1という構造はわかるが、その選別の意味が不可解という意味)
2は眠りを覚ました後、未来(と思われる)砂漠に飛ばされるから
3はフィリアノールが眠ってるんだから夢の中なんじゃないか、という連想

先に結論を述べさせてもらうと「輪の都」とは、
フィリアノールのソウルで錬成されたかりそめの都市」である

3つの事実

1.現時点で「フィリアノールのソウル」をプレーヤーが入手することはできない
 近しい存在であろうロザリアやオスロエス、無明の王、王たちの化身のソウルすら入手可能であるにもかかわらず彼女のソウルだけが手に入れられないというのは不自然である。何らかの理由があるはず。

2.フィリアノールが抱いている卵の殻は錬成炉である(公式アートブックから)
 錬成炉はソウルを錬成して何かを具現化する装置である

3.殻に触れた後も「輪の都市」に転送可能
 輪の都が錬成炉で生み出された「かりそめの時空」であるとすれば、システム上の都合と割り切る必要もない

まとめ

まとめると、フィリアノールのソウルが得られないのは、それがすでに利用されているからであり、何に使われたかというと彼女が自分で抱いている錬成炉によってソウル錬成されたのである

ソウル錬成によって生まれたのが「輪の都市」と呼ばれる場所であり、この場所は「現実に実在する場所」でありながら、「かりそめの場所」でもある

ソウルを使われた以上彼女は「死んで」いるのが必然であり、ソウルによって生み出された都市は、ソウル錬成によって生み出された武器と同様に、ソウルの主が死んでも残るものなのである

殻に触れる

では殻に触れるという行為にどういった意味があるのか

錬成炉によって「かりそめの場所」が創られたとき、その時空はある一点から爆発的に拡がったはずである(一点から風船が膨らむイメージ)

その一点こそ錬成炉の中心である

現実に存在する錬成炉の中心から「かりそめの場所」が創造されたことで、その一点は「現実」と「かりそめの場所」が接する特異点ともなった

ゆえに、そこの至った者(灰の英雄)はワープホールを通るように「かりそめの場所」から「現実」へと転移するのである

その転移した「現実」こそが、あの荒れ果てた砂漠だった


ゲールと灰の英雄の時間差について


果てしない旅を経てきたゲールと、灰の英雄との間には時間差が見受けられる
この時間の相違はなぜ生まれたのだろうか

私は過去に「先に到達したゲールが卵を損壊したため、時空が狂った」的な考察をしたこともあるが、卵が錬成炉だったとすると結論が異なるように思われる

混同してならないのは、「輪の都」には「現実の輪の都」と「錬成炉製(かりそめの輪の都)」のものがあるということだ

そして「かりそめの輪の都」は「時間が停滞」している
ゆえに、現実の輪の都が砂に埋もれているにも関わらず、灰の英雄が通った輪の都は崩壊前の姿を保っていたのだ

おそらく二つの都市はある時期までは、同じ時間の流れを共有していただろう
だが破局を迎えるにあたって、ある者が時間の流れを押しとどめた

誰か?

「かりそめの輪の都にいるフィリアノール」である
彼女は眠るという行為によって時間の認識を「拒絶」し、その結果「かりそめの輪の都」は完全な破局を免れることができたのである

シラが眠りを侵すなと強く頼むのは、フィリアノールが目覚めてしまえば再び「時が流れ出す」からである

よってフィリアノールの殻に触れた後に転送によって行ける「輪の都」は厳密にはそれ以前と異なる
それ以前は時間が停滞していた世界であり、触れた後は実は時間が流れているのである
やがて長い時の果てに「かりそめの輪の都」も「現実の輪の都」と同じ姿になるであろう

さて、この「フィリアノールの眠り」は最終手段として予定されていたことだった

ミディールは「古い約束に従い、王女の眠りを守るために」街へ戻ってきた
ずっと眠っていたわけではない。眠ったから約束に従いミディールは戻ってきたのである

もしフィリアノールが太古から眠っていたのだとしたら、ミディールもまた太古からずっと輪の都にいることになる。となると闇を喰らうタイミングが失われる。やはり王女が眠ったのは、時間がかなり下った時点だと考えるのが適切だろう

では彼女に最終手段を取らせた原因はなんだっただろうか

それはゲールしかいない

奴隷である彼は「勅使の小環旗」を使用することが許されなかった
そこで彼は「吹き溜まり」から「果てしない旅」を経て王女のもとにたどり着いたのだ

灰の英雄は「フィリアノールの目覚め」という一回限りの出来事により、最後の地にたどりつくのである
よってゲールは灰の英雄とは別のルートで、あの場所へたどり着かねばならない

どこを通ってきたのか?

「現実の輪の都」である

彼は「現実の輪の都」を死闘を繰り広げながら通り抜けた
輪の都が砂に埋もれるほど、気の遠くなるような長い時間をかけて侵攻していっただろう

その際、シラのことは素通りしただろうと考えられる
なぜならシラは闇を恐れていたし(狂王を抱いて部屋にこもっていたということもある)、ミディールは神族など興味はなかった(同じ理由でミイラ化したフィリアノールは素通りしたはずだ)

ついに彼は王廟へ至り、王たちを喰い始めた

その時点でフィリアノールは「火の終わり」を「知った」した
特異点の直近におり、火にすがる神族でもある彼女には、それが把握できた

そして「かりそめの輪の都のフィリアノール」は「火の終わりに、闇の傍」で「眠りについた」
その後、王女の眠りを護るために、ミディールが「かりそめの輪の都」へとやってきた

そんな状況で灰の英雄が到来したのである
灰の英雄は停滞した時間のなかでミディールを屠り、シラの頼みを無視してフィリアノールを目覚めさせてしまう(その間現実の世界ではものすごい速さで時間が進んでいた)

フィリアノールが目覚めたことで停滞していた時間は再び流れ出し、破局は必然となった

目覚めはフィリアノールにとっても悲劇的なものとなった
目覚めたことで彼女は、自身が「かりそめの存在」であり本当の自分が死んでいることにも気づいてしまう

いわば二重の目覚めにより、「かりそめの輪の都」の彼女は死体すら残さずに消滅してしまう(目覚めさせたあと「かりそめの輪の都」のフィリアノールの寝室を訪れると姿が消えている)
もし、灰の英雄がいた世界が現実であるのならば、フィリアノールの遺体があるはずである(廃墟になった未来では、彼女の遺体はそこにある)

時間が止まっていたんだよ説だと、これが説明できない
遥か未来にすら遺体が残っているというのに、その過去に遺体がないのは不自然だ

よって、灰の英雄が通ってきた輪の都は「現実の輪の都と同一ではない」

だが、完全な夢というわけではない
灰の英雄が、最後の地に到達したときフィリアノールはすでにミイラ化している
死んでいる彼女が夢を見られるはずがない
フィリアノールの夢だよ説だと、これが説明できない


だが「フィリアノールのソウルで錬成されたかりそめの都市」であれば、現実のフィリアノールの生死は問わないし、ゲールと灰の英雄の時間の流れの差も説明できる


結論

「輪の都」は二つある
一つはゲールの通ってきた「現実の」、もう一つは灰の英雄が通ってきた「かりそめの」輪の都だ
「かりそめの輪の都」はフィリアノールのソウルを使用して錬成された都市であり、「現実の輪の都」とは時間の流れ方が異なる

かりそめの輪の都の存在理由としては、「流刑地である現実の輪の都」を世界から隔絶する役割があると思われる
人がその歴史に記した「輪の都」はおそらく「かりそめの輪の都」であり、「現実の輪の都」は、「誰も知らぬ」存在として誰の目にも触れずにずっと隠されていた

火が陰り、あらゆる時代のあらゆるものが吹き溜まりに集まるような末世になって初めてそこへ到達することが可能となったのだ

2017年4月6日木曜日

ダークソウル3 DLC ASHES OF ARIANDEL, THE RINGED CITY解説

DLC1とDLC2を貫く主題

新しい世界(絵画)を創造するための旅
DLC1と2のストーリーを総合すると上記のようになる

新しい世界を創るために必要なもの

  • 画家
  • 顔料

「…火を知らぬ者に、世界は描けず」(フリーデ撃破後の画家)
「火に惹かれる者に、世界を描く資格は無い」(同上)

画家

お嬢様のこと

顔料

素材となるのは、暗い魂(ダークソウル)

DLC1:ASHES OF ARIANDEL

新しい世界を描くために、画家は「火」を見なければならない
だが火は教父アリアンデルの血によって抑え込まれている
それが可能なのは灰がフリーデ一人しかおらず、その火勢が弱いからだ

 アリアンデルが苦しんでるのは、灰でもあるフリーデのせいである。苦しみの原因がフリーデであることを理解しながらもアリアンデルはそれを許し、一方フリーデはアリアンデルの苦痛を愛おしく思っている…あるいは嗜虐的な悦びを見出している
 フリーデが灰の英雄に倒された時、アリアンデルは彼女を復活させるために火を熾す。それが世界を燃え立たせると知りながら

そこへ奴隷騎士ゲールの要請を受諾した灰(プレーヤー)がもう一人あらわれる
二人目の灰は囚われていた画家を解放し、浄化の炎を熾そうとする

「いつか灰はふたつ、そして火を起こす」(フリーデ戦のアリアンデル)
「やはり君には、灰には、火が相応しい」(同上)
フリーデとプレーヤーの灰が合わさることで生まれた火により、絵画世界は浄化される

 絵画世界が燃えてなくなるのではなく、おそらく深みの聖堂でゲールが手にしていた腐った切れ端が燃え尽きる。そのことで絵画世界は元の世界から完全に切り離される

キャンバスの前に戻った画家はこうつぶやく
「…火の音が聞こえる…きっともうすぐ見える」(フリーデ戦後の画家)

これで絵画を描く画家の準備は整った
あと必要なのは顔料となる暗い魂だけである

DLC2:THE RINGED CITY

暗い魂を求めて奴隷騎士ゲールは輪の都を目指す
彼が灰の英雄(プレーヤー)を誘ったのは、自分が英雄ではなく、画家のもとに帰れないことを知っていたからだ。顔料をお嬢様に届ける者が必要だったのだ。

「彷徨える奴隷騎士、赤頭巾のゲールは絵画世界の顔料のため、暗い魂の血を求めた。だがゲールは、自らが英雄でないと知っていた。暗い魂は彼を侵し、帰ることはないだろうと」(奴隷騎士ゲールのソウル)

果てしない旅と戦いののち、ゲールはついに輪の都にたどり着く。

「果てしない旅と戦いにより各所が歪み、血に錆びついており酷使により壊れやすい」(連射クロスボウ)
「奴隷騎士ゲールの大剣。ずっと共にあった唯一の武器。元々は処刑用の断頭剣であったが歴戦により、その刃は大きく欠け血と闇に染まりきっている」(ゲールの大剣)

だが、小人の王たちの血は、顔料としては使い物にならないものだった

「ゲールが小人の王たちに見(まみ)えたとき、彼らの血は、とうの昔に枯れ果てていた。そして彼は、暗い魂を喰らった」(暗い魂の血)

怒りに身を任せたのかあるいは確信があったのか、ゲールは小人の王たちを、その暗い魂を喰らいはじめる。

やがて暗い魂の血がゲールの虚ろに生じる
「奴隷騎士ゲールの、虚ろに生じた暗い魂の血」(暗い魂の血)

暗い魂(ダークソウル)の化身と化したゲールは、遅れてきた灰の英雄に討伐される

暗い魂の血を得た灰の英雄はそれをお嬢様へ渡す
「これで私は、世界を描きます」

お嬢様は灰の英雄の名をつけた世界を描く
「…ありがとう。私はその名で、世界を描きます」

「ずっと寒くて、暗くて、とっても優しい画」
「きっといつか、誰かの居場所になるような」

彼女は帰ることのないゲールの帰還を待ち続ける
「…ゲール爺も、いつか帰ってくるのかしら」
「新しい画が、お爺ちゃんの居場所になるといいな…」

DLCの主役

DLCにおいてプレーヤーはいわば脇役である
主役にふさわしいのは奴隷騎士ゲールのほうだろう

帰ってこられぬことを知りながら、彼は顔料を求めて長く厳しい旅に出る
そうまでして彼を駆り立てたものは何だろう?
彼はそれを語ろうとしない

ただ、お嬢様の描くであろう新しい世界の絵のために、彼は死の旅に出るのである
自らを犠牲とし、その身の内に暗い魂の血を宿し、自らを討たせることで彼はその目的を遂げるのである

そうして創られるのは、誰かの居場所となるような優しい世界である

彼はお嬢様のためでもなく、自分のためでもなく、ただ他者に対する慈しみの感情によって、自らの身に世界で最も邪悪な、穢れたものを宿すのである

この自己犠牲によって、穢れの極致であったダークソウルが尊いものへと反転する

それこそが、人間が人間であり続けるための条件「人間性」である

人間性とは、神を崇めることではなく、聖なるものを尊ぶことでもなく、ただ他者のためにその身を犠牲にしてもかまわないという、その行為こそが体現するものであり、そうすることでしか生きていられない、小さき人にこそ宿るものである

小人の王たちのそれが枯れ果てていたのは、虚栄に浸り、権威に溺れることで、人間性が失われていたからだ。

神が人間性を暗い魂とさげすみ、恐れるのは、神にはそれが理解できないからだ
グウィンは人間性を理解しようとしなかった。理解することもできなかった。神々にとって尊いものとは栄光に照らされていなければならないからだ

ここにきてダークソウルというタイトルの意味が初めて明らかになる
暗くて陰鬱な、残酷で残虐な物語を紡ぎながら、これは紛れもなく人間賛歌である

人間賛歌
これが自分なりのダークソウルの答えである

「人間性=ダークソウル」という考えに至る前はゲールに代わるラスボスを待望していたこともあるし、そういった記事をいくつか書いた

だが今はもうその考えはない

なぜならば、ダークソウルという物語のラスボスとしてゲール以外のボスは考えられないからだ

「プレーヤーに倒される」というボスとしての宿命を完遂しながらも、彼は倒されることで初めて完全無欠の「ダークソウル」を体現する

「ダークソウル」というRPGのボスとしてこれ以上ふさわしい存在は考えられるだろうか

プレーヤーは確かに奴隷騎士ゲールに勝利しただろう。だが、それは「かりそめ」の勝利に過ぎない。ゲールの望みであった「人間性」によって描かれた世界は、お嬢様によって描かれようとしている

きっと絵画が完成するところは明らかにされないだろう。絵画の完成は=プレーヤーの絶対的な敗北を意味するからだ

あるいは絵画の完成を阻止することが、プレーヤーに残された最後の――。

2017年4月1日土曜日

誰も知らぬ小人について

輪の都の入り口にいたNPCがそうなのではないかという仮説
よく見ると彼は「小人の王たち」と同じ衣服を着ている

上が輪の都入り口のNPC、下が小人の王たち





にもかかわらず彼の言動は「小人の王たち」とは正反対で神を憎んでいる様子だ
しかも何やら暗い魂について何かを知っていそうな口ぶり
(フィリアノールの眠りを壊すと都から消える)

単なるシステム上の案内役という可能性もあるが、吹き溜まりにおいてその役目についていたのは、貴人の乳母(たぶんローリアンの乳母)であり、なんのバックボーンもないキャラクターが担うとは思えない

「疑うことはない。俺はあんたの味方なんだ
あんたも人なら、きっと分かるようになる
滅茶苦茶にしたいんだよ、この神共の糞溜めをさ
…きひ…きひきひひ」

まさに「最初の人」であった彼は最も早くに神の欺瞞に気付いたのではないだろうか
彼が都の入り口にいるのは、輪の都を訪れる者たちに誰よりも先に「王女の眠りを壊せ」と告げるためなのかもしれない