本稿は過去に考察した「大いなる意志、菌類説」を今の時点から振り返ってみたものであり考察というより、お遊びの思考実験のようなものである
「大いなる意志、菌類説」を結論から述べると、大いなる意志とは眼球に寄生する寄生種であり、それは外宇宙から胞子として狭間の地に飛来した寄生菌類の一種である
エルデの流星
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという
エルデの獣と共に飛来した黄金の流星こそ大いなる意志の黄金の胞子である
黄金の流星(胞子)を送り出したのは、どこか別の星で子実体を形成した「大いなる意志(菌類)」であり、大いなる意志の種はそのようにして宇宙に拡がっていくと考えられる
この菌類「大いなる意志」の能力は、現存する菌類の能力を有している
ある種の菌類は昆虫に寄生することで昆虫の行動を操ることができるという
参考『Ophiocordyceps unilateralis』(Wikipedia)
エルデの獣もまた「大いなる意志(菌類)」に寄生されたことで身体の制御を奪われたと考えられる
ここでのエルデの獣の役割はエサである。惑星に飛来した大いなる意志は、まずはエルデの獣を栄養源として成長するのである
これもまた類似した生態をもつ菌類が現存している
冬虫夏草がそれである
※ややグロいので画像は掲載しないが検索すればすぐに出てくる
黄金樹とはエルデンリング(エルデの獣)を栄養源(根源)として成長する冬虫夏草(子実体)なのである
永遠の女王マリカを戴く狭間の地で
黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた(公式サイト)
要するに黄金樹とは大いなる意志の子実体である。それが充分に成長したときには胞子を放出し、新たな生息地を目指すのである
狭間の地の生物と大いなる意志
かつて狭間の地に飛来した黄金の流星(黄金の胞子)から無数の菌類が放出された
それらは狭間の生物に寄生することで、生物の意志と行動を操りはじめる
もっとも忠実な寄生宿主は「獣」である。エルデの獣の流れを汲む獣たちは、大いなる意志にとって最も都合の良い宿主となった
また大いなる意志は獣のほかに、狭間の地の原生生物に感染することにも成功した。感染した生物たちは「瞳が黄金に輝く」という症状を有するようになる
そして彼らもやはり大いなる意志に操られるのである
その大いなる意志(菌類)に重度に感染した者は、感染し続ける限りたとえ死んだとしても大いなる意志によって蘇らせられ、永遠の生命を生きることになる
※冬虫夏草は不老不死の秘薬と考えられていた
一般の生物群に寄生したのは黄金の流星から放出された菌類であり、それは寄生というよりも感染に近い状態であったろうと思われる
だが、そのなかに冬虫夏草状態の大いなる意志を宿せる者がいた
それが神である
“だが彼女は、罰せられてなお神であり、幻視の器なのだ”(指読みエンヤ)
女王マリカは、エルデンリングの宿主、その幻視を宿す者
すなわち神さね(指読みエンヤ)
エルデンリングが宿るのは神の眼球(左眼)である。神は眼球の中のエルデンリングを視るのである(幻視する)
エルデンリングの幻視を宿す者とは、つまるところエルデンリングを眼球に寄生させた者という意味である
神は幻視を視る。しかしそれは眼球のなかの寄生種を視ているに過ぎない
また大いなる意志(菌類)に感染した一般生物も幻を視るようになる。それは祝福の導きと呼ばれ、それを視た者たちは「導かれた」と勘違いして、大いなる意志の都合の良いように動きはじめる
このように大いなる意志に感染することを狭間の地では「祝福」と表現するが、過去作ブラッドボーンでも、精霊という寄生虫が瞳に寄生することを「祝福」と表現している
夜空の瞳
精霊に祝福された軟らかな瞳
外なる神
大いなる意志に寄生された者、その菌に感染した者は幻を視るようになる。だが、幻視を視せるのは大いなる意志だけではない
本編には寄生種が眼球に寄生した者たちが他にもいる
モーグはその左眼に角が刺さっている。
苗床の呪い
糞食いが殺し、穢した死体に生じる呪い
忌み角に侵された生乾きの宿痾
忌み角に侵されることで死体は穢れるという。なぜならば忌み角には菌類が付着しており、触れると菌に感染するからである
左眼に刺さった忌み角から寄生種に感染したモーグは、やはり幻視を視たのである
血授
姿なき母の身体に腕を差し込み
その血炎を前方に撒き、炎上させる
足を止めずに使用できる
地の底で、傷を望む真実の母に見えた時
モーグの呪われた血は、炎となった
そして彼は、生まれついた穢れを愛したのだ
姿なき母とは、忌み角によって感染する寄生菌類のことであり、モーグの血に産まれながらに寄生していた寄生菌類のことでもある
すなわちモーグは「姿」、つまり現実における肉体を持たない母を眼球の中に見出したのである
同様に腐敗の神の本性は生物を生きたまま腐敗させる菌類のことである(人喰いバクテリアの一種か)
それは朱い腐敗としてマレニアに産まれながらに感染していた。だがマレニアの両眼は塞がれている
故に朱い腐敗は幻を視せるのではなく、呼びかけるのである
無垢金の針
…私は、マレニアに返したいのだ
かつて彼女のものだった意志を
朱い腐敗の呼び声に、人として抗う矜持を
祖霊
眼球ではないが寄生種に寄生されることで特殊な力を持つようになった種族がいる
頑健の角飾り
それは、芽生えかけの角であるという
長く生きた獣は、角に新たな芽生えを迎え
それを永遠に繰り返し、いつか祖霊となるのだと
大角の頭環
黄金樹から距離を置く、祖霊の民は
新たなる芽吹きを待ち続けている
自らの身体に。そして魂に
長く生きた獣の角から芽生えるのは、菌類の子実体であろう。子実体が形成されるには菌糸が充分に拡がらなくてはならない
つまり永遠に角の芽生えを繰り返した獣の肉体は、そのほとんどが菌類に覆われていると言っても良い
そのような状態の獣は、すでに菌類によって肉体を乗っ取られたといってよく、すなわち単なる生物ではなく、祖霊になるのである
これを模倣したのが、祖霊の民である
彼らは祖霊(菌類)に寄生されることで祖霊になろうとしている。それ故に自らの身体と魂に芽吹きが生じるのを待ち続けているのである
肉体のすべてが菌類に置き換わったとき、彼らは祖霊となるのである
黄金樹と神
黄金樹という巨大な子実体を形成した大いなる意志(菌類)はやがて胞子を放出し、胞子は黄金の流星となって別の惑星を目指して宇宙を渡ってゆく
その際、黄金の胞子は「栄養源」を伴っていくが、狭間の地に飛来したときにはそれはエルデの獣であった。そして狭間の地から飛び立つとき獣となるべく生みだされたのが「古竜」であった
だが古竜は祝福を失い(感染からの治癒を意味する)、大いなる意志の支配を離れてしまった。古竜戦役は旧支配者への古竜の反逆であり、古竜崇拝は黄金樹勢力による古竜の再度の取り込みであろう
さて、幻視の器となった生物は栄養を吸い尽くされて硬質化し、崩れ落ちる
マリカの肉体が石のようになり崩れかけているのは、寄生種たる大いなる意志にエネルギーを吸収されてしまったからである
狭間の地のエネルギーは大いなる意志の子実体たる黄金樹に吸い取られ、それは宇宙の彼方へと持ち去られてしまう
菌糸の連環による万物の繋縛とエネルギーの収奪。この生態を言い表したものが、黄金律原理主義による二つの力である
因果性原理
原理主義は、黄金律を二つの力で説明する
それ即ち回帰と因果であり、因果とは
万物を関係性の連環となす、意味間の引力である
回帰性原理
原理主義は、黄金律を二つの力で説明する
それ即ち回帰と因果であり、回帰とは
万物が不易に収斂しようとする、意味の引力である
狭間の地とそこに生きる生命全体に菌糸を張り巡らし(因果)、生命のもつエネルギーを根こそぎ吸収(回帰)することで、新たな子実体(黄金樹)を形成しようとしているのである
この因果と回帰を可能にする黄金のネットワーク(菌糸、金糸)こそ「黄金律」である
おそらくマリカはそのことに気づいたのであろう。それ故に彼女は大いなる意志に反逆する計画を立てたのである
その最初の策が、ゴッドフレイに感染した大いなる意志(菌類)を除去することだったのである
寄生種の感染という「祝福」を奪われたゴッドフレイは狭間の地を追われ、大いなる意志の子実体の形成が失敗、あるいは胞子の放出が終わった後に帰還する
そしてそのときこそ、マリカとゴッドフレイは大いなる意志(菌類)の支配を離れ、エルデンリングの力を自らのものとすることができるのである
※要するに人間がキノコを食べるのと似たような恩恵を得る
陰謀の夜、冬虫夏草(エルデンリング)に宿るエルデの獣と大いなる意志をマリカは殺そうとする。だがそれは失敗に終わった
ゴッドウィンは魂だけを殺され、マリカの子であるデミゴッドたちも多くが命を落とす
そしてついにマリカはエルデンリングを砕く。エルデンリング、つまりエルデの獣と大いなる意志の「冬虫夏草」が宿っているのは、マリカの眼である
幻視を視せるその眼を、マリカは砕く
メリナの左眼は宵眼が宿り、メスメルも左眼を閉じている。特に左眼は何かが宿る器となる |
だが両眼を砕く前にマリカは囚われて磔にされる
その直前、マリカはメリナに使命を与える。大いなる意志の子実体である黄金樹を焼くこと。それにより狭間のエネルギーは奪われることなく狭間に留まることになる
エネルギー
黄金樹が吸収するエネルギーとは魂のことであろうと考えられる。というのも還樹では肉体は吸収されず大樹根に張り付いたままだからである
また余分な肉体は壺人に封じられて小黄金樹の近くに棄てられている。これはエネルギーを吸い終わっていらなくなった肉体を壺に入れて処分していたからであろう
黄金樹にとって生物の肉体ではなく、そこに宿る魂こそエネルギーとなるのである
それ故に、黄金樹以前に魂の赴く領域であった影の地は粛正されなければならなかったのであろう
かつて狭間の地では影樹が魂の循環の役割を果たしていた。ゆえにそれを焼き払い、エルデンリング(冬虫夏草)がその大樹根に寄生することで代わりに魂を吸収できるようにしたのである
そして生まれたのが黄金樹、すなわち大いなる意志という菌類の子実体なのである
※大樹の切り株から生えるキノコのようなものである
バオー来訪者
さて、幻視の器はエルデンリングを宿すことで神になる。神になるというのは神の能力を持つということである
寄生種に寄生されることで能力を発現させるというアイデアは、荒木飛呂彦氏の『バオー来訪者』(Wikipedia)からヒントを得たものかもしれない
表紙に描かれたバオーの顔はマリカやラダゴンのそれとよく似ている
なぜマリカがヒビ割れた姿でなければならなかったのか
それは寄生虫バオーに寄生された橋沢育朗が武装現象(バオー・アームド・フェノメノン)を発現させたときのビジュアルを参考にしたからではないだろうか
寄生によってバオーが発現する能力も、「強力な酸(三本指)」、「皮膚の硬質化(壊れかけのマリカ)」、「髪が発火(赤髪の巨人の火)」、「電気を放出(古竜)」と、エルデンリングのそれを彷彿とさせるものである
外なる神
大いなる意志の本体は宇宙のどこかにある菌類の巨大コロニーである。それと同時に、地上では生物の眼に感染することで幻視を視せる寄生菌でもある
幻視者が視ている大いなる意志の幻視は実際に眼の中にあるのであり、またそれは空の彼方の宇宙にもあるのである
つまるところ「宇宙(精霊の視せる幻視の源流は)は空(の彼方の宇宙)にある」のである
同様にその他の外なる神についても寄生菌であると考えられる
つまり狭間の生物は様々な寄生菌に寄生され、操られながら生きているのである
その干渉を退けるのは無垢金の針である
無垢金の針
外なる神の干渉を退けるための呪具であり
不治の宿痾、腐れ病を抑えるという
無垢金、つまり純度の高い金は菌類に対して強い抗菌作用がある。それゆえに寄生菌である腐敗の神や他の外なる神の干渉を退けることができるのである
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