2024年3月18日月曜日

フロムソフトウェアの新作を予想する

DLCが発表されたのでフロムソフトウェアの新作の予想でもしたい


なぜDLCの発表新作の予想が関わってくるかというと、過去作のDLCにおいて新作の世界観暗示されていたり、ほのめかされていたと思われる節があるからである


たとえばDS3のDLCにはミルウッドの戦士が登場する


騎士長の遺灰

遠い昔、故郷たる森を失った騎士たちは

あてのない長い旅に仇敵をすら忘れ

その果てに、ただ冷たい枯れ森を見出した


ミルウッドの戦斧

ミルウッド騎士の用いた戦斧

その刃には、霊樹のシンボルがあしらわれている


アースシーカー

ミルウッドは原始的な大地信仰の地であり

騎士長はまた、祭祀長でもあったのだろう

 

ミルウッドには霊樹がそびえ、鹿角をもつ聖獣が棲んでいた


ミルウッド騎士の兜

ミルウッド騎士たちの兜

霊樹の聖獣が冠するという

鹿角があしらわれている


伝承の森ミルウッドは、それが発見されたとき

腐った霊樹のそびえる無人の遺跡だったという

そこには死体ひとつなく

すべてがひっそりと捨てられていた


ミルウッド(Millwood)の元ネタはおそらくトールキンのファンタジー小説『ホビットの冒険』に登場する「Mirkwood(闇の森)」だろうと思われる


そのMirkwoodの起源をたどると、北欧神話に登場する「ミュルクヴィズ(Myrkvid、暗い森)」にいたる


ミルウッドの騎士たちもまた遠い昔「」に住んでいたとされ、その信仰の中心には「霊樹」があったという


だがその霊樹腐ってしまったという


ミルウッド騎士の兜

伝承の森ミルウッドは、それが発見されたとき

腐った霊樹のそびえる無人の遺跡だったという

そこには死体ひとつなく

すべてがひっそりと捨てられていた


間違いなくここには北欧神話をモチーフとし、霊樹たる黄金樹が登場する新作(つまりエルデンリング)との密接な関連がある(正確には間にSEKIROが挟まるがSEKIROにはDLCはない)


またDS1のDLCに登場した素晴らしいチェスターの服装が、ブラッドボーンを示唆していたというのは有名な話である(ただし個人的には判断を保留としたい)


DLC新作をほのめかすようなデータが入っていた理由はわからない。開発上の理由(新作で使うアセットの試用?)かもしれないし、意図的にヒントを紛れ込ませているのかもしれない


いずれにせよDS3のDLCに唐突に登場したミルウッドの世界観エルデンリングの世界観合致する、というのは偶然にしてはできすぎているように思う



エルデンリングのDLC

というわけで、エルデンリングのDLCにはDLCとしての楽しみもさることながら、新作を暗示するようなヒントが秘匿されているかもしれない、という別の期待を持つことができるのである


しかしながらDLCはまだ発売しておらず情報はほとんど明らかになっていない。よって新作の予想としてはまだ時期尚早と思われるかもしれない


だが、本編にはすでにDLCの舞台を示唆するようなデータが残されている


たとえば地下世界は「黄金樹の以前に栄えた、文明の墓場である」とされる


地図断片:エインセル河

狭間の地下には、二つの大河が流れている

シーフラとエインセル。そこは

黄金樹の以前に栄えた、文明の墓場でもある


黄金樹の以前に栄えた文明二つの大河のほとりに興ったと考えられる


地上の地図から見ると、リムグレイブにある「シーフラ河の井戸」と、リエーニエにある「エインセル河の井戸」が二つの大河の流れる場所である


そして現時点で影の地があると有力視されている領域との位置関係が下である




この予測が確かならば、影の地シーフラ河とエインセル河(狭間)に位置することになる


であるのなら、DLCの舞台である影の地とは、二つの大河の間に興った文明である



シュメール文明

二つの大河の間に興った文明として最も古く最も有名なものがメソポタミア文明であろう(Wikipedia)


メソポタミアにはウルク(Uruk)と言う古代都市があったとされるが、これはエルデンリングの「ウル(Uhl)の王朝遺跡」、または「ウルド(Uld)の王朝遺跡」に対応すると考えられる





ウルドの王朝遺跡は英語版では「Uld Palace Ruins」になる

このウルクの王の一人が有名なギルガメシュ(Wikipedia)である


ギルガメシュは『3分の2が神、3分の1が人間という半神半人』であったとされる。つまるところデミゴッド(デミとはフランス語で「半分」の意)である


※ちなみにシュメール神話に登場する「水と知恵の神エンキ」の別名は「エア」である。AC6の「エア」との関連性を探ると興味深いかもしれない


さてギルガメシュの生涯については『ギルガメシュ叙事詩』に詳しい(その原題は『深淵を覗き見た人」)


叙事詩が語るのは、「エンキドゥとの決闘と友情」「星の墜ちる夢」「天の牡牛」「フンババ退治とレバノン杉」「洪水伝説」「不死の探究」等々である


このうち親友であるエンキドゥギルガメシュの人格の二面性を表わしているともされ、エルデンリングのデミゴッドの多くに二面性があることと共通している


また「星の墜ちる夢」は星砕きのラダーンを、女神イシュタルから送り込まれた「天の牡牛」は「降る星の獣」を彷彿とさせるし、「森の守護者フンババ討伐とレバノン杉の強奪」は、黄金樹の成り立ちを想起させるものである


洪水伝説については影の地海の底にあると考えられることから、それはつまり洪水によって沈められたことを意味しているのかもしれない


不死の探究については、エルデンリングのテーマとほぼ同一である。それは不死の草、つまり植物(黄金樹)によってもたらされる


さて、ギルガメシュは死んだ後に冥界の王となる。エルデンリングにおいて冥界にあたるのは「霊界」であろう


ヘルフェンの尖塔

霊界において死者の道標となる灯火の樹

ヘルフェンの黒い尖塔を模した大剣


その灯火は祝福に似て

英霊だけが、それを見ることができるという


専用戦技「滅びの霊炎」

剣を振り、その刀身に霊炎を纏わせる戦技

霊炎は魔力属性のダメージを与え

また、とても冷たい


シュメール神話において冥界を統べているのが女神アラルトゥである


彼女は光の女神イシュタル闇を司る女神であり、『姉妹は闇と光、冥界と天界の女王としてライバル同士であり、犬猿の仲』(Wikipedia)であるとされる


これから類推するに、アラルトゥが宵眼の女王イシュタルがマリカに当てはまると考えられる


多くのデミゴッド二人一組(双子)であるのと同様にマリカもまた「双子」だったのであろう


全体としてギルガメシュの物語分割してエピソードごとに割り振ったのが、エルデンリングにおける神やデミゴッドたちのような印象がある


つまり「星の墜ちる夢」というエピソードは将軍ラダーンに、ラダーンとマレニアとの死闘ギルガメシュとエンキドゥの死闘に、冥界に赴くのはミケラとなり、蛇に唆されるのはライカードの物語となったのである


ギルガメシュに騙されて不死の草を取り逃す


またアラルトゥ(闇)とイシュタル(光)姉妹喧嘩はエルデンリングにおいて宵眼の女王(闇)永遠の女王マリカ(光)の戦争となった


シュメール文明があったのは現在のイラクのあたりである。そのイラクの隣国はイランである。イランはかつてペルシアと呼ばれていた


そのペルシアの伝説に登場するのが、両肩から蛇を生やしたザッハークWikipedia)であり、体から二匹の蛇が伸びるメスメルの表象と類似している



狭間の地の構造

以上のように狭間の地下には黄金樹以前の文明の痕跡が認められる


それらの文明はシーフラ河エインセル河のほとりに勃興したが、これはチグリスとユーフラテス河の間の勃興したシュメール文明を彷彿とさせるものである


そしてシュメール神話におけるギルガメシュの物語は、神々やデミゴッドたち物語と類似している


つまり狭間の地の物語は、地上部分北欧神話をモチーフとしているが、地下部分についてはシュメール神話をモチーフとしていると考えられるのである


かつて宮崎氏はブラッドボーンについて、「ゴシックホラーにクトゥルフホラーが侵食していく世界」とインタビューで述べている


同様にエルデンリングにおいてはシュメール神話北欧神話が侵食した世界、と考えることができるかもしれない


作中の言葉で言えば、シュメール神話北欧神話黄金樹を接ぎ木したのである


これはそのまま作中においてシュメール神話を象徴する影樹に北欧神話を象徴する黄金樹接ぎ木されたことを意味する


その際に起きた戦いで対立したのが宵眼の女王永遠の女王であり、彼女たちは闇と光を象徴する姉妹であった


ミケラが赴くのはそのような土地であり、同じく半神であったギルガメシュがそうしたように、永遠の生命(新たなる王を待つことは新たな黄金樹を求めること)を求めての旅である(不死の草探究の旅と冥界への旅が融合している)


しかしそれは得られることはない。蛇(メスメル)が邪魔をするからである


と共に永遠の生命を神から授かったというアトラ・ハシースは、絵画に描かれた黄衣の王とそのに相当するか


新作

前置きが長くなったがようやく新作の予想に移ることができる


過去作のモチーフとなった神話、創作物、宗教に各作品に当てはめるとすれば以下のようになる(小さなものを含めるとキリが無いので代表的なものに留める)


  • デモンズソウル:北欧神話、ハイファンタジー
  • ダークソウル:北欧神話、ギリシャ神話、トールキン、仏教、ゾロアスター教
  • エルデンリング:北欧神話、シュメール神話、コズミックホラー、キリスト教
  • SEKIRO:仏教、日本神話、クトゥルフホラー、無限の住人(漫画)
  • ブラッドボーン:ゴシックホラー、クトゥルフホラー、北欧神話(オーディン関連)、ジェヴォーダンの獣(映画)


デモンズソウルについては他に適する神話があるかもしれない。古の獣をクトゥルフ的と見ても良いし、デーモンの侵略をムアコック的なファンタジーと見ることもできよう


このように各作品はさまざまな神話、創作物、宗教の要素を混ぜ込んで作られたものである


モチーフとして多く使われているのがやはり北欧神話であろうか。構造的には基盤となる世界別の世界(要素)侵食していく、というものが多い


基盤世界異界が侵食していく物語構造


ダークソウルでは北欧・ギリシャ神話的な神々の世界に仏教的な人の煩悩の闇が侵食していき、神の世界が終末を迎えることになった


SEKIROでは仏教・日本神話的な世界観にクトゥルフホラー的な上位者が侵食していき、葦名という土地が滅びることとなった


ブラッドボーンではコズミックホラー的な世界にクトゥルフホラーが侵食していくことで、ひとつの街が宇宙的悪夢に呑み込まれることとなった


エルデンリングでは影樹の司っていた影の地(シュメール)に、宇宙(天)由来の黄金樹(北欧神話)が接ぎ木されることで、天と地下の間の狭間の地が誕生した


では新作はどうなるかというと、エルデンリングはダークソウルシリーズの集大成ということなので、このあたりで一旦、北欧神話から離れるのではないだろうか


とはいえ北欧神話を除外したところで神話は無数にあるので候補を絞り込むことができない


ただし現時点で判明している情報から臆測することは可能かもしれない


候補を絞るための情報の一つに、エルデンリングでシュメール神話が取り入れられたことが挙げられる


上述したように影の地シュメール神話がモチーフとなっている可能性がある。ただし、それがそのまま新作に利用されるかというと、その可能性は低いように思う


というのもDS3のDLCに登場したミルウッドはあくまでも未登場のどこにあるかもわからない土地であり、DLCにミルウッドという土地そのものが登場したわけではないからである


影の地シュメール神話の地とすると、すでに登場した土地を新作でそのまま再利用するとは思えない


しかしながら、メスメルに言及した際にシュメール神話(イラク)に隣接するペルシア伝説(イラン)にも触れた


メスメルの蛇は、両肩に蛇を生やしたザッハークがモチーフではないか、というのがそれである(北欧神話的には世界樹の根を囓る二匹の蛇となろうか)


DLCに登場するメスメル。その体に生える影の地でも狭間の地でもなく外の地に由来する性質なのであれば、その土地こそ新作のモチーフとなる土地である可能性がある


新作メスメルの蛇の故郷であるザッハークの活躍していた土地。すなわち現在のイランにあたるペルシアとその神話をモチーフとした作品ということになろうか


本編の情報から言うのであれば、遊牧の民の住んでいた地である


青布の胴衣

遊牧の民の剣士の胴衣

布地の青は、清涼な流水の象徴であり

その剣もまた流れる水がごとくである


停滞はやがて淀みとなり、腐りゆく

常に流れ行き、留まることなかれ


具体的にはアラビア半島のあたりである


※その土地を舞台にした作品ということではなく、その土地の風土・気候・人々をモチーフにした作品である


そこは乾期(闇)雨期(光)のある過酷な世界であり、砂漠があり、オアシスがあり、遊牧民が住み、魔法があり、魔物が闇に潜むような世界である


アラビアンナイト(「千夜一夜物語」)の世界観であり、魔法のランプシンドバッドの世界であり、そこは西洋とは異なる騎士の文化がある世界でもある


※映画でいうと『シンバッド七回目の航海』(Wikipedia)がモチーフとして妥当か


※ファンタジー小説でいうと『アルスラーン戦記』(Wikipedia)というのもある


上述した基盤世界を侵食する異界という構造を踏襲するのであれば、アラビアンナイト的な世界にクトゥルフホラーが侵食していく、というのがまず考えられる


あるいはゲームになりそうな要素から推測すると、バベルの塔のあった古代都市バビロンあたりがモチーフとなろうか(メソポタミア文明圏であるが、ウルクとは離れている)


エルデンリング水平方向に拡がった世界を造り上げたので、次は垂直方向に伸びる世界を造ろうとしているのかもしれない


つまり延々と「」を登っていくゲームである


※漫画で言うと、最近1巻が出たばかりの『タワーダンジョン』(著:弐瓶勉)がモチーフになろうか。そもそもBLAMも似たようなものだが


蛇足

実際のところ、宮崎氏は作品をストーリーからではなくゲーム的アイデアから創るそうなので、過去作の傾向から新作の舞台を予想しても当たる確率は限りなく低い(どうやっても予想を超えてくると思っているので安心して予想できる)


関係ないがドラゴンズドグマのキャラメイクがだいたい終わった


覚者は身長160cmのドワーフっぽいシーフ


メインポーンは身長190cmのファイター(もしくはアーチャー)。顔のレシピはネットで見つけた美人さんのをパクったもの






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