2024年3月1日金曜日

Elden Ring DLC考察3 メリナと宵眼の女王

メスメルの存在が明らかにされたことで、にわかに注目度が高まっているメリナについて考察してみたい


命名規則

メスメルに関連してメリナに注目が集まっているのは、両者が共に炎の属性をもち、共に左眼を閉じ、名前の頭文字(M)も共通しているからである


本編中に双子のデミゴッド二組登場する


  • ミケラ(Miquella)とマレニア(Malenia)
  • モーゴット(Morgott)とモーグ(Mohg)


マリカの子であることを示すように、彼らは名前の頭文字が「」で統一されている


メスメル(Mesmer)がマリカの子であることはインタビューで明言されているので、DLCにおいてもその命名規則は遵守されていることになる


さて、狭間の地には三種類がいる


燻り蝶

野火の側などで見られる、燃え尽きぬ蝶

アイテム製作に用いる素材のひとつ


様々なアイテムの火種となる


エオニアの蝶

朱い枯葉の羽を持つ蝶

エオニアの沼で見られる


古い神話では、この蝶は

腐敗の女神の翼であったという


幼生蝶

透き通った羽衣の羽根を持つ神秘の蝶


その蝶は、羽化した直後の姿のまま、一生を生きる


これら三種の蝶の性質から、幼生蝶はミケラエオニアの蝶はマレニアが対応すると考えられてきた


そしてこれまで燻り蝶に対応すると考えられてきたのが、メリナである


メリナ種火の幻視を宿すものであることから燻り蝶に対応し、また頭文字Mであることから、ミケラ、マレニアの姉妹なのではないかというのが、その説である


この仮説に突如として割って入ってきたのがメスメルである。彼もやはりメスメルの火を宿し、また頭文字Mをもつマリカの子であるからである


ではメリナ燻り蝶とは無関係かというと、必ずしもそうとはいえない


上述したように本編には双子のデミゴッド二組登場するが、その二組ともに頭文字はMである。頭文字にの字を与えられたデミゴッドは必ず双子ということになる


つまりメスメルにも双子がいることになり、その条件に最も妥当と思われるのが本編中でいえばメリナなのである



宵眼の女王

狂い火の王エンディングで確認できるが、メリナの左眼宵眼である。宵眼は運命の死と深い関わりがあり、その持ち主はかつて宵眼の女王と呼ばれた神人であった


このことから宵眼を受け継ぐメリナ宵眼の女王本人であるか、もしくは宵眼の女王の娘であるいう説が発売直後から言われてきた


  • メリナ=宵眼の女王本人説(今回はこちらの説を採用)
  • メリナ=宵眼の女王の娘説


メリナ=宵眼の女王本人説

運命の死はもともとエルデンリングに含まれていたものである。つまりエルデンリングを宿すマリカの娘であれば、その性質を受け継ぎ宵眼の女王になれる可能性がある


そしてメリナの双子メスメルであるとするのなら、メスメルは「マリカの子」なので、メリナの母親もマリカとなる(またメリナのプログラム上のコード名はマリカの娘である)


メリナ宵眼の女王かつ神人であったことになるが、神人肉体を焼かれる神人でなくなることは、ラニがその身をもって証明している


つまりマリカ影の地メスメルとメリナという双子を産んだことになる


DLCトレイラーからマリカの条件に合う存在を探すとすれば、肖像画に描かれた男女のうち女性のほうが適合する


黄衣を着た人物はおそらく影樹の王(黄衣の王)であり、このときすでにマリカは神となっていたと思われる


肖像画のマリカ腹部に手を当てていることから妊娠していると考えられ、その彼女から誕生したのがメスメルとメリナである


ただし女性が孕んだのは黄衣の王の種ではなく、竜、蛇、巨人のうちのいずれかの、もしくは同時に三種族の種、あるいは坩堝そのものだと思われる


このうち竜や蛇、巨人の火を引き継いだのがメスメルである。彼が宿したのは冒涜と罪の火である


一方メリナはエルデンリングに由来する宵眼を受け継ぎ、種火となる性質も得た。宵眼の女王の誕生である


種火であり運命の死を司るメリナと、冒涜と罪の火を宿すメスメル。この両者の火が合わさることで生まれたが、やがて影樹を焼き尽くすことになる


冒涜の炎黄金樹を着火させ、その後に運命の死の解放により完全に燃える、というのは本編における黄金樹の延焼経緯と類似している


その際に種火となったのがメリナであり、メリナの肉体はこのときメスメルの火によって焼尽したのかもしれない(他にマリケスに敗れた後やエルデンリングが砕かれた時など、メリナが肉体を焼かれるタイミングはいくつか考えられる)


マリカメスメルとメリナを産んだのは、黄衣の王黄金樹(影樹)を燃やし、かわりに自らの黄金樹接ぎ木するためであろう


※平たく言えば稀人マリカによる影樹王家乗っ取りである


それはおそらくマリカが宿したエルデンリング(エルデの獣)の意志によるものだったと思われる(エルデの獣=エルデンリング寄生種である)


影樹エルデの獣寄生する以前の黄金樹であり、エルデの獣はそれが焼尽した後に残る大樹根に寄生したかったのである


影樹は黄金樹でもあるので、運命の死と冒涜の種火という二つの条件が揃わなければ本編の黄金樹と同様に焼くことができない


さて、メスメルとメリナの引き起こした影樹の焼尽(原初の大罪)は、同じことがマリカの黄金樹に対しても行える


ゆえにエルデの獣はこれを大罪とし、マリカに二人の粛正を命じる


つまり影の地では二度の戦いが起こったことになる。一度目宵眼の女王とメスメルによる影樹勢力との戦いである(マリカが影から糸で操っていた)


宵眼の女王が率いた神肌の貴種には爬虫類系の尻尾がある。一方でメスメルには二匹の翼あるがまとわりついている。両者の属性はかなり似ている


二度目は用済みになった宵眼の女王とメスメル粛正する戦いである。この二度の戦争により影の地メスメルの火焼き尽くされたのかもしれない


粛正の戦いの際のマリカ勢力の主力はゴッドフレイとその部下たち、そして影獣マリケスであった。マリカ勢力はメスメル宵眼の女王メリナを相手に戦い勝利する


敗れたメスメル左眼を封じられ影の地ごと封印される。また宵眼の女王ことメリナマリケスに敗北し、宵眼を封じられたうえで禁域の牢に幽閉される


メスメルの左眼に何が宿っていたのかは不明である。巨人の炎かあるいは宵眼かもしれない


ただしエルデの獣の最終的な目的メスメルとメリナの殺害だったと思われる。だがマリカはなにかの思惑のもと両者を生かした。影の地をヴェールで覆ってメスメルの存在を覆い隠し、メリナを禁域の牢に隠匿したのである


※このときの恩があるので疑義を抱きながらもメスメルマリカを裏切っていないのかもしれない


このマリカの小さな反逆が後に実を結ぶことになる


後年マリカはひとつの使命メリナに与える。それはおそらく運命の死の解放黄金樹を焼くことであり、狭間の地に分け隔てない死をもたらすことであった


…狭間の地を、ずっと見てきた

この世界には、修復が必要だと思う

…そして、分け隔てない死

…ねえ、貴方

大罪に向かう、準備はできた?(メリナ)


だが母に与えられた使命はエルデンリングが砕かれたときの衝撃で忘却されてしまう


…私の話?

…探しているの

かつて、黄金樹で母から授かったはずの、私の使命を

焼け爛れ、霊の身体となってまで、生き続けている理由を(メリナ)


またメリナは亜人ボックに対して同情的だが、亜人に近しいと思われる混種坩堝に触れた存在とされる


翼の混種の遺灰

翼の諸相を持ち、飛びながら弓を射る霊体

混種は、坩堝に触れた罰の存在であるとされ

生まれながらの奴隷、穢れ者である


その坩堝はかつて宵眼の女王の率いた古い神肌の使徒の在り方に近い


神肌の貴種フード

貴種とは、最も古い使徒たちであり

人ならぬ諸相を、その身に宿しているという

それは黄金樹の原初、坩堝にも似ている


メリナが亜人に同情的なのは宵眼の女王のときの人格が残っているからなのかもしれない



火山館

影の地におけるマリカの物語は、本編において別の物語として密かに示唆されているかもしれない


火山館タニスの物語がそれである


かつて異国の踊り子であったタニスはライカードに見初められ側妃となったという


側妃の仮面

異国の女王を象った仮面

火山館の主人、タニスの装束

技量を高める


かつて、異国の踊り子であったタニス

ライカードに見初められ、側妃となった

そして、彼が冒涜の大蛇となった時

人として唯一人、その元に残った


タニスは、あの時初めて

ライカードに惹かれたのだ


一方、異界から影の地に降り立ったマリカ黄衣の王の后となった(黄衣の王は影樹の王であり、マリカの黄金樹の最初のエルデ王ゴッドフレイという記述とは矛盾しない)


またタニス蛇の子ラーヤ産めなかったのとは対照的に、マリカ竜(蛇、その他)の子を産んだ


それは冒涜と罪の子であり、やがて黄衣の王の司る影樹(黄金樹)を燃やす原初の大罪に繋がっていったのである


このときの影樹(黄金樹)に対するマリカの反逆こそ、火山館の反逆指針になったのであろう


つまりライカードは、冒涜を犯すことで罪の子が生まれ、その罪の子黄金樹を焼く、という前例に倣ったのである(オリジナルの罪の子は蛇をまとうメスメル)


ラーヤイベントの最後にデーディカの禍を渡されるのは、火山館イベント全体影の地におけるマリカの物語の歪んだ繰り返しであり、そのオリジナルの物語において、あらゆる不義、姦通を行い無数の異形の子をなしたされたこそ、竜や蛇、巨人と交わったマリカだからである


デーディカの禍

皮膚を剥がされた狂気の肖像

慈しみの薄笑いを浮かべている


被ダメージが増える


デーディカという名のその女は

あらゆる不義、姦通を行ない

無数の異形の子をなしたという


※ゲームの初期バージョンではデーディカ男娼とされているらしい。ただしこれはどちらが間違いというよりも、どちらも正しいのかもしれない。というのも、マリカの半身ラダゴンという男性的な人格だからである



霊の国

影樹(黄金樹)を焼くという原初の大罪の後、メスメルとメリナ大罪の罰としてマリカによってそれぞれ封じられた(エルデの獣や大いなる意志から隠されたともいえる)


宵眼を封じられた霊体メリナ禁域の牢に幽閉されていたが、その彼女を脱獄させたのがミケラである。ミケラはメリナにトレントを託し、密かに脱獄させたのである


霊馬トレントの力により牢を脱したメリナは、ミケラが望む約束の王を求めて狭間の地を彷徨うこととなり、やがて一人の褪せ人の前に現われることになる


一方でミケラは、肉体を焼いたことで霊体となっていたラニにも霊喚びの鈴を託す


これらに共通するのは、である。メリナは霊体であり、トレントは霊馬であり、ラニもまた霊体となったタイミングがある


逆に言えば彼らが霊体だからこそ、影の地にいるミケラ干渉できたとも考えられる


つまるところミケラの赴いた影の地とは、霊体が訪れる領域なのかもしれない


そして霊の領域はすでに本編中のアイテムによって示されている


ヘルフェンの尖塔

霊界において死者の道標となる灯火の樹

ヘルフェンの黒い尖塔を模した大剣


その灯火は祝福に似て

英霊だけが、それを見ることができるという


専用戦技「滅びの霊炎」

剣を振り、その刀身に霊炎を纏わせる戦技

霊炎は魔力属性のダメージを与え

また、とても冷たい


※霊界の冷たい炎を焼いたのはメスメルの火であった



蛇足

宵眼の女王をマリカにするかメリナにするか迷ったのだが、最終的にデーディカと宵眼の女王を分離することでメリナとした


宵眼の女王=マリカ説も書いたものの、敗れたマリカ自身が運命の死の封印をマリケスに願う、という点に納得のいく説明ができずに頓挫した


ただしその点以外は宵眼の女王=メリナ説のストーリーとだいたい同じ感じに説明できると思う


とはいえ宵眼の女王=メリナ説そのものが破綻気味なのでDLCで判明するストーリーとは全く違う可能性が高い(筆者の考察は当たらないことに定評がある)


宵眼の女王をマリカのライバルと考えて、影樹とマリカの黄金樹との戦いを想定してもいいかと思う。ただしその場合、粛正の地という表現にやや違和感が残る


ひょっとするとメリナは影樹を焼くこととマリカの黄金樹を焼くことを混同しているのかもしれない


火山館の価値観からすればマリカの行為はデーディカのように認識されるのではないだろうか。公平に見てもマリカのやってることは不貞と冒涜のオンパレードだがマーティン氏原作の神話なので、このくらい生臭いのはありえるのかなと思う


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