永遠の都の“滅び”に言及しているのは次の3つのテキストである
ノクス僧のフード(軽装)
大古、大いなる意志の怒りに触れ
地下深くに滅ぼされた、ノクスの民は
偽りの夜空を戴き、永遠に待っている
王を。星の世紀、夜の王を
永遠の暗黒
魔術街サリアの禁断の魔術
暗黒を生じ、魔術や祈祷を引き寄せる
足を止めずに使用できる
それは、永遠の都の失われた魔術であり
その滅びをもたらした、絶望であったという
暗黒の落とし子の追憶
黄金樹に刻まれた
暗黒の落とし子、アステールの追憶
遥か彼方、光の無い暗黒で生まれた星の異形
それはかつて、永遠の都を滅ぼし
彼らから空を奪った、悪意ある流星である
テキストに記された“滅び”を要約すると以下のようになる
- 「大いなる意志の怒りに触れ、地下深くに滅ぼされた永遠の都」
- 「永遠の暗黒を使用したことで滅びがもたらされた永遠の都」
- 「暗黒で生まれたアステールにより滅ぼされた永遠の都」
1は神の怒りに触れたことによる天罰的な滅びであり、2は永遠の都の自業自得的な滅びである
3は暗黒で生まれたアステールが流星として飛来し、永遠の都を滅ぼしたという自然災害的な滅びである
またこれら3つのテキストを組み合わせて永遠の都の滅びを何通りかに解釈することも可能であろう
1つ目は永遠の暗黒を呼びだしたことが大いなる意志の怒りに触れ、結果的に滅ぼされた、というもの
2つ目は永遠の暗黒を使用したことで、その暗黒からアステールを呼びだしてしまい滅ぼされたというもの
3つ目はすべてのテキストを融合させた「永遠の暗黒を使用したことが大いなる意志の怒りに触れ、アステールを送り込まれて滅ぼされた」とする解釈である
以上をまとめると以下のようになる
- 神の怒りに触れたことによる天罰
- 禁忌の存在に手を出したことによる自滅
- 禁忌に触れたことが神の怒りに触れて滅ぼされた(1と2の融合案)
- 禁忌の魔術により災厄を呼びだしてしまい滅びた(2と3の融合案)
- 禁忌が神の怒りに触れ災厄を送り込まれ滅ぼされた(1と2と3の融合案)
これら5つの滅びを検討していきたい
1.神の怒りに触れたことによる天罰
大いなる意志の怒りに触れたと思わしき呪物がある。「指殺しの刃」である
指殺しの刃
永遠の都、ノクローンの秘宝
遺体から生まれたとされる刃
永遠の都の大逆の証であり
その滅びを象徴する、血濡れた呪物
運命なき者には振るうことはできず
大いなる意志と、その使いたちを
傷つけることできるという
大逆を企んだことが大いなる意志の怒りに触れ永遠の都は滅ぼされた。指殺しの刃は大逆の確かな証であり、その滅びを象徴する呪物である
ただしこのテキストからは、永遠の都が地下に滅ぼされた後に指殺しの刃が造られたと解釈することも可能であろう
しかしながら、「指殺しの刃」の造形は「神の遺剣」とよく似ている
指殺しの刃と神の遺剣。 |
神の遺剣は神の遺体から造られるとされ、遺体から生まれた刃である指殺しの刃と発生過程も酷似している
もし仮に指殺しの刃が神の遺剣と同じように「神の遺体」から造られたものだとしたら、それは確かに大逆の証と呼べる呪物に相応しいものなのであろう
永遠の都が神を殺し、その遺体から指殺しの刃を生じさせた。その神への冒涜こそが大いなる意志の怒りに触れた出来事だったのである
2.禁忌の存在に手を出したことによる自滅
人の手に余る禁忌の力に手を出したことが永遠の都の滅びをもたらした、という分かりやすい説である
魔術を吸い寄せる永遠の暗黒そのものが永遠の都を崩壊させた、とすることも可能であろう
ただし永遠の都を崩壊させたと名指しされているのは永遠の暗黒ではなくアステールである
永遠の都を滅ぼしたというアステールは暗黒から生まれたとされる。一方で永遠の暗黒はその名の通り暗黒を生じさせる魔術である
永遠の都が召喚した永遠の暗黒からアステールが生まれたというストーリーがすぐに思いつく
禁忌の力に手を出したことで上位存在を呼びだしてしまい滅びる、というのはファンタジーのみならずSFやあらゆるジャンルでお馴染みの展開であろう
以上からより妥当と思われるのは、「2.禁忌の存在に手を出したことによる自滅」ではなく、「4.禁忌の魔術により災厄を呼びだしてしまい滅びた(2と3の融合案)」の方になろう
ただしシンプルな反面、大いなる意志の怒りの要素を組み入れる余地がない、という弱点もある
永遠の都の滅びは言ってしまえば自業自得の滅びであり、大いなる意志の怒りが介在する理由がみあたらないのである(これについては次項で検討している)
3.禁忌に触れたことが神の怒りに触れて滅ぼされた(1と2の融合案)
禁忌の魔術を使用したことが大いなる意志の怒りに触れ、永遠の暗黒を通じてアステールを送り込まれた、とする説である
大なる遺志の主な権能は「光」である。光は祝福として狭間の地や生命にもたらされるし、褪せ人を直接的に導くのは「導きの光」である
反対に永遠の暗黒は「魔術」である。そして魔術は黄金律ではない夜の律の属性である
大いなる意志を光の存在として見ると、暗黒は光に対立する属性であり敵対勢力である
だが永遠の都の住人たちは光に対立する「永遠の暗黒」を呼びだしている
これに激怒したのが大いなる意志である。眷獣であるエルデの獣を送り込むことでようやく構築された輝く生命の律を台無しにされそうになったからである
そこで大いなる意志は暗黒からアステールを生じさせ(アステールは生命体、つまり光の存在でもある)、永遠の都に送り込み滅ぼしたのである
ただし対立する暗黒からアステールを生じさせる、という展開がやや無理があるように思えなくもない
アステールを生命とみると、それは光の存在であり大いなる意志の眷獣にあたるのかなと思わないでもないが・・・
永遠の都の滅び
以上、4つのシナリオを検討してきたわけだが、実のところどれも決定的な説とはいえない
今のところ可能性が高いかなと筆者が思うのが、次に検討する「5.禁忌が神の怒りに触れ災厄を送り込まれた(1と2と3の融合案)」である
自滅からの天罰説とでもいおうか
永遠の都の住人は神を殺し「指殺しの刃」を生みだし、また「永遠の暗黒」を呼びだしている
これらから読み取れるのは、永遠の都による大いなる意志への大規模な反逆計画である
その反逆を鎮圧するために大いなる意志の執った手段が「アステール」による永遠の都の壊滅だったのだろう
永遠の都は地下に封じられる。そこは「光」の届かない「暗黒」の世界である。つまり地下は大いなる意志の権能が基本的に届かない領域である
※地下に「祝福」が点在するのは、かつてそこが地上だったからだろう
永遠の都は「指殺しの刃」と「永遠の暗黒」をもって大いなる意志に反逆しようとした。ゆえに滅ぼされた
これが筆者の今のところの結論である
※被支配者による支配者への反逆はエルデンリングのテーマであるようにも思う
かつて失敗に終わった永遠の都による反逆計画。これを成功させたのが本編のラニルートである
ラニは指殺しの刃により指を殺し、またその暗月(魔術)により黄金ではない夜の律を打ち立てた。これはかつて永遠の都が果たそうとして果たせなかったことの、ほぼ正確なトレースであり、成功例である
今回も考察読ませてもらいました!
返信削除すごく大事なことですが、大いなる意志はアステールをどうこうする力はないのだと思います。
まず、夜の律と黄金の律は対立する理であり(ロジェール談)実際にラダゴンはレナラの心を壊しノクステラは大逆を志し、ラニはラダゴンや二本指を嫌悪しています。
そして大いなる意志は蟲に利用されるなど特別な状況を除き黄金の律を肯定しています。(ラダゴンの黄金律ではありません。マリカの黄金樹による統治を含めた「黄金」による統治です)
そしてアステールは夜と星の律から生まれた存在です。単純にアステールやそれにまつわるアイテムはいずれも魔術属性のほか、落とし子の星々には、アステールの身体が星屑で作られていることが記されていますし、あれは暗黒の落とし子の名前の通り暗黒から生まれたものです。
暗黒とは何かと考えたとき
彗星アズール:アズールの垣間見た源流は、暗黒であった
滅びの流星:対象に向かって飛ぶ、十二の暗い流星を放つ
創星雨:空に暗黒の星雲を呼び しばらくの間、凄まじい星雨を降らせる
このように暗黒は源流魔術に度々出てくるキーワードです。
つまり暗黒とは輝石魔術の源、宇宙のことだと考えられ、永遠の暗黒はそれを生じさせた源流魔術の原型と考えられます。
そこから落とし子、副産物として生じたのがアステールであり、そのために永遠の都は滅び、また後世に源流魔術は禁忌とされているわけです。
こう考えるのが非常にスマートではないでしょうか。
つまり、大いなる意志の支配に反して永遠なる暗黒を探求の果てに見出し、それのみならずアステールという大いなる意志にとって対立する理にして地上を荒らす存在を招いてしまったノクスの民に対して、怒り大いなる意志は封じたわけです。
ノアの箱舟のようなエピソードですね。