2023年12月1日金曜日

エルデンリングを振り返る1 エルデンリング、獣、ラダゴン

動画作成中に考えたこと、得られた知見などを忘れないうちにまとめておく。具体的には現時点で筆者が「こうではないか」と考える仮説である


一言でいうとDLCに向けてのおさらい


※なおテキスト引用等は必要最小限で済ませる



エルデンリング

エルデンリングとはエルデの獣が変化したものである。エルデの獣とは大いなる意志黄金の流星と共に狭間に送った一匹の獣であり、それは律たる概念の具現であったという


よってエルデンリングとは「律の総体」と考えられる。この黄金律のみを指しているのか、それとも全ての律を包含しているのかは曖昧である


エンヤが「エルデンリングは黄金の律」と言っていることから前者の可能性が高いものの、エンヤが信頼できない語り手である可能性も捨てきれない


一言に「黄金律」と言っても、そこに様々なバリエーションが存在する。基本的にエルデンリングを掲げることで確立される黄金律に含まれてよいと思う


具体的には、各種修復ルーンによって修復される律やマレニアの腐敗の律ミケラの無垢金ラダゴン黄金律原理主義マリカ黄金律などが該当する


またモーグが開こうとしていた王朝も、それが大ルーンを基礎としたものであるのなら黄金律に含まれてよいかもしれない(外なる神に干渉を受けているが)


これらはエルデンリングを利用することで確立されるである


黄金律でない律としては、ラニの夜の律祖霊(律と言えるかは不明)などが該当する。このうち夜の律はおそらくエルデンリング以前にノクステラの月によって確立されていた律であるように思う


ただしエルデンリングの発生を狭間の地の生命の始まりとするのなら、夜の律エルデンリングから分離したものとも考えられる


※エルデンリング以外に律を確立できる存在としては、かろうじてノクステラの月がそうだったのかもしれないと推測できるくらいである(黄金樹的な存在だったかもしれないが)


※この他、巨人の火もそれ自体がであった可能性がある



狭間の地の歴史を影から操ってきた獣たち。その主人エルデの獣である。エルデの獣を頂点とした獣と獣人の系譜が狭間の地の歴史を貫いている


エルデの獣の系譜

  • 獣人(知性を与えられた獣たち)、狭間の地を裏から制御する
  • 影従の獣(エルデの獣の眷属)、神人を監視し、逸脱を防ぐ
  • 宰相の獣(エルデの獣の眷属)、エルデの王を都合の良い存在とする
  • 老獅子(宰相の獣の眷属?)
  • ※ラダゴンについては後述する


チンクエディア

かつて獣たちに贈られた知性

その象徴たる、五指が象られている


黒き剣の追憶

マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった

マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み

後にそれを裏切ったのだ 

 

マリケスの兜

女王マリカの忠実な義弟にして

その剣の運命の死を宿したマリケスは

すべてのデミゴッドの、恐れであった


ゴッドフレイの肖像

ゴッドフレイは、猛き戦士であった

けれど、王となるを誓ったとき

沸々と滾り続ける戦意を抑えるため

宰相の獣、セローシュを背負ったのだ


エルデの獣(エルデンリング)を宿した女王マリカを「神の子」、影従をエルデの獣の直系の「獣の子」としてみると、マリカと影従の関係は義姉弟ということになろうか


この他、ラダゴンとしてのエルデの獣からは赤毛の獣たちが生じている


ラダゴンの系譜

  • 赤毛の獣たち(ラダゴンの赤狼、ラダーンの痩せ馬)
  • 獅子の混種(混種の聖騎士)


※混種の内部名は「ラダゴンの子供たち」というらしい(Elden Ring Wiki)


ラダゴン

黄金律原理主義の具現たる黄金律の犬


黄金律の具現たるエルデの獣の魂が、幻視の器たるマリカを浸食していった結果、ラダゴンという英雄が生まれたと思われる


分かたれぬ双児が「二つの身体、二つの意志、そしてひとつの魂」であるのとは対照的に、マリカとラダゴンは「一つの身体、二つの意志、二つの魂」という状態にある


双児の兜

分かたれぬ双児、Dは二人いる

二つの身体、二つの意志、そしてひとつの魂

共に起きることはなく、言葉を交わすこともない


マリカがラダゴンのことを「まだ神ではない」と罵っていることから、マリカ(幻視の器)に宿っていたエルデの獣神ラダゴンになるまでには過程がある


おお、ラダゴンよ、黄金律の犬よ

お前はまだ、私ではない。まだ、神ではない

さあ、共に砕けようぞ我が半身よ!(マリカの言霊)


エルデの獣の魂幻視の器(マリカの肉体)を完全に支配下に置く(私となる)ことで、ラダゴンになると考えられる


ラスボス戦ではラダゴンを倒した後エルデの獣が現われ、神の遺剣を引きずり出す


神の遺剣

永遠に死ぬことのないはずの

神の遺体から生まれる剣


永遠に死ぬことのないはずの神の遺体、という矛盾は、本作が「魂と肉体の二元論」(心身二元論)の世界観を起用していることを思い出せば解消される


つまり幻視の器(肉体)に宿るエルデの獣(魂)肉体を抜け出たので、その肉体は遺体(魂のない肉体)となったのである


神ラダゴン(肉体と魂)-エルデの獣()=神の肉体神の遺体



エルデの獣の目的

エルデの獣の目的は「永遠の神」となることである。そのためにマリカに命じてエルデンリングから運命の死を取り除き、封印させたのである


しかしマリカゴッドフレイの血からは忌み子が多く生まれ、永遠の不完全性が明らかとなる(このことがゴッドフレイ追放に繋がっていく)


そこでラダゴンは完全たるを目指してリエーニエに侵攻。だが結果的に黄金律ではない夜の律を宿すラニを誕生させてしまう


しかしその過程で何らかの示唆を得たラダゴンは、マリカとの間にミケラとマレニアを産む。このうちミケラは永遠性を宿しており、エルデの獣次なる宿主(幻視の器)として適していた


だが黄金律原理主義がマレニアの腐敗に対して無力であったことから、ミケラ原理主義を捨てる


ラダゴンの光輪

黄金律原理主義の祈祷のひとつ

父ラダゴンの、幼きミケラへの返礼


しかし、幼きミケラは原理主義を捨てた

それが、マレニアの宿痾に無力だったから

無垢なる黄金、そのはじまりである


黄金律原理主義捨てるということは、それを体現するラダゴンを捨てることであり、ひいてはエルデの獣を拒絶することである


けれどもミケラの掲げる律が「無垢なる黄金」であるように、ミケラは黄金律そのものは捨てていない(捨てたのは原理主義)


ここでもやはり「心身二元論」がポイントとなってくる


エルデの獣を倒した後も、エルデンリングを宿した状態の壊れかけのマリカが存在しているように、エルデンリングとエルデの獣とは完全に「」で結ばれるものではない


つまるところ、エルデンリング肉体、そしてエルデの獣はそのである


元はエルデの獣という生命(肉体と魂)であったものが狭間の地で変容し、その肉体はエルデンリング、そのエルデの獣となり、双方が幻視の器に宿ることになったのである


幻視の器システムにおける要諦エルデンリングの方である。エルデの獣の魂(意志)の寄生はエルデンリングを宿したことによる副次的、副作用的な事象となる(結果、寄生虫が暴れて狭間は荒廃することに)


上でエルデンリングは律の総体(概念的解釈)と述べたが、物理的解釈としてはエルデンリングは「神の肉体」ということになる


神の肉体を利用して世界を創造することは北欧神話的であると言える


つまりミケラは原理主義(ラダゴンならびにエルデの獣)は捨てたものの、その肉体であるエルデンリングは利用しようとしたのである


そのために造ったのが「ミケラの針」である。それは外なる神の干渉を退ける針であり、外なる神の中にはエルデの獣も含まれていると思われる


黄金律の不完全の原因を心持つ神に求めた金仮面卿と同じく、ミケラもまたエルデンリングの不完全性の根本にエルデの獣という心持つ神がいることに考え至ったのである


※ミケラに関しては長くなるので別途考察したい


陰謀の夜を経て、マリカは自身の肉体である幻視の器とそこに宿るエルデンリングを砕くに至る


それは同時にマリカの半身たるラダゴンを砕くことであり、またラダゴンに宿ったエルデの獣の魂を害することでもあった(エルデの獣の腹部には亀裂が入っている)


さて、滅ぼされた巨人たちの呪いエルデの獣を介してラダゴンに伝わっている


巨人の赤髪

巨人たちは、皆一様に赤髪であり

ラダゴンは、自らの赤髪に絶望したという

それは巨人の呪いだったろうか


ラダゴンの発生時期については解釈が分かれることと思う。誕生時に赤髪のラダゴンとして産まれたものか、あるいは当初からラダゴンとして存在していたのが、巨人戦争後赤髪となった、とすることも可能であろう


また「巨人の呪いだったろうか」という疑問形であることも、そもそも巨人の呪いではなかった、とさえ解釈することも可能であろう(ただしわざわざ言及しているのだから巨人の呪いなのだろうなとも思うが)


蛇足

久しぶりの更新。動画が最終回を迎えて作業量が多かったのと、本来は先週に公開する予定だった「外なる神」の考察が頓挫したことによる(主に後者)


切りが良いのでひとまず「外なる神」の考察は脇によけておいて、大まかにまとめておくことにした(そうしないと忘れてしまう)



0 件のコメント:

コメントを投稿