アキラシティの銀行強盗を解決したところから始まる「自由恒星レンジャー」の勢力ミッション
新人補佐官として農場乗っ取り事件を捜査していくうちに、コロニー戦争の暗部、「第一機甲部隊」の亡霊と対峙することになる、というストーリー
コロニー戦争時、自由恒星同盟に属していた第一機甲部隊はコロニー連合の基地を制圧しようと大規模な戦闘を仕掛けたという
後にニーラの戦いと呼ばれる戦闘は熾烈を極めたが、第一機甲部隊は停戦命令を無視して戦い続け、双方に大きな損害をもたらした
ニーラの戦いの後、隊長や士官は軍法会議にかけられて刑務所に放り込まれたとされる
だが、すでに解散・解体されたはずの第一機甲部隊の亡霊が、捜査を続ける新人補佐官の前に立ちはだかるのだった
保安官も元第一機甲部隊である |
大戦直後という設定をとてもうまく利用したシナリオで、個人的にはメインシナリオよりも好きである
※メインシナリオも悪くはないが、何となく「陽キャのギーク集団がわちゃわちゃしてたら世界の真実に到達してしまった」という内輪サークル感が馴染めなかった
ミッションの設定やプロットからは押井守監督作品やメタルギアシリーズの雰囲気が漂っており、洋ゲーというよりも日本のアニメやゲームの色合いが濃い
ここにはアメリカ的な「戦争! 勝利! 英雄!」といった戦争に対する幼稚な楽観論は見られない
戦争の虚無を渦中の出来事としてではなく、あえて戦後から見返す形で描くという屈折した視点が秀逸である
大きな戦争で人々が受けた傷は、戦争が終わって平和が訪れたタイミングで痛みだし、熱を持つ
傷が深ければ深いほど、その揺り戻しは大きい。暗躍する第一機甲部隊の隊員たちも例外ではない
彼らは同情の余地のない邪悪な悪党ではない。彼らもまた癒すことのできない深い傷をかかえたまま戦後を生きてきたのである
ストーリーが進むにつれ、筆者はむしろ第一機甲部隊に感情移入してしまい、中ボスとなる元第一機甲部隊の隊員を殺さないルートを選んだ
彼らの設定的にも、プレイヤーがその選択をすることを想定としている節がある
特にそのうちの一人は、殺すことさえ無意味に思えるような状況にあった
この選択が正しかったのかは分からない。ただ、これ以上の痛みや苦しみを与えることは、例え相手がNPCだったとしても筆者にはできなかった
敵とはいえ登場するキャラクターは魅力的で、言いようのない悲哀を纏っている
彼らと対峙していると善悪の境界が揺れ動き、何が正義で何が悪なのか分からなくなってくる
自由恒星同盟こそが諸悪の根源なのではないかとさえ感じられる
だが、それでも新人補佐官は任務を遂行する。彼らが人々を危険にさらしているのだとしたら、どのような事情であれ止めなくてはならない
胸の内に複雑な葛藤を抱えながら、新人補佐官は第一機甲部隊のリーダーと対峙する
それまでの描写から、リーダーはどれほど人間的魅力に溢れた悪のカリスマなのかと期待していたら・・・
※言っていることはとてもかっこいいのだが |
禿げたおっさんだった時の哀しみ。ここで筆者は一気に現実に引き戻された
所詮こいつは今もあの戦争を忘れられず、今もあの戦争を戦い続けている亡霊なのだ
パクストンに関しては何の躊躇もなく始末することができた。もしかするとこの流れも脚本家の想定内なのかもしれない
さらに彼から驚きの事実が明らかとなる
詳細は避けるが、戦争が終わったら資本家の時代が到来するのは必然。どれほど戦争で悪名を轟かせようと時代には逆らえない
時代遅れの駄犬は大資本家に体よく使われる飼犬になることでしか生きていけないのである(本人は闘犬のつもりでも)
このあたりの流れも皮肉が効いていて素晴らしい。悪役に対する脚本家の自己陶酔は控えられ、透徹した視線が徹底されている
コロニー戦争後という設定との繋がりが希薄であったメインシナリオに比べ、自由恒星レンジャーの勢力ミッションは戦後の世界と密接な関わりがある
この世界設定でなくては描けなかったシナリオとさえ言える
ボリュームに関してもクリアまで6時間ほどと充分で、プロット的にも中だるみすることなく、個性的な敵キャラが登場し、プレイヤーを飽きさせない
また上述したように内容も極めて日本人好みであると思われる(好みは人それぞれなので断言はできないが)
そしてクリア後にはそこそこ良いスペックの宇宙船も貰える
ただ一点、難点を上げるとすれば中盤~終盤にかけて宇宙戦闘があるのだが、これがとても難しい
ベリーハードでプレイしていたのだが、スターボーンの船(実はあまり戦闘向きではない)では全く歯が立たず難易度を下げざるを得なかった
勢力ミッションを「通し」でクリアしたかったので強引な手段をとってしまったが、通常は他のミッション(メインミッションなど)を平行しながら、それなりの船を入手した後に挑戦した方がよいかもしれない
※お金を貯めてCクラスの船を作って再挑戦することも考えたのだが時間的な余裕がなかった。シップビルドはあっという間に時間が溶ける
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