前回に引き続き、画像から受けたインスピレーションを書き綴ったもの(考察ではない)
Shadow of the Erdtree
Erdtreeとは英語版における黄金樹のことであるから、DLCのタイトルを訳すのならば、「黄金樹の影」ということになる
黄金樹の影とは何だろうと考えたとき、狭間の地に聳える黄金樹には影が無いことに気づく(見落としている可能性あり)
黄金樹を臨む丘から見える黄金樹 |
根本の実体部分はともかく、半透明の黄金樹には原理的に影が生じない
では影はどこにいったのか、いつから黄金樹はこの状態だったのか、という疑問が浮かぶ
黄金樹はいつから幻視であったか?
黄金樹はいつから幻視であったか、という疑問に対して最初に思いつくのはエルデンリングが砕かれた時という答えであろう
エルデンリングが砕かれた事で黄金の律が壊れかけ、それに伴ってエルデンリングを根源とする黄金樹は実体を失なったとする仮説である
永遠の女王マリカを戴く狭間の地で
黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた(オープニング)
この仮説を補強するものとしては、エルデンリングの修復エンディングにおいて黄金樹が実体を取り戻しつつある、という根拠が挙げられる
エンディングの黄金樹 |
黄金樹は金色の光を帯びているものの、幹や枝の大部分はゲーム中の黄金樹とは異なり実体があるように見える
つまりエルデンリングが砕かれたことで黄金樹は実体性を失い、このとき同時に影も失われたと思われるのである
もうひとつ、黄金樹から影が失われた時期と考えられるのが、エルデンリングから運命の死が取り除かれた時である
死のルーンとは、即ち運命の死
黄金の律のはじまりに、取り除かれ、封じられた影
それを再び解き放つなど…(指読みエンヤ)
ここでエンヤははっきりと運命の死を「影」と呼んでいる
つまり黄金樹の影とは運命の死のことになる
エンディングの黄金樹実体化はこの仮説においても根拠となる
というのも、マリケスを倒したことで褪せ人は運命の死を解放しているからである
…狭間の地を、ずっと見てきた
この世界には、修復が必要だと思う
…そして、分け隔てない死が(メリナ)
そして分け隔てない死が黄金樹にももたらされたことで影が戻った=実体化したのである
以上から黄金樹が影を失った時期として、1.エルデンリングが砕かれた時、2.エルデンリングから運命の死が取り除かれた時、の2つの仮説が考えられる
影
さて、影とは一般的に物質が光を遮ることにより生じる暗い領域のことである
ただし本作における黄金樹の神性を考慮に入れるのであれば、黄金樹の影もまた黄金樹と同様に何らかの異質な力を宿していると考えられる
ダークソウルでは光と闇とが対比され、現実においてはたんなる光の不在であるはずの闇が実在するものとして登場していた
つまり黄金樹の影とは、黄金樹の光(祝福)とベクトルは真逆であるが同質の力をもつ実在の力なのである
黄金樹の光が世界に祝福をもたらすのであれば、黄金樹の影は世界に歪んだ祝福、すなわち呪いをもたらすものであろう
…お前は、呪いを感じたことがあるか
恐れ、忌み嫌われる生命の宿痾。その醜い祝福を(糞喰い)
DLCのタイトルである「黄金樹の影」の影には、たんなる黄金樹によって生じる影というだけでなく、もっと禍々しく忌まわしいものが含まれているのかもしれない
影はどこに行ったのか?
では黄金樹から失われた影はどこへ行ったのか
上で述べたように影を運命の死と解釈するのであれば、黄金樹の影はマリケスの黒き剣に封じられたことになる
黒き剣の追憶
マリケスの黒き剣
運命の死を宿したマリケスの黒き剣
その大いなる抜け殻
陰謀の夜に、死の一部が盗まれた後
マリケスはこの剣を、自らの内に封じた
もう二度と、誰にも死を盗ませぬように
またそれは陰謀の夜の後にマリケスの内に封じられている
ただし運命の死(封じられた影)の解放は本編ですでに描かれているし、もう一度同じことを繰り返すとは考えにくい
よって黄金樹の影とは、運命の死に留まらず、黄金樹がもたらす薄暗い部分を総称した概念であると思う
それは光に対する闇であり、祝福に対する呪い、生命に対する死(運命の死)である
霊界
いつの時期か特定はできない(上で2つほど仮説は述べた)が、黄金樹から闇、呪い、死という否定的な側面が消えたと考えられる
そうした否定的な概念なり現象が辿り着く先として考えられるのが、「霊界」である
ヘルフェンの尖塔
霊界において死者の道標となる灯火の樹
ヘルフェンの黒い尖塔を模した大剣
その灯火は祝福に似て
英霊だけが、それを見ることができるという
霊界とは光り輝く生命の世界に対する影の世界であり、黄金樹の影が転移する先として相応しいように思える
またそこは霊たちの世界である。画像の人物が霊馬に乗っている説明にもなるし、夥しい数の墓石や棺が野原に散っている理由にもなろう
霊界に麦が生えている理由については、正直なところよくわからない
※北欧神話の古い詩語法では、黄金は「フロジの小麦」と表現されたりもするが関連性は不明
ギリシャ神話で麦の種をもたらしたのは豊穣の女神デメテルである。その娘、作物全般の女神であるペルセポネは冥府の神ハデスに冥界に連れ去られる
画像の人物をミケラとするのであれば、ミケラもまた豊穣の女神(マリカ)の娘(息子)であり、地下の神的存在であるモーグに連れ去られている
とはいえどちらかといえば、ミケラは童子元型の色合いの方が濃いと思っている
童子元型
心理学者のユングは人の無意識にあるイメージを想起させる力動を「元型」と名づけている
そのうちのひとつが「童子元型」である
ユングは『元型論』で挙げる童子元型の特徴が以下である(『元型論』より引用)
救済者は「神々の変身」したものとして、いわば何度でも繰り返し、新世代の告知者ないしは初子として産まれ、ありそうもない場所(石や木からの誕生、畔、水など)に、両義的な姿(一寸法師、小人、子ども、動物など)をとって不意に現われる
童子がよく現われるのは、花びらの中とか、黄金の卵からとか、曼荼羅の中心としてである。
「得難い貴重品」のモチーフの特殊なケースとして、童子モチーフは何にでも姿を変えうるし、ありとあらゆる形態をとる。
過去の全体性を示すと同時に、他方では未来における再統合としての全体性の状態を指し示す。
1.最初は無価値に見える
2.童児の超能力が、自我を越える自己の偉大さを示している
3.童児の両性具有性が対立の結合のシンボルである
本能世界自身が、童児の世話を引き受ける、すなわち「童児」は動物によって養われ、護られるのである。
童児は成長して自立に至るものを意味している。それは根源からの分離なくしては成就しない。
少なからぬ童児像が文化をもたらす者であり、そのため役に立つ文化要素、たとえば、火、金属、小麦、とうもろこし等と同一視される。
ミケラが両性具有性を持つ(トリーナ)こと、最初は無価値(成長しない)に見えるが、やがてその力が自我を超越し、得がたい貴重品となる(黄金律を棄て無垢金の針を作り、外なる神の干渉を退ける)
トリーナの剣
トリーナは、謎めいている
儚い少女であるといい、少年であるといい
忽然と現れ、忽然と消えていくという
腐敗の女神の追憶
ミケラとマレニアは、唯一人の神の子供である
故に二人は神人であるが、その生は脆弱であり
一方は永遠に幼く、一方は腐敗を宿した
ミケラの針
外なる神の干渉を退けるため
ミケラが紡ぎあげた無垢金の針のひとつ
動物によって養われ、護られる性質は画像の霊馬に乗るミケラにより現わされている
ファルム・アズラにある三匹のオオカミに囲まれる石像もミケラを表わしたものかもしれない(おそらくマリケスがそこに居着いてから作られたものであろうか)
また童児は成長して自立に至るものを意味している。それは根源(黄金律)からの分離(無垢金)なくして成就しない
そして童児は文化をもたらすものであり、火(メリナ?)、金属(無垢金)、小麦(画像の麦)と同一視されるという
以上のようにユングの提唱する童児元型とミケラとはかなりの部分一致している
ミケラの冒険
※ここから先はさらに妄想度が増す(MAXである)
エルデンリングのコンセプトアートに黄金樹に向かおうとしている褪せ人が描かれているのと対照的に、DLC(SotE)のコンセプトアートには黄金樹の影に向かおうとするミケラが描かれている
黄金樹を眺める褪せ人 |
ダークソウル1のDLCがアルトリウスの冒険とその失敗を描いたものであるように、エルデンリングのDLCはミケラの冒険とその失敗を描いたものであるかもしれない
ミケラは黄金樹(影とはいえそれは黄金樹)を救うために霊界を冒険し、そして悲惨な結末を迎えるに至ったのかもしれない
褪せ人はミケラの足跡を辿りながら彼の運命を追体験し、そして最後にはミケラの果たせなかったことを成し遂げるのである
DLCのコンセプトアートには二本の黄金樹が描かれているとされる
青線が黄金樹の影、赤線がそれに絡みつく巨樹 |
このうち直線的なものが黄金樹の影(影の黄金樹)であろう
その黄金樹の影に絡みついているのが、ミケラが立ち向かおうとした敵である
それは黄金樹に匹敵するような寄生樹であり、また寄生樹の竜である
寄生樹の竜 |
ダークソウルシリーズのDLCには必ず竜が登場してきた
DS1DLC:黒竜カラミット
DS2DLC:眠り竜シン
DS3DLC:闇喰らいのミディール
エルデンリングのDLCにも竜が登場する可能性が高いと思われる。その竜はおそらくエルデの獣の同種であり、また樹木をモチーフにした竜であろう(桜竜のような)
つまり画像では二本の世界樹(黄金樹)が絡みあっているように見えるが、そのうち一本は巨樹に擬態した竜である
黄金樹の影は樹木竜によって絞め殺され(宿主である樹を絞め殺す寄生樹は実在する)、噛み砕かれ、黄金の雫(エルデンリングの欠片?)を滴らせているのである
褪せ人は影の領域において巨大な竜を倒し、堕落した英雄ミケラと戦い、最後には黄金樹の影を救うことになろう
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