2021年9月5日日曜日

Bloodborne 考察43 処刑隊

処刑隊装束は後の教会装束の基礎である


処刑隊の装束

かつて殉教者ローゲリウスが率いた処刑隊の装束

後の教会装束の基礎であり、聖布も厚く垂らされている


聖布は後に医療教会の象徴となっている


教会の黒装束

その背中には、医療教会の象徴、聖布が翻っている


また医療教会の最初の狩人であるルドウイークにすでに聖布が翻っていることから、少なくともルドウイーク以前に活動していたこがわかる




これらの情報から、処刑隊の活動時期を教会設立前から設立直後と推定することができる


設立直後の時期も含むのは、医療教会の狩人制が誕生する前、まだ装束が確定する前に活動していた可能性が否定できないからである


さて、処刑隊の活動時期についてアルフレート重要な情報を語っている


…血族は、医療教会の血の救いを穢し、侵す、許されない存在です

その血族が、血族の長が、今もまだ生き残っている

だから私は、師の遺志を継ぐために探しているのです

カインハーストに至る道を…


血族は医療教会血の救い穢し、侵すゆえに「許されない存在」と言っており、また血族の長を殺すことが「師の遺志を継ぐこと」でもある


また「穢れ」には、「穢れ」は医療教会の禁忌であるから処刑隊に気を付けろと記されている


「穢れ」

だが「穢れ」は、同時に医療教会の禁忌でもある

処刑隊に気を付けることだ


すなわち、ローゲリウスならびに処刑隊は、そもそも「医療教会」に属すのである


なぜならば、医療教会でないのならば、医療教会の血の救い穢すものに対して、怒りを覚える必要はないからである


またそもそも、処刑隊の活動時期を医療教会設立以前とすると、処刑隊の存在意義である「血の救いの保護」という使命そのものが存在しないことになる


また、アルフレートはこうも言う


私は師を解放したい。列聖の殉教者として

正しく師を祀りたいのです


列聖とは、「死後、ある信徒を教会の権限下聖人と宣言すること」をいう


アルフレートの目指す、師の列聖はまず「教会」の存在を前提としているのである


医療教会の前身ビルゲンワースである。それは教育機関の一種であり、宗教組織としての形態をとるのは医療教会になってからのことである


つまり、ここでもまたアルフレートやローゲリウスは医療教会の設立後でなければ存在しない制度を目的としているのである


また決定的な証拠として、「ローゲリウスの車輪」の保管庫におけるカテゴリーは「教会の武器」である


もし仮に教会設立以前に処刑隊が活動していたのだとしたら、「その他」や「工房の武器」にカテゴライズされていたはずである


これらの根拠により、処刑隊は医療教会設立後に活動していたと結論づけられる


処刑隊が活動していたのは、医療教会がまだ組織として未熟であり、狩人制装束すら固まっていなかった頃と考えられる


また、ルドウイークが最初の狩人であるのだから、処刑隊は狩人ではない


処刑隊の使命血族を浄化することであり、狩人のように獣を狩ることではない。よって彼らは狩人ではなく「処刑隊」と呼ばれているのである


彼らは医療教会初期教会の敵を浄化するために活動していたのである


その後、彼らの装束は教会内で受け継がれ、今ある形になったのである



賢愚

金のアルデオ

殉教者ローゲリウスは言った

善悪と賢愚は、何の関係もありません

だから我々だけは、ただ善くあるべきなのです」


医療教会における処刑隊の特殊性は、「善悪と賢愚は、何の関係もありません。だから我々だけは、ただ善くあるべきなのです」という言葉に集約されている


医療教会は聖血による拝領目的とする組織である


拝領とは精霊の祝福を受けて啓蒙、すなわち神秘の智慧獲得することである


だが、処刑隊は智慧の獲得(それは賢くなることである)は重視せず、ただ善くあるべき、と断言する


処刑隊は神秘の智慧を目的とせず、ただ善くあろうとしたのである。これは以後の医療教会の姿勢とは相容れないものである


しかしそれ故に「だから我々だけは」と断っているのである


恐らく処刑隊が活動していた時期においても、彼らの善指向特異なものであった。しかし彼らはそれで良いと自認していたのである


神秘の智慧を求めず、人の次元の智に留まろうとも、ただ善くあろうとした者たち、それがローゲリウスと彼が率いる処刑隊だったのである



輝く黄金の月

金のアルデオの「アルデオ」は、「輝き」と「熱望」を意味するラテン語である


その金色三角処刑隊の象徴とされ、黄金の意思を見せつけるものでもある


金のアルデオ

輝きと熱望の名を持つ金色三角のそれは、処刑隊の象徴であり

穢れに対する不退転の覚悟、黄金の意思を見せつけるものである


また処刑隊において車輪は「正しい運命」である


車輪の狩人証

殉教者ローゲリウスが率いた処刑隊

その専用工房が発行した証。車輪は正しい運命である


それは狂的な信仰神秘主義に彩られた秘密の場であり

処刑隊の正義を支える力となった


車輪は西洋の伝統では「運命」や「太陽」、「」を象徴するが、これらのうちで「輝き」を持つのは「太陽」と「」である


また太陽と月のうちで本作により関わりがあるのは「月」である


つまり、処刑隊の武器や装束シンボリズムによって解釈統合するのならば、彼らの象徴ならびにそのモットーは「輝く黄金の月への熱望」ということになる


そして処刑隊の熱望する「輝く黄金の月」はDLCエリアの空に浮かんでいる


ゴースから立ち上る黒い影を攻撃し「HUNTED NIGHTMARE」と表示された後、この黄金の月は消える


黄金の月の黄金の輝きは「金のアルデオ(輝き)」として表現され、また円形は「車輪」として取り入れられた




そして黄金の月から放たれる、すなわち人ならぬ声は「輝き」である


「輝き」

人ならぬ声の表音となるカレル文字の1つ

失文字の1つから選ばれ、「輝き」に意味を与えられたそれは

ローゲリウス率いる処刑隊の契約に用いられた


それは上位者の意思であり、処刑隊の見せつける黄金の意思である



漁村

処刑隊には漁村の惨劇の際に空に現れた黄金の月の記憶が受け継がれており、彼らはそれを旗印にしたのである(あるいは一部はその惨劇に参加したのかもしれない)


処刑隊漁村の惨劇から取り入れたものはそれだけではない


彼らの背に垂らされた聖布は、ゴースの遺子の羽根を模したものである




ゴースの遺子とゲールマン同一人物とする説がある。これはゴースの泣き声とゲールマンのうなされ声が同じであることを根拠としたものである






その最初の狩人ゲールマンが使う葬送の刃は、すべての工房武器のマスターピースである


葬送の刃

最初の狩人、ゲールマンが用いた「仕掛け武器」


すべての工房武器の原点となるマスターピースであり

その刃には、星に由来する希少な隕鉄が用いられている


医療教会の処刑隊を率いるローゲリウスの仕掛け武器もまた、葬送の刃の影響を受けている


ローゲリウスの振るうは、ゲールマンのそれを模したものであろう


すなわちローゲリウスゲールマンから武器(鎌)を、ゴースの遺子からは羽根(聖布)を引き継いだことになる


加えて上述したように車輪は空に浮かぶ黄金の月、カレル文字はそこから放たれる人ならぬ声を「輝き」として表音したものである


つまり、ローゲリウスや処刑隊は漁村の惨劇から根源的な影響を受けているのである



血族

これにより処刑隊がなぜそれほどまでに血族を恨むのか、その原因が薄らと見えてくる


金のアルデオ

輝きと熱望の名を持つ金色三角のそれは、処刑隊の象徴であり

穢れに対する不退転の覚悟、黄金の意思を見せつけるものである



漁村事件に関係している血族といえば、「マリア」である



マリアの狩装束

ゲールマンに師事した最初の狩人たち

その1人、女狩人マリアの狩装束

カインハーストの意匠が見てとれる


不死の女王、その傍系にあたる彼女

だがゲールマンを慕った。好奇の狂熱も知らぬままに



現在のゲールマンとゴースの遺子はともに強い苦しみのうちにある


ゲールマンは狩人の夢の中で悪夢にうなされ、ゴースの遺子は黄金のに向かって苦痛に満ちた泣き声をあげる


彼らは何らかの大きな失敗により、現在のような惨めな境遇にある


ゲールマンは悪夢に囚われたままであり、ゴースの遺子は正常に誕生することができなかったのである


この大きな失敗の原因は、マリアの血にある。少なくともローゲリウスや処刑隊はそう考えた


血の救いをもたらした聖体とは、青ざめた血をもつ上位者、つまり上位者の赤子である


ゴースの遺子上位者の赤子として「新たな聖血」をビルゲンワース(特にローレンス)にもたらすはずであった


当時はまだ医療教会の血の救い誕生していないが、聖体と聖血は存在しており、また他に血による進化は発見されていた


ウィレーム先生は正しい。情けない進化は人の堕落だ(教室棟のメモ)


「右回りの変態」

血の発見は、彼らに進化の夢をもたらした

病的な、あるいは倒錯を伴う変態は、その初歩として知られる


上位者ゴースとその赤子による新たな血の進化、それをローレンスたちは望んだのである


だが、それは果たせなかった


なぜならば、マリアの血がゴースと遺子の血を穢してしまったからである


青ざめた血とは、獣血と神秘とが絶妙なバランス統合された奇跡の血である。そこにマリアの強い獣血が侵入することで、奇跡的なバランスは崩され、青ざめた血は穢れるのである


医療教会の設立直後、聖体とそこから得られる聖血を守るために、処刑隊血族を浄化しなければならなかった


なぜならば、放置しておけばふたたび聖体と聖血を穢されるからである


医療教会におけるとは、何より中心教義である聖体と聖血維持していくことにある


ローゲリウス神秘の智慧を望まなかった。彼が望んだのは、ただ善くあること、つまるところ穢れた血から聖体と聖血を守り抜くことだったのである

1 件のコメント:

  1. 本作において『黄金』と『輝き』を持つものはかなり少ないと思うんですよね。輝く硬貨にエミーリアのペンダントとその血晶石や金のアルデオとかしかありません。そこからやや強引ですがエミーリアのペンダントを割ると手に入る黄金の血晶石は処刑隊から伝わったものと考察しました。黄金の血晶石は他の放射型の血晶石と違って角に丸みを帯びており、少しDLCの黄金の月のようにも見えます(ペンダントを割ったものだから当たり前のようにも思えるが)。そしてこのテキストには医療協会に代々伝わると書いてあります。処刑隊が医療協会に初めからあったわけではない場合代々というのもおかしいかもしれませんがまあ途中から始まった処刑隊が伝えたとしても『代々』で問題ないでしょう。しかし異質なのは黄金の血晶石は対獣用の血晶石ということなんですよね。処刑隊は血族を排除する機関であって別に獣を殺す機関ではないのでこれを作る必要性がないです。以上が黄金の血晶石、処刑隊の物説でした。

    返信削除