2021年1月17日日曜日

Bloodborne 憶説 ローレンス戦のBGMの歌詞 追記:解釈4

この憶説は「考察まとめ9 人形」にいただいた鳥顔氏のコメントに大きな示唆を受けて書かれたものである


これまで扱ってこなかったボス戦のBGMの歌詞を取り上げている。また翻訳そのものが第三者に依拠しており、私個人にはその真偽を判断する能力はない


よって歌詞の解釈に関しては憶説の域を出ない代物である



ローレンス戦のBGMの歌詞

Bloodborne設定考察Wiki有志による日本語訳が以下である


Sic filii scite tibi vi sacramentum

貴方は子供達に傷を負わせた

Erit premium sanguine sanctum

聖血による報復が行われるだろう

Erit premium sanguine sanctum absconditum

だがその聖血の報復すら隠蔽されるだろう

Vel venio humanitas tendo pendere

そのとき私は人類に返却する

SANGUINE SANCTUM

聖血とともに

Honesta rete sanguinem

血は潔白である

Expectare iste blasphemia

神への冒涜を止めよ

Es vitae ita dissimilum

けれど貴方の魂にそれは相応しくない

Terras vicerit tranem bestia

獣は穢れた土地を踏み越えるだろう

Honesta rete sanguinem

血は潔白である

Expectare iste blasphemia

神への冒涜を止めよ

Hac mysterium obsumus

神秘を忘却することは

Arguam vitae eret non absolvis

人生を持続させるが、絶対的ではない

Dido tus

忠告はした

Timere

恐怖せよ

Dido tus

忠告はした

Sanguine

血による

Timere venena scitis

猛毒の恐怖を!

Festiva praestabere

饗宴は約束された

Sanguine Sanctum

聖血によって

Ita venite iste vinum langueo

故に虚弱のワインを用意しよう

Oh, succus temero

それは猛毒の飲み物だった...



解釈1

ここからは歌詞をいくつかのグループに分けて解釈していくことする


貴方は子供達に傷を負わせた

聖血による報復が行われるだろう

だがその聖血の報復すら隠蔽されるだろう

そのとき私は人類に返却する

聖血とともに

血は潔白である

神への冒涜を止めよ


現実世界では人間の子供達を傷つけても聖血による報復が行なわれることはない(無慈悲だがそれが現実である)

しかもその後の段落で「神への冒涜を止めよ」と警告している


子供達を傷つけることが聖血による報復をもたらし、神への冒涜に値するのである


だとしたら、この子供達とは「神の子」である


作中において神とは上位者のことであり、すなわち傷つけられた子供達とは、上位者の赤子である


つまりこの歌い手は「」もしくは神の代弁者としてその意志を表明しているのである

そのために、まるで唐突に「人類」という大きな主語が持ち出されるのである


神の子らに危害を加えたことで、人類聖血によって報復される


これはそのまま、上位者の赤子を奪ったことで呪われ、ヤーナムに獣の病が蔓延したことと符合する(赤子とはゴースの赤子あるいはメルゴー)


そして獣の病の原因が「聖血」であることは、エミーリアの説教でも唱えられている


密かなる聖血

血の渇きだけが我らを満たし、また我らを鎮める。聖血を得よ


だが、人々は注意せよ

君たちは弱く、また幼い

冒涜の獣は蜜を囁き、深みから誘うだろう


しかし中盤に入り、血の潔白が表明される


けれど貴方の魂にそれは相応しくない

獣は穢れた土地を踏み越えるだろう

血は潔白である

神への冒涜を止めよ


人が獣化するのは血にすべての原因があるのではなく人の魂がそれに相応しくないからである(上位者は獣化しない)


獣の病は穢れた土地を踏み越えるほど広まるが、しかしそれでもやはり血に罪はない


人の魂は聖血に相応しくないのだから、神への冒涜、すなわち子供達に危害を加え、聖血を得ようとするのは止めよ、と歌っているのである


子供達とは特定の上位者の赤子を指すのではなく、古い上位者から見た若い上位者すべてのことを指しているのかもしれない(例えばエーブリエタースは星のである)


続けて忠告がなされる


神秘を忘却することは

人生を持続させるが、絶対的ではない

忠告はした

恐怖せよ

忠告はした


神秘を忘却することは、「血に依る」ことである。これは神秘派のウィレームと袂を分かち「血に依る医療」を目指したローレンスのことである


血に依る医療は生命力を増進させるが、しかし絶対的ではない。なぜならそれはやがて恐怖をもたらすからである


そしてもたらされる恐怖とは猛毒であると続けられる


血による

猛毒の恐怖を!

饗宴は約束された

聖血によって

故に虚弱のワインを用意しよう

それは猛毒の飲み物だった...


聖血に混じった猛毒により供宴が約束される

すなわち、聖血に含まれる獣性により赤い月の夜が到来するのである。獣性が「毒」として表現されるのは女王ヤーナムの血液や、千景に示されている


虚弱のワインとはローレンスが精製した「調整された血液」である。それは医療教会の前身組織で精製されていたものであり、獣性を濾過(除去)した血液である


」は血と同時に発見されている


「獣」

血の発見とは、すなわち望まれぬ獣の発見であったのだ


そしてまたローレンスの落とすカレル文字「獣の抱擁」によれば、彼は獣の病を制御しようとしていた


「獣の抱擁」

獣の病を制御する、そのために繰り返された実験の末

優しげな「抱擁」は見出された 

 

ここでいう実験は医療教会による実験ではない。その前身組織における実験である。というのもローレンスは医療教会設立以前に死亡しているからである

 

彼の頭蓋骨は医療教会自体の始まりとして機能しましたが、それはねじれた獣の形をとっています。 (宮崎氏のインタビュー)


血の医療を目指したローレンスにとっては、と同時に発見された「獣」を制御することが最優先である


そしてローレンスは「血」から「獣」を除去しようとしたのである。これは後の「血の聖女」(調整された血液をもつ)に繋がっていくものである


しかしそれは歌い手が忠告したように「猛毒」に変わりないのである


結果、虚弱のワインを飲んだローレンスは獣化してしまったのである


以上が歌詞の一解釈である


歌い手が「人類」へ向けて警告しているような内容であり、子供達を傷つけて神を冒涜するのは止めよ、と忠告していることなどから、この歌詞は上位者の意思を表明しているものと考えられる


※歌い手を上位者の意思の代弁者とすることも可能である



解釈2

さて、他の方の考察では、子供達とは実験棟の患者のことで、非道な実験に怒ったマリアがローレンスに毒(穢れた血)を飲ませたことを歌っている、とのことであった(翻訳自体が異なるものの今回はそこに立ち入らない)


しかしながら、宮崎氏のインタビューにおいてローレンスは医療教会設立以前に死亡していることが明らかにされている


彼の頭蓋骨は医療教会自体の始まりとして機能しましたが、それはねじれた獣の形をとっています。 (宮崎氏のインタビュー)


時系列的にローレンスは実験棟の実験には関わることができない


DLCには“初代教区長”ローレンスやその頭蓋が登場するものの、初代教区長であるローレンスの頭蓋は悪夢の中にしか存在しない


ローレンスの頭蓋

医療教会、初代教区長たるローレンスの頭蓋骨

だが現実には、彼は初めての聖職者の獣であり

人の頭蓋は悪夢の中にしか存在しない


彼が聖職者であったのは医療教会の前身組織(これも宗教組織であろう)の時であるとすると、インタビューとローレンスの頭蓋のテキストと整合性もとれる


ローレンスの頭蓋

それは、終に守れなかった過去の誓いであり

故にローレンスはこれを求めるだろう

追憶が、戻るはずもないのだけれど


この過去の誓いを警句「かねて血を恐れたまえ」と解釈するのならば、血を恐れず血に手を出したことにより警句は守られなかったのであり、むしろローレンスが自発的に血に手を出した、つまり自ら血を飲んだことになる


ちなみにローレンスの下半身が溶ける理由は、彼の両足に鉄釘が打たれているからである

這い上がる獣血を抑えようとしたのかもしれない

またゲーム的な事実として、ローレンスが自分の炎でダメージを受けることはない。もし炎がマリアの血由来であるとしたら、その炎によりダメージを受けるはずである


また実験棟の患者の多くは子どもたちとは呼べない年齢である(成長したのかもしれないが、成長を許されるほど生やさしい実験とは思えない)


加えてマリアの未使用セリフを読むかぎり、マリアは患者たちに一定の憐れみを抱いているものの、害されて怒りを覚えるほどに思い入れはないようである


見たのだろう?英雄の獣、そして教会の、憐れな患者たち

…そして、殺した

ああ、責めはしない。あれらは悪夢に囚われた、それもひとつの救いだったろう(時計塔のマリア未使用セリフ) 


こうしたマリアの冷徹さは実装された実験棟でも感じられる。患者の手を握り露台の鍵を渡すなど患者を気づかっているが、結局のところ彼女は実験を止めようとはしなかった


またこれは印象論でしかないが、「血の医療」にこだわったローレンスが「水の実験」を試みるだろうかという疑問が拭えない(血の聖女作成実験なら分かるが…)



解釈3

とはいえマリアがローレンスに血を飲ませた説は秀逸なアイデアである。そこで個人的にそれが可能であるタイミングを考えてみた


結論から述べれば、ローレンスがマリアの血を飲めたタイミングは漁村事件後~医療教会設立までの期間である


マリアはちょうどその頃に技術特化の「落葉」を捨てて、血の力に回帰しているからである(それ以前のマリアは血の力を厭っていたのでローレンスに飲ませたとは考えにくい)


マリアの怒りの原因としては、ゴースの赤子を強奪したことが挙げられる。マリアはゴースを見下ろせる高台に墓をつくって花を供えており、ゴース母子に同情的だったことがうかがえるからである


※ただし「子供達」と複数形なのが難点である


漁村の惨劇と赤子強奪(そしておそらく殺傷)を見たマリアは、怒りのあまりに血の力に回帰し、リーダーであったローレンスに毒(血)を盛った、とも考えられる


血の力に頼ったことを自らの「弱きが故」と考えたマリアは落葉を捨てて、時計塔に閉じこもったのかもしれない


その後、マリアの血によって獣化したローレンスはブラドーに狩られ、その頭蓋は医療教会の始まりとなったのである


しかし、かつてのリーダーに毒を盛ったマリアのことを古い医療教会の人間たちは知っていた


アリアンナの血

古い医療教会の人間であれば、あるいは気づくだろうか

それは、かつて教会の禁忌とされた血に近しいものだ


そしてこのなかにローゲリウスがいた。彼はかつての指導者に毒を盛った女とその穢れた血を許すことができず、処刑隊を結成して穢れた血を根絶やしにすることにしたのである


女王アンナリーゼが自分たち血族を「教会の仇」と自称するのは、その前進組織のリーダーマリアが殺したからである


貴公、我ら一族の呪いに列し、また異端として教会の仇となる

敢えてそれを望むのであれば

穢れた我が血を啜るがよい(女王アンナリーゼ)


以上がローレンスがマリアの血を飲んだというアイデアからの推論である



罪の火

この項では、マリアとローレンスがなぜ炎と関係するのかを考えたい


DLCでは狩人の所業に対して漁村民たちは呪詛で応える


我らに耳をすましたまえ

我らは呼び声、ゴースの死

赦したもう。そして奴らを呪いたもう(Baneful Chanters)


なぜ狩人が呪われたかというと、漁村で罪を犯したからである


…この村こそ秘密。罪の跡

…そして狩人の悪夢は、それを苗床とした…(シモン)


罪と火の結びつきは、骨炭の仮面に記されている


骨炭の仮面

上位者たちの眠りを守る番人たちは

その姿と魂を業火に焼かれ、灰として永き生を得たという


鋭く尖った大きな帽子は、古い番人のシンボルであり

彼らがある種の罪人であった証であると考えられている


つまり、罪人は火に焼かれ、そして火を操るのである(旧主の番人は炎を放つ)


そして炎を操る罪人のかたわらには、炎の獣が控えている

旧主の番犬である


炎の罪人と炎の獣

このセットはそのままマリアとローレンスとして繰り返されている


炎の番人と同じく、マリアは罪人である(狩人として罪を犯している)

そしてそのかたわら(というのは遠いが)には、炎の獣が控えているのである


要するにマリアが炎を操るのは「罪人」だからであり、その炎は彼女の肉体を内部から焼き尽くそうとしているのである


ゆえに彼女は苦しみを減らそうと「血を流していた」のである。それは一種の瀉血であり、ブラドーと同じく彼女が獣化するのを抑えていたのである


瀉血の槌

それはまた、悪い血を外に出す唯一の方法

地下牢に籠ったブラドーは、そう信じ続けていた


一方のローレンスは獣化し、しかし罪の火は消えず、彼を炎の獣に変化させたのである



解釈4

日本語訳がやや不正確なのではないか、というコメントをぽ氏にいただいたので英訳を元にして解釈したものである

※解釈といっても、ぽ氏による日本語訳を参考に、私なりに超訳したものと考えていただきたい(かなり好き勝手に利用している。すいません)

ぽ氏による正確な翻訳理解コメント欄参照のこと


底本にしたのはYoutubeのこちらの動画の英訳である

 

So, you imposed the sacrament upon the children

There will be a reward from the holy blood

There will be a reward the holy blood keeps secret

I try to repay humanity, with holy blood!


だから、あなたは子供たちに秘跡を課しました

聖なる血からの報酬があります

聖なる血が秘密にしている報酬があります

私は聖なる血で人間性に返済しようとします!


秘跡とは医療教会の拝領のことである


「拝領」

 血の医療とは、すなわち「拝領」の探求に他ならないのだ


信徒たちに拝領させた、つまり聖血を飲ませたことを意味する


There will be a reward from the holy blood

その聖なる血からは報酬がある

 

ローレンスが目指したのは、血による上位者への進化である


There will be a reward the holy blood keeps secret

聖なる血が秘密にしている報酬があります

 

これはその報酬を強調して言ったものか、あるいは聖血に潜む獣を皮肉めかして「報酬」と言ったものかもしれない


I try to repay humanity, with holy blood!

私は聖なる血で人間性に返済しようとします!


ぽ氏の意訳によると「私は人間性を聖血に捧げる」と言うことである


humanity人間性だが、宮崎氏のインタビューにも人間性という言葉が登場する


The urge to transform into a beast is in conflict with the basic sense of humanity we all have. That humanity serves as a kind of shackle, keeping the transformation in its place. 


獣に変身したいという衝動は、私たち全員が持っている人間性という基本的な感覚と相反するものです。その人間性は一種の手錠のようなもので、変身をその場に留める役割を果たしている。(インタビューより)


私は聖血に人間性を捧げるとは、自らの人間性を聖血がもたらす報酬に委ねる、というようなことか


With an honest net, blood,

正直なネットで、血


Honest net であるが、かなり無理に意訳すると「真実は血の中にある」と読めるかも知れない。血による進化を求めたローレンスの姿勢と重なる


Wait, is this blasphemy?

待て、これは冒涜なのか?

 

血の中に真実を求めることは冒涜の獣を呼び覚ますことである


Is it dissimilar from life in this way?

The beast overcame wild lands beyond

それはこのように生命とは異なるのですか?

獣は野蛮な土地を越えた


ぽ氏によれば、dissimilar to life 「それは野を駆ける獣の生き方と似ていないか?」になるという


This mystery is beset by

Maintaining life but was not absolved


聖血の謎(つまり人を進化させるが獣化もさせるという矛盾的な謎)は生きている限りつきまとうものである


Spread the word

Be afraid

言葉を広めよ

恐れよ


Spread the word

From the blood

言葉を広めよ

血からやって来る


Fear the poison

毒を恐れよ


警句「かねて血を恐れたまえ」をローレンスは今さらながら思い知ったのである


The feast is guaranteed, by the holy blood.

聖血による饗宴は保証されている

 

聖血を用いたことで獣の病の蔓延は確実に起きる


So let this languish wine (be)

だからこの弱めたワインを飲め

 

弱めたワインとは血の医療に用いられた「調整された血液」(血の聖女産)のことであろうか。獣の病の治療のために「調整された血液」を使ったのである


Oh, poisonous drink...

おお、毒酒…

 

しかし、血の医療に用いられた血液もまた「聖血の謎」からは逃れられないのである


以上が英訳を元にした解釈である

必ずコメント欄に投稿されたぽ氏の翻訳を読んで欲しい




蛇足

Fandomに記載されている英訳と迷ったのだがBloodborne設定考察Wikiのものを使用した

これは設定考察Wikiの訳の方が私が訳す(機械翻訳)よりも日本語として意味が通じるからである

比べてみると分かるが双方でかなりの相違がある

この相違は、ボス戦BGMの歌詞が公表されていないという事実から発生するものである

プレイヤーがBGM(OST)をリスニングし、それをラテン語に書き起こし、さらに英訳をするという、血の滲むような努力の過程で生じる、やむを得ないねじれであろう

参考までにDeepL翻訳したものを載せておく


だから、子供たちよ、もしあなたたちが神聖な儀式を献身的に守るならば、知っておいてください。

あなたは聖なる血で報われます

隠れた聖なる血で報われる

または人類は聖なる血に依存する傾向があるだろう

高貴な血の鎖

待つことは神への冒涜

だから私はこの生き方を広めました

スムーズに獣を克服

高貴な血の鎖

待つことは神への冒涜

謎に包まれた

いのちの水では完結しない

だから、子供たちよ、もしあなたたちが神聖な儀式を献身的に守るならば、知っておいてください。

あなたは聖なる血で報われます

隠れた聖なる血で報われる

または人類は聖なる血に依存する傾向があるだろう

高貴な血の鎖

待つことは神への冒涜

だから私はこの生き方を広めました

スムーズに獣を克服

高貴な血の鎖

待つことは神への冒涜

謎に包まれた

いのちの水では完結しない

識別された

恐怖心

血を見分けた

知る、その恐怖を

毒牙

盛大なお祭り騒ぎになる

聖なる血によって

だから来て

本酒(このワイン)

怖気づく

汚れた汁

知る、その恐怖を

毒牙

盛大なお祭り騒ぎになる

聖なる血によって

だから来て

本酒(このワイン)

怖気づく

汚れた汁

7 件のコメント:

  1. シードさんの記事今回も面白かったです。ラテン語翻訳を考察の材料にするかどうかは賛否両論ありますがただの批判コメントは無視して大丈夫だと思います。自分はラテン語考察があまり好きではないですがシードさんの記事は論理的に説明してくれるから好きです。それと知っているかもしれませんがヤハグルのbgmは false god hymn と調べると出てきます。考察の助けとなれば幸いです。

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    1. 貴重な情報ありがとうございます
      ラテン語は難しいですね。フロムが歌詞を公開してくれたらいいのですが…
      ヤハルグの false god hymn は完成版では Hail the Nightmare になったようですね
      これもわりと直球の歌詞なので機会があれば取り上げてみたいです

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  2. いつも深い考察をありがとうございます。私個人の意見としては、この日本語歌詞は意訳と誤訳を
    含んでいるように見えます。翻訳の質としては言語的に近い英語訳の方が良いのではないでしょうか。参考までに、youtubeで再生数の多い動画(https://www.youtube.com/watch?v=rQW2klU1cGI)で紹介されている訳が以下のようになっています。

    So, you imposed the sacrament upon the children
    There will be a reward from the holy blood
    There will be a reward the holy blood keeps secret
    I try to repay humanity, with holy blood!

    With an honest net, blood, wait, is this blasphemy?
    Is it dissimilar from life in this way?
    The beast overcame wild lands beyond
    With an honest net, blood, wait, is this blasphemy?
    This mystery is beset by maintaining life but was not absolved
    Spread the word: be afraid
    Spread the word: from the blood
    Fear the poison
    The feast is guaranteed by the holy blood
    So let this languish wine (be)
    Oh, poisonous drink...

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    1. ごめんなさい、ちょっと長くなります。
      以下は日本語訳と比較して私なりに気になった部分です。

      "you imposed the sacrament upon the children"(貴方は子供達に傷を負わせた、に相当)
      sacramentとはキリスト教の秘儀のことであり、ここではおそらく聖体拝領のことを示していると思われます。聖体拝領はもともとワインを浸したパンをキリストの体=聖体と見立てて食べる儀式ですが、ブラボ における聖体拝領はご存知の通り上位者の血を輸血することです。直訳すると子供たちに聖体拝領を課したとなりますが、
      これは人類(=神の子)に上位者の血を輸血したことを示しているのではないでしょうか。

      "There will be a reward from the holy blood"(聖血による報復が行われるだろう、に相当)
      rewardはラテン語のpremiumの訳であり、一般的には「褒美」「報酬」と訳されます。
      この文は単純に訳せば「聖血による報酬がある」=上位者の血による人類の進化があるだろう、と言っていると考えられます。

      "I try to repay humanity, with holy blood!"(そのとき私は人類に返却する、に相当)
      humanityに値する部分を人類としているのは明らかに誤訳です。これは「人間性」です。
      この文はもとのラテン語に文法の誤りがあるようで訳が難しいですが、無理やり意訳すると
      「私は人間性を聖血に捧げる」ということを言いたかったのかもしれません。

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    2. "With an honest net, blood, wait, is this blasphemy?"(血は潔白〜冒涜を止めよに相当)
      正直なnetってなんぞや?って感じですが、これが「正直なところ」くらいの意味だとすると
      「正直なところ血は冒涜ではないか?」となります。上位者の血による人類の進化に対して疑問を抱いています。

      "Is it dissimilar from life in this way?
      The beast overcame wild lands beyond"(けれど貴方の魂に〜踏み越えるだろうに相当)
      dissimilar from lifeというのがdissimilar to lifeと同じ意味なら、
      「それは野を駆ける獣の生き方と似ていないか?」となります。副作用である獣の病を心配しています。

      "This mystery is beset by maintaining life but was not absolved"(神秘を〜ではない)
      beset byは敵などに包囲されること、absolvedは免除を意味するため、
      「この謎(=獣の病?)は生きている限り続き、逃れられなかった」と考えられます。
      mistery=神秘と考えるのは文脈的に変ですし、少なくともabsolvedはabsolute=絶対的とは違います。

      それ以降の部分は大体どちらも変わらない気がします。長々と大変失礼しました。

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    3. 追記
      何度も本当にすいません。最後の「この謎(=獣の病?)」の部分は「上位者の血による進化は獣の病を伴う、これは本当に正しいのか?という謎」という解釈です。後から読んで気になったもので。

      削除
    4. 詳細な考察ありがとうございます

      なるほど、私の解釈1では歌い手が誰の心情を代弁しているのか
      かなり不明瞭でしたが、英語訳だと主としてローレンスに限定されるわけですね

      ローレンス戦のBGMですから、彼の行為や心情を歌っていると考えるのは
      合理的だと思われます(失敗作たちやマリアのBGMもそのような感じですし)

      聖血の効能(進化)をうたい信徒たちに拝領を受けさせたものの
      聖血は確かに進化を促すが、同時に冒涜の獣も潜んでいることに気づき
      そして結局は獣の病によって自分も獣化してしまった

      血によるかぎり獣の病からは逃れられない
      獣の病の蔓延(饗宴)はかならず訪れる

      血の医療(ワイン)によって恐怖(獣の病)を和らげようとした
      しかしその血も劇毒(獣血)だった

      というような感じになるでしょうか

      もしかするとAパートのpremiumは正当な「報酬」(進化)で
      Bパートのpremiumは皮肉な「報酬」(獣化)といったニュアンスもあるのかなと

      いただいたコメントを元に解釈4として英訳を解釈しなおしてみたいと思います

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