エルデンリング
ファルム・アズラの考察に移る前にエルデンリングの概要を述べたい
エルデンリングとは、大いなる意志が狭間に送ったエルデの獣が変化したものである
エルデの流星
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという
そのエルデンリングを根源として生じたのが黄金樹である
永遠の女王マリカを戴く狭間の地で
黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた(公式サイト「プロローグ」)
ここで重要なのは、エルデの獣=エルデンリングではあるものの、エルデンリング=黄金樹ではない、ということである
エルデの獣=エルデンリング
エルデンリング≠黄金樹
黄金樹はあくまでもエルデンリングを根源にもつ存在であって、エルデンリングそのものではないのである
黄金樹
ではエルデンリングにとって黄金樹とはどのような意味を持っているのか
一言でいえばエルデンリングの「生」の側面を具現化したものが黄金樹である
それは豊穣の生命であり、また生命の坩堝をもたらす生命の樹なのである
しかしエルデンリングには「死」の側面もある。このことはエルデンリングから運命の死を取り除いたことで黄金律がはじまったことから明らかであろう
死王子の修復ルーン
黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった
ならば新しい律は、死の回帰となるであろう
本来的にエルデンリングには生と死の両方が備わっていたのである
ファルム・アズラ
エルデンリングの生命の側面を具現化したものが黄金樹であるのだとしたら、死の側面を具現化したものが黒い月である
結論から述べれば、黄金樹が王都ローデイルに生えているように、黒い月はファルム・アズラに存在していた
※ラピュタの中心に巨大な飛行石があったように、ファルム・アズラの中心に黒い月があった
根拠としてはファルム・アズラに死の要素が強く描写されていることが挙げられる
ファルム・アズラの柱や壁にはおびただしい数の獣の死体が埋まっている |
その柱や壁には獣の死体が塗り込められ、大階段を駆け上がった先には運命の死を封じたマリケスが座している
またファルム・アズラ(Farum Azula)のFarumはラテン語で「灯台」(wikipedia)を意味し、Azulaはアラビア語やペルシア語のラピスラズリを語源とし、「青」を意味する
すなわちファルム・アズラとは「青い灯台」を意味する言葉となる
メリナの宵眼から分かるように「青」は運命の死の色である(それは夜の始まり=宵の色である)
そして宵眼の女王=夜人説で述べたように、宵眼の女王と黒い月とは密接な関係にある
神狩りの剣の柄に黒い月を模した宝石が埋まっている |
よって青い灯台の青を宵眼の色とするのならば、ファルム・アズラに君臨したのは宵眼の女王であり、またそこには黒い月があったと考えられる
ファルム・アズラ(青+死)=宵眼=宵眼の女王→黒い月
かつてのファルム・アズラには黒い月が祀られ、そこから青色の光が放たれおり、その様がファルム・アズラ(青い灯台)と表現されたのだと考えられる
具体的にそれは、冷たく青い炎を燃え立たせる黒い球体であったろう
冷たく青い炎を燃え立たせる黒い球体、ここから派生したのがノクス人の戴く黒い月であり、冷たい霊火であり、しろがね人や蒼銀、宵眼の女王の黒炎である
同じものを複数の視座から見ることにより、それぞれが得た(感覚した)ものが違うのである
冷たく青い炎を燃え立たせた黒い球体という文章は以下のように分解できる
冷+青+炎=霊炎(霊火)
冷+青=しろがね人、蒼銀
黒+球体=黒い月
黒+炎=神狩りの黒炎
ヘルフェンの尖塔
霊炎は魔力属性のダメージを与え
また、とても冷たい
霊火や霊炎は薄い青に黒の混じったような色の炎である。かつてファルム・アズラに燃えていた炎とはこのような色であったろう
霊火のトーチ |
※空に浮かんでいることからファルム・アズラは重力操作技術を有している。一般に液体は無重力下では球体の形をとる。黒い月は黒い液体金属が重力操作により球体の形をとったものと考えられる。また黒い月の崩壊後は固体化しメモリ・ストーンになったと思われる
霊火
霊火や霊炎は死の鳥に由来する炎と解釈しがちであるが、しかし死の鳥は霊炎の火守りであって、霊炎をもたらしたものではない
爆ぜる霊炎
まだ黄金樹無き頃、死は霊炎に焼かれた
死の鳥は、その火守りなのだ
また死の鳥の母である双鳥や、双鳥を使いとする外なる神も霊炎をもたらしたものではない
双鳥のカイトシールド
色鮮やかな双鳥が描かれた盾
それは、外なる神の使いであり
死の鳥たちの母でもあるという
なぜならば冷たい霊火は、人の骨を燃やすことで生じる霊を焼く火だからである
霊火のトーチ
探索の果て、火種を失くした兵団は
仲間の骨を燃やし、冷たい霊火を手に入れた
そして彼らは、永遠の地下の住人となった
ファルム・アズラの冷たく青い炎は霊を燃料として燃え上がる炎であり、そこにあるおびたしい数の獣の死体は、霊を燃焼した後の燃え滓である
霊炎が必要としていたのは、獣の肉体ではなくそこに宿った霊だったのである(よって必要のない遺体は建築材として再利用される)
獣の灯火
ファルム・アズラには奇妙な姿勢で拘束された獣の死骸がある
これの正体は「獣の灯火」である。獣の神殿に見られるように、このオブジェクトはかつては灯火と同じ使われ方をしていたのである
獣の神殿。灯火と同じ間隔で並ぶ獣の死骸 |
ただし、そこに灯っていた炎は赤い炎ではなく、青い霊炎である
双鳥
さて、死の鳥はファルム・アズラの火を守る火守りであった
黒い月の崩壊後、ファルム・アズラからは霊火は消失し、死の鳥たちは地上へと舞い降りている(死の鳥は落下した大きな遺跡付近に出現する)
その死の鳥の母とされるのが双鳥である
双鳥のカイトシールド
色鮮やかな双鳥が描かれた盾
それは、外なる神の使いであり
死の鳥たちの母でもあるという
この双鳥を表現したと思わしきレリーフがファルム・アズラにはある
ファルム・アズラに入った正面にある |
双鳥は外なる神の使いとされる。その外なる神とは、黒い月が従えたという無数の星のひとつであろう
ノクステラの月
それは、彼らが失くした黒い月を模している
ノクステラの月は、無数の星を従えていた
エルデの獣が黄金の流星と共にやって来たように、またアステールが星の異形といわれるように、狭間の地の外にある神々は、星として表現される(例外あり)
暗黒の落とし子の追憶
暗黒の落とし子、アステールの追憶
遥か彼方、光の無い暗黒で生まれた星の異形
だとしたらノクステラの黒い月が従えていたという無数の星もまた、外なる神々と考えることもできる
黒い月の時代
さて、黒い月が冷たく青い炎を燃え立たせていたのは、黄金樹の前の時代である
爆ぜる霊炎
まだ黄金樹無き頃、死は霊炎に焼かれた
死の鳥は、その火守りなのだ
その頃、王として世界を統べていたのが竜王プラキドサクスである
竜王の追憶
竜王プラキドサクスの追憶
時の狭間、嵐の中心に座す竜王は
黄金樹の前史、エルデの王であったという
だが神は去り、王は帰還を待ち続けていた
プラキドサクスはエルデの王であったという。しかしそれは、エルデンリングの死の側面を具現化した黒い月の時代のエルデの王である
言うなれば、エルデンリング(死)のエルデ王である
一方で最初のエルデの王といわれるゴッドフレイはエルデンリングの生の側面を具現化した黄金樹の時代のエルデの王である
こちらはエルデンリング(生)のエルデ王である
つまるところ最初のエルデの王とは、(黄金樹の時代)最初のエルデの王のことであると解釈できるのである
さて、プラキドサクスを王配としていたのは宵眼の女王である
ただしエルデの王を王配としたということは、宵眼の女王は神人ではなく神であったことになる
しかしながらテキストにおいて宵眼の女王は神人としか記されていない
黒炎の儀式
使徒たちを率いた、宵眼の女王
彼女は、指に選ばれた神人であったという
この点については、エルデの王を王配としているのだから彼女は神になったのだ、とすることもできるかもしれない
あるいは、宵眼の女王に初代と二代目がいて、プラキドサクスを王配としていたのは初代であり、マリケスが倒したのが二代目とすることも考えた
神(宵眼の女王)と神人(マリカ)の戦いではなく、神人同士の争いとすることで使徒を率いていた宵眼の女王(二代目)は神人でも良いことになる(ただややこしいので省略した)
やや話は逸れるが、幻視の器たる宵眼の女王が宿していたエルデの獣は、神狩りの剣が封じられているケイリッド神授塔地下にある彫刻に描かれている謎の獣かもしれない
背骨の曲がり具合から、指殺しの刃との関連も疑われる。また左右のイルカのような生物も気になるところ。尾びれのようなものは死んだゴッドウィンの尻尾にも見える |
嵐の王
過去の考察で嵐の王に関してリムグレイブの嵐鷹の古王としたことがある
嵐鷹の古王
ストームヴィルに本当の嵐があった頃
鷹たちの王として君臨した、一羽の遺灰
だが古王は誇り高く、誰の召喚にも応じない
しかしながら、嵐の王を嵐の中心に座す竜王と解釈するのであれば、プラキドサクスとすることもできる
古き王のタリスマン
時の狭間、嵐の中心に座すという
古き王を象ったタリスマン
「伝説のタリスマン」のひとつ
これは失地騎士がファルム・アズラに多いこと、そのうちの一人が嵐の王の双翼として知られていたこと、またその兜飾りが竜であることなどからも例証される
失地騎士、オレグ
かつて、嵐の王の双翼として知られた一方
失地騎士となったオレグは、祝福王に見出され
百の裏切り者を狩り、英雄として還樹を賜った
失地騎士の兜の兜飾り |
以下に引用した「嵐脚」の引用はネットワークテスト時のものであり、考察の根拠とならないものです。訂正します
また嵐と縁の深いストームヴィルは失地騎士の故国ではない
戦技「嵐脚」の引用
嵐の技を使う失地騎士の故国がストームヴィルでないとすると、他に嵐と竜に強く関連する国としてファルム・アズラが挙げられる
つまるところ、ゴッドフレイが一騎打ちをしたという嵐の王とはプラキドサクスのことになる
エルデ王の冠
巨人戦争、嵐の王との一騎打ち
そして、好敵手がいなくなった時
王の瞳は色褪せたという
褪せ人と同様に、巨人を倒した後にゴッドフレイはファルム・アズラへ侵攻したのであろう
一騎打ち後にプラキドサクスが生きているという矛盾については、プラキドサクスが時の狭間にいる、という根拠が挙げられる
古き王のタリスマン
時の狭間、嵐の中心に座すという
古き王を象ったタリスマン
また現在のファルム・アズラが古竜を祀る霊廟とも言われているのは、プラキドサクスがすでに滅びゆく存在であり、ゴッドフレイの好敵手ではなくなっているからなのかもしれない
アズラの獣人の遺灰
ゆっくりと、空に崩れゆく遺跡
ファルム・アズラの獣人たちの霊体
それは、古竜を祀る巨大な霊廟であり
選ばれた獣人の武器は雷を帯びている
プラキドサクスの滅び
それは、時の狭間に永遠に座した竜王の
滅びゆく断末魔であった
宵眼の女王
黄金樹の前史において、冷たい夜の律を掲げ世界を律していたのはファルム・アズラを王都とする宵眼の女王であった
だが巨人戦争に打ち勝ったゴッドフレイに攻め寄せられた結果、宵眼の女王は敗れて運命の死は封じられてしまう
宵眼の女王は神の座を追放され、冷たい夜の律を象徴する黒い月は崩壊することになる
※このとき宵眼の女王と共にファルム・アズラを追われた者たちの一部は、地上で星見になったのかもしれない(ラピュタの王族が地上に降りてムスカやシータの祖先となったように)
ただし冷たい夜の律そのものは、追放された宵眼の女王と共にあったと思われる
というのも、封じられたのは運命の死であって冷たい夜の律ではないからである
また神人の肉体を失ってなお冷たい夜の律を宿すラニのように、各人の律は人格(霊体)が消滅しない限りは保持される
冷たい夜の律を宿す老いた雪魔女はレナラにとって満月であり、またラニにとって暗月であった
また黒い月は崩壊してなお、その残影と残光を月光祭壇の上空に残していた。しかしそれは時代を経るにしたがい、満月から暗月へと徐々に光を失っていったのである
さて、黒い月の崩壊後ファルム・アズラから放たれていた青い光は失なわれ、残されたのは神を失なった王(プラキドサクス)だけとなる
一方で運命の死をその剣に封じたマリケスは、すべてのデミゴッドの恐れとなっていく
マリケスの兜
女王マリカの忠実な義弟にして
その剣の運命の死を宿したマリケスは
すべてのデミゴッドの、恐れであった
しかしやがてマリケスは裏切られ、死のルーンの一部を盗まれてしまう
黒き剣の追憶
陰謀の夜に、死の一部が盗まれた後
マリケスはこの剣を、自らの内に封じた
もう二度と、誰にも死を盗ませぬように
そして彼は自らの内に死のルーンを封じ、二度と盗まれぬように最も「運命の死」に相応しい場所、ファルム・アズラに籠ったのである
ファロス砦
グレイオールの竜塚にファロス砦と呼ばれる城砦がある
北に獣の神殿、海を越えた北東にファルム・アズラがある |
なぜこの城砦がケイリッドの端に建てられ、またなぜファロスという名前が付いているのか
ファロスとはギリシャ語で「灯台」を意味し、この単語はファルムの語源でもある
すなわち、ファロス砦はファルム・アズラの攻撃に備えるための砦だったのである
この砦は建築技術的にハイト砦と同時代のものと考えられることから、黄金樹の時代に建てられたものであると考えられる
つまり黄金樹の時代において、ファルム・アズラを警戒するために建てられたのがファロス砦なのである
そして黄金樹勢力がファルム・アズラを警戒していたのは、そこにマリカの敵である神、宵眼の女王がいたからであろう
三匹のオオカミ
マリケスと戦うステージには、三匹のオオカミに囲まれる少女の彫像が置かれている
この少女は誰か特定の神や神人を表わしているのではなく、すべての神人を象徴していると考えられる
すなわち、神人戦争において神人は影従によりルールの逸脱を監視され、また影従により倒される、という意味である
彼らの役目は神人戦争が必ず決着するように運行を司ることである
また同じ三匹のオオカミであることから、ラニに渡される「はぐれ狼の遺灰」との共通点もうかがわれる
ファルム・アズラは宵眼の女王の本拠地でもあるが、過去の考察において筆者は宵眼の女王を夜人であり、ラニの師となった老いた雪魔女であるとした
ラニが託されたという「はぐれ狼の遺灰」の起源を辿ると、三匹の狼に縁の深い宵眼の女王に辿り着くのかもしれない
さて、彫像の上部には特殊なエルデンリングの図柄が見えている
通常のエルデンリングとは天地がひっくり返ったような構図であり、また細かい根のようなものが上から伸びてきている
この細かい根はエルデの獣の尻尾と酷似していることから、全体としてこの図像はエルデンリングを描いたものであると考えられる
左がエルデの獣の尻尾 |
通常のエルデンリングの図像が生命の律を表わしているのだとしたら、ファルム・アズラの図像はエルデンリングのもうひとつの側面、すなわち死の律を描いたものであろう
深き根の底にゴッドウィンが葬られたことから、根は死と関係が深いという観念が見受けられる
根=死という連想があるのだとしたら、エルデの獣の尻尾(根)を描いたこのエルデンリングの図像は、エルデンリング(死)を表わしていると考えられるのである
蛇足
本考察では一つの大きな流れを重視したためファルム・アズラと黒い月を関連づけているがかなり苦しいことになっている
現時点(2022/05/26)においては、ファルム・アズラは霊火の勢力であり黒い月とは関係がないかもしれない、という考えの方に傾きつつある
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