PS5が故障した件ですが、カスタマーサポートに連絡したところ新品と交換してくれることになりました
いたずらに騒ぎになることは望まないのでツイートと記事を削除しました
なお配信については未定です
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いたずらに騒ぎになることは望まないのでツイートと記事を削除しました
なお配信については未定です
結論を先に言えば、ゴースの赤子は二人いる
老いた赤子と奪われた赤子である
憐れなる、老いた赤子に救いを…(漁村の司祭)
母は殺された。赤子は奪われた
ウロコは痛み、ゴースの嘆き(漁村民の呪詛)
※漁村民の呪詛とは漁村で聞こえてくる囁くような声である
老いた赤子については過去の考察でその正体をゲールマンとした(考察39 ゴースの遺子)
ゴースのへその部分から立ち上る黒い影もゲールマンである。正しくはゴースに囚われたゲールマンの遺志、と言い表されるようなものである
この黒い影を断ち切ることでゴースの遺子(ゲールマの遺志)は解放され、母ゴースの故郷である海へと還っていくのである
まとめると、ゴースの遺子は母であるゴースに束縛されたゲールマンの遺志である
またその本性はすでに人間界に属する者ではなく、上位者の領域「海」の属性に近いものであり、彼が受け入れられる場所は「海」しかないのである
※黒い影を斬ったあと、ゲールマンの寝息が安らぐのは、彼の意志の一部が母から解放されたことを意味する
奪われたと言われる赤子がゴースの本来の赤子(実子)である
母は殺された。赤子は奪われた
ウロコは痛み、ゴースの嘆き(漁村民の呪詛)
解析データにはヤーナムの石をゴースの赤子と認識する漁村の司祭のセリフが存在する(→Bloodborne 没データ「ヤーナムの石」)
つまり、彼ら漁村の住人にとってはゴースの赤子とは、ゴースの遺子(老いた赤子)ではなく、ヤーナムの石のような姿をした(つまり胎児の姿をした)赤子なのである
※この点から言えば、ゴースの赤子=ロマ説も矛盾することになる。しかしロマのモーションには幼児を思わせるものがあり、また嘆きの祭壇の甲虫に比べると幼虫的な姿をしている
補足であり主題とはやや離れる。また以下の説は必ずしも確定したものではない
母殺しと赤子強奪、という惨劇をマリアは「秘密」として必死に隠し通そうとしていた
一方、その「秘密」に直接関わったビルゲンワースの学長、ウィレームは湖に「秘密」を隠したという
月見台の鍵
晩年、学長ウィレームはこの場所を愛し、安楽椅子に揺れた
そして彼は、湖に秘密を隠したという
その湖にいたのがロマである
これらから推測されるのは奪われた赤子=ロマ説であるが、確定的な証拠は存在せず、あくまでも状況証拠を積み重ねた末におぼろげに浮かんでくる一つの解釈にすぎない
「深海」大量の水は、眠りを守る断絶であり、故に神秘の前触れである求める者よ、その先を目指したまえ
※心中お察し弦一郎まで時間がないのでやや下書き気味であるが公開する。追記・修正を加える予定である
眷属とは上位者に連なる、人ならぬ者たちのことをいう
眷属の死血
上位者に連なる、人ならぬ眷属たちの死血
そしてこれらの眷属が連なるという上位者とは(現時点で判明しているものに限れば)、「輝ける星」である
トロフィー「イズの大聖杯」
輝ける星の眷属たちの故郷 その封印たる「イズの大聖杯」を手にした証
※聖杯ダンジョン「イズの碑」にロマ、エーブリエタース、星界からの使者が登場することから、この三者は同じ「輝ける星の眷属」であると考えられる
さて、眷属たちの故郷と言われているのは「イズ」である
聖歌隊によれば「イズの地は宇宙に触れている」という
イズの汎聖杯
「聖歌隊」によれば、イズの地は宇宙に触れている
故に上位者たちは、かつて超越的思索を得たのだと
その宇宙にある(いる)のが上位者「輝ける星」である
「宇宙は空にある。聖歌隊」(工房の手記)
聖歌装束
見捨てられた上位者と共に空を見上げ、星からの徴を探す
それこそが、超越的思索に至る道筋なのだ
では一体、輝ける星の眷属になるというのは何を意味するのか?
端的に言ってしまえば、眷属とは「輝ける星」の精霊に寄生された苗床のことである
「苗床」
この契約にある者は、空仰ぐ星輪の幹となり
「苗床」として内に精霊を住まわせる
上位者であれ人であれ、輝ける星の精霊に寄生された者は「眷属」と呼ばれるのである
つまり「眷属の上位者」とは眷属でもあり上位者でもあるが、眷属であることと上位者であることは本質的には関係がないのである(苗床になれば虫とて眷属である)
※確かに眷属は上位者の精霊によって変異するものであるが、眷属になったからといってそれが上位者になる理由はならない
眷属は上位者に連なるが、といって眷属=上位者というわけではない
だからこそ上位者ではない眷属も存在するし、眷属ではない上位者も存在するのである
娼婦アリアンナとオドンの赤子が「星の子ら」であることから、オドンが「輝ける星」なのではないか、という解釈もできるがこれは正確ではない
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星の子ら |
※本編において、親子関係にある眷属は存在していない。眷属とは血によって受け継がれるものではなく、たんに精霊に寄生されたか否かによって決まるからである
忘れてならないのは、娼婦アリアンナが聖堂街の住人であることである
そしてまた彼女は血の嗜みの習慣のあったカインハーストの末裔でもある
さて、現代ヤーナムを特徴づけているのは、血の医療である
特殊な製法により調合された血による医療行為であり、現在その血の根源にいるのは大聖堂の最深部にいる「エーブリエタース」である(過去の聖血はメルゴーのもの)
つまり、現代ヤーナムには眷属の血が広まっているのである。とはいえ血の医療を受けた全員が苗床になるわけではない。精霊の祝福を望み、拝領を与えられなければ人は苗床になることはできないのである
聖血を得よ
祝福を望み、よく祈るのなら
拝領は与えられん(エミーリア説教)
夜空の瞳
精霊に祝福された軟らかな瞳
さて、聖堂街の住人でありカインハーストの末裔である娼婦アリアンナが血の医療を受けたり血を嗜んでいたことは想像に難くない
また彼女は狩人に対して自らの血を飲めとさえいう。これは彼女が血の嗜みに対して、それが自然な行為であると認識していることを示している
そんな彼女が血を飲んでいないとは考えにくい。わざわざ彼女をカインハーストの末裔としたのも、その特殊な血と血の嗜みという設定が必要だったからである
要するに、娼婦アリアンナは「眷属の血」を摂取していたことで、眷属の精霊に感染していたのである(Bloodborne「血液感染」というタイトルにも合う)
※精霊に感染することと「苗床」になることは=ではない
そしてそれは娼婦であるがゆえの業、すなわち彼女の妊娠していた胎児にも影響を与えたのである
アリアンナは赤い月の以前から妊娠していたのだ。その自覚があるからこそ、彼女は産まれた赤子を見て「ああ、私の赤ちゃん… 私の素敵な赤ちゃん…」(アリアンナ未使用セリフ)と呟くのである
妊娠の自覚がなかったのならば、突然産まれてきた赤子に対してこうは反応しない
そしてこれこそが、赤子が表示されないヨセフカとの差異の理由である。ヨセフカはもともと妊娠しておらず、赤い月の夜、直接的に姿なきオドンの赤子を妊娠したのである
ゆえにその赤子は表示されず(姿なき)、ただ3本目のへその緒をドロップするのである
ひるがえってアリアンナの場合、彼女の胎児は眷属の血によって汚染され、輝ける星の精霊に寄生されていたのである
いわば胎児の段階で「輝ける星の眷属」だったのである
そこに干渉したのがオドンである
オドン、すなわち神秘の上位者の影響を受けた胎児は「青ざめた血(瞳)」を得て、眷属の上位者として誕生したのである(アリアンナの血は赤、オドンは青)
ロマは上位者であり眷属である
ロマはゴースあるいはゴスムによって「瞳」を授けられ上位者となったとされる
過去の考察で瞳とは「青ざめた血」のことである、と述べたことがある
この青ざめた血としての瞳は、3本目のへその緒を3本使う、あるいは父と母から受け継がれるものである。ここで父は神秘の青を、母は血の赤を象徴する
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上位者の死血は青ざめた血であり、「瞳」である |
また、同じゴースから瞳を得て生まれてきたゴースの遺子は上位者ではあるが、眷属ではない。ゴースから受け継いだ精霊によりロマが眷属化していたのだとしたら、ゴースの遺子も眷属のはずである
よって、ロマは輝ける星の精霊に寄生されて眷属になったものの、それは彼女が上位者になったこととは関係がない(ロマの誕生については後述する)
一方のエーブリエタースも上位者であり眷属である
エーブリエタースは「星の娘」と呼ばれ、また見捨てられた上位者とも言われる
彼女がいるのは大聖堂の最深部にある嘆きの祭壇である
その祭壇にはロマに似た甲虫の殻(から)が祀られており、彼女は祭壇の前で甲虫に祈るようにひざまずいている
聖歌隊によれば、聖歌隊と彼女は共に空を見上げ、星からの徴を探しているという
聖歌装束
見捨てられた上位者と共に空を見上げ、星からの徴を探す
それこそが、超越的思索に至る道筋なのだ
なぜエーブリエタースが空を見上げているかというと、そこに彼女を見捨てた者がいる(いた)からである
ここで少し整理してみよう
空を見上げ、と言われているが、実際にエーブリエタースが見上げているのは嘆きの祭壇の甲虫である。であるのならば、それが聖歌隊のいう「空」ということになる
その空は宇宙のある空であり、その宇宙には「星」がある
星、つまり輝ける星である
これらを総合すると、「輝ける星」とは嘆きの祭壇に祀られている「ロマに似た甲虫」、あるいはその内部にいるであろう何らかの精神体である
つまるところ嘆きの祭壇の甲虫は上位者「輝ける星」である。上位者であるがゆえに抜け殻になってなお「時間を操る」能力すら有しているのである
生きているヒモ
しかし、それはやはり上位者であり、遺物を残す
※クトゥルフ神話におけるイスの偉大な種族との関わりは過去の考察参照のこと。イスの偉大な種族は時間の秘密を解き明かした唯一の種族と言われる精神生命体であり、甲虫に宿ることもある
ロマの姿は父親の姿を継承したものである。なぜならばロマこそ、ビルゲンワースによって奪われた、輝ける星とゴースの赤子だからである
ミコラーシュはゴースあるいはゴスムがロマに瞳を与えて上位者にした主旨の言葉を述べている。しかしこれは、人が瞳を与えられて上位者になったことを意味するのではない
上位者であるからには「瞳」を授けられたに違いない、というミコラーシュの固定観念から出た言葉である
つまり、ゴースから誕生したロマは上位者であった。ゆえにゴースあるいはゴスム(コスモス、宇宙、輝ける星)から「瞳」を授けられたに違いない、という仮定をもとに発せられたセリフなのである
※ビルゲンワースの関係者にロマという人物は存在しない。一方でゴースの赤子の行方は「奪われた」と言われる以外に一切触れられない
※加えて赤子が奪われたことを嘆く漁村民が呪っているのはビルゲンワースである
※また狩人の悪夢や漁村は「秘密」と表現される。一方でウィレームは晩年に「秘密」を湖に隠したというが、これはロマのことである
…なあ、あんた、時計塔のマリアを殺したまえ
その先にこそ、秘密が隠されている…(やつしシモン)
月見台の鍵
晩年、学長ウィレームはこの場所を愛し、安楽椅子に揺れた
そして彼は、湖に秘密を隠したという
一方の星の娘は、輝ける星とイズ人とのあいだに産まれた娘であり、その誕生過程は娼婦アリアンナと類似したものであろう
すなわち、海水を媒介に輝ける星の精霊に感染したイズ人がいて、彼女自身もしくは彼女が妊娠していた胎児がその影響を受けて「苗床化」したのである
そしてその苗床の胎児にオドンなり「輝ける星」なりが干渉して生まれたのがエーブリエタースである。ゆえに彼女は苗床の性質である軟体生物的形状をしているのである
まとめると、ロマは純粋な上位者であるゴースと輝ける星とのあいだにできた上位者の赤子である(それは出産前にビルゲンワースに奪われた)
※ゴースは元人間ではない。なぜならばゴースの寄生虫は人に宿るものではない、とされるからである。それが宿ったことで人ならぬ者に変異したという仮説は論理的に矛盾する
またエーブリエタースは苗床の胎児にオドン(あるいは「輝ける星」自身)が働きかけて上位者となったものである
ロマとエーブリエタースは姉妹であるが、生まれ方が異なるのである
※星の娘を、輝ける星の子を産む巫女(娘)と解釈することも考えたのだが、星の娘の英名は「Daughter of the Cosmos」である。これが「Maiden of the Cosmos」ならば血の聖女とも関連付けられたのだが…
ゴースの寄生虫が苗床の精霊(輝ける星の精霊)を刺激するのは、上位存在であるゴースと輝ける星の性的興奮を反映してのことである。簡単にいうと繁殖相手を見つけた興奮が先触れの次元でも発露しているのである
ロマや輝ける星との関係は既述したので、ここでは補足的な考察を述べる
イズの地は宇宙に触れているという
イズの汎聖杯
「聖歌隊」によれば、イズの地は宇宙に触れている
故に上位者たちは、かつて超越的思索を得たのだと
ここで言われる宇宙とは「輝ける星」のいる領域のことである
また、イズ聖杯やエーブリエタースの造形を鑑みるとイズの地は「海」と関係の深い土地である。加えて海のゴースと輝ける星とのあいだに上位者の赤子が生まれていることから、海と宇宙に棲む上位者は生物学的な近縁性がある
※ここでも母なる海と父なる天という神話的な象徴が使われている
イズは海辺もしくは海中にあり、輝ける星の精霊は海水(血と成分が似ている)を通じてイズ人に感染していったのである
精霊に寄生された生物は苗床となる
精霊の主が輝ける星であるのならば、その苗床は眷属となる
イズの時代、エーブリエタースは娼婦アリアンナの赤子と同じような過程をたどって誕生したと考えられる
すなわち、海水の影響で胎児が苗床化し、その胎児がオドン(あるいは「輝ける星」)の干渉により上位者化したのである
イズの時代にはまだ「輝ける星」は嘆きの祭壇に見られる甲虫の内に宿っていた
しかしいつの頃か、輝ける星は眷属たちを見捨てて空の彼方へと去ってしまったようである
残されたのはかつて「輝ける星」が宿っていた甲虫の殻のみである
見捨てられた上位者は空(から)となった殻(から)を見上げ、そこに父の徴が現われるのを嘆きながら待ち続けているのである
宇宙は空(から=殻)にある
※クトゥルフ神話におけるイスの偉大な種族は時間の秘密を解き明かした唯一の種族とされる。ゆえに女王の肉片の時間を巻き戻すことができたのかもしれない
※「宇宙は空にある」の英文は The sky and the cosmos are one.(空と宇宙は一体) であり、「空=殻」と解釈可能なのは日本語版のみである。物語の解釈に日本語版を参考にするという流れは reddit にも存在するが、それを是とするのか否とするのかは、解釈者次第である
空の彼方に去って行ったのが輝ける星ならば、空の彼方にある星界からやって来たのが星界からの使者(小大)である(宇宙は空にある)
上述したように「空」とは「空(から)となった輝ける星の殻(から)」である
星界からの使者は眷属であり、輝ける星の精霊に寄生された苗床である
その輝ける星の精霊がどこから来たかというと、「輝ける星の抜け殻」の内部からである
上位者である輝ける星は去ったが、その殻の内部にはいまだ先触れが残っていたのである
これは真珠ナメクジがエーブリエタースの痕跡として残されるのと同じ現象である
真珠ナメクジ
地下遺跡の各所に巣食う、奇妙な小生物たち
特にナメクジは、見捨てられた上位者の痕跡である
空となった殻から発見された精霊により眷属に変異したために、その苗床は「星界からの使者」と呼ばれるのである(宇宙、つまり星界は空(殻)にある)
エーブリエタースと共に空を見上げる(つまり嘆きの祭壇の空の殻を見上げる)聖歌隊にとって、輝ける星の抜け殻から採取される精霊は星の徴であり、超越的思索への道である
偽ヨセフカはこの精霊を用いてNPCの何人かを星界からの使者に変異させたのである
この精霊とは具体的には「彼方への呼びかけ」であろう。彼方への呼びかけはハダカカメガイの一種クリオネに酷似しており、クリオネとは言うまでもなく海の生物であるが、「彼方への呼びかけ」は同時に星の小爆発を伴うともされる
つまり、海と星界の双方の性質をもつのである。これは宇宙の上位者でありながら、海水を媒介に苗床を増殖させる輝ける星と共通する性質である
※この精霊が「輝ける星の精霊」そのものなのか、または宇宙に関連する他の精霊なのかは不明である
かつて医療教会が、彼方への呼びかけを媒介に高次元暗黒に接触し、遙か彼方の星界への交信を試みたのも、「彼方への呼びかけ」が星界にいる上位者の先触れであるからである
次に星界からの使者(大)が上位者化した原因であるが、これもやはりアリアンナの赤子と同じ経緯により誕生したものと考えられる
すなわち、妊娠中の胎児が輝ける星の精霊により寄生され苗床となった後に、オドンの影響により上位者化したのである
星界からの使者(大)の例では、母親は血の聖女である。血の聖女の血とオドンの神秘とが混ざり合い、それは「青ざめた血」を構成したのである。眷属となっていた胎児は両親の血と神秘とを受け継いだことで上位者となったのである
一方、上でも書いたが星界からの使者(小)はたんに星界の精霊に寄生されただけの「苗床」である
ブラッドボーンの世界には対立する2つの大きな領域がある
神秘の領域と獣性(血)の領域である
このうちヤーナムが存在するのは獣性(血)の領域である
また、この2つの中間領域として「青ざめた月」と呼ばれる領域が存在する
神秘と獣性という2つの領域に属する「青ざめた月」は両者を媒介する力を持ち、この月の接近により2つの領域は「重なり合う」
※現時点においては神秘が優勢であり、その重合は神秘による獣性への侵食という形をとる
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地上から見上げると青ざめた月の下部が見え、「赤い月」として認識される |
3本目のへその緒(捨てられた古工房)すべての上位者は赤子を失い、そして求めている故にこれは青ざめた月との邂逅をもたらしそれが狩人と、狩人の夢のはじまりとなったのだ
この構造は宮崎氏がインタビューで述べていた、ゴシックホラーをクトゥルフホラーが侵食していくイメージ、という設定を踏まえたものである
Bloodborneにはゴシックとクトゥルフスタイルの両方のホラーの側面があると思いますが、最初から描かれているのは前者であり、ゲームの視覚的な感触のガイドを提供します。それは、ゴシックホラーがより現実の世界に基づいているからです。もちろん、それはそれが本物であるという意味ではありません–それはグロテスクな恐ろしい恐怖の世界です。そしてここ、あなたはクトゥルフスタイルの恐怖によって徐々に侵食されているような世界を持っています。そういうイメージ。(インタビューより)
本作の悲劇ならびに惨劇のすべては、これら神秘と獣性の領域が衝突することによって発生している。そしてそれは世界レベルでの現象であると同時に、人間レベルの現象でもある
赤い月が近付くとき、人の境は曖昧となり
偉大なる上位者が現れる。そして我ら赤子を抱かん
(ビルゲンワースのメモ)
また、前回の3本目のへその緒の考察でも述べたように、2つの領域の混交は「精霊・虫」のレベルでも起きている
上位者の神秘とトゥメル人の血の混交によって生まれるのが上位者の赤子であるのならば、「精霊・虫」の混交によって生まれるのが「3本目のへその緒」である
このように、世界・人・精霊(虫)という3つのレベルにおいて、獣性領域に対する神秘領域の侵食が行なわれ、それぞれ青ざめた血の空(世界)・上位者の赤子(人)・3本目のへその緒(精霊・虫)として結実するのである
そして統合を果たした三者(世界・人・虫)は神秘と獣性との統合、すなわち青と赤の統合によって生み出される「青ざめた血」によって示唆もしくは直接的に表現される
世界レベルで神秘と獣性の統合が進むと、そこには「青ざめた血の空」が現れる(ヤハグルのように)
二つの世界の統合過程と「青ざめた血の空」の表出を図にしたものが以下である
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※「青ざめた月」とは3本目のへその緒のテキストに登場する語句 |
青ざめた月と神秘領域の重なる結節点から「青い神秘」が流出し、それは獣性の赤と混じって「青ざめた血の空」を展開する
この図の概念を単純化し、視覚記号化したものが以下である
そしてこれにカレル文字「月」を重ね合わせたのが以下である
「瞳」が現れ、そしてそれはカレル文字「月」と一致するのである
※瞳の出現は2つの領域を球あるいは円(楕円)として表現した場合に限られるが、上位者の死血では神秘と獣性は円形や球形として描かれている
※このあたりの図形遊びはおまけのようなものである
さて、上述したような世界構造にロマを含めると、以下のような図になる
ロマは赤い月の降下を防ぐ神秘の障壁を張っているのである
ゴースによって上位者となったロマは、同時に輝ける星の眷属であり、その本性は限りなく「神秘」に近い
ロマは神秘という“不可知の雲”によって赤い月を覆い隠し、赤い月が接近するのを防ぐ障壁となっているのである
やや話が逸れるが、墜ちてくる災厄を防ぐために障壁を張る少女(ロマは女性である)という役割は、FF7におけるエアリスと同じである
すなわち白痴の蜘蛛ロマとは、かの世界的RPGのヒロインに匹敵するような自己犠牲と友愛のキャラクターである
これによって私はこう主張したい。人間であったときのロマは美少女であったと。なぜならば、そちらの方がより悲劇性が高まるからである
3本目のへその緒とは比喩であり、生物学的にいう「へその緒」ではない
このアイテムの本義は別名の「瞳のひも」のほうである
3本目のへその緒
別名「瞳のひも」としても知られる偉大な遺物
上位者でも、赤子ばかりがこれを持ち
「へその緒」とはそれに由来している
すべての上位者は赤子を失い、そして求めている
故にこれは青ざめた月との邂逅をもたらし
それが狩人と、狩人の夢のはじまりとなったのだ
使用により啓蒙を得るが、同時に、内に瞳を得るともいう
だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった
そこでまず最初に「瞳のひも」のうち「瞳」について考察してみたい
脳の瞳に関しては前回考察したように各陣営で求めるもの、そして実際に得られたものが異なっている
このうち今回の話で重要なのは実験棟の瞳である。過去の考察で実験棟の希求した瞳とは、精霊の卵である述べた
精霊の卵は人の脳内で孵化すると啓蒙(=神秘)をもたらし、やがて宿主を苗床へと変異させてしまう
しかし実験棟のレベルでは上位者には至れず、上位者のなり損ない「失敗作たち」を生み出すのが関の山であった
しかし確かにそれは人を人ならぬものに変異させる「瞳」ではあったのである
次に「瞳のひも」の「ひも」について考察してみたい
ゲーム内において「ひも」という名を持つアイテムがもう1つある
生きているヒモ
メンシスが悪夢で得た巨大な脳みそは
確かに内に瞳を抱き、だが完全な出来損ないであった
その瞳は邪眼の類いであり、脳自体は腐りきっていた
しかし、それはやはり上位者であり、遺物を残す
特に生きたものは、真に貴重である
ひらがなの「ひも」とカタカナの「ヒモ」の違いはあれど、音としては同一であり、また瞳のひものひも部分と生きているヒモとは、その特徴的な渦巻き形状などよく似ている
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瞳のひもは左回り、生きているヒモは右回りの渦であることは示唆的である |
過去の考察(補遺:生きているヒモ)で、硬直的な形状、またその赤色から生きているヒモを「虫」の一種と結論づけた(メンシスの脳が出来損ないであったのは、この虫が寄生していたからである)
さて、獣性の考察において、人を獣に変異させるのは「虫」であるという考察を述べた
この虫は「獣の上位者(Great One Beast)」から呪いとしてもたらされ、呪いは虫となって人の血に棲み、人を獣化させるのである
獣は呪い、呪いは軛
そして君たちは、教会の剣とならん(流浪の狩人、ヤマムラ)
すなわち精霊は上位者の先触れとされるが、虫も上位者の先触れなのである
この二者は神秘と獣性を世界にもたらすものであるが、その背後(あるいは上方)には、彼らの上位存在がやはり対立構造を保持したまま位置しているのである
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右下の「獣血」は「血質」と読み替えても良い(ステータス基準) |
しかしながら、「すべての上位者は赤子を失って」おり、彼らが赤子を作れるのは女王ヤーナムのように特殊な血を持つ者を妊娠させた時だけである
トゥメル人は神秘の知恵(啓蒙)と獣血(獣性)をもつ種族である。つまり不完全ながらも統合させた「青ざめた血」をもつ者たちなのである
※不完全である理由は、彼らの体内で神秘の青と獣性の赤とが完全に融合されていないからである。神秘は知恵として、獣性は血として個々に存在している。とはいえ一個体の中に同時に神秘と獣性とが宿っているという状態は、青ざめた血の擬似的な再現である
青ざめた血の擬似的な再現とはいえ、それは「赤い月の接近」と同じ現象を引き起こす
すなわち、二つの世界の境が曖昧になり、両者が統合されることで上位者の赤子が誕生するのである
こうした現象により女王ヤーナムは、上位者の赤子を身ごもれるのである
そうして生まれるのが「上位者の赤子」であるが、上位者の青い神秘と赤い獣性が融合した彼らの血は完全な「青ざめた血」である
つまり悪夢の住人である上位者は、現実世界の住人の血を利用することで、現実世界にその器(肉体)を獲得することができるのである
※ここでいう夢と現実は一般的な、形而上学的世界と形而下的世界を言うのではなく、世界の二つ面のことである。すなわち夢も現実も確固として存在している。しかし人間には夢の面を見ることが難しいのである
つまり上位者の赤子とは、現実世界にも悪夢の世界にも存在することのできる、「青ざめた血」を持った上位者のことである
※故に古代トゥメル人は「特別な赤子」を抱くことが出来たのである
さて、ようやく本題に入る
青い神秘と赤い血が統合されることで誕生する「上位者の赤子」、その赤子とともにあるのが「瞳のひも」である
上位者の赤子とは要するに、上位者とトゥメル人との神秘的な交わりによって誕生した生物学的な子孫である
しかし、赤子に付随する「瞳のひも」とはなんであろうか
まず「瞳」とは、精霊の卵である
次に「ひも」とは、虫である
精霊は神秘を象徴し、虫は獣性を象徴するものである
上述したようにこの両者は、神秘の上位者と獣の上位者からもたらされるものである。すなわち、神秘と獣の上位者に属する生物である
上位者とトゥメル人の神秘的な交わりにより、その二者の生物学的な子孫が誕生する。だがそれだけではない。同時に彼らに属する精霊と虫とが交わることで、精霊と虫の生物学的な子孫も誕生するのである
もう一度言う、瞳とは精霊の卵である、ひもとは虫である
この両者の交わりにより誕生するのが「瞳のひも」である
瞳(精霊)+ひも(虫)=瞳のひも
そして精霊が人を苗床にしたように、また虫が人を獣にしたように、「瞳のひも」は人を上位者の赤子にするのである
なぜなら「瞳のひも」は上位者の赤子と同じように、完全に統合された「青ざめた血」をもつからである
※一般的に、人間のような複雑な生物よりも単純な生物のほうが形態や性質が変化しやすい
3本目のへその緒を使用すると青ざめた血のエフェクトが出るのはこのためである(左は狂人の智慧使用時)
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上位者の叡智にも血のエフェクトは出ない。血のエフェクトが追加されるのは3本目のへその緒のみである |
3本目のへその緒とはいわば青ざめた血の虫の卵、すなわち上位虫の卵である
※新規エリアに到達した際の啓蒙取得エフェクトにも微かに青ざめた血を確認できる。これは狩人の体内に青ざめた血の虫の卵があるからともいえる。狩人が最初に受けた血の医療、その源には青ざめた血の聖血があるからである
以上により、3本目のへその緒のテキストの意味が理解できる
3本目のへその緒
使用により啓蒙を得るが、同時に、内に瞳を得るともいう
だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった
使用、とは上位虫の卵を寄生させることである
寄生すると同時に卵は孵化し、狩人は啓蒙を得る
孵化した上位虫により、狩人に青ざめた血がもたらされる
青ざめた血とは上位者の血であり、「瞳」である
瞳の数が充分な数であれば(3本)、狩人は上位者の赤子に変異する
すなわち青ざめた血とは、狩人における「瞳」の比喩である
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「上位者の死血」。赤い血に青い神秘が混ざった「青ざめた血」は、「瞳」のように見える |
3本目のへその緒を3本使うことで狩人は上位者の赤子に変異する。なぜ3本かはゲーム内の設定から言えば、アデラインは脳液を3個使うことで苗床になったことから説明される
すなわちブラッドボーンの世界では、人間に寄生する精霊なり虫の卵は3個使うことではじめて人を完全変態させうる力をもつのである
※3個設定はゲーム的な都合と解釈することも可能であり、その都合の必要のなかったロマなどは瞳のひも1個で上位者になったのかもしれない
※また学長ウィレームの言葉「我ら血によって人となり、人を超え、人を失う」を、1本目により人となり、2本目により人を超え、3本目により人を失い上位者になると解することも可能かも知れない(狩人は夢の存在として人以前の存在と前提)
たんに上位者になるだけではなく上位者の「赤子」になる点については、獣性の側から説明可能である
女王アンナリーゼは血の穢れ(寄生虫の幼生)を啜る。血族の悲願、血の赤子を抱くためである
血の穢れ
故に彼らは狩人を狩り、女王アンナリーゼは
捧げられた「穢れ」を啜るだろう
血族の悲願、血の赤子をその手に抱くために
つまりブラッドボーンの世界では、虫は血の赤子に変異するのである
狩人が変異した上位者の赤子は、確かに血の赤子である。ただしその血は「青ざめた血」であり、いわば「青ざめた血の赤子」といえるものである
そして完全に統合された青ざめた血を持つものは「上位者」になる
よって狩人は上位者の赤子になったのである
「幼年期のはじまりEND」の狩人は、ただの上位者の赤子ではなく、「人の進化は、次の幼年期に入ったのだ」と言われる存在である
ここに言う人とは「血」をもつ生物学的な人のことである
人の血を捨て上位者になるのではなく、人の血を有したまま上位者になる。そのことが人が「血」を克服することであり、人の進化の次の段階をあらわすものなのである
またスタート地点にある「青ざめた血を求めよ。狩りを全うするために」の青ざめた血とは、月の魔物のことであると同時に、自らの内に青ざめた血を得ること、すなわち上位者の赤子になることをも意味している
それにより全うされる狩り、とは人類の血に潜む獣性を克服したことを意味し、逆に血に潜む獣性を克服できなければ狩りは全うされたとはいえないのである
ジョーゼフ・キャンベル的に言えば、英雄は未知の世界を旅し、数々の試練をくぐり抜けた後に、父(オドン)と一体化し、自ら神となって現世に帰還、世界に新しい力をもたらしたのである