2018年6月30日土曜日

Death Stranding 考察6 現時点でのまとめ

迷走しまくった考察をいったんまとめたいと思う

二つの世界

わかりやすく図にしてみた。


時間が反転しているカイラル地球の存在はCPT対称性により導かれる。しかしながら、地球と時間の反転したカイラル地球対掌性の関係にあり、ぴったり重ね合わせることができない 

二次元の図だと同じなので重ね合わせることができそうだが、実際は四次元(空間+時間)時空における重ね合わせであり、両者は自転や公転といった「時間」が逆転しているために、重ね合わせることが出来ない

※物理学における時間の反転とは、時間が遡るということではなく、運動の方向が反転するということである

BRIDGES

次にBRIDGESのマークだが、上記の図にあるワームホールの概念図が↓である

 この概念図を上からのぞくと↓のような光景が見えるはずだ(つたない図で申し訳ない)

この図にアメリカ合衆国の地図を重ねてみると↓のような図になる

 BRIDGESのマークに似てないだろうか?

時雨

最初に断っておくと、このアイデアはRedditに投稿された非常に優れた考察Death Stranding Theories - Black Holes, White Holes and More (sorry I'm new to this!)』から得たものである

わたしが詰まっていた箇所を鮮やかに解決してくれた動画で、二つの世界に関する理論以外にも示唆に富む考察が述べられている

地球の近くにブラックホールがあり、その影響を受けて地球の時間の進み方が遅くなってしまった状況が前提となる。一方カイラル地球の側にはブラックホールが存在せず、時間の進み方が相対的に地球よりも速い


終わり

Eurothug4000氏の優れた考察動画を見たおかげで、没になっていた考察をある程度復活させることができた

ボイド・アウト=ブラックホールの蒸発に伴う爆発説に関しては、当たっていそうな予感があるのだが、まだ煮詰まっていないので先送りにしようと思う。

一応カイラル地球は反物質でできているはずなので、物質と反物質の対消滅があり得る(対消滅エネルギーによってブラックホールが生成される)
一方、ワームホール内のエキゾチック物質が不安定になった結果、ブラックホール化して蒸発→爆発という理論もあり得る。

また「ノーマンの海」に関しても、二つの世界の中間にあるのか、それともカイラル地球にあるのか、あるいは地球にあるのか、まだ検討段階である

何か気づいたら追々記事にしていこうと思う

2018年6月27日水曜日

Death Stranding 蛇足 超弦理論

超弦理論を統合するとされるM理論によると、宇宙には次元が11あるという
そのうち人間が認識できるのが、空間三次元時間一次元四次元世界である

四次元より上位の次元、つまり五次元以降は人間には関与することができない。

仮に五次元の存在者がいたとすると、人間が三次元空間の物を自由に動かせるように、五次元の存在者は時間を物として扱えるという

彼ら五次元人ならば「触れると時間が進む液体」を生み出せるかもしれない
また、次元を超える力は「重力」のみである

DSの世界における重力異常は、もしかすると高次元存在の重力干渉なのかもしれない
ボイド・アウトの後に浮かぶ五人の黒い人は、五次元を示唆しているのかもしれない

また五次元の世界(四次元立方体)からは四次元世界、つまり我々の宇宙のあらゆる時間、あらゆる空間を観照することができる(その場合、重力によって我々の世界に干渉することができる)

五次元へ行き、五次元存在となった者(例えばノーマン)ならば、四次元の爆発に巻き込まれても完全には死なないかもしれない

またノーマンが死んだ後に行く「海」高次元世界であるのかもしれない

時間そのものをとして扱えるので、例えば老齢のノーマンが死んでも、それより少し若いノーマンを再び四次元世界に送り出せるかもしれない(徐々に若返ってゆくが)

DSのティザームービーで重力異常(PV3などの)を見た時に、以上のことが思い浮かんだのであるが、これまであえて触れることがなかった

なぜならこれ、SF映画「インターステラー」そのままだからである(少し違うけど)

なので、蛇足以上の意味はない

2018年6月26日火曜日

Death Stranding 考察5 磁性流体

レア・セドゥのスーツは「奴ら」に反応して無数の突起を生やす

奴らが出ている時は↓の画像のようにトゲトゲが出ているが、

奴らが消えると同時にトゲトゲも消える
 この突起は、おそらく磁性流体によるスパイク現象を表現したものだと思われる

スパイク現象とは、
永久磁石などの磁場を発生する物を至近距離に置くと、その磁力線の流れに沿って磁性流体から角が生えたような突起が形成される。これをスパイク現象といい、流線型に突起が形成される形状はとても美しく、この現象を利用し芸術作品が作られることがある。(磁性流体 wikipediaより)
そして磁性流体とは

磁性流体(じせいりゅうたい, Magnetorheological fluid, Magnetic Fluid, Ferrofluid)あるいはMR流体とは、流体でありながら、磁性を帯び、砂鉄のように磁石に吸い寄せられる性質を持つ機能性流体(smart fluid)の一つである。(磁性流体 wikipediaより)
である

また、透明の人影は反磁性におけるモーゼ効果(wikipedia)をあらわしたものだと思われる
磁力が水を遠ざけることで、透明な人型のように見える

そして黒い人影は逆モーゼ現象だと思われる
逆に磁力が水(時雨)を集めることで黒い人型が出来る

おそらくDS(Death Stranding)の根幹システムには「磁気力」が関係していると思われる

運搬機が宙に浮いているのも重力操作というより、磁気による浮上だと思われる。一種のリニアモーターカーである

黒い小石が宙に浮くのも、この小石が磁力による反発力により浮いていると考えられる。
現在、磁性流体は科学の側面からではなくアートの方面からも注目されており、様々な磁性流体アートがすでに発表されている(その一例

もしかすると上空に伸びる螺旋の紐も磁性流体なのかもしれない

だけが「奴ら」に踏まれ、写真には影響がない場面も、土にしみ込んだ時雨が何らかの磁性を持っていて、それに反発する磁性を「奴ら」が持っていると考えれば説明がいく

赤ちゃんポットであるが、コックをひねることで磁性を変化させ、磁性流体を透明に変化させているか、あるいは赤ちゃん自身が磁性流体生命体なのかもしれない


2018年6月25日月曜日

Death Stranding 没考察 爆発

一度にすべてを説明しようとして方向性を間違えた没考察
没なので読む価値はないが、全部徒労に終わるのもしゃくなので、戒めとして残しておく

BRIDGESマーク

Redditでちょくちょく見かける「BRIDGESマークに欠損がある」という指摘
拡大してみると確かに東海外のワシントンD.C.のあたりを中心としてクレーターが出来ているように見える

爆心地を中心としてクモの巣のような放射状の線が走っているようにみえる
この爆発がPV3にあった「これが 我々が目撃する 最後の爆発になる」であろうか
(ただしあくまでBRIDGESのマーク、つまりデザインされた図形であるため、象徴的な意味合いである可能性も十分にある)

爆発

これほどの爆発を引き起こすものとしてすぐに思い浮かぶのが核爆発物質と反物質の対消滅が引き起こす爆発、あるいはブラックホールの蒸発に伴う爆発である

ノーマンが歩く大地が放射線に汚染されているようには見えないこと、また黒い巨人に人間が喰われた時に起こる爆発から推測するに、どちらかといえば物質と反物質の大規模な対消滅が起こった可能性もあるが、今回はブラックホールの蒸発に伴う爆発を推してみたい(ブラックホールの生成法については後述する)

話の筋が少しそれるがPV4では「奴ら」に喰われると「ボイド・アウト」し、「一帯がクレーター」になるといわれている。

奴らに喰われることで発生したブラックホールはすぐに蒸発するものの、同時にその一帯が「ボイド・アウト」してしまう。ボイドとは「大規模宇宙構造においてなにも存在しないとされる空間を指す」(超空洞wikipedia

なぜグラウンド・ゼロ(爆心地)ではなく「ボイド・アウト」なのかというと、その空間がボイドのように何もない空間になってしまうからではないだろうか

さて、このブラックホールを発生させる「奴ら」「BT」とも呼ばれている
まずPV3においては「小型の奴ら」に捕まっても即座にボイド・アウトは引き起こされない。ボイド・アウトが起こるのは、巨人に喰われた直後である

次にPV4であるが、黒い小型の奴らに捕まり、地面の黒い水に引きずり込まれたところで映像が終わっているが、おそらくこの後にボイド・アウトがおこったと思われる

優先度でいえば巨人>地面の黒い水ということになるだろうか
BT=Blackhole Titansとか考えてみたがかっこ悪いし違うだろう
あるいはbrane(膜)か

ワシントンD.C.の爆発

次に、そもそもの発端となると思われるワシントンでのブラックホールの蒸発に伴う爆発がなぜ起きたのかを考えてみたいと思う

ブラックホールの生成というと、CERNによる粒子の加速衝突実験が思い浮かぶが、CERNの実験ではブラックホールが生成されたとしても極小のものにしかならず、大規模な爆発に至る可能性はない

また大規模な実験施設必要となるため、ワシントンのような都会で行われる可能性は低いと思われる

小規模な実験施設で可能で、かつブラックホールを生成してしまうような実験が理論物理学的には存在する

それがワームホール(詳細はwikipedia参照)である
ワームホールとは、
時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルのような抜け道である。(wikipediaワームホール)
ある種の「橋」のような役割をもっているワームホールであるが、このトンネル構造を保つためには、ある物質が必要となる

それがエキゾチック物質(wikipedia)である

負の質量Wikipedia)を持ち、重力に反発するような既知の物理法則を破るような風変わりな性質を持つという(架空の物質であるが)

もしこのエキゾチック物質がなければワームホールのトンネルはつぶれてしまい、ブラックホールに変化してしまうという。

ワシントンで行われたワームホール生成では、このエキゾチック物質の濃度が低すぎた可能性がある(必要というのは理論上分かっているので、無かったとは考えにくい)

こうしてCERNの実験ほどマイクロではなく、銀河の中心にあるような巨大なサイズでもない、非常に手ごろなサイズのブラックホールが生成されたと思われる

手ごろなサイズのブラックホールはすぐに蒸発し、その蒸発に伴い「最後には爆発的にエネルギーを放出して消滅」したと思われる。そうして起きたのがワシントンD.C.における破局的な爆発だったのだろう



ワームホールの行く先

さて、ワームホールをつくったというからには、トンネルを通ってどこかへ行こうとしたはずである
ワームホールの始点はわかっている。ワシントンD.C.
ここでBRIDGESのマークが意味を持ってくる
ワシントンのグラウンド・ゼロからクモの糸のようなものが全米に伸びている
その横軸と縦軸が交わった結節点が少し膨らんでいるのがわかる

この結節点こそ、ワームホールで結ぼうとした場所ではないだろうか
確かにマーク上の欠損した地点で爆発が起きたのかもしれない。しかし同時にこのマークは、全米を覆うワームホールのネットワークも示しているのではないだろうか(つまりワームホールによる輸送はすでに実現していた)

全米各地を結んでいたワームホールのネットワークだが、おそらくワシントンで事故(エキゾチック物質の濃度の低下)が起き、そうしてブラックホールが生成されてしまった。こうしたワームホールのブラックホール化により、ワームホールの終点にも影響が出たはずだ

具体的には各地のワームホールが小型ブラックホールに変化して爆発、周囲に被害をもたらし、さらにワームホールに満ちていたエキゾチック物質が世界に飛散してしまった
それは大気中に溶け込み、やがて地上へと落ちてくる
つまり、時雨である

時雨

PV内に見られた重力異常や、重力操作はこの「エキゾチック物質」が原因だと思われる
負の質量を持つ物質は、一つ以上のエネルギー条件を破りうる。そして、重力によって引き寄せられるのではなく反発するなどいくつか奇妙な性質を示す。(Wikipedia)

先ほどエキゾチック物質はワームホールのトンネルを保つのに必要だと書いた。そして濃度が低かったためにトンネルが保てずブラックホールに変化してしまったとも書いた。

では時雨が降り注ぎ、エキゾチック物質の水たまりができるほど濃度が高くなるとどうなるか?

ワームホールが形成され、別の場所と繋がってしまうのではないだろうか
ワームホールは水たまりの下に形成されていると思われる(地面の下から奴らが出てきて人間を引きずり込む=PV4におけるボイド・アウト)

さらに言えばワームホールがつながった場所とは、負の世界ではないだろうか
負の世界から負の住人がワームホールを通ってやって来る。ただし彼らは負の質量を持っているので、正の質量衝突して無化されてしまう
質量が正および負で、その他の性質が等しい物質どうしが衝突したとき、いかなるエネルギーも放出しない。つまり、正と負の質量の物体は互いの存在を"相殺"あるいは"無化"すると予想される。(負の質量wikipedia)
だが、エキゾチック物質が濃い場所時雨に濡れた場所負の時空へと変化しているために、干渉が可能である(同様に時雨に濡れた人間その他の物質にも干渉できるようになる。濃度が最大限まで高まると、重力に反発するというエキゾチック物質の性質から、重い物質すら浮き上がり始める=PV3の巨人に喰われる直前あたりの光景)

落としたばかりの時雨に濡れていない写真を奴らが踏んでもなんの影響もないが、その下の時雨がしみ込んだ土には足跡がつく理由は、負の質量と正の質量が衝突した際の無化と、負の質量が創造する特異な時空における物理干渉である

時雨が他の物質に触れると「時間を進める性質を失う」のは、部分的に無化されているからだと思われる

ただし時雨は負の世界の住人とはやや性質が異なると思われる。
時雨も負の世界からの住人も、ともに負の質量をもつが、時雨が無化されないのに対し、負の世界の住人は無化されてしまう。この違いは時雨が液体であることから発生すると思われる。現実世界で負の質量をもつ物質が実際に生成されたという話もあるが、その際の負の質量を持つ物質は流体である(物理学者が生成した「負の質量」をもつ物質の正体とは?

つまり時雨は負の質量をもちながら、条件次第では無化されずに世界に存在することのできる状態を保っている。さらに負の質量をもつ物質に触れると、その物質が無化されることを防ぐ性質も持つ(ただし正の物質に衝突すると無化される)

また負のエネルギーは時間をさかのぼることも可能とする
スティーヴン・ホーキングは、負のエネルギーは空間の有限領域内の重力場を操作することによって時間的閉曲線を創造するために不可欠な条件であることを証明した(負の質量wikipedia)

時間的閉曲線とは簡単にいうと、輪状になった時間のことである。未来が過去と繋がっているという奇妙なモデルだが、理論上はあり得るという。
(時間的閉曲線の詳細は「相対性理論における時間と宇宙の誕生・・・佐藤 勝彦」のタイムマシンの項)

さてこうして時雨によってワームホールが作られるが、その最も大きなトンネルがあるのは、巨人の口の中である

ただし時雨によって生成されるワームホールは人類が制御していたワームホールとは異なり、制御されていない一方通行的なワームホールである
その場合、負の質量をもつエキゾチック物質が満たされたトンネル内に、正の質量をもつ人間が入るとワームホールはつぶれてブラックホールに変化してしまう(そして爆発が起きる)

後に、ソーンの考えたワームホール解は不安定解であることが数値計算から報告されている。数値計算ではワームホールを正の質量をもつ粒子が通過した場合、ワームホールは加速度的に潰れてブラックホールに変化してしまうという結論が得られている。そのため通行可能なワームホールは自然なままでは一度きりしか使えない一方通行の道になってしまう。しかしもし通行のたびに旅行者が加えた擾乱の分だけワームホールに人工的な補正を加えて恒久的に維持し続けられるなら、相互通行に使用できるということも数値計算から導かれている。(ワームホールwikipedia)
制御されていないエキゾチック物質は黒い水としてあらわされ、制御されているエキゾチック物質は透明の水であらわされていると思われる

おそらく人類は制御されたエキゾチック物質に満たされた制御されたワームホール有している。そのワームホールはタイムマシンの機能もあり、ノーマンはワームホールを通って過去の世界へ赴く、未来からの帰還者であるのかもしれない


蛇足

負の世界という曖昧な用語を使ったが、正確にはCPT対称性から導かれる「反宇宙」の存在である可能性もある(詳細は蛇足2で)

負の質量をもつ粒子と正の質量をもつ粒子は、カイラル(対掌的)な螺旋軌道で動く(空に向かって伸びる黒いねじくれたヒモ)

カイラル濃度とは時雨の降りが激しいことではなく、時雨に触れた負の住人、つまるところ鏡像異性体(キラル分子Wikipedia量が増えることで濃度が高まるのではないだろうか

触れると時間が進むという現象に関する考察はまったく思いつかない(ワームホール内は時間の流れが異なり、その影響を受けて時雨が触れるとワームホール内の時間の流れに巻き込まれるか)

時雨に関する考察が不完全なので、この考察は根本的な部分で何か間違っていると思われる

蛇足2 CPT対称性

CPT対称性とは、例えば我々の宇宙に対し「粒子と反粒子を入れ替え(C)、鏡面反転(P)し、さらに時間反転(T)」といった変換を行ったとしても、その鏡像宇宙は我々の宇宙と寸分たがわぬ物理法則を有する宇宙である、とする理論である
CPT対称性によると、 我々の宇宙の"鏡像" —すべての物体の位置が虚数平面で反射され(パリティ反転に対応する)、すべて運動量が反転し(時間反転に対応する)、そしてすべての物質が反物質に置き換えられた(チャージ反転に対応する)鏡像宇宙— はわれわれの宇宙と全く同じ物理法則によって発展していくであろう、ということが示唆される。CPT変換はわれわれの宇宙をその"鏡像"へと変換し、その逆もまた行う。CPT対称性は物理法則の基本的な性質として認識されている。(wikipedia CPT対称性より)
ところが、物理学においてはこのうちのCP対称性が破れることが判明している
なぜならば、この対称性が破れなければ我々の宇宙そのものが存在しなかったからである
現在の宇宙では、物質が反物質よりもはるかに多い。 宇宙の歴史の中でこの非対称性を生成するためにはCP対称性の破れ必要条件(wikipedia CP対称性の破れ)

さらにT、つまり時間反転対称性までもが破れるという

ではそもそも時間反転対称性とは何か?
時間を反転させても宇宙の物理法則は変わらない」という対称性である
T対称性(ティーたいしょうせい、英語: T-symmetry)または時間反転対称性(じかんはんてんていしょうせい、英語: time reversal symmetry)とは T : t → −t となるような変換に関しての物理的対称性である。(wikipedia T対称性)
時間順行してようと反転してようと、物理学的に引き起こされる現象は同一であるということだ
地球上で観測される反粒子が、時間に逆行する粒子であると解釈できて矛盾がないならば、われわれの宇宙とまったく同じであるが、ただ三つの対称性(電荷、パリティ、時間)がわれわれの宇宙と反対向きになっている宇宙を、容易に考えることができる。何だかまだよくわからない意味で、もし電荷が左右対称であれば、反宇宙は単に空間および時間の向きが逆転した世界である(『自然界における左と右』マーティン・ガードナー)
より詳しくは「量子力学と時間反転(PDF)

この時間が反転した反宇宙は下記のようなものである
 相互に作用しあうことのできる宇宙が存在しないかぎり、「反対向き」の世界に住んでいる知的生命体は、自分たちは完全に正常な形で前に進んでいると思うのである。(『自然界における左と右』マーティン・ガードナー)
これまでの説明を要約すると、時間が反転した宇宙が存在する可能性は理論的にはありえる。さらにその宇宙の物理法則はわれわれの宇宙と同一であり、その宇宙は彼らの主観的には「正常」に時間が進んでいる宇宙である、となる

前回の考察において「砂時計」の比喩で表した二つの世界が、これら宇宙と反宇宙に対応すると思われる

1.反宇宙においてはパリティ変換によって世界が鏡に映したように反転している
その結果、虹が対称性をなすように「反転」することとなる(「反虹」)である
※「鏡は左右を反転するが上下は反転しない」という説は厳密には誤りである(長くなるのでここでは触れないが、パリティの変換により上下左右前後はきっちりと反転される)

2.また反宇宙を構成する粒子は反粒子である
その結果、宇宙の粒子と反宇宙の反粒子が接触すると対消滅を引き起こす

3.そして反宇宙時間の流れが反転している
ただし時間の流れというのはそもそも相対的なものである。宇宙から反宇宙を見た時、あるいはその逆の場合にのみ初めて時間が反転していることがわかる


蛇足3

最後に。ゲーム内のコミュニティは分断されているように思える。これはおそらくアメリカ社会の分断という社会情勢が反映されたものであろう

911以後のネオコンの台頭、キリスト教原理主義の暗躍、そして正義なき戦争へ突入していったアメリカ。さらに貧富格差の拡大や白人至上主義の復活を経て、その帰結としてのトランプ大統領の就任。もはやアメリカは南北戦争以来の分裂の危機に瀕している。

こうした分裂の綻びを取り繕い、アメリカをもう一度一つにする者として要請されたのがノーマンなのだろうとも思う。いわばアメリカ建国史をもう一度繰り返すようなストーリーであり、ノーマンは新しいアンクル・サムなのかもしれない

2018年6月16日土曜日

Death Stranding 考察4 世界を繋ぎとめること

本来であればある程度の筋道を決めてから書くべきなのだが、どう考えてもうまくまとまらないので場当たり的に考察することにした。よって結論めいたものは特に存在しない(あるのは思い付きと単なる想像である)

逆さ虹

空にかかる逆さ虹。これは現実にもみられる現象で「環天頂アーク」と呼ばれるものであるが、よく見ると通常の虹と「色の順序が逆」である

現実の虹は弧の外側が赤色であるが、画像の虹は弧の外側が紫である
この順序は環状になっても保たれる


また、環天頂アークは太陽の上に出るのが通常であり、画像のようにに出ることはない

PV2にもこの逆さ虹は登場している
実はこの「色の順序が逆」の虹も現実に存在する現象で、「副虹」wikipedia虹)と呼ばれるものである。ただし、この副虹は主虹と同時に出るのが通例のようで、画像のように副虹単体で出ることはないようだ

このことからPVに登場する逆さ虹は環天頂アークでも副虹でもなく、「色の順序と弧の向きが逆」の特殊な虹であると思われる

この虹が何を意味するのかは不明である
例え世界を逆さまにしても、現実の虹と色の順序が異なってしまうので、単純に世界が逆さまになっているとも思えない

ある種、現実の虹と対称性をなす「反虹」とでもいうべきものだろうか

世界


後ろにある運搬機がわずかに浮いている
このことから重力を操作するような技術が存在すると思われる。荷物の下にある白く光る装置がそうだろうか。ノーマンの背負う荷物の下部にも同じ光がある。おそらくノーマンが背負う荷物の重量を軽減しているのかもしれない

バイクが崖下に落ちる。乗って移動するようなビークルが存在するということだろう

ハシゴをかけて崖を渡ることが可能

人が住んでいると思われる建築物と、それを見てを取り出すノーマン。
この銃の詳細図が以下である

注目すべきは下の銃の弾倉の上の部分に張ってある注意書きである
人の図には×が付き、右のスライムのようなものに赤字で〇スラッシュが描かれている
人に使うなという注意なのか、それとも右のスライムに使えということなのか不明


画像だとよくわからないが、黒い石のようなものが空へ上昇していく重力異常が起こっている。ということは上空に巨大質量が存在するということか(ブラックホールのような)。あるいは世界の時間が遡っている現れだろうか。それとも何かに引き上げられているのだろうか

廃墟で「奴ら」に包囲されている場面
ノーマンが着用しているのは、BRIDGESのオレンジ色の防護服である
このことからPV4には、PORTERの防護服を着用している時間軸と、BRIDGESの防護服を着用している時間軸があることがわかる(紺色の防護服もBRIDGESと記されている)

黒い影(「奴ら」「BT」)に襲われる場面である。黒い影のへそから延びる紐の先端が空中で消えている。おそらくこの黒い影は「繋がり」を失っている

死体を運ぶノーマン。BRIDGESとしての任務だろう
伝説の配達人(PORTER)」として働いていたノーマンがやがてBRIDGESと出会い、その役目を担うこととなる、ということだろうか

FRAGILE(割れ物注意)と記されたスーツを着ているレア・セドゥ
彼女も運び屋だと思われる

また右奥に高層建築群のようなものが見える。ざっと調べてみたがアイスランドには高層建築群のようなものはないらしい(アイスランドで最も高層の建築物はスマラトルグ・タワーの77.6メートル)。おそらく地球が寒冷化した後のアメリカではないかと思われる


ノーマンが持っていた写真
左の女性は妊娠している(写真の下部、Beの下、下腹部に左手が添えられている)
また写真が撮られた場所はアメリカ、ホワイトハウスの大統領執務室である
何となく、単なる憶測だが中央のリンゼイ・ワグナーが大統領のように思われる
リンゼイがヒロインとのことなので、ノーマンがその夫左の女性は二人の娘だろう
となると娘の子供の父親が問題となるが、本命マッツ、対抗その他、大穴デル・トロ


ここも逆さ虹である
クジラや魚類が浜辺に打ちあがった場面…と言いたいところだが、これはもしかすると海が干上がった状況なのかもしれない
「海」とは、ノーマンが死んだ時に行く場所である。逆さのクジラが泳ぎ、海面上に謎の化け物がいる場所である

世界を繋ぎとめること

これまでの動画を見ていると、世界が二つあることが示唆されているように思われる
おそらく世界の構造は、上世界と下世界に分かれると思われる

下世界は時間が正常に進むのに対し、上世界は時間が逆に進む(遡る)
そしてこの二つの世界は密接に連関している

イメージとしては「砂時計」である
砂時計の砂の代わりとなるのが、「水」である
この水は上の世界では透明であるが、下の世界では黒い(タイムフォールを起こす)

さらに砂時計が時間を表すように、上の世界から水が減るに従い、上世界の時間は遡ってゆく。反対に黒い水が降り注ぐ下世界は時間が進んでいく

上世界の水が完全に下世界に落ち切ったとき、上世界では海が干上がりリンゼイが若返った姿となる

ゲームの舞台は「砂時計」が一度ひっくり返された状態にある。すなわち上世界はもともとあった世界、つまり時間が正常に進む世界であったが、何か重大な事件が起きた結果それがひっくり返り、時間が遡ってしまうようになった

時間がそれ以上未来に進まない。これが「未来が座礁した」ということと思われる

これまでは、現実世界に何かが侵入してきたのではないか、と思ってきたが、本当はなのではないか。つまり、ノーマンたちPORTERやBRIDGESのほうが下世界に侵入しているのではないか

その目的は、下の世界に落ちてしまった大地を繋ぎとめるためである
そのつなぎとめるためのこそが、ねじくれた黒い紐なのだ

完全につなぎとめることが出来れば、画像の黒い小石のように上の世界に引き上げられる
ただし、その前に下世界の住人に捕まってしまうと対消滅を起こしボイドアウトしてしまう。復元すべき世界がそれだけ失われてしまうのだ

充分に大地を繋ぎとめることに成功した場合、下世界との通路がふさがれ、上世界は再び時を刻み始める。だが、それが不充分だと通路がふさがれずすべての水を失い、世界は時間を消失してしまう(未来が座礁したまま)

リンゼイのいう「遅すぎた」というセリフは、上世界の水が失われてしまったことを意味するのである。それは同時に時間が失われたことも意味するのである

おそらくノーマンは、世界をつなぎとめるための装置を運んでいると思われる
展開するとフルトンのように上空へと延びてゆき上世界との連繋が復活するのだ

また、大地が下世界に落ちた時、同時に人間や兵器も落ちてしまっている。彼らは上世界との繋がりを失い、下世界の住人となってしまっている

彼らと接触しても対消滅を起こすことはないが、繋がりを求めるがゆえに、上世界との繋がりを保つ帰還者を襲うのである

「奴ら」を銃で殺してもいいが、彼らの分だけ復活する世界が損なわれる(よって得策ではない)

断片化した世界繋ぎとめようとするのがBRIDGESだと思われる
彼らはクモの糸のようなもので世界を繋ぎ、それによって元の世界に復帰させようとしている。BRIDGESのマークは、彼らのそんな働きを示すものかもしれない








2018年6月15日金曜日

Déraciné(デラシネ)

デラシネ(根無し草)という言葉、時の止まった(ような)世界、古典的少女漫画電撃オンラインのインタビュー)、寄宿舎ときたら『ポーの一族(wikipedia)』かなと

デラシネの方は完全に時の止まった世界のようですが

読んだことのある人なら知っているでしょうけど、吸血鬼の話です
吸血鬼と言えば血族ですし、血族と言えばカインハーストですし、女王ですし、マリアですし、人形ですし、ブラッドボーンですね


2018年6月1日金曜日

Death Stranding 考察3 「PORTER」と核の冬 ※2018/06/05 Sorrowsの綴りを訂正



クトゥルフ神話であるとか、エジプト神話であるとか、の写真から舞台がアイスランドではないかという推測が出ているDeath Strandingであるが、ここではウィリアム・ブレイクとの関係から考察してみようと思う

ウィリアム・ブレイクといえば、PV第一弾の冒頭にその詩が引用されていた詩人だ
PVで引用されていたのは「無垢の予兆」と呼ばれるブレイクの代表作ともいえる詩の最初の四行である

対訳 ブレイク詩集』の解説によると「ブレイクの神秘思想を説明するのによく用いられる最初の四行」だという

ブレイクの時代(18世紀~19世紀頃)といえばロマン主義の全盛期であり、詩人や作家が各々の神秘思想を体系化することがよく行われていた

ブレイクにも彼独特の神話体系があり、その神話は『ティリエル』『セルの書』『アルビヨンの娘たち』と題された幻想詩の三部作として構想されていたという

このうちの『セルの書』から、その第四章引用してみたいと思う


The eternal gates’terrific porter lifted the northern bar:
永遠の門の恐ろしい門番北の閂(かんぬき)を 持ち上げた。

Thel enter’d in & saw the secrets of the land unknown.
セルは中に入り、未知の国の秘密を 見た。

She saw the couches of the dead, & where the fibrous roots Of every heart on earth infixes deep its restless twists:
彼女は死人の床(とこ)を見、そこに地上の死者のあらゆる心臓の 繊維状の根が 絶えずよじれて地中深くに張っているのを 見た。

A land of sorrows & of tears where never smile was seen.
そこは決して微笑みの見られない悲しみの国
(『対訳 ブレイク詩集』松島正一編 岩波文庫から引用)


ここでporterは「永遠の門の恐ろしい門番」として登場する
さらに解説によるとネオ・プラトニズムにおいて、「porter」とは冥界を司る神プルートを指すという(ブレイクの「預言書』体系ではロスという名前らしい)

その門番が北の閂を持ち上げ、セルを未知の国へと誘う

イギリスの詩人であるブレイクにとって、イギリスの北にある未知の国はどこにあたるかというと、地理的に「アイスランド」しかない

その未知の国において、セルが見たのは「死人の床」と、「地上の死者のあらゆる心臓の 繊維状の根が 絶えずよじれて地中深くに張っている」光景である

捻じくれた黒いヒモのようなものが垂れ下がるPVを彷彿とさせる光景

なぜ地中に深く張っている根をセルが見られたかというと、そこが地下にある冥界だからである

その冥界は決して微笑みの見られない、悲しみ涙の国であるという
世界に顕現したマッツが微笑み、冥界に降りたノーマンがを流すのは、以上の理由からかもしれない。また涙(tears)の前に悲しみ(sorrows)があるのは意味深だ(ソローと言えばMSGをプレイした人ならわかるだろう)


ここで話は変わるが、プルートといえば、かのプルトニウムの語源の語源である(冥界の神プルート→冥王星→プルトニウム)
プルトニウムといえばご存知のように、核兵器の原料である

つまり「Porter」から「核兵器」は連想ゲーム的につながっているのだ

軍事に明るい人間が、あえてブレイクを引用し、さらにPorterという単語を用いたからには、当然この繋がりは想定されているはずである

おそらくPorterには2つの意味が込められている
冥界に属する者としてのPorterと、プルトニウムのPorterである

前者はノーマンの立場をあらわしていると考えられる

PV2においてデル・トロ監督は「BRIDGES」のバッチをつけており、それはPV第三弾のオレンジ色の防護服を着た男たちにも受け継がれている

だがノーマンだけは肩と太ももにPORTERと記された防護服を着用しているのである


このことから、ノーマンは冥界と繋がりがあり、かつ冥界の門を司るような立場にいると考えられる

では、冥界とは何か

核戦争が行われると「核の冬(wikipedia)」と呼ばれる現象が起きるという説がある

核爆発やその火災により舞い上がった灰や塵によって日光が遮られた結果、地球は「氷河期」のような環境になるという

いわば全世界極北の「アイスランド的」な環境になるのだ
この状況が冥界である

つまり、「アイスランドの苔」は舞台がアイスランドであることを示すというより、氷河期の地球がどのような環境になるのかをシミュレートしようとした際に、ロケーションの似ているアイスランドが採用されたと考えられるのだ


要約すると、Death Strandingの舞台はアポカリプス後核の冬が訪れた地球である(BRIDGES北米大陸マークから、おそらくアメリカではないだろうか)

極寒の環境において人類は衰退し、各々のコミュニティは分断されてしまっている(UNITED CITIES OF AMERICA)。その分断されたコミュニティを繋ごうとするのが「BRIDEGES(複数形の橋)」という組織なのかもしれない

また大規模な核戦争は膨大な量の放射線を発生させる
この放射線によって人間の遺伝子が変異破壊されることはFalloutシリーズでもおなじみである

PVに女性が一人も登場しないのは、正常な子供を産める個体が極めて希少だからなのかもしれない
人類という種の滅亡を防ぐために男性による出産技術が確立され、それがノーマンに施されたのかもしれない
さらに言えば、その実験的な繁殖法がノーマンを特殊な存在へと変異させたのかもしれない(この段落は単なる憶測であってE3までの暇つぶし以外の何物でもない

もしかすると昨日発表されたFallout76と舞台がかぶるかもしれない
だがおそらくDeath Strandingはより異質だろうと思われる

小島監督がアメリカの映画やドラマが大好きなことを考えると、
ゲーム・オブ・スローンズ(冬来たる Winter Is Coming)とウォーキング・デッド(コミュニティの分断)をかけ合わせ
さらにそこにKAIJU(怪獣)をぶち込み、ミストやイットといったクトゥルフ要素の有る映画という香辛料をふりかけて煮込んだような料理であるかもしれない

ゲーム自体はPVの印象よりも現実的なものであるだろう(映画版のミストに似てる気がする)