2021年8月9日月曜日

Dark Souls シリーズ考察17 イザリス1

はじめに

没データを含めてイザリスを語ろうとすると、製品版のそれとはまったく異なるストーリーになってしまう


よってイザリス1ではなるべく没データを利用せず(一部のみ)、実装されたアイテムテキストやNPCのセリフを主として考察した


イザリス2では没データを含めた考察をする予定だが、それが正しいストーリーだったと主張したいわけではない


またイザリスは都市名であると同時に魔女の名前でもある


そこで都市としてのイザリスは「廃都イザリス」、「廃都」と呼び、魔女としてのイザリスを「イザリスの魔女」や「イザリス」と呼ぶ


イザリスの魔女

イザリスの魔女ははじめの火から王のソウルを見出した四人の王のうちの一人であり、また混沌の娘たちの母である


そして、闇より生まれた幾匹かが

火に惹かれ、王のソウルを見出した


最初の死者、ニト

イザリスの魔女と、混沌の娘たち

太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち

そして、誰も知らぬ小人


私の母イザリスは、かつて最初の王の1人だった

最初の火のそばで、ソウルを見出し、その力で王になったんだ

(イザリスのクラーナ)


王になった彼女は炎の力で古竜に戦いを挑み、そして勝利している


それらは王の力を得、古竜に戦いを挑んだ

グウィンの雷が、岩のウロコを貫き

魔女の炎は嵐となり

死の瘴気がニトによって解き放たれた


そして、ウロコのない白竜、シースの裏切りにより

遂に古竜は敗れた


後の廃都イザリスが築かれた時期は不明であるが、女王としてイザリスを治めていた彼女は、王のソウルの力自分だけの炎を熾そうとして、混沌の炎の獣を生み出してしまう


…そして母は、その力で自分だけの炎を熾そうとして…それを制御できなかった


王のソウル(混沌の苗床)

魔女はソウルから「最初の火」を作ろうとし

歪んだ混沌の炎の獣を生み出した

すべてのデーモンの苗床となったその力は

王の器を占めるに足るものだ


混沌の炎はイザリスの魔女とその娘たちを故郷もろとも飲み込み、異形の生命の苗床にしてしまう


混沌の炎は、母も、妹たちも飲み込み

異形の生命の苗床にしてしまった(イザリスのクラーナ)


混沌の火の玉[DS3]

イザリスの魔女たちは、混沌の炎を生み

故郷もろともそれに飲み込まれたという


混沌の嵐

イザリスの魔女とその娘たちを飲み込んだ

混沌の炎の業

周囲に幾つもの混沌の炎の柱を吹き上げる


「最初の火」を作ろうとした魔女の野心は

異形の生命の苗床、混沌の炎を生み出した


この生命の苗床から生まれたのがデーモンである


混沌の炎

全てを飲み込んだ混沌の炎は、やがて苗床となり

異形の者たち、デーモンを生んだという



混沌の娘たち

イザリスと共に混沌の炎に飲み込まれた娘たちは、混沌の苗床と同化した者デーモンと化した者逃げ延びた者に分かれる


混沌の苗床の中央部分を母イザリスとし、左右を2人の娘とすると、デーモン化したクラーグと混沌の娘、逃げ延びたクラーナとグラナで合わせて6人となる


数字の1と7は次の画像の娘たちと対応している


オープニングでは魔女の娘たちは7人登場していることから、あと1人の行方が分からないことになる


イザリスの両側にいる杖を持った娘が、混沌の苗床の左右の核になった


個人的にはデーモンの炎司祭が最後の1人だと考えている


デーモンの炎司祭は最初のデーモンであり、呪術でない炎の魔術の最後の使い手とされる


デーモンの杖

デーモンの炎司祭は、最初のデーモンであり

イザリスの魔女が混沌に飲まれる前の

呪術でない、炎の魔術の最後の使い手だった


呪術でない炎の魔術の使い手とは、イザリスの魔女の娘たちがそうである


イザリスの杖

イザリスの魔女が混沌に飲まれる前

まだ娘たちが炎の魔女だった頃の杖


呪術はまだ生まれておらず

彼女たちの杖も魔術の触媒であったが

その炎の魔術は完全に失われてしまった


魔女の娘たちを触媒にを操る魔術の使い手だったのである


その最後の使い手であり、最初のデーモンがデーモンの炎司祭である


端的に言えばデーモンの炎司祭はクラーグや混沌の娘(火防女)よりも先にデーモン化したことになる


つまり炎の魔術最後の使い手であり、また生命の苗床が生まれた際にすぐ近くにいたことになる


当時そのような地位にあったのは、イザリスの魔女やその娘たちであったろう


※過去の考察で魔女の7人の娘たちをデーモンに当てはめていたが訂正する

※というのも、混沌の苗床の討伐をクラーナに依頼される際に母と妹たちを解放してやってくれ、と言われるからである


だから、お前に頼みたい

母と、妹たちを、混沌の炎から解放してやってくれ(イザリスのクラーナ)


これは混沌の苗床に母と何人かの妹たちが含まれていることを示している



祭壇の遺体

爛れ続ける者が眺めている遺体を魔女の娘たちの1人とすることも可能である



しかしこの祭壇の遺体が着用しているのはクラーナの装束である


黒金糸のフード

混沌の娘の一人

呪術の祖、イザリスのクラーナの衣装


この黒金糸のフードは

火の時代より前からの彼女の衣装であり

炎を防ぎ、また毒などにも強い耐性がある


魔女の娘たちは全員が同じ服を着ているので代表例としてクラーナの名を挙げたとすることも可能だが、テキスト執筆者の無謬性を信じるのであれば、これはやはりクラーナの衣装になる


遺体の持ち主をクラーナの衣装を着た魔女の娘たちの1人とすることも可能であり、その場合NPCとして登場するクラーナが着用しているのは、彼女の妹の衣装となる(服を交換した)


ただしそれでは服を交換する意図が不明である。例え何らかの意図があったとしても、まったく同じ衣装なので交換する意味はない


やや話が逸れたが、テキストを信じるのであれば遺体が着ているのはクラーナの衣装である


しかしながら、アイテムテキストには衣装を着ている遺体がクラーナであるとは一言も記されていない


つまるところ、祭壇上の遺体はクラーナの衣装を着た何者かの遺体ということになる



爛れ続ける者

遺体にクラーナの衣装を着せたのはクラーナ自身である


クラーナは不死と出会った時にこう述べる


人の身で私の姿を見る者は久しぶりだ。…才もある(イザリスのクラーナ)


ゲーム的にはクラーナが出現するのは呪術の火を+10まで鍛えた時である


つまり呪術の才の無い者にはクラーナは見えないのである


さて、爛れ続ける者は姉たちから贈られた指輪をすぐに落としてしまうほど愚かであり、またその攻撃には炎の呪術の要素は含まれていない(混沌の炎を纏っているので炎属性の攻撃はあるが、それは呪術ではない)


黒焦げた橙の指輪

生まれながら溶岩に苛まれる「爛れ」のために

姉である魔女たちが贈った特別な指輪だが

愚かな彼は、それをすぐに落としてしまい

恐ろしい百足のデーモンが生まれたのだ


彼には呪術を操る才はなく、よってクラーナを見ることはできないのである


インタビューにおいて宮崎英高氏は、爛れ続ける者のいる場所からはクラーグの姉妹のいる遺跡見えるようにしてある、と述べている


彼が眺めているのは祭壇上のクラーナの衣装を着た遺体とデーモン遺跡にいるクラーグ姉妹であり、病み村にいるクラーナは見えていないのである


つまりクラーナ呪術の素養のない者の眼に映らぬよう姿を消し遺体自分の衣装を着せて、爛れ続ける者を置いて逃げたのである


クラーナは母と妹を救ってくれと頼んでくるが、このできの悪い弟については一言も触れない


これはクラーナの衣装を残してきたことで弟をなだめることに成功しており、それ以上の救いは必要ないと思っているからであろう


※苗床に辿り着くためには、必ずしも爛れ続ける者を倒す必要はない(倒さずに進む方法を用意してあると宮崎英高氏は明言している。溶岩を渡るショトカのことであろう)


また宮崎英高氏は、爛れ続ける者は混沌の炎を纏っているがそれに適応できていない、とも述べている


呪術を炎を制御する術とするのならば、やはり彼は炎を制御できておらず、また制御できていないことすら知らない。すなわち呪術の才がないのである


薙ぎ払う炎

炎の制御を知り、また制御できぬを知る

呪術とはそういうものだ


宮崎英高氏は爛れ続ける者を最初のデーモンのイメージとも述べている。上述したように最初のデーモンはデーモンの炎司祭であるから、これはやや矛盾する


しかし次の段で、彼は最初期、まだ混沌の炎が不安定だった頃に生まれてきた、とも述べている


つまり爛れ続ける者は、厳密に最初というわけではなく最初期のデーモンということなのである


おそらくデーモンの炎司祭と爛れ続ける者はほぼ同時最初にデーモンになった者たちというカテゴライズなのであろう


すなわち、同じ時期に混沌の炎に飲み込まれたのにもかかわらず、デーモンの炎司祭混沌の炎を制御してまっとうなデーモンになったのに対し、爛れ続ける者適応できずあのような姿になったのである



混沌の炎

宮崎英高氏の言によれば、混沌の炎は最初は不安定であったが、やがて安定したことになる


安定した混沌の炎とはすなわち混沌の苗床のことである


その姿は一言でいえば「木の根の化け物」である


混沌の苗床が木の根の形態をとるのは、混沌の炎が炎と闇(人間性の闇)を融合することにより生まれたからである


混沌の武器人間性によって攻撃力が増す


混沌の炎の種火


混沌の武器は炎攻撃力を持ち

人間性によって強化されるデーモンの武器である


これは混沌の炎を燃え立たせるのが人間性(ならびにその闇)だからである


また混沌の炎の獣歪んでいるとされるが、生命の理に歪みを生み出すのは「」である


王のソウル(混沌の苗床)

魔女はソウルから「最初の火」を作ろうとし

歪んだ混沌の炎の獣を生み出した


闇の飛沫[DS2]

闇術は元は魔術・奇跡の一形態だったと言われる

しかし、生命の理に歪みを生み出すものとされ

今は多くの国で禁忌とされている



最初の火

墓王ニトが王のソウルに「死」を見出したように、イザリスは王のソウルに「炎」を見出し、その炎と人間性の闇融合させることで最初の火を作ろうとしたのである


最初の火を作るために必要な素材は、最初の火から見出されたものを逆算すれば推定できる


すなわち最初の火からは、王のソウルが見出されている。それぞれ死、炎、雷、そして闇である


ならば、最初の火を熾すためにはこれら4つの王のソウルを用意しなければならない


しかしそれは叶わぬ願いであろう。闇を恐れるグウィン闇と自らのソウルを融合させることを許すはずがない


また、「死」ほとんどの力を捧げている墓王ニトにしてもイザリスに協力する理由はない


しかし闇のソウルを受け継ぐ人であれば、グウィンが小人の王たちをそうしたように、容易に懐柔することができる


※宮崎英高氏は「ゲームの食卓」において、人類はダークソウルの断片のようなものと述べている


イザリスが用意できるのは自分のもつ炎と、そして人の闇だけだったのである


そうしてイザリスは炎と闇から最初の火を作り出そうとしたのだが、闇は生命を歪ませる性質があったが故に、歪んだ混沌の炎の獣が生まれてしまったのである


混沌の炎はやがて安定し、木の根の形態をとるようになり、しかしその旺盛な生命力によって廃都イザリスを木の根によって覆い尽くそうとしているのである



木の根

この廃都イザリスを蝕む木の根と類似した現象が亡者の左胸にも確認できる


人間性を失った亡者の左胸に広がる木の根状の模様は、失った人間性を奪いとるために伸びてきた人間性の闇の象徴である


木の根は他者の人間性を奪うものとして表現されているのである


これはダークソウルに限らずSEKIROにおいて顕著であった


桜竜はその名のとおり桜と竜の合成獣であるが、その力を与えられた竜胤や不死は、生命の危機に際し周囲の人々の生命力を奪う


同じ思想により、生命(人間性)を失った亡者の左胸には他者の生命を奪うべく闇が木の根の形を成して這い出してきているのである


木の根とは他者の生命を奪おうとする意志を形にしたものである


炎と人間性の闇が融合した混沌の炎もまたその安定した形態は木の根であり、生命を吸い取ろうと周囲の世界を蝕んでいくのである


廃都イザリスの遺跡群に木の根が蔓延っているのは、これが原因である



混沌の苗床の核

混沌の苗床の核昆虫と植物が融合したような姿をしている


また廃都イザリスには太陽虫が群れている


もまた人間性の形態のひとつである


火防女の魂(混沌の娘)

火防女の魂は人間性の憑代であり

それは彼女たちの体においても変わらない

あらゆる皮膚の下に無数の人間性が蠢き

その姿は、大抵おぞましいものとなる


彼女においてそれは、無数のたまごとして現われた

あのたまごはすべて、人間性の揺り篭なのだ


クラーグや混沌の娘が虫と融合したような姿であるのは、混沌の炎に飲み込まれたことで、彼女たちは人間性の闇と融合してしまい、その人間性部分が虫の形態をとったからである


木の根、どちらも人間性(ならびに闇)が変異したものである


両者の違いは人間性の闇の種類による


人間性のとは、人間の持つ負の感情(煩悩)である


DS2に登場する闇の落とし子たちは、滅びて砕けちったマヌスの破片が形を成したものである


渇望の鎌

かつて深淵にあった者

滅びと共に、無数の破片に分かれ散った

やがて形を成したそれは、より強い力を求め

強いソウルに惹かれ、這い出した


渇望の使徒デュナシャンドラ、憤怒の使徒エレナ、孤独の使徒ナドラ、恐怖の使徒アルシュナ、というふうに彼女たちは人の感情が形を成したものである


そしてその大本のマヌスは人間性の権化である


かつての深淵の主人間性の権化

あれらはその残滓…(ヴァンクラッド)


人間性には渇望や憤怒、孤独、恐怖といった負の感情が含まれており、その発現の仕方により様々な形態をとるのである


DS1で例を挙げるのならば、貪欲さに汚染された古竜の末裔は「貪食ドラゴン」となっている


同じように人間性の貪り食らう性質が表れたのが形態である


また上述したように、人間性の闇のうち、他者の生命を奪い取ろうとする性質が発露したものが木の根である



廃都イザリス

混沌の炎に飲まれた廃都イザリスは、混沌の炎の安定と共に不気味な小康状態に陥る


混沌の苗床の木の根が都市を蝕んでゆき、苗床から生まれたデーモンたちが廃都を闊歩しはじめ、同じく苗床から生まれた虫たちが群れるようになったのである


溢れ出たデーモンたちは病み村を登り、人や神々の世界へ侵攻している


黒騎士の盾

かつて混沌のデーモンと対峙した彼らの盾は

全身に黒ずみ、炎に対して高い防御効果がある


黒騎士の剣

ロードランをさまよう黒の騎士たちの大剣

混沌のデーモンと対峙するための武器


アノール・ロンドデーモンの戦争である


この戦争の結末は定かではないが、おそらくはアノール・ロンド側の勝利に終わったものと考えられる


混沌のデーモンの一部がアノール・ロンド側の支配を受け入れ、使役されているからである


デーモンの槍

混沌のデーモンでありながら

アノール・ロンドに住まう彼らの武器は

他のデーモンの武器と違い、雷の力を帯びている


また爛れ続ける者の流す溶岩により廃都イザリスは封印されたような形になり、アノール・ロンドと廃都イザリスは相互不可侵協定を結んで戦争は終結したのではないだろうか


協定を結んだのは恐らくクラーグである


Go back. Lest the flames devour all, and the children of chaos feed upon your charred ashes. Those who defy the pact… Those who trespass Quelaag's domain… May you feel the depth of our wrath!(クラーグ没会話データ)


戻れ。炎が全てを焼き尽くし、混沌の子らがお前達の焦げた灰を食べてしまわないように。協定に背いた者クラーグの領域に侵入した者... 我々の怒りの深さを感じるがよい。(邦訳)


クラーグはあの場所で神々や人の侵入を防ぎ、また内から出て行こうとするデーモンを押しとどめていたのではないだろうか


エンジーが言うには、彼女は廃都イザリスから逃げてきている。つまり完全にイザリス側の者ともいえず、しかしデーモンなので当事者ではある


デーモンと神々の仲介者としては適役であろう


そして彼女と彼女の姉妹(混沌の娘)は、滅びたイザリスに変わる国を作ろうとした。混沌の娘の卵から新たな子ら(娘たち)が生まれれば、魔女の国を再興することができる


しかし、邪悪な人間性の闇を御すことは彼女らの母イザリスにも不可能な業である。結果的に彼女らは永遠の苦痛に苛まれ続けるという状況にあったのであろう


このあたり没データを元にした考察なので製品版でその設定が残っているかは不明である



自分だけの火

自分だけの火を作ろうとすることは、罪であり不遜でもあるとクラーナは言う


…そして、罪を滅ぼすと言い、探求のふりをしている


母の野心が不遜なものであったとて


いったい何故それは罪とされ不遜とされるのであろうか?


そしてイザリスの求めた自分だけの火とは何なのか?


上で混沌の炎王のソウル(炎)と人間性(闇)を融合させることで生まれたものと述べた


このうち王のソウル(炎)はイザリスがすでに所有しているものである


ということは「最初の火」を作るためには、人間性(闇)を用意する必要がある


人のみしかない人間性(闇)を用意するのに最も簡単かつシンプルな方法人間を連れてくることである


人間性

人のみにある人間性とはなんなのか?


人間を連れてきたら次に行なうべきは、人間性王のソウル(炎)とを融合させることである


王のソウル(炎)はイザリスに宿っている(グウィンにそれが宿っていたように)


王のソウルを人間に分け与えるという方法では炎は受け継がれない


というのも、グウィンのソウルを受け継いだ四人の公王ならびに白竜シースには、雷の力はなかったからである


とすると、イザリスに宿るソウルそのものに人間性を混ぜなくてはならない



人喰い

人間性を取り込む方法としてシリーズに登場するのが人喰いである


例えば、エルドリッチ

聖職者だった奴は、反吐がでるような人喰いを繰り返し

溺れた豚のように膨れ、蕩けた汚泥となり、深みの聖堂に幽閉された

…そして、エルドリッチは薪の王となった。人品など関係ない、ただその力ゆえに(脱走者ホークウッド)


人間を喰らい人間性を溜め続けたエルドリッチが幽閉されたのは深みの聖堂である


そこは深みの宗教の本拠地である


深みの主教たちのソウル

エルドリッチが冷たい谷に去った後

聖堂に残った大主教ロイスは

彼の主教たちと、主の棺を守り続けた


そして深みと性質的に似通う


蝕み

深みに潜む蟲たちは、小さな顎に牙を持ち

瞬く間に皮膚を裂き、肉に潜り込む

それは激しい出血を伴うという


暗く、何も見えず、闇が私を噛むのです

ずっと、ずっと、虫たちが、私を噛み苛むのです(カリムのイリーナ)


つまるところ、人を喰らうことで人間性の闇を取り込めるのである。またこの方法はDS3DLCで奴隷騎士ゲールが行なったことと同じである


イザリスの魔女は人を喰らい、自分の内に宿る王のソウル(炎)とを反応させ「最初の火」を作り出そうとしたのである


ある意味でイザリスは、闇と王のソウル(炎)の子を妊娠したのである


そしてそれはイザリスだけの火であり、制御不能に陥ったものの、無事に生み出されることになる


混沌の苗床の虫と胎児を融合させた姿をしているのも、そのためである




生殖

もうひとつ王のソウル(炎)人間性の闇を融合させる方法がある。生殖である


やや下世話な話になるが、要するにイザリスの魔女は人間との生殖により、王のソウル(炎)と闇を宿す胎児を宿したのである


魔女と人間との愛情による繋がりは、DS3の騎士アルバと魔女ジャーリーの例がある


そしてそちらの方は深淵の忌み子と呼ばれるカルラが誕生した可能性がある


この場合、自分だけの火とは、自分だけの子という意味になる


魔女の娘たちも子ではないかと思われるかもしれないが、彼女たちはイザリスと同性、つまり女性である


種を存続するためには男性が必要である。自分だけの火とはすなわち種を存続させることのできるのことである


言うなれば、自分だけの火とは、自分だけの息子である


そしてイザリスのただ一人の息子は爛れ続ける者である


彼こそイザリスが本当に求めた自分(種族)だけの火(雄)だったのである


だが、炎と闇は爛れと同時に混沌の炎をも発生させ、それは同時にイザリスに身ごもられたのである。いわば混沌の炎と爛れ続ける者とは、双子である



ハイブリッド案

ただし宮崎英高氏は「ゲームの食卓」において、イザリスの娘であるクラーナは人とは別の種であり、人とイザリスの魔女の生殖に関しては議論の余地があるとしながらも、否定的な見解を示している

※また「彼女(クラーナ)は良いキャラクターなのは間違いない」とも述べている


よって、人喰い説生殖説をハイブリッドした説を提唱したい


イザリスの魔女という種族が置かれていたのは、新たな子孫が誕生しないという危機的状況である


彼女のたちの種族は全員が女性であり、有性生殖するための男性はいなかった。しかも人類は彼女たちとは種族が違うためにその役目を果たすこともできない


そこで彼女は種族の男性を作るために、最初の火を熾そうとしたのである。最初の火から見出されたのは王のソウル、すなわちすべての生命の源である


最初の火から魔女と対となる生命を誕生させ、種を滅亡の危機から救おうとしたのである


そして彼女は最初の火を熾そうと、王のソウル(炎)と闇とを人喰いという方法で融合させた


結果、彼女は種の未来たる男子を身ごもることに成功した。しかし同時に混沌の炎も生まれてしまい、そしてすべてを飲み込んでしまったのである


混沌の苗床の発生初期に飲み込まれたために、爛れ不安定な状態のデーモンとして誕生したのである


一方、誕生したのはほぼ同時(最初)なれど、混沌の炎が安定した時期に飲み込まれた娘たちはそれなりに安定したデーモンとして誕生したのである


爛れとデーモンの炎司祭は最初のデーモン(のイメージ)とされる


両者に差異があるのは、飲み込まれた時期に差異があるからであろう


より初期に飲み込まれたのは爛れであり、それゆえ彼は不安定な状態で生まれてきたのである


彼が最初期に飲み込まれたのは、イザリスの胎内炎と闇とが融合されるその瞬間に彼が身ごもられたからである


姉たちは弟に、すなわち種の未来を背負う者に指輪を贈る


彼こそが種の存亡を救う存在だからである。しかし彼は愚かすぎてそれを落としてしまう。また恐らく大きく育ちすぎた彼との生殖は不可能になった


残された姉たちは別の手段により種を存続させようとする。すなわち混沌の娘が人間性を孕み、そのから新たな魔女の種族を生み出そうとしたのである


しかし上述したようにそれは叶わなかったのである




さて、ではなぜ王のソウル(炎)と闇とを融合させることがとなるのか


罪人とは神々や誓約を蔑ろにした者たちである。よって罪とは神への不敬がそれに当たり、罪を定義罰を執行するのは罪の女神ベルカの役目である


罪人録

罪の女神ベルカの管理する記録帳

罪人とは、神々や誓約を蔑ろにした者たちであり

いつか暗月の刃に倒れる運命にある


因果応報

罪とは罰せられるべきものであれば

罪を定義し、罰を執行するのが

罪の神ベルカの役目であろう


要するに、とは第一に神々への不敬である


その神々のうち現在、主神的な位置にいるグウィンが恐れたのが闇であり、闇の王の出現である


王グウィンは、闇を恐れた

火の終わりを恐れ、闇の者たる人を恐れ

人の間から生まれるであろう、闇の王を恐れ

世界の理を恐れた(闇撫でのカアス)


王のソウル(炎)と人間性のを受け継ぐ者は、闇の王になり得る存在である


それは闇の王を恐れる神への不遜であり、またそれゆえに神の定義する罪になるのである



まとめ

残されているイザリスの伝承はほぼイザリスが最初の火を熾そうとした以後の記録である


最初の火を熾そうとして生まれた混沌の炎がすべてを変えてしまったのである


その混沌の炎は王のソウル(炎)と闇を融合させることによって生み出されたものである


イザリスが最初の火を熾そうとしたのは、種の存続のためである


女性のみしかいない種を存続させるためには、男性が必要であり、彼女は王を望んだのである


炎と闇は確かに彼女に男児を身ごもらせた。だが同時に彼女は混沌の炎も身ごもってしまったのである


混沌の炎は生物を飲み込むと、その内に宿るにより生物の形質を歪ませてデーモンとして再誕させる


爛れ続ける者は混沌の炎と同時に身ごもられたため、不安定な混沌の炎の影響を受けて、不安定な状態のデーモンとして誕生した


また混沌の炎が安定した後に飲み込まれた娘たちは、誕生は爛れと同一(最初期)でありながらも、それが安定していたために安定したデーモンとして誕生する


のうち貪り食らう性質虫の形態を取ることがあり、彼女たちが半分のようであるのも、闇に感染した部分虫化したからである


また闇のうち他者への執着木の根の形態をとり、周囲に伸びて世界を侵食していく


混沌の苗床が木の根の化け物になるのも、他者の生命を奪い取ろうとする意志がその形になったものだからである


また最初の火を作ることが「罪」になるのは、それが闇の王を生み出しかねないからである


とは神への不敬であり不遜である。故に闇の王を生み出すことは、闇を恐れる神にとっての最大の瀆神なのである

5 件のコメント:

  1. すこし気になる点に気づきました。ダークソウル世界において魔術の祖はシースとされています。では炎の魔術もシースからの伝授あるいは魔女たちがシースから基礎魔術の指導を受けたあと独自に炎の魔術を編み出したのか
    炎の魔術は謎が多い。なぜ発明されたのか、なぜ失伝したのか、情報が少ない。宮崎Pの手法から考えるともしかして炎の魔術の存在興亡には物語の根幹と深い関係があるかもしれませんね。

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    1. 炎の魔術も魔術なので恐らくシースが起源と思われます

      炎の武器
      魔術と呪術とは相容れないものとされている
      だがその根源となったものは
      ただひとつのものであったとも言われる

      同じようにウーラシールの魔術にも関わっている可能性があります

      炎の魔術が呪術になった契機についてですが
      炎が闇に汚染されたことで感情により論理が破綻したからだと思います

      強いソウルの太矢
      魔術とは論理的な学問体系であり
      その威力は術者の理力に依存する

      感情と論理は相容れないものであり、その論理が破綻したことで
      魔術は呪術になったのかもしれません

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  2. イザリス考察面白かったです。
    記事ではクラーナが死体に自らの黒金糸を着せた訳が不明だと仰られているので、自分なりに妄想してみました。
    死体がクラーナの黒金糸を身に付けている理由はクラーナが情を捨てられずイザリスとその妹達の形見分けに死体の妹の黒金糸を着て、自身の黒金糸を妹の死体に着せる事でイザリスの長女としての責務と挫折等を起因する心理的重圧から逃れる為です。

    装備を取り替えるあるいは、装備を持つ事はDSでは装備の持ち主の意思や使命を背負う事です。

    例:不死院で騎士からエスト瓶を受け取る事やホークウッドから竜頭石を取り返す等。
    そして、自らの装備を捨てる事はそれまでの使命や呪いを捨てる事です。
    例:竜の頂きに落ちている竜狩りの鎧やヨームの大盾等。

    ではクラーナの捨てられない情はDS内でも分かりやすいけれど、逃げ出した重圧とは何かを妄想します。
    それは混沌の炎もしくは呪術を探求する事により、イザリスと妹達の肉体及び炎魔法を回帰させる、取り戻す事です。
    DS本編にて、クラーナは上位の呪術を教えてくれます。これはクラーナが混沌の炎を研究した事で多くの呪術を見出だしたからでしょう。
    しかし、混沌の炎の変化が研究により不可逆である事、病に蝕まれた蜘蛛姫の側に居る事が居たたまれなず。
    台座に置かれた死体は妹であり、イザリスの跡地でデーモンと共に神の勢力と戦った際に死亡して、何時まで続くか分からない戦いに嫌気がさした。
    だから、いままでの全てをを投げ出した。
    けれど、捨てきれずにイザリスから遠く離れる事も妹達に寄り添う事も出来ずに宙ぶらりんの状態になったと妄想しました。

    炎の魔法の回帰にデーモン司祭は含まれていないと考えます。デーモンである事で炎の魔法が使えるなら、混沌の炎に飲まれた後に娘達はデーモンになっていても良いからです。デーモンは混沌の炎前に魔女と娘達に師事した人間が竜体化のように変態した姿と考えます。

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  3. 考察の中で、シードさんはグウィンやニトが魔女の計画に力を貸していないとされていますが、少し違い思います。

    それは、ドラゴンゾンビの下半身の存在です。

    ここから少し話がそれます。
    私は、イザリスの魔女が世界の成り立ちをOPに則して、はじまりの火の発生(無から有の発生あいるは差異の概念)という上位の事象、火の差異から生じた闇から生命が生まれた事(生命誕生)を下位の事象として捉えたという前提を妄想しました。

    この前提を元にして魔女の行動を説明するとイザリスの魔女は自分の力で上記の事象を再現出来るかを段階を踏んで研究した結果。

    デーモンの誕生。
    この際に、デーモンの素の違いによりデーモン司祭や爛れや雷の力を持つレッサーデーモンへ等が造られたと考えます。

    魔女の生命の創造とその生命の種類を産み分けが出来る事で、神のつがいを欲するグウィンは魔女に力を貸したと思います。

    それははじまりの火を作る材料の調達です。それはドラゴンゾンビになります。

    グウィンの騎士が狩った竜をニトが障気により腐ったドラゴンは生きた死体になった。
    生と死を内包したドラゴンゾンビを灰色の樹に、魔女の持つ炎の王のソウルと人間性の混ぜた物を熱と冷たさを内包した物として着火させる事によりはじまりの火を作り出そうとした。

    これがはじまりの火を作り出す計画だと妄想します。
    魔女の計画が成功した暁にはグウィンの王のソウルやニトの王のソウルを使ったのでしょう。

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  4. 混沌の呪術を鑑みるに、混沌の本質は熱による変質では?熱でもって素材を溶かし、時に混ぜ合わせ、新たなものとしてデーモンを生み出す錬成炉こそが混沌の苗床の本質であり、同じく混沌を関する呪術は熱によって周囲を溶かし、溶岩へと変質させることが特質と考えることができます。楔や百足のような無機物に生命を与えるのは深淵、つまりは人間性の性質かと思いますので、熱せられた深淵が混沌に近いのではないでしょうか。
    また、この場合、イザリスが見いだした本質は「熱」であるとも考えられます。というか、グウィンが雷(光)、ニトが死(エントロピーのような有限性?)という火の一側面を見いだしていることを踏まえると、炎の魔術の属性的に「炎」を理解できていなかったイザリスが見いだしたものが炎、つまりは火そのものとする論には疑問が残ります。
    魔術とはソウルの業であり、それをソウルによる現象の再現であると考えるた上で、衝撃や光はあっても相手を焼くことができない炎司祭の魔術を踏まえるなら、そこに無いものは炎の熱です。
    ならばオープニングとの対応も兼ねて「熱」とする方が自然でしょう。だからこそ彼女は火というプラズマの再現を試みる一方で、自らが見いだして炎の魔術を炎に近づけた「熱」を追求したがゆえに錬成炉のような苗床を生み、イザリスを溶岩に飲まれたDS1の姿にしてしまったのではないでしょうか。

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