Switch2が当たらないので
はじめに筆者の状況を記しておくと、ネットワークテスト不参加。発売前の情報もほとんど見ていない。Switch2が当たっていれば買わなかった程度の興味。もう一度いうと、Switch2が当たらないので
Switch2が当たらないので
はじめに筆者の状況を記しておくと、ネットワークテスト不参加。発売前の情報もほとんど見ていない。Switch2が当たっていれば買わなかった程度の興味。もう一度いうと、Switch2が当たらないので
狭間の地とメソポタミアは同じような語義をもつ
狭間の地とはその名のとおり“何かと何かの間にある土地”を表わす
メソポタミア(Mesopotamia)は古代ギリシア語で「mesos(中間)」と「potamos(川)」の合成語で、「二つの川の間の土地」という意味になる
狭間の地下には二つの大河が流れており、地下は黄金樹以前に栄えた文明の墓場であるという
地図断片:シーフラ河
狭間の地下には、二つの大河が流れている
シーフラとエインセル。そこは
黄金樹の以前に栄えた、文明の墓場でもある
狭間の地に影の地を重ねるとぴたりと重なるという説がある。これによると影の地は狭間の地の中央に位置する
狭間の地下にある二つの大河の間には何もないが、その地上部分にあたるのが影の地ということになる
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ちょうど雲のあるあたりがエインセル河とシーフラ河の間 |
つまりより厳密に言えば二つの大河の間にあるのは影の地であり、よりメソポタミア要素の濃い土地であると言えるかもしれない
狭間の地には黄金樹以前の文明を伝えるものとして、ウルの王朝遺跡(Uhl Place Ruins)やウルドの王朝遺跡(Uld Place Ruins)などがある
ウルは古代メソポタミアに勃興したシュメール文明(前2600年頃)の古代都市の名前である
都市には壮大なジッグラト(階段状聖塔)があり、そこは神々への階段、天と地を繋ぐ領域であった
またウルの王は「神の代理人としての王」であり、王は神との結婚(神聖婚儀礼)により即位したとされる
主神は月の神シンであり、多くの王墓が作られていたという。要するにウルは月を象徴とする夜の国であり、また墓の国つまり死者(霊)の国でもあった
これらの特徴はエルデンリングに登場する黄金樹以前の文明、例えばノクステラ文明やその直系と思われるレアルカリアなどと多くの部分で一致する
※神の代理人としての王という制度は、エルデンリングにおける神と王の関係性によく似ている
ノクス僧のフード
大古、大いなる意志の怒りに触れ
地下深くに滅ぼされた、ノクスの民は
偽りの夜空を戴き、永遠に待っている
王を。星の世紀、夜の王を
私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ
…私はそれを、この地から遠ざけたいのだ(魔女ラニ)
…お前が、私の王だったのだな(魔女ラニ)
爆ぜる霊炎
まだ黄金樹無き頃、死は霊炎に焼かれた
死の鳥は、その火守りなのだ
神々へと通じるジッグラトはエニル・イリムと類似した機能を持つ塔である。このジッグラトは後にバビロンに建てられた「エ・テメン・アン・キ」の原型であり、聖書に登場するバベルの塔に繋がるものである
要するにバベルの塔はジッグラトの一種である
バベルの塔の「バベル」はアッカド語で「バーブ・イリム(Bāb-ilim)」であり、「bābu(門)」と「Ilum(神)」の合成語である
よってバベルは「神の門」という意味になる
同様にエニル・イリム(Enir-Ilim)をアッカド語で解釈すると、エニル(不明)とIlim(神)の合成語となり、「神の○○」と読解することができる
次にEnirについてだが、シュメール神話の主神としてエンリル(Enlil)という神がおり、その名には「嵐の王」、「嵐の主」という意味がある
以上からエニル・イリム(Enir-Ilim)は「嵐の王の門」もしくは「嵐の神の門」、もっとシンプルに「神の門」と読むことができる
つまるところ、バベルもエニル・イリムも「神の門」という同じ名を持っていることになる
ゴッドフレイが一騎打ちしたという嵐の王とEnirの関係性は不明だが、エニル・イリムはマリカが神となった場所であるからには、その時すでにゴッドフレイが付き従っていたと考えられ、であればエニル・イリムにいた嵐の王と一騎打ちになったのかもしれない
エルデ王の鎧
最初のエルデの王、ゴッドフレイの胴鎧
黄金樹の始まりは、戦と共にあり
ゴッドフレイは戦場の王であった
巨人戦争、嵐の王との一騎打ち…
そして、好敵手がいなくなった時
王の瞳は色褪せたという
ただし叙述の順番から、巨人戦争後に嵐の王と戦ったようにも読める
しかしながら、塔の祭祀では嵐を模した舞いが舞われ、嵐とは天の使いの怒りの最たるものとされていることから、嵐を司る神性がいた可能性は高そうである
荒れ狂う神獣
塔の祭祀で行われる神獣の舞い
その荒れ狂う様を象ったお守り
嵐の威力を高める
神獣は天の使いとされる
その怒りは、空の乱れであり
嵐とは、その最たるものである
メソポタミア美術には「山羊とナツメヤシの木」という有名な美術品がある
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山羊とナツメヤシの木 |
このナツメヤシは象徴的には世界樹、すなわちエルデンリングでいうところの黄金樹である
山羊は獣との連想からエルデの獣と想定することができるだろうか
あるいはナツメヤシと山羊が女神と牧神との神聖婚儀礼を表わしていることから、マリカとゴッドフレイの関係性の祖型になったものかもしれない
※女神(ナツメヤシ)、牧神(山羊)
ここでは世界樹と獣との深い関連性が描かれており、それはそのままエルデンリングにおける黄金樹と獣(エルデの獣や獣たち)との関係性を示唆しているものかもしれない
モーグウィン王朝にも、類似する造型を刻んだ石碑がある
ノアの方舟で有名な洪水伝説であるが、その原型はシュメール神話にある
シュメール
シュメールの神話では、エンキ神がシュルッパクの王ジウスドラ(「命を見る者」という意味で、彼が神から不滅を約束されたことから)に、洪水による人類抹殺を予告する。しかし、神がなぜこれを決定したかという部分については、粘土板から失われている。エンキ神は、大きな船を作るように指示する。命令についての文章も、同じく神話から失われている。7日の氾濫の後、ジウスドラは供物と祈りをアン(空の神)とエンリル(最高神)にささげ、ディルムン(シュメールにおけるエデンの園)で神から永遠の命を授けられる。 (wikipedia)
バビロニア (ギルガメシュ叙事詩)
バビロニアのギルガメシュ叙事詩によれば、Sin-liqe-unninnによる He who saw the deep版(タブレット11)の終わりのほうに、大洪水の参照がある。不死を追い求めていたギルガメシュ王は、一種の地上の楽園・ディルムンで、ウトナピシュティム(英語版)(シュメール神話のジウスドラ zi.u4.sud4.ra2 をアッカド語に直訳した名前)に出会う。ウトナピシュティムは、大洪水によってすべての生命を破壊するという神の計画について、エア神(シュメール神話のエンキ神に類似)が彼に警告し、船を作って彼の家族や友人、財産や家畜を守るよう指示したことを語る。大洪水の後、神はみずからの行動を悔やみ、ウトナピシュティムに不死を与える(wikipedia)
アッカド (アトラハシス叙事詩)
バビロニアの『アトラハシス叙事詩』(紀元前1700年までに成立)では、人類の人口過剰が大洪水の原因であるとされている。1,200年間の繁栄の後、人口増加によって齎された騒音と喧騒のためにエンリル神の睡眠が妨げられるようになった。エンリル神は当面の解決策として、疫病、飢饉、塩害など人類の数を減らすための全ての手段を講じる神々の集会を援助して回った。これらの解決策が採られてから1,200年後、人口は元の状態に戻った。このため神々が洪水を引き起こすという最終的な解決策を取る事を決定した時、この解決策に道義的な問題を感じていたエンキ神は洪水計画のことをアトラハシスに伝え、彼は神託に基づく寸法通りに生き残るための船を建造した。
そして他の神がこのような手段に出るのを予防するため、エンキ神は結婚しない女性、不妊、流産、そして幼児死亡など社会現象の形で新しい解決策を作り出し、人口増加が制御不能になるのを防止した。 (wikipedia)
これらの神話の要素を箇条書きにすると以下のようになる
これを簡単に要約したものが以下となる
1.については地下深くに滅ぼされたというノクスの民の運命とほぼ同じである
ノクス僧の鎧
大古、大いなる意志の怒りに触れ
地下深くに滅ぼされた、ノクスの民は
偽りの夜空を戴き、永遠に待っている
王を。星の世紀、夜の王を
ただし永遠の都は大洪水ではなくアステールによって滅ぼされたことがテキストに記されている
暗黒の落とし子の追憶
黄金樹に刻まれた
暗黒の落とし子、アステールの追憶
遥か彼方、光の無い暗黒で生まれた星の異形
それはかつて、永遠の都を滅ぼし
彼らから空を奪った、悪意ある流星である
では大洪水は無かったのかというと、そうとも言えない。というのも大洪水の痕跡が各地に残っているからである
例えば狭間の地下に点在する石碑には、巨大な船団が描かれたものがある
この船は影の地にある石棺と酷似している
これらの石棺は青海岸に漂着しているが、洪水に巻き込まれて陸地に打ち上げられたようにも見受けられる
凝固した泥濘
石棺が流れ着く地の、地下で手に入る
泥濘とは、石棺に納められた
穢れた命のなれの果てであるという
なぜ青海岸の石棺はあれほど乱雑に漂着しているかというと、大洪水に巻き込まれたから、と解釈できるかもしれない
またマレニアの神授塔や獣の神殿から見える内海と外海を繋ぐ境は巨大な滝のようになっていて、まるで何か巨大な隕石でも衝突したかのように見える
地形を変えるほど巨大な隕石が落ちたとしたら、大洪水が起きるのは当然であろう。また地殻がめくれあがり、地上に存在していた都市を地下深くに沈めてしまったということも考えられる
大洪水の後、旧文明は滅び、選ばれた者が新たな王となった。重要なのは大洪水のすぐ後に王となったのではなく、七日後に王になったということである。つまり大洪水と王の即位には一定の猶予期間がある
エルデンリングでいうのならば、この猶予期間に角人たちが繁栄したと考えられる
そして選ばれた者、すなわち神人が神の門で神となった。その際に神に与えられたのが永遠の命である
死のルーンとは、即ち運命の死
黄金の律のはじまりに、取り除かれ、封じられた影(指読みエンヤ)
以上のようにノクス文明と黄金樹文明の間に大洪水が起こっていたと考えると、その移行が非常にスムーズに理解できるように思う
アレックス・ガーランド監督の作品は『28日後』(脚本)、『28週後』(製作総指揮)、『サンシャイン 2057』(脚本)、『アナイアレイション』(監督・脚本)を視聴済み
ホラー寄りのサスペンスが上手いクリエイターという印象
RedditによるとElden Ringを6周しているそうだ(28周ではないらしい)
視聴した中では『アナイアレイション』がエルデンリングに近い
宇宙から飛来したカラフルな菌類(粘菌)により世界が悪夢的な環境に書き換えられていく、というラヴクラフトの『宇宙からの色』のオマージュ的発端から、やがて菌類が人類に擬態して入れ替わっていく、というような『遊星からの物体X』のような結末を迎える(解釈次第だが)
有り体にいえばコズミックホラーである
宇宙生物の飛来、環境の変化、人類への影響など、どことなくエルデンリングを彷彿とさせるような要素が詰まっている
またデビュー作『28日後』に代表されるようなクリーチャー系ホラーも上手く、個人的には『サンシャイン 2057』のアレが人間の凄みを感じさせて好きである
ジョージ・R・R・マーティン氏がプロデューサーに名を連ねていることから、おそらく神話時代を描くものとも思うが、監督の持ち味的には破砕戦争のような派手なものではなく、もっと少数のキャラクターに寄った話なのかなと思う
『アナイアレイション』の登場人物のように宇宙生物を宿したマリカの話か、もしくは狂い火に見えたヴァイク、円卓初期の褪せ人たちによる疑心暗鬼サスペンス、または全くのオリジナルもありえる
個人的に可能性が高そうだと思うものを順に並べると以下のようになる
これは完全に筆者の希望なのだが、主演はキリアン・マーフィーを推したい。アイルランド出身というフロムが好きそうな出身(ゲール語も話せる)に加え、アレックス・ガーランド監督とは『28日後』からの知己
ただし『オッペンハイマー』でアカデミー主演男優賞を受賞して格が上がったのと、『28年後』の出演も決まっているらしいので無理かもしれない
円卓初期の褪せ人たちが疑心暗鬼から仲間割れして殺し合った挙句、閉鎖空間でデミゴッドに追いかけ回されるキリアン・マーフィーを見たい
DLCの副題は「Shadow of the Erdtree」である。その名のとおり「影樹」という黄金樹の影的な世界樹が登場する
ところが実際にDLCをプレイしてみると「影樹」の印象が極めて薄い。DLCをクリアしても影樹が何だったのかすら分からないほどだ
本考察では謎に包まれた影樹について考えていきたい
1.影樹は黄金樹の影
影の地のルーン【2】
影樹とは黄金樹の影であり
だからこそ、祝福を強く輝かせる
2.律とは呼べぬ、暗い思いから生まれた
影輪草の追憶
影樹とは、黄金樹の影であった
律とは呼べぬ、暗い思いから生まれ
それ故に脆く、ねじくれていた
3.二本の茎により構成されている
影輪草の大花
そのあり様は影樹に似て
花付きの茎を支え、抱きしめるように
もう一本の茎が絡み付いている
4.見棄てられ拒絶の棘を生じさせた
拒絶の刺
身を捩る影樹の姿が教えている
全てを拒み、傷付けるがよい
我らは見棄てられたのだ
5.影樹が内から壊れるとき影樹の破片が飛び散る
影樹の破片
それは、影樹が内から壊れるとき
影の地の全土に飛び散るのだといい
黄金樹の民は、それを集めて祈っている
6.影樹の黄金がある
祝福された骨片
影の地に倒れた戦士たちの遺骨
その欠片に、影樹の黄金が降ったもの
死に与えられる最上の栄誉のひとつとされる
影樹のストーリーを簡潔にまとめたのが以下である
影樹は暗い思いから生まれた。“故に”それは脆く、ねじくれていたとあることから、影樹は生まれた時からすでにねじくれた姿だったと考えられる
またなぜ暗い思いを抱いていたのかというと、やはり“見棄てられた”からであろう
まとめると影樹は“何か”に見棄てられた“誰か”の暗い思いから、黄金樹と同時に黄金樹の影として生まれたようである
この“何か”と“誰か”の正体を探るために、黄金樹が誕生した当時の状況をまとめてみたい
1.黄金樹の前史、エルデの王は竜王であった
竜王の追憶
竜王プラキドサクスの追憶
時の狭間、嵐の中心に座す竜王は
黄金樹の前史、エルデの王であったという
だが神は去り、王は帰還を待ち続けていた
2.黄金樹無き頃、死は霊炎に焼かれた
爆ぜる霊炎
まだ黄金樹無き頃、死は霊炎に焼かれた
死の鳥は、その火守りなのだ
3.獣たちが知性を得た
獣の石
黄金樹の以前、知性を得た獣たちは
石を最初の武器にしたという
4.祖霊を信仰する文明が栄えた
祖霊の王の追憶
祖霊とは、黄金樹の外にある神秘である
死から芽吹く命、生から芽吹く命
そうした、生命のあり様である
地図断片:シーフラ河
狭間の地下には、二つの大河が流れている
シーフラとエインセル。そこは
黄金樹の以前に栄えた、文明の墓場でもある
黄金樹の時代と深い関係があるのは“前史”と表現されている竜王プラキドサクスの時代であろう
※前史:当面の問題となっている時代の歴史に対し、(それに深い関係をもつ)それ以前の歴史。(岩波国語辞典)
黄金樹が誕生する直前まで、狭間の地はエルデ王プラキドサクスとその神によって支配されていた
ところが神が去ったことで狭間の地から律が消滅してしまい、律の無い混沌とした世界になったと考えられる
黄金樹の前史、プラキドサクスがエルデの王であった時代の狭間の地についてはほとんど明らかにされていない
しかし神と律があり、それを擁立する者がエルデの王と呼ばれているからには、すでにエルデンリングが存在していたと考えられる
エルデの流星
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという
ここでひとつ疑問が生じる。ゴッドフレイは最初のエルデの王と呼ばれているが、なぜそれ以前にエルデの王(プラキドサクス)が存在しているのか
エルデの王の冠
最初のエルデの王、ゴッドフレイの王冠
黄金樹の始まりは、戦と共にあり
ゴッドフレイは戦場の王であった
竜王の追憶
竜王プラキドサクスの追憶
時の狭間、嵐の中心に座す竜王は
黄金樹の前史、エルデの王であったという
だが神は去り、王は帰還を待ち続けていた
これについては、ゴッドフレイは黄金律の時代における最初のエルデの王だった、と解釈することが可能である
つまりゴッドフレイ以前にもエルデ王は存在するが、それは黄金律ではなく別の律を掲げるエルデ王だったということになる
そしてゴッドフレイが黄金律における最初のエルデ王であるのならば、ゴッドフレイとその神が史上初めて黄金律という律を掲げた、ということになる
ではゴッドフレイとその神マリカが掲げたという黄金律の正体とは何だったのか?
これについては本編のラストに明確に示される情報から理解できる
![]() |
“黄金律”、ラダゴン |
本編の最後に戦うのは“黄金律”ラダゴンとエルデの獣である。そしてラダゴンはエルデの獣の魂がマリカの肉体を乗っ取ったものと考えられることから、次のようにいうことができる
ゴッドフレイとマリカが掲げた黄金律とはエルデの獣の司る律である
つまるところ、エルデの獣の律(黄金律)を掲げたのは“ゴッドフレイとその神”が最初であった
よって黄金樹以前はエルデの獣ではない、“黄金律とは違う律を司る何か”がいて、その律を掲げるプラキドサクスとその神が狭間の地を治めていた、ということになる
さて、エルデ王プラキドサクスの時代にはすでにエルデンリングが存在していた。よって最初の流星であるメーテールは狭間の地に到来していることになる
指の母の追憶
指の母、メーテールの追憶
全ての二本指、そしてユビムシの母は
大いなる意志の輝ける娘にして
狭間に落ちた、最初の流星であった
ここで問題となるのがメーテールがいつ壊れ、棄てられたのか、ということである
大いなる彼方の杖
指の母、メーテールの尾指と
その指の捧げ持つ小宇宙を杖としたもの
母は、大いなる意志の波動を受信していた
壊れ、棄てられた後も、ずっとそれを待ち続けた
この問題については二つの解を想定できる
筆者がより可能性が高いと思うのは2.である。というのもゴッドフレイが最初のエルデの王と呼ばれているからである
エルデの王の冠
最初のエルデの王、ゴッドフレイの王冠
黄金樹の始まりは、戦と共にあり
ゴッドフレイは戦場の王であった
上述したように、ゴッドフレイが最初のエルデ王と呼ばれるのは、ゴッドフレイがエルデの獣の律(黄金律)を掲げた最初のエルデの王だからである
よってプラキドサクスはエルデの獣ではない別の上位存在の律を掲げてエルデの王になったことになる
上位存在として想定されるのがメーテールである。メーテールは二本指を導き、神人を選別するシステムを構築していた
また前回の考察で述べたように、メーテールとエルデの獣は元々はペアで狭間の地に秩序をもたらす計画であったと考えられる
つまりメーテールは二本指とエルデンリングを使い、プラキドサクスとその神を擁立することで狭間の地にメーテールの律を確立していたのである
しかしここで想定外の事態が起きる
ノクステラ(ノクローン)の大逆である
指殺しの刃
永遠の都、ノクローンの秘宝
遺体から生まれたとされる刃
永遠の都の大逆の証であり
その滅びを象徴する、血濡れた呪物
運命なき者には振るうことはできず
大いなる意志と、その使いたちを
傷つけることできるという
指殺しの刃は同じく“遺体”から生まれる神の遺剣と酷似した姿をしている
神の遺剣
永遠に死ぬことのないはずの
神の遺体から生まれる剣
人々はそれに様々な意味を見出す
大いなる罪、破滅、時代の終わり
あるいは始まりを
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左が「指殺しの刃」、右が「神の遺剣」。両方とも人の背骨を引き抜いたような形をしている |
おそらくノクステラ(ノクローン)の民はプラキドサクスの神を殺し、その遺体から指殺しの刃を生みだしたのであろう
そしてその指殺しの刃を用いてメーテールを傷つけたのである
指輪指
重い指輪を幾つもつけた、大指の槌
ユビムシの祖から、切り取られたとされる
それは、古い冒涜の遺産であり
まだ生を残し、僅かに生温かい
指の母の追憶
全ての二本指、そしてユビムシの母は
大いなる意志の輝ける娘にして
狭間に落ちた、最初の流星であった
傷つけられたメーテールは壊れ、彼女が導いていた二本指たちによる神人システムも壊れてしまう
…貴方に、お話したことがありましたね
マリカが、彼女を導いた指たちが、最初から壊れていたのだと
けれど、あれは真実ではありません
…真に壊れていたのは、狂っていたのは、母なのです(大司祭、ユミル卿)
この事態を引き起こしたそもそもの原因は、プラキドサクス率いる古竜とベール率いる飛竜の内紛であろう
絶対的な王であるプラキドサクスが思うように動けなくなり、秩序は乱れ、世界が崩壊していったのである
その滅びに対しノクステラの民はクーデターという実力行使によって応じ、メーテールを殺そうとしたのである
だがメーテールを殺しきることはできず、大いなる意志の怒りを買ったノクステラの民は都市ごと地下に滅ぼされてしまう
またプラキドサクスの居城であるファルム・アズラはエルデの獣の眷属である獣たちにより蹂躙され、制圧されてしまう
メーテールが壊れたため、バックアップであったエルデの獣が表舞台に姿を現わしたのである
黄金樹と影樹が生まれたのは世界がこのような状況になっている時である
冒頭の問いに戻ろう
影樹は“何か”に見棄てられた“誰か”の暗い思いから、黄金樹の影として黄金樹と同時に生まれたようである
この“何か”と“誰か”に当てはまるのは、“大いなる意志”と“メーテール”である
影樹は“大いなる意志”に見棄てられた“メーテール”の暗い思いから、黄金樹の影として黄金樹と同時に生まれた
エルデの獣が自身でもあるエルデンリングから黄金樹を生やしたと同時に、同じく上位存在であり、またペアの片割れであるメーテールはエルデンリングから影樹を生やしたのである
しかしそれは、律とは呼べぬ、暗い思いから生まれ、それ故に脆く、ねじくれていたのである
影輪草の追憶
影樹とは、黄金樹の影であった
律とは呼べぬ、暗い思いから生まれ
それ故に脆く、ねじくれていた
なぜならそれは傷つき、大いなる意志に見棄てられ、痛みに身を捩るメーテールの姿そのものだったからである
拒絶の刺
身を捩る影樹の姿が教えている
全てを拒み、傷付けるがよい
我らは見棄てられたのだ
しかしそれでも影樹は聖性を帯びている。なぜならその根源にエルデンリングがあり、またそれを生んだのが最初の流星メーテールだったからである
やがてその歪な姿が災いしてか影樹は内から崩壊してしまう
影樹の破片
黄金の輝きを含んだ、影樹の破片
影の地の、マリカの教会などで手に入る
それは、影樹が内から壊れるとき
影の地の全土に飛び散るのだといい
黄金樹の民は、それを集めて祈っている
もしくは影樹は何者かによって燃やされたのかもしれない。というのも原初に黄金樹が焼かれたことを示唆する証言があるからである
→拒絶の刺を焼きたい
…あんた、それは…
それは、人の身には決して許されぬことじゃ
黄金樹を焼くは、原初の大罪。まして、死のルーンの力を求めるとは…
死のルーンとは、即ち運命の死(指読みエンヤ)
黄金樹の影として生まれ、拒絶の刺を生やす影樹は、ある意味でもう一本の黄金樹と呼べるものであり、影樹を焼いたことが原初の大罪として伝承に残っていたのかもしれない
それを伝えてきたのは二本指である。その二本指はメーテールの眷属であり、彼女らにとってメーテールの生やした影樹は黄金樹に匹敵する神聖な世界樹だったのであろう
※狂った二本指たちは、黄金樹と影樹を同じ物として認識していたのかもしれない
メタ的な視点から言えば、黄金樹と影樹は『創世記』に登場するエデンの園に生えているという生命の樹と知恵の樹のオマージュであろう
黄金樹は生命の樹、影樹は知恵の樹にあたる
この解釈の場合、蛇に誘惑されたイブはマリカであろう。アダムはゴッドフレイになろうか
マリカが蛇に誘惑されて知恵の実を食したことでマリカは知恵に目覚め、それ以前の秩序を崩壊に導く
はじまりは、誘惑と裏切りだった
黄金はそうして生まれ(ストーリートレーラー)
知恵の実とは影樹から滴る恵みであったと考えられる。それはメーテールに由来するものだったが、その恩寵は壊れて、狂っていた
マリカが、彼女を導いた指たちが、最初から壊れていたのだと
けれど、あれは真実ではありません
…真に壊れていたのは、狂っていたのは、母なのです
指たちは、その落とし子にすぎません。あれらもまた、哀れな被害者なのです(大司祭、ユミル卿)
マリカが得た知恵とは指紋の秘薬のようなものであろう
指紋の秘薬
人の身で、指にならんとする者たちの秘薬
それを飲むと、身体の中を何かが這い回る
指擬き
老人の指に似た薄紅色のキノコ
指になろうとする者たちの幻覚剤
それは、二本指の産まれそこないであるという
マリカを誘惑した蛇とは、狭間の地に古くから棲む大蛇だったと考えられるが、大蛇自身も外なる神だった可能性はある
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ボニ村の外れにある大蛇の抜け殻。近くにはジェスチャー「母よ」を取得できる大母像がある |
蛇神の曲刀
古い蛇神の象られた曲刀
ゲルミアの、失われた信仰の祭具
毒飛蛇
それは、姿なき蛇の眷属であり
牙には猛毒が仕込まれている
あるいは蛇の祖はメーテールであるのかもしれない。というのも蛇は黄金樹の反逆者であり、逆に言えば黄金樹に対抗できる唯一の存在だからである
闘士の兜
蛇は、黄金樹の反逆者であるとされ
人々は、その傷つく様を喜んだ
黄金樹に対抗できる唯一の存在とは、黄金樹の影である影樹と、エルデの獣の対存在であるメーテールということになろう
狭間の地では蛇の系譜と獣の系譜が相剋状態にあるのかもしれない
蛇の祖はメーテールであり、獣の祖はエルデの獣である。元は協力者であった二者はしかしメーテールが壊れ狂ったことから、対立するに至ったのであろう
マリカはその両者の性質を身体に取り込んでしまった。すなわち神の器たるマリカの身体にメーテールの恩寵(知恵の実)とエルデの獣の恩寵(生命の実)が同居してしまったのである
そして不幸にもその子孫たちには両者の性質が受け継がれてしまう
坩堝に代表されるエルデの獣の生命の実と、誘惑に代表されるメーテールの知恵の実が子孫たちに芽吹いたのである
生命の実は忌み子を産み、知恵の実はやがて神の知恵、神の誘惑と恐れられるミケラを生んだ
ミケラの永遠に若いという属性は、脱皮を繰り返すことから永遠の生命や若さの象徴であった蛇に由来するものであろう
マレニアの翼兜
兄さまが、約束を違えるはずがない
神の知恵、神の誘惑。ミケラこそ
もっとも恐ろしい神人なのだから
腐敗の女神の追憶
ミケラとマレニアは、唯一人の神の子供である
故に二人は神人であるが、その生は脆弱であり
一方は永遠に幼く、一方は腐敗を宿した
一方でマレニアは神を宿しやすい坩堝の性質を強く受け継ぎ、生まれながらに腐敗の神を降ろしてしまったのである
ミケラダーン戦の没動画(逆手剣)。「約束の王」を使ってこなかったのと、最後にヒットしているので没となった。(そもそも霧の猛禽が1ヒット扱いなので0ヒットではないが)
2フェーズ目開始時に腐敗壺を投げているのは、ミケラの光を回避するために走るのが面倒くさいのと、後半戦が長くなると集中力が切れるからである
個人的には盾を使うよりも回避の方が楽。一周目なのでレベルを上げて腐敗壺を投げればどうにでもなるが
動画の方でボスの攻略的なことをやらなかったのは、ボス攻略を教えられるほど上手くないから(全部ごり押し)
DLCで明かされた設定のなかで筆者が最も重要だと考えているのが坩堝の話である
全ての坩堝のタリスマン
坩堝の諸相、その全てが混ざった巨大な塊
かつて、巨人の身体に生じたものとされ
塔の神話では、坩堝の母とも呼ばれている
巨人の身体に生じた坩堝は「坩堝の母」と呼ばれている。しかし一方で坩堝は生命の原初とも言われている
坩堝鱗のタリスマン
それは、生命の原初たる坩堝の名残である
部分的な先祖返りであり、古くは神聖視されたが
文明の後には穢れとして扱われた
坩堝から全ての生命が誕生したのだとしたら、坩堝を生じた巨人は生命ではないのか?
巨人が先か坩堝が先か(ニワトリが先かタマゴが先か)という疑問が生じそうであるが、“坩堝の母”を比喩的な表現と考えれば解決可能であろう
すなわち、坩堝の母とは坩堝の諸相を全て内包しており、全ての諸相を発現させる可能性がある故に“母”と呼ばれるのであり、そこから全生命が誕生したというわけではないのである
分かりやすく言えば“坩堝の母”は“坩堝の諸相の母”なのである
全生命が誕生した坩堝は坩堝の母とは別にあり、巨人もまたそこから誕生したのであろう
ではそもそも坩堝とは何なのかについて考えてみたい
坩堝の性質は多様である
1.生えるはずのない獣に角を生やす
角の芽
本来、生えるはずのない獣に芽生える角
それは坩堝の名残であるという
獣の角
影の地の獣には坩堝の影響が色濃く
種によらず、角の生えた個体が見られる
2.触れた者を混種にする
翼の混種の遺灰
翼の諸相を持ち、飛びながら弓を射る霊体
混種は、坩堝に触れた罰の存在であるとされ
生まれながらの奴隷、穢れ者である
3.生命の原初であり坩堝の諸相を生じさせる
坩堝鱗のタリスマン
古い時代、人の身体に生じたという
諸相の混ざった鱗のタリスマン
それは、生命の原初たる坩堝の名残である
部分的な先祖返りであり、古くは神聖視されたが
文明の後には穢れとして扱われた
4.坩堝の洗練された進化の先に、混じり角がある
坩堝薄羽のタリスマン
古い時代、人の身体に生じたという
諸相の混ざった薄羽のタリスマン
角人たちは、坩堝を神聖視する
その洗練された進化の先に
彼らの角、混じり角があるのだから
5.黄金樹の原初たる生命の力であり、古い聖性を宿す
坩堝の諸相・喉袋
それは、黄金樹の原初たる生命の力
坩堝の諸相のひとつである
かつて、生命は混じり合っていた
シルリアの樹槍
黄金樹の原初は、生命に近しく
その坩堝たる様を模した槍は
古い聖性を宿している
6.坩堝の起源はラウフの古遺跡にある
坩堝の槌兜(ラウフの古遺跡で取得)
原初の黄金樹、生命の坩堝の力を宿し
坩堝の諸相の祈祷を強化する
デボニアは、坩堝の起源を追い求め
一人黄金樹を旅立ったという
坩堝とは生命の原初であり、黄金樹の原初たる生命の力であり、古い聖性を帯び、かつて混じり合っており、人に部分的な先祖返りを引き起こさせるものであり、触れた者を混種にするものであり、進化の先に角人の混じり角になるものである
要するに狭間の生命の根源には坩堝があり、全ての狭間の生命は坩堝から生まれたことを示唆している
坩堝から生命がどのように産まれたかについては、ラウフの古遺跡に関連するアイテムに重要な示唆がある
ラウフの古遺跡は坩堝の騎士デボニアが坩堝の起源を求めて最後に到達した場所である
そのラウフの古遺跡を遺した文明は、精霊を物体に宿す技術に長けていた
ラウフの巣穴
石の中央には小さな巣穴があり
そこに精霊を宿らせ、呪具とする
火霊石
ラウフの巣穴に火霊を住まわせたもの
製作可能なアイテムのひとつ
火霊は、精霊の一種であり
その中でも激しい性質を持つという
ラウフという土地では精霊が物体に宿るという不思議な現象があり、またそこには生命の原初たる坩堝の起源が存在していた
坩堝の諸相からも分かるように、坩堝は生物的な特徴がとても強く現れている。一方で坩堝自体に精神のようなものは認められない
坩堝とは生命力に満ちあふれた有機物の塊であるが、そこに魂は宿っていない状態なのである(生命に分化する以前の混沌状態)
精霊が物体に宿る現象がある土地に、坩堝という魂を宿すのに適した依り代があったら起きることは一つである
すなわち坩堝という肉体に精霊という魂が宿ったことで生じたのが生命である
イメージとしては不定形の肉の塊(坩堝)が霊魂(精霊)を宿して生命として動き出した、という非常に気持ちの悪い生物創造譚になろうか
なぜ坩堝に意識、すなわち魂が宿ったのかについては、ラウフの土地柄の他に坩堝の性質そのものにも原因がある
角人によれば、坩堝の進化した先に混じり角があるという。その混じり角は、神や霊的な存在を降ろす依り代でもある
呪剣士の仮面
うねる混じり角を冠とした仮面
それを被る者に神を降ろす
角の戦士の遺灰
塔の守護者たる重装の戦士の霊体
神降ろしにより、人ならぬ膂力を得
大曲剣を振るい、それに角を降ろす
塔では、戦士も、その武器も、依り代なのだ
坩堝には神や霊魂を降ろす性質があるがゆえに、角人たちから神聖とされ、それを降ろす混じり角は霊長を示す徴とされてきたのである
免疫の角飾り+2
角人たちにとって、角は神聖であり
だからこそ、彼らは選ばれた民である
新たな芽生えを繰り返した、混じり角は
特に霊長を示す徴とされている
要するにラウフに生じた坩堝にはもともと神や霊魂を宿す性質があり、その坩堝に霊魂が宿ったもの、それが狭間の生命の祖であると考えられるのである
そして狭間の生命には今でも坩堝の因子が隠れており、それは何かの切っ掛けで簡単に発現してしまうのである(忌み子)
また坩堝に触れた者は坩堝の影響を強く受けるようになり、肉体を変異させてしまうのである(混種)
※ここにある種の感染症を想定することができるかもしれない。筆者は過去の考察で感染する寄生菌類を想定した
坩堝の起源はラウフにあるが、坩堝がどのように発生したかについて直接的に触れているテキストはない
しかしこれまであえて深く追究してこなかった坩堝の性質がある
坩堝が黄金樹の原初たる生命の力であり、それは生命に近く古い聖性を宿す、という性質である
坩堝の諸相・喉袋
それは、黄金樹の原初たる生命の力
坩堝の諸相のひとつである
かつて、生命は混じり合っていた
シルリアの樹槍
黄金樹の原初は、生命に近しく
その坩堝たる様を模した槍は
古い聖性を宿している
オルドビスの大剣
原初の黄金は、より生命に近く
故に赤味を帯びていたという
この剣は、その古い聖性を宿している
その黄金樹はエルデンリングを根源としてそびえ立つものである
永遠の女王マリカを戴く狭間の地で
黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた(公式サイト「プロローグ」)
つまり坩堝にもエルデンリングが関係している可能性がとても高い。そしてエルデンリングに関わるもののなかで、これまで用途の明らかでなかったものが一つある
黄金の流星である
エルデの流星
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという
一匹の獣はエルデンリングになったという。だがここに登場する黄金の流星については、それ以後まったく触れられることがない
エルデの獣と共に送られた黄金の流星は、この後どこへ行き何になったのか?
坩堝になったのである
※最初から坩堝そのものであったと考えた方がより適切かもしれない
さて、これまで黄金の流星とそれが変化した坩堝を生命の原初とした
だが、エルデの獣と黄金の流星が飛来する前に、メーテールという最初の流星が墜ちてきたことがDLCによって明らかにされている
指の母の追憶
影樹に刻まれた
指の母、メーテールの追憶
全ての二本指、そしてユビムシの母は
大いなる意志の輝ける娘にして
狭間に落ちた、最初の流星であった
かつてメーテールが大いなる意志の波動を受信していたことも確かである
大いなる彼方の杖
指の母、メーテールの尾指と
その指の捧げ持つ小宇宙を杖としたもの
母は、大いなる意志の波動を受信していた
壊れ、棄てられた後も、ずっとそれを待ち続けた
このときメーテールの指令を受けて活動していたのが二本指たちであろう。そして二本指の役割は神人を選別し、神と新しい律を確立することである
指の母の追憶と大いなる彼方の杖のテキストを読んだ人は次のように理解するであろう
大いなる意志は最初にメーテールを狭間の地に送り込んだ。しかしやがてメーテールが壊れたために次なるエルデの獣を狭間に送った
だがこれらのテキストにはメーテールの飛来とエルデの獣の飛来が時間的にどれほど離れていたかについては書かれていないし、メーテールが壊れたから大いなる意志はエルデの獣を送った、とも書かれていない
つまりどういうことか?
メーテールとエルデの獣がほぼ同時(わずかにメーテールが先)に狭間の地に落ちた可能性も考えられるし、そもそもメーテールとエルデの獣はセットで送りこまれた、という可能性も考えられるのである
要するにメーテールとエルデの獣の到来時期が離れている、という解釈も、エルデの獣がメーテールのかわりに送り込まれた、という解釈も思い込みに過ぎないのである
これは読者の思い込みを誘発する叙述トリックであろう
叙述トリックであると解釈した場合に考えられるのが以下のシナリオである
メーテールとエルデの獣はほぼ同時に狭間の地に飛来(わずかに到来がはやかったためにメーテールが最初の流星と呼ばれる)
霊的な領域を司るメーテールと生命の領域を司るエルデの獣。この二者により狭間の地には生と死のサイクルが生まれる計画であった(エルデンリング=エルデの獣に宿っていたのは運命の死であって、普遍的な死ではない)
エルデの獣はエルデンリングとなり、黄金の流星は生命の原初、すなわち坩堝となった
その坩堝に霊を吹き込んだのがメーテールである
※ラウフの英名はRauh、ヘブライ語でruachは「霊・風・息」という意味がある
坩堝生命からはやがて巨人や人、古竜が生まれ、エルデの獣とメーテールはそれらの生命の中から神を選抜する神人システムを構築する
神人システムとは、メーテールの選抜した神人をエルデの獣が使わした影獣が補佐し、神人がエルデンリングを宿すことで律を確立、神として狭間の地の生命を律するシステムのことである
神人システムは一定の期間は正常に機能していたと考えられる。しかしノクステラの民から神が選ばれたことでシステムに不具合が生じた
ノクステラの民から選ばれた神は夜の王を従えて夜の律を確立する。だがやがてノクステラの民は自分たちがメーテールに操られていることに気づき、反逆を企てたのである
指殺しの刃によりメーテールは傷つけられ、壊れる。これに怒った大いなる意志はアステールを送り込み、ノクステラ文明を地の底に滅ぼす
残されたのは壊れたメーテールとエルデの獣=エルデンリングである
エルデの獣は大いなる意志から授けられた使命を果たそうと、狭間の地の生命を自らの支配下に置こうとする
メーテールは壊れたものの、二本指による神人選別システムはかろうじて残っていた。また眷属である獣たちは今も顕在である
エルデの獣は残された神人システムの機能と獣たちを利用することで、狭間の地に新たな神と新たな律を確立しようとしたのである
そして選ばれたのがマリカであった
※神人システムはメーテールとエルデの獣が協力、あるいは相剋することで実現可能なシステムであり、メーテールとエルデの獣はどちらかが壊れた場合のバックアップ的な存在である
全ての狭間の生命は坩堝の因子が発現する可能性がある。そしてそれは巨人も例外ではない
巨人に発現した坩堝は全ての坩堝の諸相を内包していた。塔の神話に伝わる“坩堝の母”である
全ての坩堝のタリスマン
坩堝の諸相、その全てが混ざった巨大な塊
かつて、巨人の身体に生じたものとされ
塔の神話では、坩堝の母とも呼ばれている
一方で坩堝には精霊や神を宿すという性質があった。その結果、巨人の身体に生じた坩堝にも神が宿ってしまう
火の悪神である
悪神の火
それは、アダンが盗み出した
監視者の長、アーガンティの秘匿である
悪神は、火の巨人の内に、今も隠れている
火を、焼き尽くせ!
火の巨人は、悪神の力をかりてなお敗れた
それは、永遠の火守りとして生き続ける
孤独な呪いの終わりでもあった
単眼の盾
それは、女王マリカが討ち取ったとされる
かつて巨人たちが祀った悪神である
火の巨人は胸部に火の悪神を宿していた。つまり胸部に坩堝が生じていたことになる
おそらく全ての巨人は同じ場所に坩堝が生じていたと思われる
というのも現在の狭間の地に見られる巨人たちの胸部には大きな穴が開いており、そこに石版が埋め込まれているからである
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適当な画像がなかったのでイジーの死体 |
女王マリカは巨人の胸部に生じた坩堝を除去し、そのかわりに坩堝封じの石版を埋め込んだのであろう
なぜならば坩堝を宿しているかぎり、そこに神が宿る危険性があるからである
当初はDLCについて書いていたのだが、どうしてもネガティブな論調になってしまうので断念した
ネガティブといってもミケラダーンが強すぎるとか理不尽だとかということではない
ボスとしてのミケラダーンはむしろ高評価である。しかしながらDLCのラスボスに据えるには、ボスとしての格が足りなかったのではないかという話である
参考までにYoutubeの動画に採用できなかった没動画である
岩石弾からの幻影攻撃をしてこなかったので没となった。見てもらえばわかるように筆者はボスとしてのミケラダーンを理不尽だとも強すぎるとも思っていない
さて本題にはいる
陰謀の夜に深く関与したと思われるキャラクターと役割と目的、そして結果を提示する。根拠については後で述べる
以上が「陰謀の夜」における主要なキャラクターである。続けて各キャラクターの深掘りをしていきたい
マリカが陰謀の夜に関与したことは「黒き剣の追憶」に記されている
黒き剣の追憶
マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった
マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み
後にそれを裏切ったのだ
運命の死の封印を望み“後にそれを裏切った”とあることから、ラニによる運命の死の強奪に何らかの形で関わったという可能性が高い
単にラニの陰謀を黙認しただけ、とも考えられるし、あるいはもっと積極的に関与したことも考えられる
マリカが神を殺そうとしていたことを考えると、後者よりであると思われる
鍛冶師ヒューグ
…儂の武器で、神を殺してくれ
それが儂の、生きたすべて
そして、女王マリカとの誓約なのだ
エルデンリングでは半神であるデミゴッドと神とは明確に区別されている。倒した際に「GOD SLAIN」と表示されるのは、エルデの獣とミケラの王、ラダーンだけである
鍛冶師ヒューグ
デミゴッドたち、そして神に、挑み、殺す
あんたがそれを貫くのなら、儂はあんたの武器を打つ
打ちたいんだ。あんたが、神を殺すための武器を
そしてマリカが活動していた時代に神であったのはエルデの獣だけである。つまりマリカはエルデの獣を殺そうという意志を持っていた
またエルデンリングの幻視を宿したマリカも「神」と言われていることから、神殺しはマリカの肉体を含めたものであるとも考えられる
指読みエンヤ
女王マリカは、エルデンリングの宿主、その幻視を宿す者
すなわち神さね
そしてエルデンリングとはエルデの獣が変態したものである
エルデの流星
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという
よってマリカの陰謀において、そもそもエルデンリングは初めから破壊される計画だったと考えられるのである
陰謀の夜におけるマリカの陰謀とは、運命の死を宿した黒き刃をもって自らの肉体に宿るエルデの獣を殺害することだった
そのためには、エルデンリングを宿す幻視の器たる自らの肉体と、エルデの獣自身でもあるエルデンリングの破壊が必然的に伴う
つまりマリカの陰謀とは、神(エルデの獣)を殺すための神(マリカ)の自殺である
※ゴッドウィンのようにエルデの獣の魂のみを殺害しようとした、という仮説も立てられるが、本論ではよりシンプルな説を選択した
その後の計画についてはマリカの言霊に詳しい
第三マリカ教会
我が王よ、王の戦士たちよ。お前たちから、祝福を奪う
そして、その瞳が色褪せるとき、狭間の地を追放する
外に戦を求め、生き、そして死ぬがよい
巡礼教会
そして、お前たちが死した後、いつか奪ったものを返そう
狭間の地に戻り、戦い、赴くままにエルデンリングを掲げるがよい
死と共に、強くあれ。王の戦士たちよ、我が王、ゴッドフレイよ
外廓の戦場跡
デミゴッド、我が愛し子たちよ
お前たちはもう、何者にもなれる。王であれ、神であれ
そして、何者にもなれぬ時、お前たちは見棄てられる
…そして贄となるのだ
マリカは褪せ人を一度は追放するが、しかし狭間の地に帰還した後にエルデンリングを掲げよと命じている
またデミゴッドたちには、「何者にもなれる。王であれ、神であれ」と言い渡し、何者にもなれぬ時は、お前たちは見棄てられ、贄となる、と通告している
つまりマリカは陰謀の夜以前の時点で次代の神を争う破砕戦争と、褪せ人の帰還を予測しているのである
ここで重要になるのがマリカの言霊(外廓の戦場跡)がどのタイミングで発せられたかについてであろう
エルデンリングを砕いた後にマリカは黄金樹内部に囚われていること、またエルデンリングを砕いた後の崩れかけたマリカの姿を誰も見ていないことからも、砕く前であったと推定できる
指読みエンヤ
けれど彼女は、エルデンリングが砕けた後、黄金樹に囚われておる
神として、律の砕け、その大過の罰としてね
オープニング
偉大なるエルデンリングは砕けた
霧の彼方、我らの故郷、狭間の地で
永遠の女王マリカは隠れ
黒き刃の陰謀の夜、黄金のゴッドウィンが最初に死んだ
しかしマリカの陰謀はラニとミケラによって大きく歪められることとなる
当初の予定では、運命の死を宿した黒き刃によって幻視の器たるマリカ自身とその内に宿るエルデの獣を殺す予定であった(必然的にエルデンリングの破壊を伴う)
その後、破壊されたエルデンリングを修復し、王あるいは神となったデミゴッドもしくは褪せ人が次の時代を創ることになる(はずだった)
ところが“ラニとミケラの陰謀”が干渉したことで、暗殺のターゲットがラニの肉体とゴッドウィンの魂に変更され、マリカの陰謀はその最大の目的を果たせぬまま潰えることとなる
マリカの陰謀のポイントは3つあった
このうち、1は実現できたもののラニとミケラの陰謀のために暗殺対象が変更されてしまった。それに伴って2は実行不可能となった
この時点でマリカに可能だったのは3だけである。だがこの展開さえもマリカは予想していたように思う
上述したように、マリカはエルデンリングを砕いた後の世界について言及しているからである
マリカはエルデンリングが砕かれた後、デミゴッドが王や神になる可能性があることや、褪せ人が帰還してエルデンリングを修復して掲げることも視野に入れていた
また鍛冶師ヒューグとの神殺しの武器を作る誓約も結んだままである
よってマリカは狂ったのでも絶望したのでもなく、神殺しに失敗した際の最終手段、フェイルセーフとしてエルデンリングを砕いたのであろう
自らの肉体とエルデンリングを砕いたとしても神を殺すことはできない。だがエルデの獣ならびにラダゴンの活動を停滞させることはできるからである
結果としてデミゴッドたちは破砕戦争を引き起こし、膠着状態に陥ったものの、やがて褪せ人が帰還して運命の死を解放、エルデの獣を殺し、エルデンリングを修復して新たな時代を開くことになる(エンディングにもよるが)
陰謀の夜におけるマリカの陰謀はその重要な部分はほとんどが失敗に終わったが、最終的に彼女の目的は果たされたのである
陰謀の夜において最大の利益を享受したのがラニであろう。彼女「神人の肉体を棄てる」という陰謀の夜における主な目的を達成している
しかしそれはラニの夜の律計画において成就半ばといったところでしかない
というのもマヌス・セリスの大教会にいる二本指を殺さぬ限り、その支配から完全に脱したとは言えないからである
そのためには指殺しの刃が必要となるが、星を打ち砕いたラダーンが生き続ける限りラニの運命は動かず、ノクローンの秘宝を手にすることができない
指殺しの刃
永遠の都、ノクローンの秘宝
遺体から生まれたとされる刃
永遠の都の大逆の証であり
その滅びを象徴する、血濡れた呪物
運命なき者には振るうことはできず
大いなる意志と、その使いたちを
傷つけることできるという
軍師イジー
貴公、よく聞いてください。カーリア王家の運命は、星によって動きます
カーリア王家正統の王女たるラニ様の、運命もまた同じはずです
そして、将軍ラダーンは星砕きの英雄
かつて流れる星に立ち向かい、打ち砕いたとき、星の動きは封じられた…
であれば、将軍ラダーンが死するとき、星はまた動き出します
ラダーンが腐敗に侵されたまま砂浜を放浪し続ける限り、ラニは指殺しの刃を手に入れられず、結果的に夜の律を確立することができない
褪せ人というイレギュラーな存在が登場しなければ、結局はラニの陰謀も失敗に終わったことになる
さて、ラニの最終的な目標が夜の律を確立することであるとしたら、ラニはマリカの陰謀を妨害しなければならない
なぜならばマリカの目的が完全に成就してしまうと、確固とした黄金律が完成してしまうからである
夜の律を目的とするラニとしては、マリカの陰謀は絶対に阻止しなければならない
つまりラニはマリカの陰謀に沿うように行動しているように見えて、その実は裏切っていたことになるのであり、またマリカの側もエルデンリングを砕くという意表を突く行動によりラニの運命を拘束せしめることとなった
発売前のストーリートレーラーで「女王マリカは、狂ったのだろう」とラニが語っているが、ここには苦し紛れのマリカの逆襲にしてやられたことの自嘲も含まれていたのかもしれない
ストーリートレーラー
死のルーンが盗まれ
黄金のゴッドウィンが
デミゴッド最初の死者となったとき
…女王マリカは、狂ったのだろう
反対にミケラとは一定の協力関係があったと考えられる。というのもトレントの古い主であるミケラから霊喚びの鈴を託されているからである
霊馬の指笛
柔らかな金の指輪。指笛として使用する
魔女ラニ
…ああ、よい答えだ
お前に、預かりものがあってな
トレントの古い主が、私に託したものだ
またラニとミケラは利害も一致している。ラニは自らの肉体を殺したいと望み、ミケラはゴッドウィンの魂を殺したいと望んでいるからである
ラニが黒き刃(武器)に運命の死を宿し、ミケラが黒き刃(暗殺者)を魅了して、それぞれの望みを叶える、というのがラニとミケラの陰謀だった
結果的にラニは目的を達成したものの、最終目的の成就には褪せ人の登場を待たねばならなくなった(ラニエンディング)
無数の陰謀が複雑に絡みあい、心理戦の果てに世界を膠着状態に陥らせた陰謀の夜。ただでさえややこしい話に作中で最もややこしいミケラが関わってくる
ミケラの本質は北欧神話に登場するロキのようなトリックスターである。彼は物事を複雑化し、争いの種となり、最後は世界を崩壊させる切っ掛けとなってしまう
黒き刃がミケラの配下にあることは、典礼街の封印を黒き刃が守っていたことから推察することができる
典礼街の封印にはミケラの紋章が浮き出ている。つまりミケラの聖樹への道はミケラの意志により閉ざされており、その封印を守っているのが黒き刃たちである
要するに黒き刃はミケラの意を受けて典礼街を侵略者から守っていたのである
陰謀の夜において、ミケラは魅了した黒き刃を差し向けてゴッドウィンの魂を殺させた
ラダーンの魂が宿るための王の依り代を手に入れるためである
秘儀の巻物
神の帰還は王により導かれ
王の魂には、依り代が求められる
ラダーンがそのままでミケラの帰還を導く王となれないのは、秘儀の巻物に「王の魂が依り代に入ることが神の帰還の条件」と記されているからとも、ラダーンの肉体がそのままでは神を降ろす依り代に適さず、他の“健全な肉体”を欲していたからとも考えられる
後者においてはラダーンしろがね人説が前提となるが、詳細は長くなるので省略する
基本的に神の依り代(神の帰還を導く)となれるのは坩堝を宿した肉体である
坩堝薄羽のタリスマン
角人たちは、坩堝を神聖視する
その洗練された進化の先に
彼らの角、混じり角があるのだから
神獣の兜
神獣の面を象った、混じり角の兜
選ばれた角の戦士たる、神獣の戦士の装備
それを被る者に神を降ろす
角の戦士の遺灰
塔の守護者たる重装の戦士の霊体
神降ろしにより、人ならぬ膂力を得
大曲剣を振るい、それに角を降ろす
塔では、戦士も、その武器も、依り代なのだ
つまり生来のラダーンの肉体がしろがね人であるために神を降ろす依り代となれず、坩堝を宿すゴッドウィンの肉体が必要だったのであろう
ゴッドウィンの肉体が坩堝を宿していることは、死王子となった彼の遺体が様々な生命の混合体、つまり混種のようになっていることからも明らかであろう
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死王子の下半身は魚となっている |
いずれにせよ、ミケラにはラダーンの魂を宿す王の依り代が必要だった。その条件に適うのがゴッドウィンだったのであろう
黒き刃を魅了し、ゴッドウィンの魂を殺めることに成功したものの、しかしその肉体は不完全な死を内包し、死に生きる者の王子、死王子となってしまう
死竜の追憶
黄金のゴッドウィンが死王子となった後
古竜は、その友の内で死と戦い続けた
その戦いに勝利はなく、ただ蝕みだけがあった
指読みの老婆
…ゴッドウィン様
黄金の貴公子が、死に生きるなどと
そんな、醜いことがあるでしょうか
黄金の墓標のテキストには、ミケラの静かな祈りが記されている
黄金の墓標
デミゴッド最初の死者たる
黄金のゴッドウィンを弔う墓標剣
少年の静かな祈りが込められている
兄様、兄様、正しく死んで下さいな
ミケラはただ純粋にゴッドウィンの正しい死を祈っている。なぜならば正しく死んでくれない限り、その肉体を王の依り代として使えないからである
ここには幼く純粋であるが故に、他者の誇りや尊厳を理解できないというミケラの本質的な性格が示されている
老兵ハンスバッハ
モーグ様を利用し、影の地に至るだけでは飽き足らず
その遺体すら、王の依り代にしようなどと
魂など必要なく、ただ、空っぽの肉体だけを求めるなどと
…ああ、けれど
ミケラ様はきっと、それが辱めであるとは、想像もされないでしょう
黒き刃がマリカの同族であり、マリカに近しい稀人であったことはテキストに記されている
稀人のルーン
稀人は、かつて狭間の外からやってきた
女王マリカの同族であるという
黒き刃のフード
陰謀の夜の実行犯たる刺客たちは
すべて女性であり、一説には
マリカに近しい稀人であったという
計画ではラニの儀式によって黒き刃に運命の死を宿した後、それをマリカに届けるか、あるいはマリカごとエルデの獣を暗殺する予定であった
だがラニとミケラの陰謀により、計画は大きく狂ってしまう
ミケラに魅了された黒き刃はゴッドウィンの魂を殺してしまい、その実行犯たちは王都を脱する際に厳しい追撃を受ける
黒き刃、ティシー
陰謀の夜、黒き刃に死のルーンを宿し
黄金のゴッドウィンを殺した暗殺者の一人
ティシーは、黒き刃の長アレクトーの娘であり
王都からの逃亡時、母を守り命を落としている
アレクトーはラニの元へ落ち延びるも封牢に封じられ、その裏切りを知る
ラニイベントが終わった際にイジーやブライヴが黒き刃に襲われているのも、陰謀の夜の裏切りが原因であろう
以上のように陰謀の夜はマリカ、ラニ、ミケラの陰謀が交錯し、彼女たちが予測すらしていなかった事態を引き起こすことになった
だが結果としてその出来事は褪せ人の帰還をもたらし、運命の死を解放し、エルデの獣を殺し、エルデンリングを修復、新たな律を打ち立てるに至る(壊れかけているが)
この点で明確に勝利したのは、マリカとラニであろう。エンディングにもよるが、修復エンドにおいてはマリカの目的であった神殺しと新たな黄金律の成立は概ね果たされたと言ってよい
またラニはほぼなにも失わず、夜の律を打ち立てることに成功している
一方ミケラは、その陰謀が純粋な想いから実行されたことは確かであるが、彼の望みはDLCにおいて褪せ人に砕かれてしまう
一応、神として帰還したことはしたので、半分ぐらいは勝利したといえなくもないが
本考察ではラダゴンや殺されたゴッドウィン、一定の役割を果たしたライカードについては触れなかった
冒涜の爪
陰謀の夜、法務官ライカードは
ラニから謝礼として片鱗を貰い受けた
いつか来る冒涜の時、黒き剣のマリケスに
運命の死たる黒獣に挑む切り札として
できるかぎり単純化した説にしたつもりだが、さらに削ろうと思えばミケラとマリカの陰謀を削ることも可能であるかもしれない(つまりラニの単独犯)
しかしながら、マリカに関しては黒き剣の追憶の一文が腑に落ちないものとなる
黒き剣の追憶
マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった
マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み
後にそれを裏切ったのだ
ミケラに関してはDLC後ということもあり可能性として説に取り入れてみたが、兄の正しい死を願い、王の依り代を欲していた、という状況証拠のみがその根拠である
よって陰謀の夜を最大限に単純化するのであれば、ラニの単独犯という可能性すらあると思っている
またより“陰謀の夜”を劇的にするのであれば、ラダゴンやゴッドウィンの思惑を絡めることも可能かもしれない
ともあれ本考察では筆者が現時点で考える、概ね妥当と思われる考察を述べたつもりである