2021年2月16日火曜日

Valheim ヴァルヘイム レビュー

 ヴァルヘイムとは一言でいうと、北欧神話を舞台にしたサバイバルクラフトゲーである


※詳細はSteam参照のこと


※現在のところアーリーアクセス(EA)、つまり開発途上のゲームであり、遊べるのは実装された範囲までである


レビュー

まずグラフィックの質が高い。ここでいうとはフォトリアル至上主義とは無縁のグラフィックの美術的センスのことである


筆者にはフォトリアルなグラフィックは必ずしもゲームの質に貢献しないという持論がある


まるで現実のような精緻なグラフィックをゲーム上に構築したとしても、ゲームとしての土台が傾いていれば、名作にはなりえないのである


その点ヴァルヘイムのゲーム容量は1GB程度であり、世間一般で言うところと高グラフィックはとうてい望めない


しかしながら、ゲームをプレイしているうえで世界に没入できているという感覚は、フォトリアルを追求したゲームよりヴァルヘイムのほうがはるかに大きい


風が明示的に表現されている


低ポリゴンを最新エフェクトにより美麗に魅せるという手法は、あえて類似ゲームを挙げるとすれば、ゼルダの伝説Botwに近いだろうか


正直なところ、BOTWの独特な“味”を表現できるのは日本のメーカーだけだと思っていたが、良い意味で裏切られた思いである


世界の諸物は単なるとして置かれているのではなく、プレイヤーに関連する「出来事」として提示され、そうした出来事の総体が世界を創り出しているのである


ヴァルヘイムはNPCはほとんど登場せず(商人とカラス、トール、森の謎人ぐらいか)、草原に廃屋が点在するような空疎にさえ思える世界である


だが、そこで筆者が感じたのは世界そのものから立ち上る濃密な存在感である


大地はクワにより掘り起こされ、木々はオノによって切り倒され、鉱物はツルハシによって砕かれる


吹き抜けるカゼは眼に映り、アメは体を濡らし、シカの鳴き声がこだまする


世界に自分ひとりだけのような寂寥感と、かつて人がいた気配だけが漂う廃屋


世界の美しさと汚らわしさ、自然の恩恵と過酷さ、わずかに示されるストーリーが、世界そのものへの興味を引き立てていく


奇をてらわず、あからさま過ぎず、それでいて人間の五感をひかえめに刺激するような表現が、プレイヤーを世界の深いところまで没入させるのである


正直なところ、Elden Ringに密かに期待していた要素が少なからず実現されていて驚いている



世界

北欧神話には本来は9個の世界しか存在しない。本作の10個目の世界ヴェルヘイムはつまりオリジナル設定ということになる

※あるいは、ヴァルハラ(戦死者の館)とヘイム(国)を合わせて、戦死者の国という意味なのかもしれない


※空を見上げると巨大なユグドラシルの枝が見える。このダイナミックな表現法はゼノシリーズを彷彿とさせる

あるいはラグナロク後に神々が再会を果たす場所「イザヴェル(輝く野)」のイメージも含まれているのかもしれない


ラグナロク後には海中から緑の美しい大地が浮かび上がるとされるが、本作の海に浮かぶ無数の島々のビジュアルイメージと合致するからである


※世界はランダム生成されるので多少の相違はあるかもしれないが、配信など見ても多くの島に分かれているようである


とはいえまだオーディンは生きているようなのでラグナロク後ではない。あくまでモチーフはモチーフである


ヴァルヘイムは名前やストーリーから推測するにヴァルキュリア(戦乙女)とヘイム(古ノルド語で「国」の意)の合成語のようである


戦で命を絶たれた戦士Valkyriesにより、あなたの魂は10個目の北欧の世界「Valheim」へ運ばれた。混沌とした生き物と古代の神々に囲まれたあなたは、オーディンの古代の宿敵を倒し、「Valheim」に秩序をもたらす任務を負う。(Steamのストアページ「このゲームについて」)


ただし「戦で命を絶たれた戦士Valkyries」とあるように、ヴァルキュリアの設定そのものも変更されているのかもしれない(翻訳の問題も?)



難易度

ソロだと難易度がかなり高い草原→黒い森→沼→雪山→平地という攻略順なのだが、サクサク進めるのは「」までであろう(ボスは強い)


※ソロでも5番目のボスまで倒せるようである


沼で「」を入手することで石材建築まで可能になるのでその先は無理に進まなくてもいいかな、というのが個人的な感想である


というか鉄の必要量が尋常でないので進めない…



建築

攻略拠点ともなり、休息もできる家を建築するのがこのゲームの定石である


休息することでスタミナ回復速度上昇のバフが付与される。基本的にはこのバフが付与された状態で探索することになる


休息するためには焚火と寝床が必要であるが、が降ると焚火は消えてしまうし、といって家の中に焚火を置くと煙が充満して死んでしまう


そのあたりをクリアする効率的な家として下の2つをよく使う


3x3の小さな小屋である


5chのValheimスレで見かけて参考にした家


あくまでも一時的な攻略拠点である


また家には快適度がある。快適度は鹿皮などを敷くと上がり、快適度1につきバフ時間が1分延びる


本拠地はやや大きめの屋敷を作り、チェストを並べておくと戦利品の整理がしやすい


短い丸太を使って横ではなく縦に並べる方法もある



食事

食事を摂ることで最大HPとスタミナが増える

このゲームはレベルというものがなく、HPとスタミナ食事の質により確保される


食事を何も取らなければゲーム終盤でもHPは25程度である


草原などに生えているベリーやキノコや、生肉を焼いて食べることで60~80程度まで上昇する。HP100程度あれば黒い森のボスの攻撃も耐えられるはずである


廃屋などにある「蜂の巣」は弓で撃つことで破壊でき、女王蜂を入手することができる


女王蜂と木材で養蜂箱を作ることができ、定期的にはちみつを入手することができるようになる。そのまま食べてもいいし、中盤以降は醸造酒を作るために必要になる



戦闘

棍棒系の武器とを持てば大体の敵は倒せる


棍棒系は黒い森のスケルトンなどに特攻があり、また沼のボスにもよく効く。


トロールは弓を引き撃ちすることでノーダメージで倒せる(盾が強くなればパリィ)


連続攻撃するとすぐにスタミナが枯渇してしまうが、パリィを混ぜていくことで素早くMOBを倒せ、またスタミナも維持しやすい




総評

開発途中であるが雑な部分はほとんどない。ゲームのレベルデザインからUI成長曲線等、とても丁寧に作られていることがわかる


聞くところによると開発者は5名とのことである


小規模であることが奏功したのか、意味のないシステムをゴテゴテと飾り付けることはせず、シンプルにバランスと面白さを追求していったようであり、そこには引き算の美学のようなものすら感じられる


そうして要素を削っていったことで濃密な世界が誕生するというのも面白い


おそらく主導している人物のビジョンが明確なのであろう。感覚ではなく論理を重視する人物(簡単にいうと「面白いゲームを狙って作れる人」)であり、その点からいえば開発が迷走する心配はなさそうである


基本的にマルチ前提の難易度なので、ソロでかつ腕に自信がなければ沼の攻略に手を付けるまでを目安にプレイするといいかもしれない。その後は難易度が上昇し、多大な労力を要求される(鉄集めとか)


鉱物を所持してワープすることができないため、カーゴや船で運搬するか、あるいはワールド間運搬という裏技的な技で運ぶしかないのがやや不満である


アップデートで遊びやすくなったら進めるということも検討しつつ、建築しながらのんびり過ごすのも良いかもしれない


あくまでも開発中ということを頭に留めおいて、途中まで遊んでみるつもりならば、2000円という低価格ということもあり、オススメである


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