「Lies of P」(発売日9月19日)のデモ版レビュー
ソウルライク
これまで登場した本家以外のソウルライクゲームのなかで、最も本家に近い操作感である
※カメラの動きにウェイトがあり、その点でやや違和感があったものの、カメラの速度を落とすことで違和感は低減された
とはいえ全く同じというわけではない。スピード感はブラッドボーンよりも遅く、しかしダークソウルやエルデンリングよりは速い印象である
ちょうどブラッドボーンとダークソウルの中間あたりといったところだろうか
戦闘システムもフロムの過去作の特徴をブレンドした仕上がりだ
ステップ回避はブラッドボーンほどの万能感は無いが、ジャストガードはSEKIROの「弾き」を彷彿とさせる手応えがあった
言うなれば、ダークソウル系の戦闘システムに「ステップ回避」と「弾き」をブレンドしたような手触りである
しかしながらただコピーしただけなく、過去作を手本として研究を重ねてシステムを洗練、ブラッシュアップさせていったのだろうことが、ゲームをプレイしていると伝わってきた
ステップ回避、弾き、体幹、戦技、致命といったお馴染みの要素が、作中の世界観に合うよう調整されてシステムに落とし込まれている
導入された要素は多いが、どれもそれなりに有効で、しかし絶対ではない。その絶妙なバランスが丁寧で洗練された印象をもたらしていた
その他、武器の摩耗システム(武器を使い続けると攻撃力が落ちていく)はソウルライクというよりもモンスターハンターシリーズを彷彿とさせるものである
ただし武器を研ぐアクションがスピーディーかつスタイリッシュなので、ストレスにはならず、むしろ戦闘時のアクセントとして好印象だった
また操作面では、ガードと組み合わせることで二種のフェーブルアーツ(戦技)を使い分けられたりと、直感的に分かりやすいものとなっている
※ちなみにデモ版のボス「スクラップ警備員」はソロで倒した。クリア後に上手い人のプレイ動画を見たが、やや「弾きゲー」の要素が強いかもしれない
世界観
戦闘システムだけではなく世界表現も洗練されている印象を受けた
デモ版のステージは夕暮れ~夜の都市である。しかしそこはただ暗いのではなく、怪しげな光や物音、もの悲しい音楽に溢れている
ここに独特の美学を感じるのである
ソウルライクで夕暮れ~夜の都市というと、ブラッドボーンのヤーナムを想像されるかもしれない
筆者はそれに加えて「ディスオナード」や「バイオショック」の世界観に近いと感じた
どちらも好きな世界観なのだが、ここでもやはり単なるコピーではなく、幾つもの要素をブレンド、洗練させている印象を受けた
ディスオナードほど閉塞感はなく、バイオショックほど賑やかではないが、ヤーナムほど寂寥感はない
たしかに過去のゲームに似た雰囲気のステージは存在する。しかし「Lies of P」はそのどれとも違う独特の世界観が構築されていた
安っぽさは微塵も感じられない。理知的なバランス感覚のもとに、借り物ではない美学が貫かれている
システム
カスタム面では「刃」と「柄」の組み合わせを変更できるシステムが新奇である
筆者は活用しきれなかった(最初から最後までほぼ同じ武器を使用)が、ポテンシャルの高さは感じることができた
武器強化で強化できるのは「刃」の方である。強化してきた「刃」を新たな柄に組み合わせることで、それまでの強化素材を無駄にすることなく、新たな操作感・能力に変更することができるのは面白い
※刃と柄で使用できるフェーブルアーツが異なる
またデモ版ラストに少しだけ触れることのできた「Pオルガン」システム。これは要するにスキルツリー(スキル盤)なのだが、回避性能の強化や敵のダウン時間延長など、かなり強力なスキルが揃っている
上でステップ回避はそれほど有効でないと述べたが、スキルを取得することによって改善される余地はありそうだ
戦闘面では、パルス細胞(エスト瓶)を使い切った後、敵を攻撃することでチャージされるシステムが嬉しかった(攻撃し続けるとエスト瓶回復)
これについては、エスト瓶を消費しきったあとのギリギリの戦いも好きなので、全面的に賛成というわけではないが、敗者復活的な逆転劇を演出できる点は面白い
総評
完成度が高い。ひと言でいうのならこれに尽きる
「売れてるみたいだしソウルライクやってみようか?」というような安易な動機ではなく、過去のソウルライクゲーを分析・研究したうえで要素を洗練させている印象だ
まだデモ版をプレイしただけなので過言はできないものの、デモ版のバランス感覚が最後まで続くのだとしたら、高評価を受けそうである
ストーリー面では、一般的なスチームパンク物として最後まで突き進むのか、あるいは何か驚くような展開が用意されているのか、気になるところだ(個人的には後者が好み)
さて、本レビューでは「洗練」という言葉を多用した。洗練とは既にあるものを改良することを言う語である
しかし洗練は尖った特徴を削減していく作業でもある。ゆえに洗練が過ぎれば特徴のない平凡なものになりかねない
完成度が高く、欠点は少ない。けれども尖った特徴が無くてプレイ後に印象に残らない。あるいは最終的に80点ぐらいの作品に落ち着く、という可能性もある(まだデモ版しかやっていないので正確な評価は無理である)
ソウルライクあるいは死にゲーがジャンルとして定着した現在では、それだけではインパクトが弱いかもしれない
完成度の高さに加えて、尖った部分(ケレン味)がどれほど用意されているのか。それが楽しみな作品でもある
蛇足
筆者個人の最大の難点は発売日が「アーマード・コア6」(8月25日)と近いことである(本作は9月19日)
約一ヶ月の間隔はあるものの、アーマード・コア6に考察要素があるのだとしたら、発売日にはプレイできないかもしれない
※アーマード・コアは過去作を何作かやったことがあるものの、何一つ覚えていないので本格的な考察は無理だろうが、最新作に限った何らかの記事は書くと思う
また「Lies of P」はややアクション難易度が高めなので、衰えた反射神経でクリアできるか不安である
アーマード・コア6に夢中で忘れている可能性もある
エルデンリングのDLCの発売日も未知である
さまざまな要因により、残念ながら「Lies of P」をプレイ出来るか分からない
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