DLC 「Shadow of the Erdtree」 の現時点で想定できる舞台のうち、今回は「霊界説」をとりあげたものとなる(正確には霊界は通り道)
想定できる舞台の他のものについては以下
- 狭間の地の未来
- 狭間の地の過去
- 狭間の地の現在
- 夢の中
- その他の領域(狭間の地の内海の中心や外部)
黄金の影
Shadow of the Erdtreeを直訳すると「黄金樹の影」となる
この「影」が黄金樹が光を遮ることにより生じた暗い領域のことを指すのか、それとも比喩的に黄金樹の薄暗い部分を指すのかはわからない
後者だとしたら、黄金樹の影が表わすのは「闇、死、呪い」といった黄金樹の負の側面のことであろう
闇
闇に関しては、咎人たちがそこで血の星を見出したという「永遠の暗闇」がある
罰の茨
茨でその瞳を潰された咎人たちは
永遠の暗闇で、血の星を見出したのだ
※視力を失った状態を永遠の暗黒と表現したものとも考えられるが、実際に血の星を見出していることから、実在する領域であると考えられる
また永遠の都に滅びをもたらしたという「永遠の暗黒」にも通じるものがある
永遠の暗黒
それは、永遠の都の失われた魔術であり
その滅びをもたらした、絶望であったという
死
死に関しては封じられた影、と名指しされている運命の死(死のルーン)が関係していると思われる
死のルーンとは、即ち運命の死
黄金の律のはじまりに、取り除かれ、封じられた影(指読みエンヤ)
※厳密にはエルデンリングの影となろうか。しかし黄金樹はそのエルデンリングを根源としている
死のルーンに関しては本編で封印からの解放の物語が展開されたので、繰り返すとは考えにくい
ただし死のルーンは「宵眼の女王」にも繋がる概念である
神肌の使徒ローブ
神狩りの黒炎を操る使徒たちは
かつて、運命の死に仕えていたという
しかし、黒き剣のマリケスに破れ
それを封印されてしまった
神狩りの剣
かつて神肌の使徒たちを率い
マリケスに敗れた、宵眼の女王の聖剣
本編に未登場の宵眼の女王が「黄金樹の影」の一部として登場する可能性は充分にあり得るように思える
マリケスに敗れた彼女は死んでいる可能性が高い。なぜならばマリケスの名は、デミゴッドの死を意味するからである
グラングの獣爪
かつてグラングは、恐ろしい獣であったという
古き名が、デミゴッドの死を意味するほどに
よって宵眼の女王と邂逅するのであれば、その魂がさまよう地でなくてはならない
また死は死の根や死王子とも関連する概念である
民兵スケルトンの遺灰
止めを刺されない限り
何度でも甦る、死に生きる者たちの霊体
死の根に触れた者たちの穢れた末路
死の根
陰謀の夜、盗まれた死のルーンは
デミゴッド最初の死となった後
地下の大樹根を通じて、狭間の各地に現れ
死の根として芽吹いたのだ
魂だけの最初の死者とされるゴッドウィンであるが、本編ではほとんど関わらずにイベントが終わってしまった
死の呪痕
ラニは、肉体だけの最初の死者であり
故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ
しかし褪せ人が見えたゴッドウィンは正しくはゴッドウィンのすべてではなく「死んだ肉体のみ」であった
その死んだ魂とDLCにおいて邂逅する可能性もなくはない
呪い
呪いについてはいくつか該当するものがある
まず糞喰いのいう生命の宿痾、その醜い祝福としての呪いがある
…お前は、呪いを感じたことがあるか
恐れ、忌み嫌われる生命の宿痾。その醜い祝福を(糞喰い)
糞喰いの傀儡
数え切れぬ人を殺し、穢し
その死体に苗床の呪いを育てた男の霊体
背骨の大剣を振るい、呪詛を咆哮する
ラダゴンが赤髪であることも巨人の呪いだったろうかと疑われている
火の巨人の追憶
巨人たちは、皆一様に赤髪であり
ラダゴンは、自らの赤髪に絶望したという
それは巨人の呪いだったろうか
また血の君主モーグの数え上げる呪い、としても登場する
浄血の結晶雫
血の君主モーグの、恐るべき血の儀式
数え上げる呪いを浄化する
死を狩る者、Dとその双児も呪いと呼ばれている
分かたれぬ双児の剣
分かたれぬ双児は、黄金律に仕えた
それだけが、彼らを呪いと呼ばなかったから
マリカとラダゴンの刻印も呪いのように、と表現されている
マリカの爛れ刻印
強き使命は、その主を蝕む
まるで逃れ得ぬ呪いのように
ラダゴンの爛れ刻印
強き使命は、その主を蝕む
まるで逃れ得ぬ呪いのように
マリカの刻印は火の巨人に対しても行使され、火の巨人はそれによって永遠の火守りとなったという
火の巨人の追憶
火の巨人は、巨人戦争の生き残りである
釜の火が不滅であると知った時
女王マリカは、刻印の呪いを施したのだ
小さき巨人よ、永遠の火守りとして生きるがよい
そして霊廟騎士たちが自らの首を斬り落とすことも、霊としてこの地に留まるための呪いであるとされている
霊廟騎士の鎧(軽装)
背中の羽飾りは、死の鳥に由来する
それは、自ら首を斬り落とし、殉死した後に
霊としてこの地に留まるための、呪いである
これら様々な呪いのうち「呪いのようだ」や「呪いと呼んだ」という比喩表現としての呪いを除外すると、次のケースが実際の呪いに該当する
- 糞喰いの苗床の呪い
- モーグの血の儀式の呪い
- マリカが火の巨人に施した刻印の呪い
- 霊廟騎士の呪い
このうち苗床の呪い、刻印の呪い、霊廟騎士の呪いは直接的に死に関連する呪いである
苗床の呪いは死体を苗床として増殖し、刻印の呪いは火の巨人から死を奪うものであり、霊廟騎士は死んだのちも霊として狭間の地に留まるための呪いである(火の巨人と霊廟騎士は同一の効果を得ている)
血の儀式の呪いだけやや場違いな印象があるが、しかしモーグが姿なき母(真実の母)と邂逅したのは、地の底である
血授
地の底で、傷を望む真実の母に見えた時
モーグの呪われた血は、炎となった
そして彼は、生まれついた穢れを愛したのだ
エルデンリングにおいて地の底は「根の底」と呼ばれるが、日本の神話では根の国は「死者の国」である
闇、死、呪い
以上、本作に登場する「闇、死、呪い」の概念を検討してきた
これらの概念の総体が黄金樹の影であり、DLCの舞台はその黄金樹の影が属する世界である
なぜならば狭間の地の黄金樹は現時点で半透明であり、影が存在しないからである
よって黄金樹の影は狭間の地ではなく別の領域にあるということになる
そこは永遠の暗闇(暗黒)の領域である。そこは実在する世界であり、何らかの方法により接触することのできる領域でもある
またそこは「死」に近しい世界であり、宵眼の女王や、ゴッドウィンの魂と邂逅することの可能かもしれない世界である
そしてそこは、死に近しいゆえに呪いに関連する領域でもある
これらの条件に妥当すると考えられるのが「霊界」である(後述するが霊界は通り道)
ヘルフェンの尖塔
霊界において死者の道標となる灯火の樹
ヘルフェンの黒い尖塔を模した大剣
その灯火は祝福に似て
英霊だけが、それを見ることができるという
マリケスに敗れた宵眼の女王が死んだ後に行くところは、死者の国であろう
また魂のみを殺されたゴッドウィンの魂が辿り着く場所は、やはり死の国であろう
そこは永遠の暗黒の世界である。そこには血の星を見出すことができる領域であり、また呪われた血に力を与える外なる神や死の鳥たちの仕える外なる神の棲まう領域でもある
モーグウィンの聖槍
それは、呪われた血に力を与える
外なる神との交信の祭具でもある
真実の母は、傷を望んでいるのだ
双鳥のカイトシールド
色鮮やかな双鳥が描かれた盾
それは、外なる神の使いであり
死の鳥たちの母でもあるという
※双鳥は外なる神の使いであり、死の鳥たちの母。双鳥が仕える外なる神の名は不明
霊界
霊界において英霊は灯火の樹を道標にするという。つまり英霊は道標を辿ってどこかへ向かうようなのだ
ヘルフェンの尖塔
霊界において死者の道標となる灯火の樹
ヘルフェンの黒い尖塔を模した大剣
その灯火は祝福に似て
英霊だけが、それを見ることができるという
その行き着く先が、黄金樹の影のある領域なのかもしれない
なぜそこに黄金樹の影があるかというと、黄金樹が実体を失った際に黄金樹の影は霊体となって霊界に送られたからであろう
※黄金樹も生命の一種なので霊体になったら、何もしない限り霊界へ向かうと思われる。現在見えている黄金の半透明をした黄金樹は幻視の黄金樹である
葦の原野
DLCのコンセプトアートの一面に生える植物をこれまで麦類と考えてきたが、あるいはこれは葦(あし)なのかもしれない
エジプト神話に登場する「葦の原野」をモチーフとした世界と考えると、同じ死者の国である霊界と設定的に繋がるからである
葦の原野はある種の楽園である。死者は死後、地下の冥界ドゥアトを通り、楽園アアルで再生するとされた
つまり霊界を通ることでDLCの世界へ到着するのである
そこは楽園であり、葦の原野の広がる土地であり、また死者たちの住む領域でもある
黄金樹の影
霊界を通った先にある死者たちの楽園に黄金樹の影はそびえ立っている
そこは宵眼の女王やゴッドウィン、真実の母たち外なる神、夥しい数の死者たちの国であり、永遠の暗闇の世界である
DLCのコンセプトアートが暗いのも、光源が限られているからであろう
おそらくこの世界の最も大きな光源は、黄金樹の影が宿している黄金の滴り、もしくはエルデンリングの欠片なのであろう
黄金のゴッドウィン
その黄金樹の影はもう一本の謎の大樹に絡みつかれている
青線が黄金樹の影、赤線が絡みつく謎の大樹 |
恐らくこれはゴッドウィンが変容した姿であろう
なぜならば狭間の地にある黄金樹の根本には、死王子となったゴッドウィンが埋葬されているからである
魂のみを殺され、その果てに楽園に至ったゴッドウィンは、肉体が死に生きる者となった影響で魂もまた変容し、一体の樹木竜(黄金樹竜)となって黄金樹の影を絞め殺し、噛み砕くに至ったのである
赤線が樹木竜 |
ゴッドウィンが樹木竜となった根拠としては、彼が黄金樹に連なる者であること、また古竜と友誼を結んでいたことが挙げられる
彼の魂には黄金樹に連なるとしての樹の性質と、古竜との交わりにより生じた竜の部分の双方が宿っていたのである
分かたれぬ双児、Dのように、ゴッドウィンにはひとつの魂のなかに樹と竜の二つの性質が宿っていたのである
双児の鎧(軽装)
分かたれぬ双児、Dは二人いる
二つの身体、二つの意志、そしてひとつの魂
共に起きることはなく、言葉を交わすこともない
※ゴッドウィンの二つの身体とは、死王子としての肉体と、霊界にある霊体となる
その魂が楽園において純粋な形を取ったとき、それは樹木の竜となって現れたのである
しかし彼の肉体は死に生きる者であった。その影響が彼を狂わせ、黄金樹の影を攻撃するに至ったのである
ミケラはそんな彼を正しく死なすために、霊界を通って楽園に来たのかもしれない
黄金の墓標
デミゴッド最初の死者たる
黄金のゴッドウィンを弔う墓標剣
少年の静かな祈りが込められている
兄様、兄様、正しく死んで下さいな
※神人眠りの繭に入っているのはミケラの肉体のみであって、ミケラの霊体は霊界へ旅立っている。よって彼がモーグに応えることはない
もしゴッドウィンがボスとして登場するなら、爛れた樹霊の強化版みたいな感じになりそう
返信削除爛れた樹霊も樹とドラゴン?の要素を備えているし
爛れた樹霊もドラゴンっぽいですね
削除もしかすると黄金樹の霊体は竜の姿をしているのかもしれません
いつも考察興味深く拝見しています。一点だけ気になったのですが、霊廟騎士の呪いは文脈的には「のろい」というより「まじない」と読むのが適しているのではないかと感じました(どっちも大差ないと言えばそうなのですが……)。「のろい」に焦点を当てるのであれば若干コンテクストが違ってくるんではないかと。特に根拠はない個人の感想です
返信削除ご指摘ありがとうございます
削除英語テキストを確認したところ「A self-inflicted curse」とあり、
「まじない」よりも自傷的な「のろい」のニュアンスの方が強いかなと思いました
フロムの使う感じは読みの解釈が難しいものが多いので私も自信はないですが…