本来ならば本稿の改稿をするべきだが、修正箇所が本文のあちこちに及び手に負えなくなりそうなので独立した異説として記そうと思う
なお、この点を訂正してもゲールマンの悲劇性はそれほど減じないので、本稿への影響もほとんどないと思われる
オドン影響説の論拠
1.マリアがカインハーストの血を引いていること2.マリアという名前のもつ重要性
3.ベルセルクとの類似性
1.に関しては作中に登場するカインハーストの血を引く女性がオドンの子を妊娠していることから、マリアもまたオドンの子を妊娠したのではないかと思われる
赤い月があらわれるのは上位者が到来する時である(月の魔物に限定していない)
よって、ゴースが死体とはいえ漁村にあらわれたとき、赤い月も上がった可能性が高い
赤い月の夜、人の境は曖昧となり、オドンは穢れた血(ヤーナム→カインハースト)を受け継ぐ女性を孕ませることが可能となる
本編のアリアンナと同様にマリアはオドンの子を死産しただろう
その死んだ子に目を付けたのが狂熱に焦がされるゲールマンだった
ゲールマンは愛弟子の死んだ赤子を取り上げ、儀式の材料としたのだ
後に彼は深く後悔し、永い弔いと贖罪の道へと進む
さて話は変わるがDLCに登場するブラドーの名は、ドラキュラのモデルである串刺し公「ヴラド・ツェペシュ」からきていると思われる
なぜ吸血鬼的な名を持つブラドーが秘密を探る者を始末しているのか。それは、この秘密が吸血鬼(カインハースト)であるマリアの、ひいては血族の秘匿せねばならない恥であったからだろう。おそらくマリアは貴族の中でも高い位階に属していたと思われる(頂点の可能性も)
貴族的なカインハーストの美意識において、異形の子を産むというのは恥辱的なことであったと思われる(あるいはブラドーはマリアの近い肉親だったのかもしれない)
2.マリアという名前のもつ重要性
宮崎氏はインタビューで名前の重要性を述べていることから、何の理由もなくマリアという特別な名前をつけるはずはないと思われる
西洋ではマリアという名は当然のごとく聖母マリアに関連付けられる
処女のまま懐胎し、神の子イエスを産んだ聖なる女性だ。
さてイエスを産んだマリアだが、彼女は独り身のままイエスを育てたわけではない
イエスにはヨセフという養父がいた。このマリアとヨセフとイエスは聖家族としてキリスト教においては家族の理想として語られることも多い。
この聖家族の構造を本作に当てはめてみる
マリア=時計塔のマリア
ヨセフ=ゲールマン(あるいはオドン)
イエス=ゴースの遺子(オドンによって身籠ったマリアの子)
となる。
このことが3.へとつながってゆく
3.ベルセルクとの類似性
ソウルシリーズにおける『ベルセルク』の影響は甚大でそこかしこにベルセルク・オマージュが見受けられるが、そのオマージュは本作における聖家族にも及んでいる
上記の聖家族の構造を当てはめてみる
マリア=時計塔のマリア=キャスカ
ヨセフ=ゲールマン=ガッツ
イエス=ゴースの遺子=幼魔
ここで幼魔について説明したいと思う
幼魔とは身もふたもない言い方をすれば、ガッツとキャスカの子が胎児のうちにフェムトの魔性に侵され、呪われた者として誕生した存在である
これを本作に当てはめるならば、ゲールマンとマリアの子が胎児のうちにオドンの影響を受け、異形の者として誕生する、となる
実際のところ単純にオドンの子を産んだ(死産した)と考えてもいいかと思う
その場合、死産したマリアとオドンの子をゴースの胎内に戻すことで上位者として再誕させた、となる
共通するのは、胎児(赤子)が魔性の影響を受け尋常でないモノに変異する、という構造である
さてベルセルクの幼魔はグリフィスがフェムトとして現世に顕現する際の依り代となり、その影響で元の胎児と分離し、黒髪の少年としてガッツの前に現れる(という仮説がある)
つまり幼魔はフェムトと黒髪の少年に分かれることになるのだ
この二通りの在り方は本作においては双子の悪夢として登場する
一方は月の魔物に取り込まれて狩人の夢となり、もう一方は狩人の悪夢となったのだ
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