まとめ

まとめページ

2020年9月28日月曜日

Bloodborne 考察まとめ4 3本目のへその緒

3本目のへその緒

3本目のへその緒とは比喩であり、生物学的にいう「へその緒ではない

このアイテムの本義は別名の「瞳のひも」のほうである


3本目のへその緒

別名「瞳のひも」としても知られる偉大な遺物

上位者でも、赤子ばかりがこれを持ち

「へその緒」とはそれに由来している


すべての上位者は赤子を失い、そして求めている

故にこれは青ざめた月との邂逅をもたらし

それが狩人と、狩人の夢のはじまりとなったのだ


使用により啓蒙を得るが、同時に、内に瞳を得るともいう

だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった


そこでまず最初に「瞳のひも」のうち「」について考察してみたい



脳の瞳に関しては前回考察したように各陣営求めるもの、そして実際に得られたものが異なっている


このうち今回の話で重要なのは実験棟の瞳である。過去の考察実験棟の希求した瞳とは、精霊の卵である述べた


精霊の卵は人の脳内で孵化すると啓蒙(=神秘)をもたらし、やがて宿主を苗床へと変異させてしまう


しかし実験棟のレベルでは上位者には至れず、上位者のなり損ない「失敗作たち」を生み出すのが関の山であった


しかし確かにそれは人を人ならぬものに変異させる「」ではあったのである




ひも

次に「瞳のひも」の「ひも」について考察してみたい


ゲーム内において「ひも」という名を持つアイテムがもう1つある


生きているヒモ

メンシスが悪夢で得た巨大な脳みそは

確かに内に瞳を抱き、だが完全な出来損ないであった

その瞳は邪眼の類いであり、脳自体は腐りきっていた


しかし、それはやはり上位者であり、遺物を残す

特に生きたものは、真に貴重である


ひらがなの「ひも」とカタカナの「ヒモ」の違いはあれど、音としては同一であり、また瞳のひもひも部分生きているヒモとは、その特徴的な渦巻き形状などよく似ている


瞳のひもは左回り、生きているヒモは右回りの渦であることは示唆的である


過去の考察(補遺:生きているヒモ)で、硬直的な形状、またその赤色から生きているヒモを「虫」の一種と結論づけた(メンシスの脳が出来損ないであったのは、この虫が寄生していたからである)


さて、獣性の考察において、人を獣に変異させるのは「虫」であるという考察を述べた


この虫は「獣の上位者(Great One Beast)」から呪いとしてもたらされ、呪いは虫となって人の血に棲み人を獣化させるのである


獣は呪い、呪いは軛

そして君たちは、教会の剣とならん(流浪の狩人、ヤマムラ)


すなわち精霊は上位者の先触れとされるが、虫も上位者の先触れなのである


この二者は神秘と獣性を世界にもたらすものであるが、その背後(あるいは上方)には、彼らの上位存在がやはり対立構造を保持したまま位置しているのである


右下の「獣血」は「血質」と読み替えても良い(ステータス基準)



上位者の赤子

しかしながら、「すべての上位者は赤子を失って」おり、彼らが赤子を作れるのは女王ヤーナムのように特殊な血を持つ者を妊娠させた時だけである


トゥメル人は神秘の知恵(啓蒙)と獣血(獣性)をもつ種族である。つまり不完全ながらも統合させた「青ざめた血」をもつ者たちなのである

不完全である理由は、彼らの体内で神秘のと獣性のとが完全に融合されていないからである。神秘は知恵として、獣性はとして個々に存在している。とはいえ一個体の中に同時に神秘と獣性とが宿っているという状態は、青ざめた血の擬似的な再現である


青ざめた血の擬似的な再現とはいえ、それは「赤い月の接近」と同じ現象を引き起こす

すなわち、二つの世界の境が曖昧になり、両者が統合されることで上位者の赤子が誕生するのである

こうした現象により女王ヤーナムは、上位者の赤子を身ごもれるのである


そうして生まれるのが「上位者の赤子」であるが、上位者青い神秘赤い獣性融合した彼らの血は完全な「青ざめた血」である


つまり悪夢の住人である上位者は、現実世界の住人の血を利用することで、現実世界にその器(肉体)を獲得することができるのである

※ここでいう夢と現実は一般的な、形而上学的世界形而下的世界を言うのではなく、世界の二つ面のことである。すなわち夢も現実も確固として存在している。しかし人間には夢の面を見ることが難しいのである


つまり上位者の赤子とは、現実世界にも悪夢の世界にも存在することのできる、「青ざめた血」を持った上位者のことである

※故に古代トゥメル人は「特別な赤子」を抱くことが出来たのである



瞳のひも

さて、ようやく本題に入る

青い神秘赤い血が統合されることで誕生する「上位者の赤子」、その赤子とともにあるのが「瞳のひも」である


上位者の赤子とは要するに、上位者とトゥメル人との神秘的な交わりによって誕生した生物学的な子孫である


しかし、赤子に付随する「瞳のひも」とはなんであろうか


まず「瞳」とは、精霊の卵である

次に「ひも」とは、である


精霊は神秘を象徴し、虫は獣性を象徴するものである


上述したようにこの両者は、神秘の上位者と獣の上位者からもたらされるものである。すなわち、神秘と獣の上位者に属する生物である


上位者とトゥメル人の神秘的な交わりにより、その二者の生物学的な子孫が誕生する。だがそれだけではない。同時に彼らに属する精霊と虫とが交わることで精霊と虫の生物学的な子孫も誕生するのである


もう一度言う、瞳とは精霊の卵である、ひもとは虫である


この両者の交わりにより誕生するのが「瞳のひも」である

瞳(精霊)ひも(虫)瞳のひも




そして精霊が人を苗床にしたように、また虫が人を獣にしたように、「瞳のひも」は人を上位者の赤子にするのである


なぜなら「瞳のひも」は上位者の赤子と同じように、完全に統合された「青ざめた血」をもつからである

※一般的に、人間のような複雑な生物よりも単純な生物のほうが形態や性質が変化しやすい


3本目のへその緒を使用すると青ざめた血のエフェクトが出るのはこのためである(左は狂人の智慧使用時)


上位者の叡智にも血のエフェクトは出ない。血のエフェクトが追加されるのは3本目のへその緒のみである


3本目のへその緒とはいわば青ざめた血の虫の卵、すなわち上位虫の卵である


※新規エリアに到達した際の啓蒙取得エフェクトにも微かに青ざめた血を確認できる。これは狩人の体内に青ざめた血の虫の卵があるからともいえる。狩人が最初に受けた血の医療、その源には青ざめた血の聖血があるからである



内の瞳

以上により、3本目のへその緒のテキストの意味が理解できる


3本目のへその緒

使用により啓蒙を得るが、同時に、内に瞳を得るともいう

だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった


使用、とは上位虫の卵を寄生させることである

寄生すると同時に卵は孵化し、狩人は啓蒙を得る

孵化した上位虫により、狩人に青ざめた血がもたらされる

青ざめた血とは上位者の血であり、「」である

瞳の数が充分な数であれば(3本)、狩人は上位者の赤子に変異する

すなわち青ざめた血とは、狩人における「」の比喩である


「上位者の死血」。赤い血に青い神秘が混ざった「青ざめた血」は、「瞳」のように見える


※瞳を上位虫の卵としてもよいのだが、啓蒙を得ることと瞳を得ることの順序を厳密に守ると、このような解釈となった




3本の3本目

3本目のへその緒を3本使うことで狩人は上位者の赤子に変異する。なぜ3本かはゲーム内の設定から言えば、アデラインは脳液を3個使うことで苗床になったことから説明される


すなわちブラッドボーンの世界では、人間に寄生する精霊なり虫の卵3個使うことではじめて人を完全変態させうる力をもつのである

※3個設定はゲーム的な都合と解釈することも可能であり、その都合の必要のなかったロマなどは瞳のひも1個で上位者になったのかもしれない


※また学長ウィレームの言葉「我ら血によって人となり、人を超え、人を失う」を、1本目により人となり、2本目により人を超え、3本目により人を失い上位者になると解することも可能かも知れない(狩人夢の存在として人以前の存在と前提)



赤子

たんに上位者になるだけではなく上位者の「赤子」になる点については、獣性の側から説明可能である


女王アンナリーゼは血の穢れ(寄生虫の幼生)を啜る。血族の悲願、血の赤子を抱くためである


血の穢れ

故に彼らは狩人を狩り、女王アンナリーゼは

捧げられた「穢れ」を啜るだろう

血族の悲願、血の赤子をその手に抱くために


つまりブラッドボーンの世界では、虫は血の赤子に変異するのである


狩人が変異した上位者の赤子は、確かに血の赤子である。ただしその血は「青ざめた血」であり、いわば「青ざめた血の赤子」といえるものである


そして完全に統合された青ざめた血を持つものは「上位者」になる


よって狩人は上位者の赤子になったのである



狩人

幼年期のはじまりEND」の狩人は、ただの上位者の赤子ではなく、「人の進化は、次の幼年期に入ったのだ」と言われる存在である


ここに言うとは「血」をもつ生物学的な人のことである


人の血を捨て上位者になるのではなく、人の血を有したまま上位者になる。そのことが人が「血」を克服することであり、人の進化の次の段階をあらわすものなのである


またスタート地点にある「青ざめた血を求めよ。狩りを全うするために」の青ざめた血とは、月の魔物のことであると同時に、自らの内に青ざめた血を得ること、すなわち上位者の赤子になることをも意味している


それにより全うされる狩り、とは人類の血に潜む獣性を克服したことを意味し、逆に血に潜む獣性を克服できなければ狩りは全うされたとはいえないのである


ジョーゼフ・キャンベル的に言えば、英雄は未知の世界を旅し、数々の試練をくぐり抜けた後に、父(オドン)と一体化し、自ら神となって現世に帰還、世界に新しい力をもたらしたのである






2020年9月20日日曜日

Bloodborne 考察まとめ2 聖血(第三版)

本題から離れた部分が多く冗長になっていたうえ、重大な事実誤認もあったので全面的に書き直した

※ローレンスの頭蓋について追記


聖体

聖血がどこからやって来たのかはアルフレートが述べている


狩人なら知っているでしょう。ヤーナムの地下深くに広がる神の墓地

かつてビルゲンワースに学んだ何名かが、その墓地からある聖体を持ちかえり

そして医療教会と、血の救いが生まれたのです(血族狩りアルフレート)


つまり聖体から「拝領」された血を崇拝対象としたのが医療教会である(聖体拝領である)


さて、聖体は墓地から持ちかえられたものという


神の墓地、すなわちトゥメル系ダンジョンには「女王殺し」と呼ばれる古狩人が登場する

※この当時まだイズの奥部には到達しておらず、またローラン遺跡には神にふさわしいボスはいない

事実彼は女王を殺したのであろう。そして彼はプレイヤーが女王ヤーナムを倒したときと同じものを手に入れたのである


ヤーナムの石である


これがビルゲンワースに持ちかえられた聖体であり、聖血の源なのである


ヤーナムの石

トゥメルの女王、ヤーナムの残した聖遺物


女王の滅びた今、そのおぞましい意識は眠っている

だが、それはただ眠っているだけにすぎない…

※ローレンスの頭蓋については後述する


ヤーナムの石

テキストからは眠っている意識がヤーナムのものなのか、あるいは産み落とされた何者のものなのか判然としない


女王の滅びた今」とあることから後者のように思えるが、英語版では「彼女の恐ろしい意識」とあることから女王自身の意識のようにも読み取れる


Yharnam Stone

The Queen lies dead, but her horrific consciousness is only asleep, and stirs in unsetting motions.


また没イベントの一つに、このヤーナムの石がゴースの遺子として扱われるものがある(詳細は→Bloodborne 没データ「ヤーナムの石」)。加えてグラフィック的には子宮内の胎児のようにも見える




事実はどちらか? 


どちらでもありどちらでもない


ヤーナムの石受肉しそこねたメルゴーの器であり、今そこに宿っているのは女王ヤーナムの意識なのである


メルゴーはおよそ尋常な生まれ方はしなかった。ゲーム上で彼は泣き声としてしか存在せず、その肉体はいっさい表示されない


なぜならばメルゴーは生まれる前に「奪われた(死産した)」からである


残されたヤーナムの胎児は宿るべく意識を持たず、女王ヤーナムは生まれることのない胎児を身籠もり続けていたのである


そして女王は女王殺しに殺され、その胎児はヤーナムの女王の意識を宿したまま奪われたのである(女王ヤーナムは自らの子を二度奪われている)


女王の意識はビルゲンワースが悪夢に取りこまれる過程で石から離れ意識体としてさまようことになる。狩人が出会う女王ヤーナムは彼女の意識(遺志)である



ヤーナムの胎児

さて、胎児の体内に流れていたのは父であるオドンの神秘と、胎盤を通じて供給されるヤーナムの血である


神秘の青血の赤が混ざり合い、その血液は「青ざめた血」となる


同時に胎児は「上位者の赤子」として上位者でもある(肉体のみであるが)


つまりヤーナムの石とはこの世に顕現した上位者の聖体なのである


その聖体から流される血こそが「聖血」なのである


まとめると聖血とはこの世に顕現した「上位者の血」であり、そしてそれは「青ざめた血」なのである


拝領とは死産した胎児から血を抽出することに他ならない。本作において拝領が具体的な形で描かれたなかったのは、倫理的にアウトだからかもしれない


古い血

聖血は英語版では古い血と呼ばれる


聖血を得よ

Seek the old blood.


偽ヨセフカに身を窶(やつ)した男を送ると、「ついさっき、治験者を受け入れたわ。今度は、古い血を試すつもり」というセリフが聞ける



また、その直後に「どうあれ、有意義な治験になる。あなたのおかげよ」と続ける


タイミング的には治験者を受け入れた直後であり、これから有意義な治験が行なわれる、と告げているのである


つまりこの時点で偽ヨセフカは治験者に対してまだ「血の医療」を施していない


だが、狩人が裏手からヨセフカ診療所に侵入すると、すでに血の医療を施されてしまったのか、変わり果てた姿の身を窶した男と遭遇する


モーションは身を窶した男と同じである


つまり身を窶した男は「古い血」によって星界からの使者に変異したことになる


この変異が起きるのは「古い血」すなわち「聖血」に上位者由来の青い神秘が混じっているからである


それはメルゴーの聖体から拝領された「青ざめた血」であり、その根源的な神秘の力により、身を窶した男は獣性の力を押さえ込まれ、神秘の身体を得たのである



星界からの使者

身を窶した男が変異したのは星界からの使者である


つまり身を窶した男はメルゴーの血(古い血、聖血)によって星界からの使者に変異したことになる


星界からの使者はエーブリエタースの関与によって変異したものと考える向きもあるが、しかし、エーブリエタースの関与によって人が変異するのは「星の子ら」である


オドンとアリアンナの赤子が「星の子ら」であり、またエーブリエタースが「星の娘」と呼ばれていることからも分かるように、この両者にはつながりがある


一方で星界からの使者は形状的にタイプが異なる。とはいえ名前は「」と「星界」と似通っていてまったく無関係とも考えにくい


つまり【星の娘、星の子ら】と【星界からの使者】は異なる系統であるが、しかしそれほどの違いはなく、いわば近縁種と呼べる関係性にある


この微妙な近縁性は両者の親が共にオドンであることから発生している


つまり星界からの使者はエーブリエタースの系統ではなく、オドンから生まれたメルゴーの系統である

すなわち、古い血によって身を窶した男が「星界からの使者」になるのは当然のことであり、これによりそれ以前に偽ヨセフカが使用したも明らかになる


※上位者になるかならないか、についてはまた別の要因がある



ローレンスの頭蓋

古い血に対比される新しい血とは、つまるところ「ローレンスの頭蓋」の血である


アルフレートは聖体について大聖堂に祀られているとも証言している


血の救い、その源となる聖体は、大聖堂に祀られていると聞いています(血族狩りアルフレート)


現時点において大聖堂に祀られているのはローレンスの頭蓋である


アルフレートの証言を両方とも真実とするのならば、聖体とは神の墓から持ち帰られたローレンスの頭蓋、となる


しかしながら、医療教会や血の救いを生んだ聖体をローレンスの頭蓋とすることは、時系列的な矛盾を生じさせる


生きているローレンスが、自らの頭蓋を用いて医療教会を生んだことになるからである



ローレンスの聖体に対するこの二つの証言真実とするのならば、論理的にありえるのは聖体が2つある、ということである


つまり、医療教会や血の救いを生んだ聖体と、現時点で大聖堂に祀られている聖体は別物なのである。これを説明したのが以下の図である


ビルゲンワースの時代に神の墓から持ち帰られた聖体は、医療教会と血の救いを生んだのである。だがその後、その聖体は遺失されたか破壊されたかして失われてしまった


そして第1の聖体が失われた後に聖体として祀られたのが、ローレンスの頭蓋だったのである


※ローレンスの頭蓋は医療教会の礎となったとインタビューで語られていることから、第1の聖体が失われたのは医療教会設立の直後、あるいはその直前であろう


ローレンスの頭蓋の根源をたどるとヤーナムの石に行きつく。すなわちローレンスの頭蓋にはメルゴー由来の神秘が満ちているのである


メルゴーの古い血が患者を「星界からの使者」にしたのならば、ローレンスの頭蓋から抽出された神秘が患者を「星界からの使者」にするのも不思議ではない


なぜならば、その両者に宿る神秘は同じメルゴーの神秘だからである


頭蓋からあふれる神秘により、ローレンスの頭蓋の頭蓋は第2の聖体として祀られたのである。そしてそれは初期医療教会の礎になったのである



苗床

祝福(精霊に寄生されること)を望み拝領を得た者は星界からの使者となり、逆に獣の誘惑に屈した者は獣化する


この変異の違いを言葉にしたものが、エミーリアの説教である


聖血を得よ

祝福を望み、よく祈るのなら

拝領は与えられん

拝領は与えられん

密かなる聖血が

血の渇きだけが我らを満たし、また我らを鎮める。聖血を得よ

だが、人々は注意せよ

君たちは弱く、また幼い

冒涜の獣は蜜を囁き、深みから誘うだろう

だから、人々は注意せよ

君たちは弱く、また幼い

恐れをなくせば、誰一人君を嘆くことはない


蛇足

最初に書いたものがあまりに冗長であり、事実誤認もあったので書き直した

血の聖女やカインハーストについては別にまとめるかもしれない

2020年9月17日木曜日

Bloodborne 考察40 上位者の獣

 未使用データには「Great One Beast」というボスが存在する


直訳すれば上位者の獣となるが、名前やその姿からも分かるように「獣タイプ」の上位者である

Bloodboner Wiki より転載「Great One Beast
Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License

獣タイプの上位者は珍しく、他には月の魔物に獣の特徴が一部認められるくらいである


本考察ではブラッドボーンにおける「Great One Beast」の位置とその意味について考察してみたい


獣の病

獣の病が上位者の呪いであり、その原因がであることは過去の考察で何度か述べている


しかしその虫のさらなる根源、つまり虫を送り込んだ者については単に上位者としてのみ扱ってきた


※これは何も出し渋っていたわけではなく、漠然とした方向性はあったものの明確な答えを見いだせていなかったからである


結論としては虫の根源は「Great One Beast」である


というのも、オドンやエーブリエタースに代表される「神秘系上位者」が人を苗床にし、Great One Beastという「獣系上位者」が人を獣化させると考えると、構図がすっきりするからである


しかもこの構図は本作の各所に見られる「神秘と獣性の対立」の構図と完全に一致するのである


神秘vs獣性

神秘と獣性啓蒙と獣性の関係としてシステムに落とし込まれているが、この対立構造はそれだけにとどまらず、本作の世界全体に浸透している


つまりオドンに代表される神秘系上位者と、上位者の獣という獣系上位者対立構造が世界設定にうかがえるのである


これはクトゥルフ神話旧神と邪神対比することが可能である


一般的に旧神宇宙や星(星の戦士など)と関連付けられ、宇宙各地で邪神を封印してきたとされる。かつて地球を支配していた邪神たちも旧神によって封印され、今は旧支配者と呼ばれている


これを本作に適用すると、オドンに代表される神秘系の上位者たちは旧神勢力であり、彼らに封印された上位者の獣は旧支配者となる


作中に登場する概念に旧支配者を探すと「旧主」が当てはまる。これを裏打ちするかのように、旧主の番犬は「」の姿をしている

Bloodboner Wiki より転載「旧主の番犬
Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License


すなわち旧主とは「Great One Beast」であり獣タイプの上位者なのである


旧主の眠り(封印)を守る番犬が獣の姿をしているのは、血を持つが故に影響を受けて獣化したからであろうか(後述するが旧主の番犬は旧主の従僕ではなく、旧主の牢獄を見張る獄卒である)


一方、業火に焼かれた番人血のない灰であるがゆえに獣化することなく人の姿を保持している(罪人がその番にあたったことからも分かるように、番人は名誉ある任務ではない


番人と番犬は封じられた旧主を見張っているのである(それはある種のとして)


だが、封じられている旧主はただ漫然と眠っているわけではない(眠り=封印については後述する)


旧主の遺志は封印を突き抜けて、さらに悪夢を介して(このあたり大祭司クトゥルフと同じメカニズム)、現実世界へともたらされたのである


※海底都市ルルイエに幽閉され眠っている大祭司クトゥルフは、普段は海の水(大量の水!)に遮られて人に干渉することができないが、まれに夢を介して人間に干渉するという


遺志は呪いとなり、それはとなって世界にもたらされ、生物の血液に寄生し、やがて宿主を獣化させていったのである

※上位者の獣から受け継いだ「血」そのものに獣性が宿っていた、という考え方もできる。その場合、は獣の病を発症させるスイッチのようなものかもしれない


青ざめた血の考察において上位者の祝福が聖霊上位者の呪いが虫という図を出したが、より適切になるよう修正を加えた図が以下である

右下の「獣血」は「血質」としても良いかもしれない

聖霊を送り込む上位者と、を送り込む上位者とは別個体なのである


そしてそれはクトゥルフ神話における旧神と邪神の関係と同じ、封印する者と封印された者という構造を保持しているのである


業火

旧主の番人たちはその姿と魂を業火に焼かれ、灰として永き生を得たという


これまでこの業火を旧主の属性としてきたが、実はそうではない。この炎は上位者の獣を封印するための炎の檻なのである


大量の水封印(断絶)の比喩であるように、業火もまた封印(断絶)の比喩なのである(水と炎の同一性については次の項)


そこに幽閉されているのは、神秘を宿敵とする獣性の上位者、「Great One Beast」である


業火によって断絶(封印)され、眠っている上位者の獣は自身が創造した悪夢の中に棲んでいる


しかし何らかのタイミングで悪夢と現実世界とが接近したとき、上位者の獣は捕らわれた自分の代わりに呪いを送るのである。すなわちである


※かつて上位者の怒りに触れて滅びたとされるローラン。その上位者とは「Great One Beast」のことであろう


火と水

大量の水眠りを守る断絶とされる


「湖」

大量の水は、眠りを守る断絶であり、故に神秘の前触れである

求める者よ、その先を目指したまえ


一方で旧主の眠り(封印)を守る番人は業火に焼かれたという


火と水という正反対の概念が登場し、双方ともに眠りを守っていることになる


この2つ別々の封印(眠り)のことを指しているか、あるいはどちらかが正しくどちらかは間違っていると解釈しそうになる


だがここにいう「火と水」とは神話学的に言えば「同一のエネルギー」なのである


基本的に相反する組み合わせの火と水の背後にあるエネルギーはひとつであり、同じものなのである。(『千の顔をもつ英雄』ジョーセフ・キャンベル)


同一のエネルギー、すなわち神秘である


獣性や血の根源である上位者の獣神秘の檻に幽閉され、眠りながら復活の時を待っているのである


そしてまれに条件が揃うと呪いを世界に送り込み、それは生物の血に潜むとなって、その生物を淀ませるのである



中空構造

SEKIROの考察で世界設定の中央にある部分が意図的に消去されている、ということを述べたことがある

この構造はおそらく宮崎氏の関わったゲームに特徴的な構造であろう

ブラッドボーンにおいてもその構造を見いだすことができる

ブラッドボーンの世界設定の中央に位置し、世界そのものを支える重要な役割を持ちながら、しかしその存在が意図的に消去されている概念がある

それが「Great One Beast」なのであろう

※ブラッドボーンにおいては、神秘の上位者と獣の上位者という二つ柱かもしれない


蛇足

動画補足のための考察なので「考察まとめ」には入れなかった。そのうち世界構造の考察まとめをするときに触れる予定である

Demon's Souls Gameplay Trailerの感想とか【訂正】

訂正:時限独占の情報については表記ミスの可能性が大きい

Playstation 5 Showcase のまとめとか

とりあえず最初にPS5の値段と発売日とか

発売日は11月12日 ¥の値段は税別

Demon's Souls Gameplay Trailer

では本題「Demon's Souls - Official 4K 60FPS Gameplay Trailer」によれば、デモンズソウルはいわゆる時限独占で、後日PCでも発売される予定時限独占については表記ミスの可能性大)


Not available on other consoles for a limited time. Also available on PC.

Not available on other consoles for a limited time. Also available on PC.
DeepL翻訳「他のコンソールでは期間限定で販売されていません。PCでもご利用いただけます。

Playstation BlogによればPS5本体に合わせて発売


感想

暗い場所から明るい場所に出たときなどの光の表現が素晴らしく、プレイ中のどの場面を撮っても「絵になる

またコマ送りしながらSSを撮っていたのだが、敵のモーションがより細かくなっている

一部、主人公の歩きモーションがやや内股気味なのと敵の攻撃が軽いのが気になったが、後者についてはボスの攻撃などでよろめく姿も確認できることから、Trailer用にあえて敵を弱くしたものとも考えられる(一撃で倒せるくらいに?)

死亡したときの「YOU DIED」のフォントは議論を呼びそうな感じがする

※プレイヤーのに関しては生身とソウル体で表現を変えているのかなと思いました(こなみ)

続いて気になった箇所の画像など

逆さまの聖者像。ヤーナムの旧市街でも見かけたような…








刺してねじるバクスタ



敵を浮かせてからのたたきつけ致命



暗部から光の中へ

表現力が増している

拡散の尖兵 お腹から飛び出た軟体部位が気になる…


YOU DIED

タカアシ鎧蜘蛛


炎の直撃を受けると全身から血が吹き出す

賛否のあったつらぬきの騎士。空は曇ってます

飛竜

ガーゴイルガーゴイル

賛否のあった炎に潜むもの

嵐の祭祀場


ガーゴイルの石の表現がわかりやすく


Elden Ringみたいに砕けます


愚か者の偶像ではなく、4-2に登場する死神です