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2020年9月20日日曜日

Bloodborne 考察まとめ2 聖血(第三版)

本題から離れた部分が多く冗長になっていたうえ、重大な事実誤認もあったので全面的に書き直した

※ローレンスの頭蓋について追記


聖体

聖血がどこからやって来たのかはアルフレートが述べている


狩人なら知っているでしょう。ヤーナムの地下深くに広がる神の墓地

かつてビルゲンワースに学んだ何名かが、その墓地からある聖体を持ちかえり

そして医療教会と、血の救いが生まれたのです(血族狩りアルフレート)


つまり聖体から「拝領」された血を崇拝対象としたのが医療教会である(聖体拝領である)


さて、聖体は墓地から持ちかえられたものという


神の墓地、すなわちトゥメル系ダンジョンには「女王殺し」と呼ばれる古狩人が登場する

※この当時まだイズの奥部には到達しておらず、またローラン遺跡には神にふさわしいボスはいない

事実彼は女王を殺したのであろう。そして彼はプレイヤーが女王ヤーナムを倒したときと同じものを手に入れたのである


ヤーナムの石である


これがビルゲンワースに持ちかえられた聖体であり、聖血の源なのである


ヤーナムの石

トゥメルの女王、ヤーナムの残した聖遺物


女王の滅びた今、そのおぞましい意識は眠っている

だが、それはただ眠っているだけにすぎない…

※ローレンスの頭蓋については後述する


ヤーナムの石

テキストからは眠っている意識がヤーナムのものなのか、あるいは産み落とされた何者のものなのか判然としない


女王の滅びた今」とあることから後者のように思えるが、英語版では「彼女の恐ろしい意識」とあることから女王自身の意識のようにも読み取れる


Yharnam Stone

The Queen lies dead, but her horrific consciousness is only asleep, and stirs in unsetting motions.


また没イベントの一つに、このヤーナムの石がゴースの遺子として扱われるものがある(詳細は→Bloodborne 没データ「ヤーナムの石」)。加えてグラフィック的には子宮内の胎児のようにも見える




事実はどちらか? 


どちらでもありどちらでもない


ヤーナムの石受肉しそこねたメルゴーの器であり、今そこに宿っているのは女王ヤーナムの意識なのである


メルゴーはおよそ尋常な生まれ方はしなかった。ゲーム上で彼は泣き声としてしか存在せず、その肉体はいっさい表示されない


なぜならばメルゴーは生まれる前に「奪われた(死産した)」からである


残されたヤーナムの胎児は宿るべく意識を持たず、女王ヤーナムは生まれることのない胎児を身籠もり続けていたのである


そして女王は女王殺しに殺され、その胎児はヤーナムの女王の意識を宿したまま奪われたのである(女王ヤーナムは自らの子を二度奪われている)


女王の意識はビルゲンワースが悪夢に取りこまれる過程で石から離れ意識体としてさまようことになる。狩人が出会う女王ヤーナムは彼女の意識(遺志)である



ヤーナムの胎児

さて、胎児の体内に流れていたのは父であるオドンの神秘と、胎盤を通じて供給されるヤーナムの血である


神秘の青血の赤が混ざり合い、その血液は「青ざめた血」となる


同時に胎児は「上位者の赤子」として上位者でもある(肉体のみであるが)


つまりヤーナムの石とはこの世に顕現した上位者の聖体なのである


その聖体から流される血こそが「聖血」なのである


まとめると聖血とはこの世に顕現した「上位者の血」であり、そしてそれは「青ざめた血」なのである


拝領とは死産した胎児から血を抽出することに他ならない。本作において拝領が具体的な形で描かれたなかったのは、倫理的にアウトだからかもしれない


古い血

聖血は英語版では古い血と呼ばれる


聖血を得よ

Seek the old blood.


偽ヨセフカに身を窶(やつ)した男を送ると、「ついさっき、治験者を受け入れたわ。今度は、古い血を試すつもり」というセリフが聞ける



また、その直後に「どうあれ、有意義な治験になる。あなたのおかげよ」と続ける


タイミング的には治験者を受け入れた直後であり、これから有意義な治験が行なわれる、と告げているのである


つまりこの時点で偽ヨセフカは治験者に対してまだ「血の医療」を施していない


だが、狩人が裏手からヨセフカ診療所に侵入すると、すでに血の医療を施されてしまったのか、変わり果てた姿の身を窶した男と遭遇する


モーションは身を窶した男と同じである


つまり身を窶した男は「古い血」によって星界からの使者に変異したことになる


この変異が起きるのは「古い血」すなわち「聖血」に上位者由来の青い神秘が混じっているからである


それはメルゴーの聖体から拝領された「青ざめた血」であり、その根源的な神秘の力により、身を窶した男は獣性の力を押さえ込まれ、神秘の身体を得たのである



星界からの使者

身を窶した男が変異したのは星界からの使者である


つまり身を窶した男はメルゴーの血(古い血、聖血)によって星界からの使者に変異したことになる


星界からの使者はエーブリエタースの関与によって変異したものと考える向きもあるが、しかし、エーブリエタースの関与によって人が変異するのは「星の子ら」である


オドンとアリアンナの赤子が「星の子ら」であり、またエーブリエタースが「星の娘」と呼ばれていることからも分かるように、この両者にはつながりがある


一方で星界からの使者は形状的にタイプが異なる。とはいえ名前は「」と「星界」と似通っていてまったく無関係とも考えにくい


つまり【星の娘、星の子ら】と【星界からの使者】は異なる系統であるが、しかしそれほどの違いはなく、いわば近縁種と呼べる関係性にある


この微妙な近縁性は両者の親が共にオドンであることから発生している


つまり星界からの使者はエーブリエタースの系統ではなく、オドンから生まれたメルゴーの系統である

すなわち、古い血によって身を窶した男が「星界からの使者」になるのは当然のことであり、これによりそれ以前に偽ヨセフカが使用したも明らかになる


※上位者になるかならないか、についてはまた別の要因がある



ローレンスの頭蓋

古い血に対比される新しい血とは、つまるところ「ローレンスの頭蓋」の血である


アルフレートは聖体について大聖堂に祀られているとも証言している


血の救い、その源となる聖体は、大聖堂に祀られていると聞いています(血族狩りアルフレート)


現時点において大聖堂に祀られているのはローレンスの頭蓋である


アルフレートの証言を両方とも真実とするのならば、聖体とは神の墓から持ち帰られたローレンスの頭蓋、となる


しかしながら、医療教会や血の救いを生んだ聖体をローレンスの頭蓋とすることは、時系列的な矛盾を生じさせる


生きているローレンスが、自らの頭蓋を用いて医療教会を生んだことになるからである



ローレンスの聖体に対するこの二つの証言真実とするのならば、論理的にありえるのは聖体が2つある、ということである


つまり、医療教会や血の救いを生んだ聖体と、現時点で大聖堂に祀られている聖体は別物なのである。これを説明したのが以下の図である


ビルゲンワースの時代に神の墓から持ち帰られた聖体は、医療教会と血の救いを生んだのである。だがその後、その聖体は遺失されたか破壊されたかして失われてしまった


そして第1の聖体が失われた後に聖体として祀られたのが、ローレンスの頭蓋だったのである


※ローレンスの頭蓋は医療教会の礎となったとインタビューで語られていることから、第1の聖体が失われたのは医療教会設立の直後、あるいはその直前であろう


ローレンスの頭蓋の根源をたどるとヤーナムの石に行きつく。すなわちローレンスの頭蓋にはメルゴー由来の神秘が満ちているのである


メルゴーの古い血が患者を「星界からの使者」にしたのならば、ローレンスの頭蓋から抽出された神秘が患者を「星界からの使者」にするのも不思議ではない


なぜならば、その両者に宿る神秘は同じメルゴーの神秘だからである


頭蓋からあふれる神秘により、ローレンスの頭蓋の頭蓋は第2の聖体として祀られたのである。そしてそれは初期医療教会の礎になったのである



苗床

祝福(精霊に寄生されること)を望み拝領を得た者は星界からの使者となり、逆に獣の誘惑に屈した者は獣化する


この変異の違いを言葉にしたものが、エミーリアの説教である


聖血を得よ

祝福を望み、よく祈るのなら

拝領は与えられん

拝領は与えられん

密かなる聖血が

血の渇きだけが我らを満たし、また我らを鎮める。聖血を得よ

だが、人々は注意せよ

君たちは弱く、また幼い

冒涜の獣は蜜を囁き、深みから誘うだろう

だから、人々は注意せよ

君たちは弱く、また幼い

恐れをなくせば、誰一人君を嘆くことはない


蛇足

最初に書いたものがあまりに冗長であり、事実誤認もあったので書き直した

血の聖女やカインハーストについては別にまとめるかもしれない

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