まとめ

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2024年8月16日金曜日

DLC考察1 マリカと金の糸

何から考察するか迷ったのだが、ストーリートレーラーから始めたいと思う


なおストーリートレーラーを初めて観たのはDLCをクリアした後である



マリカと金の糸

ストーリートレーラーにてマリカが何かの肉塊から掴みだした金の糸のようなもの。今回はこれの正体について考察していきたい




マリカが金の糸(仮称)を取りだしたのは正体不明の肉塊からである。その肉塊は神の門を埋め尽くす赤黒い肉塊の上に鎮座している




この赤黒い肉塊はDLCの時代においては石化し、角人の遺体であることがわかっている




つまりマリカは、夥しい数の角人の遺体の中から金の糸を引きずり出し、それによって神になったと考えられる


ここでの疑問としては、


  1. なぜ角人の遺体を集める必要があったのか?
  2. 金の糸の正体は何か?
  3. なぜ金の糸によってマリカはになれたのか?


という3つが挙げられる


そこでまずは1.の「なぜ角人の遺体を集める必要があったのか?」から考えたいと思う


この疑問に答えるためには、角人とは何者かについて考察しなければならない



角人とは何者か?


神の門のある螺旋塔角人のものである


地図断片:墓地平原

霊墓の広がる、陰鬱な平原

その北西には、角人の螺旋塔が聳え

全土に悲壮な戦禍が刻まれている


塔の守護者たる角の戦士神を降ろすという。だが黄金樹の祝福は神降ろしを好んでおらず、聖杯瓶の回復量が減少してしまう


角の戦士の兜

逞しい混じり角を冠とした兜

塔の守護者たる、角の戦士の装備

それを被る者に神を降ろす


神降ろしにより、筋力が高められるが

黄金樹の祝福はそれを好まず

雫の聖杯瓶の、回復量が減少する


また、正気耐性も下がってしまう


螺旋塔では、戦士もその武器依り代である。戦士は混じり角を降ろし、武器は混じり角を象った刀身にを降ろす


角の戦士の遺灰

塔の守護者たる重装の戦士の霊体

神降ろしにより、人ならぬ膂力を得

大曲剣を振るい、それに角を下ろす


塔では、戦士も、その武器も、依り代なのだ


角の戦士の曲剣

その刀身には、混じり角が象られ

角降ろし触媒ともなる



角の戦士の始祖は神鳥の戦士である


神鳥の兜

神鳥の面を象った、混じり角の兜

角の戦士の始祖たる、神鳥の戦士の装備

それを被る者に神を降ろす


神鳥の戦士のあり様は黄金の坩堝に近しいとされる


神鳥の羽

神鳥の戦士、そしてこの技のあり様は

黄金の坩堝に近しいという


角人たちは坩堝神聖視する。その進化の先に、角人の混じり角があるからである


坩堝薄羽のタリスマン

古い時代、人の身体に生じたという

諸相の混ざった薄羽のタリスマン


角人たちは、坩堝を神聖視する

その洗練された進化の先

彼らの角、混じり角があるのだから


坩堝の始原は、かつて巨人の身体に生じた坩堝であり、それは塔の神話では坩堝の母とも呼ばれている


全ての坩堝のタリスマン

坩堝の諸相、その全てが混ざった巨大な塊


かつて、巨人の身体に生じたものとされ

塔の神話では、坩堝の母とも呼ばれている


これらにより角人の神聖視する「混じり角」の正体が分かる


すなわち「混じり角」とは、かつて巨人の身体の生じた坩堝人の身体に宿り、進化の果てに角状に変化したものである


その坩堝は始原においては黄金の坩堝とも呼ばれていた


神鳥の羽

神鳥の戦士、そしてこの技のあり様は

黄金の坩堝に近しいという


巨人の身体にできた黄金の坩堝が地上に落ちて人の身体に宿った。それはやがてのような形に進化し、角人が生まれた、という流れを想定することができる


では巨人の身体にできた黄金の坩堝とは何か? 何が原因で巨人の身体黄金の坩堝が生じたのか?


時系列が断定できない以上は推測の域を出ないが、筆者としては黄金の坩堝根源にはエルデの獣と共に飛来した黄金の流星があると考える


黄金という属性を遡ると、黄金の流星最古だからである


エルデの流星

最古とされる黄金樹の祈祷

「伝説の祈祷」のひとつ


かつて、大いなる意志は

黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り

それが、エルデンリングになったという


黄金樹の前史にあたる古竜の時代エルデンリング以後黄金樹以前と想定している


古竜岩の鍛石

黄金のさざれ石を磨き上げた鍛石

それは、古竜の王の鱗であり

ファルム・アズラの秘宝である


竜王の追憶

竜王プラキドサクスの追憶


時の狭間、嵐の中心に座す竜王は

黄金樹の前史、エルデの王であったという

だが神は去り、王は帰還を待ち続けていた


この黄金の流星に関しては過去の考察で、「黄金の菌類に寄生されたエルデの獣は、黄金の胞子を纏った状態で狭間に到来し、そこで冬虫夏草(エルデンリングと黄金樹)になった」、と述べたことがある


※詳細は「大いなる意志、菌類説


簡単にまとめると、黄金の流星とは黄金の胞子のことであり、エルデの獣黄金の胞子と共に狭間の地に送り込まれ、そこで胞子が発芽エルデの獣の肉体を糧にエルデンリング黄金の菌糸の環)を張り巡らし、やがて黄金樹という子実体を形成するに至った、という論旨である


その黄金の流星(胞子)を放出したのは、大いなる意志である


人は皆、かつて彼方の爆発から生まれた、星屑なのです

我々もまた、大いなる意志の、子供たちなのですよ(大司教、ユミル卿)


このユミル卿のセリフを受けて、現実の星が爆発を起こし、その星屑やがて生物となった、と解釈するのは、脳の瞳と聞いて実際に人の脳の中に瞳を探すことと等しい


※ブラッドボーンにおける「脳の瞳」とは脳の中に宿る寄生生物であったり、上位者の視点を得ることの比喩である。星屑の子らという言い回しはSFで散々使い回された言葉である


大いなる意志が「物理的な星」ではなく、「菌類」であることは、その輝ける娘メーテールが明らかにしている


またそれは正確には動くことのできる菌類(粘菌、あるいは動物相と植物相の中間にある生命体)である


指の母の追憶

指の母、メーテールの追憶


全ての二本指、そしてユビムシ

大いなる意志輝ける娘にして

狭間に落ちた、最初の流星であった


指擬き

老人の指に似た薄紅色のキノコ


指になろうとする者たちの幻覚剤

それは、二本指の産まれそこないであるという


指紋の秘薬

渦状の皺の刻まれた丸薬


人の身で、指にならんとする者たちの秘薬

それを飲むと、身体の中を何かが這い回る


指擬きとは二本指産まれそこないであり、それはキノコである。二本指を生んだメーテール大いなる意志輝ける娘である


エルデの獣が「眷獣」に留まっていたのに対して、メーテールはその直系の娘とされている


つまり、指擬きキノコであるのなら、その完全体である二本指、その母メーテール、そしてメーテールの親である大いなる意志に至るまで、キノコ(菌類)ということになる



神降ろし

やや話が逸れたので角人に戻る


つまり巨人の身体黄金の坩堝を生じさせたものは、黄金の流星なのではないか、というのがここまでのまとめである


その黄金の流星巨人の身体に坩堝なる組織塊を形成。それがやがて地に落ちて角人に宿り、進化の先に混じり角となった


新たな芽生えを繰り返した混じり角は特に霊長を示す徴とされ、角があるものであれば、戦士も武器も神を降ろす依り代となる


神獣戦士の鎧

彼らの中で、特に神降ろしに優れた者だけが

勇人として獅子舞の名誉を得たという


角の戦士の遺灰

塔の守護者たる重装の戦士の霊体

神降ろしにより、人ならぬ膂力を得

大曲剣を振るい、それにを下ろす


塔では、戦士も、その武器も、依り代なのだ


角の戦士の曲剣

その刀身には、混じり角が象られ

角降ろしの触媒ともなる


神(角)降ろし触媒となる混じり角の根源には、黄金の流星なる大いなる意志黄金の胞子(菌類)があると考える


故に角のある者は、神を降ろすことができる。なぜなら混じり角とは、その肉体大いなる意志(菌類)寄生されていることのだからである


人の細胞内にいるミトコンドリアエネルギー生成を担っているように、人に寄生した大いなる意志(菌類)は、その力を宿主に与えるのである


つまり、寄生菌類から超常の力を与えられる現象を、角人は「神降ろし(角降ろし)」と呼んだのである


※共に黄金の流星を起源に持つが、神降ろし黄金樹とは相反関係にある(律が異なる)。故に神降ろしは黄金樹に祝福されない



壺人

罪人どもは切り刻まれ大壺に詰め込まれる


中身肉

大壺を満たす肉の切れ端

ピクピクと蠢く薄紅色のそれには

怨霊がこびり付いている


善き人になるために

切り刻まれ大壺に詰め込まれた罪人ども

なれの果てである


それは善き人生まれ変わるためであり、人の手による輪廻である


大壺頭

その祈りは大壺の中身に捧げられる

いつか、善き人として生まれ変わるように

それは、人の手による輪廻である


その際、罪人歯の鞭で傷を負った巫子と共に壺に詰められる


歯の鞭

醜い歯を不揃いに並べ、埋め込んだ鞭


汚れた歯は、あらゆる雑菌に塗れており

その歯傷には猛毒が蓄積する


やがて、傷はじゅくじゅくと膿み爛れ

巫子たちは、他の肉よく馴染んだという


大壺の製作は、罪人善き人生まれ変わることを目的としている


善き人とは角人の価値観でいうのであれば、混じり角があることである


坩堝薄羽のタリスマン

角人たちは、坩堝神聖視する

その洗練された進化の先に

彼らの角、混じり角があるのだから


逆に言えば罪人とは、角を持たずに生まれた人のことをいう


角もたずは罪、この構図はマリカ時代における忌み子が罪とされたことの、正確な反転である(時系列的には大壺が先だろう)


角人の時代

  • 角あり=善き人
  • 角もたず=罪


マリカの時代

  • 角なし=祝福された人
  • 忌み子(角あり)=罪


つまり大壺の製作は、角なし角を宿すことを目的としていた。そしてその角を形成するのは菌類である


であるのならば大壺膿み爛れた巫子罪人の肉を詰め込んだのは、菌類を増殖するためである(腐りかけの傷肉は菌類の繁殖に最適な培地である)


蠅カビ人蠅の血肉苗床として繁殖するのと同様に、混じり角の菌類巫子罪人の肉苗床に繁殖し、増殖するからである


蠅カビ

甘く不快な死臭がする真菌の一種


人蠅の血肉を苗床として繁殖

壺の中身として使用される


大壺の基本的なレシピとして蠅カビを使うことはボニ村の大壺師のアイデアであり、大壺師たちが菌類に通じていたことを示す


大壺師の製法書【1】

各地を放浪した大壺師の製法書

故郷ボニ村の、陰惨な生業に膿んだ男は

大壺にあらゆるものを詰め込んだ


すべては黄金の菌類寄生された人、すなわち角人を誕生させるための、人による輪廻である



巫子の肉体

大壺作りに際して特に巫女の肉体が選ばれた理由としては、彼女たちが稀人の末裔であり、同時に永遠の都の末裔でもあるからであると思われる


永遠の都にはかつて大いなる意志反逆した証が残されている


指殺しの刃

永遠の都、ノクローンの秘宝

遺体から生まれたとされる刃


永遠の都の大逆の証であり

その滅びを象徴する、血濡れた呪物


運命なき者には振るうことはできず

大いなる意志と、その使いたちを

傷つけることできるという


このとき傷付けられたのは指の母メーテールと考えられる。つまり反逆以前には永遠の都メーテールの影響下にあったと考えられる


その支配方法は大いなる意志と同一、すなわちメーテールの菌糸人間に寄生させることによる支配であろう(それは黄金ではない菌糸と思われる)


長い時を経て、永遠の都の民の肉体は徐々にメーテールの菌に適した状態になっていったと考えられる(より菌を宿せる者が生き残り、苗床として進化した)


キャラメイク画面で稀人を選ぶと、顔がシワシワになるのは寄生した菌類水分と栄養素を奪い取られているからであろう


あるいは、キノコ(長寿)のイメージから、キノコと融合することで長寿になったのかもしれない


その肉体は普通の人間よりも菌類の苗床として適しているのである。故に大壺の素材として、菌類の苗床として利用されたのである


巫子であったマリカやその子孫であるゴドリック「接ぎ」という植物的な能力を持つのは、このためである(マリカとラダゴンの生殖にも植物的なところがある。自家受粉)


つまり巫子とは大いなる意志菌類増殖する培地として適した肉体を持つ者たちのことであり、故に神を降ろすことの出来る者たちのことである


反逆失敗の反省を元に造られたのが、銀の雫なのかもしれない。は一般的に抗菌作用があり、菌類に対し特効を持つ



神の門

さて、ようやくマリカ神の門何をしていたのかを答えられる段階に来た


神の門には角人の死体がうずたかく積もり、マリカはそこに形成された肉塊の中から金の糸をつかみ出す


ここでマリカ(あるいは角人)が行っていたのは、大壺師のそれ類似した行為である。すなわち、角人の死体を集めることで、角人の死体を苗床菌類を増殖させようとしたのである(後述するがそれ自体は角人の儀式のひとつであったと考えられる)


角人に寄生する菌類は、大いなる意志に由来する黄金の菌類である。それは角人の遺体苗床に増殖し、やがて人の目に見えるような菌糸のネットワークを形成する


マリカが手を突っ込んだのは菌類の巨大なコロニーであり、そこから掴みだしたのは、その菌糸である


つまるところ、マリカが掴みだした金の糸とは、菌の糸のことであり、黄金の菌糸のことである


金の糸=金糸=菌糸


※この連想の根本には、北欧神話における「金枝(きんし)」があると考えられる


これが2.の「金の糸の正体は何か?」の筆者なりの答えである



エルデンリング

可視化するほど巨大になった黄金の菌糸の環は、小さなエルデンリングとも呼べるものである(あえていうなら大ルーンに近いか)


マリカの掴んだそれはエルデンリングとは同一の菌類によって構成されるものであり、「超個体」の生命群であるとも言える


例え物理的に離れてしても意識はひとつであり、無数でありながら一つの生命体なのである。それは黄金律原理主義のいう、回帰と因果の関係性にある(全にして一、一にして全の状態)


因果性原理

原理主義は、黄金律を二つの力で説明する

それ即ち回帰と因果であり、因果とは

万物を関係性の連環となす、意味間の引力である


菌類としては巨大エルデンリングとしては極小のその菌糸の環を、マリカは己の身体に宿す。それはつまり、黄金の菌類を身体に寄生させたということである


角人がその角に神を降ろしたように、マリカはその肉体の内に菌類を宿すことで神の力を宿したのである


だが黄金の菌類はマリカの肉体を蝕み、その制御を奪い、暴走し始めた


そうして生まれたのがラダゴンであろう


エルデの獣とは大きな菌類の環依り代としたエルデンリングの神である。一方ラダゴン小さな菌類の環依り代とした小さなエルデンリングの神となる



デミゴッドたち

デミゴッドたちは母たるマリカから、黄金の菌類を受け継いでいる


その肉体は黄金の菌類によって汚染されており、たやすく操られてしまう。故にラニはその支配から逃れるために肉体のみを殺す必要があった


…そして私は、二本指を拒んだ

死のルーンを盗み、神人たる自らの身体を殺し、棄ててでも

私は、あんなものに操られたくはなかったのだ(魔女、ラニ)


黄金の菌類に身体を蝕まれた神人は、黄金の菌類輝ける娘メーテールの産んだ二本指により操られてしまうのである


同様にミケラ肉体を棄てなくてはならなかったのは、その肉体無垢なる菌(金)汚染されているからである


ミケラ、あの幼き者は感じていました

自らの出自が、血が、如何に汚れ、狂っているのかを

悲壮なことです

それが故に、すべてを棄ててしまおうなどと

ああ、すべては母の罪だというのに

輝ける星の導きが、あらんことを(大司教、ユミル卿)


ミケラが捨てた肉体のうち、「迷い」と「愛」と「恐れ」は物理的な肉体ではない


ただし「愛」半身のトリーナのことであるから肉体の一部と呼べるものかもしれない。迷いと恐れに関しても対応した肉体の一部が捨てられたと考えられる


というのも、そこにミケラの十字が立っているからである


ミケラの十字とはミケラの黄金の肉体、すなわち黄金の菌類に蝕まれた肉体であり、その廃棄場所には黄金の菌糸が形成する黄金の環ミケラのリング)が生じる




ミケラの神化

さて、黄金の菌類に蝕まれた肉体を棄てたことでミケラは神になった


黄金の菌類に蝕まれた肉体を棄てる神になることは、すでにエルデの獣が証している


かつて黄金の菌類の胞子と共に狭間の地に落ちてきたエルデの獣は、その肉体を菌類の苗床とされ、元の肉体を失った状態にある


ただし元の肉体を失っただけであり、その根源には全身を菌糸に覆われたエルデの獣の肉体、つまりエルデンリングが存在している


生物(魂と肉体)としてのエルデの獣は、エルデの獣(魂)エルデンリング(肉体)に分かれたのである。これは肉体と魂が別々に存在しうる狭間の地に特有の現象であろう


同様に神人ミケラは、神ミケラ(魂)ミケラの十字(ミケラの肉体)に分かれたことになる


つまりミケラは、マリカのようにエルデンリングを宿すことでになりたかったのではなく、そのエルデンリングの魂であるエルデの獣の状態になりたかったのである


エルデの獣の状態とは、肉体が黄金の菌糸の支配から逃れているために大いなる意志意向を無視することができる状態にあり、かつ自身の意向は王を通じて伝えることができるの状態である


また、その角人の肉体を持つ、すなわち黄金の菌類の超常の力を振るえる状態にある


簡単にいうと、大いなる意志という一つのシステム(OSとハードウェア)のOSを乗っ取り、自分の思うままにハードウェアの処理能力利用できるような状況になったのである


だがそのためには、OSを起動させるハードウェアとなるが必須である。最初に王(ハードウェア)、次に(OS)という順序なのである


秘儀の巻物

影に隠された塔にあるという

神の門の秘儀が記されている

だが、読み解けるのは、ごく一部だ


 神の帰還は王により導かれ

 王の魂には、依り代が求められる


これが、神の帰還は王により導かれる、ということの真相であろう。要するにハードウェアにOSをインストールする手順と同一である


またその王の魂には依り代、つまり角のある肉体(黄金の菌類に寄生された身体)が必須となる


ラダーン肉体が捨てられ、そのだけが求められた理由は、たんにラダーンに角が無かっただけとも考えられる。母から黄金の菌糸を受け継いでいたとはいえ、それは角を生じさせるほどではなかったのである。(ラダーンしろがね人説捨てがたいが)


ゴッドウィンについても角が確認できないことから、その肉体が欲しかったが故に陰謀の夜にミケラが暗躍してゴッドウィンを殺したという説も本仮説では否定される。神降ろしには角(依り代)が必須だからである(ただしあくまで本仮説を採るのであればという条件付である)


また単に角のある王ではなく、王の魂が宿る依り代を必要としていることから、王は一度肉体を失うことで、大いなる意志支配から逃れられるのかもしれない


というのもミケラに魅了された褪せ人は、死亡するとその影響下から逃れられるからである。肉体的に死ぬことで魂は魅了の力から脱することできるのであろう


ミケラの大ルーンが示すように、彼の魅了の力の大部分は大いなる意志そしてエルデンリングに由来するものである


よって、大いなる意志エルデンリングの魅了の力から逃れるためには、神も王も一度死ぬことで、その魅了の拘束を解かなければならなかったのである


しかしながら神の状態ミケラにとっては檻の中に等しい


…あの子にとって、神は牢獄

檻の中の神は、誰も救えない(聖女トリーナ)


なぜならば現世に再顕現するにあたり、依り代を必要としているからである。ミケラの場合それはミケラの十字となろうか


エルデの獣黄金樹の内部に閉じ込められていたように、ミケラもまたミケラの十字の作り出す優しい理の象徴閉じ込められることになる


※エルデの獣が黄金樹から出られるのなら、破砕戦争に介入しているはず



神の門

さて、ではなぜ降神の儀神の門でなくてはならなかったのか、について考えよう


神の門螺旋塔の頂上部にある。螺旋塔神に届こうとする塔であるという


螺旋樹の聖印

神に届かんとする白き塔の偉容は

侵略者たる黄金樹の民にすら

密かな信仰の心を抱かせた


また螺旋坩堝の整流であり、いつか神へと至る柱なのだという


スピラ

螺旋とは坩堝の整流であり

いつか神へと至る柱なのだ


整流とは「電気の交流を直流に変えること」である


整流されることで揺れ動く波形一直線になる




つまり坩堝から発した流れ螺旋型に整え、神に至ろうとすることが螺旋の思想であり、また螺旋塔が造られた理由である


この螺旋の行き着く先にあるのが、大いなる意志である


メーテール尾指螺旋を描き、その二つの先端が挟むように小宇宙を捧げ持っている



大いなる彼方の杖

指の母、メーテールの尾指

その指の捧げ持つ小宇宙を杖としたもの


は、大いなる意志の波動を受信していた

壊れ、棄てられた後も、ずっとそれを待ち続けた


その小宇宙は、メーテールを棄てたものの儚い似姿であるという


儚い小宇宙

壊れ、棄てられた者

それを知ってなお、儚い似姿に縋る

なんと哀れなことだろうか


壊れ、棄てられた後も、メーテールがずっと待ち続けていたのは、大いなる意志の波動である。故に小宇宙とは大いなる意志の似姿と思われる


だがここに至っても、神降ろし現象としては説明できてもその原理が説明できない(そうなるからそうなる以上の説明ができない)


そこで角人の神降ろしについてもう一度、考えてみたい


本仮説において角人の神降ろしとは、坩堝に含まれる黄金の菌類増殖させることで、より大きな黄金の菌類とし、超常の力を得ることであると仮定した


マリカは儀式の途中で角人を裏切り集められた菌糸(金の糸)を奪い、我が物とした。故に角人からは裏切り者と罵られている


はじまりは、誘惑と裏切りだった

黄金はそうして生まれ(ストーリートレーラー)


我らを裏切り、火をかけた、マリカの子らめに

メスメルに、その手先どもに(角人の老婆)


こう考えると神の門角人の遺体で構成されているのも、そもそもが降神の儀のために必要なことであったと考えられる


依り代としての角人の肉体(角)とそこに降りてくる神という関係性を前提するのであれば、集められた菌糸に誘われ、より大きな菌糸の環降りてくるという現象が考えられる(粘菌と粘菌が融合するように。詳しくは漫画版『ナウシカ』)


大いなる意志はすでに爆発(胞子の放出)して存在しないが、その胞子エルデの獣に乗って狭間の地に到来している


それはエルデの獣の肉体苗床としてエルデンリングとなり、やがて黄金樹という子実体を形成する


それとは別に黄金の流星からばらまかれた菌類の胞子巨人を経て角人に受け継がれた


つまり、一つであった大いなる意志二つの流れ分かれたことになる


この二つの流れ一つにする儀式こそ神の門の秘儀であり、角人の混じり角(巨人由来の菌類、螺旋a)はより大きな菌類の環螺旋b、エルデンリング由来の菌)を呼び出すための触媒となる


角の戦士の曲剣

その刀身には、混じり角が象られ

角降ろしの触媒ともなる


メーテールの尾指から分かるように、螺旋は、完全な形では二重螺旋を成す




だが螺旋塔螺旋一つである



ここにもう一つの螺旋b(エルデンリング由来の菌)が合わさることで、その二重螺旋の頂点巨大な菌類の環(エルデンリング)が形成され、そこに宿る神(エルデの獣)が降臨するのである


そしてこの巨大な菌類の環としてのエルデンリングを宿した者が、新しい律の支配者、つまりになるのである


ラダゴン巨人の赤髪を発現させたのは、この儀式の際に巨人由来螺旋aマリカが取り込んだためである


すなわち神の門とは、場所や構造に意味があるのではなく、そこが角人の遺体で埋まることに意味があるのである


よってマリカが復讐を果たそうとしたとき、角人の死体そのままにしておくわけにはいかなかった


なぜなら角人の死体が集まってしまうと黄金の菌類が増殖し、ついにエルデンリングが降臨しかねないからである


故に種火を宿すメスメルが誕生するまで、マリカは影の地侵略することができなかった


角人メスメルの火によって焼き尽くさなければならない。なぜなら角人黄金の菌類の宿主であり、他の神(律)を降ろすかもしれない穢れた存在だからである


大焼炉壺

焼炉の炎は、人を魂まで焼き尽くす

穢れを焼く時、それは浄化と呼ばれる



大いなる意志

大いなる意志には人格のようなものはない。それは菌類生物学的な欲求、つまり自己を増大させよう、という指向性しか存在しない


だが大いなる意志見え、あるいは交信したものは、そこになんらかの意志見出してしまう。そして菌糸に寄生されたものは、大いなる意志最大化するためにだけに動きはじめる


規格外の生物神性を見出して狂っていく、というのはブラッドボーンの医療教会に通じるところがある


だが生物大いなる意志(菌類)を宿すになることができることも事実である


そして螺旋神になる道筋であり、神になろうとする人間の飽くなき欲望を現した形状である


大いなる意志には「意志がない」という逆説的な設定こそ、エルデンリングという作品の根源に置かれたブラックホールなのかもしれない


儚い小宇宙

壊れ、棄てられた者は

それを知ってなお、儚い似姿に縋る

なんと哀れなことだろうか

 

大いなる意志には中心も、意志も存在しない。そこには菌類の巨大な環があるだけである


それはドーナツの穴のようなものなのであり、黄金の菌類の環と見えた者が視る幻視なのである


6 件のコメント:

  1. 金の糸=金糸=菌糸 の部分が鳥肌でした。大いなる意志が規格外の存在とはいえども本質は菌類ゆえに「そもそも意志を持たない」というのも目から鱗でしたね。bloodborneの上位者しかり腐敗の神しかりフロムの神性はロクなものではないというか「上位存在に人間性を期待してしまう」ことが人間の面白いところでもあり業なのかもしれません。

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  2. 考察復帰ありがとう御座います。待ってました。作中で多くは語られることがなく謎のままで終わった大いなる意思の正体についての説明はなるほどなぁと思いました。

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  3. 大いなる意志を黄金の菌類だとした場合、外なる神も菌類になるのでしょうか。腐敗の神などは、菌類と考えてもおかしくなさそうです。また、「針」と「糸」の関連性から考えると、無垢金の「針」を刺すことで外なる神の侵食を退けられるということは、無垢金の針は刺された者の体に黄金の菌「糸」をインストールするものであり、黄金の菌糸が他種の菌糸(=外なる神)よりも強い菌であるためにそれらに打ち勝つ事が出来る、ということになりそうです。(現実でも、2種類の菌を培養した場合、強い方の菌が弱い方の菌を根絶し、結果強い菌だけが生き残ることがある。)

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    1. すみません、この説はそもそも腐敗の神が菌と関係があるところからスタートしたものでしたね…

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  4. 巨人の身体にできた黄金の坩堝が地上に落ちて人の身体に宿った。それはやがて角のような形に進化し、角人が生まれた、という流れを想定することができる

    このくだりで思ったのですが、最初地上には巨人だけが存在していて、実は人の祖先はミエロス(角人)だったのではないでしょうか?菌に感染することで坩堝化&矮小化
    糞食いは最初の人(最初の角人)の魂を宿したアダム的な存在なのでは・・妄想ですが;

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  5. 螺旋aについて、文中で触れていないだけかもしれませんが、神の門のみに限らずエニル・イリムを象徴する螺旋塔の部分にも角人の肉体が用いられているように見えます。(祝福「神の門」から周囲を見渡すと、遠景にある柱下部の砕けたように見える部分に角人の集合体が見える)
    であれば文中で触れている、「螺旋塔の螺旋は一つ」、「螺旋b(エルデンリング由来の菌)が合わさることで、その二重螺旋の頂点に巨大な菌類の環(エルデンリング)が形成され、そこに宿る神(エルデの獣)が降臨する」という部分が補強され、意味のある構造になってくると思います。

    あれはエニル・イリムの単なる儀式的な建築様式というだけでなく、角人自体が結合して作られた螺旋a、それに対応した神々が連なる螺旋bを神降ろしすることで二重螺旋と成し、これをもってより高位な神を作り出すための設計図とする巨大な装置なのだと言えそうです。

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