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2019年6月29日土曜日

Sekiro 考察41 丈と巴

バルドルは神々の中でもっとも美しく万人に愛された。ある日から悪夢を見るようになると、これを心配した母フリッグは世界中の生物・無生物に彼を傷つけないよう約束させた。そのため、いかなる武器でも彼を傷つけることは出来なくなった。だがこのとき実は、たった一つ、ヤドリギだけは若すぎて契約が出来ていなかった。
傷つかなくなったバルドルを祝い、神々はバルドルに様々なものを投げつけるという娯楽にふけっていた。だが、ヤドリギのことを知ったロキが、バルドルの兄弟で盲目のために遊戯の輪から外れていた神ヘズをたぶらかし、ヤドリギ(ミスティルテイン)を投げさせた。これによりバルドルは命を落としてしまった。(バルドル Wikipedia

巴と丈の考察を進めるにあたり、まずは常桜とは何だったのか、というところからはじめたいと思う
※今回の考察はかなり飛躍させた部分があるので、この考察のみが正しいと主張する気はない


常桜

香炉の香りを嗅いだあと
エマ:常桜のことですね
丈様が故郷より、持ってこられた桜です
隻狼:つまり、仙郷の桜か
エマ:はい、あれは不思議な桜で…
春に限らず、常しえに咲いておりました
ですが…。常桜の木も花も、もうありません
枯れてしまったのです
隻狼:なぜ枯れた
エマ:枝を手折り、花を持ち去った者がいます
花を失くした常桜は、やがて、枯れ果てました
常桜の木、そのものが失われてしまったのです

人返りルート
エマ:常桜とは、丈様が仙郷より、持ってこられた桜です
ですが、何者かが枝を手折り、花を持ち去り…
常桜は、やがて、枯れ果てました
常桜の木、そのものが失われてしまったのです
 常桜の花
古い記憶の中で咲いていた、常桜の花
丈が仙郷の名残として持ち帰り、
接いで咲かせた花である

以上の情報をまとめると次のようになる

・丈が仙郷から持ってきて、接いで咲かせた
春に限らず、常しえに咲いていた
・何者かに枝を手折られ、やがて枯れ果てた

このうちで、普通の桜には見られない性質は二番目の、「春に限らず、常しえに咲いていた」である

常桜の常しえに咲く能力は、まるで隻狼の「回生」ひいては桜竜の常しえの力のようである

なぜ仙郷に由来するとはいえ単なる桜が「回生」の力を持つのか。考えるまでもなく、常桜が桜竜の力を秘めているからである

丈という竜胤の御子はもちろんのこと、丈の持ってきた常桜にも、桜竜との繋がりが存在するのである

桜竜には竜と桜という二つの側面がある。このうちのの側面の化身が竜胤の御子であり、の側面の化身が常桜なのである

つまり丈と常桜とは、桜竜という同一の根から発生した双子のような関係なのである。だが両者の受け継いだ能力は、受け継いだ側面が異なるようにそれぞれ異なっている

以下はその能力をまとめたものである

常桜:足りない生の力を吸い取って花を咲かせ続ける
   回生の力あり。不死ではない
竜胤の御子:不死斬りでないと傷つかない。
   回生の力なし。不死
桜竜:生の力を吸い取り生き続ける不死

以上のように、本来は完全な不死である桜竜人と桜に別れてしまったために、丈はついに命を落とすことになったのである。その過程は以下の通りである

まず常桜の枝が何者か(梟)によって手折られる
常桜は不死ではなく、その枝を手折るのは容易いことであった

傷ついた常桜は失った生命力を補充しようと、生の力を強力に吸い取りはじめる

常桜が生の力を奪う対象は、まず縁の深い丈である

丈は不死であるが、常桜の能力「回生」の力はない。ゆえに常桜に生の力を奪われても、不足分を補充することができない

やがて丈は「竜咳」に罹るが、不死であるがゆえに死ぬこともできない状態に置かれる

これが『巴の手記』に記された時の丈の状況である

 巴の手記
   丈様の咳は、ひどくなられるばかり
   仙郷へ帰る道は、どうやら叶わぬ
   せめて竜胤を断ち、人に返して差し上げたい

竜咳とは「生の力」を奪われることにより発症する病である。生の力を補充できなければ、不死である竜胤の御子さえも発症するのである

というのも、丈の不死とは以下のようなものであるからだ

  小姓の日記
   香炉の上で、丈様が刀で腕を斬っておられた
   だが、不思議なことに、傷は瞬く間に癒え、
   血は露ほども流れぬご様子

例えば回生の力を持つ隻狼が攻撃を受けたとき血が飛び散るのにくらべて、明らかに竜胤の御子の不死は異質である

竜胤の御子の不死とは、回生によるものではなく、常に一定の状態を保ち続けようとする「不変」の力によるものである(常桜の擬似的な常しえではなく、本来の意味での「常しえ」)

竜胤の雫とは竜胤の御子の体内で生成された「生の力」が、融通の利かない不変の力によって過剰物と判断され体外に排出されたものである

不変であるが、その竜胤に流れる「生の力」は奪われる。御子は不変であるが、その血、竜胤自体は不変ではないからである

不死の契りとは、竜胤を対象に与えることである。与えるというのはその流れを逆転すると奪われることでもある

つまり、竜胤は「回生」による生の力収奪の対象となりうるのである。そうでなければ、不死の契りという儀式自体が成り立たない

ややこしいが、これは『小姓の日記』の記録と「不死の契り」という儀式から帰納的に導き出される法則である

また、竜咳快復の儀式とは、竜胤の御子の従者が奪った生の力を、その主人である竜胤の御子が代わりに与えることである
たとえていうのなら、息子の借金を父親が立て替えるようなものである。息子が借りた金をそのまま返すわけではない



常桜の枝を手折る

では次に、常桜の枝を手折ることに何の意味があったのかを考察してみたいと思う

フレーザーはその著書『金枝篇』において、ネミの森の儀式に焦点を当てた

この神殿では、男は誰でもその祭司となり、「森の王」の称号を得られるというしきたりがあった。ただし祭司になるには、男はまず神殿の森の聖なる樹から一本の枝――「金枝」――を手折り、それで時の祭司を殺さなければならなかった(『図説 金枝篇 上』39ページ 講談社学術文庫』

そして二つの疑問に答えるために、全13巻にわたり延々と論を述べている。その二つの疑問とは以下のようなものである

祭司になるのになぜ時の祭司を殺さなければならないのか? なぜまず聖なる樹の枝を手折らなければならないのか? この二つの疑問にたいする答えを求めるのが本書『金枝篇』の目的である。(『図説 金枝篇 上』39ページ 講談社学術文庫』)

長くなるので結論を述べる

まず、聖なる樹の枝を手折らなければならないのは、「祭司(森の王)」とは聖なる樹の化身であり、祭司の命は聖なる樹に宿っているからである。聖なる樹を手折り、その命を奪わなければ祭司を殺せないからである

そして、祭司を殺さなければならないのは、以下のような理由からである

「森の王」は人間の姿をしたオークの神であり、その王が継承者の手にかかって死ぬのは、植物の死と再生という自然界の秩序を反映したものであり、自然界を存続させるためなのである。「王は死に給う。とこしえに王の生き給わんことを」(ル・ロア・エ・モール、ヴィーヴル・ル・ロア)(『図説 金枝篇 上』232ページ 講談社学術文庫』)

さて、SEKIROにおいて常桜の枝を手折ったのは梟である。彼はその後どうなったか

新たな竜胤の御子の庇護者となったのである
つまり、竜胤を祀る祭司となったのだ
※ネミの森における祭司(森の王)が、祭司(従者)森の王(竜胤の御子)として役割が別れたのである

常桜の枝を手折り、結果的に丈を死に至らしめることで、梟は新たな王を得たのである。新たな王を見いだした時、梟は大いなる野望を抱いたのである。枝を手折った彼にはその資格もあった


丈の死

竜咳に罹った丈だが、不死であるがゆえに死ぬことが出来ない。人返りや不死断ちの望みも立たれた。もはや苦しみから逃れる方法は一つしかない。

子をなすことである
※黒の不死斬りによる殺害、黄泉返り説は後述する

竜胤の御子は子をなすことで、子に竜胤を受け継がせ自身は竜胤ではなくなる。というのも、竜胤の御子は常に一人である。もし子々孫々が竜胤の御子となるのであれば、葦名中に竜胤の御子がいておかしくはないからだ。

丈と九郎の乏しい例から推察するに、竜胤の御子は一世代につき一人しかいない

これは、例え竜胤の御子が子をなすことができても、竜胤の御子は常に一人であることを示している

また公式サイトで九郎は「葦名の地に、古くより続く一族の末裔」と紹介されている
 
桜竜に連なる竜胤の御子であるはもちろん、淤加美一族である巴も、「古くより続く一族」に適合する

逆に、それ以外の「古くより続く一族」が見当たらないほどである

さて、そのようにして竜胤の御子でなくなった丈は死んだ


となったのはである

巴は竜胤の御子を産み、それから仙郷へと帰った。仙郷へ帰るためには竜胤の御子の血が必要であるが、やはり不死斬りがない。しかしながら、不死斬りを用いずに竜胤の血を手に入れる方法がひとつだけある

それは竜胤の御子の「へその緒」である

母と繋がる臍帯には、竜胤の御子のが含まれている

その血を使い、亡き丈を悼むために巴は仙郷へ戻っていったのである

隻狼が対峙した桜竜は、巴の記憶のなかの、あるいは空想のなかの桜竜である。それは枝を手折られた常桜竜咳に罹った丈、つまり片手を失い胸を抉られた姿の桜竜である

また右眼はかつてもとの桜竜が行った「拝涙」の傷が残っている。

巴の記憶の桜竜とは、これまで存在した桜竜を融合させた姿である

※丈の遺言である「源の香気をまとい仙郷へ帰る」を巴は果たしたことになる。またそのために九郎を置いていったのである



さて、一方で誕生した九郎はどうなったか。
 
竜胤を祀る資格は、常桜の枝を手折った者にある
梟は祭司王として、竜胤を祀る、つまり九郎の庇護者となったのである

表向きは九郎の庇護者、しかしその真の目的は竜胤の力を使い、己の名を日の本に轟かせることであった

しかし、目的を果たすためには何人かの邪魔者がいる

まず、お蝶である。丈が死んだ際に、不死の契りが解除された巴から「丈の竜胤」つまり「桜雫」がこぼれ落ちた。巴は我が子の守護を条件に「桜雫」をお蝶へ与えたのである

※「桜雫」は「不死の契約成らざる時に、引き換えに残ると伝わる桜色の結晶」である。丈とお蝶が契約しようとして失敗したと考えると、なぜ丈は残った「桜雫」を再度、取り込まないのか、という謎が残る。つまり、九郎がやったように再利用するために自分が持っているか、あるいは再吸収すればよいのである

※しかしながら、なぜか「桜雫」は丈には戻されず、その形のままお蝶が所有している

※つまるところ、「桜雫」が残ったとき、丈は死んでいたのである。丈の死と同時に巴と結んでいた「不死の契り」が強制的に解除され、巴の血とともにあった丈の竜胤(「桜雫」)が残されたのである

お蝶は梟と違い、忍びとして生き、忍びとして死ぬつもりであった。主を裏切ることなど考えていないのである(「桜雫」を所持し続けていることがその証である)

ゆえに梟は平田屋敷を襲撃することでお蝶を誘き出して亡き者にしようとしたのである

もう一人は隻狼である。隻狼もまた「死を偽装」しようとする梟にとっては邪魔者であった

しかし梟は、「卓越した忍び」となっていた隻狼をなんの犠牲もなく殺せるとは思わなかったのである
そこで隻狼とお蝶を戦わせ、良くて同士討ち、悪くともどちらか生き残った方は手負いの状態にしようとしたのである

そして最も重要な一人は、一心である。一心の忍びとして生きてきた梟にとって、最も敵対したくない相手である。ゆえにただ抜け忍となるだけでなく、死を偽装する必要があったのである

※忍軍襲来時、一心に手を出さないのも、かつての主を恐れてのことか、あるいはわずかに残った忠誠心ゆえであろう

そうして梟は王になろうとした。常桜の枝を持ち、間接的に丈を殺した梟にはその資格があったのである

梟が常桜の枝を持ち続けたのも、常桜の枝を持つものが王であることを知っていたからである

※ちなみに、常桜の枝には赤い紐が結ばれているが、「大曽根八幡神社 赤い紐」あたりで画像検索すると、まったく同じ結びの紐が見つかる。これは魔除けの紐であるが、金枝、つまりヤドリギの枝魔除けの護符になると信じられていた


とすると、丈が常桜を持って葦名の地に降りてきたのは意味深長である。常桜の枝を手折り、王であった桜竜を殺害したことで丈は竜胤の御子となったのかもしれない

常桜の枝を持ち先代の王を殺した者だけが、葦名の王となるからである

※実際に枝を手折り、手を下したのは巴であろう。九郎でなく隻狼が桜竜と対峙したように、桜竜殺しは従者の役目である



黒の不死斬り

黒の不死斬りにより丈を殺害。それに伴って黄泉返りにより九郎を誕生させたとする説がある。
まず黒の不死斬りによる丈殺害であるが、あるとすればが殺したか、あるいはが介錯したか、それとも一心が情けにより斬ったか、といったことが考えられる

ただしその場合、開門によって何者かが黄泉返っている気もするが、該当する人間が見当たらない。例えば丈を黄泉返らせたとして、なぜ丈という名前じゃないのか、とか巴と不死の契りを結び直さなかったのは何故なのかという疑問が残る

別のまったく知らない第三者が黄泉返ったとすると、黄泉返らせる意味も不明であるし、平田家の養子として丁重に扱われる理由もない。またどうしても黄泉返らせたかった誰か(一心や梟や巴にとって)だったとすると、今度は平田家に養子に出す理由がない

つまり、誰を黄泉返らせようとも、九郎の存在が浮くのである

竜胤とは竜の血のことである。血とは親から子に、子から孫へと受け継がれてゆくものである。あえて血脈とは無縁の存在を竜胤の御子として登場させるよりも、血に連なる存在であると考える方がより自然だと思われる

このあたりは竜胤システムがまったく明かされてないので各々の解釈しだいなところもあるかと思う。今回の考察全般もそうだが、強く主張する気はない


蛇足

神域の巫女が巴だったら、という前提のもとに考察を進めたが、いつも以上に飛躍したものとなった。またその前提ゆえに「巴の墓」は虚偽であるという結論に至らざるを得なかった

ただ丈の竜咳に関しては、一応の解答が出せたのかなと思う(エマが覚えてないのはお蝶の幻術をかけられていたとする)

竜と蟲もそうであるが、SEKIROは常に二つのものが重なったり分離したりしている。登場する人なり概念なりは常に二つの面を持ち、そのどちらもが強い個性を持っているので、どちらかに気を取られていると、もう一方が意識からするりと抜け落ちる

どうやらSEKIROは二重構造をもつ物語らしい(ソウルシリーズは螺旋構造)

2019年6月23日日曜日

Sekiro 考察40 竜 vs 蟲

SEKIROの物語を「竜 vs 蟲」という切り口から考察してみたいと思う

藤原秀郷

SEKIROの物語構造は、御伽草子で有名な藤原秀郷の物語を踏襲している

秀郷の物語を簡単にまとめると以下のようなものである

「ある日藤原秀郷は、竜王(大蛇や竜の使い)と出会い、竜王を苦しめている大百足退治を懇願される。頼みを承諾した秀郷は大百足を退治し、褒美にさまざな宝物を与えられる」

竜の願いを叶えるために秀郷が尽力するというのは、SEKIROの「竜胤の御子の願いを叶えるために、隻狼が尽力する」のと構造が同じである

秀郷が竜王の望みを叶えるために蟲(ムカデ)を殺すのと同様に、隻狼は竜胤の御子の望みを叶えるために、不死(ムシ=無死=不死)を殺すのである

また、竜王を苦しめる大百足はSEKIROにおいては大百足に憑かれた蟲憑きの形で登場し、それは隻狼の行く手を阻むものとして、重要な局面で登場するのである(獅子猿、破戒僧など)

蟲憑きの代表格はSEKIROにおいてもムカデであり、それを殺しきるには不死斬りが必要とされる。桜竜や一心など他にも不死斬りをする場面がいくつか存在するが、蟲憑きに限って言えば、それはムカデを斬ることなのである

つまり不死斬りとは「蜈蚣切(むかでぎり)」であるが、秀郷の刀もまた「蜈蚣切」と呼ばれているのである(蜈蚣切 wikipedia)

秀郷の物語で竜王は大百足と対立していたのと同様に、SEKIROの世界にも竜 vs 蟲の対立構造がさまざまな場所で見受けられるのである



水生村

水生村では「竜 vs 蟲」の対立構造が、オブジェクトとしても表現されている

例えばナメクジと魚が合体したような奇妙な生物「ナメクジ魚

これが本来の姿でないことは湖底にいる完全なナメクジを見ればわかる

ナメクジ魚は何らかの異変によりナメクジが魚に変容しつつあるのだ

鯉が竜になる登竜門の故事がある。鯉つまり魚は竜の眷属なのだ。それは竜がもともとは水神として崇拝されていたことと関係しているのであろう。また浦島太郎の行く「竜宮」には魚の家臣たちがいることから、魚=竜の眷属だという観念が昔からあったことも分かる

要するにナメクジ魚は、竜の眷属たる魚とナメクジが対立しせめぎ合っているその構造を二つの生物が融合したオブジェクトとして表わしたものなのである

この竜と蟲の対立構造は人間界にも飛び火し、代理戦争的な勢力争いが繰り広げられている。それが「水生村の神主(竜) vs 仙峯寺の僧侶(蟲)」の構図である

神主がなろうとしているミヤコビトとは源の宮にいる貴人のことであるが、その姿は桜竜の特徴と魚の特徴を兼ね備えている。ゆえに神主は竜側といえる

また廃寺を追い出された僧侶の頭部に仙峯寺の僧侶と同じ「あざ」のようなものがあることから、彼もまた死なずの求道者であり、つまり蟲側の人間である

こうして竜と蟲との争いに巻き込まれた結果、水生村は蟲に汚染され、村人たちは竜(ミヤコビト)になる酒によって、生半には死なぬゾンビのような姿となったのである


源の宮

桜竜のお膝元である源の宮にも蟲の痕跡が見受けられる

例えば湖底の魚骨に這う蟲は、そのまま蟲に食われる魚(竜)を意味し、ここでは蟲が勝利していることがわかるのである

また貴い餌はヌシの食餌であり、ヌシの優勢を示すものであるが、「まこと貴い餌」に至るとその形勢が逆転し、蟲が竜を殺すほどの力があることを表わしている

壺の貴人がヌシを殺めようと「まこと貴い餌」を隻狼に渡すことから、蟲が竜の眷属たるヌシを殺すことは、宮の貴族たちにも知られていたことがわかる

また、朱の橋にいる破戒僧は「竜の割符」持っていることから、もとは竜側の人間だった事が分かる。ところが破戒僧もまた蟲に憑かれ、蟲憑きに落ちたがゆえに源の宮への立ち入りを禁じられ、門番として使われているのである

以上のように桜竜のお膝元である源の宮においても、竜と蟲の対立は、蟲が優勢である


仙郷

桜竜のいる仙郷でも、それはかわらない。
桜竜には蟲と対立した傷痕が残されているのである
 
左腕はちぎり取られ、胸元は大きく抉られている


桜竜は蟲との戦いによって力をほとんど失い、現し身を失った結果ようやく磐座に宿っている状態である。であるがゆえに、源の宮は荒廃し隻狼が訪れた時のような姿となったのである


では、そもそも蟲とは何なのか、どこから来たのであろうか

竜と蟲との最初の接触は、「神食み」のテキストによって示されている

神食み
葦名のひと際古い土地に生える草木には、
名も無き小さな神々が寄っていたという
これは、そうした草木を練り上げ作られる
神々を食み、ありがたく戴く秘薬である
だが、神なる竜が根付いたのちは、
そうした小さな神々は、姿を潜めてしまった…

ここに登場する「草木に寄る小さな神々」こそがである。草木に寄りつき生きるというのは、現実の昆虫の生態と同一である

神なる竜の到来により、小さな神々は姿を潜めたのだという。消滅したのではなく「潜めた」のである。まだ彼らはどこかに存在しているのである

彼らが潜んだ先は、源の水である

神ふぶき怨霊払いの加護を持った紙ふぶき
紙を抄くというが、
源の水で行うそれは、神を掬うことでもある
神宿りの紙ふぶきは、浴びた者に加護を降ろす
怨霊の類にも、攻撃が通じるようになる

神を掬う、それはつまり源の水の中には神がいるということに他ならない

この小さな神が憑いた状態が、蟲憑きである

蟲が「付いた」わけでもなく、「寄生」したわけでもない。蟲が「憑いた」のが蟲憑きである。この憑くという字は神霊などが憑く場合に使われる字である

それは最初から、現実的に存在する蟲ではなく、神霊的な蟲が憑いたことを示唆しているのである


源の水

源の水には小さな神々(蟲)が溶けている。しかしながらそれは、源の水の一側面しか説明していないのである

源の水には、桜竜に由来する成分(血)も混じっている

つまり源の水にも、竜 vs 蟲の構図が見出せるのである。竜か蟲かどちらか一方ではなく、どちらも含有されているのだ

それを象徴的に表わした場所がある

菩薩谷の獅子猿の住処だ

この場所には、源の水が濃くなった場所に咲く「馨し水蓮」と、蟲憑きが同居している

源の水の竜の側面が馨し水蓮となり、蟲の側面が獅子猿として現れているのだ



変若水

源の水の竜と蟲の二面性は、それを濃縮した変若水となっても保たれる

香花の手記
九郎より授かった手記
かつての竜胤の御子、丈が記したもののようだ
 巴の一族は、かつて源の香気を集め、
 宮に至ったと言う
 源より流れ出ずる水こそが、香気の鍵だ
 源の水が濃く溜まった場所
 つまり変若水が溜まる場所ならば、
 あの白い、香気をまとう花が咲いておるやも…

葦名の赤目を生む変若水は竜の側面であり、一方仙峯寺の死なずの求道者たちが扱うのは、変若水の蟲の側面である

道順の扱う変若水とは、変若水に含まれる竜の成分を利用したものであり、ゆえに赤目となり火を恐れる。また変若水の澱とは、竜の成分を結晶として析出したものである

蟲憑きとは、変若水に含まれる小さな神々(蟲)を人に憑かせたものであり、死なずの求道者たちの研究テーマである

双方は同じ源の水を扱いながらも、利用する側面が異なるのである。ここにもまた葦名衆(竜)/仙峯寺(蟲)という対立項が見られるが、それは葦名の地に貫かれる、竜 vs 蟲の対立構造を踏襲するがゆえである

おそらく葦名の地に存在するすべてのものが、この対立構造を含んでいると思われる(変若の御子については後述する)


仙峯寺

仙峯寺の「」という字、また仙峯寺本堂から眺めることのできる「仙郷」の姿。開祖仙峯上人の桜竜への関わりなどから、もともと仙峯寺は、仙郷を遙拝するために建立されたことがうかがえる

もとは竜の寺だったのである。だが、開祖仙峯上人が蟲に憑かれたことを桜竜からの賜り物だと勘違いしたことから、仙峯寺は仏道を離れていく。

死なずの探求は、仙峯寺の本来的なあり方でないことは、変若の御子のセリフからも明らかである

「この仙峯寺は、今や御仏の教えより外れた場 みな、僧であることを捨て 死なずの探求に魅入られてしまいました」(変若の御子)

では仙峯寺の本来の目的とは何か?

変若の御子を造ることである

もとは竜側の寺であり、当初は変若水の「竜の成分」を使って「変若の御子」を生み出そうとしていたのである。またそれは多数の犠牲の上に「変若の御子」として結実している

この「変若の御子」ひいては「揺り籠」の作製を命じたのは、神域にいる巫女である。揺り籠のあれほどややこしく詳細な造り方を知っているのは、自身が揺り籠であった巫女しかいない

が、いつの頃からか蟲が仙峯寺の実権を掌握。仙峯上人は主流を外れ、変若の御子は奥の院にこもってしまう

仙峯寺の堕落の背景にも竜と蟲の対立構造が存在するのである

※変若の御子の具体的な作製法であるが、妊婦の胎内の羊水を変若水に入れ替えることで、胎児を神の水に浸し、人でなく神として誕生させようとしたのであろう
※変若水には蟲も混じっているので、悲劇的な結果を迎えたことも多かったと思われる


話は少し変わるが、仙峯寺の本尊は、水瓶(すいびょう)をもった十一面観音菩薩像である。他にいくつか仏像は存在するが、その数も大きさも十一面観音菩薩像が圧倒している

なぜ水瓶を持った十一面観音菩薩像でなければならないのか

開祖、仙峯上人がその姿を仏の理想としたからである

観音菩薩の起源は諸説あるが、そのなかにペルシア神話に登場する水の女神アナーヒターであるという説がある

仙峯寺の観音菩薩像が水瓶を持っているのは、水神としての属性を強調したかったからであり、また落ち谷の白衣観音が赤子を抱いているのは、その女性性を強調するためである


つまり、SEKIRO世界の観音菩薩像は、女性なのである

水を司る水神であり、かつ女神である観音菩薩。仙峯上人はいったいどこから、この理想を見いだしたのか

神域にいる巫女である



巫女

この女性は桜竜の宿る磐座に寄りかかっていることや、「巫女」と呼ばれること、また桜竜から拝涙した後は、「静かに眠っている」ことなどから、桜竜と関わりが深いことがうかがえる

また宮の貴族たちよりも一層古い服装であること、竜胤が移動するためには「揺り籠」に入らなければならないことなどから、桜竜が西からやって来たときに宿っていた「揺り籠」と考えられる

※巫女がすでに「揺り籠」の用を為さないのは、自らが竜胤を宿して帰郷しないことからもわかる

この巫女こそ、仙峯寺にある十一面観音菩薩像のモデルであり、仙峯上人が理想の仏としたものであろう

落ち谷にある白衣観音像が赤子を抱いているのは、巫女の揺り籠としての姿を描写したものであり、つまりあの赤子は竜胤なのである


また仙峯寺を初めて訪れた時、仏画から変若の御子の声が聞こえてくるが、ここに描かれているのは勢至菩薩である。つまり変若の御子は勢至菩薩の化身として表現されているのであるが、勢至菩薩と対になる菩薩が、観音菩薩なのである

勢至菩薩の化身である変若の御子が揺り籠であるのなら、それとになる観音菩薩、つまり巫女もまた揺り籠であってもおかしくはない

また観音菩薩は、普門示現(ふもんじげん)といって、『あまねく衆生を救うために相手に応じて「仏身」「声聞(しょうもん)身」「梵王身」など、33の姿に変身すると説かれている』(wikipedia)

つまるところ、十一面観音菩薩像は巫女の水の女神である姿、白衣観音は巫女の揺り籠としての姿、磐座に寄りかかる巫女は桜竜を祀る祭司としての姿、をそれぞれ表わしたものである

そしておそらく、「真の仏師」でもある

平田屋敷の隠し仏殿に巨大な十一面観音菩薩像があるのも、その背後に観音菩薩の神通力が存在するからなのである

源の水への信仰を禁じられた葦名衆のために、代わりとなる仏像を彫り与えたのである。猩々がいうように、仏像の姿形は仏師にはコントロールできず、本人を表わす十一面観音菩薩像となったのだが、それは揺り籠、つまり神の御子が彫った仏像であるがゆえに超常の力を獲得したのである

だが竜と蟲の戦いは密かに続いていたのである


桜竜 vs 蟲

一時は潜んだ蟲(神々)であるがやがて勢力を増し、水生村や仙峯寺、さらに源の宮にまで侵入していき、最後は仙郷にいる桜竜にまで到達してしまった

蟲に体を蝕まれた桜竜は左腕を失い胸を抉られ現し身を失って磐座に逼塞した

ほとんど死んだも同然である。いや、実際死んでいるのかもしれない。だが、桜竜は自分の分身とも言えるべきものを、現世に産み落とした

竜胤の御子である

竜胤の御子は蟲に汚染された源の宮を脱出。蟲から逃げるようにして、葦名の地に降りて来たのである

その当時はまだ「変若の御子」は完成しておらず、竜胤の御子を他の土地に移動させる「揺り籠」も存在していなかった

葦名の地に足止めを喰らったまま年月が過ぎ、故郷へ戻ろうとするも不死斬りがないために果たせない。

そうこうしているうちに丈の咳が酷くなり、故郷へ帰るどころではなくなってしまった

もはや可能なのは竜胤を断つことぐらいであるが、仙峯上人は当然ながら協力しない

その後のことはよくわからない。丈は死んだのか、人返りを果たしたのか、それとも仙郷へ帰ることができたのか。どれもあり得る話であるが、この考察ではこれ以上は触れない


まとめ

さて以上のように、葦名の地は上から下まで竜 vs 蟲という対立構図に貫かれている
二つの得体の知れない「神と神々」によって人間は多大な迷惑を被っているわけだが、人間側もまた竜と蟲の旗印の下にやり合っているわけだから自業自得と言える

 今回は巫女=揺り籠説をとったが、巫女=巴説でも細部が異なるぐらいで大意に相違はない。次回は巫女=巴説を考察してみたいと思う



2019年6月16日日曜日

Sekiro 考察39 水生村

水生村というのはSEKIROを象徴するような土地であり、であるがゆえに一筋縄ではいかないほどに複雑である

そこでまずは水生村の現況から整理していきたいと思う


隠し森の僧侶

水生村の異常事態を伝える最初の人物は、隠し森の観音菩薩像の前にいる僧侶である


僧侶:…おお、お主、ごほっ、ごほっ…
もし、御仏の道を知るものならば…
仏敵を討ってはくれまいか 
隻狼:仏敵だと?
僧侶:そうじゃ… ごほっ、ごほっ…
あれは、この先の廃寺に籠り…
村人たちをまやかすため… 幻の霧で、村を閉ざしておるのじゃ

あれ、とは霧ごもりの貴人のことである
霧ごもりの貴人は、幻の霧で村を閉ざしている
目的は村人たちをまやかすためである

まやかす、とは何を意味するのか


籠かぶりの正助

籠かぶりの正助の証言によれば、神主は「ミヤコビト」になるためのを村人に振る舞うという

正助:神主さまが、ときどき、お酒をふるまってくださるんだ

その酒は飲むと、喉が渇くという

正助:ただなあ… お酒を飲むと、喉が渇いちまう
酒樽は、すぐ空になる
仕方なく、みな、池や川の水を啜るんだ
けどなあ、飲めば飲むほど、喉が渇く…

さらに酒を飲むと火を恐れるようになるという

正助:ただ… みな、火を怖がる
頭がぼうっとしてる時は… おらも、そうだった

ただし、犬彦にだけは神主も酒をふるまわない

正助:犬彦は、村の鼻つまみ者だ
獣の肉など、食いやがる
だから、神主さまも、あいつにはお酒をあげないのさ

神主は、この村でいちばん偉いお人であり、お社にいるという

正助:神主さまは、この村でいちばん偉いお人だ
川沿いにさかのぼった先、水源に近い、お社にいらっしゃるぞ

その神主の目的は、「みなで、ミヤコビトになる」ことである

正助:「みなで、ミヤコビトになろうぞ」ってな
お酒をたくさん飲めば、ミヤコビトになれるってさあ

神主に「京の水」を渡すと「宮の貴人」と化すことから、「ミヤコビト」とは「宮の貴人」のことである

神主:ようよう、お認めいただける… 末座に加えていただける…

つまり霧ごもりの貴人の目的は、仲間あるいは眷属を作りだすことにある

そのために霧で村を閉ざし、村人をまやかしているのである


廃寺

霧ごもりの貴人が占拠している廃寺には、もとは観音菩薩像が祀られていた

僧侶:もう一度、仏様を、寺に戻して差し上げたいのじゃ…

霧ごもりの貴人を仏敵とまで罵ることから、観音菩薩像を運び出したのは、霧ごもりの貴人である可能性が高い

まやかしが解けた後の廃寺を散策すると、仏像や卒塔婆が穴に捨てられているのがわかる。また、僧侶を殺し逆さに吊してもいる



これらのことから推測するに、霧ごもりの貴人は僧侶ならびに仏に関わるものを排除しなければ霧で村を閉ざすことができなかったのである

なぜならば霧ごもりの貴人は仏教と対立する側の勢力であるからだ

その勢力とは、日本の歴史を鑑みるのならば「神道」である

物部・中臣氏らは「仏神」のせいで国神が怒っているためであると奏上。欽明天皇もやむなく彼らによる仏像の廃棄、寺の焼却を黙認したという。 (崇仏論争 Wikipedia

つまり隠し森ならびに水生村の背後には、神道と仏教の対立の構図が存在するのである

獣の肉を喰らう犬彦に酒が与えられないのは、肉食が神道の戒律に違反するからである
※また破戒僧が宮の貴族つまり神道側に仕えているのは、破戒によって仏教を追放されたからである


神仏習合

水生村はもとは神仏習合の信仰をもつ村だったことが、お社の構造からうかがえる

一階にはしめ縄(神道)と御幣(神道)で囲われた場所に仏像(仏教)が置かれており


二階には神棚が置かれているからである


このように、かつての水生村は神道と仏教が共存していたと考えられる

とはいえ全くの五分というわけではなく、お社の一階に仏像が堂々と置かれ、神棚は二階にひっそりと置かれていることから、仏教信仰がやや優勢だったことがうかがえる

※水生村の最も古い記録に輿入れの岩戸が登場することから、本来的には水生村は神道の村であったのであろう。いつの頃か外部から仏教勢力が侵入し、やがて仏教優勢となっていったのである。これは日本の歴史をそのままトレースしたような流れである

しかしながら、現在は一階にある仏像の頭と腕が破壊される一方で神道に関係するものは保持されている

またお社にいる男が神主であることから、いつの時期からか仏教は廃され神道のみの信仰に移行したらしい

当然ながらその時期は、霧ごもりの貴人が到来した時期と同一であろう

神道を携えて到来した霧ごもりの貴人は仏教を廃し、水生村ならびに隠し森から仏教に関連するものを排除したのである。まやかしを使うためには、仏の力が邪魔だったからである



では仏教側は霧ごもりの貴人による廃仏毀釈の完全なる被害者といえるのかというと、一概にそうとは言えないのである

以下は隠し森の僧侶を拡大した画像である


僧侶の頭部や身体にある痣のようなものに見覚えはないだろうか

そう、仙峯寺の死なずの求道者たちにあるものと酷似しているのである

これが隠し森の僧侶が生きている理由である。蟲憑きではないので完全なる不死ではないものの、死なずの求道者と呼ばれる程度には、死なないのである

僧侶が死なずの求道者であるのならば、蟲に関する知識も持ちあわせているはずである

以下は水生村にある桜の根本付近の画像であるが、幹の一部が大きく膨らんでいるのがわかる


虫こぶである(Wikipedia)


霧ごもりの貴人(神道)が水生村に「ミヤコビトになる酒」を持ち込んだのと同様に、死なずの求道者(仏教)もまた「」を持ち込んだのである

赤い布に張られたセミや水底に棲むナメクジといった蟲は、死なずの求道者が持ち込んだのである

セミは蝉と書き「虫偏」であるように、ナメクジもまた蛞蝓と書き「虫偏」である

さて、蟲に憑かれた者は不死となる。同様に蟲に憑かれた桜も不死となったのである。水生村の桜が咲いているのは、それが常桜だからなのではなく、「蟲に憑かれた桜」だからである

※お社の二階に桜の枝が祀られているのは、それが蟲に汚染されていない清浄な桜の枝だからである

このようにして水生村に仏教が広まると共に、蟲も広まっていったのである

そこへやって来たのが、霧ごもりの貴人である
彼が水生村を霧で閉ざした理由は明らかである。蟲に汚染された水生村を再び自らの陣営に引き入れるためである

水底にいる完全なナメクジとは別に、赤い布に張られたり三方に載せられた「ナメクジ魚」が見つかるが、この形状は「蟲」「魚」変貌する吉兆であり、そうであるがゆえに捧げられているのである


端的に言って、貴人にしろ僧侶にしろ、村人の側から見れば「ろくなもんじゃない」のである。これは宗教に対する強烈な皮肉であり、こうした聖職者への冷たい視線はソウルズボーンを通して貫かれているものである



魚 vs 蟲

神道と仏教の皮を被った「魚」と「蟲」の争いは、水生村以外でも見受けられる。源の宮の湖底にいる魚骨を這う虫もその延長線であるし、「まこと貴き餌」がヌシを殺すのも、背後に「魚」と「蟲」との闘争があるからである

ミヤコビトになる酒を飲んだ村人が、火を恐れるように、葦名の赤目もまた火を恐れるという。これは、道順による変若水実験が「魚」の側に属することを表わしている。道順が鯉の赤目玉を求めたのも、そのためである

おそらく道順はもとは死なずの求道者側、つまり蟲を使った不死実験に携わっていたと思われる。その名残りが捨て牢の奥にある仙峯寺への直通昇降機なのである。しかし蟲による不死実験に限界を感じた道順は、やがて蟲と決別し魚の側に宗旨替えしたのである

そうして生まれたのが葦名の赤目なのである

道順がたどった蟲から魚への移行は、水生村と同じ構造である

また魚と蟲との対立は、藤原秀郷の物語にある「竜と大百足」の闘争と同じ構造である

※鯉は年を経ると竜になる



桜竜

そして蟲も魚もそのをたどれば、桜竜に行き着くのである
桜竜から直接的に両者が発生したかどうかは、この考察では触れない

しかしながら、桜竜が葦名の地に根付いたことが原因(あるいは遠因)で蟲と魚が生まれ、葦名の人々は両者が同源である事も知らずにその争いに巻き込まれているのである

※巻き込まれているどころか、ある層の人間たちは蟲と魚を旗印に勝手に代理戦争を繰り広げており、その旗手は両勢力とも聖職者なのである(神主と僧侶)



蛇足

二度ほど頓挫した水生村の考察である
今回はあまり論を飛躍させず、なるべく水生村の現況から離れないように論じたものである。とはいえ最後の方はやや飛躍気味かとも思う

魚と蟲の闘争という観念は水生村を観察することで得られたものであり、こう考えると「水生村の桜」や「ナメクジ魚」を説明できるなと思ったので書いてみたものである

さらにこの対立が葦名をも貫いていると考えると、「まこと貴き餌」や「変若水実験」、「仙峯寺」と「宮の貴人」との関係も解き明かせるかと思い、やや脱線してみたものである

なお魚と蟲の闘争が、そのまま藤原秀郷の物語に描かれる竜と大百足との闘争とに比定できることは、最後の方でようやく気付いた

2019年6月11日火曜日

Elden Ring 各種リンク

インタビュー記事などをいつも探し回るはめになるのでElden Ringは最初からまとめておこうと思う

公式

Elden Ring オフィシャルサイト

E3 2019

ELDEN RINGデビュートレーラー【2019 E3】
英語版(4K):ELDEN RING - E3 ANNOUNCEMENT TRAILER

インタビュー

E3 2019: Xbox Wire
E3 2019: Xbox Wire 翻訳版(ファミ通.com)

ジョージ・R・R・マーティンのコメント(Polygon)

IGN JAPAN
※馬、騎乗戦闘。NPCの数。
IGN JAPANan
※Elden Ringを直訳すると「古の輪」
IGN JAPAN
※ストーリーと神話
IGN JAPAN
※ストーリーテリング
IGN JAPAN
※ロングインタビュー


リーク

Daniel Ahmed氏のTwitter
Gematsu

4chリークに関する情報(↓の方)

Redditリーク

E3以前のリーク

Gamerant


2019年6月6日木曜日

Death Stranding 考察21 死を与える

「メディアの途方もないテクノロジー上の発展が、亡霊性の前代未聞の可能性と関係があること、そして遠隔通信テクノロジーがある種の亡霊性を産み出し、処理し、組織化し、そこから利益を得る方法であること、このことは疑いありません」(『デリダ、脱構築を語る』岩波書店)

そろそろ『DEATH STRANDING (デス・ストランディング)』発売日告知 2019トレーラーの総括をしていきたいと思う

まとめというほど考えはまとまっていないが、それはいつものことであり、書いている間に妙な仮説が浮かんでくるであろう


デスストランディングとはどういったゲームか

PlaystationUKのマルチプレイの説明には、「互いに物資を送り、安全な家を共有し、他のプレイヤーの足跡をたどって歩くことが出来る」と記載されている


どことなくダークソウルに似ていると感じたのは私だけではないだろう。しかしながら、決定的に異なる点がひとつある

プレイヤーは誰もがサムである

という点だ。この点に関してはマッツがいつだったか「プレイヤーはサムになる」というようなことを述べていたが、公開されたプレイ動画を見る限りでも、マッツの言葉と矛盾する点はない

ソウルシリーズでは、主人公は「不死人」や「灰の人」という無名の存在であるのと対照的に、デスストランディングにおいては主人公はサムで固定されている

つまりプレイヤーの数だけサムが存在するのである。この無数のサムが互いにメッセージや物資を送りあうという状況は、一見するとかなり奇妙に思われる。しかしながらこの奇妙な状況は量子論的にあり得るのである

エヴェレットの多世界解釈である(Wikipedia)

SFなどでお馴染みの概念であるが、要するに世界はひとつではなく、ほんの少しだけ異なった世界がそれこそ無限数に近いぐらいに存在する、とする考え方だ

本来であれば、世界間の交流はできないはずである。しかしながらどういうわけか他の世界と繋がってしまったり、行き来できてしまったり、といった事態はSFや漫画などでも頻出する物語パターンである

プレイヤーがデスストランディングをプレイするとき、そのプレイヤー固有の世界が、無数にあるデスストランディング世界のうちの一つとして、デススト・ユニバースに存在しはじめるのである

※最近では映画『スパイダーマン: スパイダーバース』が似たような世界観を扱っている



繋がり

繋がりに関して小島監督はTwitterで以下のように説明している

DEATH STRANDINGは、いわゆる既存のステルス・ゲームとは違います。全く新しい繋がり(ストランド)の概念をゲームに取り入れた、これまでにないアクション・ゲームになります。僕は、これをソーシャル・ストランド・システム、略して“ストランド・ゲーム”と読んでいます。

これまでのゲームは、例えばオンラインゲームならば一つの世界を複数のプレイヤーが共有しながら遊ぶことを前提にしたものである。またオフラインゲームならば、その世界はそのプレイヤーだけのものである

これに対してデスストは、プレイヤーだけの世界がありながらも、その背後には無数の他プレイヤーの世界が存在しているのである(前後左右というよりも、それは重なっているというほうが適切かもしれない)

そしてその「世界たち」はそれぞれに繋がっているのである、こうして全世界にあるPS4において起動されたデスストランディングの数と等しいだけのデススト世界が存在し、それを包含するように全デススト世界から構築されるデススト・バースが創造されるのである

このデススト・バースは日々のアクティブプレイヤーの数に比例して増大・縮小するのである。この意味でデスストはある種のソーシャル、社会的な属性を有したゲーム、ソーシャル・ストランド・システムなのである



地獄(ハデス)

地獄(ハデス)とは、各プレイヤーのデススト世界に固有の特殊な領域のことではない

各デススト・バースとの間に存在する領域である。その意味で、各デススト世界は、仮想世界上に構築された地獄(ハデス)空間に漂う島のようなものである

※オフライン時には固有の領域として地獄(ハデス)が用意されると思われるが、その機能はほぼ同じである

地獄の機能の一つはやはり「繋がる」ことである。本来であれば没交渉である各世界間は、全世界を浸す地獄(ハデス)によって、繋がることができるのである

プレイヤーは地獄(ハデス)を利用して物資やメッセージを他の世界へ伝え、また他の世界からもそれらが届くのである



座礁

小島監督はTwitterのおいて「座礁」についても触れている

ストランディングにはいくつかの意味があります。そのひとつは「座礁」。鯨やイルカが集団で座礁することを、マス・ストランディング。生きたまま座礁するとライブ・ストランディング。座礁鯨のことはBeached Whaleと呼ぶそうです。このへんにも、#DEATHSTRANDING を推理するヒントがあります

地獄(ハデス)とは多世界を浸す海のようなものである。そう考えると、座礁とはその海から世界という砂浜へ打ち上がるモノ(Beached Thingsである)

要するに、地獄(ハデス)に棲まうBTが何らかの異常により座礁したことが、世界を襲った災厄の原因なのである



多世界

さて多世界解釈では、少しずつ異なった無数の世界が存在すると上述した。しかしながら少しずつ変異していった結果として、全く異なった世界が存在することもあるのである

また、それらは世界の実像だけではなく「時間の流れ」も異なっている。というのも、アインシュタインの特殊相対性理論によれば、時間の流れとは「相対的なもの」だからである

Aという世界とBという世界を貫くような絶対的な時間などというものはなく、Aから見たB、またBから見たAにはそれぞれ固有の時間の流れが存在しているからである

つまるところ、地獄(ハデス)に浸る無数の世界の中には、サムのいる現在から見て「過去の世界」も存在しているのである

これまでのトレイラーからは、第一次、第二次世界大戦、ベトナム(あるいはイラク)の兵士や兵器が登場することが確認されている

これは未だ第一次大戦を戦っている「世界」、第二次世界大戦時の「世界」、ベトナム戦争下の「各世界」が地獄(ハデス)に浸って存在しているからである


デス・ストランディング

トレイラーにおいてヒッグスは「俺は“デス・ストランディング”の正体を掴んだ」という

地獄(ハデス)から座礁してくるのがBTである。では“デス”・ストランディングとは何か

端的に言うと、無数の世界を浸している「場(地獄)」に繋がることである

ヒッグス「俺は あの世とは繋がっている」

例えば人々を繋ぐソーシャルな場は、例えそれに参加している人間が死んだとしても繋がり続ける。(人の死後もTwitterアカウントが継続される)

もはやそれを記していた人間は生きていないのだが、繋がりだけが亡霊のように存在し続けるのである

それはその人の「生」が投影された繋がりであり、その人をその人の言葉以上に物語るものである

要するに、地獄(ハデス)に浸された世界においては「人は死ねない」のである。現実の人間が死んだとしても、亡霊のようなもの(BT)となって漂い続けるのである

この「生」に相反する存在「死」との繋がりこそが、デス・ストランディングなのである

しかしながらそれは、厳密には「死」ではない。あえていえば「生」に対する「反生」である。物質と反物質がぶつかると対消滅が起きるように、「生」と「反生」が衝突することで、対消滅(ヴォイド・アウト)が起きるのである



共有される死

サムは「アメリカを再建しても、BTはいなくならない」「“絶滅”は避けられない。BTがいるかぎり」という

現実世界と同様に人が死んだとしても、それがただの「死」であれば世界は保たれる。しかしながら人が死ねず、「反生」の状態のまま存在しているのだとしたら、それはやがて「生」と対消滅を起こし絶滅することは必定である

ゆえにサムは「死を与え」なければならない。そうしなければ、人はBTとなって戻ってくるからである。また殺してもならない、殺すと死者はBTとなって戻ってくるからである

だが上述したように、サムの世界はプレイヤーの数だけ存在しそれは地獄(ハデス)に浸って繋がっている

プレイヤー間で共有されているのは、地獄(ハデス)なのである。他のプレイヤーが敵NPCを殺し続けたら、それはBTとなって地獄(ハデス)に溜まり、やがて他の世界へと「座礁」してしまうのである

プレイヤーが敵を殺し、BTが増えれば増えるほど世界の再建は難しくなっていくであろう

これまでのゲームではオンラインゲームでもオフラインゲームでも敵NPCは死んだらそれまでである。死んだ瞬間に消滅し、データから消去される存在である

だがデス・ストランディングにおいては、「死」は共有される。それは災厄(BT)となってプレイヤーのもとへと戻ってくるのである

以上のことから、デス・ストランディングとは一種の社会実験的な意味を持つゲームとも言える

無数のプレイヤーの意志が世界を再建するか崩壊させるかの鍵を握っているのである

現実世界においてSNSが「アラブの春」の大きな動力源になったように、またSNSにおける発言や行為が「炎上」してしまうように、デス・ストランディングの世界ではプレイヤーの行動が、世界の帰結を決定するのである


蛇足

観念的な話になってしまったが、ゲーム上ではおそらく科学的な用語に置き換えられて説明されるかと思う

これは仕方の無いことなのだが、発売前の考察というのは多分に発想を飛躍させなければならず、当然ながら妄想に近いものとなる。また、根っこの部分で間違えていると完全に方向違いな考察となってしまう

ということで、実は私自身は当てようと思って考察していない。出された情報(トレイラーなど)をもとに、いかに発想を引き出せるかという一種のARGとして楽しんでいるだけである

ARG= Alternate Reality Game, 代替現実ゲーム

Twitter:@Souls_Seed

2019年6月4日火曜日

Death Stranding 考察20 勢力図(修正)

以下の図は私が勝手に創作した暫定的なものであり、事実と異なる可能性が高い
※考察する際に公式サイトの存在が頭からすっぽりと抜け落ちるのはどういった現象なのだろう


都市連合(UCA: United Cities of America)

ブリッジスが繋いだ都市の連合

Bridges

ブリジットがアメリカを再建するために創設した組織
主な業務内容は資材の運搬?

ブリジット
ママー
ダイハードマン
デッドマン
ハートマン(※BRIDGESでない可能性も)
サム

※公式サイトの画像にママーの胸元のマークがばっちり写ってました
ということでママーもBRIDGES

Bridges Corpse Disposal Team 6

ブリッジスの死体廃棄チーム
死者はBT(Beached Things)となって戻ってくるため、適切に処置するためのチームが必要となる

サムが一時期(おそらく初期?)に所属していた

Fragile Express

貴重品運搬を専門とする配達業者
ブリッジスの一部門である可能性も高い

フラジャイル


エッジ・ノットシティ(Edge Knot City)

直訳すると「結び目の端の都市」
ブリッジスによって繋がりかけている都市群の総称
ひとつの都市というよりも、そうした位置にある無数の都市を総称したものだと思われる

分離破壊主義者(ディメンズ): Homo Demens

あらゆる手段を講じて対消滅(ヴォイド・アウト)を画策している集団
アメリカ中に潜むとされるが、エッジ・ノットシティの自治独立を要求することから、その本部はエッジ・ノットシティ内にあると思われる

ミュール(Mule)

Muleとはラバのことであり、転じて運び屋を意味する。主に麻薬などの運び屋を指す蔑称(さげすんでいう名)であることから、彼ら自身がミュールと名乗っているのかは不明

また、『近縁の異種同士の、子孫が残せない雑種』という意味もあり、ある種のミュータントである可能性もある

背負っている荷物には「CERAMIC」、「RESIN」、「BEFE(推定)」とある

CERAMICは磁器
RESINは樹脂
BEFEはベリリウム鉄?

以下の画像の「CERAMIC fg」のfgとは完成品を意味する略語
CERAMICの完成品という意味であろう

次の画像は読みにくいが「○○FE」というのは分かる。FEは鉄であろう。その前の○○がBEだとするとベリリウム鉄となる


ハートマン


DEFIBRILLATOR(除細動器)」と読める


クリフ(科学者)

科学者としてのクリフはBBと関連していると思われる
『The Moon and the Earth』


地獄(ハデス)

クリフやBTがいるとされる時空
時雨として地球に降り注ぎ、地獄との経路を繋ぐ



蛇足

疲れてる時に考察するものではないという教訓を得た

2019年6月2日日曜日

Sekiro資料:盗み聞き

月見櫓~抜け穴前まで

【詰め所の足軽二人】

足軽A:月見櫓が、今宵も月に照らされておる…
御子様はまた、月明かりで書をお読みかのう

足軽B:そうじゃなあ
まだほんの子供というに、囚われとは、気の毒なことじゃ

足軽A:ああ… 弦一郎様も、何かお考えがあるのだろうが…


【月見櫓前の足軽】

足軽C:月見櫓の扉は、ちゃんと閉まっておるか?

足軽D:閉まっておるが…
壁の穴は、そのままにしておるぞ

足軽C:ああ、そちらは心配いらぬだろう
穴は壁際じゃ、通えるものなどあるまいよ


【橋の上の足軽】

足軽E:この橋の下… 堀のどん詰まりに、抜け穴があるじゃろう
あそこも、見張りせよとの仰せじゃと

足軽F:ふうむ… なんとも厳戒なことじゃ
戦が近いのかもしれんのう…


荒れ寺

【仏師が竜咳に罹った時】

仏師:ゲホッゲホッ…

エマ:うん、それで十分
ありがとう、猩々

仏師:フンッ、エマよ
爺の吐いた血なんぞ… どうするってんだ…

エマ:竜咳の、調べを
治す術を、探りたいのです
猩々…。貴方のためでも、あるのですよ

仏師:…そうかい
だが、いらぬ世話だ。こんなものは、自力で…

エマ:……ふむ…
さて… 見せてもらおう…
竜咳の血よ… お前は…
果たして、如何に… 病を起こす…

仏師:………ケッ、道玄…
エマのやつぁ、やはりお前さんに、そっくりだぞ


【仏師イベント】

エマ:猩々…。内府の軍が、来ています

仏師:……そうか
相も変わらず、奪いことが好きな連中じゃ…

エマ:炎は… まだ、消えませんか?

仏師:エマよ…
何度聞いても、変わりゃあしない
いくら仏を彫ろうとも、怨嗟の炎は消せぬ
押し留めるが、せいぜいじゃ

エマ:………猩々

仏師:何じゃ

エマ:もし、その時が来たならば、せめて私が…

仏師:………
儂は、仏を彫るので忙しい… じゃあな…


【人返りルート】

仏師:なあ、エマ…
お前さんは、それでいいのかい

エマ:私には、分からぬのです
不死断ちをなすためには…
九郎様か、あの方…
そのいずれかが、死なねばならぬ

仏師:………

エマ:なぜ、そのような道しかないのか…

仏師:だから… そいつを隠すのかい?

エマ:だって、猩々…
これを渡せばきっと、あの人は、死んでしまう


【平田屋敷(義父の守り鈴)クリア後】

仏師:…エマ
お前さん、行かせちまって、良かったのかい

エマ:…私が止めたとて
あの方は、行かれるでしょう

仏師:フンッ、じゃろうな

エマ:…ねえ、猩々
せめて、願っていたいのです
あの方が、成し遂げることを

仏師:ああ、そうするといい


葦名城

【城門路】

足軽G:…この戦、はたして勝てるものかのう?
どうにも、悪い予感がするのじゃ…

足軽H:何を弱気なことを
病身とはいえ、一心様はご健在
弦一郎様の弓も見事なものじゃ
加えて、鬼形部様もおるではないか

足軽G:おお、鬼庭形部雅孝様か!
確かに、あのお方と、鬼鹿毛(おにかげ)が共にあれば
大手門が抜かれるなど、考えられぬわ


【虎口階段】

足軽I:赤鬼め、縛るだけでは不安じゃのう
戦の前に、我らが襲われては、しょうもないわ

足軽J:…いざとなれば、火を使うしかあるまい
赤目は火を恐れる、そういうお達しじゃて

足軽I:お達しねえ… 変わっちまったなあ、葦名の戦も…


【大手門出丸】

足軽K:見ろ… 大手門に狼煙が上がっておる

足軽L:形部様か…

足軽K:ああ、正に鬼形部
あのお方がおれば、葦名もまだまだ安泰よ

【大手門出丸 木の下】
足軽M:ううう… 小鹿毛(こかげ)よう… かわいそうな、おらの馬っこよう…
奴ら、爆竹なんぞで、脅かしよって…
ううう… 死んじまった… 死んじまったよう…


【大手門後のらっぱ衆】

らっぱ衆A:…一心の病、やはり重いようじゃ

らっぱ衆B:うむ… たとえ弦一郎がおれど
葦名の国、長くはなさそうだの

らっぱ衆A:して、もう一つの任は?

らっぱ衆B:…城の蛇谷の側が、黒笠で騒がしいようじゃ

らっぱ衆A:ならば、次はそちらよ
だが、細心にな… 黒笠のムジナ、生半には殺れぬぞ…


【火牛前】

足軽N:…本当にあれを、戦に使うつもりかのう

足軽O:ああ、だが、仕方なかろうて
葦名は今や、存亡の危機
なりふりなど構っておれぬでな

足軽N:じゃあ…

足軽O:ええい、しゃんとせい、しゃんと
そんな風では、巻き込まれっちまうぞ
一度怒れば、敵味方の別など、なかろうてな


【捨て牢前の橋】

足軽P:お主、太郎兵に鎧を着せたそうじゃな

足軽Q:ああ、あ奴め、ぐずりおってな
まったく難儀な仕事じゃった

足軽P:だが、その甲斐はあったのではないか
あの巨体と、強力(ごうりき)に加え
いまや刃も通さぬのじゃからな

足軽Q:まあ、その通りじゃが…
無理くり着せているからのう
何かあれば、鎧はすぐに剥がれっちまうさ


【水手曲輪】

足軽R:このあたりに、忍びが入り込んだそうじゃ
探してくれい

足軽S:心得たが… 最近頻繁ではないか

足軽R:ああ、それだけ、戦が近いということじゃろう
だからこそ、放っておけぬでな…


【名残り墓近くの橋】

組頭:むう… 塩が足らぬと申すか

足軽T:へえ… 食うのは勿論ですが…
傷口や、仏さんの清めにも、入用でして…

組頭:これだけ人死にが続いては… ということじゃな

足軽T:へえ… おかげで、戦場病(いくさばやまい)に罹る者も、多うございます

組頭:そうか… 何とかして、塩を手に入れねばな…


御子の間

【弦一郎撃破後】

九郎:どこで… 道を…
別って、しまったのだろう…
弦一郎殿…

【書庫】

九郎:………ふむ…
……クシュン……
うーむ… やはり、埃っぽい…
鼻がむずむずして、たまらぬ


【人返りルート】

九郎:あと、少しだ…
………うむ…
為すべきことを… 為すまでだ

隻狼:………


【おはぎイベント】

九郎:うむ… うむ、うむ…
これ以上ない、できばえ
フフッ、やるではないか、九郎


【梟撃破後】

九郎:………あやつは…
強いな…
………私も、かくありたい


※【寝言】は条件が分からず確認できていない


小天守(一心の部屋)

【赤の不死斬り入手後】

一心:赤の不死斬り…
ならば、あやつの手にあるのは…黒か
…力のためなら、己すら捨てる
…悲壮よな…


【忍軍襲来時】

エマ:一心様…
天狗がまた現れぬか、エマは案じておりますよ

一心:エマよ

エマ:はい

一心:弦一郎が、いずれ現れるじゃろう
不死斬りの、もう一振り… それを使うためにな

エマ:葦名を守るためならば…
己のすべてを、投げ打たれるおつもりでしょう

一心:ああ…。我が孫ながら、見事な覚悟よ
…じゃが、九郎の血を、使わせるわけにはいかぬ
刃を振るえるのも、あと幾度か…
その時まで、天狗は終いじゃ

エマ:…あの御方が、います

一心:カカッ、隻狼か
仏頂面だが、何処か憎めぬ…
あやつは、実に面白い


仙峯寺奥の院

【竜の帰郷ルート】

変若の御子:ぐ… ううう…
あぁ… あああ…

隻狼:………


水生村

【神社】

神主:こくり… こくり… こくり…
はああぁぁ… どうじゃあ…?
良いぞ… 溶けてきた、溶けてきたぞ…
おおぉぉぉぉ…


忍軍襲来後

【捨て牢】

足軽U:ううーむ… 来ぬなあ…
交代の刻限なぞ、とうに過ぎておるというに
だあれも、来ぬではないか…


【名残り墓】

僧兵A:うーむ…
…この国も、そろそろ潮時かのう
よりにもよって、敵は内府方じゃ…
爺様が倒れちまったら… 一気に負け戦じゃろうて
…しかし、ちゃんと銭は出るのかのう?
逃げるにしても、財布が軽くてはなあ…
うーむ…


【白蛇の社】

孤影衆 槍足の正長:正就…
お前ほどの者が、討たれるとは…
葦名には、鬼が潜むようじゃのう…

【名残り墓下の虎口階段へ抜ける橋】
赤笠のらっぱ衆C:クックックッ…
葦名の田舎忍びどもめ
罠とも知らず、まんまと釣られおったわ
なんとも愚鈍なことよのう…

撃破時:嘘、じゃろ… この…ワシがぁ?


内府襲来時

【小天守の下階(一心の部屋の下階)】

水生氏成:…一心様、お借りいたします
見ていて下され…
この戦、我ら葦名衆が、必ずや…


【水手曲輪】

鬼庭主馬雅次:…すべて、斬ったか

侍大将:はい…

雅次:よし… 弦一郎様が戻られたら、はじめるぞ
…竜胤とともに、葦名を興すのだ

侍大将:承知…


【名残り墓近くの橋】

僧兵B:南無阿弥陀仏… 南無阿弥陀仏… 南無阿弥陀仏…
ふぅ…
…みな、済まぬなあ
じゃが、銭も出ぬのに、命は張れぬでのう…
さて… どうやって逃げたものか…
うーむ…


平田屋敷

【飛び猿の忍び斧のお堂】

賊A:…兄貴、次はこのお堂ですかい

賊B:いや、そこはいい。次に行くぞ

賊A:…けんど、供え物でもあれば、重蔵さまに…

賊B:やめんか!
仏様には手出し無用…
何度言やあ分かるんだ、タコが!

賊A:怒らないでおくれよ、兄貴
タコで、ごめんよぉ…


【門前】

賊C:おうっ! ここを開けやがれ!
コソコソと、隠れてるのは分かってんだ!
大人しく投降しないと、痛い目みるぞ!
聞こえてんのかあ! おうっ!


【屋敷】

負傷者:ぐ… うぐうう…

看病人:どうか、動かないでください… 傷に障ります

負傷者:…いや、行かねばならぬ…
賊どものなかに、忍び狩りの僧兵が交ざっている
あれは、手練れよ。どうしても、私が行かねば…
ぐ… うぐうう…

看病人:ああっ…無理です… この傷では、とても…


【隠し洞穴前】

賊D:…屋敷は今ごろ、火の海よ

賊E:ああ… 抜け出してくるとしたら
この隠し洞窟に違えねえ

賊D:重蔵さまの言いつけだ
鼠一匹、逃すんじゃあないぞ

賊E:分かってるさ
俺は元々、大っ嫌いなんだ
危なくなりゃあ自分だけ逃げだす、卑怯者がよ…


平田屋敷(義父の守り鈴)

【主殿前】

孤影衆 正就:平田屋敷、存外に容易かったな
梟の手引きも、なかなかのものではないか

うわばみの重蔵:…オレは、好かねえなぁ
あの爺は、どうにも胡散臭えや
グビッグビッグビッ… プハアァ…
あれは、外道… ド外道だぜ、正就さんよう…

正就:まあ、我慢しろ
いかに企もうと、所詮は田舎のはぐれ忍び
何ができることもあるまい…

重蔵:ゲエエエップ
ケッ… オレは、銭と酒さえ都合してもらえりゃあ、文句はねえさ

Death Stranding 考察19 気になった箇所3

ヒッグス場の海

ヒッグスの眉の数式は電磁テンソルを表わした式(Wikipedia)

電磁テンソルとは、電磁場を相対性理論にもとづいた形式で記述したものである。(Wikipedia)
この電磁場の変動を伝える波が電磁波である

そして電磁波とは、
微視的には、電磁波は光子と呼ばれる量子力学的な粒子であり、物体が何らかの方法でエネルギーを失うと、それが光子として放出される。(Wikipedia)
つまり光子なのである

さて、ヒッグスの名の由来と思われるヒッグス粒子は、「ヒッグス機構」により、いくつかの例外を除いて素粒子に質量を与えているという

そして質量を与えられていない数少ない例外の一つが光子である

つまり、全宇宙の質量を発生させているヒッグスという名をもつ人物の眉に、そのヒッグスに影響を受けない光子に関係する数式が刻み込まれているのである

ここに、ヒッグスという人物を考えるうえで非常に興味深い”葛藤"が生じているのである

ヒッグスという名は与えられた名前であり、電磁テンソルの数式を眉に刻み込んだのは、自らの意志である

その意味するところは、全宇宙を浸し物質に質量を与えているという「ヒッグスの海」を克服、支配しようとする試みである

ヒッグスはヒッグス場ではなく、「」を崇拝しているのである。また、光の使い方も知っている
光あれ
光を使いヒッグスの海を支配すること、それはヒッグスの海から到来する「BT」光によって使役することに他ならない


巨人型BT

トレイラーに登場する巨人型BTは、もしかすると女性型なのかもしれない

右下に見えるのはビルの屋上である
ひょっとするとアメリがBT化したものであろうか


ハートマンの左胸

砂浜で引きずられていくハートマンの左胸に血の染みがある

またハートマンのいつも付けている装置が「除細動器」であるという情報もある

そしてハートマンはこの場面で、死者の群れと思わしき者たちから引き離されている

この光景は、心臓発作により仮死状態に陥ったハートマンの見た死後の世界の光景である
だが、手術か応急処置により息を吹き返したために、ハートマンはひとり、死者の群れから引き離され現世へと呼び戻されているのである


サム

トレイラーに登場する写真にかざされた手は、クリフのものである
左がクリフの手、右がサムの手

左手と右手の差異はあるものの、その指や手の甲の状態は双方でことなる
つまりクリフは、大統領やサム、妊娠した女性について知っている


重力



サムの髪が浮いていないことから、その空間全体が無重力状態ではないことがわかる
ネックレスだけが重力に抗って浮いているのである

これはサムの超能力を示すものか、あるいは重力子の制御技術が完成したことを示す


赤ちゃん


赤ちゃんの吐いた気泡がハートマークになっている
これはクリフがその時点では赤ちゃんにとって好ましい人物であったことを示している

2019年6月1日土曜日

Death Stranding 考察18 気になった箇所2

BB(Bridge Baby)


BBのBTサーチ機能


サムはBTを見ることができないと言っていることから、BTをサーチする機能はBBの能力である



BBを造ったのはママーかもしれない



このシーン以前にママーは自分の赤子を失っていると思われるシーンがあるからだ
この手はママ-の手である

瓦礫の下敷きになり妊娠していた胎児を亡くしたのではないかと推測されるシーンである

またママーがBTと交信しようとしているシーンもある(BBを取り戻すための実験?)

胃袋の中の壊れた赤ちゃん人形



このシーンの直後に青色の世界にいるサムが映ることから、サムのと関連があるか、あるいは赤ちゃん人形と関連深いクリフの存在を示唆するものかもしれない

青い世界は死の世界を意味する


アメリ

アメリは1シーンだけ黒い服を着ている


青い世界(死の世界)でないことは、金髪の色がそのままであることから判断できる
ただし赤い血の涙を流している。このは、青世界のサムにも確認できる

アメリが舟の前に立っているシーン



この船は上陸用舟艇(じょうりくようしゅうてい、Landing craft)(Wikipedia

ノルマンディ上陸作戦に投入されたものかと思っていたのだが、形状がかなり異なるのと、アンテナや多角形の操縦席から推測するにわりと近代のものではないかと思われる

グーグルで調べてみたがロシア海軍のD-107というのが形的に似ているのだが、「まとめサイト」しかヒットしないので詳細は不明

※水深が浅いためか船底が逆凹型になっており、向こう側が見えている。この形状から型が分かるかも知れない。私は軍事には無知なのでこれ以上のことはわからない

ブリジットの火葬

ピンク色のヘッドスカーフから、火葬されている遺体がブリジットであることがわかる



装備・兵器関連

サムの強化外骨格(Wikipedia)



装備しているときとしていないときがある。ゲームが進むと入手できるのか、それとも消費アイテムなのかは不明

サムの血

サムの血はBTに対して特効を持つ?
ハンドガンのデータだが、 ♡ 820/1000mlと読める
これは弾丸にサムの血をこめて撃っているのではないだろうか

以前のトレイラーにも、BTあるいは時雨に対して化学反応を起こすサムの血が映っていた




ウィンチェスターM1897

クリフに率いられて登場する骸骨兵の持っている武器はM1897トレンチガン(Wikipedia)である

放熱板着剣装置も確認できる


ヘルメットや軍服の形状から第一次大戦時のイギリス兵のものだと思われる

マークI戦車

地獄(ハデス)に登場する戦車は、イギリスが開発し第一次大戦に投入されたマークI戦車の雄型である(Wikipedia)


ミュール

ミュールたちの背負っているバックパックには、CERAMICと書かれている



システム

排尿システムが存在する

リソース収集要素


ミュールたちは広範囲サーチ機能を持っている

※アサシンクリードにおいて、発見されそうになると「影」が残るのと同様のシステムかと思われる

サムは足跡を残していく

これはオンライン要素だと思われる。他のプレーヤーが残した足跡をヒントに、その先に危険が存在するかを判断するものかもしれない

巨大アンテナ
時雨を察知するものか、あるいはBTを撃退するための施設なのかもしれない。というのも、アンテナを開いた形状がサムのパタパタと似ており、サムのパタパタがBTを消滅させる機能を持っていることが、トレイラーから確認できるからである


もしかすると充分にリソースを運搬することでアンテナが建造されて、その付近一帯が安全地帯になるのかもしれない

※サムの最終目的は、このアンテナをアメリカ中に建てること?