私ははじめこの言葉から、同時代の故郷がたどり着いているのだと思っていた
(例:1970年の日本と1970年のアメリカが連結)
だが、どうも違うらしい
空間的に遠く離れた地が連結されたのと同様に、時間的にも遠く離れた地が連結されているようだ(例:1970年の日本と2017年のアメリカが連結)
この仮説の論拠となるのが、物語が終盤になると空に現れるダークリングだ
確認した限りを以下に分類してみる
ダークリングの時代(ダークリングが確認できるマップ)
ロスリック関連のマップおよび、不死街、生贄の道、深みの聖堂、ファラン城塞、妖王の庭、火の消えた祭祀場(篝火の名前から)、最初の火の炉、吹き溜まり夜の時代(月が出ていたり夜と思われるマップ)
イルシール、アノールロンド、イルシールの地下牢青空の時代
灰の墓所、火継ぎの祭祀場、古龍の頂黄昏の時代
罪の都火の無い世界
無縁墓地、火の無い祭祀場(英雄グンダのソウルのテキストからこう呼ぶ)
遅れてきた英雄を迎えたのは
火の無い祭祀場と、鳴らない鐘だったという(英雄グンダのソウル)
不明の時代
カーサスの地下墓、燻りの湖時間という差異の喪失
火の無い時代→青空の時代→ダークリングの時代上記の時代区分けを大雑把にまとめるとこういう時系列になると思われるが、実はこれは正しくない
なぜならばこの「非可逆的な時間の流れ」を前提にしてしまうと、説明できない現象が多々あるからだ(後述する)
正しくは「複数の時代が共時的に存在しているのがダークソウルの世界」である
過去と現在、未来のある土地の時代相が、同じ時間層(時代)に押し込められているのだ
火が陰り「時間という差異」が失われたためにこのような奇妙な世界になったと思われる
二つの祭祀場の謎
その結果、物理的に同一であるが、存在する時間層が異なっていたはずの「火の無い祭祀場」と「火継ぎの祭祀場」が、同じ時間層に存在してしまうこととなるそしてこの奇妙な状態が、片方の祭祀場で「銀蛇の指輪」を入手すると、もう片方の祭祀場から「銀蛇の指輪」が消える(入手済みとなる)という現象を引き起こす
一見不可解であるが、時間の差異が消滅したと考えれば説明可能だ
まず、前提として祭祀場は「二つに分裂したわけではない」
あくまでも祭祀場はこの世界にひとつだけあり、同様に「銀蛇の指輪」はひとつしかない
で、あるにもかかわらず、祭祀場は二つあるように思える
なぜか?
過去と現在の祭祀場の「時間の差異(時間の相対性)」が失われ、同一の時代に押し込められているためだ
その結果、因果律的にはひとつである祭祀場が、二つの祭祀場としてプレーヤーの前に立ち現れてくる。しかし両者は根本的に同一であるゆえに、一方の変化がもう一方にも影響を与えてしまう
「銀蛇の指輪」の不可解な挙動は「過去と現在にある祭祀場が時間という差異を失い、共時的に存在しているがゆえに引きおこる必然の出来事」なのである
火の無い祭祀場にいる結晶トカゲも同じ理由で、同じようなふるまいをする
他にも似たような現象が起きる
本編で「深淵の監視者」を倒すと火の無い祭祀場に「スズメバチの指輪」が出現する
「火の無い時代(火の無い祭祀場)」→「ロスリックの時代」という非可逆的な時間の流れを前提すると、これは絶対にありえない現象なのだ
未来の行動が過去に影響を与えてしまうことになるからだ
だが、様々な時代相が同じ時間層に押し込められていると考えると、少なくとも不可能ではなくなる
「深淵の監視者」が倒されたことを察知した何者かがそこへスズメバチの指輪を置いた、あるいは、そういう仕組みだった等々
何者かを倒す→どこかにアイテムが出現する、という現象は「過去→現在」の構造を有するか、「それぞれの時代相が同時代にある」という仮定のみにおいて可能である
しかし「過去→現在」という構造を否定する根拠(英雄グンダ関連など)があるために、論理的には後者の仮定のみが可能となるのだ
まとめ
プレーヤーは過去の世界に時間を遡って行くのではなく、同時代層に押し込められた様々な時代相を持つ土地を冒険するのであるたとえるならば、2017年の東京に1945年の神奈川県や1980年の埼玉県が連結しているようなもので、人は空間的な移動を行うことで、「時間を遡ることなく」過去の時代相を保持している土地を旅行することができるのだ
そもそも薪の王とは、その役割から一時代に一人、と考えられる
長い時間をかけて、順々に薪の王となり、そして役割を終えていったのだ
しかしダークソウル3の世界では、6人の薪の王が同時に目覚めている
その6人の故郷を再現するには、それぞれの時代相を保った土地を、時間差を無視して連結するほかなかったのだと思われる
そうして生まれたのが、「無数の時間相が同時代層に押し込められている」というダークソウル3の奇妙な世界なのだ
その他の考察
なぜ私がこんなややこしい考察を主張しているかというと、これ以外に「銀蛇問題」を解決する考察が思い浮かばないからである以下はいろいろ考えてみたものの却下した仮説。あまり読む必要のないもの
銀蛇問題とはどういうものか
「貪欲な銀の蛇の指輪」とは、火の無い祭祀場(過去の祭祀場)と、火継ぎの祭祀場(現在の祭祀場)、その両方に置いてある宝箱に入ってる指輪だ
この指輪が厄介なのは、過去と現在、どちらかの祭祀場で入手するともう一方の祭祀場から消える、ということだ
これが「過去で取ると現在では取れない」というだけなら説明は簡単だ
時間は過去→現在というふうに流れているので、過去の行為が現在に影響を与えるのは当然だからだ
だが、問題はそう簡単ではない
この指輪、「現在の祭祀場で入手しても、過去の祭祀場から消える」のだ
つまり現在の行為が過去に影響を与えるのだ
たとえるならば、二日前から冷凍庫に入ってるアイスを今食べたとする。そうするとアイスは「二日前から入っていない」ことになるのだ
奇妙というか意味不明すぎる
そこで無い知恵を絞って考えたのが以下の考察群である
時間旅行説
プレーヤーは過去の世界に時間を遡ることができ、その影響が未来へと現れるとする説
この仮説では「銀蛇問題」や「スズメバチの指輪」が解決できない
多世界解釈
二つの祭祀場がパラレルワールド関係にあるとする説も考えたのだが、実はパラレルワールド説を取ってもこの銀蛇問題を解決することはできない
世界は平行(パラレル)に分かれているはずなのに、「一方の世界で銀蛇を取ると、もう一方の世界から銀蛇が消える」のだ。これは明確に平行世界の定義を外れる
バグ仮説
同じマップリソースを使ったために残ったバグ、というメタ的な考察もあるかと思う
白い光として落ちている「スズメバチの指輪」や「混沌の刃」とは異なり、銀蛇は宝箱に入っている。この宝箱の配置/削除がプログラム的に厄介でやむを得ず残されたのだろう。結晶トカゲが銀蛇と同様のふるまいを見せるのも、そうしたプログラム上の処理の問題であろう、とする考察だ
量子論的重なり合い、絡み合った二つの祭祀場説
二つの絡み合った状態にある粒子は、一方を観測により確定すると、もう一方の状態も自動的に確定される(うろ覚え)
二つの祭祀場も粒子の絡み合いに類似した状態にあるのではないか、とも考えた
だが、この説の場合、プレーヤーが必ず「銀蛇指輪」の入った箱を最初に開けるという事実を説明できない(確率が常に100%になってしまう)
二つの祭祀場が重なり合った状態(シュレディンガーの猫的な)とすると、今度は二つの祭祀場の差異が説明不可能になる(一つの事象が確率論的に重なっているだけなのに、差異がある)
まとめ
本音を言うとバグ仮説を取りたい。それが最もシンプルな仮説だからだ
オッカムの剃刀を持ち出すまでもなく、直観的にはバグ説が正しいことを知りながら、どうしても考察せずにいられなかったのは、この世界構造の考察にダークソウル3の根幹が含まれているように感じたからだ
本編を考察しようとすると、どうしても世界構造の問題が立ちはだかって来る。そこを解決しないと、本編の細部すら考察を進められなくなるのである
しかしバグを前提にしてしまうと、今度はゲーム内のあらゆる現象にバグの影が付きまとうことになる。実際、説明しにくい現象はすべてバグやご都合主義で説明できてしまう
銀蛇はプログラム的なバグだし、DLC2にパッチや土の塔がでるのも開発の都合、オスロエスの存在が秘匿されているのは、そのシナリオを自重したからで、その他さまざまな疑問点は納期のデーモンにやられたのだ、と
きっとそれが正しいのだろう
まあいいや
ダクソ世界に於いて、貪銀自体がイレギュラーな存在であるという考えも。
返信削除どうイレギュラーに振る舞うかは説明しようがありませんが、やっぱりバグとは言いたくない。
こういう考え自体が貪欲なんでしょうね。書いてて気付いたすみません。
コメントありがとうございます
削除DS2だと「欲の神ザンドロ」と関連付けられていたり異質な感がありますね
銀蛇は無縁墓地の考察をしようとしたとき、どうしても避けて通れないんですよね。バグでも別の理由でも構わないんですが、とにかくどちらかに決めておかないと…
英雄グンタの装備調べると「遅れた英雄は名も無き剣士に破れた」とあるので名も無き剣士が主人公なら辻褄が合う。けど、過去の火の消えた世界(暗闇)から主人公の現在の時代の空の明るさはなぜ?ってのが未だにわからない。鐘がなったことで一時的に消えた火が残り火状態になったということなのかな??
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