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2025年5月16日金曜日

エルデンリングの積もる話2 坩堝

 DLCで明かされた設定のなかで筆者が最も重要だと考えているのが坩堝の話である


全ての坩堝のタリスマン

坩堝の諸相、その全てが混ざった巨大な塊


かつて、巨人の身体に生じたものとされ

塔の神話では、坩堝の母とも呼ばれている


巨人の身体に生じた坩堝は「坩堝の母」と呼ばれている。しかし一方で坩堝は生命の原初とも言われている


坩堝鱗のタリスマン

それは、生命の原初たる坩堝の名残である

部分的な先祖返りであり、古くは神聖視されたが

文明の後には穢れとして扱われた


坩堝から全ての生命が誕生したのだとしたら、坩堝を生じた巨人生命ではないのか?


巨人が先か坩堝が先か(ニワトリが先かタマゴが先か)という疑問が生じそうであるが、“坩堝の母”を比喩的な表現と考えれば解決可能であろう


すなわち、坩堝の母とは坩堝の諸相を全て内包しており、全ての諸相を発現させる可能性がある故に“”と呼ばれるのであり、そこから全生命が誕生したというわけではないのである


分かりやすく言えば“坩堝の母”は“坩堝の諸相の母”なのである


全生命が誕生した坩堝は坩堝の母とはにあり、巨人もまたそこから誕生したのであろう


ではそもそも坩堝とは何なのかについて考えてみたい


坩堝の性質

坩堝の性質は多様である


1.生えるはずのない獣に角を生やす

角の芽

本来、生えるはずのない獣芽生える角

それは坩堝の名残であるという


獣の角

影の地の獣には坩堝の影響が色濃く

種によらず、角の生えた個体が見られる


2.触れた者を混種にする

翼の混種の遺灰

翼の諸相を持ち、飛びながら弓を射る霊体

混種は、坩堝に触れた罰の存在であるとされ

生まれながらの奴隷、穢れ者である


3.生命の原初であり坩堝の諸相を生じさせる

坩堝鱗のタリスマン

古い時代、人の身体に生じたという

諸相の混ざった鱗のタリスマン


それは、生命の原初たる坩堝の名残である

部分的な先祖返りであり、古くは神聖視されたが

文明の後には穢れとして扱われた


4.坩堝の洗練された進化の先に、混じり角がある

坩堝薄羽のタリスマン

古い時代、人の身体に生じたという

諸相の混ざった薄羽のタリスマン


角人たちは、坩堝を神聖視する

その洗練された進化の先に

彼らの角、混じり角があるのだから


5.黄金樹の原初たる生命の力であり、古い聖性を宿す

坩堝の諸相・喉袋

それは、黄金樹の原初たる生命の力

坩堝の諸相のひとつである

かつて、生命は混じり合っていた


シルリアの樹槍

黄金樹の原初は、生命に近しく

その坩堝たる様を模した槍は

古い聖性を宿している


6.坩堝の起源はラウフの古遺跡にある

坩堝の槌兜(ラウフの古遺跡で取得)

原初の黄金樹生命の坩堝の力を宿し

坩堝の諸相の祈祷を強化する


デボニアは、坩堝の起源を追い求め

一人黄金樹を旅立ったという


坩堝とは生命の原初であり、黄金樹の原初たる生命の力であり、古い聖性を帯び、かつて混じり合っており、人に部分的な先祖返りを引き起こさせるものであり、触れた者を混種にするものであり、進化の先に角人の混じり角になるものである


要するに狭間の生命根源には坩堝があり、全ての狭間の生命坩堝から生まれたことを示唆している


坩堝から生命がどのように産まれたかについては、ラウフの古遺跡に関連するアイテムに重要な示唆がある


ラウフの古遺跡坩堝の騎士デボニア坩堝の起源を求めて最後に到達した場所である


そのラウフの古遺跡を遺した文明は、精霊物体に宿す技術に長けていた


ラウフの巣穴

石の中央には小さな巣穴があり

そこに精霊を宿らせ、呪具とする


火霊石

ラウフの巣穴火霊を住まわせたもの

製作可能なアイテムのひとつ


火霊は、精霊の一種であり

その中でも激しい性質を持つという


ラウフという土地では精霊物体に宿るという不思議な現象があり、またそこには生命の原初たる坩堝の起源が存在していた


坩堝の諸相からも分かるように、坩堝は生物的な特徴がとても強く現れている。一方で坩堝自体精神のようなものは認められない


坩堝とは生命力に満ちあふれた有機物の塊であるが、そこに魂は宿っていない状態なのである(生命に分化する以前の混沌状態)


精霊物体に宿る現象がある土地に、坩堝という魂を宿すのに適した依り代があったら起きることは一つである


すなわち坩堝という肉体精霊という魂が宿ったことで生じたのが生命である


イメージとしては不定形の肉の塊(坩堝)霊魂(精霊)を宿して生命として動き出した、という非常に気持ちの悪い生物創造譚になろうか



坩堝の性質2

なぜ坩堝に意識、すなわち魂が宿ったのかについては、ラウフの土地柄の他に坩堝の性質そのものにも原因がある


角人によれば、坩堝の進化した先に混じり角があるという。その混じり角は、神や霊的な存在を降ろす依り代でもある


呪剣士の仮面

うねる混じり角を冠とした仮面

それを被る者に神を降ろす


角の戦士の遺灰

塔の守護者たる重装の戦士の霊体

神降ろしにより、人ならぬ膂力を得

大曲剣を振るい、それに角を降ろす


塔では、戦士も、その武器も、依り代なのだ


坩堝には神や霊魂を降ろす性質があるがゆえに、角人たちから神聖とされ、それを降ろす混じり角霊長を示す徴とされてきたのである


免疫の角飾り+2

角人たちにとって、角は神聖であり

だからこそ、彼らは選ばれた民である


新たな芽生えを繰り返した、混じり角

特に霊長を示す徴とされている


要するにラウフに生じた坩堝にはもともと神や霊魂を宿す性質があり、その坩堝霊魂が宿ったもの、それが狭間の生命の祖であると考えられるのである


そして狭間の生命には今でも坩堝の因子が隠れており、それは何かの切っ掛けで簡単に発現してしまうのである(忌み子)


また坩堝に触れた者は坩堝の影響を強く受けるようになり、肉体を変異させてしまうのである(混種)


※ここにある種の感染症を想定することができるかもしれない。筆者は過去の考察で感染する寄生菌類を想定した



坩堝の起源

坩堝の起源ラウフにあるが、坩堝がどのように発生したかについて直接的に触れているテキストはない


しかしこれまであえて深く追究してこなかった坩堝の性質がある


坩堝黄金樹の原初たる生命の力であり、それは生命に近く古い聖性を宿す、という性質である


坩堝の諸相・喉袋

それは、黄金樹の原初たる生命の力

坩堝の諸相のひとつである

かつて、生命は混じり合っていた


シルリアの樹槍

黄金樹の原初は、生命に近しく

その坩堝たる様を模した槍は

古い聖性を宿している


オルドビスの大剣

原初の黄金は、より生命に近く

故に赤味を帯びていたという

この剣は、その古い聖性を宿している


その黄金樹エルデンリングを根源としてそびえ立つものである


永遠の女王マリカを戴く狭間の地で

黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた(公式サイト「プロローグ」)


つまり坩堝にもエルデンリングが関係している可能性がとても高い。そしてエルデンリングに関わるもののなかで、これまで用途の明らかでなかったものが一つある


黄金の流星である


エルデの流星

かつて、大いなる意志は

黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り

それが、エルデンリングになったという


一匹の獣エルデンリングになったという。だがここに登場する黄金の流星については、それ以後まったく触れられることがない


エルデの獣と共に送られた黄金の流星は、この後どこへ行き何になったのか?


坩堝になったのである


※最初から坩堝そのものであったと考えた方がより適切かもしれない


メーテール

さて、これまで黄金の流星とそれが変化した坩堝生命の原初とした


だが、エルデの獣黄金の流星が飛来する前に、メーテールという最初の流星が墜ちてきたことがDLCによって明らかにされている


指の母の追憶

影樹に刻まれた

指の母、メーテールの追憶


全ての二本指、そしてユビムシの母は

大いなる意志の輝ける娘にして

狭間に落ちた、最初の流星であった


かつてメーテール大いなる意志の波動受信していたことも確かである


大いなる彼方の杖

指の母、メーテールの尾指と

その指の捧げ持つ小宇宙を杖としたもの


母は、大いなる意志の波動を受信していた

壊れ、棄てられた後も、ずっとそれを待ち続けた


このときメーテールの指令を受けて活動していたのが二本指たちであろう。そして二本指の役割神人を選別し、神と新しい律を確立することである


指の母の追憶大いなる彼方の杖のテキストを読んだ人は次のように理解するであろう


大いなる意志最初にメーテールを狭間の地に送り込んだ。しかしやがてメーテールが壊れたために次なるエルデの獣を狭間に送った


だがこれらのテキストにはメーテールの飛来エルデの獣の飛来時間的にどれほど離れていたかについては書かれていないし、メーテールが壊れたから大いなる意志はエルデの獣を送った、とも書かれていない


つまりどういうことか?


メーテールエルデの獣ほぼ同時(わずかにメーテールが先)に狭間の地に落ちた可能性も考えられるし、そもそもメーテールとエルデの獣はセットで送りこまれた、という可能性も考えられるのである


要するにメーテールとエルデの獣到来時期が離れている、という解釈も、エルデの獣がメーテールのかわりに送り込まれた、という解釈思い込みに過ぎないのである


これは読者の思い込みを誘発する叙述トリックであろう


二つの流星

叙述トリックであると解釈した場合に考えられるのが以下のシナリオである


メーテールとエルデの獣ほぼ同時に狭間の地に飛来(わずかに到来がはやかったためにメーテールが最初の流星と呼ばれる)


霊的な領域を司るメーテール生命の領域を司るエルデの獣。この二者により狭間の地には生と死のサイクルが生まれる計画であった(エルデンリング=エルデの獣に宿っていたのは運命の死であって、普遍的な死ではない)


エルデの獣エルデンリングとなり、黄金の流星は生命の原初、すなわち坩堝となった


その坩堝霊を吹き込んだのがメーテールである


※ラウフの英名はRauh、ヘブライ語でruachは「霊・風・息」という意味がある


坩堝生命からはやがて巨人や人、古竜が生まれ、エルデの獣とメーテールはそれらの生命の中から神を選抜する神人システムを構築する


神人システムとは、メーテールの選抜した神人エルデの獣が使わした影獣補佐し、神人エルデンリングを宿すことで律を確立として狭間の地の生命を律するシステムのことである


神人システム一定の期間正常に機能していたと考えられる。しかしノクステラの民からが選ばれたことでシステムに不具合が生じた


ノクステラの民から選ばれた夜の王を従えて夜の律を確立する。だがやがてノクステラの民は自分たちがメーテールに操られていることに気づき、反逆を企てたのである


指殺しの刃によりメーテールは傷つけられ、壊れる。これに怒った大いなる意志アステールを送り込み、ノクステラ文明を地の底に滅ぼす


残されたのは壊れたメーテールエルデの獣=エルデンリングである


エルデの獣は大いなる意志から授けられた使命を果たそうと、狭間の地の生命を自らの支配下に置こうとする


メーテールは壊れたものの、二本指による神人選別システムはかろうじて残っていた。また眷属である獣たちは今も顕在である


エルデの獣は残された神人システムの機能獣たちを利用することで、狭間の地に新たな神と新たな律を確立しようとしたのである


そして選ばれたのがマリカであった


※神人システムはメーテールとエルデの獣が協力、あるいは相剋することで実現可能なシステムであり、メーテールとエルデの獣はどちらかが壊れた場合のバックアップ的な存在である



巨人と坩堝

全ての狭間の生命坩堝の因子が発現する可能性がある。そしてそれは巨人も例外ではない


巨人に発現した坩堝全ての坩堝の諸相を内包していた。塔の神話に伝わる“坩堝の母”である


全ての坩堝のタリスマン

坩堝の諸相、その全てが混ざった巨大な塊


かつて、巨人の身体に生じたものとされ

塔の神話では、坩堝の母とも呼ばれている


一方で坩堝には精霊や神を宿すという性質があった。その結果、巨人の身体に生じた坩堝にも神が宿ってしまう


火の悪神である


悪神の火

それは、アダンが盗み出した

監視者の長、アーガンティの秘匿である

悪神は、火の巨人の内に、今も隠れている


火を、焼き尽くせ!

火の巨人は、悪神の力をかりてなお敗れた

それは、永遠の火守りとして生き続ける

孤独な呪いの終わりでもあった


単眼の盾

それは、女王マリカが討ち取ったとされる

かつて巨人たちが祀った悪神である


火の巨人胸部火の悪神を宿していた。つまり胸部坩堝が生じていたことになる




おそらく全ての巨人同じ場所に坩堝が生じていたと思われる


というのも現在の狭間の地に見られる巨人たちの胸部には大きな穴が開いており、そこに石版が埋め込まれているからである


適当な画像がなかったのでイジーの死体


女王マリカ巨人の胸部に生じた坩堝除去し、そのかわりに坩堝封じの石版を埋め込んだのであろう


なぜならば坩堝を宿しているかぎり、そこに神が宿る危険性があるからである



2 件のコメント:

  1. 大いなる意志に由来する星々には坩堝の菌の性質がある。
    坩堝の菌を身体に取り込めば、星由来の精霊、神性が宿りやすくなる。
    角人は坩堝をより洗練させた交じり角により神性を降ろそうとする。それが壺巫女マリカだった。
    永遠の都の巨人像が稀人ならばラウフの巨人も稀人だったのだろう。メーテールは稀人に坩堝の菌を寄生させて狭間に干渉していた。

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  2. 琥珀のメダリオンは、円形に十字線が入っています。
    そして、位階が上がるほど黄金樹の古い雫であった琥珀が増えていきます。
    これは、エルデの獣の卵細胞分裂を表しているのかなと思いました。
    エルデの獣を成長させる為に黄金の流星、つまり黄金樹を共に送り、エルデの地から生命力を奪い、雫としてエルデの獣に与えたとすれば、黄金樹がその役目を終えるまでは大地からエネルギーを吸い取る植物のようで、あり方が生命に近かったことになりますし、得られる雫はあらゆる生物が内包され、坩堝だと言えるでしょう。
    また、琥珀のメダリオンに記された生命の原始的な力とは一般的にエネルギー吸収のことなので、他者から奪い取った力だと言っているのではないでしょうか。
    タリスマンの効果的にも序盤でだけ役立つものであるため、雫にもまたそう言った、母乳としての役目があったのではないでしょうか。
    長文失礼しました。

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