※ラダゴンが黄金の律と夜の律の統合を諦めた、とする部分について修正(赤字部分)
現時点における考察の総括的なもの
前回「ラダーンの痩せ馬」の考察で、黄金律(エルデの獣)は狭間の生命を都合の良いように操っているのではないか、という仮説に至った
黄金律が生命を操るという点に関しては、ラニが操られることを拒否していることから過去に何度か言及しているが、今回は黄金律のそうした性質をエルデンリングの物語全体に適用したものとなる
…そして私は、二本指を拒んだ
死のルーンを盗み、神人たる自らの身体を殺し、棄ててでも
私は、あんなものに操られたくはなかったのだ(ラニ)
エルデの獣
エルデンリングはエルデの獣が変化したものである
エルデの流星
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという
そしてエルデの獣とは律たる概念の具現であった
エルデの追憶
それは、大いなる意志の眷獣であり
律たる概念の具現であった
つまりエルデの獣=エルデンリング=律、である
このエルデの獣(エルデンリング)が幻視の器に宿ったものが神である
女王マリカは、エルデンリングの宿主、その幻視を宿す者
すなわち神さね(指読みエンヤ)
宿主(しゅくしゅ)とは、寄生生物に寄生される生物のことである。このあり様は前回述べたゴッドフレイに対するセローシュと類似している
つまりエルデの獣は幻視の器に寄生することで、幻視の器を操るのである
ただしゴッドフレイがそうであったように、宿主は寄生生物に完全に操られているわけではない。(完全に意識を乗っ取るわけではなく、深層心理に働きかけて寄生生物の都合のよい状態を選択させる)
女王マリカはエルデの獣に寄生されたことで、その意志を徐々に侵食されていった
そしてマリカは自覚のないまま、次第次第にエルデの獣が望むとおりの行動をとりはじめていったのである
死のルーン
自分が操られているとも知らず、マリカが自身の望みとしてはじめに実現したものが、エルデンリングからの死のルーンの除去である
死のルーンとは、即ち運命の死
黄金の律のはじまりに、取り除かれ、封じられた影(指読みエンヤ)
なぜならば運命の死(死のルーン)を内包している以上、エルデの獣はいつか死ななければならないからである(死ぬ可能性を秘めている)
ここで運命の死は「封じられた影」と言われている。それは神人に対する「災いの影」と同じように、エルデの獣が大いなる意志に逆らった際に発動される安全機構のことである
…それ以来、私と二本指は、お互いを呪っている
災いの影とは、あやつの刺客なのだよ(ラニ)
ラニが操られることを嫌い、自らの身体を殺したように、エルデの獣も大いなる意志の支配から逃れたかったのである
また現実問題として神人ではなく忌み子ばかりが生まれてきたことも原因のひとつであろう
死を内包した状態(坩堝)では生命力が強すぎて、神人が生まれなかったのである
坩堝の諸相・喉袋
それは、黄金樹の原初たる生命の力
坩堝の諸相のひとつである
かつて、生命は混じり合っていた
ラダゴン
さて、エルデンリングとはエルデの獣が変化したものである
死のルーンの除去とはつまり、エルデの獣の構成する要素の一部を除去したことになる
死のルーンを除去したことの影響は、エルデの獣の変化として現れた
それはエルデの獣が寄生する女王マリカにも変化をもたらした
死のルーンを除去されたエルデの獣の変容により、女王マリカの内部に、それに相応しい存在が発生したのである
それが黄金律原理主義ラダゴン(運命の死を除去したエルデの獣が幻視の器に宿った存在)であった
※これ以降、運命の死を除去したエルデの獣をラダゴンと呼称する(長いので)
死や死に生きる者たちを拒絶し、世界から排除していこうとする人格である
※ラダゴンの髪が赤い理由としてはシンプルに巨人の呪い、もしくは巨人の血を吸い上げた黄金樹の影響と考えられる(後者に関しては説明が煩雑になるのでここでは取りあげない)
リエーニエ戦役
エルデンリングから死を除去した直後に女王マリカとゴッドフレイとの間に生まれたのが黄金のゴッドウィンである
だが黄金のゴッドウィンは神人ではなかった
そこでエルデの獣は神人作成計画を次の段階へ移すことにした。そうして仕組まれたのが、英雄ラダゴンによるリエーニエ侵攻である
死を除去したことで不完全性を内包したエルデンリングを完全なものとするために、ラダゴンは運命の死に代わる属性を求めたのである
※エルデンリングから死を除去したことで、エルデンリングは生命性と豊穣性を失った
黄金樹の回復
かつて、黄金樹は豊穣であった
そして、それは束の間であった
すべての生命と同じように
※生命とは生と死が共にあって完全なものである。よって死を取り除いたエルデンリング(エルデの獣)は生命として不完全
リエーニエには運命の死を除去したエルデンリング(黄金の律)と相補性をもつ夜の律(銀)が受け継がれていた
エルデンリング+運命の死=強すぎる生命(坩堝)
エルデンリング ー運命の死=不完全な生命(ラダゴン)
黄金律(黄金)+夜の律(銀)=完全な生命
ラダゴンの肖像
赤髪のラダゴンは
カーリアのレナラの夫として魔術を修め
女王マリカの夫として祈祷を修めたという
英雄は、完全たるを目指したのだ
ラダゴンは琥珀のタマゴをレナラに渡す
それはデミゴッドを生みだすはずの黄金樹の雫が、ついにデミゴッドを生まずに琥珀として硬化した物質であり、産まれなかったデミゴッドの塊である
産まれなき者の大ルーン
満月の女王、レナラの抱く琥珀のタマゴ
産まれなかったデミゴッドの大ルーン
緋琥珀のメダリオン
琥珀とは、黄金樹の古い雫であり
最初のエルデの王、ゴッドフレイの時代に
特別な宝石として扱われた
それは生命の原始的な力を宿している
レナラは琥珀のタマゴに雫の幼生を合わせることで、子供たちを誕生させていった
そうして生まれたのがラダーン、ライカード、ラニであり、このうちラニは神人として選ばれた
王配ラダゴン
ラニの誕生は、女王マリカにとっては朗報である一方、黄金律原理主義を標榜するラダゴンにとっては失敗だった
なぜならばラニの掲げる律は黄金ではなく夜の律だったからである
私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ(ラニ)
この段階でラダゴンは、黄金の律と夜の律の統合による神人作成を諦めたと思われる
用済みになったレナラを捨てたラダゴンは、女王マリカの王配の座におさまり、単為生殖による神人の作成を目指した
訂正
黄金律原理主義の祈祷に信仰と共に「知力」が要求されることから、ラダゴンは黄金の律と夜の律の統合を諦めたのではなく、その使い方を修めたために用済みになったレナラを捨てたと思われる
そしてラダゴンはマリカの王配となり、黄金の律(内なる律)と夜の律(外なる律)を組み合わせることで、黄金律原理主義を象徴する神人を作ろうとしたのである
ただしその方法は半身との結合という邪道であった
訂正ここまで
女王マリカの閨には意味深な言霊が残されている(閨とは寝室のことである)
おお、ラダゴンよ、黄金律の犬よ
お前はまだ、私ではない。まだ、神ではない
さあ、共に砕けようぞ!我が半身よ!(マリカの言霊)
この言葉は、自分自身との生殖という犬畜生にも劣るような行為を求めるラダゴンに叩き付けられたものであろう(エルデの獣に操られた犬という意味もある)
この時点ではまだラダゴンはマリカと同等ではない。だがマリカに寄生するエルデの獣の意向に、マリカは逆らえなかった
なぜならばマリカに寄生しているエルデの獣は、その宿主の行動をある程度、操ることができるからである
結果としてミケラとマレニアという神人が生まれた
だが、運命の死ではなく、それに準ずる夜の律(外の律)を含む純粋に永遠的な神人は、永遠である一方でその弊害も背負っていた
※ラダゴンは運命の死の代替物として夜の律を求めた。それはある程度は成功したが、しかし死を排除した永遠性には弊害もあった
ミケラは永遠に幼く、マレニアは永遠という停滞が生じる腐敗に侵されていたのである
魔女ラニ
エルデの獣を宿している以上、マリカは表立っては動けない。そこでマリカが頼ったのが、黄金の律に対する夜の律を掲げるラニである
→魔女ラニ、陰謀の夜の主犯だろう
…なるほど、よく調べたものだ
確かに、私は魔女ラニ
死のルーンの一部を盗み、儀式により、それを神殺しの黒き刃となした
すべて私が、やったことだ(魔女ラニ)
マリカは同胞である稀人を密かにラニに協力させることで、ラダゴン(運命の死を除去されたエルデの獣)に察知されることなく、神殺しの武器を作ろうとしたのである
その目的は自身に寄生するエルデの獣(ならびにラダゴンという人格)を殺すことである
ラニの密かな陰謀を察知したラダゴンは手勢であるカッコウの騎士たちを使って学院を扇動し、カーリア城館を攻めさせる
このときレナラは大書庫の虜囚となっただけで済まされている。本当の目的は、何らかの陰謀を企むラニを誅することであった
学院が王家に反旗を翻したとき、その大書庫の虜囚となったのです(ミリエル)
この地は、かつてカーリア王家の領地でした。この先は、王家の方々が住まう城館です
レアルカリアの学院が王家を裏切ったとき、カッコウの騎士たちはこの地を襲撃し
…それを滅ぼした後、城館に迫りました(イジー)
陰謀の夜
マリカとラニの計画はやがて陰謀の夜となって実現する
首尾良くマリケスから死のルーンの一部を盗んだ稀人たちは、それをラニに届け、ラニはそれを儀式をもって神殺しの黒き刃となす
…それに儀式の主、つまり陰謀の夜の主犯も、見当がつきましたよ
月の王女ラニ。王配ラダゴンと最初の妻レナラの、子供たちのひとり
将軍ラダーン、法務官ライカードの兄妹たるデミゴッド
刻印には、彼女の名が隠されていたのです(ロジェール)
マリカの計画は、黒き刃をもって自らの内に巣くうエルデの獣を殺し、その支配から逃れることであった
だがここでラニが裏切る(裏切っていない場合も考えられ、この記事の最後に「陰謀の夜(異説)」として述べている
ラニは二本指の支配から逃れるために、黒き刃を自分とゴッドウィンに向けたのである(ラニイベントの最後に黒き刃がイジーやブライヴを襲っていることから、ラニが暗殺相手を騙して伝えたのだろうと思われる。襲撃はその復讐であろう)
※支配から逃れるため宿主が支配生物の影響から逃れようとする構図は、エルデの獣(死のルーンを除去)、マリカ(エルデの獣を除去)、ラニ(二本指からの解放)と繰り返されている
身体のみを殺したことでラニは二本指の支配から逃れることに成功した。しかしその代償はゴッドウィンの魂の死であった
死の呪痕
ラニは、肉体だけの最初の死者であり
故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ
神の殺害計画が無残に崩壊し、愛息までを失うに至って、マリカはついに最後の手段を実行する
神殺しの武器がない今、エルデの獣を殺すことはできない。だがエルデの獣が宿る幻視の器を砕くことならできる
幻視の器とはマリカの肉体そのものなのだから
そしてマリカは自らの槌をもって、自らの肉体を砕いた
マリカの槌
狭間の外、稀人の地で作られたという石鎚
女王マリカが、エルデンリングを砕こうとし
ラダゴンが、それを修復しようとした得物
リングが砕けた衝撃で、半ば壊れており
ルーンの破片が食い込んでいる
マリカは大過の罰として黄金樹に囚われ、ラダゴンは黄金樹を封印した後に、いつ終わるともしれないエルデンリングの修復をはじめる
円卓とメリナ
マリカによるエルデンリングの破砕は根本的な解決にはならない。それは単なる時間稼ぎである
マリカは密かに神殺しの組織、「円卓」を結成する(表向きはエルデンリングの修復を目指す組織である)
鍛冶師ヒューグに神殺しの武器を作るよう強要し、狭間に戻ってきた褪せ人によりエルデの獣が殺されるのを待ち続ける
それがマリカの円卓計画であった
→神殺しの武器について
…儂の武器で、神を殺してくれ
それが儂の、生きたすべて
そして、女王マリカとの誓約なのだ
またマリカは娘メリナを生みだし、使命を与えて狭間に送り出す
黄金樹の内部にいるエルデの獣を褪せ人が殺すためには、黄金樹の拒絶の刺を燃やさなければならない
そのためには特別な種火によって大釜の火を燃え上がらせる必要がある
火の幻視を宿す者、その贄だけが種火となれる
…あんた、種火を探すんだよ
世界樹を焼く火は、狭間の最も高い場所、巨人の大釜に燻っている
けれど、それを燃やすには、特別な種火が必要なのさね
…火の幻視を宿す者、その贄だけが、大釜の火で世界樹を焼くんだよ
そして、死のルーンへの導きとなるのじゃ(指読みエンヤ)
しかしメリナは何らかの事情により肉体を焼かれ、使命を忘れた霊体となって狭間の地を流離うことになった
この間の経緯は推測することしかできないが、生まれた直後メリナはラダゴン(あるいはモーゴット)によって禁域に監禁されたと考えられる
黄金樹を焼く種火の少女は、黄金樹勢力にとって極めて危険な存在だからである(メリナを殺さなかったのは、種火とはいえ滅びの火を宿しているから)
監禁されたメリナが使命を果たすために唯一できた選択が、自らの肉体を燃やすことであった
黄金樹を焼くことのできる種火の少女は、その唯一与えられた力により自らの肉体(黄金樹属性)を焼き、霊体となって牢獄を脱したのである
破砕戦争
エルデンリングの破壊をきっかけとして破砕戦争が勃発する
しかしここでも黄金律勢力の生命を操る力がいかんなく発揮された
ラダゴンにとって破砕戦争が決着し、新たな神なり王が誕生することは絶対に避けなければならない事態である
そこでラダゴンは狭間の生命(デミゴッド含む)を操ることで、人為的に膠着状態を作り出したのである
前回述べたように、ラダーンには痩せ馬を差し向け、それをきっかけとして重力の技を極めさせ、最後には星砕きによってラニの運命を封じることに成功している(夜の律を排除)
またライカードには黄金樹の反逆者たる大蛇を差し向け、背律の冒涜を侵させている
冒涜の君主の追憶
永遠に生き、喰らい、成長し続ける
そのために、ライカードは大蛇となった
我は知る。冒涜の道の遠き険しさを
罪を厭って歩めるものか
略奪のカメオ
ライカードが背律の冒涜を誓ったとき
あらゆる略奪は肯定された
神自身がそうであるように
もともとライカードはゲルミア騎士の仕える立派な君主であった。だがいつのころから彼は下卑きった貪欲に堕し、ついに騎士たちに愛想を尽かされている
ゲルミア騎士の鎧
かつて、法務官ライカードに仕えた騎士たちの胴鎧
今はもう、誰も掲げない紋章が描かれている
覇王の雄心が、下卑きった貪欲に堕した時
彼らは、仕えるべき主を失ったのだ
それはすべてライカードが大蛇に接近したからである。その大蛇は「罪」というライカードの弱点を巧みに突くことで、彼に冒涜の罪を侵させている
※法務官たるライカードの心の奥底にある罪への憧憬を巧みに利用している
まるで誂えたかのようにライードにとって大蛇は致命的な存在であった
その結果として終わりもない惨戦が実現された
火山館攻略戦
穢れた者たち、疫病、冒涜
名誉なく、終わりもない惨戦(剣の碑)
これもすべて破砕戦争を膠着状態に陥らせるためのラダゴンの作戦だったのである
そう考えると、モーグがミケラに接近したのもラダゴンの思惑によると思えてくる
原理主義を捨て無垢金の律を掲げようとするミケラを、ラダゴンは許さなかったのであろう
ラダゴンの光輪
しかし、幼きミケラは原理主義を捨てた
それが、マレニアの宿痾に無力だったから
無垢なる黄金、そのはじまりである
ローデイルの地下深くにいたモーグに姿なき母として語りかけ、血の王朝という妄想を吹き込み、巧みに操作することでミケラをさらわせたのである
※姿なき母が「母」と名乗っているところが示唆的である。モーグの実母はマリカである。であるのならラダゴンはもう一人の母であるとも言える
※ただし個人的は姿なき母を外なる神とする説も捨てがたい
一方、マレニアに差し向けたのは青い踊り子である。腐敗の神に対する防波堤とするためである
青い踊り子
青衣の踊り子は、妖精であったという
妖精は、盲目の剣士に流水の剣を授け
古き神、腐敗を封じたと伝わっている
そのマレニアは、ミケラがモーグにさらわれたことで、停滞状態に陥った。それは破砕戦争の膠着を望むラダゴンの思惑通りだったのである
以上のように、破砕戦争の膠着状態は狭間の生命を操るラダゴンによって作りだされた、と考えられるのである
そのラダゴンの正体とは上述したように、運命の死を取り除かれたエルデンリング(エルデの獣)が幻視の器に宿ったことで発生した存在である
褪せ人
ラダゴンによる破砕戦争の膠着状態が完成したことで、大いなる意志はデミゴッドたちを見捨てた
次に祝福がもたらされたのは、かつてマリカが追放した褪せ人たちである
彼らは外の世界で死に、死と共に強くなり、そして狭間の地に戻ってきた
そして、お前たちが死した後、いつか奪ったものを返そう
狭間の地に戻り、戦い、赴くままにエルデンリングを掲げるがよい
死と共に、強くあれ。王の戦士たちよ、我が王、ゴッドフレイよ(マリカの言霊)
死を内包する褪せ人は、死を拒絶するラダゴンの影響を受けにくい存在となっていたと考えられる(一度死んだことで影響下から脱したのかもしれない)
ここには死を拒絶するラダゴンと、死を受け容れたいマリカの相克の構図がある
またそれは死を取り除いた不完全なエルデンリングと、死を内包していた初期のエルデンリングとの対比も可能かもしれない(どちらが優位かといえば後者である)
ラダゴンの影響を受けにくい褪せ人は、ラダゴンやそれに宿るエルデの獣に危害を加えることの出来る存在なのである(支配下にあるうちは難しい)
※ロボット三原則の消去されたロボットを想像すると分かりやすいかもしれない。そうしたロボットは創造者である人間に危害を加えることが可能となる
だがラダゴンはそんな褪せ人をも操ろうとする
百智のギデオンを言葉巧みに誘導ことで、褪せ人に対する最後の盾としようとしたのである
エルデンリングに見え、エルデの王になるのだな
…しかし、残念だ
その意志はよい、だが、達せられるべきではないのだよ
女王マリカは、私たちに望んでいるのだ
ずっと、足掻き続けることをね(ギデオン)
…私は、識っているぞ
褪せ人は、王とはなれぬ。たとえ、君であっても(ギデオン)
…人は、神を殺せぬのだ
知ることの終わりなきを求めるギデオンは、女王マリカの遺志に触れた時、その終わりを恐れてしまった
百智の鎧
知とは、自らの無知を知ることであり
知ることの終わりなきを知ることである
だが、女王マリカの遺志に触れた時
ギデオンは恐れてしまった
あるはずのない終わりを
動揺した彼につけ込んだのがラダゴンである。ラダゴンは神の知識として誤った知識を与えてギデオンを誤謬に陥らせたのである
知ることの終わりを恐れたギデオンにとってそれは渇望の慈雨であった
ラダゴン、このメフィストフェレス的なる者
以上のように見ていくと、ラダゴンのやり口が首尾一貫していることがわかる
ラダゴンは支配しようとする相手の心の深奥にある渇望に対して、最上の蜜を与えるのである
ゴッドフレイには「勇ましい心」を象徴する獅子を与え、ラダーンには「慈悲」の対象となる痩せ馬を与え、そして法務官ライカードには「罪」の象徴たる大蛇を与え、百智卿ギデオンには「知識」を与えたのである
だがそれらは常に歪んだ形で授けられた
セローシュは猛き心を抑えることでゴッドフレイを都合のよい王に仕立てた
痩せ馬はラダーンの慈悲をくすぐることで最終的にはラニの運命を封じさせた
大蛇はライカードの罪に対する執着を利用し、彼を堕落させることで破砕戦争を膠着させた
そして知識はギデオンを誤った知識に溺れさせることで、褪せ人に対する盾としたのである
様々な神話において神の半身は悪魔とされるが、神マリカの半身であるラダゴンのやり口は『ファウスト』に登場し、ファウスト博士の望みを次々に叶える悪魔、メフィストテレスを彷彿とさせるものである
運命
黄金樹の時代、夜空にあった運命は黄金の律に縛られたという
遠眼鏡
黄金樹の時代、カーリアの星見は廃れていった
夜空にあった運命は、黄金の律に縛られたのだ
琥珀の星光によれば、星光は運命を司るとされ、神々の運命は琥珀色をしているという
琥珀の星光
星光が運命を司るとすれば
琥珀色のそれは、神々の運命であるとされ
特別な精薬の材料となる
つまり琥珀ではない星光は、神々ではない人々の運命ということになる
黄金樹の時代、狭間の地のすべての生命体の運命は、黄金の律に縛られたのである
縛られたとはつまり、黄金律によって支配され、操られ、都合のよい存在となっていったということである
つまるところ狭間の地の生命体は例外なく、黄金の律(エルデの獣)によって支配され操られていたのである
こうした最強の独裁者とも言えるエルデの獣を殺す物語こそ、エルデンリングである
それは神を殺す物語であり、創造主に対する被造物の反乱の物語なのである
補足:古竜戦役
古竜たちが王都ローデイルに攻め寄せた裏にもラダゴンの影が見え隠れしている
なぜ古竜信仰はローデイルで許されたのか。支配者がそれを黙認したからである
古竜戦役の時期としてはリエーニエ侵攻後のことであろう
王都が襲われているのに他国へ侵略に行くことはないだろうし、襲われた後だったとしても他国へ侵攻するよりも、まずは王都の古竜の遺体を片付けるほうを優先するだろうからである
とすると、そのときの支配者とは、王配ラダゴンであろう。時期としてはリエーニエでの神人作成計画が失敗に終わったあと、ミケラとマレニアが産まれた頃のことであろうか
ミケラとマレニアは神人ではあったが、不完全であった。そこでラダゴンは次なる神人作成計画を練らなくてはならなかった
ラダゴンが目を付けたのは、かつてエルデの王として君臨していた種族「古竜」である
古竜の力を我が物とすることで、種族としての強さを取り戻し、完全な神人を産もうとしたのである
そしてラダゴンは古竜を王都に呼び寄せた
ラダゴンの思惑通りゴッドウィンが英雄となり、古竜と友誼を結ぶこととなった。古竜はラダゴンがゴッドウィンを操るために用意した蜜だったとも言える
古竜信仰が王都の騎士たちに流行したが、ラダゴンはそれを黙認した。次なる神人のためである
やがてゴッドウィンを通じて古竜の力を取り入れ、神人を産もうとしたのである
だが、その野望は陰謀の夜にゴッドウィンが暗殺されたことで破綻したのである
陰謀の夜(異説)
上で陰謀の夜にラニが裏切ったことで、ゴッドウィンの死というマリカにとってイレギュラーな出来事が起きたと述べた
しかしながら、古竜戦役をラダゴンの計画の一部ととらえると、ゴッドウィンの暗殺はラダゴンの計画を妨害するための、マリカの陰謀だったとも考えられる
ただし、そうすると今度はラニイベントの後、イジーやブライヴが稀人たちに襲われている理由がよくわからなくなる
このあたりの解明が今後の課題である
蛇足
まさかラダーンの痩せ馬の考察がエルデンリング全体の総括にまで拡大するとは思わなかった
赤獅子城の動画を作成しながら平行して書いてきたもので、前回の考察から間を置いて公開したいところだったが、あまり置いても熱が冷めそうな気がするので続けて公開する
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