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2022年6月20日月曜日

エルデンリング考察19 黄金の律(要約・追記版)

黄金の律の概要

二本指によれば、「偉大なるエルデンリングは、黄金の律」である


“偉大なるエルデンリングは、黄金の律

“それは世界を律し、生命は祝福と幸福を謳歌する”(通訳:指読みのエンヤ)


エルデンリングは大いなる意志が、黄金の流星と共に送った一匹の獣が変化したものである


エルデの流星

かつて、大いなる意志

黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り

それが、エルデンリングになったという


一匹の獣とは大いなる意志の眷獣エルデの獣のことであり、律たる概念の具現である


エルデの追憶

黄金樹に刻まれた

エルデの獣の追憶


それは、大いなる意志の眷獣であり

律たる概念の具現であった


黄金の律死のルーン取り除かれ封じられたときにはじまったとされている


死のルーンとは、即ち運命の死

黄金の律はじまりに、取り除かれ封じられた影(指読みのエンヤ)


死王子の修復ルーンによれば、新しい律は死の回帰になるとされる


死王子の修復ルーン

黄金律は、運命の死取り除くことで始まった

ならば新しい律は、死の回帰となるであろう


回帰とは、あるものが元の状態に戻ることである。よって死のルーンは元々はエルデンリングに含まれていたことになる


その死のルーン封じることを望んだのはマリカである


黒き剣の追憶

マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった

マリカは影従に、運命の死封印たるを望み

後にそれを裏切ったのだ



2種類のエルデンリング

まとめると、エルデの獣変化したエルデンリングから死のルーン取り除き封じたことではじまったのが黄金の律である


ここで奇妙なのはエルデンリングから死のルーン取り除き、それを封じることで黄金の律はじまっていることである


このときに行なわれた操作にすると以下のようになる


エルデンリングー死のルーン=黄金の律


よってエルデンリングには2つの状態があることになる


死のルーンが取り除かれる前のエルデンリングaと、死のルーンが取り除かれ、封印された後のエルデンリングbである


二本指によれば、黄金律はじまったのはエルデンリングaから死のルーン取り除かれ封じられたときのことである


ということは、エルデンリングb黄金律であるが、エルデンリングa黄金律ではないということになる(あくまでも二本指の言葉を信じた場合)


なぜならばエルデンリングaのときには黄金律はじまっていなかったからである


しかしこれは二本指の「偉大なるエルデンリングは黄金の律」という言葉と矛盾する


二本指の言葉は間違っているのであろうか、それともギデオンのいうようにとうに壊れているのであろうか


王たる聖防護

二本指との長き対話の後、ギデオンは悟った

すべて、とうの昔に壊れていたのだ

老いさらばえた震えるも、黄金樹


この疑問の答えを出すために、黄金律について詳しく考察してみたい



黄金律のはじまり

これまで述べてきたように、黄金律エルデンリングから死のルーン取り除き封じたときにはじまった


エルデンリングa-死のルーン=黄金の律(エルデンリングb)


そして黄金律とは、世界を律し生命祝福幸福謳歌することのできるのことである


“偉大なるエルデンリングは、黄金の律

“それは世界を律し生命祝福と幸福を謳歌する”(指読みのエンヤ)


ところが完全律の修復ルーンによれば現黄金律不完全である


完全律の修復ルーン

現黄金律の不完全は、即ち視座の揺らぎであった

人のごとき、心持つ神など不要であり

律の瑕疵であったのだ


現黄金律不完全理由は、律に瑕疵があるからである。瑕疵とは心を持っていたことだとされる


その律の瑕疵たる心持つ神マリカ望んだのが、死のルーンの封印である


黒き剣の追憶

マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった

マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み

後にそれを裏切ったのだ


そしてそれによって不完全な現黄金律はじまったのである


逆に言えば、現黄金律が不完全となったのは、マリカの望みにより死のルーン封じられたことが原因、ということになる


神の心(望み)が黄金律やエルデンリングに最も大きな影響を与えたのは、エルデンリングから死のルーンを取り除き封印したことである


その不完全な現黄金律修復して完全にしようというのが、完全律の修復ルーンである


修復ルーンと命名されているように、修復ルーンはあるものを修復するためのルーンである


あるものとはエルデンリングであり、修復ルーンによって修復されたエルデンリングは機能を取り戻すはずである


そしてエルデンリング黄金の律なので、完全律もまた黄金律であるということになる


金仮面からもらえるジェスチャーが「黄金律全姿」であることも、完全律が黄金律であることを示している


また他の修復ルーンによって修復された律も黄金律の一種であるということになる(また燃えていたはずの黄金樹完全律エンディングでは蘇っていることも根拠のひとつである)


他の修復ENDに関しても、黄金樹の炎は消えている


黄金律の複数性

以上の考察から、黄金律はひとつではなく複数あるということが分かる


現黄金律の他に、完全律やその他の修復ルーンで修復された黄金律を合わせると、現時点で最低でも4つの黄金律が存在することになる


1.現黄金律

2.完全律の修復ルーンによって修復された黄金律

3.死王子の修復ルーンによって修復された黄金律

4.忌み呪いの修復ルーンによって修復された黄金律


これはエンディングにおいて、それぞれの理(ことわり)を取り込んだエルデンリングが描写されることからも裏づけられる




それぞれは完全に異なる律ではなく、修復する際に自らのエルデンリングの一部とした黄金律なのである



エルデンリングaの黄金律

エルデンリングaとは死のルーン取り除かれる前エルデンリングのことである




死のルーンを取り除き、封じたことで黄金律はじまった。では、それ以前は存在していたのであろうか


律が存在していたことの根拠となるのが、エルデの王プラキドサクスの存在である


竜王の追憶

時の狭間、嵐の中心に座す竜王は

黄金樹の前史、エルデの王であったという

だがは去り、王は帰還を待ち続けていた


竜王は黄金樹の前史において、エルデの王であったという。また対になる神も存在していた


ということは、黄金樹の以前にもエルデの王とその奉戴する律が存在していたことになる


なぜならエルデの王という概念はエルデンリングの成立以後に発生したものだからである


エルデという用語がエルデンリング以前別の意味で使われていない限り。ただし作中にそうした使用例は確認できない


さらに言えば、エルデンリング黄金の律なので、ファルム・アズラの律も黄金律であった可能性さえあり得る


古竜岩の鍛石

黄金のさざれ石を磨き上げた鍛石

それは、古竜の王の鱗であり

ファルム・アズラの秘宝である


では、ファルム・アズラの律こそがエルデンリングaの体現するだったのであろうか


その可能性も完全に排除できないが、しかしもっと相応しい律がある


それは黄金樹となった、マリカが死のルーンを封印するまでの束の間確立していた黄金律aである


黄金樹の護り

そのはじまりにおいて、黄金樹の敵は全てだった

数知れぬ戦いと勝利によって、それは律となったのだ


黄金樹の回復

かつて、黄金樹は豊穣であった

そして、それは束の間であった

すべての生命と同じように


エルデンリングaに対応する黄金律a確立していた時代は、輝ける生命の時代である


戦士たちよ。我が王、ゴッドフレイよ

導きに従い、よくここまで戦ってくれた

あの頂きに、巨人たちを打ち滅ぼし、火を封じよう

そして、はじめようじゃないか。輝ける生命の時代

エルデンリングを掲げ、我ら黄金樹の時代を!(マリカの言霊)


けれども心ある神であったが故に、マリカ死のルーン封印を望んでしまったのである


その結果、黄金律a失われ、そして不完全現黄金律はじまった


※ラダゴンが誕生したのはこの時のことと考えられるが、本考察の範囲を超えるので今回は省略する



ダブルミーニング

さて、以上のように黄金律という言葉には、複数の黄金律が含まれている


このように同じ言葉複数の意味を持たせる手法をダブルミーニングという(神話でもよく使われる手法である)


しかも黄金律の場合、まったく別の意味を含んでいるのではなく、わずかな差異しかない黄金律がいくつも混じっている


このことが黄金律探究する上で障害となってきた。しかし黄金律が複数あることが分かれば、理解することはそれほど難しくない


例えば二本指のいう「エルデンリングは黄金の律」という言葉は、エルデンリングaを含む、広義の黄金律を指している


また「運命の死を取り除くことで始まった」というときの黄金律は、エルデンリングbの体現する狭義の黄金律(不完全な現黄金律)を指している


またマリケスのいう「…すまぬ、マリカよ 黄金律は、もう、戻らぬ…」と言ったときの黄金律は現黄金律(狭義の黄金律)である


なぜならば、現黄金律マリカ死のルーンを封じることを望んだ結果として確立されたからである(死のルーンが解放されれば、それはもう戻らない


このように解釈すると、「エルデンリングは黄金の律」と、「運命の死を取り除くことで始まった」には矛盾が生じなくなる


こうした非常にややこしいダブルミーニング的用法過去作でも用いられてきた


例えばブラッドボーンにおける「青ざめた血」や、ダークソウルにおける「ダークソウル」である


ダークソウルに関しては諸説あり


7.黄金律

また「黄金律」と一言にいっても、そこには黄金律以外にも多くの意味が込められている


例えばエルデンリング黄金の律とされる


エルデンリング=黄金の律


そしてエルデンリングエルデの獣変異したものである


エルデの獣=エルデンリング=黄金の律


またエルデンリング根源にもつ黄金樹黄金律同一視されている


黄金樹は、黄金律は、我らの目前にあるのです(聖職者コリン)


エルデの獣=エルデンリング=黄金の律=黄金樹


これらに加えて、死のルーンを封印した現黄金律修復ルーンによって修復された黄金律が存在する


エルデの獣=エルデンリング=黄金樹=黄金の律=各種の黄金律


このように黄金律には無数の意味があり、そのすべてが「黄金律」のひと言で表現できるものなのである


補足するとエルデの獣は律たる“概念”の具現である。それはまだ黄金律として実体化していないが、その律は黄金律の概念を示している。そして現黄金律不完全ながらも黄金律と言われるように、律たる概念もまた黄金律という言葉に含まれる



しかしこれらの黄金律のうち、なぜか黄金律ではなく「」という用語を使われるものがある


例えばエルデの獣たる概念の具現とされる


エルデの追憶

それは、大いなる意志の眷獣であり

たる概念の具現であった



この一見して奇妙な用法は、プレイヤーに提示した黄金律の情報矛盾が生じるのを避けるためのものと考えられる


プレイヤーに提示された黄金律の情報に、死のルーン取り除かれ封じられた時に黄金の律はじまったというものがある


死王子の修復ルーン

黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった

ならば新しい律は、死の回帰となるであろう


死のルーンとは、即ち運命の死

黄金の律はじまりに、取り除かれ封じられた影(指読みのエンヤ)


エルデンリング-死のルーン=黄金律


この状況で、例えばエルデの追憶の「」を黄金律にしてしまうと、プレイヤーに提示した黄金律情報矛盾が生じてしまう(プレイヤーの側でのみ矛盾が生じる)


なぜなら黄金の律にしてしまうと、エルデの獣エルデンリングになった瞬間に黄金の律はじまったことになるからである


エルデの獣→エルデンリング=黄金律(矛盾)


これは死のルーン取り除かれたことで黄金の律はじまったとする提示情報矛盾してしまう


また黄金樹も「」となったとされる


黄金樹の護り

そのはじまりにおいて、黄金樹の敵は全てだった

数知れぬ戦いと勝利によって、それは律となったのだ


これに関しても同じ事情で、黄金律律に変更されている


つまり黄金律死のルーンの封印によってはじまったのであり、黄金樹が勝利したことによってはじまったわけではないからである


このように黄金律のはじまりに関して、プレイヤーに与えた情報齟齬を来す場合、黄金律は「」に変更さされるのである


ただし矛盾や齟齬が起きるのはプレイヤー側のみである。与えられた情報断片的不十分であるが故に矛盾が生じたように錯覚してしまうのである


こういった例は他にも死王子の修復ルーンが該当する


死王子の修復ルーン

黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった

ならば新しい律は、死の回帰となるであろう


上述したように、死王子の修復ルーンによってはじまる新しいは、黄金律の一種である


だが「新しい黄金律は、死の回帰となるであろう」と記述すると、死が回帰することで黄金律はじまることになってしまうのである


死を取り除いたことで黄金律ははじまった提示しているのに


そこでプレイヤー余計な混乱を生じさせぬよう、黄金律に変しているのである


ただしこれには、黄金律の複数性プレイヤーに気づかせないという意図も混じっていると考えられる


黄金律複数の意味があることはプレイヤーには明言されていない(あくまでも示唆に留まる)


この状態で相矛盾するテキストを提示することは、プレイヤーが黄金律の複数性気づくきっかけになりかねない


その結果、黄金律という言葉のダブルミーニング的効果消失(あるいは薄れて)してしまうのである


そこで苦肉の策として、プレイヤーに矛盾を生じさせかねない場合には黄金律は「」と変更されるのである


こうすることでダブルミーニング効果維持され、黄金律という言葉に解釈の多様性深みが生じるのである



視座の揺らぎ

黄金律という言葉をダブルミーニング的に用いることは、視座の揺らぎを引き起こすのである


エルデンリング視座の揺らぎによって不完全になったように、黄金律という言葉の解釈視座の揺らぎによって不完全になるのである


しかし黄金律という言葉は、限定された個別の黄金律を意味すると共に、すべての黄金律を内包する巨大な複合概念でもある


巨大な複合概念である「黄金律」の内部には、狭義の黄金律が含まれる


似た構造を持つのが完全律である。完全律はエルデンリング全体内包する巨大な黄金の輪をもっている




完全律黄金の輪と同じように、黄金律すべての黄金律内包する言葉でもあるのである


黄金律という言葉を提示されたとき、プレイヤー特定の黄金律を思い浮かべてしまう



しかしそれが叙述トリックなのである


実際は、その黄金律どの黄金律示しているのか明示されていない場合もあるのである


その上、黄金律が複数あることもほのめかす程度にしか提示されておらず、それがすべての黄金律内包する複合概念としての黄金律を示しているのか、エルデンリングbの体現する黄金律(現黄金律)を示しているのか判断ができないのである


黄金律の複数性と、さらにはすべてを内包する黄金律を知らない場合、プレイヤー視座揺らぎ、思考の停滞に陥るのである


視座の揺らぎにより黄金律を不完全にし、永遠という停滞に陥った女王マリカのように…


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