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2021年6月25日金曜日

Dark Souls シリーズ考察15 エレーミアス絵画世界

画家

エレーミアス絵画世界という名前は、絵を描いたのが「エレーミアス」という画家(あるいは集団)という意味である


日本語ではやや不明瞭であるが、英語訳にはこのことがはっきりと示されている


Didst thou not see why Ariamis created this world?

そのための、このエレーミアス世界なのでしょう?(日本語版)


アリアミスがなぜこの世界を作ったのか、あなたは見なかったのですか?(DeepL訳)


つまりエレーミアスという画家(集団)がおり、その者がエレーミアス絵画世界を描いた(創った)ことになる


このことはDS3に登場するアリアンデル絵画世界という名前からも導くことができる


アリアンデルという名は教父アリアンデルが絵画を修復した、つまり描き直したことから命名された名前である


アリアンデルの薔薇

絵画の修復者たるアリアンデル

それが血で描かれていることを知っており

それを守るためにまた血を用いた


絵画を修復したのがアリアンデルだから「アリアンデル絵画世界」と呼称されているのである


またそれは教父アリアンデル画家(DS3)の存在から推測するに集団ではなく、個人の画家である


結論として、エレーミアス絵画世界を創った(描いた)のは、エレーミアスというひとりの画家である



黄の王ジェレマイア

黄の王ジェレマイアの英名は Xanthous King, Jeremiah である


Xanthousは「黄色」や「黄色い髪」を意味するギリシャ語である


また Jeremia は旧約聖書の大予言者に由来する英語の名前で、原義は「神によって指名された」である


つまり Xanthous King, Jeremiahギリシャ語の敬称に英語の名前が合成されていることになる


この名をギリシャ語で統一すると、日本語ではこう読む


クサントス・キング・イェレミアス


また旧約聖書の『エレミア書』のエレミアはジェレマイアのヘブライ語形である


つまりジェレマイアはギリシャ語形では「イェレミアス」、ヘブライ語形では「エレミアス」であり、その両者を融合させると「エレーミアス」になるのである



エレーミアス

名前から判断するのならば、エレーミアス絵画世界を描いたのは黄の王ジェレマイアとなる


この推察を裏づけるものとして、ジェレマイアがドロップするイバラムチがある


イバラムチ

鋭いトゲの生えたひも状のムチ

鎧や硬いウロコなどには効果が薄いが

肌や皮膚の露出した敵には威力を発揮し

また大量の出血を強いる


大量の出血を強いる武器であり、この特徴はアリアンデルの薔薇と一致する


アリアンデルの薔薇

絵画世界の鞠のような教父が

その血で火を鎮めるために用いたバラ鞭

武器であると共に奇跡の触媒である


絵画の修復者たるアリアンデルは

それが血で描かれていることを知っており

それを守るためにまた血を用いた


絵画世界は血で描かれるのである。修復するために必要なをアリアンデルはバラ鞭によって得ていたのである


同じようにジェレマイアは出血を伴うイバラムチをドロップする


なぜ彼がイバラムチを持っていたかというと、「血によって絵を描くため」(修復するため)である


そしてジェレマイアの名前の原義は「神によって指名された」である


このことから絵画世界はジェレマイアの発意により描かれたのではなく、神によって絵を描くよう命じられたことがわかる


絵画世界を描くようジェレマイアに命じたのは暗月の神グウィンドリンである


生命狩りの鎌

エルドリッチは暗月の神を喰らい

遅々としたその中に夢を見た

密かに隠した、白い娘の夢を


その目的はもちろん白い娘プリシラを隠すためである



Ariamis, Ariandel

実のところ Ariamis の語源は明確になっていない(いくつか仮説はあるが確実なものはない


おそらくは英語名 Ariamis は日本語でエレーミアスと名づけられた後に考えられた造語である


その理由については不明である。エレーミアスから Jeremias直訳してしまうと、Jeremiah との繋がりがはっきりしすぎてしまうため、あえて分かりにくくした、とも考えられる


英語圏で Jeremias とした場合、聖書に詳しい人であればすぐにエレーミアス絵画世界と黄の王ジェレマイアを結びつけて考えるだろうからである


※ちなみに Jeremias は Jeremiah のラテン語形である。これも「イェレミアス」と読む



Aria

さて、AriamisとAriandelは末尾の「-mis」と「-ndel」に相違がある


このうちまず共通の「Aria」から考察してみたい


アリアはオペラの叙情的、旋律的な特徴の強い独唱曲で、イタリア語で「空気」や「態度」と言った意味もある


しかしながら絵画世界との強い共通点はなく確定的なことは何も言えない


Ariaに関しては響きから選択されたという可能性が最も高い


とはいえそれでは何なのでやや飛躍した考察を述べたい


エレーミアスはジェレマイアの名前をやや変形させる形で命名された名である


そのジェレマイアのフランス語形は「ジェレミー」である


ジェレミーとアリア、これは『氷と炎の歌』(著者ジョージ・R・R・マーティン)の主要登場人物の名である


推測するにまずジェレマイアからエレーミアスという名前が考え出されたのであろう


その後に英語名を決めるに当たり、ジェレマイアのフランス語形ジェレミーから、『氷と炎の歌』のアリアに思い至りアリアミス(Ariamis)と名づけたのではなかろうか



-mis, -ndel

Misに関しては上述の Jeremias から a を抜き mis に変化させたものであろう(これにAriaをつけるとAriamisとなる)


後継作に登場するアリアンデルの-ndelについては、時間があったからなのか工夫が施されている


-ndel はトールキンの人工言語の古いエルフ語で「」を意味する言葉である


トールキンはその語源ノートでクウェンヤ語「nelya」の原型として「ndel」を検討していたことが明らかになっている


そして nelya は「厚くする」の意である


つまりAriamisを修復するために上から血を重ね塗りする、すなわち「厚くする」者をAriandel(Ariamisを厚くする)と命名したのである



黄衣

ここからはジェレマイアの素性について考察してみたい


黄の王ジェレマイアは黄衣の系譜に連なる者であり、その黄衣とはウーラシールの魔術探求する者たちのことである


黄衣の冠

伝説の追放者、黄の王ジェレマイアがつけていた

まったく由来の分からない謎の衣装


黄金のスクロール

黄衣たちの長い探求の成果


魔術師に渡すことで

ウーラシールの魔術を学べるようになる


失われた魔術の国ウーラシール

その魔術は光を操り黄金の輝きをもったという


ジェレマイアの特徴的な頭冠はおそらくエリザベス(キノコ人)を模したものである(病み村の壁虫にも似ているが)


黄衣の頭冠[DS3]

古い黄金の魔術の国、ウーラシール

その神聖な生物を模したという頭冠


黄衣は、失われた魔術の探究者の装束であり

大きすぎる頭冠はその象徴である

奇態が導きたるなら、なにを恥じることがあろうか


つまりジェレマイアは元々ウーラシールの魔術の探究者だったのである


しかし上述した理由により神に命じられて絵画世界を描き、その玉座に座りながら死んでいったのである


画家

絵画世界を描くために必要なのは、まず第一に画家である


その画家は火を知りながら火に惹かれない者である


火を知らぬ者に、世界は描けず

火に惹かれる者に、世界を描く資格はない…(DS3の画家)


そのような画家が「血」という顔料によって描くのが絵画世界である


ここにジェレマイアの画家としての資質が見いだせるのである


まずジェレマイアはイバラムチという「出血を強いる」武器を扱っている


そして彼は黄衣である。それは火ではなくウーラシールの光の魔術の探究者である


ジェレマイアは火を知りながら、しかし火には惹かれず光に惹かれた魔術師なのである


※関係ないがDSの「黄衣」は「きごろも」と読む。クトゥルフの「黄衣の王」は「こういのおう」と読む



光の魔術

光の魔術は竜の学院すらそれを実現できなかった異質な魔術体系である


照らす光[DS3]

古い黄金の魔術の国

ウーラシールの失われた魔術

光を生み、周囲を照らす


光を生み出す、単純な魔術であるが

それこそが黄金の魔術の精粋であり

竜の学院は、ついにそれを実現できなかった


その光の魔術とは光を生み出し姿を消失させ、また基本法則をねじ曲げ、そして時間を回帰させるものである


見えない体

古い黄金の魔術の国

ウーラシールの失われた魔術

全身をほぼ透明にする


消失回避のため薄らと見えているが

立ち止まればすぐに周囲に溶け込み

容易に発見されることはないだろう



歪んだ光壁

古い黄金の魔術の国

ウーラシールの失われた魔術

光を歪ませ、魔法を弾く


光を扱う魔術の中でも、秘術にあたるひとつ

基本法則が一瞬に捻じ曲がるとき

すべての幻はその行き場を失うのだという



修理

古い黄金の魔術の国

ウーラシールの失われた魔術


目立たぬ効果とは裏腹に、秘術にあたるひとつ

光は時回帰は禁断の知恵であろう


新たな世界を創るとは、新たな時空を創ることに等しい。そして時空が「時間と空間」の略称であるように、その両者を操ることが可能ならば新たな世界を創ることが可能ということになる


この点において、光の魔術時間を操り、また基本法則を歪めることが可能である


すなわち、新たな時間と基本法則の異なる空間を創造することが可能なのである


そのために必要なのが「血」である


光の魔術の国であったウーラシールが闇に沈んで滅びたように、強い光強い闇を生み出す(はじまりの火により光と闇の差異が生まれたように)


ジェレマイアの操る強い光の魔術により、その血は闇の属性を強く帯びる


その闇の血は、DS3の画家のようにまったく新たな世界を創造することはできなかったかもしれないが、世界の片隅に時空のやや異なる異世界を創ることには成功したのである


それがエレーミアス絵画世界である

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