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2021年6月7日月曜日

Dark Souls シリーズ考察14 グウィンの妃

外戚

グウィンに王妃がいたことはシースが「外戚となった」という記述から推察できる


分け与えられた王のソウル

シースはグウィン王に与して古竜を裏切り

後に公爵として王の外戚となったとき

その偉大なるソウルを分け与えられた


外戚とは「皇帝、王の母親または妃の一族のことである(Wikipedia)


つまりシースはグウィンの母の一族か、あるいは王妃の一族ということになる


このうちグウィンのであったとしたらシースは最初から外戚ということになる


しかし事後的に「外戚となった」とあることから、シースはグウィンの王妃の一族であるとほぼ断定できる


※厳密にはグウィンの母(いるとして)とシースの一族の一人が再婚した場合にシースは外戚となることも可能かもしれないが、グウィンは「闇から生まれた幾匹か」のうちの一体である。もし仮にグウィンに母がいるとしても闇である


※闇と再婚するというのもかなり奇妙であるし、闇と結婚するとグウィンの父になるという理屈もかなり奇妙である


※DS2のヴァンクラッドとデュナシャンドラの組み合わせは闇と結婚したと言えるのかもしれない。しかしそれにしても闇の飛沫(娘たち)であって闇そのものではない。


シースは王妃の一族とするのがシンプルかつ妥当であると考える



王妃

グウィンの妃についての情報は存在しない。かすかにシースが外戚になった、という事実からその存在がうっすらと導ける程度である


実際にグウィンの子らがいるのだから王妃もいたのだろう、と考えることもできる


しかし神の生殖法は不明である


ソウルを分けることで新たな神を造ることができ、それを子供たちと呼んだということもあり得る(闇の落し子たちが深淵から発生したように)


しかしながら現実的にシースの一族と思われる王妃がいたこと、またグウィンドリンやヨルシカがその血を引いていると思われることなどから、神も他の生物のように生殖によって生まれた可能性はある


神々もまた生をもつからである


古竜の瞳

古竜に祈り、それに近づこうとする超越者たちの業

生とは弱さであり、火の者である神々も例外ではない

超越者の目標は、生命とは別のあり様なのだ


シースの一族とは竜の一族であり、その王妃とグウィンのあいだに生まれたのがグウィンドリンやヨルシカである。そしてその両者は肉体に「蛇」の特徴を持っていることから、グウィンと王妃の生殖によって誕生した可能性が高いのである



とは竜のできそこないであり、その要素がどこから来たかというと、父親であるグウィンではなく竜の一族である母からであろう


これを図にすると以下のようになる


※長子、長女、フィリアノールについては省略


竜と太陽神の属性がある影響を受けて(後述する)弱められたことで、蛇と暗月(陰の太陽)がグウィンドリンとヨルシカに現れたのである


竜のできそこないであるのなら、暗月太陽のできそこないである



月の魔術師

暗月の錫杖によればグウィンドリンは神でありながら「月の魔術師」であったという


暗月の錫杖

グウィン王の末子として歴としたでありながら

月の魔術師でもあったグウィンドリンの錫杖は

理力ではなく信仰により魔術を強化する


その魔術の祖はシースである


月光の大剣

魔術の祖たるシースの魔力の結晶であり

その力は月光の波として解放される


彼が神でありながら同時に「魔術師」であるのは、父の影響である



蛇の女神

これらのことから推察できる王妃像は次のようなものである


  1. 王妃は竜体(蛇体)
  2. シースの一族
  3. 事後的に女神に昇格した


王妃は竜体(蛇体)であり、シースの一族であり、もとはではなかったがグウィンに嫁いだことで女神になった


竜であるシースの一族であるので王妃は神ではなかった。また女神になったことについては、子どもたちが「神」と呼ばれていることから分かる


というのも、仮に王妃が女神に昇格しなかったのだとしたら子どもたちは「半神」と呼ばれていたであろうからである(半竜プリシラのように)


神と女神とのあいだに生まれたからこそ「半神」ではなく「神」と呼ばれるのである


さて上記の三つの条件に当てはまるのが「女神クァト」である


女神クァトがもとは聖女だったことは、彼女の従者モーンカリムの騎士の祖型であったことから推察できる


モーンの鎧

カリムの騎士は、生涯一人の聖女に仕えるという

かつてモーンが、ある女神に仕えたように


ここで女神は聖女の理想、女神の従者は騎士の理想として語られている。つまりカリムの騎士にとって聖女と女神とはその格に差はあれど同類なのである


どうしてこのような同一視が起きているかというと、その祖型であるクァトとモーン聖女と聖女の騎士だったからである


モーンは後に大司教の使徒となり、女神クァトの物語を語っている


モーンの指輪

モーンとは、女神クァトの従者であり

後に大司教の使徒になったという

全ての弱き者を慰める力として


治癒の涙

モーンは女神クァトの従者としても知られ

これは彼女を巡る死の物語であるという


生涯仕えるはずの女神を離れ大司教の使徒になった、というのは矛盾している


しかしながら、もとは聖女と騎士の関係だったものが聖女が女神に昇格したので、騎士は彼女を信仰する大司教の使徒となった、と考えると矛盾ではなくなる


こう考えるとモーンは生涯ただ一人の聖女(女神)に仕えたことになる


そしてそれゆえに、クァトとモーンの物語はカリム騎士の理想となったのである



スキュラ

クァトの聖女から女神への昇格に関係したのがシースである


シースは自らの書庫に聖女を集め、実験を行なっていた


書庫塔大牢屋の鍵

かつて多くの聖女を閉じ込めた大牢屋は

今はガランとし、重要な囚人だけが閉じ込められる

鼻先に大量の落し子が蠢くその場所では

常人が長く正気を保つのは難しいだろう


そのおぞましい実験の果てに生まれたのがスキュラたちである


彼女たちは蛇体であり、またもと聖女であった



この実験の詳細については語られていない。しかし聖女をわざわざ蛇体にしていることから、シースは聖女を自分の眷属に造り替えていたと考えられる


竜のできそこない、ということはシースの目的は聖女を竜にすることだからと考えられるからである


その実験の最初の成功者がクァトであった


クァトの物語多くの死を巡る物語であり、またクァトは死の側悼みと哀れみの涙を流したという


大書庫の底にうごめくスキュラのうち2体は「泣いている


つまりグウィンに嫁いだ王妃とは、実験により竜体(蛇体)になった聖女であり、シースはその聖女を養女とし、神の子を産むとしてグウィンに捧げたのである


そして聖女はグウィンという神に嫁いだことで女神となり、何人もの子どもたちを生んだのである


一方のモーン竜体となった女神を信奉する大司教の使徒となったのである


モーンの兜はカリム大神殿の司教座にならぶ石像の頭部そのものであるという


モーンの兜

カリムの騎士に与えられる異形の兜


大司教の使徒モーンを象ったものであり

特に兜は、司教座に並ぶ石像の頭部そのものである


その形状は竜体となったプレイヤーと酷似している



ここには明確な竜信仰の痕跡が認められるのである



ロイド信仰

そしてまたカリムロイド崇拝の篤い白教の一大聖地である。DS3の時代には廃れているが、それゆえに往時の権勢を明らかにしている



ロイドの剣の指輪[DS3]

だが白教のロイド崇拝は、今や廃れて久しい

カリムの司祭たちは声高に主張する

ロイドは傍系にすぎず、主神を僭称したのだと


モーンが使徒として勤めクァト祀られている大神殿は白教の神殿であり、クァトがそこに祀られたのは白教の神であるグウィンに嫁いだからである


余談だがロイドはウェールズ語で「灰色」を意味する。これは火の時代の前の「灰の時代」を示唆する名前である


そしてまたロイドはグウィンの叔父という不可解な地位にある


これを過去の考察では、ロイド白教古竜崇拝の名残りであるとした


ロイドの護符貪欲者を眠らせるのは、ロイドが灰色の時代平穏(ニルヴァーナ)の力を持つからである


貪欲というをロイドの灰色の力により中和したことで、貪欲者は欲を忘れて眠ることができたのである



女神クァト

さて女神となったクァトは太陽の長子と太陽の光の王女グウィネヴィアを生む


クァトは竜体(蛇体)の女神であるが、この時にはまだ女神としての要素が強く、その子らは父親の太陽の力を受け継ぐ太陽神であった


太陽の長子は父親の「雷」の力を強く受け継いだ


雷の大槍

戦神として知られる太陽の長子の武器

グウィン王の太陽の光を継いた長子

武力ばかりは見劣りしなかったと言う


一方の長女は太陽の力とともに女神クァトの力、もしくは竜(ロイド)の力を受け継いだのである


クァトの鈴

戦技は「恵みの祈り」

左右どちらに装備していても有効な戦技

一定時間、HPをごくゆっくりと回復する


生命湧き

かつて聖職の騎士に愛された奇跡

HPをゆっくりと回復する


それは古いロイド信仰の名残であり

聖職の騎士たちは不倒の戦いを見せたという



太陽の光の恵み

太陽の光の王女が与えたという特別な奇跡


周囲を大きく含め、HPをゆっくりと大きく回復する


母であり妻であったグウィネヴィアの奇跡は

その恩恵をひろく戦士たちに分け与えた



クァトの闇

しかしクァトは闇の一面も持ち合わせている


クァトの鈴

涙の神クァトの加護を受けた聖鈴

闇術専用の触媒で、奇跡には使えない


涙の神クァトは、哀しみに寄り添う

慈愛の神という位置づけが一般的だが

一部では人を絶望の運命へと導く

悪神とされている


クァトの鈴

奇跡触媒としては珍しい理力補正を持ち

偶然にも闇に近い奇跡と相性がよい

大主教の名において、それは秘匿され

また固く許されていない


このクァトの闇の側面(理力補正)はベルカと同じものである


ベルカのタリスマン

神の奇跡をなす触媒

罪の女神ベルカのそれは彼女の黒髪であり

信仰によらず理力を奇跡の糧とする


両者は他にも(厳密には神以外の生命)から女神に昇格した、という共通点がある


沈黙の禁則

黒髪の魔女ベルカの伝える秘儀

効果範囲内ですべての魔法が使えなくなる


罪の女神ベルカは異端であるが

古今あらゆる秘儀に通じており

神々の中でも強い影響力を持つと言われる


もし仮にクァトに二面性がなく、そしてその闇の部分ベルカと同一でなければ別人として考察したほうが通りがよい


しかしながら、ここまでクァトの闇の側面を強調され、またベルカとの共通性を提示されると両者が同一人物であったと示唆されているようにしか思えない


くわえてDS3のベルカ像は「本」を持った姿である


罪の女神像

これはカリムの聖女の特徴と一致する


聖女の指輪

カリムでは、聖女は物語の語り部である

分厚い聖書を何冊もよく覚え、よい声で語る

そのように、彼女たちは名高い


つまるところ、クァトの二面性聖女クァト/魔女ベルカという別人として語られたのである



人間性

人から女神になったクァトには他の神にはない要素を内に宿している


人間性である


人間性

ソウルが生命すべての源であるなら

人のみにある人間性とはなんなのか?


女神になった後も人間性はクァトに宿っていた。いわばクァトの闇の側面である


そしてであるからこそ、クァトは闇に抵抗できなかった


王グウィンは、闇を恐れた(闇撫でのカアス)


英雄とて、所詮は闇を持たぬ身

いずれは深淵に飲まれて、闇に食われてしまうでしょう(霊廟の守人エリザベス)


人間性の闇とは人の感情や業のことである


貪食ドラゴンを醜く変異させてしまったように、人の闇は世界を侵食していくのである


徐々に闇に侵されていったことで王妃の生む子どもたちにもその影響が現われはじめる


の側面がによって浸食され、それぞれが弱まって蛇と暗月というできそこないの性質が現われたのである


グウィンドリンヨルシカである


そしてついには、闇の側面が他を圧倒し、闇の要素を多分に受け継ぐ子が生まれる


フィリアノールである


そしてフィリアノールは母から黒髪を受け継いでいる



沈黙の禁則

黒髪の魔女ベルカの伝える秘儀


末娘闇と神の子であり、闇との親和性が高いが故に輪の都と共に小人に贈られたのである



不義の子

さて、人の感情や業という闇に浸食され続けた女神は、それゆえついに不義を働く


半竜プリシラのソウル

エレーミアス絵画世界に閉じ込められた

純白の半竜プリシラのソウル


特別な存在は特別なソウルを有する

不義の子にして生命の敵である半竜のソウルは

使用により莫大なソウルを獲得するか

他にない武器を生み出せる


養父である白竜シースと不義密通し、純白の半竜プリシラを生んだのである


つまりプリシラには人(闇)三属性が宿っている


彼女のソウルによって生命狩りの鎌が造られるのは、そしてそれが闇の王の力「生命喰い」と酷似しているのは、彼女のソウルに人の闇が宿っていたからである


生命狩りの鎌

エレーミアス絵画世界に閉じ込められた

純白の半竜プリシラのソウルから生まれた鎌


神々さえ恐怖した生命狩りの力を持つが

半竜ならざる者がその力を振るえば

その力は使用者にもはね返ってしまう


貴公が望むのならば、我が力を授けよう

闇の王の力、生命喰いの力だ(闇撫でのカアス)



罪の女神ベルカ

に飲み込まれ不義を犯すという二重の罪により女神クァトはアノール・ロンドから追放され、ある役目を課せられる


罪を司る神となって罪人を罰すること。それはを犯した彼女へのだったのである


後年、彼女は罪を赦し呪いを解く女神としても崇敬される


DS3DLCに登場する解呪の碑からも分かるように、解呪とは呪いをその身に引き受けることである


その呪いとは人の感情や業すなわちのことであり、また生命への執着という煩悩のことでもある(神も例外ではない)


つまり生命そのものが一つの呪いなのである


王の指輪

ソウルは呪いに等しいものであり、

強いソウルを持つ者は、より強い呪いを

その身に引き受ける


人間性

ソウルが生命すべての源であるなら

人のみにある人間性とはなんなのか?


罪の女神ベルカとは、罪を司る女神であると同時に罪を犯した女神であり、またその罪により罰を受け続ける女神なのである


そして彼女が罪や呪いを引き受けることができるのは、彼女が闇を持つ神だからである


いわば彼女は罪や呪いを棄て入れるためのゴミ箱のようなものである


それは闇を喰らい続けたミディールと似たような立場なのかもしれない



カラス

カラスベルカに関連づけられることが多い


その信徒が鴉人であり、ベルカの司祭クチバシのついた仮面を被り、全身を黒い装束に包んでいるからである


しかしながらベルカがカラスであったという記述は存在しない


あくまでもベルカの使徒としてカラス多用されるだけであって、彼女自身はカラスではない


罪の女神像にはカラスの要素もの要素もない。これはまだ人であった聖女(魔女)時代のクァト(ベルカ)を造形したものだからである



DSには超越的な存在とそれを崇拝する信徒という構造がある


古竜と蛇人に代表されるように、信徒は常にできそこないの姿をしている


鴉人もまたベルカに近づこうとしてできそこなった存在である


ベルカのできそこないとは何か


最近の学説では鳥類の祖先は恐竜であるとされる。つまり鴉人が近づこうとした女神ベルカは「竜」である


そして絵画世界には1体の竜が存在している


プリシラの前に立ちはだかる「ドラゴンゾンビ」である


その身体は黒く、そしてがある。ベルカの信徒はこの竜になろうとして黒い翼のある鴉人に変異したのである


そしてまた、プリシラの母であるが故に死んでもなお彼女を守ろうとする位置にいるのである


罪や呪いをその身に引き受けたベルカは生きながらにして腐り、ドラゴンゾンビとなって今も生きているのである


そしてたとえ選ばれた不死により倒されたとしても、その下半身だけは永久に残される(飛竜の谷のドラゴンゾンビは倒すと完全に消滅する)


ドラゴンゾンビの下半身は動き続ける

オーンスタインが無名の王の飛竜となったという説がある。オーンスタインが竜になれたのであれば、シースの一族であるベルカが竜になれたとしても不思議ではない

2 件のコメント:

  1. いつも楽しく読ませていただいております。
    今回の考察がより確度高くなりそうな台詞を思い出しました。
    ダークソウル3のヨルシカが、灰との雑談で、「あなたは竜ですか? カラスですか? どちらにしても懐かしい」といった台詞がありました。兄から聞いた話だと思いますが、今回の考察の裏付けになるのではないでしょうか。

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    1. 貴重なご指摘ありがとうございます
      ヨルシカは「竜やカラス」を知っており
      またそれらが「飛ぶ」ことも知識としてあることになりますね

      兄であるグウィンドリンが母のことを教えようと
      「竜とカラス」の話をしたと考えれば
      それを物語る必然性も出てくるのかもしれませんね

      考察に追記してみたいと思います

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