竜の御子
単語だけが唐突に登場し、詳しい説明は一切されない「竜の御子」ダークソウルシリーズには「3人の竜の御子」がいる
登場順に挙げると
1.DS2に登場した「緑衣の巡礼シャナロット」
2.DS3に登場する「オスロエスの子オセロット」
3.DS3DLC2に登場する「フィリアノールの騎士、シラ」
これを誕生順に並べ替えると
1.シラ(DS1の時代)
2.シャナロット(DS2)
3.オセロット(DS3)
となる。設定的には各作品に一人はいることになる
シラ
彼女が自らいうように、シラは公爵の娘である
私も神の末、公爵の娘、シラ。そして、ミディールの友人です公爵とはシースのことであると思われる
フィリアノールの騎士、シラの頭冠ここにいうバイバルとはDS1の結晶洞穴に登場する五足のバイバルであり、その結晶洞穴はシースの本拠地だ
繊細な銀細工に、バイバルの真珠があしらわれている(シラの頭冠)
つまりシラは白竜シースの娘=竜の御子である
シラという名もまた、白という漢字から取られたと思われる。古い時代の日本では白をシラと呼ぶことが多い(オシラサマやシラヤマヒメなど)
シャナロット
私の名は、シャナロット因果を超えようとした者たちが作り出した竜の子(結局失敗したが)
それは名を持たずに生み出された私に
あの竜がくれた名前
私は人によって生み出された竜の子
かつて定められた因果を超えようとした者たち…
その者たちが私を生みました
しかし、その思惑は頓挫しました
私は、失敗作だったのです
つまり竜の子とは「因果を超える」ために必要な存在である
因果を超えようとした者たちとはアン・ディールのことと思われる
私は、アン・ディールでは因果とは何か
かつて因果に挑み、果たされず、
ただ、答えを待つ者
玉座を求めよ
光も、そして闇も その果てに…
道など、ありはしない「光すら届かず、闇さえも失われた先に何があるのかを求める」ことこそが、因果に挑むことであり、因果を超えることである
光すら届かず、闇さえも失われた先に
何があるというのか
だが、それを求めることこそが
我らに課せられた試練…(探究者エンド)
オセロット
妖王オスロエスが生みだした竜の御子
血の営みから逃れたオスロエスは白竜シースの力に救いを求めた
王はロスリックの血の営みに発狂し白竜シースの研究はある程度の成果をあげた
大書庫の異端と繋がったという
それは白竜シースの歪んだ信仰だった(妖王オスロエスのソウル)
妖王オスロエスの妄執の果ての魔術そしてついに竜の御子を生み出すことに成功する
白竜シースの結晶のブレスを放つ
結晶のブレスは貫通する
かつて「ビッグハット」は白竜に共鳴し
裸の探究の末、その神の業を己のものとしたという
オスロエスはそれを知り、また啓蒙を得たのだろう(白竜の息)
ああ、愚者どもめ。ようやく気付いたのだろうオスロエスが透明な何かを抱えているが、その姿は解析しないとみられない
愛しいオセロット、竜の御子の力に
だが、そうはいかぬ
この子は、私のすべてだ(オスロエスのセリフ)
忌まわしい何かが生まれたことは、王妃が消え去ったことから確かであると思われる
彼女は先王オスロエスの妻であり豊穣と恵みの女神にすら例えられたが
末子オセロットを産んだ後、姿を消したという(女神の祝福)
※プリシラ
プリシラは半竜であって竜の子とは異なる
半竜は身体に竜の特徴を持つが、竜の子は外見的に人と変わらない
竜の御子考察
竜の御子は因果を超える力を持つ(あるいは持つことを期待された)シャナロットは失敗作であり、因果を超えることはできなかった
シラは因果を超えている(DLCの最後の舞台に突然、まるで時の流れを無視したように現れるのは、彼女が因果を超える存在であるからだろう。時間という因果を超える存在なのだ)
さて、オセロットはどうだろう?
そもそもオセロットとは何者なのだろうか?
DS3において因果を超える力を持つキャラクターがシラの他にいただろうか?
光すら届かず、闇さえも失われた先に到達できるような存在がいただろうか?
一人だけあてはまる人物がいる
火継ぎの祭祀場の火防女である
火継ぎという因果を終わらせることのできる唯一の存在、それは火防女の瞳を得て、火継ぎの終わりを見た火防女しかいない
※英語版でオセロットが男性の人称代名詞で呼ばれている件は後述する
オスロエスが竜の御子に固執した理由もここにある
彼が発狂した原因であるロスリック王家の「血の営み」とは、薪の王を生み出すためのおぞましい所業だった
資格者を求めたロスリックの血の営みは
やがて人を外れ、おぞましい所業と堕した
正に火継ぎとは呪いの道であろう(王の薪)
王家の悲願、薪の王たる運命に生まれた彼はオスロエスはこの「呪いの道」から逃れようとした
しかし病を抱え萎びた赤子であった(祈祷シリーズ)
そのためには火継ぎという因果に挑む必要があった
つまり、火継ぎの終わりを希求したのだ
だが、火継ぎの終わりはロスリック王家代々の血の営みを無に帰すものだった
ロスリックの正道から外れた王を誅すべく、ロスリック王家の重臣たちは刺客を差し向けたが、結局は失敗に終わる
ロスリックの先王、オスロエスの指輪
背後からの攻撃のダメージを軽減する
オスロエスは晩年竜に魅入られた
正気を失った彼は妖王と呼ばれ
多くの刺客が差し向けられたが
そのことごとくが失敗したという
妖王はそれを竜鱗の加護と呼んだ(竜鱗の指輪)
先王オスロエスは、竜に魅入られ妖王となり暗殺の命を出したのは三柱(騎士長、賢者、祭儀長)だっただろう
多くの刺客を差し向けられたという
しかし誰一人、無事戻るものはなかったと(影シリーズ)
王を支えるとされた三柱だが、
古くよりロスリックでは実状はそう単純ではなかったようだ
祭儀長は王を支える三柱のひとつとされた
それは常に女であり、王子の乳母でもあったという(祭儀長の指輪)
王と三柱との主従関係が危ういバランスの上に成り立っていたことが「狩人の指輪」のテキストからうかがえる
狩人は、古くよりロスリックの黒い手であったさて、オスロエスは火継ぎの終わりを求め、そのために「竜の御子(人造の火防女)」を造り出そうとしていた
三柱に対抗し、また密かに刑するために代々の王たちは黒い手を頼んだのだ(狩人の指輪)
大書庫の異端と繋がったオスロエスには、力強い協力者がいた
結晶の古老である
結晶の古老は大書庫の賢者たちの導師であり後に双子の片割れが、不死隊の同盟者となった(結晶の古老のソウル)結晶の古老はシースの力を受け継ぐローガンの末裔だった
それはウロコのない白竜、シースの力であり数多くの失敗の果てに竜の御子製造計画は成功しただろう
それに見え啓蒙を得たローガンの魔術である
結晶の古老は、その末裔なのだ(結晶のスクロール)
そうして生まれ出たプロトタイプの火防女にオスロエスは「火防女の瞳」を渡した
火の無い祭祀場で死んでいた火防女が「火防女の瞳」を所持していた理由がこれである
聖遺物ともいえるような貴重な「火防女の瞳」を一介の火防女が入手できるとは考えにくい。やはり何者かが何らかの意図をもって火防女に渡したのだ。「火防女の瞳が見せるものの知識」と「動機」、その両方を持っているのは白竜シースの魔術を研究し、因果を超える竜の御子を造り出そうとしたオスロエスしかいない
火防女は「火防女の瞳」により「火継ぎの終わり」を見た
だが、決して知られてはならないそのことを、他者に知られてしまう
そしてこのことは、固く秘しておきましょう。誰にも知られてはいけません(現在の火防女に「火防女の瞳」を渡した後の会話)その事実を知ったのは二人。一人はルドレス
…ああ、君は、彼女を見つけたのだねもう一人は祭祀場の侍女である
そしてその内に、暗い瞳を見出した、そうだろう?
…懐かしいことだ
あの頃私たちは、ただそれを隠すことしかできなかった
ずっと昔の話だ…
…君に伝えておこう
それはあの火防女に僅かな光を与え、ある光景を見せるだろう
瞳無き彼女が、決して見るべきでない裏切り
…火継ぎの終わりをね(火防女の瞳を入手した後のルドレスのセリフ)
貴方様、呪いに囚われたくなければ「祭儀長の指輪」を販売していることから、この侍女は「祭儀長(おそらく先代の)」か、祭儀長につながる人物だと思われる
あまり長居は無用ですじゃ
今は暗く、誰もなくとも、火は静かに消えるもの
…それとも、貴方様、もはや手遅れですかのう?
丁度あの娘のように
フフフッ…フフ(火の無い祭祀場の侍女のセリフ)
そもそも祭祀場そのものが祭儀長の司る領域の可能性も高く、「火継ぎの終わり」を見た火防女の情報は速やかに祭儀長に知らされただろう
薪の王による「火継ぎ」を目指す三柱にとって、「火継ぎの終わり」を見た火防女は極めて危険な存在となった
ただちに暗殺者が送られ、火防女は殺害された
暗殺者は「結晶の娘、クリエムヒルト」と様々な証拠から推測される
当時のロスリック王国は隠遁したオスロエスに代わりロスリック王子が最高権力者になっていたと思われる(王位に就いていないのだとしたら、あるいは三柱が権力を握っていたか)
オスロエスの三柱がそのまま地位を保っていたかはわからないが、オスロエスと結びついた大書庫勢力が処罰を受けたであろうことは想像に難くない
結晶の古老の愛弟子クリエムヒルトは、導師の起こした不祥事の尻ぬぐいのため、また大書庫勢力の名誉を挽回するために、自ら暗殺の任に就くしかなかった
暗殺を果たしたクリエムヒルトだが、肝心の「火防女の瞳」には手を付けずに去っている
事態の根本原因でもある重要なアイテムが放置されているのはいかにも納得がいかない
だが、事実彼女は「火防女の瞳」を放置して立ち去っている
なぜか?
彼女は結晶の古老から「それに触れるな」と厳命されていたからだ
ここでクリエムヒルトの着用している火防女の服が重要な意味を持ってくる
暗殺した火防女の服を奪って着用しているのだ、という仮説も考えたのだが、どうも説得力が欠ける気がするし、そんなことをする充分な理由もない
だとしたらなぜクリエムヒルトは火防女の服を着ているのだろうか?
それが彼女の正式な装束だったからだ、というのがその答えだ
「結晶の古老」が「結晶の〇〇」と呼ばれるのは、シースに見え啓蒙を得たローガンの末裔だからである
それはウロコのない白竜、シースの力でありだとしたら「結晶の娘」もローガンの末裔なのだろうか?
それに見え啓蒙を得たローガンの魔術である
結晶の古老は、その末裔なのだ(結晶のスクロール)
否、彼女は古老の愛娘でもローガンの末裔でもなく、あくまでも愛弟子だ
結晶の古老として知られる双子の導師が彼女はローガンとは無関係だ。だが「結晶の〇〇」と呼ばれている
愛弟子クリエムヒルトに授けた結晶の杖(古老の結晶杖)
なぜか?
彼女はローガンとは無関係だが、その上流、シースと関係があるからだ
結晶とはシースの力の片りんであり、シースの力の根幹だった
つまり「結晶の娘」とは「シースの娘」と言い換えることでき、これをさらに言い換えると、「竜の御子」となる
そうクリエムヒルトもまた竜の御子だった。だが彼女は失敗作だった。しかしその魔術の素質を見抜いた古老によって弟子にされ育てられたのだ
だが本質はあくまでも「竜の御子」であり、ゆえに「竜の御子」の衣装を身にまとっている。そして竜の御子である彼女にとって「火防女の瞳」は危険な代物であった
だからこそ結晶の古老は愛弟子を守るために「それに触れるな」と命じたのだ
さて、実は竜の御子の失敗作は彼女だけではない
因果を超えるような凄まじい力を持った竜の御子を、失敗なしに作れるとは到底思えない。そこにはおびただしい数の失敗作が生みだされたはずだ
ここで作品は異なるが「ブラッドボーン」の偽ヨセフカを思い出してほしい
彼女は患者を実験体とし上位者を造り出そうとしていた。そしてその失敗作を診療所の裏手にある禁域の森に捨てていた
類似した構造が頻出する宮崎作品にあって、この偽ヨセフカの構造がダークソウル3では、妖王オスロエスとして現れたのだろう
つまり、オスロエスは竜の御子を造り出そうとして、副次的におびただしい数の失敗作を造り出してしまったのだ
失敗作はどうなったのか?
もちろん裏手に捨てられたのだ
妖王の庭の裏手には無縁墓地があり、そこにある祭祀場の塔には「おびただしい数の火防女の死体」が捨てられている
だが中には火防女の力を有するものや、別種の力に秀でた竜の御子もいた
それが「火防女の瞳を持って死んでいた火防女」や「クリエムヒルト」だった
やがてついにオスロエスは竜の御子の完成体を生み出すことに成功する
アン・ディールにも作ることができなかった、因果を超える力を持つ完全な竜の御子
「オセロット」だ
竜の御子であるオセロットは、シース由来の不死身の力と、火継ぎの終わりをもたらすことのできる火防女の力を兼ね備えている
実は「不死の火防女」というのはかなり稀有な存在だ
DS1の火防女は普通に死ぬし、DS2の巡礼も普通に殺せる
さらに火の無い祭祀場の火防女は、登場時からして死んでいる
殺しても殺しても生き返るような不死身の火防女は、火継ぎの祭祀場にいるあの火防女だけなのだ
そしてついにアンディールの悲願は成就され、世界は因果を超える
灰の方、おかしな話をお許しください火の時代の始まりに「裏切り」があり、それに関わったのが鱗の無い白い竜であるように、火の時代の終わりには「裏切り」があり、それに関わるのが光の無い白い竜の子である
あの瞳の見せる、火の消えた世界は、永遠に続く暗闇です
…けれどそれは、瞳の無い私たちのそれとは異なり
どこかずっと先に、小さな火たちがあるように思えるのです
それはまるで、王たちの継いだ火の証、残り火のように
だからこそ、私はその暗闇に惹かれるのでしょうか?
補足
オセロットについて英語版でオセロットは「He」と呼ばれている。男性の人称代名詞だ。
ここからオセロットが男であり、火防女ではない、という論が成り立つ
日本版ではどう書かれているかというと
愛しいオセロット、竜の御子の力にこの「御子」という言葉、古くは「童子」や「子供」を意味する言葉であり、そこに男女の差異は存在しない
例えば酒呑童子、茨城童子などが有名であるが、このうち「茨城童子」には女性説が存在する。つまり童子には男の子という積極的な意味合いはない
だが、童子という言葉にはやや男の子的な意味合いが感じられるのも事実だ
御子を翻訳しようとしたとき、人称代名詞が「he」になってもやむを得ないというものだろう
あの娘について
…それとも、貴方様、もはや手遅れですかのう?祭祀場の侍女のいう「あの娘」はクリエムヒルトを指すのではないか、という説が不意に頭をよぎったので自分で否定してみる
丁度あの娘のように
無縁墓地は過去の世界だというのがだいたいの定説となっているかと思われる
つまり無縁墓地のクリエムヒルトは過去、大書庫に登場するクリエムヒルトが現在だ
もし「あの娘」がクリエムヒルトを指すのだとしたら、手遅れであったはずの彼女が、ほかの二人の仲間と組み、灰を迎撃してくるということになる
呪いにとらわれ「手遅れに」なってから長い時を経て、まだ戦う力や意思を有しているということになるが、だとしたら「手遅れ」という表現と矛盾しているように思われる
やはりあの娘とは、死んでいる火防女のことだろうと考えるのが自然だろう
竜の御子の母
オセロットの母は言うまでもなくオスロエスの王妃である
だが他の竜の御子については不明である
想像だが、おそらく母体となった女性は数多くいただろう
しかしそのことごとくを失敗し、やがて母体がいなくなってしまった
オスロエスは最後の手段として自分の王妃を母体とすることにした
そうして生まれたのがオセロットだった
火防女について(追記)
必ずしも火防女=竜の御子と言いたいわけではない
あくまでDS3の世界における特定の火防女が竜の御子だといいたいのであって、DS1の火防女やDS3の一部の火防女は、竜の御子ではない
火防女には天然の火防女と人造の火防女がいて、DS1の火防女などは天然だろうと思われる
また、シラの例を見るように竜の御子が必ず火防女になるわけでもない
シースと火防女(オセロット)の関係について(追記)
二者を繋ぐ概念は「裏切り」である
シースは古竜を「裏切る」ことで、世界の秩序を変え、
火防女は「火継ぎの終わり」という「裏切り」によって世界の秩序を変えた
シースは白く、鱗がない
火防女は白髪で、瞳(光)がない
火の時代の始まりに「裏切り」があり、それに関わったのが鱗の無い白い竜であるように、火の時代の終わりには「裏切り」があり、それに関わるのが瞳の無い白い竜の子である