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2025年11月1日土曜日

ARC Raiders レビュー

PvPvEの期待作。テストプレイはポケモン被りであまりやれなかったものの、どうしても気になったのでARC Raidersを購入(Steam6000円)


Lv8、ニワトリのスクラッピーにレモンとアプリコットを与えたくらいの進行度(序盤)


埋もれた街。黄色の円のあたりにレモンとアプリコットの木が一本ずつ生えている。ダム戦場にもあるらしいのだが、筆者は見つけられなかった


本作をソロ、探索メインの観点からレビューしてみたいと思う


どのようなゲームか

一言でいえば Escape from Tarkov(エスケープ・フロム・タルコフ)の流れを汲むPvPvE脱出シューターということになる


タルコフは未プレイなので比較はできないが、タルコフをより遊びやすくカジュアルにした作品、というのが世評のようである


プレイヤーは地下の街エスペランザから地上(上層)へ向かい、アイテムを収集した後にエスペランザに帰還。というのがゲームの1サイクルである


上層にはプレイヤーを襲うARC(機械の敵)がエリアを巡回している。また同じエリアにいる他プレイヤー(非公式だが21人という話)も状況によってはになる


これらを言い表した言葉が、PvPvE、すなわち「Player vs Player vs Environment(プレイヤー対プレイヤー対環境)」である


このゲームの主な目的アイテム収集、クエスト攻略、PvP、ARC攻略になる。他プレイヤーとは敵対しても良いし、協力して攻略することも可能だ


濃密なシナリオがあるわけでもなく、またラスボスの攻略といった大きな目的はない(巨大ARCをラスボスと捉えることも可能かもしれないが)



では結局のところ何を楽しむゲームか

プレイヤーによって楽しみ方は異なる。PvPをメインに戦い続ける者もいれば、他プレイヤーとの交流を求める者もいるしクエスト攻略を第一とする者もいるだろう


しかし全てのプレイヤーに共通するのは、上層でアイテムを収集しエスペランザに帰還する、というサイクルである


ポストアポカリプス世界のアイテム探索楽しさとスリル帰還する際の手に汗握る緊迫感。そして帰還できた際の精神的な開放感


つまるところ、このゲームの1サイクルにはリスクとリターン緊張と解放が高い純度で詰め込まれており、それがプレイヤーの脳内において一種の脳内麻薬のように作用するのである


タルコフ系のゲームは一見一聴するだけでは何が面白いのか分からないことが多い。なぜただのアイテム収集に熱中するのか。なにがそれほど楽しいのか。


しかし要は人の「報酬系」を刺激するように作られたゲームと考えれば、理解しやすいかと思う


※「報酬系」とは、欲求が満たされる、あるいは満たされると分かった時に活性化し、快感や幸福感をもたらす脳の神経回路システム


言葉は悪いがプレイヤーは、美味しいエサが出てくるボタンを押し続ける実験動物のようなものかもしれない(しかもそれは成功した時にのみエサが出てくる。当たりを求めて延々それを繰り返すようになるだろう)


他者から見れば何が面白いのか分からない。しかし当人にとってはその行為は非常な快感をもたらす楽しい行為なのである(ギャンブルに近いかもしれない)



ソロの観点

話がそれたのでゲームの話題に戻す


筆者は基本的にソロで遊んでいる。これまでのところ帰還率は8割ほど。高レアエリアにあまり入らないせいか、想定していたよりも好戦的なプレイヤーは少ない。失敗したのはほぼ脱出口で襲われた時


慣れるまでは「無料ロードアウト」で充分。いきなり赤枠や黄色枠のエリアに向かわず、外周あたりの人のいなそうなエリアを漁るのが安全(赤、黄枠には敵対的なプレイヤーが多い)


ダム戦場の西側にあるアパート群レアな嗜好品が多く、他プレイヤーもいない印象。あまり欲張らず、アイテムスロットが満杯になったらすぐに帰還を目指してもいい


というのも、上層(地上)リサイクルするよりもスペランザでリサイクルする方がアイテムを多く貰えるからだ


さらに無料ロードアウト帰還に成功した場合、トレーダーのランスに無料ロードアウトオーグメントを通常のオーグメント(略奪MK1とか)と交換してもらえる


1920円のオーグメントと交換して貰える

本作では「無料ロードアウト」で出撃する限り、殺されても何一つ損はない。むしろ何らかの行動するたびに経験値が入るので、殺されたところで得しかない


極論すればたとえ一度も帰還が成功しなくとも、キャラのレベルは上がっていく。加えて帰還の正否とは無関係にニワトリのスクラッピ-資源を集めてきてくれる


このあたりがカジュアルと言われるゆえんだろうか。プレイヤーが挫折してゲームを辞めてしまわないよう、とてもよく考えられている


無料ロードアウト出撃でアイテムとお金を貯めたら、装備を整えて高レアエリアに侵攻というのが良さそうである


さて、ソロチーム(3人)と異なりスニークゲームになりやすい


ソロはソロ同士でマッチするシステムなので一方的にチームに狩られることはないが、チームだと勢いで攻めていける状況でも、味方の援護が望めないソロでは慎重に攻めなくてはならない


また現地でソロ同士が組むことは可能なので、1対多数という状況に陥る可能性もある(今のところ遭遇していないが)


よってソロでのプレイは主にスニーキングゲーになる。周囲の環境を把握状況に適した行動をとる必要がある。この点は戦闘重視のプレイヤーでも同じことと思う


端的に言って、スニークしながらアイテムを漁るのはとても楽しい。これはスカイリムフォールアウトシリーズのアイテム漁りに通じる面白さがある


加えて最後には脱出というギャンブルがあり、これにより報酬系を最大限に刺激される。つまりアイテムを漁っているだけで楽しいという状況に置かれるのである


このゲームの主な目的はアイテム漁りである。これは事実であるし、それの何が楽しいのか、という疑問も理解できる。しかし上述したように、プレイヤーはそれが楽しいような精神状態になっているのであり、この楽しさは多くの人間に理解されるものであろう



サウンド

本作で特筆すべき優れた点の一つがサウンドデザインである。ARCの駆動音警戒音機械をこじ開ける音漁るときの音足音その一つ一つが、耳に心地よいのである


クオリティ的には大作SF映画に匹敵する。筆者は上層にいる時にまるでインターステラーDUNE、エイリアン、2001年宇宙の旅の世界にいるような臨場感を味わっている


ポストアポカリプス世界を描いたゲーム作品は多々あれど、サウンド的には本作が最高レベルにあるのは間違いない


筆者は常々、傑作ゲーの条件の一つはサウンドデザインが優れていることであると思っている。その点で本作はサウンド面では完璧である


※映画化するような気がする



欠点

あえて欠点を挙げるとしたら、クエストラインの薄さであろうか。一長一短であることは理解しているものの、クエストがやや分かりにくく達成感が少ない


また自由度の高いMMO的な部分もあるので、一定のレベルまでくると何をして良いのか分からなくなることがある


探索が安定するようになったら装備を充実させて高レアエリアに侵攻するのがセオリーなのだが、そこはどうしてもリスクを負わなくてはならない


しかし大きなリスクは払いたくない。結果、低リスクの探索をだらだらと続けてしまう。しかし低リスクの探索はリターンもそれなりなのでキャラの成長も緩やかになり、次第に飽きてくる


このあたりハイリスク、ハイリターンを求める層は問題ない。だがどうしても安定を求めてしまうプレイヤー層には飽きが早いかもしれない


ハイリスクエリアへの侵攻を促すような太い動線があったらなぁ、と思うことがある


さて無料ロードアウトに見られるように、本作はカジュアル勢にも配慮された作りになっている。本作の楽しさはこうしたゲームが初めてのプレイヤー(筆者含む)にも伝わるはずである


一方でやはり人を選ぶゲームであることも間違いない


現在タルコフ系のゲームとしてダッコフが流行しているが、あちらにはPvPはない。PvPがないということで流行している面もあるのかもしれない。あるいはPvPがあるということで本作に二の足を踏んでいる人も多いかもしれない


個人的には本作のゲームデザイン的PvPは必須ではないと感じている。このゲームの面白さはPvPがなくとも成立していると思うのである


ただしPvPが必要な理由も理解できる。PvPvEとPvE、どちらのARC Raidersがよりゲーム的に成功するかと問われたら、PvPvEの方だろうと思う


PvPに対する心理的な障壁をいかに無くしていくかが、このジャンルの今後の課題なのかもしれない


そして一定の解答を出した本作は、たとえPvPが嫌いだったとしてもプレイする価値がある。筆者はそう思うのである


点数をつけるとしたら94点


  • ゲームサウンドの水準を大作映画並に引き揚げた傑作
  • ◎様々な点で完成度が高く、ソロからチームまで楽しめる
  • 初心者への配慮が行き届いており、ジャンルの裾野を広げることに大成功
  • ◎ポストアポカリプスの世界観が最高かつ高品質(後継作の基準となろう)
  • クエストラインがやや貧弱



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